特許第6337410号(P6337410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6337410
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】原子炉圧力容器の解体工法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   G21F9/30 535C
   G21F9/30 535B
   G21F9/30 T
   G21F9/30 535E
   G21F9/30 535F
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-149957(P2017-149957)
(22)【出願日】2017年8月2日
【審査請求日】2017年8月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】木尾 賢治
(72)【発明者】
【氏名】清水 徳雄
(72)【発明者】
【氏名】永江 良明
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 竜也
(72)【発明者】
【氏名】北原 隆
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−161495(JP,A)
【文献】 特開2013−156133(JP,A)
【文献】 特開2007−024586(JP,A)
【文献】 特開2001−264494(JP,A)
【文献】 特開昭62−118972(JP,A)
【文献】 特開昭61−067000(JP,A)
【文献】 特開昭59−087400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/00− 9/36
E04G23/00−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉建屋の原子炉格納容器内に配置される原子炉圧力容器の解体工法であって、
前記原子炉圧力容器を一次切断する前に、
前記原子炉圧力容器の炉内構造物が通過できる原子炉ウェル及びドライヤ・セパレータプールの間に開閉可能なDSPゲートを設置し、前記原子炉圧力容器の圧力容器蓋を撤去した後、前記ドライヤ・セパレータプール及び前記原子炉ウェル及び使用済燃料プールの内部に水を充填する工程と、
前記原子炉ウェル及び前記使用済燃料プールの間に、開閉可能であって前記原子炉圧力容器の直径よりも小さいSFP隔離ゲートを設置し、前記炉内構造物を前記ドライヤ・セパレータプール水中搬送して切断する工程と、
その後、前記原子炉格納容器内で一次切断した前記原子炉圧力容器を前記SFP隔離ゲート越しに前記使用済燃料プール内に吊り搬送し、前記使用済燃料プール内で二次切断する工程と、
を有することを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法。
【請求項2】
前記二次切断は、前記使用済燃料プール内部に前記一次切断した原子炉圧力容器の高さ以上に水が充填された前記使用済燃料プール内で行うことを特徴とする請求項1に記載の原子炉圧力容器の解体工法。
【請求項3】
前記一次切断は、前記原子炉圧力容器を横切断面に沿った輪切り状に切断し、切断面より下方の前記原子炉圧力容器の内部に水が充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉圧力容器の解体工法。
【請求項4】
前記原子炉圧力容器を二次切断した切断片又は前記炉内構造物を切断した切断片は、処分容器に収納可能なバスケットに水中で収容して気中へ搬送することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の原子炉圧力容器の解体工法。
【請求項5】
前記一次切断した前記原子炉圧力容器又は前記バスケットは、下面に開口を有する容器状の放射線遮蔽吊具を用いて気中を搬送することを特徴とする請求項4に記載の原子炉圧力容器の解体工法。
【請求項6】
前記放射線遮蔽吊具は、内部に設けた吊上げ手段で前記一次切断した前記原子炉圧力容器又は前記バスケットを水中から吊り上げ又は水中へ吊り下げることを特徴とする請求項5に記載の原子炉圧力容器の解体工法。
【請求項7】
前記吊上げ手段は下端に把持部を備え、一次切断した前記原子炉圧力容器を前記把持部で把持することを特徴とする請求項6に記載の原子炉圧力容器の解体工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉建屋の原子炉格納容器内に配置される原子炉圧力容器の解体工法に関する。
【背景技術】
【0002】
耐久年数の経過した原子力発電所は所定の廃止措置がとられる。廃炉作業において、建屋内の構造物は大型のため、所定の大きさに切断しなければ外部へ運び出すことができない。このとき切断時に発生するスラッジ等の放射性物質の拡散防止ならびに作業者の被ばくを防止することが求められている。
従来の原子炉圧力容器の解体工法として特許文献1に開示の技術は、原子炉ウェルを閉塞した状態で、原子炉圧力容器を下端部側から切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−205822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の解体工法によれば、外部への放射性物質の拡散を防止しつつ、気中での切断作業を行うことができるが、原子炉圧力容器を支持するジャッキを別途用意し、輪切り状に切断する工程毎にサポート又は受けを付け替えなければならず作業が多工程となり時間を要するという課題がある。
【0005】
ところで、原子炉建屋には使用済み燃料プール(Spent Fuel Pool、以下SFPと略すことがある)と、ドライヤ・セパレータプール(Dryer Separater Pool、以下DSPと略すことがある)が設置されている。SFPは主として使用済み燃料の貯蔵を、DSPは定期検査時にドライヤ及びセパレータの保管や機器の分解等に使用することを目的としている。一般にSFPはDSPよりも水深が深く作業フロアから離れるため放射線遮蔽効果が高い。にもかかわらず従来の廃炉作業の際、使用済燃料プールは燃料ラックを撤去した後、容器仮置き等に計画されるのにとどまっていた。
【0006】
そこで上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は切断作業で発生する放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽効果を確保して、作業者の被ばくを防止する原子炉圧力容器の解体工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、原子炉建屋の原子炉格納容器内に配置される原子炉圧力容器の解体工法であって、
前記原子炉圧力容器を一次切断する前に、
前記原子炉圧力容器の炉内構造物が通過できる原子炉ウェル及びドライヤ・セパレータプールの間に開閉可能なDSPゲートを設置し、前記原子炉圧力容器の圧力容器蓋を撤去した後、前記ドライヤ・セパレータプール及び前記原子炉ウェル及び使用済燃料プールの内部に水を充填する工程と、
前記原子炉ウェル及び前記使用済燃料プールの間に、開閉可能であって前記原子炉圧力容器の直径よりも小さいSFP隔離ゲートを設置し、前記炉内構造物を前記ドライヤ・セパレータプール水中搬送して切断する工程と、
その後、前記原子炉格納容器内で一次切断した前記原子炉圧力容器を前記SFP隔離ゲート越しに前記使用済燃料プール内に吊り搬送し、前記使用済燃料プール内で二次切断する工程と、
を有することを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、水深が深く放射線遮蔽効果の高い使用済燃料プールで二次切断を行うことにより、作業フロアにおける放射性物質の拡散を防止し、また十分に放射線を遮蔽して作業を行う作業者の被ばくを防止できる。また原子炉圧力容器の撤去作業において使用済燃料プールを有効活用できる。
【0008】
上記課題を解決するための第2の手段として、本発明は、前記第1の手段において、前記二次切断は、前記使用済燃料プール内部に前記一次切断した原子炉圧力容器の高さ以上に水が充填された前記使用済燃料プール内で行うことを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第2の手段によれば、使用済燃料プールの放射線遮蔽効果を高めると共に、二次切断中の放射性物質の拡散を防止することができる。
【0009】
上記課題を解決するための第3の手段として、本発明は、前記第1又は第2の手段において、前記一次切断は、前記原子炉圧力容器を横切断面に沿った輪切り状に切断し、切断面より下方の前記原子炉圧力容器の内部に水が充填されていることを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第3の手段によれば、切断面よりも下方の原子炉圧力容器から発生する放射線の遮蔽を十分に行うことができる。
【0010】
上記課題を解決するための第4の手段として、本発明は、前記第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記原子炉圧力容器を一次切断する前に、
前記原子炉圧力容器の圧力容器蓋を撤去した後、ドライヤ・セパレータプール及び原子炉ウェルの内部に水を充填する工程と、
前記原子炉圧力容器の炉内構造物を前記ドライヤ・セパレータプールへ搬送して切断する工程と、
を有することを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第4の手段によれば、炉内構造物の切断工程を水中で行うことにより、放射性物質の拡散及び放射線の遮蔽効果が期待できる。
【0011】
上記課題を解決するための第5の手段として、本発明は、前記第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記原子炉圧力容器を一次切断する前に、
前記原子炉圧力容器の圧力容器蓋を撤去した後、ドライヤ・セパレータプール及び原子炉ウェルの内部に水を充填する工程と、
前記原子炉圧力容器の炉内構造物を前記ドライヤ・セパレータプール及び前記使用済燃料プールへ搬送して切断する工程と、
を有することを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第5の手段によれば、小さい炉内構造物をDSPで、大きな炉内構造物をSFPで二次切断を並行して行い作業の効率化が図れる。また、炉内構造物の切断工程を水中で行うことにより、放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽効果を確保できる。
【0012】
上記課題を解決するための第6の手段として、本発明は、前記第4又は第5の手段において、前記原子炉圧力容器を二次切断した切断片又は前記炉内構造物を切断した切断片は、処分容器に収納可能なバスケットに水中で収容して気中へ搬送することを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第6の手段によれば、気中でそのまま処分容器に収納して、作業者の被ばくを防止することができる。
【0013】
上記課題を解決するための第7の手段として、本発明は、前記第6の手段において、前記一次切断した前記原子炉圧力容器又は前記バスケットは、下面に開口を有する容器状の放射線遮蔽吊具を用いて気中を搬送することを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第7の手段によれば、気中で切断物を搬送する際、放射性物質による被ばくを防止できる。
【0014】
上記課題を解決するための第8の手段として、本発明は、前記第7の手段において、前記放射線遮蔽吊具は、内部に設けた吊上げ手段で前記一次切断した前記原子炉圧力容器又は前記バスケットを水中から吊り上げ又は水中へ吊り下げることを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第8の手段によれば、放射線遮蔽吊具を水中に沈めることなく、一次切断した原子炉圧力容器又はバスケットを水中から気中へ吊り上げることができる。
【0015】
上記課題を解決するための第9の手段として、本発明は、前記第8の手段において、前記吊上げ手段は下端に把持部を備え、一次切断した前記原子炉圧力容器を前記把持部で把持することを特徴とする原子炉圧力容器の解体工法を提供することにある。
上記第9の手段によれば、水中の原子炉圧力容器を人手に拠らず把持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水深が深く放射線遮蔽効果の高い使用済燃料プールで二次切断を行うことにより、作業フロアにおける放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽を確保して作業を行う作業者の被ばくを防止できる。また原子炉圧力容器の撤去作業において使用済燃料プールを有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】原子炉建屋の平面図及び縦断側面図である。
図2】原子炉圧力容器の解体工法の処理フロー図である。
図3】RPVヘッドを撤去する説明図である。
図4】DSP内に二次切断装置を設置する説明図である。
図5】原子炉ウェル、SFP、DSPを水張りする説明図である。
図6】RPVの炉内構造物を撤去する説明図である。
図7】SFP内に二次切断装置を設置する説明図である。
図8】DSP及びSFPで炉内構造物を二次切断する説明図である。
図9】RPVの一次切断装置を準備する説明図である。
図10】RPVの一次切断装置にてRPVを円周方向に切断する説明図である。
図11】一次切断したRPVを放射線遮蔽吊具で把持し、SFPへ移送する説明図である。
図12】SFP内でRPVを容器収納寸法に二次切断する説明図である。
図13】廃棄物収納容器を搬出する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の原子炉圧力容器の解体工法について、添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0019】
図1は原子炉建屋の(A)平面図及び(B)縦断側面図である。図示のように原子炉建屋10は、ドライヤー(蒸気乾燥機)とセパレータ(気水分離機)とシュラウド(制御棒を収容する構造物)とジェットポンプなどの炉内構造物122(図3参照)を有する原子炉圧力容器(Reactor Pressure Vessel、以下単にRPVという)12と、RPV12を収納する原子炉格納容器14と、定期点検中にドライヤとセパレータを保管し、またシュラウドを小片に切断するスペースとなるドライヤ・セパレータプール(DSP)16と、RPV12の上に設けられたプールとなる原子炉ウェル18と、使用済み燃料及び放射能で汚染された機器等を貯蔵する使用済燃料プール(SFP)20を備えている。
【0020】
なお本発明のRPVの解体工法は、RPV12を囲む熱遮蔽壁141の有無に係わらずRPV12を撤去可能な工法である。また、解体工法での搬送工程、切断工程は制御手段を介した遠隔操作とし、作業者の被ばくを防止している。またRPV12の一次切断とはRPV12を横切断面に沿った輪切り状に切断する切断をいい、二次切断とは一次切断したRPV12をさらに細かく切断して小片化することをいう。
【0021】
[RPVの解体工法]
図2はRPVの解体工法の処理フロー図である。
なお、解体工法の前提としてRPV12内の核燃料及びSFP内の使用済核燃料、さらにSFP内の燃料ラック、RPV12に接続する各種配管等は全て撤去済みとする。
【0022】
ステップ1:RPV12の圧力容器蓋となるRPVヘッド121を撤去する。図3はRPVヘッドを撤去する説明図である。図示のように天井クレーン11の主巻フック111を用いてRPVヘッド121を吊り上げて外部へ搬出する。
図4はDSP内に二次切断装置を設置する説明図である。DSP16内で炉内構造物122を切断するために二次切断装置163及びターンテーブル付仮受台(以下単に仮受台という)164を設置する。
【0023】
本実施形態の二次切断装置163は、一例としてアブレシブウェータージェットを用いて切断している。この切断装置は、水を所定圧に加圧し小径ノズルから噴射する際に研磨剤(アブレシブ)を混入させて切断する装置であり、水中で構造物を切断加工できる。
仮受台164は、ドライヤ、セパレータなどの炉内構造物122をDSP16内で仮置きする平面視でほぼ円形のターンテーブルを備えた受台である。
【0024】
ステップ2:次に原子炉ウェル18及びSFP20及びDSP16に水張りを行う。図5は原子炉ウェル、SFP、DSPを水張りする説明図である。原子炉ウェル18及びDSP16の間にはDSPプラグ(仕切り)161が設置されていたが(図4参照)、DSPプラグ161を取り外した後、DSPゲート162を設置して、図示のように原子炉ウェル18、SFP20、DSP16をいずれも所定の水位(放射線が水中でとまる水位)まで水を張る。原子炉ウェル18はRPV12の上面開口と接続しており、RPV12の内部にも水が充填される。なおSFP20は、少なくとも一次切断した原子炉圧力容器の高さ以上に水を充填しておくと良い。これにより放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽効果を確保できる。
【0025】
ステップ3:RPV12の炉内構造物122を撤去する。図6はRPVの炉内構造物を撤去する説明図である。DSPゲート162は原子炉ウェル18とDSP16の間を開閉可能なゲートであり、切断作業により汚染された水の拡散を防止している。天井クレーン11を用いて炉内構造物122を吊り上げる。DSPゲート162を開放して原子炉ウェル18からDSP16へ炉内構造物122を水中で移動させる。このとき炉内構造物122が水面から気中に出ないようにして、放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽を行っている。
【0026】
DSP16内の仮受台164上に炉内構造物122を仮置きした後、DSPゲート162を閉じる。
作業フロア112で作業員を乗せた作業用台車113を仮受台164の上方付近に配置し、作業員の遠隔操作でDSP16内(水中)で炉内構造物122を二次切断装置163で切断する。なお切断片は後述するバスケット30に収納可能な大きさに切断する。
【0027】
DSP16内にはあらかじめ上面開口を有する籠状のバスケット30及びその受台32が設置されている。
遠隔操作によるロボットアーム(不図示)を用いてバスケット30に切断片を収容する。バスケット30に所定量の切断片が収容されたら、天井クレーン11の主巻フック111に接続した放射線遮蔽吊具40を用いてDSP16外部へ搬送する。
【0028】
放射線遮蔽吊具40は下面開口を有する容器状に形成し、内部に吊上げ手段42を設置している。
天井クレーン11で放射線遮蔽吊具40をバスケット30の上方まで移動する。このとき、放射線遮蔽吊具40の下面開口の端部をDSP16の水面に接触(水没)させる。次に吊上げ手段42のフックを下降させて先端のフックをバスケット30の上端に係止させる。そしてバスケット30をDSP16から放射線遮蔽吊具40の内部まで吊り上げる。バスケット30は籠状に形成されているため、放射線遮蔽吊具40の内部で水切りされて軽量化できる。ついで放射線遮蔽吊具40の内部に吊下げられたバスケット30は後述する作業フロア112上の処分容器収納エリア114(図13にて後述)へ搬送される。搬送中は容器状の放射線遮蔽吊具40に覆われているため放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽ができる。
【0029】
なおその他の炉内構造物122についても上記同様の切断作業を行う。
図7はSFP内に二次切断装置を設置する説明図である。SFP20内で炉内構造物及び一次切断したRPV12を二次切断するために二次切断装置203及び仮受台204を設置する。
本実施形態の二次切断装置203は、前述のDSP16内に設置した二次切断装置163と同様に、アブレシブウェータージェットを用いている。
ターンテーブル付仮受台(以下単に仮受台という)204は、大きめの炉内構造物122あるいは一次切断したRPV12をSFP20内で仮置きする平面視でほぼ円形のターンテーブルを備えた受台である。
【0030】
図8はDSP及びSFPで炉内構造物を二次切断する説明図である。小さい炉内構造物122はDSP16で二次切断を行い、大きな炉内構造物122はSFP20で二次切断を行う。前述のようにSFPはDSPよりも水深が深いため、大きな炉内構造物の二次切断時において放射線の遮蔽効果が期待できる。またDSP及びSFPで二次切断を並行して行うことができ作業の効率化が図れる。
【0031】
ステップ4:RPVの一次切断装置にてRPVを円周方向に切断する。
図9はRPVの一次切断装置を準備する説明図である。初めに原子炉ウェル18を排水して水面がRPV12の一次切断面の下方に位置するようにする。天井クレーン11を用いてRPV12の一次切断装置123をRPV12内に搬送する。
【0032】
本実施形態のRPV12の一次切断装置123は、気中でRPV12を横切断面に沿った輪切り状に切断可能な装置であり、一例としてプラズマアーク、アークソー、レーザー、機械式カッター等を用いることができる。
【0033】
図10はRPVの一次切断装置にてRPVを円周方向に切断する説明図である。RPV12の一次切断は、天井クレーン11の吊り上げ能力、RPV12の大きさ等を考慮して輪切り切断を複数回行う。またRPV12に設置されている各種ノズル124はノズル切断装置125であらかじめ切断している。
一次切断装置123でRPV12を一次切断する。RPV12の一次切断工程中は、切断面よりも下方のRPV12の内部に水が充填されているため、放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽ができる。
【0034】
図11は一次切断したRPV12を放射線遮蔽吊具で把持し、SFPへ移送する説明図である。原子炉ウェル18とSFP20の間にはSFP隔離ゲート202が設置されている。このSFP隔離ゲート202の幅長さはRPV12の直径よりも短いため(図1参照)、原子炉ウェル18から出してSFP隔離ゲート202越しにSFP20へ移動させなければならない。そこで、放射線の遮蔽のため一次切断したRPV12の搬送に放射線遮蔽吊具40Aを用いている。一次切断したRPV12を搬送する放射線遮蔽吊具40Aは、前述のバスケット30を搬送する放射線遮蔽吊具40と基本構成は同一であるが、吊具の寸法が異なる。すなわち、一次切断したRPV12を内部に収容可能な大きさに設定している。
【0035】
RPV12を一次切断した後、一次切断装置123をRPV12の外部(作業フロア112など)へ移動させて、天井クレーン11で放射線遮蔽吊具40AをRPV12の上方まで移動させる。吊上げ手段42Aは下端に把持部43を設置している。把持部43は遠隔操作により把持又は開放することができる。吊上げ手段42Aの把持部43を下降させて先端の把持部43でRPV12の上端のサポート126を把持する。そしてRPV12を放射線遮蔽吊具40Aの内部まで吊り上げる。ついで放射線遮蔽吊具40Aの内部に吊下げられたRPV12をSFP20へ搬送する。搬送中は容器状の放射線遮蔽吊具40Aに覆われているため放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽ができる。天井クレーン11でRPV12をSFP20の仮受台204上まで移動した後、放射線遮蔽吊具40Aの吊上げ手段42AでRPV12を仮受台204上に吊り下す。仮受台204上にRPV12を仮置きした後、把持部43によるRPV12のサポート126の把持を解除して、把持部43を吊り上げる。
【0036】
前述したようにSFP20はDSP16よりも深いため、RPV12を大きく切断しても収納することができ、その結果、切断回数が少なくてすみ、作業効率の大幅な向上が可能となる。
【0037】
ステップ5:SFP20内でRPV12を容器収納寸法(バスケット30に収納可能な寸法)に二次切断する。図12はSFP内でRPVを容器収納寸法に二次切断する説明図である。
作業フロア112で作業員を乗せた作業用台車113を仮受台204の上方付近に配置し、作業員の遠隔操作でSFP20内(水中)でRPV12を二次切断装置203で切断する。なお切断片は前述のバスケット30に収納可能な大きさに切断する。
【0038】
SFP20内にはあらかじめ上面開口を有する籠状のバスケット30及びその受台32が設置されている。
遠隔操作によるロボットアームを用いてバスケット30に切断片を収容する。バスケット30に所定量の切断片が収容されたら、天井クレーン11の主巻フック111に接続した放射線遮蔽吊具40を用いて作業フロア112の処分容器収納エリア114へ搬送する。
【0039】
天井クレーン11で放射線遮蔽吊具40をバスケット30の上方まで移動する。このとき、放射線遮蔽吊具40の下面開口の端部をSFP20の水面に接触(水没)させる。次に吊上げ手段42のフックを下降させて先端のフックをバスケット30の上端に係止させる。そしてバスケット30をSFP20から放射線遮蔽吊具40の内部まで吊り上げる。バスケット30は籠状に形成されているため、放射線遮蔽吊具40内で水切りされて軽量化できる。ついで放射線遮蔽吊具40の内部に吊下げられたバスケット30は作業フロア112上の処分容器収納エリア114へ搬送される。搬送中は容器状の放射線遮蔽吊具40に覆われているため放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽ができる。
【0040】
ステップ6:切断片を廃棄処分容器に収納する。図13は廃棄物処分容器を搬出する説明図である。処分容器収納エリア114へ搬送されたバスケット30は、放射線遮蔽吊具40で吊上げた状態で所定の後処理が行われた後、廃棄物処分容器に収容されて搬送される。
以上のようにRPV12を輪切り状に一次切断した後、SFPへ搬送して二次切断を行う工程を繰り返し行う。
【0041】
このような本発明によれば、水深が深く放射線遮蔽効果の高い使用済燃料プールで二次切断を行うことにより、作業フロアにおける放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽向上が行え作業を行う作業者の被ばくを防止できる。また原子炉圧力容器の撤去作業中において使用済燃料プールを有効活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は耐用年数の経過した原子力発電所の廃炉作業を行う原子力産業分野において、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0043】
10………原子炉建屋、
11………天井クレーン、111………主巻フック、112………作業フロア、113………作業用台車、114………処分容器収納エリア、
12………原子炉圧力容器(RPV)、121………RPVヘッド、122………炉内構造物、123………一次切断装置、124………ノズル、125………ノズル切断装置、126………サポート、
14………原子炉格納容器、141………熱遮蔽壁、
16………ドライヤ・セパレータプール(DSP)、161………DSPプラグ、162………DSPゲート、163………二次切断装置、164………ターンテーブル付仮受台、
18………原子炉ウェル、
20………使用済燃料プール(SFP)、201………燃料ラック、202………SFP隔離ゲート、203………二次切断装置、204………ターンテーブル付仮受台、
30………バスケット、32………受台、
40,40A………放射線遮蔽吊具、42,42A………吊上げ手段。
【要約】
【課題】切断作業で発生する放射性物質の拡散防止及び放射線の遮蔽を確保して、作業者の被ばくを防止する原子炉圧力容器の解体工法を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の原子炉圧力容器の解体工法は、原子炉建屋の原子炉格納容器14内に配置される原子炉圧力容器12の解体工法であって、
前記原子炉格納容器14内で一次切断した前記原子炉圧力容器12を使用済燃料プール20内で二次切断することを特徴としている。
【選択図】図12
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図13