【文献】
Complete Anti-Ageing Eye Contour Care,MINTEL GNPD,2006年12月
【文献】
Ultra All Night Repair and Moisture Cream for Face and Throat,MINTEL GNPD,2010年 8月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の組成物であって、前記大豆及び酵母のペプチド抽出物は、前記原料の総重量の90重量%の前記大豆及び前記原料の総重量の10重量%の前記酵母を加水分解することによって得られることを特徴とする、組成物。
【背景技術】
【0002】
老化は、「通常」人間を構成する全ての細胞に影響を及ぼす生物学的プロセスである。これは、理学的観点から、皮膚細胞、毛髪、臓器等を問わず、人体の一般的な老化により表される。
【0003】
老化は、特にテロメア短縮(複製老化)によって、又は生理的ストレス信号、例えば酸化ストレスなどへの急性的又は慢性的な暴露によって引き起こされることが科学的に実証されている。細胞老化、したがって人間の老化を制限するための手段の1つは、テロメア短縮に対抗すること、及び/又はDNAに対する酸化ストレス作用を制限することから成る。
【0004】
テロメアはTTAGGG配列の繰り返し及び特定のタンパク質から形成されている。テロメアは染色体の末端に位置し、その安定性を提供している。テロメアに結合するタンパク質の中には、二本鎖テロメアDNAに直接結合するTRF1及びTRF2のタンパク質(TRF:テロメア結合因子)、又は一本鎖3’末端に結合するPOT1タンパク質がある。細胞分裂時に、TTAGGGユニットは複製の間の過程で失われる。このテロメアの損失は逆転写酵素のテロメラーゼによって部分的に補われ、テロメラーゼは既存のテロメア末端において新たなテロメア反復の合成を行うことにより、最適な長さを確保している。
【0005】
生じる問題は、このテロメラーゼの活性が体細胞において非常に弱いということであり、それにより各染色体複製においてテロメア短縮が生じる。
【0006】
現在、皮膚老化、したがってその兆候を制限するために使用されている戦略の1つは、皮膚細胞のテロメラーゼ活性を増大させることから成る。しかしながら、これは前記細胞の不死化の危険性を伴い、それは不死化細胞が癌細胞と関連し得るために望ましくない。
【0007】
出願人は、テロメアに関連するタンパク質、より具体的にはTRF2タンパク質の量を調節することで細胞老化の遅延を試みるために、別の経路を調査した。こうして、出願人は、皮膚細胞においてテロメアに関連するタンパク質の量を増加させるのに適した大豆及び酵母のペプチド抽出物の組み合わせから成る相乗的TRF2タンパク質活性化システムを開発した。
【0008】
さらなるTRFタンパク質調節化合物又はテロメア安定剤は、米国特許出願公開第20020076719号、国際公開第9836066号、又は同第2004092395号の特許出願に開示されているように以前に提案されている。
【0009】
さらに、大豆又は酵母の抽出物の美容的使用は、皮膚に対する抗老化作用を有すると記載されており(仏国特許第2915378号、同第2915384号、同第2915381号、同第2887775号、同第2887772号、同第2826576号の特許出願)、また、大豆、麦芽及び酵母の水性抽出物を含む化粧品組成物は、皮膚の弾力を増加させると記載されている(韓国特許出願公開第2003045437号)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
したがって、本発明は、種々の選択された原料、すなわち大豆及び酵母を加水分解することによって得られるペプチド抽出物の組み合わせから成る相乗的TRF2タンパク質活性化システムを、生理学的に許容される媒体中に含む、化粧品組成物に関する。
【0024】
本発明による大豆ペプチド抽出物は、優先的に大豆(グリシン・マックス L.(Glycine Max L.))の加水分解から得られ、さらに、本発明による酵母ペプチド抽出物は、優先的にサッカロマイセス属、より具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種の酵母のバイオマスの加水分解から得られる。
【0025】
好ましくは、大豆は予備発酵を受けず、酵母は凍結乾燥される。
【0026】
本発明によるTRF2タンパク質活性化システムを得るために、大豆ペプチド及び酵母ペプチドの加水分解物を個別に得て、その後、組み合わせて本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物が形成されてもよい。
【0027】
好ましくは、大豆及び酵母の加水分解は、例えば実施例1の方法に従って、同時に起こる。
【0028】
使用する方法に関係なく、本発明によるTRF2タンパク質活性化システムの特性は、大豆及び酵母のペプチド抽出物が、原料の総重量の少なくとも80重量%の大豆、及び原料の総重量の多くとも20重量%の酵母を加水分解することによって得られる限り、保持される。
【0029】
一例として、相乗的TRF2タンパク質活性化システムは、原料の総重量の85〜92重量%の大豆、及び原料の総重量の8〜15重量%の酵母を加水分解することによって得られる大豆及び酵母のペプチド抽出物から成る。優先的に、本発明によるTRF2タンパク質活性化システムは、原料の総重量の90重量%の大豆、及び原料の総重量の10重量%の酵母を加水分解することによって形成される。
【0030】
本発明によるTRF2タンパク質活性化システムを形成する大豆及び酵母のペプチド抽出物は、その物理化学的特性及びそのペプチド化合物について定性的かつ定量的に分析される;ペプチド、アミノ酸及びタンパク質断片は、当業者に周知の従来技術に従って測定される。
【0031】
本発明による好ましい大豆及び酵母のペプチド抽出物は、基本的に低分子量のペプチド化合物を含む。すなわち、有利には、低分子量のペプチドのみを含有する。優先的に、それは5kDa未満の分子量を有するペプチド化合物を基本的に含む。すなわち、有利には、本発明による好ましい大豆及び酵母のペプチド抽出物は、分子量が5kDa未満のペプチド化合物のみを含む。
【0032】
また、本発明の有利な一実施形態によれば、大豆及び酵母のペプチド抽出物は、乾燥抽出物重量で16〜18g/Lの間のペプチド化合物を含み、優先的に、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物は、乾燥抽出物重量で0.5〜5.5g/Lの間のペプチド化合物を含有するように希釈される。
【0033】
TRF2タンパク質活性化システム及び生理学的に許容される媒体を含む本発明による化粧品組成物は、顔又は身体の皮膚の少なくとも一部への局所適用に適した形態で提供される。
【0034】
本発明による生理学的に許容される媒体は、特に、例えば、毒性、不適合性、不安定性、又はアレルギー反応などの危険性を伴わずに、人間の皮膚又は皮膚付属器と接して使用するのに適した媒体を意味する。
【0035】
本発明の有利な一実施形態によれば、TRF2タンパク質活性化システムを形成する大豆及び酵母のペプチド抽出物は、予め、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリコールエトキシレート、ジグリコールプロポキシレート、環状ポリオール、ワセリン、植物油又はこれらの溶媒の混合物などの、当業者によって従来から使用されている1つ又は複数の生理学的に許容される溶媒に可溶化される。
【0036】
本発明のさらに有利な一実施形態によれば、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物は、リポソームなどの化粧品担体中に可溶化されるか、又は有機ポリマーパウダー、無機基材、例えばタルク及びベントナイト上に吸着され、より一般的には任意の生理学的に適した担体中に可溶化されるか、又はそれに結合する。
【0037】
好ましくは、局所的に適用することを目的とした本発明による組成物は、クリーム、水中油型エマルション、又は油中水型若しくは多相エマルション、溶液、懸濁液、マイクロエマルション、水性若しくは無水のゲル、血清、又はベシクル分散液、パッチ、スプレー、軟膏、軟膏剤、ローション、コロイド、ミルク、スティック又は粉末の形態で提供される。
【0038】
本発明の有利な一実施形態によれば、大豆及び酵母のペプチド抽出物は、最終組成物の総重量に対して、約0.0001%〜20%の間の濃度で、優先的には約0.05%〜5%の間の濃度で、より優先的には約1%〜3%の間の濃度で、本発明による化粧品組成物中に存在する。
【0039】
より優先的には、本発明による化粧品組成物はさらに、少なくとも1つのさらなる活性剤を含有する。これは、限定されるものではないが、以下の種類の成分を含む:さらなるペプチド活性剤、植物抽出物、治癒剤、抗老化剤、抗しわ剤、緩和剤、抗ラジカル剤、抗UV剤、皮膚の高分子合成又はエネルギー代謝を刺激する薬剤、保湿剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤、麻酔薬、皮膚の分化、色素沈着、又は色素脱失を調節する薬剤、爪又は毛髪の成長を刺激する薬剤等。優先的には、抗シワ分野において活性を有する薬剤、例えば抗ラジカル剤若しくは酸化防止剤、又は皮膚の高分子合成を刺激する薬剤、又はエネルギー代謝を刺激する薬剤、が使用される。より具体的には、活性剤は、ビタミン、植物ステロール、フラボノイド、DHEA及び/若しくはそれらの前駆体のいずれか、若しくはそれらの化学的若しくは生物学的誘導体のいずれか、メタロプロテイナーゼ阻害剤、又はレチノイドから選択される。
【0040】
さらに、添加剤、例えば溶媒、希釈剤、着色剤、日焼け止め剤、セルフタンニング剤、顔料、充填剤、防腐剤、臭気吸収剤、増粘剤、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、酸化防止剤、フィルム形成剤、キレート剤、金属イオン封鎖剤、調整剤が、本発明による組成物に添加され得る。
【0041】
いずれの場合でも、当業者は、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物から成る相乗的TRF2タンパク質活性化システムを含む組成物の有利な特性の追求を妨げないように、これらの添加剤及びその割合を選択することを確保する。これらの添加剤は、例えば組成物の総重量の0.01%〜20%の間であり得る。本発明による組成物がエマルションである場合、油相は、組成物の総重量に対して5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜50重量%を示し得る。組成物に使用される乳化剤及び共乳化剤は、当該分野で従来から使用されているものから選択される。例えば、それらは組成物の総重量に対して、0.3重量%〜30重量%の範囲の割合で使用され得る。
【0042】
本発明による化粧品組成物、より具体的には、原料の総重量の少なくとも80重量%の大豆及び原料の総重量の多くとも20重量%の酵母を加水分解することによって得られる大豆及び酵母のペプチド抽出物の組み合わせから成る相乗的TRF2タンパク質活性化システムは、(遺伝子発現の直接的又は間接的な調節により)TRFタンパク質のタンパク質合成を増加させることによって、又はメッセンジャーRNA転写産物の安定化などのさらなる生物学的プロセスによって、皮膚細胞内のテロメアと結合するTRFタンパク質(TRF2及び/又はPOT1)、好ましくはTRF2の量を増加させる。
【0043】
原料の総重量の少なくとも80重量%の大豆及び原料の総重量の多くとも20重量%の酵母を加水分解することによって得られる大豆及び酵母のペプチド抽出物の組み合わせは、原料の総重量と同じ総重量の大豆100%のペプチド抽出物と比較して、培養中のケラチノサイト及び線維芽細胞におけるTRF2発現の増加に関して活性化システムの有効性を約20%増加させることができるという点で、TRF2タンパク質活性化システムは相乗作用を有している。
【0044】
こうして、本発明のさらなる目的は、テロメラーゼの量及び/又は活性を変更せずにテロメアの劣化を制限するために(細胞不死化の危険性が存在しないため、これは重要である)、細胞内のTRF2の量を増加させることによって、老化に伴う皮膚細胞のDNA損傷を予防及び/又は修復することを目的とした、本発明による組成物の美容的使用に関する。
【0045】
人間における細胞のDNA損傷は毎日修復されるが、それは完全ではない。そのため、修復されなかった損傷は長年にわたって蓄積される。したがって、この損傷を予防及び修復することが極めて重要である。
【0046】
皮膚細胞のDNA損傷の予防は、DNA損傷の発生を制限するための皮膚細胞に対する本発明によるTRF2タンパク質活性化システムの保護的役割によって表される。
【0047】
皮膚細胞のDNA損傷の修復は、以前の皮膚細胞の損傷に対する本発明によるTRF2タンパク質活性化システムの修復的役割によって表される。
【0048】
本発明による皮膚細胞は表皮及び真皮、特にケラチノサイト及び線維芽細胞の細胞を意味する。
【0049】
本発明による皮膚細胞のDNA損傷は、DNA塩基間の光化学反応、例えばシクロブタンピリミジンダイマーの形成などによって引き起こされる損傷、DNAの二重鎖切断、又は環境によって生じやすい外部攻撃後のあらゆる他のDNA損傷を意味する。
【0050】
一例として、外部攻撃には、汚染などの攻撃、酸化ストレスを引き起こす攻撃、例えば太陽への過剰暴露と関連するUV照射、特にUVB照射、又は刺激物質、例えば界面活性剤、防腐剤若しくは香料がある。
【0051】
本発明による化粧品組成物は、優先的に、損傷後の皮膚細胞のDNAにおける二本鎖切断の発生を予防及び/又は修復するために用いられる。実際に、皮膚細胞の損傷後、特にUV照射又は酸化ストレスによる損傷後、前記皮膚細胞のDNAは二本鎖切断で表される損傷を受けやすい。本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物の組み合わせによって形成される相乗的TRF2タンパク質活性化システムは、この種の損傷に関するそのDNA保護作用を実証した。
【0052】
本発明による化粧品組成物はまた、老化の皮膚徴候及びUV照射によって誘発される光老化の皮膚徴候を予防及び/又は処置するために使用される。
【0053】
本発明による光老化は、太陽への長時間かつ累積した暴露によって引き起こされる皮膚の早期老化を意味する。
【0054】
本発明による老化及び光老化の皮膚兆候としては、限定されるものではないが、老化によって引き起こされる皮膚上の目に見えるあらゆる兆候が挙げられる。これは、特に、しわ、深いしわ、小じわ、ひび割れ、皮膚及び皮下組織のたるみ、皮膚の弾力性の喪失及び弛緩、はり及び色合いの喪失、並びに皮膚萎縮を指す。
【0055】
本発明による化粧品組成物は、優先的に、しわ、深いしわ、小じわ、ひび割れ、皮膚及び皮下組織のたるみ、皮膚の弾力性の喪失及び弛緩、はり及び色合いの喪失、並びに皮膚萎縮を予防及び/又は処置することを目的とするものである。
【0056】
最後に、本発明の最後の目的は、顔又は身体の皮膚の少なくとも一部への本発明による組成物の局所適用を含む、老化に伴う皮膚細胞のDNA損傷を予防及び/又は修復することを目的とした美容処理方法に関し、組成物は抗老化デイケアとして朝に適用され、及び/又は修復ナイトケアとして就寝時に適用される。デイケアとして適用する場合、組成物は、特に、皮膚細胞のDNA損傷の発生を制限することにより、環境攻撃、すなわちUV照射、特にUVB照射から皮膚を保護する。ナイトケアとして、組成物は、より具体的には、日中のあらゆる皮膚損傷に対する修復的役割を有している。
【0057】
本発明による美容処理方法のさらに有利な実施形態では、組成物は日焼け前のケアとして日光暴露前に適用され、及び/又は日焼け後のケアとして日光暴露後に適用される。そのため、組成物は、特に皮膚細胞のDNA損傷を予防する優れた日焼け前のケア、及び/又は日光暴露後には、より具体的には皮膚のあらゆるDNA損傷を修復するための日焼け後のケアを構成する。
【0058】
以下の実施例は、本発明による相乗的TRF2タンパク質活性化システムの有効性を説明かつ実証するが、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0059】
本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物を得る方法:
本発明による相乗的TRF2タンパク質活性化システムを得るために、予め粉砕した大豆の原料の総重量の90重量%を、酵母バイオマスの原料の総重量の10重量%と混合する。原料混合物を1:60の重量比、すなわち、60kgの水に1kgの原料混合物の重量比で水溶液中に入れる。溶液のpHを7〜7.5の間の値に調整する。pHを調整した後、2%のブロメライン及び2%のPOLYCLAR(登録商標)10(不溶性ポリビニルピロリドン−PVPP)を反応混合物に添加する。次いで、反応混合物を55℃で2時間加熱し、そして80℃で2時間不活性化させる。濾過工程を用いて、20〜25g/Lの乾物、19〜22g/Lのタンパク質及び2〜3g/Lの糖から成る濾液を回収する。
【0060】
この濾液のタンパク質の性質を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって実証する。この分析について、NuPAGE(登録商標)Bis−Tris Pre−cast(Invitrogen)ゲルを使用する。中間体の大豆及び酵母のペプチド抽出物を、NuPAGE(登録商標)LDS試料調製緩衝液中で変性還元条件下にて10分間70℃に加熱する。NuPAGE(登録商標)Antioxidant溶液を内側容器に添加し、電気泳動中に還元されたタンパク質が再酸化されるのを防止する。ペプチド化合物の泳動は、分子量マーカーとしてSeeBlue Plus2標準を用いて、NuPAGE(登録商標)MES泳動緩衝液により行う。ペプチド化合物の染色は、Coomassie Blue(登録商標)R250を用いて行う。得られたペプチドプロファイルは、6kDa未満の分子量分布を示している。
【0061】
次いで、上記で得られた中間体の大豆及び酵母のペプチド抽出物を、(最大0.2μmの)減少した空隙率のSeitz−Orionフィルタープレスを用いて連続した濾過により精製することで、はっきりと透明な溶液が得られる。この工程では、大豆及び酵母の抽出物は、20−22g/kgの乾燥重量、18−20g/Lのペプチド化合物含有量、及び1−2g/Lの糖含有量によって特徴付けられる。
【0062】
次いで、この溶液を接線流濾過を用いて5kDaを超える分子量を有するペプチド化合物を除去することにより精製する。このために、大豆及び酵母の溶液を、10kDa Biomax Pellicon(登録商標)2カセットを備えたPellicon(登録商標)ホルダーを介して圧力下で送り出す。この最初の濾液を回収して、さらに5kDa Biomax Pellicon(登録商標)2カセットを介して後に濾過する。
【0063】
精製終了時に、はっきりと透明な淡黄色の大豆ペプチド及び酵母ペプチドの植物抽出物が得られる。これは、18−20g/kgの乾燥重量、16−18g/Lのペプチド化合物含有量、及び0.3〜0.5g/Lの間の糖含有量によって特徴付けられる。
【0064】
その後、滅菌濾過工程を実施することで、30%のグリセロール中で2.35g/Lのペプチド化合物に希釈された、本発明による最終的な大豆及び酵母のペプチド抽出物が得られる。
【実施例2】
【0065】
実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物が複製老化により老化した線維芽細胞に与える影響の研究
ヒト線維芽細胞を特定の培地中で培養し、実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物を1%〜3%の濃度で毎日適用し、長期培養を維持する(17継代超)。ビメンチンの免疫蛍光検出実験を、6及び17継代培養の細胞において実施する。その後、細胞をPBSで洗浄し、3.7%のホルムアルデヒドで10分間固定し、0.2%のTriton X−100(Fisher Chemical社)を用いて10分間透過処理し、かつ1%のBSA(Euromedex社)で15分間インキュベートする。抗ビメンチン抗体(Tebu社 サンタクルーズ)をその後に添加して、1:200希釈で周囲温度にて2時間インキュベートする。PBSで洗浄した後、Alexa Fluor(登録商標)488マーカーと結合したロバ抗マウスIgG抗体を1:1000希釈で添加し、周囲温度で1時間インキュベートする。最後に、切片をFluoromount G(Electron Microscopy Science社)を用いてマウントし、顕微鏡(Nikon Eclipse 80i、倍率40倍)で観察する。
【0066】
結果/結論:
実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物で処理した老化線維芽細胞は、未処理の老化線維芽細胞よりも少ないビメンチンを発現することが観察される。一方で、ビメンチンの増加及び凝集は、老化現象に伴う細胞骨格の変化と関連している。従って、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物を用いた処理により、線維芽細胞の老化によるビメンチンの増加及び凝集を制限することができると結論付けられる。
【実施例3】
【0067】
実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物がメチルグリオキサールを用いてインビトロで老化させた生検モデルに与える影響の研究
ヒトの皮膚生検材料を、メチルグリオキサール(MGO)を用いた処理によってインビトロで人為的に老化させる。このために、ヒト皮膚生検材料の6mmパンチを、特定の培養培地中で気液界面にてインキュベートする。次いで、それらを5mM又は10mMのMGO(Sigma社)で処理し、MGOは生検材料の表面及び培養培地中に堆積する。生検材料をその後:
【0068】
−条件1:20μLの1×PBS、又は
−条件2:20μLの1%の実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物、又は
−条件3:20μLの3%の実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物、
のいずれかで処理する。
【0069】
生検材料を固定し、パラフィン中に包含して、次いでミクロトームを用いて4μmの切片に切断する。ヘマトキシリン/エオシン(H&E)免疫標識をすでに切断した切片において実施し、その形態及び構造を(Nikon Eclipse E600顕微鏡、40倍レンズを用いて)顕微鏡で観察することにより調査する。
【0070】
結果/結論:
対照条件1、すなわち、本発明によるペプチド抽出物を添加しない条件下では、MGOは、皮膚生検材料、より具体的にはその構造に著しい損傷を引き起こしたことが観察される。より多くの損傷が10mMの量のMGOで観察されるため、生じた損傷は用量依存性である。
【0071】
生検材料を実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物で処理すると、前記生検材料の構造の損傷は、対照条件下よりもはるかに少ないことが観察される。実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物の保護効果は、1%用量よりも3%用量においてより少ない損傷が観察されることから、用量依存性であることが観察される。
【0072】
したがって、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物は、著しい損傷及び早期老化を引き起こすストレスを細胞構造が受けたときに、前記構造に対して保護効果を有していたと結論付けられる。
【実施例4】
【0073】
実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物で処理したヒト線維芽細胞におけるsiRNAを用いたTRF2タンパク質発現の研究
本発明によるペプチド抽出物のヒト線維芽細胞集団におけるTRF2の過剰発現に対する有効性を定量化するために、TRF2をコードする遺伝子をsiRNA(サイレンサーRNA)を用いて「消失」させた。
【0074】
プロトコル:
線維芽細胞を60%コンフルエントになるまで6ウェルプレート中で培養する。培養培地は、以下に記載の条件下で、実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物を1%添加して新しくする。その後、10nMの最終含有量を有するTRF2 siRNA及びトランスフェクション剤を含む予め生成した100μLの混合物を、各ウェルに一滴ずつ慎重に添加する。細胞培養プレートを5%のCO
2で37℃にて72時間インキュベートする。培養培地を2日ごとに新しくする。4つの条件を設定した:
【0075】
−条件1:siRNAを含まず、かつ活性剤を含まない対照
−条件2:siRNAでトランスフェクトされ、活性剤を含まない細胞
−条件3:活性剤で処理されるが、トランスフェクトされない細胞
−条件4:siRNAでトランスフェクトされ、かつ活性剤で処理された細胞
【0076】
抗TRF2抗体を用いて従来のプロトコルに従って実施される従来の免疫移動技術(ウェスタンブロット)を用いて、TRF2発現の定量化を観察する。siRNAでトランスフェクトした線維芽細胞におけるペプチドによって提供される埋め合わせを分析するために、遺伝子がsiRNAによって消失していない未処理の線維芽細胞に対して比較を実施する。
【0077】
結果/結論:
条件1と3の間では、実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物の添加により、対照と比較して17%のTRF2タンパク質発現の増加が生じたことが観察される。条件1と2の間では、siRNAがTRF2タンパク質発現に及ぼす影響が効果的に観察される:実際には、TRF2タンパク質発現は26%減少する。しかしながら、siRNAでトランスフェクトした細胞に活性剤を添加すると、TRF2発現は回復し、siRNAの存在に起因する減少は対照条件と比較してわずか18%である。
【0078】
結論として、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物は、処理された線維芽細胞におけるTRF2タンパク質発現の減少(特異的siRNAによって誘導される減少)に対して埋め合わせをすることが可能である。
【実施例5】
【0079】
実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物で処理したヒトケラチノサイトにおけるsiRNAを用いたTRF2タンパク質発現の研究
本発明によるペプチド抽出物のケラチノサイト集団におけるTRF2発現レベルの調節に対する有効性を定量化するために、TRF2をコードする遺伝子をsiRNAを用いて「消失」させた。
【0080】
プロトコル:
培養中のヒトケラチノサイトを、必要に応じて、Lipofectamine(登録商標)RNAiMAXトランスフェクション技術(Invitrogen、参照番号:13778−075)を用いて、特異的TRF2 siRNA(特注siRNA、Qiagen社)を25nMの最終濃度で用いて処理し、かつ必要に応じて、成分を1%の最終濃度で用いて48時間処理する。
【0081】
4つの条件を設定した:
【0082】
−条件1:siRNAを含まず、かつ活性剤を含まない対照
−条件2:siRNAでトランスフェクトされ、活性剤を含まない細胞
−条件3:活性剤で処理されるが、トランスフェクトされない細胞
−条件4:siRNAでトランスフェクトされ、かつ活性剤で処理された細胞
【0083】
次いで、細胞を洗浄し、3.7%のホルムアルデヒドで周囲温度にて10分間固定する。細胞核の透過化を、周囲温度で10分間0.2%のTriton X−100を用いたインキュベーションにより実施する。非特異的部位を1%のBSAを30分間適用してブロックする。TRF2に特異的なマウスモノクローナル抗体(Abcam社、参照番号:ab13579)、続いて、蛍光色素と結合した抗マウス二次抗体(Invitrogen、参照番号:A21202)の存在下で、細胞をインキュベートする。次いで、細胞を落射蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse E600顕微鏡)で観察する。
【0084】
条件ごとに3つの画像を、Image−Pro Analyzer 6.3ソフトウェア(MediaCybernetics社)を用いて分析かつ定量化する。その後、スチューデントt検定を用いて、これらのデータに対して統計分析を行う。
【0085】
結果/結論:
条件1と3の間では、実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物の添加により、対照と比較して34.4%のTRF2タンパク質発現の増加が生じたことが観察される。条件1と2の間では、TRF2 siRNAがTRF2タンパク質発現に及ぼす影響が効果的に観察される:実際には、TRF2タンパク質発現は32.5%減少する。しかしながら、siRNAでトランスフェクトした細胞に活性剤を添加すると、TRF2発現は回復し、トランスフェクトされた未処理の細胞と比較して75.5%の増加が観察される。
【0086】
結論として、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物は、処理されたケラチノサイトにおけるTRF2タンパク質発現の減少(特異的siRNAによって誘導される減少)に対して埋め合わせをすることが可能である。
【実施例6】
【0087】
実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物で処理し、かつ人為的な老化誘導により老化させたヒト線維芽細胞におけるTRF2タンパク質発現の研究
本発明によるペプチド抽出物のTRF2発現レベルの調節に対する有効性を定量化するために、線維芽細胞集団における人為的な老化誘導を、FOXO3a遺伝子に特異的なsiRNAで細胞を48時間処理することによって実施した。
【0088】
プロトコル:
培養中のヒト線維芽細胞を、必要に応じて、Lipofectamine(登録商標)RNAiMAXトランスフェクション技術(Invitrogen、参照番号:13778−075)を用いて、特異的FOXO3a siRNA(HSS177176、Invitrogen)を25nMの最終濃度で用いて処理し、かつ必要に応じて、実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物を1%の最終濃度で用いて48時間処理する。
【0089】
4つの条件を設定した:
【0090】
−条件1:siRNAを含まず、かつ活性剤を含まない対照
−条件2:siRNAでトランスフェクトされ、活性剤を含まない細胞
−条件3:活性剤で処理されるが、トランスフェクトされない細胞
−条件4:siRNAでトランスフェクトされ、かつ活性剤で処理された細胞
【0091】
次いで、細胞を洗浄し、3.7%のホルムアルデヒドで周囲温度にて10分間固定する。細胞核の透過化を、周囲温度で10分間0.2%のTriton X−100を用いたインキュベーションにより実施する。非特異的部位を1%のBSAを30分間適用してブロックする。TRF2に特異的なマウスモノクローナル抗体(Abcam社、参照番号:ab13579)、続いて、蛍光色素と結合した抗マウス二次抗体(Invitrogen、参照番号:A21202)の存在下で、細胞をインキュベートする。次いで、細胞を落射蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse E600顕微鏡)で観察する。
【0092】
条件ごとに3つの画像を、Image−Pro Analyzer 6.3ソフトウェア(MediaCybernetics社)を用いて分析かつ定量化する。その後、スチューデントt検定を用いて、これらのデータに対して統計分析を行う。
【0093】
結果/結論:
条件1と3の間では、実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物の添加により、対照と比較して22%のTRF2タンパク質発現の増加が生じたことが観察される。条件1と2の間では、FOXO3a特異的siRNAがTRF2タンパク質発現に及ぼす影響が効果的に観察される:実際には、TRF2タンパク質発現は18.9%減少する。しかしながら、siRNAでトランスフェクトした細胞に活性剤を添加すると、TRF2発現は回復し(条件4)、トランスフェクトされた未処理の細胞(条件2)と比較して26%の増加が観察される。
【0094】
結論として、本発明による大豆及び酵母のペプチド抽出物は、FOXO3a特異的siRNAによって人為的に誘導されたTRF2タンパク質発現の減少に対して埋め合わせをすることが可能である。
【実施例7】
【0095】
実施例1の大豆及び酵母のペプチド抽出物で処理したヒト線維芽細胞におけるDNA保護の研究
コメットアッセイは、細胞レベルでDNAに生じた損傷を定量化するのに適した試験である。
【0096】
プロトコル:
ヒト線維芽細胞を培養し、3継代〜16継代の間に実施例1のペプチド抽出物を1%の濃度で用いて1日1回処理する。次いで、これらに50mJ/cm
2の量でUVB放射線を照射し、その後、30分間線維芽細胞培地での培養に戻す。
【0097】
対照培養物は、実施例1のペプチド抽出物で処理せずに調製する。
【0098】
次いで、細胞をトリプシン処理することによりその基板から分離し、細胞を濃縮して計数する。
【0099】
次いで、定義済みの数の細胞(25,000細胞)を0.75%の低融点アガロースゲルに含め、その後、予め1%のアガロースでコーティングしたガラススライド上に沈着させる。次いで、スライドを溶解液に4℃で1時間30分の間浸漬させ、その後、アルカリ溶液に4℃で20分間浸漬させる。こうして、細胞は溶解してDNAは変性する。スライドを電気泳動溶液に浸した後、電界(20V−250mA)を印加する。このようにして、変性したDNAは4℃でアガロースゲルでの泳動を経る。蛍光DNA染料(2μg/mlのヨウ化プロピジウム)を適用することにより、顕微鏡でDNAを観察することが可能となる。損傷DNA、すなわち、様々なサイズの複数の断片に断片化されたDNAは拡散して泳動し、「彗星」の形で出現する。
【0100】
定量化ソフトウェアを用いて平均テールモーメントを決定し、それはDNA損傷が増加するにつれて増加する。
【0101】
結果:
線維芽細胞が実施例1のペプチド抽出物で処理され、かつUVB照射を受けたとき、テールモーメントは13.9であり、一方で照射及び未処理の条件下では49である。したがって、算出されたテールモーメントは、照射された対照条件と比較して71.6%減少した(統計的に高度に有意な減少)。すなわち、
図1に示すように、UVB照射を受けた細胞のDNAは、対照条件下よりも実質的に少ない損傷を受けた。
【0102】
結論:
1%の実施例1のペプチド抽出物は、非常に有意にUVB照射を受けた正常ヒト線維芽細胞のDNAを保護した。
【実施例8】
【0103】
日焼け止めクリーム組成
【0104】
【表1】