特許第6337384号(P6337384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青島海爾洗衣机有限公司の特許一覧

特許6337384洗濯機の水循環処理の制御方法および洗濯機
<>
  • 特許6337384-洗濯機の水循環処理の制御方法および洗濯機 図000005
  • 特許6337384-洗濯機の水循環処理の制御方法および洗濯機 図000006
  • 特許6337384-洗濯機の水循環処理の制御方法および洗濯機 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337384
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】洗濯機の水循環処理の制御方法および洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/10 20060101AFI20180528BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20180528BHJP
   D06F 33/02 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   D06F39/10 Z
   C02F1/52 K
   D06F39/10 E
   D06F39/10 A
   D06F33/02 S
   D06F33/02 T
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-563808(P2016-563808)
(86)(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公表番号】特表2017-519535(P2017-519535A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】CN2014081453
(87)【国際公開番号】WO2015168982
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】201410192970.6
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QingDao Haier Washing Machine Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】舒海
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼金柱
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−286698(JP,A)
【文献】 特開2002−119794(JP,A)
【文献】 特開平9−75588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/10
C02F 1/52
D06F 33/02
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の洗濯水を凝集処理した後、循環して再び使用する、洗濯機の水循環処理の制御方法であって、洗剤投入量、洗濯取水量、および各回の凝集処理の水量に基づいて、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量を計算することを特徴とする方法。
【請求項2】
衣類投入量に基づいて、対応する洗濯取水量を選択することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【請求項3】
衣類投入量および衣類の汚れの程度に基づいて、洗剤投入量を算出することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【請求項4】
洗濯終了後、水を凝集容器に排出して凝集処理し、凝集処理する水量を測定してL1とし、洗剤投入量をMとし、洗濯取水量をLとすると、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量がN1=aML1/L(式中、aは定数であり、洗剤および凝集剤のタイプと関係する)であり;凝集が終了すると、処理後の水を再び洗濯槽に導入してすすぎを行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【請求項5】
1回目のすすぎが終了すると、水を凝集容器に排出して2回目の凝集処理を行い、2回目の凝集処理の水量を測定してL2とすると、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量がN2=[aM(L−L1)/L]+bL2(式中、bは定数であり、洗剤および凝集剤のタイプと関係する)であり;凝集が終了すると、処理後の水を再び洗濯槽に導入して2回目のすすぎを行うことを特徴とする、請求項4に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【請求項6】
2回目のすすぎが終了すると、水を凝集容器に排出して3回目の凝集処理を行い、(N1+N2)/aMの値を計算し、設定値tと比較して、(N1+N2)/aMがtより大きい場合、一定の凝集剤量N3=Nminを投入し、そうでない場合、一定の凝集剤量N3=Nmaxを投入し、Nmax>Nmin、NmaxおよびNminは設定値であることを特徴とする、請求項5に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【請求項7】
すすぎを複数回行う必要がある場合、i(i≧3)回目の凝集処理のとき、以下の値を計算し、設定値tと比較して、tより大きい場合、一定の凝集剤量Ni=Nminを投入し、そうでない場合、一定の凝集剤量Ni=Nmaxを投入することを特徴とする、請求項6に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【数1】
【請求項8】
洗濯終了後、凝集容器に排水され、脱水過程で衣類から放出された水も同様に凝集容器に排出され、洗濯機の設定された衣類含水率をG、衣類投入量をWとすると、洗濯取水量L=GW+L1(L1は測定した凝集容器内の凝縮処理の水量)であることを特徴とする、請求項2に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【請求項9】
各回の凝集処理の前に測定する洗濯水の汚濁度と、当該回の凝集で投入する凝集剤量との対応関係に基づき、洗濯機に保存された設定データと比較して、凝集後のきれいな水および濁水が分離した高さを判断し、凝集水位を測定することにより、凝集後のきれいな水の排出を制御することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯機の水循環処理の制御方法。
【請求項10】
洗濯機本体および水循環処理システムを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水循環処理の制御方法を備えた洗濯機であって、水循環処理システムが洗濯機本体から排水されて凝集処理を行う凝集容器を含み、凝集容器に水位測定装置が設けられることを特徴とする洗濯機。
【請求項11】
前記凝集容器に撹拌機構と、凝集容器の内壁を洗い流して洗浄する洗浄機構とが設けられ、該洗浄機構が放水インペラと、放水インペラを回転させる駆動モータとを含み、放水インペラにより、取水を凝集容器の内壁に放ち、洗浄することを特徴とする、請求項10に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記撹拌機構が、凝集容器の外部に取り付けられる撹拌モータと、凝集容器の内部に延伸する撹拌軸と、撹拌軸に取り付けられる撹拌インペラとを含むことを特徴とする、請求項11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記駆動モータが前記撹拌モータであり、前記放水インペラが撹拌軸に同軸に取り付けられ、撹拌モータと撹拌インペラとの間に位置することを特徴とする、請求項12に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機分野に関し、具体的に洗濯機に用いる循環節水方法であり、特に洗濯機の水循環処理の制御方法および洗濯機である。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準の向上に伴い、洗濯機はすでに日常生活において主要な家電の1つとなっている。洗濯機の衣類洗浄過程は、主に洗濯、すすぎ、脱水の数段階を含み、洗濯機は洗濯段階で取水し、洗剤により衣類を洗濯する。すすぎ段階に入ると、汚れおよび残った洗剤を洗い落とすために、より多くの水を取水するか、またはすすぎ回数をより多くして衣類をすすぐ必要があり、これは必然的に大量の水資源を消費する。たとえ節水のドラム式洗濯機であっても、衣類をすすぐために、少なくとも2回すすぐ必要があり、この過程で少なくとも30L以上の水道水を消費する。時には、衣類の汚れが比較的少ないか、または投入する洗剤が比較的少なく、2回できれいにすすぐことができるが、ユーザが3回のすすぎを選択することにより、必然的に水資源の浪費が引き起こされる。例えば6Kgの全自動洗濯機は、一般的に2回のすすぎを行うと、基本的に100リットル前後の水を使用する。いかにして衣類を洗浄するのと同時に、節水節電を行うかということは、常に消費者が関心を寄せる焦点の1つである。
【0003】
現在まで、家庭用洗濯機に組み合わせて使用する、水の浄化および循環利用装置はいまだない。たとえいわゆる節水機能を備えた洗濯機であっても、一般的に洗濯機の側部に貯水タンクを取り付けたものである。水ポンプを使用して注水および排水を行い、一般的に1回の注水ですすぎを3回行うことができ、節水機能を示す。しかし、洗濯後の水を保存することができず、さらに洗濯機本体の構造を複雑、膨大にし、輸送、回収処理などに不利である。体積、構造および適応性などの面の制限により、洗濯機が元々有する機能および節水タンク自体の機能に影響を及ぼしている。既存の洗濯機の方式を基にして、より良好に水資源を節約するため、多くのメーカが多くの研究開発を行っている。
【0004】
既存の水循環機能を備えた洗濯機は、糸くずをろ過する、洗濯を均一にする、またはオゾン、重金属イオンを添加して殺菌する、などの作用を示すのみである。水の消費量を改善することができず、洗浄についての根本的な向上はない。
【0005】
衣類洗浄水の循環利用について、関連する特許文献を調べると、中国特許出願番号第200810072420.5号の「洗濯機の循環水使用節水装置」は、衣類洗浄水を1つの水槽内に送り込み、浄化処理を行う。該発明では、1回目の衣類洗浄水は浄化せずに直接排出し、2回目、3回目のすすぎ水を浄化処理した後、後に次回の衣類洗浄時に使用する。
【0006】
上記技術における「循環水使用技術」は、すすぎ水を浄化後に使用する。該技術は、1回目の衣類洗浄水(初回の洗濯水)を循環利用することができない。浄化後の水を後に次回の衣類洗浄でも使用するものであり、進行中の衣類洗浄時に使用することはできない。
【0007】
さらに、常用される汚れた水の処理方法として凝集処理方法があり、凝集剤を使用して汚れた水に含まれる汚れを凝集処理し、汚れた水の汚れを凝集物と水分に変えて分離する。この汚れた水の処理方式を採用すると、高効率で、環境保護、省エネとなり、コストが安い。したがって、汚れた水の凝集処理および洗濯機を組み合わせて、新しい水循環洗濯機の方式を形成することは、革新の焦点となっている。
【0008】
しかし、凝集剤を洗濯機の洗濯槽に直接投入して洗濯水を処理するため、凝集剤の衣類に対する二次汚染が引き起こされる。他に、凝集剤投入量の偏差が比較的大きい場合、凝集効果が低下する。量が少ないと、凝集物の顆粒が小さく、効果的に分離することができず、量が多すぎると、凝集物の密度が比較的大きく、効果的に分離することができない。2種の状況により、ろ過容器のろ過ネットの詰まりが深刻になり、正常に排水することができず、さらに掃除が難しい。最終的に、水を凝集処理する過程を正常に実行することができなくなる。
【0009】
このことを考慮して、特に本発明を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許出願番号第200810072420.5号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする技術的問題は、既存技術の不足を克服し、凝集水位を測定することにより、凝集剤投入量を計算する洗濯機の水循環処理の制御方法を提供することである。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、上記制御方法を備えた洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記技術的問題を解決するため、本発明が採用する技術案の基本的構想は次の通りである。洗濯機の水循環処理の制御方法において、水循環処理は、洗濯機の洗濯水を凝集処理した後、循環して再び使用する。洗剤投入量、洗濯取水量、および各回の凝集処理の水量に基づいて、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量を計算する。
【0014】
さらに、衣類投入量に基づいて、対応する洗濯取水量を選択する。
【0015】
さらに、衣類投入量および衣類の汚れの程度に基づいて、洗剤投入量を算出する。
【0016】
さらに、洗濯終了後、水を凝集容器に排出して凝集処理する。凝集処理する水量を測定してL1とし、洗剤投入量をMとし、洗濯取水量をLとすると、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量はN1=aML1/L(式中、aは定数であり、洗剤および凝集剤のタイプと関係する)である。凝集が終了すると、処理後の水を再び洗濯槽に導入してすすぎを行う。
【0017】
さらに、1回目のすすぎが終了すると、水を凝集容器に排出して2回目の凝集処理を行う。2回目の凝集処理の水量を測定してL2とすると、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量はN2=[aM(L−L1)/L]+bL2(式中、bは定数であり、洗剤および凝集剤のタイプと関係する)である。凝集が終了すると、処理後の水を再び洗濯槽に導入して2回目のすすぎを行う。
【0018】
さらに、2回目のすすぎが終了すると、水を凝集容器に排出して3回目の凝集処理を行う。(N1+N2)/aMの値を計算し、設定値tと比較する。(N1+N2)/aMがtより大きい場合、一定の凝集剤量N3=Nminを投入し、そうでない場合、一定の凝集剤量N3=Nmaxを投入する。Nmax>Nmin、NmaxおよびNminは設定値である。
【0019】
さらに、すすぎを複数回行う必要がある場合、i(i≧3)回目の凝集処理のとき、以下の値を計算する。設定値tと比較して、tより大きい場合、一定の凝集剤量Ni=Nminを投入し、そうでない場合、一定の凝集剤量Ni=Nmaxを投入する。
【0020】
【数1】
【0021】
さらに、洗濯終了後、凝集容器に排水され、脱水過程で衣類から放出された水も同様に凝集容器に排出される。洗濯機の設定された衣類含水率をG、衣類投入量をWとすると、洗濯取水量L=GW+L1(L1は測定した1回目の凝集処理の水量)である。

【0022】
さらに、各回の凝集処理の前に測定した洗濯水の汚濁度と、当該回の凝集で投入する凝集剤量との対応関係に基づき、洗濯機に保存された設定データと比較して、凝集後のきれいな水および濁水が分離した高さを判断する。凝集水位を測定することにより、凝集後のきれいな水の排出を制御する。
【0023】
本発明に記載する洗濯機は、洗濯機本体および水循環処理システムを含む。該水循環処理システムは、洗濯機本体から排水されて凝集処理を行う凝集容器を含み、凝集容器に水位測定装置が設けられる。
【0024】
さらに、凝集容器に撹拌機構と、凝集容器の内壁を洗い流して洗浄する洗浄機構とが設けられる。該洗浄機構は放水インペラと、放水インペラを回転させる駆動モータとを含み、放水インペラにより、取水を凝集容器の内壁に放ち、洗浄する。
【0025】
さらに、前記撹拌機構は、凝集容器の外部に取り付けられる撹拌モータと、凝集容器の内部に延伸する撹拌軸と、撹拌軸に取り付けられる撹拌インペラとを含む。
【0026】
さらに、前記駆動モータは前記撹拌モータであり、前記放水インペラは撹拌軸に同軸に取り付けられ、撹拌モータと撹拌インペラとの間に位置する。撹拌インペラは撹拌軸の底端に取り付けられ、放水インペラは撹拌軸の撹拌モータに近い位置に取り付けられる。取水して凝集容器を洗浄するとき、撹拌モータは高速で放水インペラを回転させる。放水インペラの回転遠心力の作用により、取水を一定速度で凝集容器の内壁に放ち、洗浄する。放水範囲を拡大するため、撹拌モータを制御して様々な回転速度で段階的に動作させる。
【0027】
さらに、本発明の水循環処理システムはろ過容器をさらに含み、凝集後の水をろ過容器でろ過した後、循環して再び使用する。
【0028】
本発明の凝集容器に、自動洗浄を実現することができる洗浄機構が設けられ、凝集処理の自動化の程度が上昇する。取水を利用して放水し、凝集容器の内壁を洗浄する。設計は斬新で、洗浄は速く、範囲は広い。撹拌機構および洗浄機構は同一モータにより駆動され、構造および取付空間を簡略化し、コストを節約する。
【発明の効果】
【0029】
上記技術案を採用すると、本発明は既存技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0030】
本発明は、洗濯取水量および各回の凝集処理の水量を測定および計算することにより、凝集剤投入量を精確に算出し、凝集効果を保証する。さらに、凝集剤投入量により、分離後の凝集生成物の高さを計算し、水位の測定を利用して、きれいな水を完全に分離することができる。これにより、より多くの水を循環利用させ、より多くの水を節約し、凝集物が循環するきれいな水に混ざるのを防止することができる。
【0031】
本発明は凝集水位を測定する方法を利用して、凝集剤投入量を精確に計算しており、投入精度は高い。さらに凝集、分離し、きれいな水を排出するとき、残りの凝集物の高さを精確に制御することができる。誤差が比較的大きいことによる凝集効果の低下、さらには効果を失うことを防止し、凝集効率が上昇した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明に記載する洗濯機の構造概要図である。
図2図2は、本発明に記載する洗濯機における凝集容器の構造概要図である。
図3図3は、本発明に記載する洗濯機の水循環処理の制御方法におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、図を組み合わせて、本発明の具体的実施方式についてさらに詳細に記載する。
【0034】
実施例1
本発明に記載する洗濯機の水循環処理の制御方法は、次の通りである。水循環処理は、洗濯機の洗濯水を凝集処理した後、循環して再び使用する。洗剤投入量、洗濯取水量、および各回の凝集処理の水量に基づいて、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量を計算する。
【0035】
このうち、洗濯機は衣類投入量に基づいて、対応する洗濯取水量を選択する。該洗濯取水量は、水位測定装置により取水水位を測定して算出するか、または取水流量計および取水時間により算出することができる。衣類投入量および衣類の汚れの程度に基づいて、洗剤投入量を算出する。衣類の汚れの程度は一般にユーザが確定して選択する。衣類の汚れの程度に対応して、洗濯機には弱、中、強の3つのレベルが設けられるが、3つのレベルに限定されない。または、洗濯機が衣類の汚れの程度を自動測定する機能を備える。これは既存技術である。
【0036】
具体的に、洗濯終了後、水を凝集容器に排出して凝集処理する。凝集処理する水量を測定してL1とし、洗剤投入量をMとし、洗濯取水量をLとする。洗濯水を凝集処理するとき、凝集剤の投入量は洗剤の量に基づいて確定される。すなわち、処理水中の洗剤含量がMのとき、凝集剤投入量はaMである。本発明は、洗濯水を凝集容器内に移して凝集処理するものであり、したがって水量は変化する。凝集容器内の水量に基づいて計算すると、凝集剤投入量はN1=aML1/L(式中、aは定数であり、洗剤および凝集剤のタイプと関係する)である。凝集が終了すると、処理後の水を再び洗濯槽に導入してすすぎを行う。
【0037】
1回目のすすぎが終了すると、水を凝集容器に排出して2回目の凝集処理を行う。洗濯液の濃度が低くなるため、凝集剤投入量は2回目の凝集処理の水量に基づいて調整する必要がある。2回目の凝集処理の水量を測定してL2とすると、当該回の水の凝集処理で必要な凝集剤投入量はN2=[aM(L−L1)/L]+bL2(式中、bは定数であり、洗剤および凝集剤のタイプと関係する)である。凝集が終了すると、処理後の水を再び洗濯槽に導入して2回目のすすぎを行う。
【0038】
2回目のすすぎが終了すると、水を凝集容器に排出して3回目の凝集処理を行う。(N1+N2)/aMの値を計算し、設定値tと比較する。(N1+N2)/aMがtより大きい場合、一定の凝集剤量N3=Nminを投入し、そうでない場合、一定の凝集剤量N3=Nmaxを投入する。Nmax>Nmin、NmaxおよびNminは設定値である。
【0039】
一般的に、洗濯機の衣類洗濯は、2回すすぐことが習慣となっている。すすぎを数回行う必要がある場合、i(i≧3)回目の凝集処理のとき、以下の値を計算する。設定値tと比較して、tより大きい場合、一定の凝集剤量Ni=Nminを投入し、そうでない場合、一定の凝集剤量Ni=Nmaxを投入する。
【0040】
【数2】
【0041】
実施例2
本実施例および実施例1の違いは次の通りである。衣類の重量および遠心脱水率を採用する方式は、洗濯取水量が反映される。ユーザが衣類を投入すると、計量し、洗濯機の制御盤は、計量結果およびユーザが選択した汚れの程度に基づいて、投入する必要がある洗剤量を算出して投入する。その後、計量結果に基づいて、目標水位を確定して取水、洗濯する。以上の部分が既存の確立された技術である。洗濯終了後、凝集容器に排水し、排水が終了すると脱水し、脱水過程で衣類から放出された水も同様に凝集容器に排出される。したがって、洗濯機の衣類含水率をG、衣類投入量をW、凝集容器内に導入される水量をL1とすると、洗濯取水量L=GW+L1である。
【0042】
例えば、洗濯機の衣類脱水率を60%として計算するが、様々な型の脱水率に基づいて調整することができる。ここでは60%のみを例とする。衣類中の最後の含水量を0.6W、凝集容器中の測定した凝集処理の水量をL1とすると、凝集容器中の洗濯水を処理する凝集剤の投入量はaML1/(0.6W+L1)であり、式中0.6W+L1は、理論的に、洗濯時の取水の総量である。さらに、洗濯槽に取水するときの目標水位により取水量L2を計算することもでき、計算した0.6W+L1と比較するか、または平均を求めて、測定による誤差を減少させ、最終的な計算精度を高める。上記は1回目の凝集であり、すすぎが一度終了し、2回目の凝集を行う場合、凝集剤投入量は[aM0.6W/(0.6W+L1)]+bL2である。
【0043】
実施例3
本実施例は、凝集容器中の凝集後のきれいな水の分離に対する判断である。各回の凝集処理の前に測定する洗濯水の汚濁度と、当該回の凝集で投入する凝集剤量との対応関係に基づき、洗濯機に保存される設定データと比較して、凝集後のきれいな水および濁水が分離される高さを判断する。凝集水位を測定することにより、凝集後のきれいな水の排出を制御する。
【0044】
凝集後に静置してきれいな水および凝集物層を分離することにより、きれいな水部分を排出して循環利用し、凝集物を含有する部分を直接排出して除去する。凝集容器中の水位測定装置を利用して排水を制御し、凝集物層に達すると停止する。凝集物の多少は凝集物層の高さによって決まり、凝集物の多少は主に凝集剤の投入量および洗濯水の汚濁の程度と関係する。凝集層の高さと、凝集剤投入量および洗濯水の汚濁の程度との対応関係が実験および算出され、洗濯機の制御盤に保存される。処理過程において、洗濯水の濁度および凝集剤投入量を収集することにより、凝集物層の高さが得られる。凝集物層の高さまで排水すると、きれいな水はすべて排出されたと見なされる。
【0045】
実施例4
図1および図2に示すように、本発明に記載する洗濯機は、洗濯機本体1および水循環処理システム2を含む。洗濯機本体1は普通の洗濯機の各部分を備える必要があり、洗濯用の洗濯槽3、洗濯を制御する制御盤、および洗剤自動投入装置(図示せず)を含む。洗濯槽3に洗濯水位測定装置4が設けられ、計量または類似の衣類量を確定することができる機能を備え、水位センサまたは類似の洗濯水量を確定することができる機能を備える。水循環処理システム2は、凝集剤で洗濯水を凝集処理する凝集容器5を含み、凝集容器5に凝集水位測定装置6が設けられる。さらに、凝集処理水をろ過するろ過容器7と、洗濯槽、凝集容器、ろ過容器を接続する管路および制御バルブ、排水ポンプなどの構造を含むことができる。凝集容器5は、水流を撹拌して凝集剤の溶解を速める撹拌機構を有し、撹拌機構は、凝集容器の外部に取り付けられる撹拌モータ51と、凝集容器の内部に延伸する撹拌軸52と、撹拌軸52に取り付けられる撹拌インペラ53とを含む。凝集容器に凝集剤計量自動投入装置がさらに取り付けられ(図示せず)、これにより凝集剤を凝集容器内に直接投入する。
【0046】
凝集容器5に、凝集容器の内壁を洗い流して洗浄する洗浄機構がさらに設けられ、該洗浄機構は放水インペラ54と、放水インペラ54を回転させる駆動モータ55とを含む。放水インペラ54により、取水を凝集容器5の内壁に放ち、洗浄する。
【0047】
さらに、前記駆動モータ55は前記撹拌モータ51であり、すなわち洗浄機構および撹拌機構は同じモータで駆動する。前記放水インペラ54は撹拌軸52に同軸に取り付けられ、撹拌モータ51と撹拌インペラ53との間に位置する。撹拌インペラ53は撹拌軸52の底端に取り付けられ、放水インペラ54は撹拌軸52の撹拌モータ51に近い位置に取り付けられる。取水して凝集容器を洗浄するとき、撹拌モータは高速で放水インペラを回転させる。放水インペラの回転遠心力の作用により、取水を一定速度で凝集容器の内壁に放ち、洗浄する。放水範囲を拡大するため、撹拌モータを制御して様々な回転速度で段階的に動作させる。
【0048】
実施例5
図3に示すように、本発明の洗濯機における洗濯水の処理過程は以下の通りである。洗濯後の汚れた水を洗濯槽から凝集容器に排出する。凝集容器が取水を終了すると、撹拌モータが起動し、凝集剤が投入され、これにより凝集剤が迅速に溶解して均等に分布し、反応して凝集物が生成される。撹拌モータが停止し、一定時間静置すると、凝集物が分離し、凝集物は上部に浮かび、下部はきれいな水である。分離が終了すると、処理後のきれいな水は、凝集容器の底部からろ過容器中に排水され、大量の凝集物を含有する部分に達すると、停止する。きれいな水はろ過容器によりさらに処理された後、排水ポンプを使用して洗濯槽内に排出され、すすぎを行う。大量の凝集物を含有する部分の水は、直接下水道に排出されるか、または凝集物を固体廃棄物として収集、処理し、排出される。
【0049】
すすぎ過程は、必要に応じて、洗濯槽に給水してすすぎを行うことを選択することができる。1回目の凝集後、洗剤の含量はすでに低下しているため、この給水は水を凝集処理する過程における凝集剤の投入に影響を及ぼさない。凝集剤投入量は、やはり実施例1の方法で計算する。
【0050】
最後のすすぎが終了すると、すすぎ水および/または水道水を利用して、凝集容器およびろ過容器を洗い流すことができる。
【0051】
上記実施例における実施案は、さらに組合せまたは置換を行うことができ、また実施例は本発明の好ましい実施例について記載したにすぎず、本発明の構想および範囲を限定しない。本発明の設計の発想を逸脱しない前提で、当業者が本発明の技術案に対して行う各種の変更および改良は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3