(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337356
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】冷却流路を有するロータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02K 9/08 20060101AFI20180528BHJP
H02K 1/20 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
H02K9/08 B
H02K1/20 C
H02K1/20 Z
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-62025(P2016-62025)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-46565(P2017-46565A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0118833
(32)【優先日】2015年8月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン ヘヴィー インダストリーズ アンド コンストラクション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ハ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ケイ ハ
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−198237(JP,A)
【文献】
特開平07−213000(JP,A)
【文献】
特開2009−136062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/08
H02K 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンダクタが多段に積層され、ロータボディの歯の間に挿入され、長手方向に沿って冷却流体が流入可能な複数のダクトが板面に積層方向に並んで貫通形成された直線部と、前記直線部から延びてスピンドルの外周面に円弧状に配置される曲線部とを有する複数のコイルターンと、
前記複数のコンダクタの間にそれぞれ挿入され、前記コンダクタの間を絶縁するターンインシュレータと
を備え、
前記曲線部は、前記複数のダクトに連通し、前記冷却流体を前記ダクトに案内すべく蛇行する複数の冷却流路を含み、前記複数の冷却流路のそれぞれが、前記ターンインシュレータを挟んで対向する2つの前記コンダクタにより、積層方向に形成される、ロータアセンブリ。
【請求項2】
前記冷却流路は、円弧状の複数のスロットと、前記複数のスロットの間をそれぞれ連結する連結部とを有し、前記連結部は、角が流線形である、請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項3】
前記複数のスロットの半径(D2)より、前記連結部の高さ(A)が大きい、請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項4】
前記冷却流路は、同一半径を有する前記複数のスロットが前記連結部を挟んで繰り返し形成されるか、または、前記冷却流路は、互いに異なる半径を有するスロットが前記連結部を挟んで交互に配置される、請求項2または3に記載のロータアセンブリ。
【請求項5】
前記冷却流路は、前記ターンインシュレータを挟んで互いに対向する2つの前記コンダクタにそれぞれに、互いに対向するように形成される、請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項6】
前記ターンインシュレータは、前記板面に貫通形成され、前記複数のスロットと連通する複数の貫通ホールを有し、前記ターンインシュレータは、前記連結部に対応する部分が塞がれている、請求項5に記載のロータアセンブリ。
【請求項7】
トップレイヤおよびボトムレイヤをなし、互いに対向する一対のコンダクタが多段に積層され、ロータボディの歯の間に挿入され、長手方向に沿って冷却流体が流入可能な複数のダクトが積層方向に並んで貫通形成された直線部と、前記直線部から延びてスピンドルの外周面に円弧状に配置される曲線部とを有するコイルターン
を備え、
前記曲線部は、前記複数のダクトに連通し、前記冷却流体を前記複数のダクトに案内すべく互いに対向する前記一対のコンダクタにより形成された蛇行する冷却流路を複数有する、ロータアセンブリ。
【請求項8】
前記冷却流路は、前記トップレイヤおよびボトムレイヤにそれぞれ互いに対向するように形成され、前記冷却流路は、円弧状の複数のスロットと、前記複数のスロットの間をそれぞれ連結する連結部とを有し、
前記連結部は、角が流線形である、請求項7に記載のロータアセンブリ。
【請求項9】
前記複数のスロットの半径(D2)より、前記連結部の高さ(A)が大きい、請求項8に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
前記冷却流路は、同一半径を有する前記複数のスロットが前記連結部を挟んで繰り返し形成されるか、または互いに異なる半径を有するスロットが前記連結部を挟んで交互に配置される、請求項8に記載のロータアセンブリ。
【請求項11】
多層に積層され、長手方向に沿って複数のダクトが貫通形成されたコンダクタと、多層に積層される前記コンダクタの間にそれぞれ挿入され、前記コンダクタ間の絶縁の役割を果たすターンインシュレータとを有するコイルターンと、
ロータボディの外周面から半径方向の外側に延び、前記コイルターンが挿入されて支持され、前記コイルターンの下部には冷却流体の流入するサブスロットが形成された歯と
を備え、
前記ターンインシュレータには、前記複数のダクトに対応する位置に、前記複数のダクトより短い長さの貫通ホールが複数個貫通形成される、ロータアセンブリ。
【請求項12】
前記貫通ホールは、前記ダクトの1/2の大きさであるスリット2つが1つの前記ダクトの位置に対応して配置されるか、または前記貫通ホールは、前記ダクトの1/3の大きさであるスリット3つが1つの前記ダクトの位置に対応して配置される、請求項11に記載のロータアセンブリ。
【請求項13】
前記貫通ホールは、長さが1:2の2つのスリットが1つの前記ダクトの位置に対応して配置され、大きさの大きいスリットが前記冷却流体の流動する方向側に配置される、請求項11に記載のロータアセンブリ。
【請求項14】
前記貫通ホールは、前記冷却流体が前記サブスロットに流動する方向側が大きく形成される、請求項11に記載のロータアセンブリ。
【請求項15】
多層に積層され、長手方向に沿って複数のダクトが貫通形成されたコンダクタと、多層に積層された前記コンダクタの間にそれぞれ挿入され、前記コンダクタ間の絶縁の役割を果たすターンインシュレータとを有するコイルターンと、
ロータボディの外周面から半径方向の外側に延び、前記コイルターンが挿入されて支持され、前記コイルターンの下部には冷却流体の流入するサブスロットが形成された歯と、
を備え、
前記ターンインシュレータには、前記複数のダクトに対応する位置に、前記冷却流体が前記サブスロットに流動する方向側が大きくなるように形成された複数の貫通ホールが貫通形成される、ロータアセンブリ。
【請求項16】
前記複数の貫通ホールは、長さが1:2の2つのスリットが1つの前記ダクトの位置に対応して配置される、請求項15に記載のロータアセンブリ。
【請求項17】
前記複数の貫通ホールは、大きさの大きいスリットが前記冷却流体の流動する方向側に配置される、請求項15に記載のロータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却流路を有するロータアセンブリに関する。より詳細には、コイルターン内に形成された冷却流路の構造を改善し、コイルターンの熱伝逹の不均衡を解消することのできる、ロータアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、発電機は、電磁誘導作用を利用して機械的なエネルギーを電気エネルギーに変換させる装置であり、導体が磁場内で回転運動をする時に電力を起こす原理を利用した装置である。このような発電機は、冷却媒体として水素ガスと水を使用し、埃や湿気の侵入防止と水素ガスの漏洩を防止するために完全密閉構造からなる。
【0003】
発電機内部の通風は、回転子のロータ軸に取り付けられたファンによる閉鎖循環方式により行われ、水素ガスの冷却のために冷却器が内蔵されている。また、固定子のステータは、ロータを収容し、コイルと、コイルが巻線されるステータコアと、これらを支持するフレームとから構成される。
【0004】
ロータが回転作動している間、コイルを介して移動する電流が熱を発生させるが、ロータコイルから熱が効果的に放出されなければ、発電機の性能低下の原因となる。
【0005】
このような問題を解決するために、韓国特許公開第2010−0120267号にロータの冷却のための構造を有する回転電気機械およびロータが開示されている。
【0006】
従来の冷却構造は、ロータボディの内側に組み立てられるコンダクタ(conductor)の冷却をサブスロットに流入する冷却流体にのみ依存する構造である。しかしながら、このような従来の冷却構造では、次第に大型化する発電機のロータコイルを効率的に冷却させにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
韓国特許公開第2010−0120267号(公開日2010年11月15日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、コイルターン内に形成された冷却流路の構造を改善し、コイルターンの熱伝逹の不均衡を解消することのできる、ロータアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的解題を解決するために、本発明の一側面によれば、ロータアセンブリは、複数のコンダクタ(conductor)が多段に積層され、ロータボディの歯の間に挿入され、長手方向に沿って冷却流体の移動する複数のダクトが貫通形成された直線部と、前記直線部から延びてスピンドルの外周面に円弧状に配置される曲線部とを有する複数のコイルターンと、前記複数のコンダクタの間にそれぞれ挿入され、前記コンダクタの間を絶縁するターンインシュレータとを備え、前記曲線部は、板面に長手方向に沿って形成されて前記ダクトに連通し、前記冷却流体を前記ダクトに案内するための蛇行するの冷却流路を含む。
【0010】
前記冷却流路は、円弧状の複数のスロットと、前記複数のスロットの間をそれぞれ連結する連結部とを有してよい。
【0011】
前記連結部は、角が流線形であってよい。
【0012】
前記複数のスロットの半径(D2)より、前記連結部の高さ(A)が大きくてよい。
【0013】
前記冷却流路は、同一半径を有する前記複数のスロットが前記連結部を挟んで繰り返し形成されてよい。
【0014】
前記冷却流路は、互いに異なる半径を有するスロットが前記連結部を挟んで交互に配置されてよい。
【0015】
前記冷却流路は、前記ターンインシュレータを挟んで互いに対向する2つの前記コンダクタにそれぞれに、互いに対向するように形成されてよい。
【0016】
前記ターンインシュレータは、前記板面に貫通形成され、前記複数のスロットと連通する複数の貫通ホールを有してよい。
【0017】
前記ターンインシュレータは、前記連結部に対応する部分が塞がれていてよい。
【0018】
また、本発明の一側面によれば、トップレイヤ(top layer)およびボトムレイヤ(bottom layer)をなし、互いに対向する一対のコンダクタが多段に積層され、ロータボディの歯の間に挿入され、長手方向に沿って冷却流体の移動する複数のダクトが貫通形成された直線部と、前記直線部から延びてスピンドルの外周面に円弧状に配置される曲線部とを有するコイルターンを備え、前記曲線部は、前記コイルターンの板面に長手方向に沿って形成されて前記複数のダクトに連通し、前記冷却流体を前記複数のダクトに案内するための蛇行する冷却流路を有する、ロータアセンブリを提供する。
【0019】
前記冷却流路は、前記トップレイヤおよびボトムレイヤにそれぞれ互いに対向するように形成されてよい。
【0020】
前記冷却流路は、円弧状の複数のスロットと、前記複数のスロットの間をそれぞれ連結する連結部とを含んでよい。
【0021】
前記連結部は、角が流線形であってよい。
【0022】
前記スロットの半径(D2)より、前記連結部の高さ(A)が大きくてよい。
【0023】
前記冷却流路は、同一半径を有する前記スロットが前記連結部を挟んで繰り返し形成されてよい。
【0024】
前記冷却流路は、互いに異なる半径を有するスロットが前記連結部を挟んで交互に配置されてよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態に係るロータアセンブリによれば、コイルターン内に形成された冷却流路の構造を波状の形態に変更することにより、冷却流体がコイルターン内に接触する接触面積を増加させ、冷却効率を向上させることができる。また、ターンインシュレータの貫通ホールの形状を変更してダクト内の熱伝逹の不均衡を解消することにより、コイルターンの冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロータアセンブリを示す部分斜視図である。
【
図2】
図1のロータアセンブリによる主要部分を示す部分斜視図である。
【
図3】
図2によるコイルターンの主要部分を示す部分斜視図である。
【
図4】
図2によるコイルターンのうち、単層構造のコイルターンによる冷却流路を示す断面図である。
【
図5】
図2によるコイルターンのうち、多層構造のコイルターンによる冷却流路を示す断面図である。
【
図6】
図4および
図5による冷却流路の主要部分を示す拡大断面図である。
【
図7】本発明に係る冷却流路の他の実施形態を示す断面図である。
【
図8】ロータの任意のダクト内の熱伝逹状態を示す図である。
【
図9】
図2によるコイルターンの積層構造を示す部分斜視図である。
【
図10】
図2のコイルターンによるターンインシュレータの他の実施形態を示す平面図である。
【
図11】
図2のコイルターンによるターンインシュレータのさらに他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るロータアセンブリについて詳細に説明する。ただし、便宜上、コイルターン内部の冷却構造について先に説明し、その後、コイルターンのインシュレータの冷却構造について説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係るロータアセンブリを示す部分斜視図であり、
図2は、
図1のロータアセンブリによる主要部分を示す部分斜視図であり、
図3は、
図2によるコイルターンの主要部分を示す部分斜視図である。
【0029】
図1〜
図3に示されているように、本発明の一実施形態に係る発電機用ロータアセンブリ10は、ステータ内に配置されて回転するロータ100と、ロータ100の外周面に配置される複数のコイルターン150とを含んで構成される。コイルターン150は、ハウジング190に収められ、ロータ100の外部に露出しない。
【0030】
ロータ100は、複数の歯(tooth)112およびサブスロット(図示せず)が形成されたロータボディ110と、ロータボディ110の一側から延びたスピンドル130とを含んで構成される。スピンドル130の周りに複数のコイルターン150が配置される。
【0031】
歯112は、ロータボディ110の外周面から半径方向の外側にステータに向かって延び、他の部品との結合関係によってロータボディ110の外周面の全体または一部領域に設けられる。歯112と、隣接する歯112との間の上部側に、後述するコイルターン150の直線部154が挿入され、下部側にはサブスロットが形成される。サブスロットは、歯112の間に形成され、直線部154が歯112の間に挿入された状態でコイルターン150の下側に位置する。サブスロットは、複数のコイルターン150の直線部154の下側に流入した冷却流体を歯112の間に案内することにより、ロータボディ110を冷却する。
【0032】
コイルターン150は、多層に積層されたコンダクタ152と、コンダクタ152の間にそれぞれ挿入され、コンダクタ152間の絶縁の役割を果たすターンインシュレータ170とを含んで構成される。
【0033】
コンダクタ152は、歯112の間に挿入される部分が直線状に積層され(直線部)、直線状に積層された部分からスピンドル130の外周面を囲む円弧状に延長形成される(曲線部)。多層に積層されたコンダクタ152の一側の直線部154がロータ100の長手方向に沿って歯112の間に挿入され、曲線部156がスピンドルの外周面に配置された状態で他側の直線部154が反対側の歯112の間に挿入される略「逆コ」状の配置を、1つのコイルターン150と呼ぶ。このようなコイルターン150がロータ100上に複数個配置され、各歯112の間にそれぞれ挿入される。直線部154をなすコンダクタ152の板面には、スリット(slit)形状を有する複数のダクト150aが長手方向に沿って貫通形成される。
【0034】
曲線部156には、板面に冷却流体が流れ得る冷却流路158が形成される。冷却流路158は、直線部154のダクト150aに連結され、冷却流体がダクト150a側に排出できるようにする。
【0035】
図3に示されているように、冷却流路158は、蛇行して形成され、円弧状の複数のスロット158aと、各スロット158aの間を連結する連結部158bとから構成される。連結部158bは、直線形態であり、複数のスロット158aの間に形成される。尚、蛇行して形成される冷却流路は、冷却流路の一端(入口)と他端(出口)を最短で結ぶ線よりも長くなるような流路であってよく、一例として、波状の形状を有してよい。あるいは、蛇行して形成される冷却流路は、直線状の流路を複数個つないだ形状、曲線状の流路を複数個つないだ形状、あるいはこれらを組み合わせた形状を有してもよい。
【0036】
前述した冷却流路は、コイルターンが単層構造(1turn−1layer)であるか、多層構造(1turn−2layer)であるかによって、その配置がやや異なり得る。
【0037】
図4は、
図2によるコイルターンのうち、単層構造のコイルターンによる冷却流路を示す断面図であり、
図5は、
図2によるコイルターンのうち、多層構造のコイルターンによる冷却流路を示す断面図であり、
図6は、
図4および
図5による冷却流路の主要部分を示す拡大断面図である。
【0038】
図4に示されているように、単層構造のコイルターン150では、ターンインシュレータ170がそれぞれのコンダクタ152の間に挿入され、1つのターンインシュレータ170を挟んで互いに対向する2つのコンダクタ152に形成された冷却流路158が互いに対向する形態となる。
【0039】
冷却流路158を通して冷却流体が円滑に流れるには、円弧状のスロット158aが対向する他の冷却流路158の連結部158bに対向するように、互いに交互に配置されることが好ましい。また、冷却流体の流れを妨げないように、ターンインシュレータ170上にも、冷却流路158の形状に沿って冷却流体が流れるように貫通ホール172が板面に貫通形成されることが好ましい。すなわち、ターンインシュレータ170は、連結部158bには接触して対向するコンダクタ152の間を絶縁するが、スロット158aとは連通するように貫通ホール172が設けられることが好ましい。
【0040】
一方、
図5に示されているように、多層構造のコイルターン150'は、2つの互いに対向するコンダクタ152'がトップレイヤ(top layer)およびボトムレイヤ(bottom layer)を構成し、トップレイヤとボトムレイヤとの間にターンインシュレータが挿入されないことが特徴である。
【0041】
このような多層構造のコイルターン150'の場合にも、互いに対向する2つのコンダクタ152'に形成された冷却流路158'が互いに対向する形態となるように形成されることが好ましい。すなわち、1つのコンダクタ152'に形成されたスロット158aは、対向するコンダクタ152'に形成された連結部158bに対向するように互いに交互に配置される。
【0042】
図6に示されているように、冷却流路158のスロット158aと隣接するスロット158aとの中心間距離であるスロットピッチWは、すべてのスロット158aにおいて同一に設計されてよく、スロットピッチが狭いものと広いものとが交互に配置される形態であってもよい。
【0043】
また、スロット158aの円弧を円周とする仮想の円を基準とする時、その円の直径D1の半分であるD2は、連結部158bの高さAより小さいことが好ましい。その理由は、スロット158aの半径D2が連結部158bの高さAより大きい場合、スロット158aとコンダクタ152の板面との厚さが小さすぎて、コンダクタ152の剛性に影響を及ぼし得るからである。したがって、スロット158aの半径は、連結部158bの高さAより小さく形成されることが好ましい。
【0044】
前述のように、冷却流路158が波状に備えられることにより、コンダクタ152と冷却流体とが接触する接触面積が大きくなるため、従来の直線型冷却流路に比べて、コンダクタ152の熱を冷却流体により速く伝達できる。したがって、コンダクタの冷却効率が向上する効果がある。
【0045】
冷却流体が冷却流路158に沿って流動する時、冷却流体の流動に対する抵抗を最小化するために、冷却流路158の形態を次のように変形してもよい。
【0046】
図7は、本発明に係る冷却流路の他の実施形態を示す断面図である。
【0047】
図7に示されているように、本発明の他の実施形態に係る冷却流路158''は、スロット158aと連結部158bとの連結部位が流線形に形成されてもよい。このような形態の冷却流路158''によれば、冷却流体の流動時、冷却流体がスロット158aから連結部158bへ移る時に発生する流動抵抗を最小化することができる。
【0048】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るロータアセンブリは、コイルターン内に形成された冷却流路の構造を波状の形態に変更することにより、冷却流体がコイルターン内に接触する接触面積を増加させ、冷却効率を向上させる効果がある。
【0049】
以下、コイルターンによるターンインシュレータの冷却構造について説明する。
【0050】
図8は、ロータの任意のダクト内の熱伝逹状態を示す図であり、
図9は、
図8によるコイルターンの積層構造を示す部分斜視図である。
【0051】
前述した直線部154をなすコンダクタ152の板面には、スリット(slit)形状を有する複数のダクト154aが長手方向に沿って貫通形成される。
【0052】
ターンインシュレータ170は、多層構造のコンダクタ152の間にそれぞれ挿入され、コンダクタ152のダクト154aに対応する位置に、スリット形状の貫通ホール172が複数個、貫通形成される。ターンインシュレータ170は、電気の通らない材質で作られ、貫通ホール172およびダクト154aを通して冷却流体がコイルターン150を冷却し、ロータ100の外部に排出される。
【0053】
任意のコイルターン150の直線部154に沿って流動する流体の温度分布をみると、コンダクタ152に形成されたダクト154aの配列に従って、ロータボディ110の1番目のダクトからロータセンターの最後のダクトまで流量が分配される(
図8参照)。1つの直線部154内で流れる冷却流体は、流入端側のA領域に比べて、B領域の温度が相対的に高くなる。このように冷却流体による熱伝逹に不均衡が生じると、コイルターン150およびロータボディ110の冷却効率が低下する問題がある。
【0054】
したがって、このような問題を解決するために、本発明では、ターンインシュレータ170の貫通ホール172の配列を異ならせることで熱伝逹の不均衡を解消し、冷却効率を向上できる方法を提供する。
【0055】
図9に示されているように、ターンインシュレータ170に形成された貫通ホール172は、1つのダクト154aに対応する位置に2つが対応する形態を有してよい。すなわち、1つのダクト154aの長さの1/2である2つの貫通ホール172が1つのダクト154aに対応する位置に配置される。この時、冷却流体の流動方向は、図示された矢印方向である。このように1つのダクト154aに対応する貫通ホール172を複数個構成することにより、冷却流体による熱伝達が一方に偏らないようにする効果がある。
【0056】
ターンインシュレータの貫通ホールは、次のように様々な形態にも変形設計できる。
【0057】
図10は、
図8のコイルターンによるターンインシュレータの他の実施形態を示す平面図である。
図10に示されているように、ターンインシュレータ170'の貫通ホール172'は、1つのダクト154aに対応する位置に、互いに長さの異なる2つの貫通ホール172'が対応する形態を有してもよい。すなわち、2つの長さの比率が1:2の形態の貫通ホール172'が設けられることにより、冷却流体がサブスロットに流入する流入方向側の大きさがより大きく形成できる。この時、冷却流体の流動方向は、図示された矢印方向である。
【0058】
図11は、
図8のコイルターンによるターンインシュレータのさらに他の実施形態を示す平面図である。
図11に示されているように、ターンインシュレータ170''の貫通ホール172''は、1つのダクト154aに対応する位置に3つが対応する形態を有してもよい。すなわち、1つのダクト154aの長さの1/3である3つの貫通ホール172''が1つのダクト154aに対応する位置に配置されてもよい。この時、冷却流体の流動方向は、図示された矢印方向である。
【0059】
前述のように、ターンインシュレータの貫通ホールの形状を変更することは、それぞれの貫通ホールの面積を制御することにより、貫通ホールを通過する冷却流体の流量を設計する方法である。コイルターンの構造や冷却流路を大きく変更しなくても、冷却流体による熱伝逹の不均衡を解消し、コイルターンおよびロータボディの冷却効率を向上させることができる。
【0060】
上記で説明され図面に示された本発明の一実施形態は、本発明の技術的思想を限定すると解釈されてはならない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項によってのみ制限され、本発明の技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的思想を多様な形態に改良および変更することが可能である。したがって、このような改良および変更が通常の知識を有する者に自明である限り、本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0061】
10・・・ロータアセンブリ、100・・・ロータ、110・・・ロータボディ、112・・・歯、130・・・スピンドル、150・・・コイルターン、150a・・・ダクト、152・・・コンダクタ、154・・・直線部、154a・・・ダクト、156・・・曲線部、158・・・冷却流路、158a・・・スロット、連結部・・・158b、170・・・ターンインシュレータ、172・・・貫通ホール、190・・・ハウジング