特許第6337334号(P6337334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6337334無灰TBN源として立体障害アミンを含有する潤滑油組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337334
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】無灰TBN源として立体障害アミンを含有する潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 133/06 20060101AFI20180528BHJP
   C10M 141/06 20060101ALI20180528BHJP
   C10M 129/10 20060101ALN20180528BHJP
   C10M 137/10 20060101ALN20180528BHJP
   C10M 139/00 20060101ALN20180528BHJP
   C10N 10/12 20060101ALN20180528BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20180528BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20180528BHJP
【FI】
   C10M133/06
   C10M141/06
   !C10M129/10
   !C10M137/10 A
   !C10M139/00 Z
   C10N10:12
   C10N20:00 Z
   C10N30:00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-148338(P2013-148338)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2014-19873(P2014-19873A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年7月13日
(31)【優先権主張番号】13/550,646
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500010875
【氏名又は名称】インフィニューム インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】テュシャー ケイ ベラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ピー ハートレイ
(72)【発明者】
【氏名】グイフェン リ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル カンディード
(72)【発明者】
【氏名】クリスティナ イー グラクシー
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−150549(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02206764(EP,A1)
【文献】 特開2011−094144(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0105372(US,A1)
【文献】 特開2011−184691(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0224114(US,A1)
【文献】 特表2009−545640(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0051306(US,A1)
【文献】 特開2011−195774(JP,A)
【文献】 特開2002−053888(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0019320(US,A1)
【文献】 特開2013−072088(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0252865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
C10N 10/10− 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多量の潤滑粘度の油と、少量の1種または複数の式(I)の化合物と:
【化1】
(I)
(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり;R5およびR6は、それぞれ独立して、H、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R7は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、またはアリール基である;(但しR5がHでありR7がアルキル基である場合には、R6がアルキル基であることを条件とし、さらにR1、R2、R3、およびR4の3個以下が同時にメチルであることを条件とする))
を含む、潤滑油組成物。
【請求項2】
ASTM D−2896により測定した場合に少なくとも6mg KOH/gのTBNを有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
ASTM D−2896により測定した場合に6〜18mg KOH/gのTBNを有する、請求項2に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
1.1質量%以下のSASH含量を有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
1.0質量%以下のSASH含量を有する、請求項4に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
0.8質量%以下のSASH含量を有する、請求項5に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
ASTM D4739により測定した場合に、組成物のTBNの少なくとも10%が、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む無灰TBN源に由来する、請求項4に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
ASTM D4739により測定した場合に、組成物のTBNの少なくとも20%が、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む無灰TBN源に由来する、請求項に記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
ASTM D4739により測定した場合に、0.5〜4mg KOH/gの組成物のTBNが、式(I)の化合物に由来する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
0.4質量%未満の硫黄含量と、1200ppm以下のリンとを有する、請求項4に記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
5がHであり、R1、R2、R3、R4、およびR6がそれぞれ1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R7がC1−C6アルキルまたは2−アリールのどちらかである(但しR1、R2、R3、およびR4の3個以下は同時にメチルであることを条件とする)式(I)の化合物を含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
ASTM D−4739により測定した場合に、少なくとも50mg KOH/gのTBNを有する式(I)の化合物を含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
ASTM D−4739により測定した場合に、300mg KOH/g以下のTBNを有する式(I)の化合物を含む、請求項12に記載の潤滑油組成物。
【請求項14】
2.5〜30質量%の1種または複数の式(I)の化合物;10〜40質量%の窒素含有分散剤;2〜20質量%のアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、モリブデン化合物、またはこれらの混合物;5〜40質量%の清浄剤;および2〜20質量%のジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩を含む、請求項1に記載の潤滑油組成物を調製するための濃縮物。
【請求項15】
SASH含量を同時に増加させることなく、潤滑油組成物のTBNを増加させる方法であって、前記潤滑油組成物に、1種または複数の式(I)の化合物:
【化2】
(I)
(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり;R5およびR6は、それぞれ独立して、H、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R7は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、またはアリール基である;(但しR5がHでありR7がアルキル基である場合には、R6がアルキル基であることを条件とし、さらにR1、R2、R3、およびR4の3個以下が同時にメチルであることを条件とする))
を添加するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無灰TBN(全塩基価)ブースター潤滑油組成物、特に低レベルの硫酸化灰分(SASH)を有するクランクケース潤滑油組成物であって、立体障害アミン無灰TBN(全塩基価)ブースターを含有する潤滑油組成物として有用な、新規な種類の立体障害アミンに関する。
【背景技術】
【0002】
環境上の関心により、圧縮点火(ディーゼル燃料)および火花点火(ガソリン燃料)軽負荷内燃機関のCO、炭化水素、および酸化窒素(NOx)排出を低減させるため、絶え間ない努力がなされてきた。さらに、圧縮点火内燃機関の微粒子排出を低減させるための絶え間ない努力があった。重負荷ディーゼル車両に関する来たるべき排出基準を満たすため、相手先商標製品製造会社(OEM)は、追加の排ガス後処理装置の使用に頼ることになる。そのような排出ガス後処理装置は、1種または複数の酸化触媒、NOx貯蔵触媒、および/もしくはNH3還元触媒を含有することのできる触媒コンバータ;ならびに/または微粒子トラップを含んでいてもよい。
酸化触媒は、エンジン排ガス中に存在するある元素/化合物に曝されることによって、特にリン含有潤滑油添加剤の分解により排ガス中に導入されたリンおよびリン化合物に曝されることによって、毒性を有するようになり、それほど有効ではなくなる可能性がある。還元触媒は、潤滑剤をブレンドするのに使用される基油と、硫黄含有潤滑油添加剤との両方の分解によって導入された、エンジン排ガス中の硫黄および硫黄化合物に対して感受性がある。微粒子トラップは、分解した金属含有潤滑油添加剤の生成物である金属灰分で、詰まるようになる可能性がある。
長い使用寿命を保証するには、そのような後処理装置に対して最小限に抑えられた悪影響を及ぼす潤滑油添加剤を同定する必要があり、「新サービスフィル(service fill)」および「ファーストフィル(first fill)」重負荷ディーゼル(HDD)潤滑剤に関するOEM仕様は、0.4質量%という最大硫黄レベル;0.12質量%という最大リンレベル、および1.1質量%よりも低い硫酸化灰分含量を必要とし、この潤滑剤を、「mid−SAPS」潤滑剤と呼ぶ(「SAPS」は、「硫酸化灰分(Sulfated Ash)、リン(Phosphorus)、硫黄(Sulfur)」の頭字語である)。将来、OEMはさらに、これらのレベルの最大レベルをリン0.08質量%、硫黄0.2質量%、および硫酸化灰分0.8質量%に制限する可能性があり、そのような潤滑剤を「低SAPS」潤滑油組成物と呼ぶ。
【0003】
リン、硫黄、および灰分を含有する潤滑剤添加剤の量は、排出ガス後処理装置に適合する中−および低−SAPS潤滑剤が得られるように低減されているので、潤滑油組成物は、重負荷エンジン潤滑剤に関するOEMの「新サービス」および「ファーストフィル」仕様、例えばACEA E6およびMB p228.51(欧州)とAPI CI−4+およびAPI CJ−4(米国)仕様によって指示される適切な清浄力を含む高レベルの潤滑剤性能を、提供し続けなければならない。上記列挙された工業規格を満たす潤滑油組成物として分類されるための基準は、当業者に公知である。
排ガス再循環(EGR)システム、特に排ガスが再循環前に冷却される凝縮EGRシステムを備えたエンジン内で増大する、燃焼の中和された酸性副生成物に対する潤滑剤の能力は、組成物の全塩基価(TBN)を増大させることによって改良することができ、かつ潤滑剤の排出間隔を延ばすことができる。歴史的には、TBNは、硫酸化灰分を組成物に導入する過塩基清浄剤によって、提供されてきた。硫酸化灰分に寄与しないTBNブースト成分を使用して、高レベルのTBNを有する潤滑油組成物を提供することが、有利と考えられる。非常に塩基性のある成分は腐食を誘発し、ある場合にはエンジン内で使用される潤滑油組成物とフルオロエラストマー封止材料との間の適合性を低減させることが知られているので、腐食を誘発せず、好ましくは封止材適合性に悪影響を及ぼさないような成分を、提供することが好ましいと考えられる。改善された燃料の経済性に対する要求により、0Wおよび5W20および30グレードの潤滑剤など、それほど粘性のない潤滑剤が、より普及するようになった。そのような潤滑剤の、より容易な配合を可能にするには、添加剤によって導入されるポリマーの量が、好ましくは最小限に抑えられる。したがって、非ポリマー無灰TBN源を提供することがさらに好ましいと考えられる。
米国特許第5,525,247号;第5,672,570号;および第6,569,818号は、過塩基清浄剤を中性清浄剤で置き換えることによって硫酸化灰分含量を低減させる、「低灰分」潤滑油組成物を対象とする。これらの特許は、そのような潤滑剤が充分な清浄力を提供するものと記述しているが、そのような潤滑剤が、例えばHDDエンジンでの使用に充分なTBNを提供することは、主張されていない。米国特許出願第2007/0203031号は、無灰TBN源としての、高TBN窒素含有分散剤の使用について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,525,247号
【特許文献2】米国特許第5,672,570号
【特許文献3】米国特許第6,569,818号
【特許文献4】米国特許出願第2007/0203031号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、潤滑油組成物、好ましくは重負荷ディーゼル(HDD)エンジン用のクランクケース潤滑油組成物であって、硫酸化灰分を導入することなく潤滑油組成物のTBNを増大させるための添加剤として有用な、1種または複数のヒンダードアミンを含有するものが提供される。
本発明の第2の態様によれば、約6〜約15のTBNと、1.1質量%未満、好ましくは0.8質量%未満の硫酸化灰分(SASH)含量とを有する、第1の態様にあるような潤滑油組成物が提供される。
本発明の第3の態様によれば、重負荷エンジン潤滑剤に関するACEA E6、MB p228.51、API CI−4+、およびAPI CJ−4仕様の1つまたは複数の性能基準を満たす、第1および第2の態様にあるような潤滑油組成物が提供される。
本発明の第4の態様によれば、排ガス再循環(EGR)システム、好ましくは凝縮EGRシステムと、微粒子トラップとを備えた重負荷ディーゼルエンジンが提供され、このエンジンのクランクケースは、第1、第2、または第3の態様の潤滑油組成物で潤滑化される。
本発明の第5の態様によれば、硫酸化灰分を導入することなく潤滑油組成物のTBNを増大させるための添加剤として有用な1種または複数のヒンダードアミンを、前記潤滑油組成物に組み込むステップを含む、低SASH含量を有する高TBN潤滑剤を形成するための方法が提供される。
本発明の第6の態様によれば、無灰潤滑油組成物TBN源としての、1種または複数のヒンダードアミンの使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
潤滑油組成物の無灰TBN源として有用な、本発明によるヒンダードアミンは、式(I)により定義される:
【0007】
【化1】
(I)
(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり;R5およびR6は、それぞれ独立して、H、または1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R7は、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基、またはアリール基であり;但しR5がHでありR7がアルキル基である場合には、R6がアルキル基であることを条件とし、さらにR1、R2、R3、およびR4の3個以下が同時にメチルであることを条件とする)。あるいは、本発明によるヒンダードアミンは、2β−分枝状アルキル基(アルキル鎖の第2の炭素原子上で分枝)と、β−分枝状の、2−アリール置換された、またはα−分枝状の1個のアルキル基(アルキル鎖の第1の炭素原子上で分枝)とを有するアミンであると記述することができる。置換基のこの組合せは、潤滑油組成物に使用した場合、腐食およびフルオロエラストマーエンジンシール材料との適合性に対してアミン化合物が悪影響を及ぼすことのない、あるレベルの立体障害をもたらすことが見出された。
【0008】
好ましいヒンダードアミンは、R5がHであり、R1、R2、R3、R4、およびR6がそれぞれ1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R7がC1−C6アルキルまたは2−アリールのどちらかであり、但し、R1、R2、R3、およびR4の3個以下は同時にメチルであることを条件とする、式(I)の化合物である。好ましくは、式(I)のヒンダードアミン化合物は、少なくとも約175ダルトン、例えば少なくとも約225ダルトン、より好ましくは少なくとも約275ダルトンの分子量、および最大分子量約690ダルトン、例えば約600ダルトン、より好ましくは約400ダルトンを有する。好ましくは、式(I)のヒンダードアミン化合物は、約175〜約690ダルトン、例えば約225〜約600ダルトン、好ましくは約275〜約400ダルトンの分子量を有する。
本発明の潤滑油組成物で使用するのに適切なヒンダードアミンは、好ましくは、ASTM D−4739により測定した場合に、少なくとも約50mg KOH/g、例えば少なくとも約100mg KOH/g、より好ましくは少なくとも約150mg KOH/gのTBN(正味(neat))を有する。本発明の潤滑油組成物で使用するのに適切なヒンダードアミンは、好ましくは、ASTM D−4739により測定した場合、約300mg KOH/g以下、例えば約250mg KOH/g以下、より好ましくは約200mg KOH/g以下のTBN(正味)を有する。
【0009】
本発明の潤滑油組成物は、多量の潤滑粘度の油と、少量の式Iのアミンとを含む。
本発明の文脈において有用な潤滑粘度の油は、天然潤滑油、合成潤滑油、およびこれらの混合物から選択されてもよい。潤滑油は、その粘度が軽質蒸留鉱油から重質潤滑油、例えばガソリンエンジンオイル、鉱質潤滑油、および重負荷ディーゼルオイルにまで及んでもよい。一般に油の粘度は、100℃で測定した場合に約2センチストークス〜約40センチストークス、特に約4センチストークス〜約20センチストークスに及ぶ。
【0010】
天然油には、動物油および植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油);液化石油と、パラフィン系、ナフテン系、および混合型パラフィン−ナフテン系タイプの水素化精製され、溶媒処理され、または酸処理された鉱油が含まれる。石炭またはシェールに由来する潤滑粘度の油も、有用な基油として働く。
【0011】
合成潤滑油には、炭化水素油およびハロ置換炭化水素油、例えば重合および共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィド、ならびにこれらの誘導体、類似体、および同族体が含まれる。ガス液化(gas to liquid)または「GTL」基油と一般に呼ばれる、フィッシャー−トロプッシュ合成炭化水素からのガス液化プロセスに由来する合成油も、有用である。
アルキレンオキシドポリマーおよびインターポリマーとこれらの誘導体であって、末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などにより修飾されているものは、別の種類の公知の合成潤滑油を構成する。これらは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合によって調製されたポリオキシアルキレンポリマーと、ポリオキシアルキレンポリマーのアルキルおよびアリールエーテル(例えば、1000ダルトンの分子量を有するメチル−ポリイソ−プロピレングリコールエーテル、または1000〜1500ダルトンの分子量を有するポリ−エチレングリコールのジフェニルエーテル);これらのモノ−およびポリカルボン酸エステル、例えば、テトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合型C3−C8脂肪酸エステル、およびC13オキソ酸ジエステルによって例示される。
【0012】
合成潤滑油の別の適切な種類には、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と、様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルが含まれる。そのようなエステルの特定の例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステルと、1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2−エチルヘキサン酸と反応させることによって形成された複合エステルが含まれる。
合成油として有用なエステルには、C5−C12モノカルボン酸およびポリオールと、ポリオールエステル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールから作製されたものも含まれる。
【0013】
シリコンをベースとする油、例えばポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−、またはポリアリールオキシシリコーン油、およびシリケート油には、別の有用な種類の合成潤滑剤が含まれ;そのような油には、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(p−tert−ブチル−フェニル)シリケート、ヘキサ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、およびポリ(メチルフェニル)シロキサンが含まれる。その他の合成潤滑油には、リン含有酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、デシルホスホン酸のジエチルエステル)およびポリマーテトラヒドロフランが含まれる。
潤滑粘度の油は、グループI、グループIIもしくはグループIIIのベースストック(base stock)または前述のベースストックの基油ブレンドを含んでいてもよい。好ましくは潤滑粘度の油は、グループIIもしくはグループIIIのベースストックまたはこれらの混合物、あるいはグループIのベースストックと1種または複数のグループIIおよびグループIIIとの混合物である。好ましくは、多量の潤滑粘度の油は、グループII、グループIII、グループIV、もしくはグループVのベースストック、またはこれらの混合物である。ベースストックまたはベースストックのブレンドは、好ましくは、少なくとも65%、より好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも85%の飽和含量を有する。より好ましくは、ベースストックまたはベースストックブレンドは、90%よりも高い飽和含量を有する。好ましくは油または油のブレンドは、1重量%未満、好ましくは0.6重量%未満、より好ましくは0.4重量%未満の硫黄含量を有することになる。
好ましくは、油または油のブレンドの揮発度は、ノアク揮発度試験(ASTM D5880)により測定した場合、30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、最も好ましくは16%以下である。好ましくは、油または油のブレンドの粘度指数(VI)は、少なくとも85、好ましくは少なくとも100、最も好ましくは約105〜140である。
【0014】
本発明におけるベースストックおよび基油に関する定義は、American Petroleum Institute (API) publication "Engine Oil Licensing and Certification System", Industry Services Department, Fourteenth Edition, December 1996, Addendum 1, December 1998に見出されるものと同じである。前記刊行物は、ベースストックを下記の通り分類する:
a)グループIのベースストックは、90%未満の飽和物および/または0.03%より多い硫黄を含有し、表1に指定された試験方法を使用して、80以上かつ120未満の粘度指数を有する。
b)グループIIのベースストックは、90%以上の飽和物および0.03%以下の硫黄を含有し、表1に指定された試験方法を使用して、80以上かつ120未満の粘度指数を有する。
c)グループIIIのベースストックは、90%以上の飽和物および0.03%以下の硫黄を含有し、表1に指定された試験方法を使用して、120以上の粘度指数を有する。
d)グループIVのベースストックは、ポリアルファオレフィン(PAO)である。
e)グループVのベースストックは、グループI、II、III、またはIVに含まれない全てのその他のベースストックを含む。
【0015】
【表1】
【0016】
金属含有清浄剤または灰形成清浄剤は、堆積物を低減させまたは除去するための清浄剤としてかつ酸中和剤または錆止め剤として機能し、それにより摩耗および腐食が低減し、エンジン寿命が延びる。清浄剤は一般に、長い疎水性尾部を備えた極性頭部を含み、この極性頭部は酸性有機化合物の金属塩を含んでいる。この塩は、実質的に化学量論量の金属を含有していてもよく、その場合、塩は通常、正塩または中性塩として記述され、典型的には0〜80の全塩基価またはTBN(ASTM D2896により測定できるように)を有することが可能である。大量の金属塩基が、過剰な金属化合物(例えば、酸化物または水酸化物)を酸性ガス(例えば、二酸化炭素)と反応させることにより組み込まれ得る。得られる過塩基清浄剤は、金属塩基(例えば、カーボネート)ミセルの外層として、中和された清浄剤を含む。そのような過塩基清浄剤は、150以上のTBNを有していてもよく、典型的には250〜450またはそれ以上のTBNを有していてもよい。式Iの化合物の存在下、過塩基清浄剤の量を低減させることができ、または低レベルの過塩基作用を有する清浄剤(例えば、100〜200のTBNを有する清浄剤)もしくは中性清浄剤を用いることができ、その結果、潤滑油組成物のSASH含量は、その性能を低下させることなく相当量低減される。
【0017】
使用してもよい清浄剤には、金属、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、およびマグネシウムの、油溶性の中性および過塩基状態のスルホネート、フェネート、硫化フェネート、チオホスホネート、サリチレート、およびナフテネートと、その他の油溶性カルボキシレートが含まれる。最も一般的に使用される金属は、カルシウムおよびマグネシウムであり、これらは共に、潤滑剤に使用される清浄剤中に存在し、さらにカルシウムおよび/またはマグネシウムとナトリウムとの混合物中に存在していてもよい。特に都合の良い清浄剤は、20〜450TBNのTBNを有する中性および過塩基スルホン酸カルシウムと、5〜450のTBNを有する中性および過塩基カルシウムフェネートおよび硫化フェネートである。過塩基でも中性でも、またはその両方であっても、清浄剤の組合せを使用することができる。
【0018】
スルホネートは、石油の分別からまたは芳香族炭化水素のアルキル化により得られるような、アルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化により典型的に得られるスルホン酸から調製されてもよい。その例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル、またはこれらのハロゲン誘導体、例えばクロロベンゼン、クロロトルエン、およびクロロナフタレンをアルキル化することによって得られたものが含まれる。アルキル化は、約3〜70個超の炭素原子を有するアルキル化剤を用い、触媒の存在下で実施されてもよい。アルカリールスルホネートは、通常、アルキル置換芳香族部分当たり約9〜約80個またはそれ以上の炭素原子、好ましくは約16〜約60個の炭素原子を含有する。
油溶性スルホネートまたはアルカリールスルホン酸は、金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド、カーボネート、カルボキシレート、硫化物、水硫化物、ナイトレート、ボレート、およびエーテルを用いて中和されてもよい。金属化合物の量は、最終生成物の所望のTBNに関して選択されるが、典型的には、化学量論的に必要とされる場合の約100〜220質量%(好ましくは、少なくとも125質量%)に及ぶ。
フェノールおよび硫化フェノールの金属塩は、酸化物または水酸化物などの適切な金属化合物との反応によって調製され、中性または過塩基生成物は、当技術分野で周知の方法により得られてもよい。硫化フェノールは、フェノールを、硫黄または硫黄含有化合物、例えば硫化水素、モノハロゲン化硫黄、またはジハロゲン化硫黄と反応させて、一般に2個以上のフェノールが硫黄含有架橋により架橋されている化合物の混合物である生成物を生成する。
【0019】
本発明の潤滑油組成物は、さらに、1種または複数の無灰分散剤を含有していてもよく、潤滑油に添加された場合にガソリンおよびディーゼルエンジンで使用することにより、堆積物の形成を効果的に低減させる。本発明の組成物に有用な無灰分散剤は、分散される粒子と会合することが可能な官能基を有する長鎖の油溶性ポリマー主鎖を含む。典型的には、そのような分散剤は、しばしば架橋基を介してポリマー主鎖に結合されたアミン、アルコール、アミド、またはエステル極性部分を含む。無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換モノ−およびポリカルボン酸またはこれらの無水物の、油溶性塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド、およびオキサゾリン;長鎖炭化水素のチオカルボン酸塩誘導体;そこに直接結合されたポリアミン部分を有する長鎖脂肪族炭化水素;長鎖置換フェノールをホルムアルデヒドおよびポリアルキレンポリアミンと縮合することにより形成されたマンニッヒ縮合生成物から選択されてもよい。使用される最も一般的な分散剤は、スクシンイミド分散剤であり、これはヒドロカルビル置換無水コハク酸とポリ(アルキレンアミン)との縮合生成物である。モノ−およびビス−スクシンイミド分散剤(とこれらの混合物)は、周知である。
【0020】
好ましくは、無灰分散剤は、4,000ダルトン以上、例えば4,000〜20,000ダルトンの間の数平均分子量(Mn)を有する「高分子量」分散剤である。正確な分子量範囲は、分散剤を形成するのに使用されるポリマーのタイプ、存在する官能基の数、および用いられる極性官能基のタイプに依存することになる。例えばポリイソブチレン誘導体化分散剤の場合、高分子量分散剤は、約1680ダルトン〜約5600ダルトンの数平均分子量を有するポリマー主鎖で形成されたものである。典型的な市販のポリイソブチレンをベースとした分散剤は、無水マレイン酸(MW=98)により官能化されかつ約100〜約350ダルトンの分子量を有するポリアミンで誘導体化された、約900〜約2300ダルトンに及ぶ数平均分子量を有するポリイソブチレンポリマーを含有する。低分子量のポリマーは、多数のポリマー鎖を分散剤に組み込むことによって高分子量分散剤を形成するのに使用されてもよく、これは当技術分野で公知の方法を使用して実現することができる。
【0021】
分散剤の好ましいグループには、ポリアミン誘導体化ポリα−オレフィン分散剤、特にエチレン/ブテンα−オレフィンおよびポリイソブチレンをベースとした分散剤が含まれる。無水コハク酸基で置換されたポリイソブチレンに由来し、かつポリエチレンアミン、例えばポリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン;またはポリオキシアルキレンポリアミン、例えばポリオキシプロピレンジアミン、トリメチロールアミノメタン;ヒドロキシ化合物、例えばペンタエリスリトール;およびこれらの組合せと反応させた、無灰分散剤が特に好ましい。1つの特に好ましい分散剤の組合せは、(A)無水コハク酸基で置換されたポリイソブチレンと、それと反応させる(B)ヒドロキシ化合物、例えばペンタエリスリトール;(C)ポリオキシアルキレンポリアミン、例えばポリオキシプロピレンジアミン、または(D)ポリアルキレンジアミン、例えばポリエチレンジアミンおよびテトラエチレンペンタミンとの組合せであり、このとき(A)1モル当たり、(B)、(C)、および/または(D)を約0.3〜約2モル使用する。別の好ましい分散剤の組合せは、米国特許第3,632,511号に記載されるように、(A)ポリイソブテニル無水コハク酸と(B)ポリアルキレンポリアミン、例えばテトラエチレンペンタミン、および(C)多価アルコールまたはポリヒドロキシ置換脂肪族1級アミン、例えばペンタエリスリトールまたはトリスメチロールアミノメタンとの組合せを含む。
【0022】
無灰分散剤の別の種類には、マンニッヒ塩基縮合生成物が含まれる。一般にこれらの生成物は、例えば米国特許第3,442,808号に開示されるように、アルキル置換モノ−またはポリヒドロキシベンゼン約1モルを、1種または複数のカルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒドおよびパラホルムアルデヒド)約1〜2.5モルおよびポリアルキレンポリアミン約0.5〜2モルと縮合させることによって、調製される。そのようなマンニッヒ塩基縮合生成物は、ベンゼン基の置換基としてメタロセン触媒重合のポリマー生成物を含んでいてもよく、または米国特許第3,442,808号に記載されたものと同様の手法で無水コハク酸で置換されたようなポリマーを含有する化合物と反応させてもよい。メタロセン触媒系を使用して合成された官能化および/または誘導体化されたオレフィンポリマーの例が、上記特定された刊行物に記載されている。
【0023】
分散剤は、一般に米国特許第3,087,936号および第3,254,025号に教示されるように、ホウ素化のような様々な従来の後処理によって、さらに後処理することができる。分散剤のホウ素化は、アシル窒素含有分散剤を、アシル化窒素組成物各1モルについて約0.1〜約20の原子比のホウ素をもたらすのに充分な量のホウ素化合物、例えば酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ素酸、およびホウ素酸のエステルで処理することにより、容易に達成される。有用な分散剤は、約0.05〜約2.0質量%、例えば約0.05〜約0.7質量%のホウ素を含有する。脱水ホウ酸ポリマー(主に(HBO23)として生成物中に現れるホウ素は、アミン塩、例えばジイミドのメタホウ酸塩として分散剤のイミドおよびジイミドに結合すると考えられる。ホウ素化は、約0.5〜4質量%、例えば約1〜約3質量%(アシル窒素化合物の質量に対して)のホウ素化合物、好ましくはホウ酸を、通常はスラリーとしてアシル窒素化合物に添加し、約135℃〜約190℃、例えば140℃〜170℃で約1〜約5時間にわたり撹拌しながら加熱し、その後、窒素ストリッピングを行うことによって実施することができる。あるいは、ホウ素処理は、水を除去しながら、ホウ酸をジカルボン酸物質とアミンとの熱反応混合物に添加することにより、実施することができる。当技術分野で一般に知られているその他の後反応プロセス方法も、適用することができる。
【0024】
分散剤は、いわゆる「キャッピング剤」との反応によってさらに後処理されてもよい。従来、窒素含有分散剤は、そのような分散剤がフルオロエラストマーエンジンシールに及ぼす悪影響を低減させるため、「キャップされ」ていた。数多くのキャッピング剤および方法が公知である。公知「キャッピング剤」の中で、塩基性分散剤のアミノ基を非塩基性部分(例えば、アミドまたはイミド基)に変換するものが、最も適切である。窒素含有分散剤とアルキルアセトアセテート(例えばエチルアセトアセテート(EAA))との反応が、例えば米国特許第4,839,071号、第4,839,072号、および第4,579,675号に記載されている。窒素含有分散剤とギ酸との反応は、例えば米国特許第3,185,704号に記載されている。窒素含有分散剤とその他の適切なキャッピング剤との反応生成物が、米国特許第4,663,064号(グリコール酸);第4,612,132号;第5,334,321号;第5,356,552号;第5,716,912号;第5,849,676号;第5,861,363号(アルキルおよびアルキレンカーボネート、例えばエチレンカーボネート);第5,328,622号(モノ−エポキシド);第5,026,495号;第5,085,788号;第5,259,906号;第5,407,591号(ポリ(例えば、ビス)−エポキシド)、および第4,686,054号(無水マレイン酸または無水コハク酸)に記載されている。前述のリストは全てを網羅したものではなく;窒素含有分散剤をキャップするその他の方法が当業者に公知である。
【0025】
適切なピストン堆積物制御では、約0.03質量%〜約0.15質量%、好ましくは約0.07〜約0.12質量%の窒素を潤滑油組成物に与える量で、窒素含有分散剤を添加することができる。
【0026】
無灰分散剤はその性質が塩基性であり、したがって、極性基の性質に応じて、また分散剤がホウ化されたのかまたはキャッピング剤で処理されたのかに応じて、約5〜約200mg KOH/gであってもよいTBNを有する。しかし、高レベルの塩基性分散剤の窒素は、エンジンシールを形成するのに従来から使用されているフルオロエラストマー材料に悪影響及ぼすことが公知であり、したがって、ピストン堆積物制御を行うのに必要な最小限の量の分散剤を使用し、5より大きいTBNを有する分散剤を実質的に使用せずまたは好ましくはこの分散剤を全く使用しないことが好ましい。好ましくは、用いられる分散剤の量は、潤滑油組成物に対し、4以下、好ましくは3mg KOH/g以下のTBNを与えることになる。分散剤は、潤滑油組成物のTBNの30%以下、好ましくは25%以下を提供することがさらに好ましい。
追加の添加剤を本発明の組成物に組み込んで、特定の要件を満たすことができるようにしてもよい。潤滑油組成物中に含まれてもよい添加剤の例は、金属錆止め剤、粘度指数改良剤、腐食抑制剤、酸化抑制剤、摩擦改質剤、その他の分散剤、消泡剤、耐摩耗剤、および流動点降下剤である。これらのいくつかについて、以下にさらに詳細に論じる。
【0027】
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩が、耐摩耗および酸化防止剤として頻繁に使用される。金属は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、またはアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケルもしくは銅であってもよい。亜鉛塩が、潤滑油組成物の合計重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜2重量%の量で、潤滑油に最も一般的に使用される。これらは、公知の技術に従って、最初に通常は1種または複数のアルコールまたはフェノールとP25とを反応させることによりジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、次いで形成されたDDPAを亜鉛化合物で中和することにより、調製されてもよい。例えばジチオリン酸は、1級および2級アルコールの混合物を反応させることによって作製されてもよい。あるいは、一方のヒドロカルビル基が特性上完全に2級でありかつ他方のヒドロカルビル基が特性上完全に1級である場合、多数のジチオリン酸を調製することができる。亜鉛塩を作製するには、任意の塩基性または中性亜鉛化合物を使用することができるが、酸化物、水酸化物、および炭酸塩がほぼ一般的に用いられる。市販の添加剤は、中和反応において過剰な塩基性亜鉛化合物を使用することにより、過剰な亜鉛を頻繁に含有する。
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、式:
【0028】
【化2】
(式中、RおよびR’は、1〜18個、好ましくは2〜12個の炭素原子を含有し、かつアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリール、および脂環式基などの基を含む、同じまたは異なるヒドロカルビル基であってもよい)により表すことができる。RおよびR’基として、2〜8個の炭素原子のアルキル基が特に好ましい。したがって、この基は、例えばエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってもよい。油溶性を得るために、ジチオリン酸中の炭素原子の合計数(即ち、RおよびR’)は一般に約5個以上になる。したがってジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含むことができる。本発明は、組成物の合計質量に対して約0.02〜約0.12質量%、例えば約0.03〜約0.10質量%、また約0.05〜約0.08質量%のリンレベルを含有する潤滑剤組成物と共に使用した場合、特に有用と考えられる。1つの好ましい実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、2級アルコールに主に(例えば、50mol%超、例えば、60mol%超)由来するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する。
【0029】
酸化抑制剤または酸化防止剤は、鉱油が使用中に劣化する傾向を低減させる。酸化的劣化は、潤滑剤中のスラッジ、金属表面上のワニス状の堆積物、および増粘により証明することができる。そのような酸化抑制剤には、ヒンダードフェノール、好ましくはC5−C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェノールスルフィド、油溶性フェネートおよび硫化フェネート、リン硫化または硫化炭化水素、リンエステル、金属チオカルバメート、米国特許第4,867,890号に記載される油溶性銅化合物、ならびにモリブデン含有化合物が含まれる。
【0030】
1つのアミン窒素に直接結合された少なくとも2個の芳香族基を有する典型的な油溶性芳香族アミンは、6〜16個の炭素原子を含有する。アミンは、3個以上の芳香族基を含有していてもよい。合計で少なくとも3個の芳香族基を有し、そのうち2個の芳香族基が共有結合により連結されまたは1個の原子もしくは基(例えば、酸素もしくは硫黄原子、または−CO−、−SO2−、もしくはアルキレン基)により連結され、かつ2個が1つのアミン窒素に直接結合されている化合物は、窒素に直接結合された少なくとも2個の芳香族基を有する芳香族アミンとも見なされる。芳香族環は、典型的には、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルアミノ、ヒドロキシ、およびニトロ基から選択される1つまたは複数の置換基によって置換される。
多数の酸化防止剤は、一般に組み合わせて用いられる。1つの好ましい実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、約0.1〜約1.2質量%のアミン系酸化防止剤と、約0.1〜約3質量%のフェノール系酸化防止剤とを含有する。別の好ましい実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、約0.1〜約1.2質量%のアミン系酸化防止剤、約0.1〜約3質量%のフェノール系酸化防止剤、およびモリブデン化合物を、潤滑油組成物に約10〜約1000ppmのモリブデンが与えられる量で含有する。
【0031】
適切な粘度改質剤の代表的な例は、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレンのコポリマー、ポリメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物のコポリマー、スチレンとアクリルエステルのインターポリマー、さらにスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、およびイソプレン/ブタジエンの部分水素化コポリマー、ならびにブタジエンとイソプレンの部分水素化ホモポリマーである。
最終的な油のその他の成分に対して相溶性のある摩擦改質剤および燃料節約剤も、含めてもよい。そのような材料の例には、高級脂肪酸のグリセリルモノエステル、例えば、グリセリルモノ−オレエート;長鎖ポリカルボン酸とジオールとのエステル、例えばダイマー化された不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル;オキサゾリン化合物;ならびにアルコキシル化アルキル置換モノ−アミン、ジアミンおよびアルキルエーテルアミン、例えばエトキシル化獣脂アミンおよびエトキシル化獣脂エーテルアミンが含まれる。
その他の公知の摩擦改質剤は、油溶性有機モリブデン化合物を含む。そのような有機モリブデン摩擦改質剤も、酸化防止性および耐摩耗性を潤滑油組成物に与える。そのような油溶性有機モリブデン化合物の例には、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、およびスルフィドなどと、これらの混合物が含まれる。モリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート、およびアルキルチオキサンテートが特に好ましい。
さらに、モリブデン化合物は、酸性モリブデン化合物であってもよい。これらの化合物は、ASTM試験D−664またはD−2896滴定手順により測定した場合に塩基性窒素化合物と反応することになり、典型的には6価である。モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、およびその他のアルカリ性金属モリブデン酸塩と、その他のモリブデン塩、例えばモリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl4、MoO2Br2、Mo23Cl6、三酸化モリブデン、または類似の酸性モリブデン化合物が含まれる。
【0032】
本発明の組成物に有用なモリブデン化合物の中には、式:
Mo(ROCS24および
Mo(RSCS24
(式中、Rは、一般に1〜30個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子、のアルキル、アリール、アラルキル、およびアルコキシアルキルからなる群から選択される有機基であり、最も好ましくは、2〜12個の炭素原子のアルキルである)の有機モリブデン化合物がある。モリブデンのジアルキルジチオカルバメートが特に好ましい。
【0033】
本発明の潤滑組成物に有用な有機モリブデン化合物の別のグループは、3核モリブデン化合物、特に式Mo3knzのものおよびこれらの混合物であり、式中、Lは、この化合物を油に可溶性にしまたは分散性にするのに充分な数の炭素原子を備えた有機基を有する、独立して選択されるリガンドであり、nは1〜4であり、kは4から7まで様々であり、Qは、中性電子供与化合物、例えば水、アミン、アルコール、ホスフィン、およびエーテルの群から選択され、zは0〜5に及びかつ非化学量論値を含む。少なくとも21個の合計炭素原子、例えば少なくとも25個、少なくとも30個、または少なくとも35個の炭素原子は、全てのリガンド有機基の中に存在すべきである。
分散剤−粘度指数改良剤は、粘度指数改良剤および分散剤の両方として機能する。分散剤−粘度指数改良剤の例には、アミン、例えばポリアミンと、ヒドロカルビル置換モノ−またはジ−カルボン酸との反応生成物が含まれ、このヒドロカルビル置換基は、粘度指数改良特性を化合物に与えるのに充分な長さの鎖を含むものである。一般に、粘度指数改良剤分散剤は、例えば、ビニルアルコールのC4−C24不飽和エステルまたはC3−C10不飽和モノ−カルボン酸またはC4−C10ジ−カルボン酸と、4〜20個の炭素原子を有する不飽和窒素含有モノマーとのポリマー;アミン、ヒドロキシルアミン、またはアルコールで中和された、C2−C20オレフィンと不飽和C3−C10モノ−またはジ−カルボン酸とのポリマー;あるいは、C4−C20不飽和窒素含有モノマーをグラフト化することによってまたは不飽和酸をポリマー主鎖にグラフト化し次いでグラフト化された酸のカルボン酸基を、アミン、ヒドロキシアミン、もしくはアルコールと反応させることによって、さらに反応させた、エチレンとC3−C20オレフィンとのポリマーであってもよい。
別名を潤滑油流動改良剤(LOFI)として知られている流動点降下剤は、流体が流れることになりまたは流体を注ぐことができる最低限の温度を低下させる。そのような添加剤は周知である。流体の低温流動性を改良するこれらの添加剤の典型例は、C8−C18ジアルキルフマレート/酢酸ビニルコポリマー、およびポリメタクリレートである。発泡制御は、ポリシロキサン型の消泡剤、例えばシリコーン油またはポリジメチルシロキサンによって行うことができる。
上述の添加剤のいくつかは、多数の効果を発揮することができ;したがって例えば、単一の添加剤は、分散剤−酸化抑制剤として作用してもよい。この手法は周知であり、本明細書でさらに説明する必要はない。
【0034】
本発明では、ブレンドの粘度の安定性を維持する添加剤を含むことも、好ましいと考えられる。このように、極性基を含有する添加剤は予備ブレンド段階で適切に低い粘度を実現するが、いくつかの組成物は、長期間貯蔵された場合に粘度が増大することが観察された。この粘度の増大を制御する際に有効な添加剤には、本明細書で以上に開示された無灰分散剤の調製に使用されるモノ−もしくはジカルボン酸または無水物との反応によって官能化された、長鎖炭化水素が含まれる。
潤滑組成物が上記添加剤の1種または複数を含有する場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を発揮することができる量で基油にブレンドされる。
潤滑組成物が上述の添加剤の1種または複数を含有する場合、各添加剤は、典型的には、添加剤がその所望の機能を発揮することができる量で基油にブレンドされる。そのような添加剤がクランクケース潤滑剤に使用された場合の、代表的な有効量を、以下に列挙する。列挙された全ての値は、質量%活性成分として記述される。
【0035】
【表2】
【0036】
本発明の完全配合潤滑油組成物は、好ましくは、少なくとも6mg KOH/g、例えば約6〜約18mg KOH/g(ASTM D2896)のTBNを有する。より好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも8.5mg KOH/g、例えば約8.5または9〜約18mg KOH/gのTBNを有する。
本発明の完全配合潤滑油組成物は、好ましくは、約1.1質量%以下、好ましくは約1.0質量%以下、より好ましくは約0.8質量%以下、例えば0.5質量%以下の硫酸化灰分(SASH)含量(ASTM D−874)を有する。
好ましくは、本発明の完全配合潤滑油組成物は、式Iの少なくとも1種のアミンを含む無灰TBN源に、組成物のTBN(ASTM D4739により測定した場合)の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%が由来する。より好ましくは、本発明の完全配合潤滑油組成物は、式Iの少なくとも1種のアミンに、組成物のTBNの少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%が由来する。好ましくは、本発明の完全配合潤滑油組成物は、式Iのアミンを、組成物に約0.5〜約4mg KOH/g、好ましくは約1〜約3mg KOH/gのTBN(ASTM D4739)を与える量で含有する。
【0037】
本発明の完全配合潤滑油組成物は、さらに好ましくは、約0.4質量%未満、さらに約0.35質量%未満、より好ましくは約0.03質量%未満、例えば約0.20質量%未満の硫黄含量を有する。好ましくは、完全配合潤滑油組成物(潤滑粘度の油+全ての添加剤および添加剤希釈剤)のノアク揮発度(ASTM D5880)は、13以下、例えば12以下、好ましくは10以下になる。本発明の完全配合潤滑油組成物は、好ましくは、1200ppm以下のリン、例えば1000ppm以下のリン、または800ppm以下のリン、例えば600ppm以下のリン、または500もしくは400ppm以下のリンを有する。
【0038】
添加剤を含む1種または複数の添加剤濃縮物(添加剤パッケージと時々呼ばれる濃縮物)を調製することは、必要不可欠ではないが望ましいと考えられ、それによって数種の添加剤を、潤滑油組成物が形成されるように同時に油に添加することができる。本発明の潤滑油組成物を調製するための濃縮は、例えば、約5〜約30質量%の1種または複数の式(I)の化合物;約10〜約40質量%の窒素含有分散剤;約2〜約20質量%のアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、モリブデン化合物、またはこれらの混合物;約5〜40質量%の清浄剤;および約2〜約20質量%のジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩を含有していてもよい。
最終組成物は、5〜25質量%、好ましくは5〜18質量%、典型的には10〜15質量%の濃縮物を用いてもよく、残りは潤滑粘度の油および粘度改質剤である。
本明細書に表される全ての重量(および質量)%は(他に指示されない限り)、添加剤および/または添加剤パッケージであって任意の関連する希釈剤を除外したものの、活性成分(A.I.)含量を基にする。しかし清浄剤は、従来、生成物から除去されない希釈剤オイル中で形成され、清浄剤のTBNは従来、関連する希釈剤オイル中の活性清浄剤に与えられる。したがって、重量(および質量)%は、清浄剤について言及する場合(他に指示されない限り)、活性成分および関連する希釈剤オイルの合計重量(または質量)%である。
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに理解され、全ての部は、他に言及しない限り重量(または質量)部である。
【実施例】
【0039】
(合成実施例)
アミン1:線状アミン−トリ−n−ペンチルアミン(比較)
【0040】
【化3】
市販の材料;東京化成工業、東京、日本およびTCI America、Portland Oregon、USAから、純度98%で入手可能。
アミン2:線状アミン−トリ−n−オクチルアミン(比較)
【0041】
【化4】
市販の材料;Alfa Aesar、A Johnson Matthey Company、Ward Hill、Massachusetts、USAから純度95%で入手可能。
(合成実施例1)
アミン3:トリス(2−エチルヘキシルアミン)
【0042】
【化5】
ビス(2−エチルヘキシル)アミン(30g、124mmol)、2−エチルヘキサナル(23.9g、186mmol)、およびジクロロメタン(DCM、50g)を、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、5.5時間、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、31.6g、149mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。反応混合物を、48時間撹拌したままにした。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、透明な油が得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘプタン/酢酸エチル 90/10]により精製した(31.8g、収率72.4%)。GC−MSは、生成物の純度が94.50%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(m、18H)、1.27(m、27H)、2.04(d、6H)。
(合成実施例2)
アミン4:2−エチル−N,N−ビス(2−エチルブチル)ヘキサン−1−アミン
【0043】
【化6】
【0044】
2−エチルヘキサン−1−アミン(15g、116mmol)、2−エチルブタナール(25.6g、225mmol)、およびDCM(50g)を、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、6時間、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、54.1g、255mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。反応混合物を、12時間撹拌したままにした。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、透明な油が得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘキサン/酢酸エチル 90/10]により精製した結果、純度88%の生成物が得られた。生成物を、移動相としてヘキサンを使用して再精製することにより、透明な油が得られた(20.45g、収率58.6%)。GC−MSは、生成物の純度が99.35%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(m、18H)、1.27−1.54(m、19H)、2.03(d、6H)。
(合成実施例3)
アミン5:2−エチル−N−(2−エチルヘキシル)−N−(2−メチルペンチル)ヘキサン−1−アミン
【0045】
【化7】
ビス(2−エチルヘキサニル)アミン(25g、104mmol)、2−メチルペンタナール(12.4g、124mmol)、およびDCM(50g)を、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、4時間、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、26.3g、124mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。反応混合物を、12時間撹拌したままにした。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、透明な油が得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘキサン/酢酸エチル 90/10]により精製した結果、純度88%の生成物が得られた。生成物を、移動相としてヘキサンを使用して再精製することにより、透明な油が得られた(20.45g、収率58.6%)。GC−MSは、生成物の純度が99.62%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.81−0.91(m、18H)、1.19−1.44(m、23H)、1.92−2.08(m、6H)。
アミン6:トリイソペンチルアミン(比較)
【0046】
【化8】
市販の材料;東京化成工業、東京、日本およびTCI America、Portland Oregon、USAから、純度95%で入手可能。
(合成実施例4)
アミン7:2−エチル−N−(2−エチルヘキシル)−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ヘキサン−1−アミン
【0047】
【化9】
【0048】
2−エチルヘキシルアミン(20g、155mmol)、4−メチルペンタン−2−オン(18.6g、186mmol)、およびDCM(50g)を、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、3.5時間、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、39.4g、186mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。反応混合物を、12時間撹拌したままにした。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、2−エチル−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ヘキサン−1−アミンが透明な油として得られた。
【0049】
得られた2−エチル−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ヘキサン−1−アミン(16.5g、77mmol)(さらに精製することなく使用した)を、2−エチルヘキサナール(10.5g、85mmol)およびDCM(50g)と一緒に、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、3時間、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、19.7g、93mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。反応混合物を、5時間撹拌したままにした。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、透明な油が得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘプタン/酢酸エチル 84/16]により精製した(16.5g、収率65.5%)。GC−MSは、生成物の純度が98.56%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(m、21H)、1.12−1.77(m、21H)、2.09(d、4H)、2.70(m、1H)。
(合成実施例5)
アミン8:2−エチル−N−イソブチル−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ヘキサン−1−アミン
【0050】
【化10】
2−エチルヘキシルアミン(20g、155mmol)、4−メチルペンタン−2−オン(18.6g、186mmol)、およびDCM(50g)を、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、3.5時間、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、39.4g、186mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。反応混合物を、12時間撹拌したままにした。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、2−エチル−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ヘキサン−1−アミンが透明な油として得られた。
【0051】
得られた2−エチル−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ヘキサン−1−アミン(16.5g、77mmol)(さらに精製することなく使用した)を、イソブチルアルデヒド(7.81g、108mmol)およびDCM(40g)と一緒に、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、2.75時間、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、19.58g、92.4mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。反応は、24時間撹拌したままにした。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、透明な油が得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘプタン/酢酸エチル 75/25]により精製した(17.5g、収率84.0%)。GC−MSは、生成物の純度が97.80%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.78−0.95(m、21H)、1.00−1.80(m、13H)、1.92−2.16(m、4H)、2.70(m、1H)。
(合成実施例6)
アミン9:2−エチル−N,N−ジイソプロピルヘキサン−1−アミン(比較)
【0052】
【化11】
ジイソプロピルアミン(22.5g、222mmol)、2−エチルヘキサナール(19g、148mmol)、およびDCM(50g)を、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、室温で撹拌した。混合物を、12時間撹拌したままにした。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、37.7g、178mmol)を、ゆっくりと少量ずつフラスコに添加した(注意:発熱)。氷浴を、必要に応じて使用して温度を下げ発熱を制御した。1H NMRは、反応が終了に到達し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を停止した(注意:発泡)ことを示した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、透明な油が得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘプタン/酢酸エチル 90/10]により精製した(20.0g、収率63.3%)。GC−MSは、生成物の純度が92.47%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(dd、6H)、0.96(d、12H)、1.27(m、9H)、2.22(d、2H)、2.97(m、2H)。
(合成実施例7)
アミン10:トリス(4−メチルペンタン−2−イル)アミン(比較)
【0053】
【化12】
化合物は、合成できなかった。
(合成実施例8)
アミン11:N,N−ビス(2−エチルヘキシル)ドデカン−1−アミン(比較)
【0054】
【化13】
【0055】
1Lの金属反応器に、ドデカン−1−アミン(50g、270mmol)、2−エチルヘキサナール(78g、582mmol)、パラジウム担持炭素(3g、アミンの1%)、およびエタノール(500mL)を充填した。600rpmで撹拌しながら、水素の流れを室温で5.0バールに設定した(水素は4回充填し:合計で16.8バールの水素が反応により消費された)。次いで溶液をセライト上で濾過し、濃縮した。反応により、モノ−およびジ−アルキル化生成物を含有する黄色の油が102g得られた。ジ−アルキル化生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘプタン/酢酸エチル 99.8/0.2]により精製し単離した。GC−MS分析は、モノ−アルキル化生成物(4%)の存在を示した。生成物を、もう一度カラムクロマトグラフィ[ヘプタン/酢酸エチル 99.8/0.2]により精製し、その結果、薄黄色の油が得られた(47g、収率43.4%)。GC−MSは、生成物の純度が100.00%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(m、15H)、1.26(m、38H)、2.08(d、4H)、2.26(t、2H)。
(合成実施例9)
アミン12:N−(2−エチルヘキシル)−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ドデカン−1−アミン(比較)
【0056】
【化14】
【0057】
ドデシルアミン(50.0g、264mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、77g、344mmol)、およびDCM(625mL)を、冷却器、添加漏斗、および機械式撹拌子を備えた2Lの3つ口丸底フラスコに充填した。添加漏斗に4−メチル−2−ペンタノン(29.6g、291mmol)およびDCM(50mL)を充填した。ケトンを、発熱が制御されるようにゆっくり添加した。反応は、撹拌することなく12時間静置したままにした。次いで反応を、7時間加熱還流した。氷酢酸(16g)を、反応が触媒されるように添加し、次いで撹拌することなく12時間静置したままにした。反応は、TLCで示されるように終了し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で停止させた(注意:発泡)。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、N−(4−メチルペンタン−2−イル)ドデカン−1−アミンが黄色い油として得られた。
【0058】
得られたN−(4−メチルペンタン−2−イル)ドデカン−1−アミン(72.7g、270mmol)(さらに精製することなく使用した)を、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB、78g、351mmol)およびTHF(650mL)と一緒に、冷却器、添加漏斗、および機械式撹拌子を備えた2Lの3つ口丸底フラスコに充填した。添加漏斗には、2−エチルヘキサナール(39.6g、297mmol)およびTHF(50mL)を充填した。アルデヒドを、発熱が制御されるようにゆっくり添加した。反応を、6時間還流状態で実施し、その後、触媒がなされるように氷酢酸(16.2g)を添加した。次いで反応混合物を、撹拌することなく12時間静置したままにした。出発材料は、TLCで示されるようにもはや変換されず、反応を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で停止させた(注意:発泡)。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、N−(2−エチルヘキシル)−N−(4−メチルペンタン−2−イル)ドデカン−1−アミンが黄色い油として得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ[ヘプタン/酢酸エチル 98/2]により精製した(80.6g、収率78%)。GC−MSは、生成物の純度が90.04%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(m、18H)、1.26(m、31H)、1.72(sep、1H)、2.22(m、4H)、2.71(sex、1H)。
(合成実施例10)
アミン13:2−エチル−N−(2−エチルヘキシル)−N−フェニエチルヘキサン−1−アミン
【0059】
【化15】
【0060】
2−フェニルエチルアミン(12.69g、105mmol)、2−エチルヘキサナール(29.5g、230mmol)、およびDCM(50g)を、還流冷却器、熱電対、オーバーヘッド撹拌子、および窒素ブランケットを備えた250mLの4つ口丸底フラスコ内で、室温で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(48.8g、230mmol)を、7分間かけてゆっくりと少量ずつフラスコに添加した。追加のDCM(26g)を添加して、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドをフラスコ内に濯いだ。反応は、終了するまで(約72時間)室温で撹拌したままにした。次いで反応を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で停止させた。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。次いでこの層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、濃い黄色の油が得られた。生成物を、カラムクロマトグラフィ(ヘキサン 100)により精製し(20.5g、収率56%)、その結果、透明な油が得られた。GC−MSは、生成物の純度が99%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.82−0.91(m、12H)、1.23−1.54(m、18H)、2.21(d、4H)、2.56−2.72(m、4H)、7.14−7.28(m、5H)。
(合成実施例11)
アミン14:トリス−(2−フェニルエチル)−アミン
【0061】
【化16】
冷却器、添加漏斗、機械式撹拌子、および温度プローブを備えた2Lの3つ口丸底フラスコに、DCM(1000mL)中の2−フェニルエタンアミン(33.1g、273mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(143g、656mmol)を充填した。DCM(50mL)中の2−フェニルアセトアルデヒド(80.0g、601mmol)を、1滴ずつ添加した。反応は、室温で5時間撹拌した。酢酸(16.4g、273mmol)を添加し、24時間撹拌した。反応は、Na2CO3水溶液を慎重に添加することによって停止させた。有機層を、NaHCO3水溶液および水で続けて洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を減圧蒸留することにより(84〜88℃、1ミリバール)、オレンジ色/褐色の液体が得られた(87.7g、純度94%、GC−MSによる)。次いでこれを、シリカゲルクロマトグラフィ(トルエン)を使用して精製することにより、明るいオレンジ色の液体が得られた(16.8g、49.4mmol、収率18%)。GC−MSは、生成物の純度が97%であることを確認した。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ7.12−7.33(15H、m)、1.72−2.81(6H、m)、1.72−2.81(6H、m)、2.81−2.89(6H、m)。
【0062】
(実施例)
API CJ−4の性能要件を満たす商用重負荷ディーゼル(HDD)エンジン潤滑油の代表的な基準組成物は、清浄剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、および摩擦改質添加剤の組合せを含有する市販の清浄剤/抑制剤(DI)パッケージ(Infineum D3474、Infineum USA L.P.、Linden NJ、USAおよびInfineum UK Ltd.、Abingdon Oxfordshire、UKから入手可能)を使用して調製した。この基準の油には、ASTM D4739により測定した場合に基準の油のTBNを2から3mg KOH/gに増大させる量で、様々なアミン化合物を添加した。得られた潤滑油組成物は、エンジンシールを形成するのに一般に使用されるフルオロエラストマー材料に対して潤滑油組成物が及ぼす悪影響を定量するように設計されかつMB p228.51潤滑剤であると見なされるために合格しなければならない、工業規格MB AK6封止材試験に供した。結果を、以下の表に示す:
【0063】
【表3】
【0064】
表IIIのデータにより示されるように、無灰TBN源としての潤滑剤への線状アルキルアミンの添加は、MB AK−6試験に不合格という結果をもたらし、そのような潤滑剤はエンジンシールに悪影響を及ぼす可能性があることを示している(実施例1および2参照)。2個の分枝状の基と1個の線状の基とを有するアミンの添加も、MB AK−6試験に不合格となる(実施例13および14参照)。
【0065】
対照的に、β−分枝状アルキル基のみ有するアミンでは、窒素は、フルオロエラストマー封止材の適合性を実現するのに充分な程度まで障害を受ける(実施例4、5、6、および7参照)。同様に、封止材の適合性は、1個のα−分枝状および2個のβ−分枝状アルキル基を有するアミンを使用して実現される(実施例9および10参照)。全てのγ−分枝を有するアミンは、MB AK−6試験に不合格である(実施例6参照)。
【0066】
複数のα−分枝状基を有するアミンを合成することは難しい。2個のα−分枝状基を備えるアミンは、α−分枝状基が小さい場合(例えば、C1−C3)に合成することができるが、そのようなアミンの使用は、MB AK−6試験に不合格になる(実施例11参照)。3個のα−分枝状基を備えるアミンを合成することはできなかった(実施例12参照)。
【0067】
MB AK−6試験には、2個のβ−分枝状アルキル基と、芳香族基を2位に有する1つのアルキル鎖;2−アリールアルキル基とを有するアミンを使用して、合格することもできる(実施例15参照)。しかし、3個の2−アリールアルキル基を有するアミンの使用は、MB AK−6試験に不合格になる(実施例16参照)。
【0068】
本明細書に記述された全ての特許、文献、およびその他の材料の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に提示されかつ添付の特許請求の範囲に提示されるような、多数の指定された成分を含み、これらからなり、または本質的にこれらからなる組成物の記述は、前記多数の指定された成分を混合することによって作製された組成物も包含するものと解釈されるべきである。本発明の原理、好ましい実施形態、および操作態様は、前述の明細書において記述してきた。出願人が提出するものはその発明であるが、開示された実施形態は限定ではなく例示的なものと見なされるので、開示される特定の実施形態に限定されると解釈するものではない。当業者は、本発明の精神から逸脱することなく変更を行ってもよい。