(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ワイヤレス電源は、複数の遠隔装置に電力を伝送するように構成され、前記通信回路は、前記遠隔装置の各々に前記タイムスロットのうちの一つを割り当てるように構成される請求項1に記載のワイヤレス電源。
前記情報は、各々が前記タイムスロットのうちの一つの状態を表す複数のビットフィールドを有し、前記状態は、前記タイムスロットの各々が割り当てられたものであるかオープンであるかを識別する請求項1に記載のワイヤレス電源。
前記通信回路は、前記タイムスロットのうちの一つにおける前記少なくとも一つの遠隔装置からの情報の受信に応答して前記タイムスロットのうちの前記一つの状態を変更するように構成される請求項3に記載のワイヤレス電源。
前記通信回路は、前記少なくとも一つの遠隔装置に割り当てられたタイムスロットにおいて受信したメッセージに応答して電力の第1の特性を調整するように構成される請求項1に記載のワイヤレス電源。
前記電力の第1の特性及び第2の特性は、動作周波数、共振周波数、レール電圧及び位相のうちの少なくとも一つを有し、前記電力の第2の特性は、前記電力の第1の特性とは異なる請求項7に記載のワイヤレス電源。
前記受信することは、前記タイムスロットのうちの一つにおいて前記メッセージを前記遠隔装置から受信することを有し、前記遠隔装置を前記タイムスロットのうちの一つに関連させることを更に備える請求項9に記載の方法。
前記ワイヤレス電源において、前記タイムスロットのうちの他の一つにおいて第2のメッセージを他の遠隔装置から受信することと、前記他の遠隔装置を前記タイムスロットのうちの他の一つに関連させることと、を更に備える請求項10に記載の方法。
電力を周期的に供給することと、前記少なくとも一つの遠隔装置が前記ワイヤレス電源の結合領域に存在しないことの決定に応答してシャットダウンを行うことと、を更に備える請求項9に記載の方法。
受信した電力の低減、前記ワイヤレス電力受信器のインピーダンスの再構成、整流回路の再構成及び前記遠隔装置のQを変化させることのうちの少なくとも一つによって受信した電力を調整するように構成される調整回路を更に備える請求項20に記載の遠隔装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、電力を供給するとともに一つ以上の遠隔装置と通信を行うのに適合したワイヤレス電源に関する。本発明のシステム及び方法は、一般的には、ある装置から伝送された情報が他の装置の情報に重なり合わず、データ衝突及び情報が検出されずにいることを防止するのを保証することができる通信タイミングシステムに関する。複数装置システムの潜在的な通信問題を対処又は回避するように送信される情報によって、ワイヤレス電源は、効率的に無線電力を供給するよう動作を制御することができる。例えば、本発明は、遠隔装置を識別し、ワイヤレス電源制御パラメータを提供し、又はワイヤレス電源に関連するリアルタイムの情報(例えば、電流、電圧、温度、バッテリ状態、充電状態及び遠隔装置状態)を提供する信号のようなワイヤレス電力伝送システムの動作に関連する制御信号を受信するためのワイヤレス電源の能力を維持することができる。他の例として、本発明は、カレンダー及びやることリストの同期又はファイル(例えば、2〜3例を挙げると、オーディオファイル、動画ファイル、画像ファイル、スプレッドシートファイル、データベースファイル、ワード処理ファイル及びアプリケーションファイル)の転送を含む遠隔装置の特徴に関連した転送情報のようなワイヤレス電力伝送システムに関連しないデータの転送に関連する情報を受信するためのワイヤレス電源の能力を維持することができる。
【0025】
本発明の一実施の形態によるワイヤレス電源10及び一つ以上の遠隔装置12を、
図1〜3に示す。ワイヤレス電源10は、一般的に、適応制御システム14と、通信システム22と、ワイヤレス電力送信器30と、を有する。通信システム22は、ワイヤレス電力送信器30に印加される電力を変調することによって一つ以上の遠隔装置12に対する通信を行うように構成される。通信システム22は、遠隔装置12が同時に通信を試みるのを回避するためにワイヤレス電源10に戻る応答に利用できる一連のタイムスロットを示すことができる。制御システム14を、特に、伝送効率を向上させるとともに遠隔装置12に供給される電力量を制御するために動作特性を調整するように構成することができる。例えば、制御システム14は、通信システム22から情報を受信し、受信した情報に基づいて動作特性を調整することができる。
【0027】
本発明の一実施の形態を、
図1〜3を参照しながら説明する。
図1〜3の実施の形態のワイヤレス電源10は、一般的には、電源18と、信号生成回路20と、ワイヤレス電力送信器16と、通信システム22と、適応制御システム14と、を有する。本実施の形態において、通信システム22を適応制御回路14に統合しているが、他の実施の形態において、両方を個別の回路又は素子として実現することができる。本実施の形態の電源18を、交流入力(例えば、壁面コンセント)をワイヤレス電力送信器16の駆動に適した適切な直流出力に変換する通常の電源とすることができる。代案として、電源18を、電力をワイヤレス電力送信器16に供給するのに適した直流電源とすることができる。本実施の形態において、電源18は、一般的には、整流器24と、DC−DCコンバータ26と、を有する。整流器24及びDC−DCコンバータ26は、電源信号用の適切な直流電力を供給する。電源18は、入力電力を信号生成回路20によって用いられる形態に変換することができる本質的にあらゆる回路を代わりに有することができる。本実施の形態において、適応制御システム14は、レール電圧以外の動作パラメータを調整するように構成される。したがって、DC−DCコンバータ26は、固定出力を有することができる。適応制御システム14は、さらに又は代わりに、レール電圧又は(後に詳細に説明する)スイッチング回路の位相を調整する能力を有することができる。レール電圧を変化させることによって動作パラメータを調整するのが望ましい他の実施の形態において、DC−DCコンバータ26は、可変出力を有することができる。
図1に示すように、適応制御システム14を、適応制御システム14がDC−DCコンバータ26の出力を制御できるようにするために(破線で示すように)DC−DCコンバータ26に結合することができる。
【0028】
本実施の形態において、信号生成回路20は、入力信号を生成してワイヤレス電力送信器16に供給するように構成されたスイッチング回路を有する。スイッチング回路は、ワイヤレス電力送信器30を駆動するために電源18からの直流出力を交流出力に変換するインバータを形成することができる。スイッチング回路28は、アプリケーションによって異なることができる。例えば、スイッチング回路は、ハーフブリッジ接続形態又はフルブリッジ接続形態で配置されたMOSFETのような複数のスイッチを有することができる。
【0029】
本実施の形態において、電力送信器16は、直列共振タンク回路を形成するために配置された一次コイル32及びバラストコンデンサ34を有するタンク回路30と、再共振コイル(re-resonator coil)42及び再共振コンデンサ(re-resonator capacitor)41を有する再共振回路(re-resonator circuit)40と、を有する。本発明は、再共振回路40の使用に限定されるものではなく、再共振回路40を用いることなく代わりにタンク回路30を用いて電力を無線で伝送することができる。また、本発明は、直列共振タンク回路の使用に限定されるものではなく、他のタイプの共振タンク回路を用いることができ、整合キャパシタンス(matching capacitance)を用いることなく簡単なインダクタのような非共振タンク回路を用いることもできる。また、図示した実施の形態はコイルを有するが、ワイヤレス電源10は、適切な電磁界を生成することができる他のインダクタ又は送信器を有することができる。さらに、本発明は、再共振回路40の使用に限定されるものではなく、再共振回路40を有しなくてもよい。また、タンク回路30は、再共振回路40を用いることなく電力を送信することができる。
【0030】
本実施の形態において、通信回路22は、(a)情報を送信するためにワイヤレス電力送信器16からの電力供給の変調を行い、(b)情報を受信するために一つ以上の遠隔装置12から電磁界を介して戻されるワイヤレス電力送信器16での変調を検知することができる。ここで説明する通信システム22は例示である。本発明を、誘導性電力リンク上で情報を受信することができる本質的にあらゆるシステム及び方法を用いて実現することができる。(種々の別の回路を有する)適切な通信システム及びトランシーバ並びに種々の別の通信方法は、Matthew J.Norconk等による2011年1月24日に出願された表題が無線電力リンク上でのデータ通信を検出するシステム及び方法(SYSTEM AND METHODS FOR DETECTING DATA COMMUNICATION OVER A WIRELESS POWER LINK)である米国特許出願公開第13/012,000号明細書、Matthew J.Norconk等による2012年2月6日に出願された表題がワイヤレス電力伝送システムで情報を提供するシステム及び方法(SYSTEM AND METHOD OF PROVIDING COMMUNICATIONS IN A WIRELESS POWER TRANSFER SYSTEM)である米国特許出願公開第13/425,841号明細書及びJoshua B.Taylor等による2012年3月21日に出願された表題がワイヤレス電源システムで向上した制御を行うシステム及び方法(SYSTEM AND METHOD FOR IMPROVED CONTROL IN WIRELESS POWER SUPPLY SYSTEMS)である米国特許出願公開第13/425,841号明細書に記載されており、これらの全ては、参照により全体がここに組み込まれる。
【0031】
通信システム22を、遠隔装置12からの反射インピーダンスによって影響が及ぼされる電流、電圧及び/又は他の任意の特性のようなタンク回路30の電力の一つ以上の特性を表す信号の検出を行うことができるようにするためにタンク回路30に結合することができる。一実施の形態において、通信システム22は、タンク回路の電流の大きさに対応する信号を供給するためにタンク回路30に結合した(図示しない)電流センストランス(current sense transformer)を有する。図示しないが、通信システム22は、センサによって生成された信号をフィルタリングし、処理し、かつ、誘導性電力リンク上に搬送されるデータを表す一連のハイ信号及びロー信号に変換する回路を有することができる。
【0032】
通信システム22は、一つ以上の遠隔装置12との通信を行うためにワイヤレス電力送信器16に供給される電力供給の変調を行うこともできる。この変調を、動作周波数、共振周波数、レール電圧、デューティサイクル、(例えば、フルブリッジ接続形態の場合における)位相、(例えば、
図10の例に対して示す)逆相接続形態、又は、電力信号が追加の通信信号の搬送波である位相偏移変調通信接続形態の変調を含む種々の方法によって達成することができる。
【0033】
一般的に上述した通信システム22を、種々の異なる実施の形態で実現することができる。例えば、通信システム22は、実施の形態で実現される変調/復調のタイプに応じて及び/又は電源回路の詳細に応じて実施の形態によって異なることができる。さらに、各変調/復調形態を、種々の異なる回路を用いて実現することができる。一般的に言えば、通信システム22は、反射インピーダンスによって送信されるデータによって影響が及ぼされる電源の電力の特性に応じてデータを復調するとともにワイヤレス電力送信器16から供給された電力の特性に影響を及ぼすことによってデータを変調するように構成される。
【0034】
適応制御システム14は、特に、ワイヤレス電力送信器16に対する所望の電源信号を生成するためにスイッチング回路を操作するように構成される部分を有する。適応制御システム14は、通信システム22を介して遠隔装置12から受信した情報に基づいてスイッチング回路28を制御することができる。本実施の形態の適応制御システム14は、スイッチング回路28のタイミングの制御並びに通信信号の抽出及び解析を行うための通信システム22への協力のような種々の機能を実行する制御回路を有する。これらの機能を、代わりに、個別のコントローラ又は他の専用回路によって処理することができる。
【0035】
本発明の一実施の形態による遠隔装置12を、
図1〜3,9に関連して更に詳しく説明する。遠隔装置12は、一般的には、携帯電話、メディアプレーヤ、携帯ラジオ、カメラ、懐中電灯又は本質的に他のあらゆる携帯電子機器のような通常の電子機器を有することができる。遠隔装置12は、バッテリ、コンデンサ又は超コンデンサのような電気エネルギー蓄積装置を有することができ、又は、遠隔装置12は、電気エネルギー蓄積装置なしで動作することができる。遠隔装置12の主要動作に関連する(とともに無線電力伝送に関連しない)素子は、一般的には従来のものであり、したがって、詳細に説明しない。代わりに、遠隔装置12の主要動作に関連した素子を、一般的には主要負荷(principle load)50と称する。例えば、携帯電話との関連では、携帯電話それ自体に関連した電子素子を説明する努力を全くしない。
【0036】
本実施の形態の遠隔装置12は、一般的には、ワイヤレス受信器70と、整流回路54と、二次通信用トランシーバ56(secondary communications transceiver)56と、主要負荷50と、を有する。ワイヤレス受信器70は、二次コイル62及び二次タンクコンデンサ61を有する二次タンク回路60と、二次再共振コイル68及び二次再共振コンデンサ67を有する二次再共振回路66と、を有することができる。
図1の図示した実施の形態において、二次再共振回路66を、整流回路54から電気的に絶縁するが、
図2及び
図3の図示した実施の形態のような他の実施の形態において、二次再共振回路66を、遠隔装置の整流回路又は他の回路に結合することができる。この結合によって、遠隔装置12は、後に詳細に説明するように無線で受信した電力量を制御するのに用いることができる再共振回路66のQに影響を及ぼすことができる。本発明は、二次再共振回路66の使用に限定されるものではなく、二次再共振回路66を有しなくてもよい。さらに、二次再共振回路66を用いて電力を無線で受信する代わりに、本発明は、二次再共振回路66なしで二次タンク回路60を介して電力を受信することができる。
【0037】
本発明は、直列共振タンク回路の使用に限定されるものではなく、他のタイプの共振タンク回路を用いることができ、整合キャパシタンスを用いることなく簡単なインダクタのような非共振タンク回路を用いることもできることに留意されたい。また、図示した実施の形態はコイルを有するが、遠隔装置12は、場を介して電力を受信するとともにワイヤレス電源10によって生成した電磁界の変化に応答して電力を生成することができる別のインダクタ又は受信器を有することができる。
【0038】
整流回路54及び調整回路52は、ワイヤレス電力受信器70で生成した交流電力を、負荷50の動作用の電力に変換する。調整回路52は、例えば、直流電力の変換及び直流電力の調整が望ましいこれらの実施の形態においてDC−DCコンバータを有することができる。交流電力が遠隔装置12で所望される用途において、整流器54は必須でなくてもよい。
【0039】
本実施の形態の二次通信用トランシーバ56は、ワイヤレス電源10を有する無線電力リンクを介して情報を変調及び復調するように適合された回路を有する。通信を検出するために、二次通信用トランシーバ56は、ピーク検出器、二乗平均平方根(RMS)検出器、周波数検出器及び位相偏移変調(PSK)復調器の一つ以上を用いることができる。
【0040】
ワイヤレス電源10への情報の送信に関しては、二次通信用トランシーバ56は、後方散乱変調形態を用いて電力信号でのデータ通信を形成するために電力の負荷特性を選択的に変調することができる。例えば、二次通信用トランシーバ56は、振幅変調を用いて電力信号でのデータ通信を形成するために通信負荷を適用することができ、又は、遠隔装置12の全体の負荷又は品質係数(Q係数)を制御することができる。操作中、二次通信用トランシーバ56を、所望のデータ送信を形成するために適切なタイミングで通信負荷をワイヤレス電力受信器70に選択的に結合するように構成することができる。
【0041】
図9の図示した実施の形態において、遠隔装置112は、幾つかを例外として本実施の形態の遠隔装置12と同様である。ワイヤレス電力受信器170は、誘導性電力リンクを介して情報を送信するように選択的に変調することができる二次タンク回路160及び二次再共振回路166において通信負荷163,165を有する。遠隔装置112は、情報を送信するために選択的に変調されることができる通信負荷170も有することができる。
【0042】
通信負荷163,165,170を、スイッチ164,167,171を介して遠隔装置12の全体のインピーダンスを選択的に変化させることができる抵抗又は他の回路素子とすることができる。例えば、抵抗の代わりとして、通信負荷163,165,170を、(図示しない)コンデンサ又はインダクタとすることができる。図示した実施の形態は三つの通信負荷163,165,170を示すが、単一の通信負荷又は三つより多い若しくは三つより少ない通信負荷を用いることができる。例えば、システムは、参照により全体をここに組み込む2010年1月5日に出願された表題が動的負荷を有する誘導性リンクに亘る通信(COMMUNICATION ACROSS AN INDUCTIVE LINK WITH A DYNAMIC LOAD)である米国特許出願公開第12/652,061号明細書の実施の形態による動的負荷通信システムを組み込むことができる。通信負荷163,165,170を専用の回路素子(例えば、専用の抵抗、インダクタ又はコンデンサ)とすることができるが、通信負荷163,165,170を専用の素子にする必要はない。例えば、一部の用途において、通信を、主要負荷50又は主要負荷50の一部を切り替える(toggling)ことによって形成することができる。通信負荷163,165,170を、遠隔装置12のインピーダンスの所望の変化を生成することができる本質的にあらゆる位置に配置することができる。
【0043】
上述したように、図示した実施の形態のワイヤレス電源10及び遠隔装置12は、誘導性電力リンク上で通信を行うように構成される。本実施の形態において、ワイヤレス電源10及び遠隔装置12は、電源信号の上にデジタル通信を形成するための変調によって通信を行う。図示した実施の形態において、遠隔装置12は、抵抗を回路に変調することによって負荷を変化させる。図示した実施の形態は、通信を形成するために通信用抵抗を用いるが、通信負荷12は、例えば、反射インピーダンスを介してワイヤレス電源10に反射して戻される通信信号を形成するために負荷を十分な大きさで変化させることができる通信用コンデンサ又は他の内部回路素子を適用することによって、他の方法で負荷を形成することができる。ワイヤレス電源10及び遠隔装置12を、本質的にあらゆるデータ符号化形態を用いて通信を行うように構成することができる。
【0045】
本発明の方法を、主に、通信システム22が一つ以上の遠隔装置12と通信を行う実施の形態に関連して説明する。
【0046】
一般的に言えば、ワイヤレス電源10は、オープン通信タイムスロット、クローズタイムスロット及び他のアプリケーション情報を含むタイミング情報を提供するために同期信号を用いる。遠隔装置12は、いつどのようにワイヤレス電源10に情報を戻すかを決定するためにこの情報を用いることができる。このようにして、遠隔装置12は、同時に通信を行うことを回避し、潜在的なデータ衝突及びデータ損失を防止する。例えば、一度同期信号を受信すると、遠隔装置は、どのタイムスロットで通信を行うかを任意に選択することができる。遠隔装置が、そのタイムスロットが適切に割り当てられたことを決定する場合、遠隔装置は、電力が取り除かれるまで又はワイヤレス電源10がこのスロットを再割り当てするまで当該タイムスロット中に通信を行うことができる。
【0047】
ワイヤレス電源10の通信及び電力伝送を制御する方法の一実施の形態を、
図4のプロセス200並び
図7及び
図8のタイミング図を参照しながら説明する。プロセスは、主に、電力を印加するステップと、同期パケットを送信するステップと、装置を待機するステップと、スロットを割り当てるステップと、無線電力を制御するステップと、装置が存在しない場合にシャットダウンするステップと、特殊な(non-standard)装置に対する電力制御方法に切り替えるステップと、を有する。これらのステップの順序及び範囲は、ワイヤレス電源システムのアプリケーション及び形態に応じて異なることができ、上記方法の一部の実施の形態は、省略されたステップ、追加したステップ及びその組合せを有することができる。
【0048】
通信及び電力伝送を制御するために、ワイヤレス電源10は、通信を行うことなく比較的短い期間中に電力をワイヤレス電力送信器16に印加し、その後、それ自体についての特性を識別するとともにオープンタイムパケット又は割り当てられたタイムパケットの数をリストする同期通信パケットを送信することができる。ステップ202及び204。本実施の形態の同期通信パケットは、エッジすなわち遷移の存在又は不存在がパケットの論理値を表す二相符号化パケットである。変調を用いて誘導性電力リンク上で情報を送信するために任意の符号化形態を用いることができること及び本発明は二相符号化に限定されないことを理解すべきである。むしろ、二相符号化通信パケットを、開示のためにここで説明する。
【0049】
同期通信パケットは、存在するあらゆる遠隔装置12に通信の開始を信号で伝える同期パルス(本実施の形態では、論理1)を有することができ、そして、オープンタイムスロット及び割り当てられたタイムスロットのリスト化が続く。同期パルス及び通信のタイミングを、本実施の形態では、周波数に依存する持続的な512サイクルの搬送波とすることができる。一例として、搬送周波数が100kHzである場合、同期パルスの持続時間は約5msであり、搬送周波数が200kHzである場合、同期パルスの持続時間は約2.5msである。代わりに、同期パルス及び通信のタイミングを、周波数に依存しない予め決定された時間長とすることができる。本実施の形態では、通信が誘導性電力リンク上で変調されるので、搬送周波数は、ワイヤレス電源10の動作周波数である。オープンタイムスロット及び割り当てられたタイムスロットのタイミングは、同期パルスと同様である。
【0050】
本実施の形態において、ワイヤレス電源10は、通信のために遠隔装置12に対する四つの利用可能なスロットを有する。他の実施の形態において、更に多い又は更に少ないスロットが存在してもよいが、開示のために、方法200を、四つのタイムスロットに関連して説明する。本実施の形態のタイムスロットは、2kbbsで3バイトパケットを送信(22.5msの通信文字列(communication string))するように遠隔装置12に時間を許容するために各々が30msの持続時間である。この形態は、ワイヤレスパワーコンソーシアムのQi規格のようなワイヤレスプロトコル規格に適合するように(例えば、比例−積分−微分(PID)アルゴリズムを用いて)電力レベルを周期的に調整するためにワイヤレス電源10に時間を許容することができる。タイムスロットの持続時間及び電力制御アルゴリズムを、アプリケーションによって変えることができる。
【0051】
四つのタイムスロットの各々に対して、ワイヤレス電源10から送信される同期通信パケットのビットフィールドは、タイムスロットがオープンであるか割り当てられているかを表す。例えば、タイムスロットに対するビットフィールドが0である場合、当該タイムスロットは割り当てられており、ビットフィールドが1である場合、当該タイムスロットは利用可能である。四つのタイムスロット及び同期パルスを用いることによって、本実施の形態の同期通信パケットは、100kHzの搬送波を用いる約25.6msの持続時間である。
【0052】
一度、ワイヤレス電源10が、同期パルス及びタイムスロットの状態を含む同期通信パケットの送信を完了すると、ワイヤレス電源10は、各タイムスロットが生じるときに遠隔装置12に対する識別を行うために一定レベルで電力信号を変調することができる。ステップ206。例えば、
図7及び
図8の図示した実施の形態に示すように、誘導性電力リンク上の変調は、スロット1の開始に対するハイからローへの遷移及びその後のスロット1の終了及びスロット2の開始を表すためのローからハイへの遷移を表すことができる。各タイムスロットが生じるときを識別するために用いられる変調技術を、通信パケットに用いられる変調技術と同一にすることができ、又は異なる変調技術とすることができる。例えば、同期通信パケットを、周波数変調を用いて誘導性電力リンク上で変調することができ、それに対し、各タイムスロットの識別を、振幅変動を用いて変調でき、その両方を、遠隔装置12が復号することができる。
【0053】
本実施の形態において、一つ以上の遠隔装置12は、選択したタイムスロット中に通信を送信器に戻すことができ、ワイヤレス電源10は、各タイムスロット中に通信を待機することができる。
【0054】
有効な通信をタイムスロット中に受信しない場合、ワイヤレス電源10は、次のタイムスロットに進むことができる。ステップ208,212及び206。各タイムスロットをパスした後、通信をタイムスロットのいずれの間にも受信しない場合、ワイヤレス電源10は、遠隔装置12の存在を探し、プロセスを再開する前に所定の期間中に電源をオフにする。ステップ212,214及び218。このようにして、装置が存在しないとき、ワイヤレス電源10は、電力消費を低減するためにワイヤレス電力送信器16に対する電力をオフに切り替えるとともに所定の間隔で少量の電力を印加する。
【0055】
代わりに、ワイヤレス電源10は、例えば、遠隔装置12が存在するがデータパケット衝突により遠隔装置12がワイヤレス電源10と通信するのを妨害される場合に電力伝送を開始することを複数回試みることができる。ワイヤレス電源10を、有効でないデータパケットを検出するように構成することができ、ワイヤレス電源10は、予め決定されたサイクル数の間に電力伝送の開始を再び試みることができ又は通信パケット−有効又は有効でない−がないことが検出されるまで電力伝送の試み及び開始を継続することができる。
【0056】
通信をタイムスロット中に受信し、通信が情報の特殊な(non-standard)パケットである場合、ワイヤレス電源10は、単一の特殊な遠隔装置12に対する制御電力方法に切り替えることができる。しかしながら、ワイヤレス電源10が、特殊な遠隔装置12に加えて標準的な又は特殊な複数の遠隔装置12が存在することを検出した場合、ワイヤレス電源10は、シャットダウンするとともにユーザに警告を行うことができる。ステップ222及び224。複数の遠隔装置が存在し、そのうちの一つが特殊なものである場合にシャットダウンを行うことによって、データ衝突及び無線電力の不正確な供給によるあり得る損傷を防止することができる。
【0057】
通信をタイムスロット中に受信し、通信が情報の標準的なパケットである場合、電源は、通信パケットが送信された遠隔装置12に当該タイムスロットを割り当てる情報を用いることができる。ステップ208,210及び212。ワイヤレス電源10は、あらゆる有効な通信を格納し、全てのタイムスロットが完了されるまで継続することができる。ステップ212。
【0058】
一度、ワイヤレス電源がタイムスロットの割当てを完了すると、ワイヤレス電源は、電力を調整し、同一の電力を維持し又は遠隔装置12が存在しない場合に電源を切るために遠隔装置12について収集した情報を用いることができる。ステップ214,216及び218。一つの遠隔装置12又は遠隔装置12のセットを識別した場合、どのようにして電力を調整する必要があるか又は電力を維持する必要があるか否かを決定することができる。一実施の形態において、そのような決定を、一つ以上の遠隔装置12から受信した通信パケットに基づいて行うことができる。例えば、一つ以上の遠隔装置12からの通信パケットは、電力を維持する又は電力を調整する要求に関する情報を提供する制御誤差パケット(control error packet)(CEP)を有することができる。一つ以上の遠隔装置からの通信パケットがCEPを有さなくてもよいことを理解すべきである。
【0059】
一つの遠隔装置12を識別した場合、ワイヤレス電源は、当該装置の要求に従って電力を調整することができる。ステップ216。ワイヤレス電源10は、動作周波数、共振周波数、レール電圧、デューティサイクル又は(ワイヤレス電源10がフルブリッジ駆動接続形態を用いる場合の)位相切替を変化させることによって電力を調整することができるが、データの破損を減少し又は混乱を防止するために通信方法とは異なる電力調整手法を用いることができる。電力を調整した後、ワイヤレス電源10は、どのタイムスロットが遠隔装置12に戻されるかについての情報及びどのタイムスロットがまだ利用できるかについての情報を遠隔装置12に送信することができる。ステップ204。更に具体的に言うと、ワイヤレス電源10は、遠隔装置12に送信されたタイムスロットが遠隔装置12に割り当てられたことを遠隔装置12に表示することができる。この表示を、次の同期通信パケットにおいて割り当てられたタイムスロットに関連したビットフィールドを切り替えることによって成し遂げることができる。
【0060】
一つを超える遠隔装置12が存在する場合、ワイヤレス電源10は、遠隔装置12の要求に適合するように電力を調整すべきか否か決定することができる。ステップ216。例えば、二つの遠隔装置12が存在し、両方の装置12が更に少ない電力を要求する場合、ワイヤレス電源10は、印加する電力を低減することができる。両方の装置12が適切な電圧レベルである場合、ワイヤレス電源10は、供給する電圧レベルを維持することができる。また、遠隔装置12のいずれかが更に大きい電力を要求する場合、ワイヤレス電源10は、両方の装置が十分な電力を有することを保証するために印加される電力を増大することができる。上述した遠隔装置12の例と同様にして、電力が調整された後、適切である場合、ワイヤレス電源10は、どのタイムスロットが遠隔装置12に戻されるかについての情報及びどのタイムスロットがまだ利用できるかについての情報を遠隔装置12に送信することができる。
【0061】
本実施の形態の遠隔装置12は、電力要求をワイヤレス電源10に伝送することができ、本実施の形態の遠隔装置12を、ワイヤレス電源10が更なる電力を他の遠隔装置12に供給する場合に要求される電力より大きい電力を許容するように構成することができる。遠隔装置12は、受信する電圧を減少するための調整回路52の使用、ワイヤレス電力受信器70のインピーダンスの再構成、又は、整流器54の再構成又は電力を低減するためにワイヤレス電源10を要求することなく所望の電圧に到達するためにQを変化させることを含む、要求した電力より大きい電力を遠隔装置12が受信した場合に電力を調整するように、調整を行うことができる。
【0062】
遠隔装置12からワイヤレス電源10への伝送を行う方法に注意を向けると、プロセス300,400及び500を、
図5及び
図6を参照して説明する。プロセスは、主に、ワイヤレス電源10のタイプを決定するステップと、通信するためのオープンスロットを探すステップと、ワイヤレス電源10からの確認をチェックするステップと、他の遠隔装置12が存在するか否かを決定するステップと、ワイヤレス電源10が適切に応答しているか否かを決定するステップと、ワイヤレス電源10がまだ存在を確認していることを保証するためにチェックを行うステップと、を有する。これらのステップの順序及び範囲は、ワイヤレス電源システムのアプリケーション及び形態に応じて異なることができ、上記方法の一部の実施の形態は、省略されたステップ、追加したステップ及びその組合せを有することができる。
【0063】
ワイヤレス電源10との通信を行うために、遠隔装置12は、先ず、ワイヤレス電力受信器70を介した電力の受信を待機する。ステップ302。遠隔装置12が無線電力リンク上の変調情報又は同期通信パケットを検出し損ねて、無線電力がまだ供給されている場合、遠隔装置12は、ワイヤレス電源10が一方向通信を受信するかのように動作することができる。ステップ204,322及び324。この形態において、例えば、遠隔装置12は、データ衝突を考察することなく更に大きい又は更に小さい電力の要求のような情報を送信することができる。
【0064】
遠隔装置12が無線電力リンク上の変調情報を検出する場合、遠隔装置12は、同期通信パケットを待機し又は同期通信パケットを要求することができる。ステップ306,307及び309。遠隔装置12を、一部の実施の形態において同期通信パケットを要求する(ステップ309)のではなく待機する(ステップ308)ように構成することができる。遠隔装置12が同期通信パケットを要求するように構成された実施の形態において、遠隔装置12が、ここで説明する方法を用いて通信を行うことができるワイヤレス電源10を検出した場合、遠隔装置12は、そのような要求を伝送することができる。ステップ309。一度、同期通信パケットが検出されると、遠隔装置12は、遠隔装置12が伝送することができる利用できるタイムスロットを探すことができる。ステップ310。スロットが利用できない場合、遠隔装置12は、スロットが利用できるようになるまで通信チャネルを監視続けることができる。ステップ310,306。しかしながら、一つ以上のスロットが利用できる場合、遠隔装置12は、伝送するスロットを任意に選択することができる。ステップ312。任意の選択を、各々が同様に構成された複数の遠隔装置12が連続して同一スロットを同時に選択するのを防止するために実行することができる。
【0065】
図7に示すようなワイヤレス電源10からの変調に基づいて、遠隔装置は、選択したスロットが通信のシーケンスで開始されたことの表示を待機し、その後、当該スロット中に無線電力リンク上の変調を用いてワイヤレス電源10に情報を送信する。それに対し、ワイヤレス電源10から受信した次の同期通信パケットが、選択したスロットが占有されていないことを表示する場合、遠隔装置12は、通信のための他のスロットを選択し、次の同期通信パケットにおける選択したスロットの状態の変化を再び探す。ステップ312及び314。これらのステップを、確認を遠隔装置から受信するまで無制限に繰り返すことができ、又は、遠隔装置12が試みを止めるとともに可能な場合にはエラー表示をユーザに提供する前に有限回数繰り返すことができる。それに対し、ワイヤレス電源10から受信した次の同期通信パケットが、選択したスロットが占有されていることを表示する場合、遠隔装置12は、ワイヤレス電源10が選択したスロットを遠隔装置12に関連させたというワイヤレス電源10からの確認として選択したスロットの状態の変化を理解することができる。ステップ312及び314。
【0066】
次に、遠隔装置12は、遠隔装置12が無線電力を供給される唯一の装置であるか又は遠隔装置12それ自体に加えて更に多くの遠隔装置12がシステムに存在するかを決定するために同期通信パケットを再検討することができる。遠隔装置12が唯一の装置である場合、遠隔装置12は、単一装置電力制御ステップ500に従って電力の受信を開始することができる。しかしながら、遠隔装置12が、電力を受信する多数の遠隔装置12の一つである場合、遠隔装置12は、複数装置電力制御ステップ400に従って電力の受信を開始することができる。ステップ316。
【0067】
他の遠隔装置が電力を受信するものと認定されない場合に遠隔装置12で電力を受信するステップ500を、
図6の図示した実施の形態で更に詳細に示す。遠隔装置12は、割り当てられたタイムスロット中に制御誤差パケット(CEP)をワイヤレス電源10に伝送することができる。ステップ350及び352。CEPは、どれだけの量の電力を遠隔装置12が所望するかについての情報を有することができる。当該情報をCPEに加えて送信することもでき、又は、当該情報をCPEなしで送信することができる。遠隔装置12が、電力の変化の要求に応答した電力調整を検出する場合、ワイヤレス電源10がその要求を受信し、通信が確立されたままであると仮定すれば、遠隔装置12は、次の同期通信パケットを待機することができる。ステップ354及び360。一度、次の同期通信パケットを受信すると、遠隔装置12は、割り当てられたスロットの数に基づいて、単一装置電力制御(ステップ350)に従う電力受信ステップを繰り返すか複数装置電力制御ステップ400に切り替えるかを決定することができる。次の同期通信パケットが、実際には割り当てられていないが割り当てられていると遠隔装置12が確信するタイムスロットを表す場合、遠隔装置12は、上述したステップ306で開始する通信のためのタイムスロットの割当てを開始することができる。ステップ316及び306。
【0068】
ステップ354において、遠隔装置12が、逆の要求にもかかわらず電力が調整されなかったことを検出する場合、遠隔装置12は、割り当てられたタイムスロットにおいて送信された情報がワイヤレス電源10によって受信されていないと決定することができる。この決定に基づいて、遠隔装置12は、上述したステップ306で開始する通信のためのタイムスロットの割当てを開始することができる。ステップ354及び306。
【0069】
他の遠隔装置12とともに遠隔装置12で電力を受信するステップ400を、
図6の図示した実施の形態で更に詳細に示す。遠隔装置12は、割り当てられたタイムスロット中にCEPをワイヤレス電源10に送信することができる。ステップ340及び342。上述したように、通信パケットは、CEP以外の追加の情報を有することもでき、又は、CEPのない情報を有することができる。図示した実施の形態において、遠隔装置12が、電力を低減する要求を送信する場合、遠隔装置12は、ここで説明するステップ500の方法と同様に次の同期通信パケットを待機することができる。ステップ344及び360。本実施の形態の遠隔装置12を必要以上の電力を許容するように構成することができるので、遠隔装置12は、電力を低減する要求に応答して電力が低減されない場合には追加のステップを要しなくてもよい。他の実施の形態において、遠隔装置12は、そのような要求に応答して電力が低減されない場合に通信のためのタイムスロットの割当てを開始するか否かを決定することができる。遠隔装置12が、電力を変化させることを要求しなかった場合、又は、ワイヤレス電源10に送信される通信パケットがCEPを有しない場合、遠隔装置は、次の同期通信パケットを待機することができる。ステップ360。
【0070】
本実施の形態において、遠隔装置12が、電力を増大する要求を送信するが要求のように電力が増大しなかったことを決定する場合、遠隔装置12は、送信された情報が割り当てられたタイムスロットにおいてワイヤレスによって受信されていないと決定することができる。ステップ346及び348。この決定に基づいて、遠隔装置12は、上述したステップ306で開始する通信のためのタイムスロットの割当てを開始することができる。ステップ348及び306。しかしながら、遠隔装置12が、電力を増大する要求に応答した電力の増大を検出する場合、ワイヤレス電源10がその要求を受信するとともに通信が確立されたままであると仮定すると、遠隔装置12は次の同期通信パケットを待機する。ステップ348及び360。一度、次の同期通信パケットを受信すると、遠隔装置12は、タイムスロットの状態に基づいて、複数装置電力制御(ステップ340)に従う電力受信ステップを繰り返すか単一装置電力制御ステップ500に切り替えるかを決定することができる。次の同期通信パケットが、実際には割り当てられていないが割り当てられていると遠隔装置12が確信するタイムスロットを表す場合、遠隔装置12は、上述したステップ306で開始する通信のためのタイムスロットの割当てを開始することができる。ステップ316及び306。
【0072】
本発明の第2の実施の形態において、ワイヤレス電源及び遠隔装置のシステム及び方法は、幾つかを例外としてワイヤレス電源10及び遠隔装置12に関連してここで説明したものと同様である。第2の実施の形態は、本実施の形態のシステム及び方法と同様のシステム及び方法を使用することができ、どれくらいの数の遠隔装置が同一のワイヤレス電源10に配置されているかを検出するとともに検出した装置の個数に基づいて電力制御方法を変更するように構成された遠隔装置12を更に有することができる。
【0073】
本実施の形態において、遠隔装置12がタイムスロットを選択すると、遠隔装置12は、選択したタイムスロットが占有されたものとしてワイヤレス電源10によって認識されたか否かを決定するためにワイヤレス電源10からの次に来る同期通信パケットをチェックする。しかしながら、二つの遠隔装置12が、同一のタイムスロットを選択し、一方の遠隔装置12からの全通信パケットを受信することができるが他方の遠隔装置12からの全通信パケットを受信することができない場合、全パケットを送信することができない遠隔装置12は、ワイヤレス電源10がその情報を受信できたと仮定することができる。これは、二つの遠隔装置12が同時にワイヤレス電源10に配置されたときに生じうるが、一方の遠隔装置12は、更に近接することができ、又は、第2の遠隔装置12の変調器がデータの破損が生じるのに十分に電力信号に影響を及ぼさないようにするために負荷を更に高いレベルで変調する変調器を有することができる。
【0074】
ワイヤレス電源10が、遠隔装置12が受信したと仮定した通信パケットを逃す場合、遠隔装置12は、供給される電力が十分である間に動作することができるが、遠隔装置12は、電力を増大する要求を1次コイルに送信できないことがある。遠隔装置12が、ワイヤレス電源10が通信パケットを受信することができなかったと決定することができる場合、遠隔装置12は、どれだけの数の利用できるタイムスロットが残されているかを知るためにチェックを行い、利用できる場合には通信のための残りのタイムスロットのうちの一つを選択することができる。
【0075】
一つの割り当てられたタイムスロットのみを認識する同期通信パケットを送信するワイヤレス電源10に応答して、遠隔装置12は、遠隔装置12が更に大きい電力又は更に小さい電力を要求する場合に電力を調整するためにワイヤレス電源10を要求することができる。この第2の実施の形態において、ワイヤレス電源10が、要求されたときに電力を調整しない場合、遠隔装置12は、同一のタイムスロットを用いてワイヤレス電源10と通信を行う他の遠隔装置12が存在することがある事態に備えてタイムスロットを変更することができる。ワイヤレス電源10が、(a)新たなタイムスロットを認識し、(b)唯一の遠隔装置12が存在したままであることを表示し、かつ、(c)まだ電力を調整していない場合、遠隔装置12は、電源を切り、エラーメッセージを送信し、ユーザに警告を行い又はその組合せを行うよう決定することができる。
【0076】
複数の割り当てられたタイムスロットを認識するワイヤレス電源10に応答して、遠隔装置12は、ワイヤレス電源10からの要求に基づいて電力を低減しないときにそのタイムスロットを維持することができる。しかしながら、遠隔装置12は、ワイヤレス電源10が遠隔装置からの要求に基づいて電力を増大しない場合に新たなタイムスロットを探索することができる。新たなタイムスロットを見つけるとともに認識した後にワイヤレス電源が応答しない場合、遠隔装置12は、電源を切り、電力を低減する要求を継続し、エラーメッセージを送信し、ユーザに警告を行い、負荷に供給するように構成された最大電力を低減し、又は、其の組合せを行うことができる。
【0077】
他の実施の形態において、遠隔装置12は、複数の装置がワイヤレス電源10によって給電されることの決定に応答した電力の低減を要求しないことを決定することができる。この場合、遠隔装置12は、その存在を送信器に送信し続けることができるが、遠隔装置12が更に大きい電力を要求するまで電力のあらゆる変更を要求しなくてもよい。
【0079】
本発明の第3の実施の形態において、ワイヤレス電源及び遠隔装置のシステム及び方法は、幾つかを例外としてワイヤレス電源10及び遠隔装置12に関連してここで説明したものと同様である。第3の実施の形態は、本実施の形態のシステム及び方法と同様のシステム及び方法を使用することができ、遠隔装置12が電力消費を低減することを要求するように構成されたワイヤレス電源10を更に有することができる。ワイヤレス電源10は、所定の基準に適合した場合:(a)ワイヤレス電源10に対して利用できる最大電力に到達した場合、(b)ワイヤレス電源10が有効磁界内に異物が存在することを決定する場合、(c)他の遠隔装置12が場の電力を低減する緊急の要求を行う場合、又は、(d)ワイヤレス電源10がそれ自体の中の極端な温度状態を検出した場合に遠隔装置12がその消費を低減することを要求することができる。
【0081】
本発明の第4の実施の形態において、ワイヤレス電源及び遠隔装置のシステム及び方法は、幾つかを例外としてワイヤレス電源10及び遠隔装置12に関連してここで説明したものと同様である。第4の実施の形態は、本実施の形態のシステム及び方法と同様のシステム及び方法を使用することができ、形態に応じて(一つ以上の)変調素子のインピーダンスを変化させることができる遠隔装置12を更に有することができる。
【0082】
本実施の形態において、例えば、遠隔装置12が高い優先順位のメッセージを送信することを所望する場合、遠隔装置12は、他の遠隔装置12の変調器を圧倒する(overpower)のに十分大きい変調を生じる個別の又は追加の変調器を用いることができ、割り当てられたタイムスロットを待機するのではなくいずれかの時点で情報を送信するのを決定することができる。遠隔装置12が、給電される複数の遠隔装置12が存在し得るとともに遠隔装置12によって送信された通信パケットをワイヤレス電源10が受信することができなかったことを決定した場合、遠隔装置12は、ワイヤレス電源10が同期通信パケットを再送信することを要求することもできる。他の実施の形態において、遠隔装置12は、遠隔装置12がワイヤレス電源10に配置された場合又はシステムタイミングが不正確であることを遠隔装置12が決定した場合、新たな同期通信パケットを要求することができる。
【0084】
本発明の第5の実施の形態において、ワイヤレス電源及び遠隔装置のシステム及び方法は、幾つかを例外としてワイヤレス電源10及び遠隔装置12に関連してここで説明したものと同様である。本実施の形態において、特殊な装置(例えば、電力を受信及び制御することができる現在の通信形態を利用することができない遠隔装置12)を、検出し、かつ、特殊な装置によってサポートされる通信プロトコルを用いて給電する。
【0085】
ワイヤレス電源10を、無線電力を受信するとともに通信を行うことができるがワイヤレス電源10から情報を受信することができなくてもよい遠隔装置12を検出するように構成することができる。ワイヤレス電源10は、通信中に送信された識別情報を用いて、又は、割り当てられたタイムスロット中に通信パケットがワイヤレス電源10によって受信されないために、これらの遠隔装置12を検出することができる。この状況において、ワイヤレス電源10は、その同期通信パケット及びスロットタイミング情報の送信を停止し、かつ、存在する遠隔装置12に対する電力を簡単に調整することができる。
【0086】
「特殊な」装置であると判断することができる遠隔装置12を、異なるバージョン、又は、本発明の一つ以上の方法を用いてワイヤレス電源と通信を行うように構成されたここで説明する遠隔装置12の旧バージョンとすることができる。例えば、特殊な装置を、強結合状態(close coupled situations)に対してのみ構成することができ、それに対して、ワイヤレス電源10を、一つ以上の遠隔装置12に対して拡張範囲で電力を供給する再共振器(re-resonator)40によって構成することができる。
【0087】
一実施の形態において、共振コイルを有するアダプタを、特殊な遠隔装置12に追加することができ、これによって、情報をワイヤレス電源10に戻す間に拡張範囲で電力を受信することができる。しかしながら、この遠隔装置12は、双方向の情報(bi-directional communication)を受信できなくてもよく、複数の遠隔装置12が送信を試みるときにデータの損失が潜在的に生じる適切な時期での複数の通信パケットの送信を行うことができなくてもよい。
【0088】
この形態において、ワイヤレス電源10は、一つの特殊な遠隔装置12しかサポートすることができず、第2の遠隔装置12が配置される場合、それは、エラーメッセージを送信し、ユーザに警告を行い、電力を除去し、又は、その組合せを行う。他の実施の形態において、ワイヤレス電源10が一つ以上の標準的な遠隔装置12に電力を供給し、特殊な装置12がワイヤレス電力送信器16に近接して配置される場合、ワイヤレス電源10は、再度エラーメッセージを送信し、ユーザに警告を行い、電力を除去し、又は、その組合せを行うことができる。
【0090】
本発明の第6の実施の形態において、ワイヤレス電源及び遠隔装置のシステム及び方法は、幾つかを例外としてワイヤレス電源10及び遠隔装置12に関連してここで説明したものと同様である。第6の実施の形態は、第2の実施の形態のシステム及び方法と同様のシステム及び方法を使用することができ、どれくらいの数の遠隔装置が同一のワイヤレス電源10に近接して配置されているかを検出するとともに検出した装置の個数に基づいて電力制御方法を変更するように構成された遠隔装置を更に有することができる。
【0091】
本実施の形態において、通信方法は、遠隔装置からのインピーダンスの変化のメッセージを許容する。これは、特に、消散することができる又は許容できるレベルに調整することができる程度を超える場の強度を遠隔装置12が経験する環境を緩和するのに役立つことができる。この場合、遠隔装置12は、遠隔装置12が更に大きい電力を許容できないことを表す更に高い優先度のメッセージを送信することができる。この場合、ワイヤレス電源10は、他の遠隔装置12が更に大きい電力を要求する場合でも電力の増大を中止することができる。
【0092】
制御エラーメッセージに対する複数の優先度の段階が存在してもよい。最高の優先度を、「過電圧危険」又は装置を損傷させる潜在的に回復不能な状況を表す他のメッセージに関連させることができる。次に高い優先度を、「不足電圧危険」又は回復可能な状態を表す他のメッセージに関連させることができる。このような次に高い優先度の状況は、通信であるか給電であるに関係なく通常の能力より下の動作を遠隔装置が見るあらゆるときを含むことができる。3番目に高い優先度を、遠隔装置12が更に大きい電力を所望することを表す電力制御メッセージに関連させることができる。例えば、遠隔装置12は、バッテリがほとんど放電されて電力を即座に必要とする場合に電力要求に高い優先度を置くことができる。遠隔装置12が許容できる動作範囲内にあるときに送信される通常のメッセージを、標準的な優先度とすることができる。これらのメッセージを、優先度に関係なく同一のタイムスロットで同一の変調器によって送信することができる。メッセージの優先度を、データパケットの最初に表示することができる。
【0094】
本発明の第7の実施の形態において、ワイヤレス電源及び遠隔装置のシステム及び方法は、幾つかを例外としてワイヤレス電源10及び遠隔装置12に関連してここで説明したものと同様である。
図7に示す同期通信パケットを参照すると、この第7の実施の形態は、同期通信パケットを用いて遠隔装置12から追加の情報を要求するように構成されたワイヤレス電源10を有することができる。例えば、遠隔装置12に対する利用できるタイムスロットを表す代わりに、同期通信パケットを、遠隔装置12が認識することができる独自の識別子を含むようにフォーマットすることもできる。これらの識別子は、どれだけの量の電力を各遠隔装置12が現在受信しているかについての情報の要求を制御パケットの代わりに有することができる。そのような形態によって、ワイヤレス電源10は、電力を調整するとともに過度の電力が近接する金属体で消失したか否かを決定することができる。要求される最大電力、要求される最小電力、遠隔装置識別子又はその組合せのようなものに対する遠隔装置12からの他の情報の要求を有することもできる。
【0095】
図7を参照すると、主送信器同期パケット(Tx Sync)は、送信器周期制御レジスタのLSBの切替により「エッジ」が表示されるデジタル二相データ符号化を利用することができる。例えば、ビット時間を、(タイミングが周波数に依存する)搬送波の512サイクルに等しくすることができ、最初の同期ビットは常に「1」であり、最後の四つの同期ビットは、利用できるタイムスロットのビットフィールドを表す。タイムスロットsync(タイムスロット1)は、送信器周期制御レジスタのLCBの切替によって表される単一の周波数変化を利用する。
図7にも示すように、タイムスロットを、a)2Kbpsの3バイトパケットに対する22.5msのRX送信時間、b)約30msのTX PID窓、及び、c)25.6msで送信する100kHzの5ビットTX Synxに基づいて、本実施の形態において約30msにすることができる。タイムスロットを、所望に応じて他の実施の形態で30msより上又は下にすることができる。
【0097】
本発明の第8の実施の形態において、ワイヤレス電源及び遠隔装置のシステム及び方法は、幾つかを例外としてワイヤレス電源10及び遠隔装置12に関連してここで説明したものと同様である。第8の実施の形態は、本実施の形態のシステム及び方法と同様のシステム及び方法を使用することができ、送信器に送信される動作の範囲すなわち範囲状態情報を有する遠隔装置12を更に有することができる。一実施の形態において、この範囲を、受信した電圧とすることができるが、他の実施の形態において、範囲を、電力、電流、磁界の強さ、又は、電圧との組合せを含むこれらの組合せとすることもできる。ワイヤレス電源10の制御に関して、制御領域内での各遠隔装置12の制限を理解することは、ワイヤレス電源10による無線電力の配信の制御に役立つことができる。例えば、各遠隔装置12がその制限をワイヤレス電源10に送信する場合、ワイヤレス電源10は、どれだけの電力を供給するかについての詳細な情報を得た上での決断を下すことができる。
【0098】
詳細な情報を得た上で決断を下すワイヤレス電源10の他の例は、遠隔装置がQを制限する状況を含む。Qの制限がワイヤレス電源10に関係なく遠隔装置12で管理されるとしても、Qが制限される遠隔装置12は、ワイヤレス電源10に伝送することができる動作の電圧範囲を有することができる。動作の範囲についての情報は、制限情報及び遠隔装置12の電流動作パラメータに関連する情報を有することができる。例えば、情報は、各遠隔装置12から制御メッセージで送信することができるx%の制限、上限=y、下限=zのような情報を有することができる。この情報によって、ワイヤレス電源10の制御領域内にある遠隔装置12に対して機能するワイヤレス電源10の一つから多数の電力制御を許容する。
【0099】
開示のために、遠隔装置12から送信されるパラメータは範囲情報を有するが、本発明はこの情報に限定されない。伝送されるパラメータは、異物検出しきい値、変数及び定数、電圧制限、所定の範囲に亘る寄生特性(parasitic properties over a range)、効率のベストモード、使用又は時間に基づく電力要求(優先電力(priority power))、スタンバイ電力のベストモード、交渉による電力(許容できるレベル及び制限)並びにその組合せの情報を有することができる。
【0100】
複数の遠隔装置12がワイヤレス電源10によって給電されるとき、ワイヤレス電源10に伝送される範囲は、どのようにしてワイヤレス電源10が更に大きい又は更に小さい電力に対しての所定の要求に対する調整を行うかを決定することができる。例えば、一方の遠隔装置12が追加の電力を要求し、ワイヤレス電源10が、結果的に得られる調整によって両方の遠隔装置12が伝送範囲内で動作できることを決定することができる場合、ワイヤレス電源10は、両方の遠隔装置12の電力要求に適合するように電力を調整することができる。しかしながら、一方の遠隔装置12が更に少ない電力を使用し、その範囲の最大限で既に動作している場合、異なる遠隔装置12が許容できる範囲内で動作していると仮定し、ワイヤレス電源10は、更に大きい電力を要求する異なる遠隔装置12からの要求を無視することができる。
【0101】
一例として、遠隔装置12の許容できる範囲を見積もるために、ワイヤレス電源10は、伝送範囲、遠隔装置12によって受信した電力、遠隔装置12のコイルのサイズ、ワイヤレス電源10からの各遠隔装置12の距離、及び、結果的に得られる範囲を見積もるための各遠隔装置12のタイプを考慮することができる。遠隔装置12から伝送される範囲を遠隔装置12が受信する許容できる電圧の範囲とすることができるので、この見積もりは有用である。許容できる範囲を計算すること及びワイヤレス電源10のワイヤレス電力送信器16の許容できる範囲を考慮することは、システムの正確な制御を援助することができる。
【0102】
上述した説明は、発明の本実施の形態の説明である。種々の変更及び変形を、発明の精神及びより広い側面から逸脱することなく行うことができる。この開示は、例証のために提示され、発明の全ての実施の形態の包括的な説明として又は特許請求の範囲をこれらの実施の形態に関連して図示若しくは説明した特定の素子に限定するものとして解釈すべきでない。例えば、記載した発明のあらゆる個別の(一つ以上の)素子を、実質的に同様な機能を提供又は十分な動作を提供する別の素子に制限なく置換することができる。これは、例えば、当業者に現在知られている素子のような現在知られている代替素子と、当業者が開発の下で代替物と認識することができる素子のような将来開発される代替素子と、を含む。さらに、開示した実施の形態は、同時に説明され、かつ、利益の収集を協力して提供する複数の特徴を含む。本発明は、発行された特許請求の範囲で明示的に説明する場合を除き、これらの特徴の全てを含む又は上述した利点の全てを提供するこれらの実施の形態に限定されない。