(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報端末装置は、前記情報端末装置の位置を示す位置情報を管理するシステムに接続され、前記起床時刻以降最初に前記情報端末装置が、前記情報端末装置の使用者の家から所定距離離れたことを示す情報を前記システムから入力する処理と、前記情報を入力した時刻から第2所定時間を差し引いた時刻を前記第1時刻として設定する処理と、を実行させる、
請求項1に記載のプログラム。
前記就寝時刻は、前記計算された第1時間帯設定温度が前記第1時間帯設定温度として確定され、前記計算された第2時間帯設定温度が前記第2時間帯設定温度として確定された時刻である、
請求項1に記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
昼間、使用者が空調機の温度を調整することで、快適な室内環境が実現されていた。
【0010】
一方夜間は、使用者は睡眠しているため空調機の温度を調整することができない。そのため、空調機自体が自動で温度調整することが要求される。特に、夏場の夜間は温度が高く、寝苦しい夜が多いため、空調システムによる快適な室内環境の提供が望まれていた。
【0011】
上記特許文献1には、使用者が夜間における空調機の温度を時間帯毎に予め設定しておくことで、使用者の睡眠中であっても空調が自動的に温度調整を行う技術が記載されている。
【0012】
本発明者は、上記特許文献1に記載の技術では、以下の問題が生じることを見出した。
【0013】
図1のように特許文献1記載の空調システムにおける情報端末41は、第1時間帯目盛45と、第1温度目盛46を有する。使用者は、目盛上の第1ツマミ部材44を上下に動かすことで、各時間帯の空調の温度設定を行うことができる。
【0014】
しかしながら、
図1の情報端末41においては、空調を開始する時刻から1時間おきにしか空調機の温度設定を行うことができない。そのため、日々変動する使用者の就寝時刻(空調を開始する時刻)と、起床時刻(空調を終了する時刻)に応じて空調機の温度設定を行うことが煩雑であるという課題があった。
【0015】
また、人間の生理特性である概日リズムによると、睡眠中の人間の体温は、午前4時前後に向けて徐々に低下しその後上昇するパターンを持つ。従って、この概日リズムに沿った空調機の温度設定がなされることが望ましい。
【0016】
しかしながら、
図1の情報端末41においては、時刻毎の空調機の温度設定ができないため、使用者が概日リズムに沿った温度設定をするには手間がかかるという課題もあった。
【0017】
そこで、本発明者は、以下の改善策を検討した。
【0018】
本開示の態様は、ネットワークを介して空調機を制御しディスプレイを有する情報端末装置の制御方法であって、前記情報端末装置に対して、前記空調機の温度を複数の時間帯毎に設定可能な温度設定画面を、前記ディスプレイに表示させ、前記温度設定画面は、前記空調機を使用する使用者の就寝時刻から前記就寝時刻と前記使用者の起床時刻との間の第1時刻までの第1時間帯における前記空調機の温度を設定するための第1温度設定領域と、前記第1時刻から前記起床時刻までの第2時間帯における前記空調機の温度を設定するための第2温度設定領域とを含み、前記温度設定画面で設定された前記第1時刻における前記空調機の温度である第1設定温度と前記温度設定画面で設定された前記就寝時刻における前記空調機の温度である第2設定温度とを用いて前記第1時間帯において推移する前記空調機の第1時間帯設定温度を計算させ、前記第1設定温度と前記温度設定画面で設定された前記起床時刻における前記空調機の温度である第3設定温度とを用いて前記第2時間帯において推移する前記空調機の第2時間帯設定温度を計算させ、前記計算された前記第1時間帯設定温度を前記第1温度設定領域において表示させ、前記計算された前記第2時間帯設定温度を前記第2温度設定領域において表示させ、前記第1時間帯設定温度及び前記第2時間帯設定温度が確定されると、前記第1設定温度及び前記第2設定温度に対応する制御コマンドを前記ネットワークに出力させる。
【0019】
上記態様において、前記計算された前記第1時間帯設定温度は、前記第2設定温度に対応する点と前記第1設定温度に対応する点とを結んだ第1の線で表示され、前記計算された前記第2時間帯設定温度は、前記第3設定温度に対応する点と前記第2設定温度に対応する点とを結んだ第2の線で表示されてもよい。
【0020】
上記態様において、前記ディスプレイはタッチパネル式ディスプレイであり、前記第1の線は前記第1の線に接触した使用者の操作によって曲線に変更可能であり、前記第2の線は前記第2の線に接触した使用者の操作によって曲線に変更可能であってもよい。
【0021】
上記態様において、前記第1の線は直線であり、前記第2の線は直線であってもよい。
【0022】
上記態様において、前記計算された前記第1時間帯設定温度は、縦軸を前記空調機の設定温度とし、横軸を時間としたグラフで表示され、前記計算された前記第2時間帯設定温度は、縦軸を前記空調機の設定温度とし、横軸を時間としたグラフで表示されてもよい。
【0023】
上記態様において、前記制御コマンドは、所定のタイミングで前記ネットワークに出力されてもよい。
【0024】
上記態様において、前記第1時刻は、午前3時30分から午前4時30分までの間の時刻であってもよい。
【0025】
上記態様において、前記使用者が外出する時刻である外出時刻を設定させるための時刻設定画面を、前記温度設定画面とは別に前記ディスプレイに表示させ、前記第1時刻は、前記時刻設定画面にて設定された前記外出時刻から第1所定時間を差し引いた時刻であってもよい。
【0026】
上記態様において、前記第1所定時間は、2時間から3時間までの範囲の時間であってもよい。
【0027】
上記態様において、前記情報端末装置は、前記情報端末装置の位置を示す位置情報を管理するシステムに接続され、前記起床時刻以降最初に前記情報端末装置が、前記情報端末装置の使用者の家から所定距離離れたことを示す情報を前記システムから入力し、前記情報を入力した時刻から第2所定時間を差し引いた時刻を前記第1時刻として設定してもよい。
【0028】
上記態様において、前記第2所定時間は、2時間から3時間までの範囲の時間であってもよい。
【0029】
上記態様において、前記情報端末装置は、温度計を有し、前記温度計が測定した前記使用者の体温が最低となった時刻を、前記第1時刻として設定してもよい。
【0030】
上記態様において、前記就寝時刻は、前記第1時間帯設定温度及び前記第2時間帯設定温度が確定された時刻であってもよい。
【0031】
上記態様において、前記情報端末装置は、照度センサを有し、前記使用者が睡眠する空間の消灯を前記照度センサが検知した時刻を前記就寝時刻として設定してもよい。
【0032】
上記態様において、前記情報端末装置は、アラームを有し、前記使用者が設定したアラームが起動する時刻を、前記起床時刻として設定してもよい。
【0033】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0035】
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1における情報端末10の構成を示す。
【0036】
情報端末10は、タッチパネル部11、データ通信部13、時刻を取得するためのタイマー15、コンピュータ40を有している。
【0037】
なお、情報端末10は、このほかにも、使用者の入力を受け付けるホームボタン16、周囲の画像を撮影するためのカメラ17、音声を発するスピーカ18、周囲の音声を取得するマイク19、周囲の明るさを取得する照度センサ20、情報端末10の位置情報を取得するGPSセンサ(不図示)を有していてもよい。
【0038】
タッチパネル部11は、画像や動画を表示するディスプレイ118(不図示)と、使用者からの操作を受け付ける操作入力部119(不図示)を有する。
【0039】
操作入力部119は静電容量方式のタッチセンサによって実現される。静電容量方式は、人体がパネルに触れることによって生じる静電容量の変化を感知することで、使用者の操作を感知する方法である。
【0040】
なお、操作入力部119は、使用者からの操作を受け付けることができるものであれば、ほかのものを用いて実現されても構わない。例えば、電磁誘導方式、赤外線方式、表面弾性波方式、抵抗膜方式、マトリックススイッチ方式がある。
【0041】
また、ディスプレイ118は例えば液晶ディスプレイを用いて実現される。
【0042】
なお、ディスプレイ118は、画像や動画を表示できるものであれば、ほかのものを用いて実現されても構わない。例えば、発光ダイオードディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、陰極線管ディスプレイがある。
【0043】
情報端末10を構成するものは、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、テレビなどである。
【0044】
なお、情報端末10を構成するものは、コンピュータ40を備え、ディスプレイと操作入力部119を備えるものであれば何でもよい。
【0045】
また、情報端末10に備えられたタッチパネル部11は、ディスプレイ118と操作入力部119を一体的に包含していたが、ディスプレイ118とタッチパネル部11が分離されていてもかまわない。
【0046】
図2に示すタッチパネル部11が有するディスプレイ118には、初期表示として、通信状態、現在の時刻などを表示するステータスバー111、現在の設定メニューなどを示すナビゲーションバー112、主表示部113が表示される。
【0047】
図3は、情報端末の基本指操作を示す。
【0048】
図3を用いて、情報端末10のタッチパネル部11の指操作について説明する。
【0049】
指操作として、指で触れるタッチ操作、指で画面をはじくフリック操作、指で画面をトンとたたくタップ操作、指でタッチした後に指をずらして動かすドラッグ操作、1本指で画面をなぞるスライド操作、2本指を画面に触れて大きく広げて触った状態から指の間隔を狭めていくピンチイン操作、2本指を画面に触れて狭めた触った状態から指の間隔を広げていくピンチアウト操作がある。
【0050】
これらの操作のいずれかが行われると、タッチパネル部11を有する情報端末10が操作内容を認識することで、後述する空調システムが制御される。以下の説明では、
図3に示す操作名称を用いて説明する。
【0051】
図4は情報端末10の構成を示す図である。情報端末10は、入出力機能としてタッチパネル部11と、外部ネットワークと通信をおこなうデータ通信部13と、時刻を取得するタイマー15と、コンピュータ40を有している。
【0052】
コンピュータ40は、制御部50と記憶部70を有している。
【0053】
制御部50は、タッチパネル部11への入力が
図3に示すいずれの操作であるか認識する操作認識部51と、タッチパネルへの表示を制御する表示制御部52と、データ通信部13の制御を行う通信制御部53と、領域別設定温度情報を使用者に設定させる画面を表示させる領域別設定温度設定部54と、睡眠時刻情報を使用者に設定させる画面を表示させる睡眠時刻情報設定部55と、領域別設定温度設定部54と睡眠時刻情報設定部55で設定された領域別設定温度情報と睡眠時刻情報をもとに空調機の温度設定を決定する空調制御情報決定部57と、空調制御情報決定部57で決定された情報をタッチパネル部11に表示する空調制御情報表示部58と、空調制御情報決定部で決定された情報に基づきネットワーク4(
図5に示す)を介して空調機を制御する空調制御部59を有する。
【0054】
制御部50は、プログラムによって動作するCPU(中央演算ユニット)によって実現される。
【0055】
記憶部70は、空調機の領域別設定温度72、睡眠時刻情報73、空調制御情報74を有する。
【0056】
また、記憶部70は、情報を記憶することのできる媒体により構成される。記憶部70は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を用いて構成される。
【0057】
なお、記憶部70は、情報を記憶することのできる媒体であれば、ほかのものが用いられてもよい。例えば、SDカード(登録商標)、SSD(Solid State Device)といった半導体記憶素子、ハードディスク、フレキシブルディスクがある。
【0058】
図5は、空調システム1の全体構成を示す。
【0059】
室内を空調する空調システム1は、室内に設置される室内機2と、室外に設置される室外機6と、ネットワーク4と、ネットワーク4を介して室内機2を遠隔操作する情報端末10と、室内機2と室外機6とを繋ぐ接続配管8とで構成される。ここで、室内機2と室外機6とを合わせて空調機と呼ぶ。
【0060】
室外機6は、不図示の圧縮機、室外送風機、室外熱交換器などを有する。室外機6の圧縮機と室外熱交換器は、接続配管8が有する冷媒配管により、後述する室内機と接続され、冷媒が循環されることで熱ポンプとして機能する。
【0061】
ネットワーク4は、室内機2と情報端末10との間で情報のやり取りを中継する。ネットワーク4は、Ethernet(登録商標)、またはWiFi(登録商標)が用いられて実現される。
【0062】
なお、ネットワーク4は、室内機2と情報端末10の間における情報のやり取りを中継できるものであれば、そのほかのものが用いられて実現されても構わない。例えば、Bluetooth(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)等の特定小電力無線通信、電力線通信、赤外線通信、可視光通信、超音波通信がある。
【0063】
図6は、情報端末10の制御部50の処理フローを示す。
【0064】
まず、制御部50は、タッチパネル部11にメニュー画面を表示する(ステップS210)。
【0065】
ステップS210で表示されるメニュー画面の例を、
図2を参照しながら説明する。
【0066】
制御部50が有する表示制御部52は、情報端末10のタッチパネル部11の主表示部113へ、使用者に提示するメニュー項目を表示する。表示制御部52は、メニュー項目として温度パターン設定ボタン121、おやすみメニューのボタン122、終了ボタン123を表示する。
【0067】
次に、制御部50が有する操作認識部51は、使用者の指によるタップ操作を認識すると、タップされた項目に応じて制御部50の以後の処理を分岐させる(ステップS220)。
【0068】
もし、温度パターン設定ボタン121がタップされた場合は、制御部50の処理は、ステップS230へ進む。
【0069】
もし、おやすみメニューのボタン122がタップされた場合は、制御部50の処理は、ステップS240へ進む。
【0070】
もし、終了ボタン123がタップされた場合は、制御部50は、処理を終了する。
【0071】
ステップS230に処理が進むと、制御部50が有する領域別設定温度設定部54は、使用者に領域別設定温度72を設定させる処理を行う。その後、制御部50の処理はステップS210へ戻る(ステップS230)。
【0072】
図15は、領域別に設定された温度である領域別設定温度72の構成を示す図である。ここで各領域は、各時間帯に対応するものとする。すなわち領域別設定温度とは、ある時間帯における設定された温度を意味する。領域別設定温度72は、第一温度設定領域の設定温度725と、第二温度設定領域の設定温度726を有する。
【0073】
第一温度設定領域の設定温度725には、就寝時刻の設定温度と、境界時刻の設定温度が格納されている。
【0074】
第二温度設定領域の設定温度726には、境界時刻の設定温度と、起床時刻の設定温度が格納されている。
【0075】
なお、領域別設定温度72における、設定温度の初期値は任意の値で構わない。
【0076】
次に、使用者が領域別設定温度72を設定する方法について説明する。
【0077】
図7は、所定の時間721(
図15に示す)における温度722(
図15に示す)を設定するための画面である、領域別設定温度設定画面300を示す図である。領域別設定温度設定部54は、タッチパネル部11の主表示部113に、グラフ領域310と決定ボタン320を表示させる。
【0078】
グラフ領域310は、就寝時刻における設定温度を使用者に設定させる第1のスライドバー301と、境界時刻における設定温度を使用者に設定させる第2のスライドバー302と、起床時刻における設定温度を使用者に設定させる第3のスライドバー303と、縦軸の温度目盛り305を有する。ここで、境界時刻とは概日リズムに基づいて人間の体温が最低となる明け方の時刻のことであり、午前4時とする。
【0079】
また、グラフ領域310は、第1スライドバー301と第2スライドバー302との間に位置する第1温度設定領域311と、第2スライドバー302と第3スライドバー303との間に位置する第2温度設定領域312を有する。
【0080】
第1温度設定領域311は、就寝時刻から境界時刻までの時間帯に対応し、就寝時刻における設定温度と境界時刻における設定温度とを結ぶ第1の線307を表示する。
【0081】
第2温度設定領域312は、境界時刻から起床時刻までの時間帯に対応し、境界時刻における設定温度と起床時刻における設定温度とを結ぶ第2の線308を表示する。
【0082】
図8A及び
図8Bは、使用者が行う就寝時刻における設定温度を変更する操作を時系列順に示す図である。
【0083】
就寝時刻における設定温度を変更するために、使用者は第1スライドバー301をタッチし、そのまま指を上下方向へスライドさせる。境界時刻における設定温度及び起床時刻における設定温度も同様の操作で変更される。
【0084】
使用者が設定温度を変更した場合、領域別設定温度設定部54は、変更された温度に従って第1の線307と第2の線308を再度描画する。温度変更は1度刻みで可能であり、使用者が指を上方向へスライドさせた場合は1度刻みで温度が上昇し、逆に使用者が指を下方向へスライドさせた場合は1度刻みで温度が下降する。
【0085】
図8Aは、就寝時刻における設定温度が27度から24度に変更される操作が行われていることを示している。
【0086】
また、
図8Bは、使用者が設定温度を変更したことに応じて、第1の線307が、就寝時刻の設定温度である27度と、境界時刻の設定温度である25度を結ぶ直線として、再描画されたことを示している。
【0087】
また、
図8C及び
図8Dは、同様に使用者が境界時刻の設定温度を変更する操作を時系列順に示す図である。この図の例では、使用者が第2のスライドバー302を上方向へスライドすることで、境界時刻における設定温度が、25度(
図8C)から28度(
図8D)に変更される操作が行われたことを示している。
【0088】
また、
図8Dは、使用者が設定温度を変更したことに応じて、第1の線307が、就寝時刻における設定温度である27度と、境界時刻における設定温度である28度を結ぶ直線として、再描画されたことを示している。
【0089】
また、同時に、
図8Dは、使用者が設定温度を変更したことに応じて、第2の線308が、境界時刻における設定温度である28度と起床時刻における設定温度である26度を結ぶ直線として、再描画されたことを示している。
【0090】
図6に戻って、ステップS240に処理が進むと、制御部50が有する睡眠時刻情報設定部55は、使用者に睡眠時刻情報73を設定させるための画面を表示し、使用者に睡眠時刻情報を設定させる(ステップS240)。
【0091】
図16は、睡眠時刻情報73の構成を示す図である。睡眠時刻情報73は、設定時刻732、すなわち、就寝時刻736、境界時刻737、起床時刻738を格納している。
【0092】
境界時刻737の初期値は、一般的な人間の概日リズムに基づき、体温が最低となる時間である午前4時である。
【0093】
就寝時刻736の初期値は、境界時刻の前の任意の時刻でよい。例えば、23時(午後11時)でよい。
【0094】
起床時刻738の初期値は、境界時刻の後の任意の時刻でよい。例えば、午前7時15分でよい。
【0095】
次に、使用者が睡眠時刻情報73を設定する方法について説明する。
【0096】
図9は、睡眠時刻情報設定部55が、タッチパネル部11に表示した、睡眠時刻情報を設定するための画面である睡眠時刻情報設定画面400を示す。
【0097】
睡眠時刻情報設定部55は、タッチパネル部11の主表示部113へ、起床時刻の時の部分を使用者に設定させるための第1スピナー411、起床時刻の分の部分を使用者に設定させるための第2スピナー412、使用者が設定した時刻を確定させるための決定ボタン420を表示する。
【0099】
使用者は、起床時刻の時の部分の値を変更するために、第1スピナー411をタッチし、指を上下方向へスライドさせる。
【0100】
使用者が上方向へ指をスライドさせた場合は1時間刻みで時の値が上昇する。逆に、使用者が下方向へ指をスライドさせた場合は1時間刻みで時の値が下降する。
【0102】
使用者は、起床時刻の分の部分の値を変更するために、第2スピナー412をタッチし、指を上下方向へスライドさせる。
【0103】
使用者が上方向へ指をスライドさせた場合は1分刻みで分の値が上昇する。逆に、使用者が下方向へ指をスライドさせた場合は1分みで分の値が下降する。
【0104】
使用者が時と分の値を設定した後は、使用者が決定ボタン420をタップする(
図11D)ことで、睡眠時刻情報設定部55は起床時刻が確定したことを認識し、睡眠時刻情報73へ、起床時刻を書き込む。
【0105】
また、この時、睡眠時刻情報設定部は、睡眠時刻情報73へ、使用者が決定ボタン420を押した時点における時刻を就寝時刻として書き込む。
【0106】
なぜならば、就寝直前に目覚まし時計をセットする習慣のある人であれば、起床時刻が設定された時刻は、就寝時刻と同一であると考えられるためである。
【0107】
次に、
図6に戻って、制御部50が有する空調制御情報決定部57は、空調制御情報を決定する(ステップS250)。
【0108】
空調制御情報決定部57は、領域別設定温度72と睡眠時刻情報73に格納された情報を用いて、就寝時刻と境界時刻の間の時間帯である第1時間帯の設定温度ならびに、境界時刻と起床時刻の間の時間帯である第2時間帯の設定温度を算出して、空調制御情報74を生成する。
【0109】
図18は、空調制御情報74の構成を示す図である。空調制御情報74は、空調システム1を制御する時刻を示す設定時刻741、設定時刻741に対応した温度を示す設定温度742を格納している。
【0110】
空調制御情報74は、第1時間帯の設定温度745と、第2時間帯の設定温度746に区切られる。
【0111】
図17Aは、空調制御情報決定部57の処理のフローを示す。例として線形補間を用いて第1時間帯の設定温度及び第2時間帯の設定温度が決定される場合の処理のフローを説明する。
【0112】
まず、空調制御情報決定部57は、空調制御情報74を初期化する。すなわち、空調制御情報決定部57は、空調制御情報74に格納された情報をすべて消去する(ステップS300)。
【0113】
次に、空調制御情報決定部57は、第1時間帯における設定温度を決定するために、睡眠時刻情報73に格納された就寝時刻と境界時刻と、領域別設定温度72に格納された就寝時刻の設定温度と境界時刻の設定温度を引数に設定する(ステップS305)。空調制御情報決定部57は、後述する線形補間のサブルーチンを呼び出す(ステップS310)。
【0114】
次に、空調制御情報決定部57は、第2時間帯における設定温度を決定するために、睡眠時刻情報73に格納された境界時刻と起床時刻と、領域別設定温度72に格納された境界時刻の設定温度と起床時刻の設定温度を引数に設定し(ステップS315)、後述する線形補間のサブルーチンを呼び出す(ステップS320)。
【0115】
図17Bは、線形補間のサブルーチンの処理のフローを説明する。
【0116】
空調制御情報決定部57は、線形補間のサブルーチンにおいて第1時刻x0(就寝時刻)、第2時刻x1(境界時刻)、第1設定温度y0(就寝時刻における設定温度)、及び第2設定温度y1(境界時刻における設定温度)を引数にとる。
【0117】
まず、空調制御情報決定部57は、線形補間のサブルーチンであるループ処理を行う。ループ変数yは、第1設定温度y0と第2設定温度y1の間の整数が用いられる(ステップS350)。
【0118】
次に、空調制御情報決定部57は、(ループ変数y−第1設定温度y0)÷(第2設定温度y1−第1設定温度y0)×(第2時刻x1−第1時刻x0)の値を計算し、当該値に第1時刻x0を加算した値xを算出する(ステップ355)。
【0119】
次に、空調制御情報決定部57は、ステップS355で算出された値xを設定時刻741として、ループ変数yを設定温度742として空調制御情報74に追加する(ステップS360)。
【0120】
そして、ループ処理を終了する(ステップS370)。
【0121】
線形補間のサブルーチンではS350からS360までの処理が繰り返し行われる。以上がステップS250の説明である。
【0122】
図6のステップS260以降の処理フローの説明に戻る。
【0123】
空調制御情報表示部58は、タッチパネル部11に空調制御情報表示画面を表示することで、空調制御情報74を使用者へ提示する(ステップS260)。
【0124】
図12は、空調制御情報表示部58が表示する画面を示す。
【0125】
空調制御情報表示部58は、タッチパネル部11の主表示部113へ、グラフ領域610と、設定温度を示す温度目盛り630(縦軸)と、空調機を制御する時刻を示す時刻目盛り640(横軸)と、空調制御情報74に対応した
図621と了解ボタン650を表示する。
【0126】
空調制御情報表示部58は、空調制御情報74に対応した
図621を、グラフ領域610に折れ線グラフの形で表示する。空調制御情報表示部58は、空調制御情報74の要素の数だけ、設定温度と時刻に対応する点をグラフ上にプロットし、直線で結ぶ。
【0127】
グラフ領域610は、就寝時刻における設定温度を使用者に設定させる第1のスライドバー626aと、境界時刻における設定温度を使用者に設定させる第2のスライドバー626bと、起床時刻における設定温度を使用者に設定させる第3のスライドバー626cと、第1のスライドバー626aの可動範囲を示す625aと、第2のスライドバー626bの可動範囲を示す625bと、第3のスライドバー626cの可動範囲を示す625cを有する。
【0128】
また、使用者が空調制御情報74の各時刻における設定温度を示す円形の描画要素をタッチした場合、タッチされた領域に対応する空調制御情報74の各項目の情報が追加で表示されるとよい。すなわち、
図13に示されるように、使用者がタッチした領域に対応する時刻とその時刻における設定温度が追加で表示されてもよい。
図13の例では、使用者が25度の設定温度を示す円形の描画要素をタッチすることで、当該描画要素に対応する時刻と、設定温度である25度が吹き出し領域に文字として表示される様子が示されている。
【0129】
空調制御情報表示部58が、タッチパネル部11へ、時刻と設定温度を文字として表示することで、使用者は空調制御情報74を詳細に知ることができる。そのため、使用者はより安心して睡眠することができる。
【0130】
次に、
図6に戻って、空調制御部59は、空調制御情報74に書き込まれた設定時刻741と設定温度742に対応した制御信号を室内機2へ送信する(ステップS270)。
【0131】
室内機2は当該制御信号に従って、空調機(室内機2及び室外機6)を制御する。
【0132】
例として、
図18に記載された値に空調制御情報74が設定された場合の、空調制御部59が行う制御を時系列順に説明する。
【0133】
まず、空調制御部59は、23時00分に温度24度で空調機を運転させるための制御信号を室内機2に送信する。
【0134】
次に、空調制御部59は、0時15分に温度25度で空調機を運転させるための制御信号を室内機2に送信する。
【0135】
空調制御部59は、以降の時刻についても同様の処理を行う。
【0136】
次に、制御部50は、起床時刻に達したタイミングで、アラーム表示画面800を表示する(ステップS280)。
【0137】
図14は、制御部50が表示するアラーム表示画面800の例を示す。アラーム表示画面800は、了解ボタン810を有する。
【0138】
なお、適宜、制御部50は、スピーカ18へ、音響を奏でる指示を行ってもよい。音響が奏でられることにより、音による刺激を使用者に与えることで使用者の目覚めを促進することができる。
【0139】
以上が、情報端末10における一連の処理である。
【0140】
次に、実施の形態1で説明された空調システム1の温度設定操作が、特許文献1に記載された技術と比較されながら説明される。
【0141】
以降の説明においては、起床時刻が7時15分に、就寝時刻が23時に設定され、就寝時刻の設定温度が24度に、境界時刻の設定温度が28度に、起床時刻の設定温度が26度に設定されるものとする。
【0142】
(特許文献1に記載された情報端末を用いた場合の使用者の操作)
まず、使用者は現在時刻と境界時刻の時間差を暗算する。
【0143】
暗算によって求められた時間差は、4:00−23:00=5時間であるので、使用者は
図1に示された5Hのつまみ(第1ツマミ部材44)を28度の位置にスライドさせる。
【0144】
次に、使用者は起床時刻と現在時刻の時間差を暗算する。
【0145】
起床時刻は、7:15−23:00=8時間15分=約8時間であるので、使用者は
図1に示された8Hのつまみ(第1ツマミ部材44)を26度の位置にスライドさせる。
【0146】
次に、使用者は、就寝時刻、境界時刻、起床時刻の間の温度を1時間ごとに再設定する。ここで、現在時刻は就寝時刻とする。
【0147】
使用者は
図1に示された1Hのつまみ(第1ツマミ部材44)をスライドさせて就寝1時間後の温度を24度に設定し、2Hのつまみ(第1ツマミ部材44)をスライドさせて就寝2時間後の温度を25度に設定し、3Hのつまみ(第1ツマミ部材44)をスライドさせて就寝3時間後の温度を26度に設定し、4Hのつまみ(第1ツマミ部材44)をスライドさせて就寝4時間後の温度を27度に設定し、6Hのつまみ(第1ツマミ部材44)をスライドさせて就寝6時間後の温度を27度に設定し、7Hのつまみ(第1ツマミ部材44)をスライドさせて就寝7時間後の温度を27度に設定する。
【0148】
以上のように、就寝時刻と境界時刻との差及び就寝時刻と起床時刻との差を暗算し、時間別につまみ(第1ツマミ部材44)をスライドさせて温度設定必要があり、操作が煩雑である。
【0149】
(実施の形態1で説明された情報端末10を用いた場合の使用者の操作)
まず使用者は
図7に示す領域別設定温度設定画面300において第1スライドバー301をスライドさせて、就寝時刻の温度を24度に設定する。
【0150】
次に、使用者は第2スライドバー302をスライドさせて、境界時刻の温度を28度に設定する。
【0151】
次に、使用者は第3スライドバー303をスライドさせて、起床時刻の温度を28度に設定し、決定ボタンをタップする。
【0152】
次に、使用者は
図9に示す睡眠時刻情報設定画面400において、起床時刻を設定する。
【0153】
以上のように、実施の形態1における情報端末10を用いた場合は、使用者は起床時刻と就寝時刻との時間差を暗算しなくてよい。また、
図1に示された1Hから8Hまでのつまみをわざわざスライドさせる必要もない。
【0154】
実施の形態1にかかる情報端末を用いると、翌晩に就寝時刻が変更された場合においても概日リズムを考慮した温度設定が容易である。
【0155】
なお、境界時刻は、概日リズムで体温が最も低い値を取る午前4時としたが、厳密に午前4時ちょうどである必要はない。空調機の時刻設定の粒度や、情報端末10の電池もちを考慮して、多少の誤差があってもよい。例えば、30分程度の誤差があってもよい。
【0156】
また、領域別設定温度設定部54が表示する
図7に示す領域別設定温度設定画面300において、設定温度を設定させるユーザインターフェースとしてスライドバーが用いられたが、就寝時刻における温度、境界時刻における温度、及び起床時刻における温度を設定できるものであれば、ほかの手段が用いられても構わない。
【0157】
図28A〜
図28Dは、領域別設定温度設定部54が表示する設定画面の別の例を示す。この例では、数値を直接記入するための領域が設けられている。
【0158】
使用者は就寝時刻における温度を変更する場合は、就寝時刻の温度を示す領域281をタップしたのちに、設定画面上に表示されるソフトキーボード282上の数値をタップすることで、温度を所望の値に設定することができる。
【0159】
なお、実施の形態1では、1台の情報端末10が制御部50と記憶部70を有している場合が説明されたが、複数の情報端末が制御部50と記憶部70をそれぞれ有していてもよい。もしくは、制御部50が複数の端末に分散されていてもよい。
【0160】
(実施の形態2)
図19は、実施の形態2における空調システム1bの全体構成の一例を示す。
図19において
図5と同じ構成要素については同じ符号が用いられ、説明は省略される。
【0161】
図19に示される空調システム1bは、情報端末10に替えて、第2の情報端末10bと、第3の情報端末10cとを有する。
【0162】
ネットワーク4は、室内機2と第2の情報端末10bと第3の情報端末10cとの間で情報のやり取りを中継する。
【0163】
図20は、第2の情報端末10bおよび第3の情報端末10cの構成を示す。
図20において
図4と同じ構成要素については同じ符号が用いられ、説明が省略される。
【0164】
第2の情報端末10bは、タッチパネル部11と、第2のデータ通信部13bと、第2の制御部50bを備える第2のコンピュータ40bとを有する。
【0165】
第2の制御部50bは、操作認識部51と、表示制御部52とを有する。
【0166】
第3の情報端末10cは、タイマー15と、第3のデータ通信部13cと、第3のコンピュータ40cを有する。第3のコンピュータ40cは、第3の制御部50cと、記憶部70とを有する。
【0167】
第3の制御部50cは、通信制御部53と、領域別設定温度72を使用者に設定させる領域別設定温度設定部54と、睡眠時刻情報73を使用者に設定させる睡眠時刻情報設定部55と、領域別設定温度設定部54と睡眠時刻情報設定部55で使用者に設定させた情報をもとに空調制御情報74を決定する空調制御情報決定部57と、空調制御情報決定部57で決定された情報をタッチパネル部11に表示する空調制御情報表示部58と、空調制御情報決定部57で決定された情報に基づき室内機2に制御コマンドを送信する空調制御部59を有する。
【0168】
第2のデータ通信部13bは、第3のデータ通信部13cと通信を行い、操作認識部51が認識した使用者によるタッチパネル部の操作を第3の制御部50cへ送信し、タッチパネル部11に表示される画面の情報を第3の制御部50cから受信する。
【0169】
実施の形態2における空調システム1bでは、第2の情報端末10bが有する第2のデータ通信部13bと、第3の情報端末10cが有する第3のデータ通信部13cを介して、第2の制御部50bと第3の制御部50cが、使用者からの入力や使用者へ表示する情報を通信することで、実施の形態1における情報端末10と同様の処理を行う。
【0170】
第2の情報端末10bは、タッチパネル部11と、表示制御部52を有することで、使用者と第3の情報端末10cとのインタフェースの処理を主に担当する。また、第2の情報端末10bは、実施の形態1における情報端末10が有する記憶部70が必要ない。そのため、第2の情報端末10bは、簡易な構成で実現できる。
【0171】
また、第3の情報端末10cは、体積の大きいタッチパネル部11を有する必要がないので、主にCPUと記憶媒体だけで実現することができ、物理的な大きさを小さくできる。
【0172】
なお、第3の情報端末10cはネットワーク4を介して室内機2と通信できる限り、どこに設置されてもよい。第3の情報端末10cは使用者に携帯される必要がないため、常時電源コンセントに接続しておくことができる。そのため、不慮の電池切れによって空調制御部59が動作しないといった不測の事態が回避される。
【0173】
また、第3の情報端末10cは、使用者の家の外に置かれていても構わない。第3の情報端末10cが使用者の家の外に置かれることにより、使用者は家のスペースを広く使うことができる。
【0174】
(実施の形態3)
図21A〜
図21Cは、空調機の設定温度を変更するために使用者が行う操作を時系列順に示す図である。
図21A〜
図21Cにおいて
図7および
図8A〜
図8Dと同じ構成要素については同じ符号が用いられ、説明は省略される。
【0175】
実施の形態1では、第1の線307および第2の線308は線分により補間されたが、実施の形態3では、変曲点が設けられ、曲線によって補間される。このことにより、より柔軟な空調機の温度設定が可能となる。
【0176】
使用者が第1の線307にタッチし、上下方向にスライドさせることで、第1の線307の形状を上に凸もしくは下に凸にすることができる。
【0177】
図21Bは、使用者が指を上方向にスライドさせた場合の操作を示す。使用者が指を上方向へスライドさせた場合は第1の線307は上に凸な形状に変化する。
【0178】
逆に、
図21Cは、使用者が指を下方向へスライドさせた場合の操作を示す。使用者が指を下方向へスライドさせた場合は第1の線307が下に凸な形状に変化する。
【0179】
第2の線308についても第1の線307と同様であり、使用者が第2の線308にタッチし、上下方向にスライドさせることで、第2の線308の形状を上に凸もしくは下に凸にすることができる。
【0180】
第1の線307もしくは第2の線308が単調増加でかつ上に凸な曲線として設定された場合や、単調減少でかつ線の形状が下に凸な曲線として設定された場合は、温度ははじめ急に変化し、のちに緩やかに変化するようになる。
【0181】
例えば、部屋の温度と希望の温度との差が大きく、使用者がすぐに部屋を冷やしたい場合などは、第1の線307をこのような形状の曲線に設定すればよい。
【0182】
逆に、第1の線307もしくは第2の線308が単調増加でかつ下に凸な曲線として設定された場合や、単調減少でかつ線の形状が上に凸な曲線として設定された場合は、温度ははじめ緩やかに変化し、のちに急に変化するようになる。
【0183】
例えば、使用者が就寝直後の急激な温度変化を嫌う場合は、第1の線307をこのような形状の曲線に設定すればよい。
【0184】
実施の形態3においては、就寝時刻と境界時刻の間の時間帯と境界時刻と起床時刻の間の時間帯における設定温度が変曲点を有する曲線によって補間されるケースが説明された。これにより、個人によって異なる好みの違いに細やかに対応した空調の温度設定が可能となる。
【0185】
(実施の形態4)
図22は、実施の形態4における情報端末10の制御部50の処理のフローを説明する。
図22において
図6と同じステップについては、
図6と同じ符号が用いられ説明が省略される。
【0186】
情報端末10が有する制御部50は、ステップS210でメニュー画面を表示した後に、ステップS215で、照度センサ20(
図2で図示)を用いて周囲の照度の変化をセンシングして、部屋が消灯されたか否か判定を行う。なお、照度センサ20は情報端末10が有するものとする。
【0187】
ステップS215での判定結果がYES(消灯された)の場合は、ステップS240の睡眠時刻設定ステップへ進み、消灯された時間が就寝時刻として設定される。
【0188】
ステップS215での判定結果がNO(消灯されていない)の場合は、ステップ218へ進む。
【0189】
ステップS218では、制御部50は、タッチパネル部11に使用者が触れたか否か判定を行う。ステップS218の判定結果がYES(使用者がタッチパネル部11に触れた)の場合は、制御部50はステップS220へ進む。ステップS218での判定結果がNO(使用者がタッチパネル部11に触れていない)の場合は、制御部50はステップS215へ戻る。
【0190】
このように、情報端末10は、ステップS215で使用者が部屋を消灯したことが自動的に検知されると、睡眠時刻設定処理(ステップS240)へ遷移する。
【0191】
情報端末10が睡眠時刻設定処理へ自動的に遷移することで、使用者がメニューを指で明示的に操作することなしに、起床時刻の設定を行うことが可能となる。
【0192】
実施の形態4における情報端末10は、使用者の操作の手間を軽減させることができる。従って、使用者の温度設定し忘れを防止することもできる。
【0193】
なお、メニュー画面において別途メニュー項目を設けて、照度センサ20による自動的な制御、消灯検知後から起床時刻の設定までの自動遷移を有効にするか否かを使用者が選択可能なようにしておくとよい。これにより、このような自動制御を好む使用者と、そうでない使用者の両者に対して適した空調制御を提供することができる。
【0194】
(実施の形態5)
図23は、本発明の実施の形態5にかかる、情報端末10において、睡眠時刻情報73が格納する就寝時刻を、使用者があらかじめ設定するための操作画面を示す。
【0195】
使用者は、実施の形態1における睡眠時刻情報73を設定する操作と同様の操作をおこなう。
【0196】
使用者は第1スピナー411dおよび第2スピナー412dをスライドさせることで、就寝時刻を設定することができる。また、使用者が、決定ボタン420dをタップすることで、設定した就寝時刻を確定することができる。
【0197】
就寝時刻を予め指定し、就寝時刻よりも前の時点(例えば就寝時刻10分前)で空調機が運転開始するようにしておけば、例えば夏の暑い夜に、使用者が睡眠をとる部屋が十分に冷えていない場合に有効である。
【0198】
(実施の形態6)
実施の形態6における情報端末10が有する制御部50の処理のフローを説明する。
【0199】
まず、制御部50は、タッチパネル部11に外出時刻入力画面を表示し、使用者に日々の外出時刻を入力させる。ここで外出時刻とは、使用者が起床してから初めて外出する時刻とする。
【0200】
図24は、制御部50が表示する外出時刻入力画面の一例を示す。
【0201】
外出時刻入力画面400eは、外出時刻の時の値を設定するための第1スピナー411eと、外出時刻の分の値を設定するための第2スピナー412eと、決定ボタン420eとを有する。
【0202】
使用者は、実施の形態1において睡眠時刻情報73を設定する操作と同様の操作で、使用者は第1スピナー411eおよび第2スピナー412eをスライドさせ、外出時刻を設定することができる。また、使用者が、決定ボタン420eをタップすることで、設定した外出時刻を確定することができる。
【0203】
次に、制御部50は、外出時刻を用いて、境界時刻を計算する。
【0204】
制御部50は、使用者に入力された外出時刻から、約3時間を差し引いた値を、睡眠時刻情報73に境界時刻として書き込む。これにより、概日リズムが日光を浴びることでリセットされるという人間の生理的な特性を考慮し、使用者が朝に日光を浴びる時間帯である外出時刻から使用者の体温が最低となる境界時刻を自動的に情報端末10に概算させることができる。
【0205】
ここで、夜勤や早朝勤務など、生活リズムが一般とは異なる人は、一日で初めて日光を浴びる時刻も一般の人と比べてずれる。したがって概日リズムもずれることが知られている。
【0206】
ここで、境界時刻と外出時刻との差分を約3時間とした理由を説明する。一般的に平日に学生が通学のために外出する時刻や、サラリーマンが通勤のために外出する時刻は、学校や会社が始業する午前8時から午前9時台から、通勤時間の約1時間を差し引いた、午前7時の1時間前後である。概日リズムに基づいて体温が低下する時刻は午前4時前後であるため、両者の差分をとって3時間前後とした。
【0207】
なお、たとえばサマータイムを導入している地域や、学校や会社の始業時刻が一般的な時刻から前後する地域については、当該差し引く値のマージンを1時間程度とってもよい。
【0208】
実施の形態6における情報端末10は、夜勤や早朝勤務など、生活の時間帯が一般的な人とは異なる使用者、すなわち概日リズムが一般的な人とは異なるような使用者に、概日リズムに適した空調を提供する。
【0209】
これにより、実施の形態6における情報端末10は、使用者が概日リズムによる体温変動に精通していない場合に有効である。
【0210】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7における情報端末10は、実施の形態6における情報端末10が、タッチパネル部11を使用者に明示的に操作させることで取得していた外出時刻を、情報端末10に備わった各種センサを用いて推定する。
【0211】
情報端末10は、情報端末10に備わった各種センサを用いて、使用者が外出したことを自動的に検知する。情報端末10は、当該検知が行われた時の時刻を外出時刻として用いて、境界時刻を計算する。
【0212】
使用者が外出したことを検知する方法の一例として、GPSセンサによって得られる位置情報が、すなわち位置情報で示す位置が、使用者の家の位置情報から所定の距離以上離れたことを検知する方法がある。
【0213】
なお、使用者が外出したことを検知するためのセンサとして、加速度センサが用いられてもよい。この場合は、加速度センサが、午前中に所定の閾値を上回る距離を移動したことを検知した時刻が、外出時刻に用いられる。
【0214】
また、照度センサが、照度が所定の閾値を上回ったことを検知した時刻が、外出時刻として用いられてもよい。
【0215】
また、前述したGPSセンサ、加速度センサ、照度センサに限らず、センサを用いて外出時刻を取得することができる方法であれば、そのほかの方法が用いられてもよい。
【0216】
なお、各種センサは情報端末10が有してもよいし、情報端末10の外に別途設けられてもよい。各種センサが情報端末10の外部に設けられている場合は、情報端末10がデータ通信部13を介して、各種センサからセンシングされた情報を取得すればよい。
【0217】
(実施の形態8)
実施の形態8における情報端末10は、使用者の睡眠中における体温を測定し、使用者の体温が最低となる時刻を睡眠時刻情報73に備わった境界時刻情報へ書き込むものである。
【0218】
体温を測定する方法は、情報端末10が、遠隔地点の温度を測定可能な温度計を備えておき、使用者の睡眠中に使用者の体温を測定する方法がある。ここで温度計は使用者の方向に向けられておくとよい。遠隔地点の温度を測定可能な温度計として、赤外線放射温度計がよく知られている。
【0219】
また、情報端末10の外部に、使用者に密着して使用者の体温を測定する温度測定端末が別途設けられてもよい。この場合は、情報端末10は、温度測定端末から使用者の体温の時系列的な変動を、ネットワーク4を介して取得してもよい。
【0221】
実施の形態3では、単一の変曲点を有する曲線を用いて第一温度設定領域の温度と第二温度設定領域の温度が設定されていたが、実施の形態9では、当該曲線に複数の変曲点が設けられた。
【0222】
図25Bは、使用者が第1の線307にタップすることで、第1の線307にタップされた場所に応じた変曲点313が設けられる様子を示す。
【0223】
この時、第1の線307は、就寝時刻による設定温度に対応する点と、境界時刻における設定温度に対応する点とを結び、タップされた変曲点を通る曲線に変化する。
【0224】
図25Cは、使用者が第1の線307にタップすることで、第1の線307に第二の変曲点314が設けられる様子を示す。
【0225】
この時、第1の線307は、就寝時刻による設定温度に対応する点と、境界時刻における設定温度に対応する点とを結び、前記変曲点と、第二の変曲点を通る曲線に変化する。
【0226】
図25Dは、使用者が、一度設定された第二の変曲点314を再びタップすることで、第二の変曲点314が取り消されることを示す図である。
【0227】
第2の線308についても第1の線307と同様に操作し、第2の線308に変曲点を追加もしくは削除することができる。
【0228】
なお、変曲点の数は1つまたは2つに限らない。
【0229】
実施の形態9における情報端末10は、設定画面において曲線に複数の変曲点を設けることが可能である。これにより、空調の温度設定がよりきめ細かくされるため、情報端末10はより快適な室内環境を提供することができる。
【0230】
(実施の形態10)
図26A〜
図26Dは、実施の形態10における情報端末10において、設定温度を変更するために使用者が行う操作を時系列順に示す。
図26A〜
図26Dにおいて
図7および
図8A〜
図8Dと同じ構成要素については同じ符号が用いられ、説明が省略される。
【0231】
実施の形態1では、第1温度設定領域311における設定温度を、第1の線307を用いて補間したが、実施の形態10では使用者が明示的に点を指定することで第1温度設定領域311の特定の相対的な経過時間における設定温度を設定することができる。
【0232】
図26Aは、領域別設定温度設定部54が表示した画面の一例を示す。
【0233】
図26Bは、使用者が第1温度設定領域311上の所定の点をタップすることで、第1温度設定領域311にタップされた場所に応じた設定温度を示す点316が設けられる様子を示す。
【0234】
図26Cは、使用者が第1温度設定領域311上の異なる点にタップすることで、第1温度設定領域311にタップされた場所に設定温度を示す第二の点317が設けられる様子を示す。
【0235】
図26Dは、使用者が、一度設定した第二の点317を再度タップすることで、第二の点317が取り消される様子を示す。
【0236】
図26Cで、使用者が決定ボタンをタップすると設定温度が確定し、領域別設定温度72が有する第1温度設定領域の設定温度725に設定温度が書き込まれる。
【0237】
図27Aは、領域別設定温度設定部54が表示する設定画面を、使用者が操作することで設定された第一温度設定領域の設定温度725の一例を示す。使用者が、タップ操作により、第1温度設定領域311に、設定温度を示す点を2個設定した場合の値を示す。第一温度設定領域の設定温度725は、所定の時間721と所定の時間721に対応する温度722を有する。
【0238】
図27Bは、第一温度設定領域の設定温度725を用いて、空調制御情報決定部57が決定した、第一時間帯の設定温度745の例を示す。就寝時刻が23時、境界時刻が4時の場合を例にとる。ここで、第1温度設定領域は第1時間帯に対応する。
【0239】
空調制御情報決定部57は、就寝時刻の23時から、境界時刻である午前4時の間に、第1温度設定領域の設定温度725のそれぞれの値が、第一時間帯の設定温度745へ書き込まれる。
【0240】
空調制御情報決定部57は、23時から午前4時の間を、1時間40分間隔の等間隔に区切り、それぞれの時刻に対応する設定温度を順番に書き込む。
【0241】
第2温度設定領域312についても、第1温度設定領域311における温度設定の操作と同様である。使用者が第2温度設定領域312上の所定の点をタップすることで、設定温度を示す点を追加もしくは削除することができる。
【0242】
なお、タップによって設けられる設定温度を示す点の数は、1つまたは2つに限らない。
【0243】
実施の形態10における情報端末10の設定画面では、当該曲線に設定温度を示す1個以上の点を設けることができる。これにより、温度設定をよりきめ細かくすることができるため、情報端末10は使用者へより快適な空調制御を提供することができる。