(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1制御手段は、前記データラインの基準電位を定期的に監視し、当該基準電位が第2レベルから第1レベルへ変化したときに、前記カード・カセット装置が非装着状態であると判断する請求項1に記載のカード払出装置。
前記シャッタの開閉に連動して前記シャッタの開放状態および閉鎖状態を検知するシャッタ開閉検知手段を備え、前記第1制御手段は、前記シャッタ開閉検知手段が前記シャッタの開放状態を検知した場合にカードの払い出しが可能な状態であると判断する請求項1に記載のカード払出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した特許文献1に開示されたカセット装置では、カード払出装置にカセット装置を装着した状態でも、カード払出装置からカセット装置を離脱した状態でも、カード出口が閉鎖状態に維持される(ただし、カード払出指令を受けた時を除く)ので、カードの紛失を防止できるが、その機能は、ゲート手段としてカム手段を利用することで実現している。また、カム手段をノブ手段によって操作することにより、カード出口の閉鎖状態を解除できないようにして、セキュリティを確保している。
【0012】
このように、特許文献1のカセット装置のセキュリティは、ブラケット板、シャフト、カム板、ピン体等の互いに係合される部材同士の相対的な回転または移動を機械的に制限することで実現されている。しかし、カード払出装置からカセット装置を離脱した状態では、特に、ノブ手段に手を加えることが容易であるから、セキュリティを破って内蔵されているカードにアクセスすることは可能である。したがって、このカセット装置のセキュリティ・レベルは、十分とは言えない。
【0013】
また、上述した特許文献2に開示されたカード発行機では、カセット装置に設けられ且つシャッタ、支持板、規制手段等を含むシャッタ構造と、ホッパーに設けられた係合部材とが係合することによって、シャッタが開放されるようになっているため、係合部材の形状と大きさにほぼ合致した部材を用意してシャッタ構造に係合させないと、ホッパーから離脱した状態でシャッタを開放することはできない。しかし、これは逆に、係合部材の形状と大きさにほぼ合致した部材を用意すれば、シャッタを開放することが可能であることを意味する。したがって、このカード発行機のセキュリティ・レベルも、十分とは言えない。
【0014】
さらに、本体装置とカード・カセット装置とが一対一の関係を確保するため、本体装置に適合したカード・カセット装置のみを装着できるようにしたカード払出装置が望まれる。
【0015】
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、非装着状態では、カード出口を開閉するシャッタの移動を直接的に禁止する機構を内蔵することで、外部から前記カード出口を開放する術をなくし、対象装置への装着状態では、前記機構による前記シャッタの移動禁止を解除することが可能となると共に、前記シャッタの移動禁止を解除した状態で所定のシャッタ移動手段によって前記シャッタを移動することで、前記カード出口を開放することが可能となるカード払出装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、簡単な構成で、従来のカード・カセット装置よりも高いセキュリティ・レベルを実現することができるカード・カセット装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本体装置に適合したカード・カセット装置のみを装着して使用できるようにしたカード払出装置を提供することにある。
ここに明記しない本発明のさらに他の目的は、以下の説明および添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)上記目的を達成するためになされた本発明に係るカード払出装置は、カードを所定の方向に送り出す本体装置と、前記本体装置に着脱可能
なカード・カセット装置と、を有するカード払出装置であって、前記本体装置に設けられた第1制御手段と、前記カード・カセット装置に設けられた、複数のカードを収容する収容部を内部に有すると共にカード出口を前面部に有するボディと、
前記カード・カセット装置に設けられた、前記ボディの前面部に沿って移動して前記カード出口を開閉するシャッタと、前記カード・カセット装置に設けられた、前記シャッタを閉鎖したままでロック状態にするシャッタロック手段と、前記カード・カセット装置に設けられた、前記シャッタの閉鎖状態を解除する閉鎖状態解除手段と、前記カード・カセット装置に設けられた、前記シャッタロック手段の作動および非作動を制御する第2制御手段と、前記カード・カセット装置の前記本体装置への装着時に、前記第1および第2制御手段を電気的に接続して前記第1および第2制御手段間での通信を可能とするデータラインと、前記カード・カセット装置に設けられた、前記カード・カセット装置の識別情報を保持するカセット識別情報保持手段と、を備え、
前記シャッタに形成されたストッパ部材係合孔と、前記係合孔に係合可能なストッパ部材と、前記ストッパ部材を移動させることによって前記ストッパ部材の前記ストッパ部材係合孔への係合または離脱を実行するストッパ部材移動手段と、により前記シャッタロック手段が構成され、前記シャッタに形成されたロック部材係合孔と、前記ロック部材係合孔に係合可能なロック部材と、前記ロック部材を移動させることにより前記ロック部材の前記ロック部材係合孔への係合または離脱を実行するロック部材移動手段と、により前記閉鎖状態解除手段が構成され、前記第1制御手段は、前記カード・カセット装置の前記本体装置への装着時に、前記データラインを介して前記第2制御手段との通信を開始して前記カセット識別情報保持手段に保持された識別情報に基づいて装着状態にある前記カード・カセット装置の適合性を認証し、当該認証が正常に実行された場合にのみ前記シャッタロック手段を非作動とする指令を前記第2制御手段に送出することを特徴としている。
【0018】
本発明に係るカード・カセット装置では、上述したように、前記ボディの前面部に沿って移動して前記カード出口を開閉する前記シャッタを設けると共に、前記シャッタを閉鎖したままでロック状態にする前記シャッタロック手段を設けている。前記シャッタロック手段の作動および非作動は、前記第2制御手段により制御される。また、前記カード・カセット装置の前記本体装置への装着時には、前記第1および第2制御手段が前記データラインを介して電気的に接続され、前記第1および第2制御手段が通信可能な状態となる。さらに、前記カード・カセット装置には、前記識別情報を保持する前記カセット識別情報保持手段が設けられている。そして、前記カード・カセット装置の前記本体装置への装着時には、前記第1制御手段が、前記データラインを介して前記第2制御手段との通信を開始して前記カセット識別情報保持手段に保持された識別情報に基づいて装着状態にある前記カード・カセット装置の適合性を認証し、当該認証が正常に実行された場合にのみ前記シャッタロック手段を非作動とする指令を前記第2制御手段に送出する。これにより、前記シャッタロック手段が非作動状態となり、前記シャッタの閉鎖状態を解除する前記閉鎖状態解除手段を操作することによって、前記シャッタが開放状態となり、カードの払い出しが可能となる。
【0019】
このため、前記カード・カセット装置が非装着状態において前記カード出口を開放する術をなくすことができる。したがって、簡単な構成で、従来のカード・カセット装置よりも高いセキュリティ・レベルを実現することができる。
【0020】
また、前記カード・カセット装置の適合性を認証できない場合には、前記シャッタロック手段が作動状態を維持するので、非適合なカード・カセット装置の使用を防止できる。したがって、本体装置に適合したカード・カセット装置のみを装着して使用ことが可能となる。
【0021】
(2) 本発明のカード払出装置の好ましい例では、前記カード・カセット装置の前記本体装置への装着時に、前記データラインの基準電位を第1レベルから第2レベルへ変化させるデータライン基準電位変更手段を備え、前記第1制御手段は、前記データラインの基準電位が前記第2レベルであるときに前記カード・カセット装置の装着状態であると判断する。
【0022】
(3) 本発明のカード払出装置の他の好ましい例では、前記第1制御手段は、前記データラインの基準電位を定期的に監視し、当該基準電位が第2レベルから第1レベルへ変化したときに、前記カード・カセット装置が非装着状態であると判断する
【0023】
(4) 本発明のさらに他の好ましい例では、前記シャッタの開閉に連動して前記シャッタの開放状態および閉鎖状態を検知するシャッタ開閉検知手段を備え、前記第1制御手段は、前記シャッタ開閉検知手段が前記シャッタの開放状態を検知した場合にカードの払い出しが可能な状態であると判断する。
【0024】
(5) 本発明のさらに他の好ましい例では
、前記ストッパ部材移動手段がソレノイドを含んでおり、前記ストッパ部材が前記ソレノイドのロッドと一体で構成されると共に、前記ソレノイドが消磁状態にあるときには、前記シャッタが閉鎖したままでロック状態に維持され、前記ソレノイドが励磁状態になると、前記シャッタのロック状態が解除されるよう構成されており、前記第2制御手段は前記第1制御手段の指令により前記ソレノイドを励磁する。
【発明の効果】
【0025】
本発明のカード払出装置は、(a)本体装置への非装着状態では、カード出口を開閉するシャッタの移動を直接的に禁止する機構を内蔵することで、外部から前記カード出口を開放する術をなくし、本体装置への装着状態では、前記機構による前記シャッタの移動禁止を解除することが可能となると共に、前記シャッタの移動禁止を解除した状態で所定のシャッタ移動手段によって前記シャッタを移動することで、前記カード出口を開放することが可能となる、(b)簡単な構成で、従来のカード・カセット装置よりも高いセキュリティ・レベルを実現することができる、(c)本体装置に適合したカード・カセット装置のみを装着して使用できる、という効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0028】
(カード払出装置の全体構成)
本発明の一実施形態に係るカード・カセット装置20を装着したカード払出装置1を
図1〜
図5に示す。
【0029】
カード払出装置1は、
図1〜
図5に示すように、同装置1の基本構造と基本機能を提供する本体部10と、本体部10に脱着可能に装着された本発明に係るカード・カセット装置20とを備えて構成されている。
【0030】
本体部10は、その下部に設けられたカード送出機構12と、その後端部にカード送出機構12の後端と重なるように設けられたカセット装着ガイド15とを備えている。本体部10は、後述する
図31の本体制御部61からの指令に応じて、カード・カセット装置20内に積み重ねて収容されている複数のカードから、最下端にある1枚のカードを取り出し、所定の搬送路(図示せず)に沿って前方に送出し、前端にあるカード出口(図示せず)から外部に払い出す機能を持っている。カード送出機構12は、ここでは、
図1に明瞭に示すように、電動モータ(図示せず)によって駆動されるプーリ12aと、無端ベルト12b、プーリ12c、無端ベルト12d及びプーリ12eとを含んでいる。なお、カード・カセット装置20の最下端にあるカードの搬送路への導入は、カード送出機構12に含まれるカード送出ローラ12f(
図4参照)によって行われる。
【0031】
本体部10の後端には、カード・カセット装置20の装着を容易にするために、カセット装着ガイド15が設けられている。カセット装着ガイド15は、
図2及び
図3に明瞭に示すように、上下方向に延在する帯状のフロントパネル15aと、フロントパネル15aの両側に接続された、略L字状のパターンを持つ一対のサイドパネル15bとを備えている。これらのパネル15a及び15bの後方には、換言すれば、カセット装着ガイド15の内側には、カード・カセット装置20を収容する凹部15cが形成されている。カード・カセット装置20は、凹部15cにその斜め上後方から差し込むようにして、
図1に示すような形で嵌合され、その状態で固定される。
【0032】
パネル15bには、
図3に示すように、側面視逆L字形のガイド溝18a、18bが形成されている。ガイド溝18a、18bの上下方向に延在する部分の溝幅は、カード・カセット装置20のシャフト34a、34bの直径より僅かに大きい寸法に設定されている。カード・カセット装置20の本体部10への装着は、ガイド溝18a、18bに対してシャフト34a、34bを係合させることにより実行される。これにより、カード・カセット
装置20の水平方向の移動が規制される。
【0033】
パネル15aの上部には、
図1および
図2に示すように、後述のロックプレート38の係止孔17が形成されている。ロックプレート38が係止孔17に係止されることにより、カード・カセット装置20の垂直方向の移動が規制される。これにより、カード・カセット装置20の本体部10への装着した状態で、ロックプレート38を係止させることにより、カード・カセット装置20のロック状態が生起される。換言すれば、ロックプレート38と係止孔17がカード・カセット装置20のロック機構として機能する。
【0034】
カセット装着ガイド15を形成するフロントパネル15aの後面上部には、電気コネクタ16が設けられている。電気コネクタ16は、ハーネス(図示せず)を介してカード送出機構12に電気的接続されている。電気コネクタ16が、カード・カセット装置20の後述する電気コネクタ37に電気的接続される。これにより、装着されたカード・カセット装置20と本体部10との間における電気信号の送受信と、本体部10からのカード・カセット装置20への電力供給がなされる。
【0035】
(カード・カセット装置の全体構成)
次に、
図6〜
図17を参照しながら、本実施形態に係るカード・カセット装置20について詳細に説明する。
【0036】
本実施形態に係るカード・カセット装置20の外観は、
図6〜
図10に示すように、前面の上部が少し前方に突出している点を除いて、全体がほぼ直方体の箱形である。カード・カセット装置20のボディ21の内部には、複数枚のカードを上下方向に重ねて収容する収容部21eが設けられていると共に、収容部21eに収容されているカードの紛失や盗難を確実に防止するためのセキュリティ機構が設けられている。このセキュリティ機構は、係合孔22bを持つシャッタ22や、ガイドプレート33とそれを駆動するソレノイド30、シャッタ22の係合孔22bに係合せしめられた、シャッタ22を上下動させるためのロックプレート38、ロックプレート38を操作(回動)させるためのロックキー39等を含んでいる。
【0037】
カード・カセット装置20の内部構造は、
図11の分解斜視図に示すとおりである。すなわち、カード・カセット装置20は、内部に直方体状のカードの収容部21eが形成されたボディ21を有している。ボディ21は、収容部21eの上面と底面をそれぞれ形成する上面部21c及び底面部21bと、収容部21eの前面を形成する前面部21dと、収容部21eの左右の側面を形成する一対の側面部21fと、収容部21eの後面を形成するドア25から構成されている。ドア25は、一方の側面部21fにヒンジシャフト26によって回動自在に装着されており、開閉することで収容部21eにアクセスが可能となっている。ドア25には、ロックキー47が装着されており、ドア25の外部からロックキー47を操作することで、ドア25の開閉動作を行うロックプレート46を動作させることができる。ロックキー47をロックすれば、ドア25はロックされて開かなくなり、ロックキー47を解除すれば、ドア25は開くようになる。
【0038】
ボディ21の前面部21dには、上下方向に延在するスリット21aが形成されていると共に、その下端にはカード送出用の開口21gが形成されている。この開口21gは、シャッタ22によって開閉される。なお、収容部21eに配置されたウェイト48は、収容部21eに重ねられたカード群の上に載せられ、そのカード群に下向きの荷重を与えるためのもの(重り)である。
【0039】
ボディ21の前面部21dには、上下方向に延在する帯状のシャッタ22を間に挟んで、同様の形状のフロントパネル23が固定されている。フロントパネル23の前面部21dへの固定は、2本のシャフト34a、34bを用いて行われている。これにより、シャッタ22は、前面部21dとフロントパネル23の間において、前面部21dに沿って上下方向にスライド可能となっている。前面部21dの左右両側には鍔部が形成されているため、シャッタ22はその両側において鍔部によって案内され、安定したスライド動作が実現される。シャッタ22は、フロントパネル23とシャッタ22の間に設けられた引っ張りバネ35によって、常に下向きに付勢されている。つまり、ボディ21の下端部前面にある開口21gは、シャッタ22によって常に閉鎖されている。シャッタ22がバネ35の弾性力に抗して持ち上げられると、開口21gは開放されることができる。
【0040】
ボディ21の前面部21dとシャッタ22の間には、開口21gと重なる位置にゲート搭載プレート28とカードゲート27が装着されている。カードゲート27は、ゲート搭載プレート28上に固定されており、ゲート搭載プレート28は前面部21dにネジ止めされている。こうすることで、前面部21dの開口21gのかなりの部分がカードゲート27で塞がれる。その結果、ボディ21の収容部21eの前面下端に、カード1枚が通過できる程度の隙間が形成される。この隙間が、シャッタ22によって開閉されるカード出口27aとなる(
図15参照)。シャッタ22が開放されているときは、カード出口27aを通って1枚ずつ、カードを送出させることができるが、シャッタ22が閉鎖されているときは、カードの送出は不可能となっている。
【0041】
帯状のシャッタ22は、その中央部に上下方向に延在するスリット22aを持つ。スリット22aは、ボディ21の前面部21dのスリット21aと重なる位置にある。シャッタ22は、さらに、その上端部に係合孔22bと、ロッド挿通孔22cと、ガイドプレート挿通孔22dを持つ。係合孔22b、ロッド挿通孔22c及びガイドプレート挿通孔22dは、スライドの動作の制御面で重要な機能を果たすが、その機能については後述する。
【0042】
ボディ21の上面部21cの上面には、ソレノイドブラケット29を用いて、ソレノイド30が設置されている。
図17に示すように、ソレノイド30のロッド31の先端31aには、略L字形に形成されたガイドプレート33が固定されている。また、ロッド31には、圧縮バネ32が嵌装されていて、ロッド31を常に押し出す方向に付勢している。このため、ソレノイド30が消磁されている時は、ロッド31とガイドプレート33は常に突出状態にあり、ソレノイド30が励磁された時に限り、ロッド31が没入して、ガイドプレート33がソレノイド30に側に引き寄せられるようになっている。
【0043】
ソレノイド30の後方には、ソレノイド30やカード・カセット装置20の動作を制御するための制御基板40が、基板搭載プレート41を用いて設置されている。制御基板40の後方は、インナーカバー42によって塞がれている。基板搭載プレート41の近傍には、ストッパプレート43が設けられている。
図6に示すように、これらはトップパネル44によって覆われるので、外部からは見えない。トップパネル44の外面には、カード・カセット装置20の脱着及び運搬を容易にするためのハンドル45が装着されている。フロントパネル23の前面には、アッパーパネル24がさらに装着されており、内部にストッパ36、電気コネクタ37、ロックプレート38及びロックキー39が収容されている。ロックキー39の頭部は、アッパーパネル24の上部表面に露出しており、外部からロックキー39を操作(回動)可能となっている。アッパーパネル24は、フロントパネル23の上端部のみにあり、フロントパネル23から前方に少し突出している。電気コネクタ37は、図示しないハーネスを介して制御基板40に電気的接続されている。
【0044】
カード・カセット装置20は、大略、以上のような構成を有している。その外観を
図6〜
図10に示す。
図6に示すように、シャッタ22は、下端部のみがフロントパネル23の下端から前方に露出している。
図10に示すように、カード・カセット装置20の背面には、ロックキー47が露出しており、ドア25の開閉を制御できるようになっている。
図6に示すように、カード・カセット装置20の上面には、ロックキー39が露出しており、シャッタ22の開閉を制御できるようになっている。ロックキー39は、カード・カセット装置20を本体部10に装着した状態においてロックまたはアンロックの状態を実現する機能も有している。
【0045】
(シャッタの係合孔の機能)
シャッタ22の係合孔22bは、
図30に明瞭に示すように、単なる矩形ではなく、一端の高さ(厚さ)が小さく、他端の高さ(厚さ)が大きい形状を持っている。つまり、一端(
図30では左端)には、高さ(厚さ)が小さい肉薄部22bxが形成され、他端(
図30では右端)には、高さ(厚さ)が大きい肉厚部22byが形成されている。さらに、肉薄部22bxと肉厚部22byを相互に連結する上エッジ及び下エッジは、同じ形状ではない。つまり、下エッジは、係合孔22bの全長にわたって水平であるのに対し、肉厚部22byの上エッジ22bxxは水平であり、傾斜エッジ部22bzの上エッジ22bzzは肉薄部22bxに向かって下向きに傾斜し、肉薄部22bxの上エッジ22byyはまた水平になっているのである。そこで、この傾斜している上エッジ22bzzを含む部分を、傾斜エッジ部22bzと呼ぶ。その結果、係合孔22bは、一端に形成された高さ(厚さ)が相対的に小さい肉薄部22bxと、他端に形成された高さ(厚さ)が相対的に大きい肉厚部22byと、
肉薄部22bxと肉厚部22byの間に形成された傾斜エッジ部22bzとに分けることができる。こうすることにより、ロックプレート38(の一部)にカムの働きをさせ、係合孔22bにカム溝の働きをさせることができるため、係合孔22bに挿入・係合されたロックプレート38が、係合孔22bの内部を移動することによって、シャッタ22を上下に変位(スライド)させることが可能となる。
【0046】
(ロッド挿通孔とガイドプレート挿通孔とガイドプレートの機能)
図12に示すように、シャッタ22の係合孔22bの直下には、それに隣接して、円形のロッド挿通孔22cと直線状のガイドプレート挿通孔22dが形成されている。ロッド挿通孔22cとガイドプレート挿通孔22dは、相互に連結されており、ロッド挿通孔22cの中心にガイドプレート挿通孔22dが接続された形状になっている。ロッド挿通孔22cは、ソレノイド30の突出・没入するロッド31が挿通または離脱される孔であり、ガイドプレート挿通孔22dは、ロッド31の先端に固定されたガイドプレート33が挿通される孔である。ロッド挿通孔22cは、ガイドプレート挿通孔22dの幅より大きい直径を持つ円形とされているため、シャッタ22の上昇に伴ってガイドプレート33の先端が、ロッド挿通孔22cからガイドプレート挿通孔22dに移動することが可能である。ガイドプレート挿通孔22dは直線状とされているため、ガイドプレート挿通孔22d内を移動するガイドプレート33は、シャッタ22の上下動を案内して円滑化する役目を持つ。
【0047】
ロッド31が突出状態にある時は、例えば
図18及び
図19に示すように、ロッド31の下端部がロッド挿通孔22cの底部に当接するため、シャッタ22を上昇させようとしても、上昇させることはできない。他方、ロッド31が没入状態にある時は、例えば
図24及び
図25に示すように、ガイドプレート33の下端部33dがガイドプレート挿通孔22dの底部22ddに当接するまで、シャッタ22を上昇させることが可能となる。このとき、ガイドプレート33の先端部は、ガイドプレート挿通孔22d内に係合したままであり、シャッタ22の上昇に伴ってロッド挿通孔22c直下のガイドプレート挿通孔22dの内部を移動する。
【0048】
(シャッタの開閉の検知)
図13〜
図15に示すように、ボディ21の上面部21cの制御基板40には、光電センサ51と被検知片52が設けられている。これらは、シャッタ22の位置(上下動、開閉)を検知するためのものである。換言すれば、光電センサ51と被検知片52とがシャッタ開閉検知手段74として機能する。
【0049】
光電センサ51からは、常時、検知光が被検知片52に向かって照射されており、被検知片52からの反射光の強度変化を検知して、シャッタ22の位置を検知する。そのために、シャッタ22の上端部には、水平に突出する突起22eが形成されている。シャッタ22が閉鎖状態にある時は、シャッタ22の突起22eは、光電センサ51の検知領域より下方にあり、光電センサ51の検知光を遮断しない。しかし、シャッタ22が上昇してボディ21の下端のカード出口27aが開放されると、突起22eが光電センサ51の検知領域に入り、検知光を遮断するようになる。その結果、光電センサ51が受け取る反射光の強度が急激に減少する。このように、光電センサ51によって反射光の強度変化を検知することで、シャッタ22が持ち上げられてカード出口27aが開放されたか否かを判断するようにしている。
【0050】
(ロックプレートの機能)
ロックプレート38は、シャッタ22の閉鎖状態のロックと解除に使用されるものであり、
図16に示すような構成を持つ。同図に示すように、ロックプレート38は、円板の両端を直線で切り落とした形を持っており、中央に透孔38cが形成されている。切り落とした一方の側には、舌片状の作用部38bが突出形成されている。作用部38bは、その先端に向かって薄くされていると共に、残りの部分に対して少し下向きに傾斜している。これは、係合孔22bへの挿入及び係合を容易にするためである。透孔38cには、ロックキー39の先端が挿入・固定されている。このため、ロックキー39をその縦軸の周りに回動させることで、ロックプレート38を回動させることができる。
【0051】
ロックプレート38には、作用部38bに隣接して、カム部38aが形成されている。カム部38aの上面は、係合孔22bの肉厚部22byの上エッジ22bxx、傾斜エッジ部22bzの上エッジ22bzz、及び、肉薄部22bxの上エッジ22byyと摺動することにより、両者はカム及びカム溝として機能する。その結果、係合孔22bが形成されているシャッタ22を持ち上げることができる。
【0052】
さらに、ロックプレート38には、透孔38cを挟んでカム部38aの反対側において本体部10の係止孔17に係止可能な係止片38dが形成されている。係止片38dは、係止孔17に係止された状態でカード・カセット装置20が上下方向に移動できないようにする機能を有している。換言すれば、係止片38dと係止孔17はカード・カセット装置20が装着された状態を保持するロック機構として機能する。
【0053】
(本体部およびカード・カセット装置の制御部)
次に、
図31を参照しながら、本体部10の本体制御部61およびカード・カセット装置20のカセット制御部65について説明する。
【0054】
本体制御部61は、本体部10のカード送出機構12を駆動するカード送出機構駆動モータ62にモータ制御信号MCSを出力してカード送出機構12の作動を制御する。本体部10には、それぞれの一端が本体制御部61に接続された電源ラインBPL、データラインBDLおよびグランドラインBGLが設けられている。データラインBDLおよびグランドラインBGLのそれぞれの他端は、電気コネクタ16に接続されている。また、本体制御部61は、データ保持部63に保持された自己の識別情報BIDを読み出し可能である。
【0055】
他方、カード・カセット装置20には、それぞれの一端が電気コネクタ37に接続された電源ラインCPL、データラインCDLおよびグランドラインCGLが設けられている。電源ラインCPLおよびグランドラインCGLのそれぞれの他端は、カセット制御部65に接続されている。データラインCDLの他端は入力トランジスタTRのベースに接続され、入力トランジスタTRのコレクタはカセット制御部65に接続されている。入力トランジスタTRのコレクタと電源ラインCPLとの間にはプルアップ抵抗Rpが接続されている。入力トランジスタTRのエミッタはグランドラインCGLに接続されている。入力トランジスタTRとプルアップ抵抗Rpによりプルアップ回路66が構成される。カセット制御部65はソレノイド30を駆動するソレノイド駆動電源67にソレノイド制御信号SCSを出力してソレノイド30の作動を制御する。また、カセット制御部65は、データ保持部68に保持された自己の識別情報CIDを読み出し可能である。
【0056】
カード・カセット装置20が本体部10に装着されると、電気コネクタ16、37を介して本体部10の電源ラインBPL、データラインBDLおよびグランドラインBGLがカード・カセット装置20の対応する電源ラインCPL、データラインCDLおよびグランドラインCGLに接続される。そのとき、プルアップ回路66が動作してデータラインBDL、CDLの基準電位が電源ラインBPL、CPLの電位に変化する。すなわち、データラインBDL、CDLの基準電位が「L」レベルから「H」レベルに変化する。換言すれば、プルアップ回路66は、データラインBDL、CDLの基準電位を変化させるデータライン基準電位変更手段73として機能する。本体制御部61は、このデータラインBDLの基準電位の変化を検出し、カード・カセット装置20が装着されたことを検知することができる。また、本体制御部61とカセット制御部65とがデータラインBDL、CDLを介して電気的に接続されるので、データラインBDL、CDLを介して通信が可能となる。
【0057】
(カード・カセット装置の動作)
次に、以上のような構成を持つ本発明に係るカード・カセット装置20の動作について、
図18〜
図29を参照しながら説明する。
【0058】
まず、カード・カセット装置20がカード払出装置1の本体部10に装着されていない状態(非装着状態)では、シャッタ22は、
図18〜
図20に示すような閉鎖状態にある。すなわち、シャッタ22の下部エッジが、底面部21bの上面21bbに当接しており、カードゲート27によって前面部21dの下端に形成されたカード出口27aを閉鎖している。この時、ソレノイド30は通電されていない、つまり消磁状態にあるから、バネ32の作用によって、ソレノイド30のロッド31は突出状態にある。この突出状態では、ロッド31はロッド挿通孔22cの内部に嵌合しており、また、ロッド31の先端に固定されたガイドプレート33は、シャッタ22のガイドプレート挿通孔22dに嵌合している。このようにして、シャッタ22の上下方向の変位は、ロッド31とロッド挿通孔22cの係合によって阻止されているので、非装着状態ではシャッタ22が上昇する(したがってカード出口2
7aが開く)ことは決してない。換言すれば、ロッド31がストッパ部材として機能し、ロッド挿通孔22cがストッパ部材係合孔として機能し、ソレノイド30およびバネ32がストッパ移動手段として機能する。そして、これらストッパ部材、ストッパ部材係合孔およびストッパ移動手段がシャッタ22を閉鎖したままでロック状態にするシャッタロック手段71として機能する。
【0059】
また、この非装着状態では、ロックプレート38の作用部38bのみが,シャッタ22の係合孔22bの内部に挿入されている。しかし、作用部38bは係合孔2
2bの肉厚部22byに位置しているから、作用部38bが係合孔22bの内周エッジに接触することはない。つまり、ロックプレート38の作用部38bがシャッタ22に力を及ぼすことはない。このため、この状態で外部からロックキー39を操作してロックプレート38を回動させても、シャッタ22を開放させることはできない。
カード・カセット装置20がカード払出装置1の本体部10に装着されると、次のような動作を行う。
【0060】
カード・カセット装置20がカード払出装置1の本体部10に装着されると、本体部10から電力が供給されるようになるので、ソレノイド30に通電することが可能となる。そこで、カード払出装置1の本体部10に設けられた本体制御部61(
図31参照)がソレノイド30に通電して励磁状態にすると、ソレノイド30のロッド31がバネ32の弾性力に抗して引き込まれ、没入状態になる。このときの状態は
図21〜
図23に示すようになる。
【0061】
ロッド31が没入状態になると、ロッド31がシャッタ22のロッド挿通孔22cから外れる。その結果、ロッド31の下端部とロッド挿通孔22cの底部との係合が解消され、シャッタ22は上昇可能な状態になる。このロッド没入状態では、ロックプレート38は、上述した非装着状態での状態が維持される。つまり、ロックプレート38の作用部38bのみが、係合孔2
2bの肉厚部22byに挿入されているが、作用部38bは係合孔22bの内周エッジには接触していない。したがって、ロックプレート38の作用部38bがシャッタ22に力を及ぼすことはない。
【0062】
次に、上記のロッド没入状態を維持しながら、外部からロックキー39を操作して、ロックプレート38をその中心軸の周りにおよそ45°回動させると、ロックプレート38と係合孔22bとの関係は
図24〜
図26に示すような状態になる。すなわち、ロックプレート38の作用部38bだけでなく、作用部38bに隣接して形成されたカム部38aも、係合孔22bの内部に徐々に挿入される。このとき、最初に、作用部38bの上面が、係合孔22bの中央にある傾斜エッジ部22bzに接触し始めるので、シャッタ22に上向きの力が作用し始める。作用部38bの上面は、傾斜エッジ部22bzと同じような傾斜を持っているので、作用部38bの上面と傾斜エッジ部22bzとの摺動は円滑に行われる。その後、カム部38aの上面が傾斜エッジ部22bzに接触し始めるが、カム部38aの上面は平坦であるから、カム部38aの上面と傾斜エッジ部22bzとの摺動によって、シャッタ22にはさらに大きい上向きの力が作用し始める。その結果、シャッタ22は徐々に持ち上げられる。なお、カム部38aの上面が傾斜エッジ部22bzに接触し始めると、作用部38bは係合孔22bの内周エッジには接触しなくなる。
【0063】
続いて、上記のロッド没入状態を維持しながら、ロックプレート38をその中心軸の周りに、さらに45°程度、回動させると、ロックプレート38と係合孔22bとの関係は
図27〜
図29に示すような状態になる。すなわち、ロックプレート38は、当初の状態からおよそ90°回動し、ロックプレート38の作用部38bは、ほぼ全体が係合孔22bから外れ、カム部38aのみが係合孔22bの内部に挿入された状態になる。このとき、カム部38aは、その回動に伴い、その上面を傾斜エッジ部22bzに接触させながら傾斜エッジ部22bzに沿って摺動するので、傾斜エッジ部22bzの傾斜度に応じて、シャッタ22にはさらに大きい上向きの力が作用し、シャッタ22はさらに持ち上げられる。このとき、作用部38bは係合孔22bの内周エッジには接触しないので、作用部38bがシャッタ22に力を及ぼすことはない。
【0064】
以上のようにしてロックプレート38を回動させると、シャッタ22の下端とボディ21の底面部21
bの上面21bbとの間には、
図27に示すような小さな隙間Gが形成される。つまり、ボディ21の下端にカード出口27aが開放される。こうして、カード・カセット装置20の収容部21eに収容されているカードを、1枚毎に外部に送出することが可能となる。換言すれば、ロックプレート38と係合孔22bとロックキー39は、シャッタ22の閉鎖状態を解除する閉鎖状態解除手段72を構成している。
【0065】
その後、再び、カード・カセット装置20をカード払出装置1の本体部10から分離する必要が生じた場合は、ロックプレート38を逆向きに回動させて、ロックプレート38とシャッタ22の係合孔22bとの係合を解除すればよい。そうすれば、シャッタ22はバネ35の弾性力によって自動的に下降し、元の閉鎖位置に復帰するので、カード出口27aが閉鎖される。
【0066】
次に、本体部10の本体制御部61とカード・カセット装置20のカセット制御部65の動作について、
図31〜
図33を参照しながら説明する。
【0067】
まず、本体部10にカード・カセット装置20が装着されると、
図33(a)の時刻t1においてデータラインBDL、CDLの基準電位はプルアップ回路66の作用により「L」レベルから「H」レベルに変化する。本体制御部61は、定期的にデータラインBDLの基準電位を監視しており、この基準電位の「L」レベルから「H」レベルへの変化によりカード・カセット装置20の装着を検知する(
図33(a)の時刻t2)。すなわち、
図32のステップS1において、「YES」と判定される。
【0068】
本体制御部61は、次のステップS2において装着されたカード・カセット装置20が適合するものであるか否かを判別する。具体的には、
図33(a)の時刻t2においてデータラインBDL、CDLを介して制御コマンドをカセット制御部65に対して送信し、カード・カセット装置20に対して自己の識別情報を送信するよう指令する。この指令を受けたカセット制御部65は、自己の識別情報をデータ保持部68から読み込んで本体制御部61に送信する。本体制御部61は、データ保持部63に記録された自己の保有する識別情報とカセット制御部65から送信された識別情報とを照合して適合性を判定する(
図32のステップS2)。適合すると判定された場合には、
図32のステップS3に進み、
図33(a)の時刻t3において本体制御部61がカセット制御部65に対してソレノイド30を励磁するよう指令する。適合しないと判定された場合には、
図32のステップS9に進む。
【0069】
図32のステップS3において指令を受けたカセット制御部65は、ソレノイド制御信号SCSをソレノイド駆動電源67に出力し、ソレノイド駆動電源67がソレノイド30を励磁する(
図32のステップS3)。すなわち、
図33(c)に示すように、時刻t3においてソレノイド電流が「ON」することにより、ソレノイド30が励磁され、ソレノイド30のロッド31が
ロッド挿入孔22
cから離脱する。
【0070】
その後、
図33(b)の時刻t4においてロックキー39を操作(回動)することにより、シャッタ22が上方へ移動し、光電センサ51の出力信号PESが「H」レベルから「L」レベルに変化する。これにより、シャッタ22が開放状態になったことを検知したカセット制御部65は、本体制御部61に対してコマンドを送信し、本体制御部61はシャッタ22が開放状態になったことを判断する。そして、
図32のステップS4において「YES」と判定され、次のステップS5においてカード払出動作が実行可能な状態となる。
【0071】
続いて実行されるステップS6では、光電センサ51の出力信号PESが「L」レベルから「H」レベルに変化したか否かが判定される。すなわち、
図33(b)の時刻t5においてロックキー39を操作(回動)することにより、シャッタ22が下方へ移動された場合、カセット制御部65はシャッタ22が閉鎖状態になったことを判断し、本体制御部61に対してシャッタ22の閉鎖状態を示すコマンドを送信する。これにより、本体制御部61は、シャッタ22が閉鎖状態になったと認識し、カセット制御部65に対してソレノイド30を消磁するよう指令する。この指令を受けたカセット制御部65は、ソレノイド制御信号SCSをソレノイド駆動電源67に出力し、ソレノイド駆動電源67がソレノイド30を消磁する(
図32のステップS7)。すなわち、
図33(c)に示すように、時刻t6においてソレノイド電流が「ON」から「OFF」に変化することにより、ソレノイド30が消磁され、ソレノイド30のロッド31が
ロッド挿入孔22
cに係合する。また、ロックプレート38の係
止片38dが本体部10の係
止孔17から離脱する。これにより、カード・カセット装置20を本体部10から取り外し可能な状態となる。
【0072】
図32におけるステップS8では、データラインBDLの基準電位が「L」状態にあるか否かを判定する。カード・カセット装置20が本体部10から取り外されて非装着の状態になると、
図33(a)の時刻t7に示すようにデータラインBDLの基準電位が「H」から「L」に変化し、時刻t8において本体制御部61はカード・カセット装置20の非装着状態を検知する。すなわち、
図32のステップS8において、本体制御部61が「YES」と判定し、ステップS1に戻る。
【0073】
図32のステップS10においても、ステップS8と同様に、データラインBDLの基準電位が「L」状態にあるか否かを判定し、カード・カセット装置20の非装着状態を検知する。そして、本体制御部61がカード・カセット装置20の非装着状態を検知した場合、ステップS1に戻る。
【0074】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態に係るカード払出装置1では、カードを所定の方向に送り出す本体部10(本体装置)と、本体部10に着脱可能であって複数のカードを収容するカード・カセット装置20と、を有している。カード・カセット装置20には、ボディ21の前面部21dに沿って移動してカード出口27aを開閉するシャッタ22を設けると共に、シャッタ22のロッド挿通孔22c(ストッパ部材係合孔)に係合可能なロッド31(ストッパ部材)と、シャッタ22の係合孔
b22(ロック部材係合孔)に係合可能なロックプレート38(ロック部材)を設けている。そして、ソレノイド30およびバネ32(ストッパ部材移動手段)によって、ロッド31のロッド挿通孔22cへの係合または離脱を実行することが可能とされ、ロッド31とロッド挿通孔22cとソレノイド30およびバネ32は、シャッタ22をロック状態(閉鎖状態)にするシャッタロック手段71を構成している。また、ロックキー39(ロック部材移動手段)によって、ロックプレート38の係合孔22bへの係合または離脱を実行することが可能とされ、ロックプレート38と係合孔22bとロックキー39は、シャッタ22の閉鎖状態を解除する閉鎖状態解除手段72を構成している。
【0075】
シャッタロック手段71の作動および非作動は、カセット制御部65(第2制御手段)により制御される。また、カード・カセット装置20の本体部10への装着時には、本体制御部61(第1制御手段)およびカセット制御部65がデータラインBDL、CDLを介して電気的に接続され、本体制御部61およびカセット制御部65が通信可能な状態となる。さらに、カード・カセット装置20には、カード・カセット装置20に固有の識別情報(カセット識別情報)を保持するデータ保持部68(カセット識別情報保持手段)が設けられている。そして、カード・カセット装置20の本体部10への装着時には、本体制御部61が、データラインBDL、CDLを介してカセット制御部65との通信を開始してデータ保持部68に保持された識別情報に基づいて装着状態にあるカード・カセット装置20の適合性を認証し、当該認証が正常に実行された場合にのみシャッタロック手段71を非作動とする指令をカセット制御部65に送出する。これにより、シャッタロック手段71が非作動状態となり、シャッタ22の閉鎖状態を解除する閉鎖状態解除手段72を操作することによって、シャッタ22が開放状態となり、カードの払い出しが可能となる。
【0076】
このため、カード・カセット装置20が非装着状態においてカード出口2
7aを開放する術をなくすことができる。したがって、簡単な構成で、従来のカード・カセット装置よりも高いセキュリティ・レベルを実現することができる。
【0077】
また、カード・カセット装置20の適合性を認証できない場合には、シャッタロック手段71が作動状態を維持するので、非適合なカード・カセット装置20の使用を防止できる。したがって、本体部10に適合したカード・カセット装置20のみを装着して使用ことが可能となる。
【0078】
(変形例)
上述した実施形態は、本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施形態において、ガイドプレート33を移動する手段として、ソレノイド30が使用されているが、これに限定されない。例えば電動モータ等を使用してもよい。また、プルアップ回路66に換えてプルダウン回路を使用することもできる。
【0079】
また、
図11に示したカード・カセット装置20の構成要素群やそれらの形状も、本発明の一実施形態を示したものであり、これらとは異なる構成要素を使用してもよいし、それらの形状も変更が可能であることは言うまでもない。