特許第6337448号(P6337448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337448
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】フロー型電極装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/28 20060101AFI20180528BHJP
   G01N 27/401 20060101ALI20180528BHJP
   G01N 27/403 20060101ALI20180528BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G01N27/28 321Z
   G01N27/401 313A
   G01N27/403 371Z
   G01N27/416 353Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-240429(P2013-240429)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-102325(P2015-102325A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 芳晴
(72)【発明者】
【氏名】沢代 達哉
(72)【発明者】
【氏名】松野 圭志
(72)【発明者】
【氏名】岩原 一郎
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−070992(JP,U)
【文献】 実開昭55−022653(JP,U)
【文献】 特開2000−009675(JP,A)
【文献】 実開平04−079255(JP,U)
【文献】 特開昭59−065756(JP,A)
【文献】 実公昭43−001110(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0008210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感応部を備えた測定電極と、
液絡部を支持し前記感応部に隣接して配置される液絡部支持体を備えた比較電極と、
前記感応部よりも下方に設けられた流入口、前記感応部よりも上方に設けられた流出口、前記流入口から流入して前記流出口から流出する被検液の流路を形成し前記感応部を収容する流路部、及び前記流路部と連通しており前記液絡部を収容し前記液絡部から滲出する内部液の成分を貯留する貯留部、を備えたフローセルと、
を有し、
前記フローセルは、前記流入口、前記流出口、前記流路部、及び前記流路部の底部から下方に延在する穴部を備えたフローセル本体と、上方の端部に開口部を備え該上方の端部側が前記流路部の底部よりも上方に突出するようにして前記穴部内に嵌合される筒状体と、を有し、
前記液絡部支持体は前記開口部を通して前記筒状体内に挿入され、前記開口部は前記感応部の下方の端部よりも上方に位置し、前記筒状体の前記流路部の底部よりも上方に突出した部分の少なくとも一部が、前記感応部と前記液絡部支持体との間に配置されることを特徴とするフロー型電極装置。
【請求項2】
前記穴部は、前記フローセル本体の底部から外部まで貫通して上下方向に延在し、前記筒状体は、下方の端部側に底部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のフロー型電極装置。
【請求項3】
前記筒状体は、前記フローセル本体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項2に記載のフロー型電極装置。
【請求項4】
前記流入口は、前記感応部の直下に位置して、前記流路部の底部に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフロー型電極装置。
【請求項5】
前記液絡部は、前記感応部の下方の端部よりも下方に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフロー型電極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー水や超純水などの純度の高い水の水質管理におけるpH測定などのために用い得るフロー型電極装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラー水や超純水などの水質管理のために、測定電極と比較電極とが配置されたフローセルに被検液を通して被検液のpHを測定するフロー型電極装置が用いられている。測定電極としては、一般に、感応部としてpHに感度を有するガラス電極を備えるものが用いられる。また、比較電極としては、一般に、多孔質セラミックなどで形成された液絡部を支持する液絡部支持体を有し、液絡部を通してKCl水溶液などの内部液を滲出させるものが用いられる。
【0003】
火力発電所や原子力発電所などでは、ボイラー水として、電気伝導率が100μS/cm以下と低い純水が用いられている。また、半導体工場などでは、洗浄用の水として、電気伝導率が0.1μS/cm以下と極めて低い超純水が用いられている。このような純度の高い水は、電気抵抗が高いため、pHを安定して測定することが難しい。これは、比較電極の液絡部から滲出する内部液が測定電極の感応部に拡散移動することで、液間電位、流動電位が変動し、測定値に影響することが一因と考えられる。
【0004】
そこで、フロー型電極装置では、一般に、フローセル内で液絡部を感応部よりも下流側に配置することが行われている。また、液絡部から滲出した内部液が感応部側に拡散して指示値に影響が出ることを抑制する手段として、次のようなものがある。
【0005】
特許文献1には、比較電極の液絡部をフローセルの流路より深く掘り下げた穴部に配置し、その穴部の下部に設けた小穴を通して被検液と共に内部液を排出することが記載されている。また、特許文献2には、フローセル内において、比較電極の内部液の貯留部と被検液の流路部との間に逆浸透膜を設けることにより、貯留部内の内部液と流路を流れる被検液とを区画することが記載されている。さらに、特許文献3は、測定電極と比較電極とが同心円状に一体化された複合電極の電極本体の外周に、シール部を介して円筒状のガイドパイプを装着し、比較電極の液絡部から滲出する内部液が測定電極の感応部に拡散移動しないようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−65756号公報
【特許文献2】特開平3−216545号公報
【特許文献3】特開2007−178236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に記載の装置は、ガラス電極と比較電極とが同心円状に一体化された複合電極をフローセルに配置して使用するので、構造が比較的簡単で、小型化をしやすいという利点がある。しかしながら、この装置では、電気伝導率が0.5μS/cm以下といった極めて純度の高い水のpHを測定すると指示値が不安定になることがある。内部液の流量の制御が構造上難しいのが一因と考えられる。
【0008】
一方、特許文献2に記載の装置は、極めて純度の高い水のpHを測定しても安定した指示が得られる。しかしながら、逆浸透膜を用いた比較的複雑な構造であるため、装置の小型化に不利であり、またメンテナンス時の作業が煩雑になりやすい。
【0009】
これに対し、特許文献1に記載の装置は、比較的構造が簡単であるが、比較電極の液絡部をフローセルの流路より深く掘り下げた穴部の下部に設けた小穴に近接して比較電極の液絡部を配置するため、装置の長手方向のサイズが大きくなりやすい。また、使用により小穴が詰まるなどして、メンテナンスに手間がかかることが懸念される。
【0010】
そして、特許文献1に記載されるような測定電極と比較電極とを隣り合わせて配置する構成において、例えば比較電極の液絡部を配置する穴部の深さを比較的浅くして測定電極の感応部と比較電極の液絡部とを近接させた場合には、内部液が感応部側に拡散してしまうため、電気伝導率が1μS/cm以下の水のpH測定では、液間電位、流動電位の変動により指示値が不安定になることがある。
【0011】
以上では、pH測定の場合を例に従来の課題を詳しく説明したが、測定電極の感応部が水素イオン以外のイオン濃度に感度を有するフロー型電極装置においても同様のことがいえる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、簡単な構成で、より安定して、より低電気伝導率の被検液の測定が可能なフロー型電極装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、メンテナンス時の作業が簡単なフロー型電極装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係るフロー型電極装置にて達成される。要約すれば、本発明は、感応部を備えた測定電極と、液絡部を支持し前記感応部に隣接して配置される液絡部支持体を備えた比較電極と、前記感応部よりも下方に設けられた流入口、前記感応部よりも上方に設けられた流出口、前記流入口から流入して前記流出口から流出する被検液の流路を形成し前記感応部を収容する流路部、及び前記流路部と連通しており前記液絡部を収容し前記液絡部から滲出する内部液の成分を貯留する貯留部、を備えたフローセルと、を有し、前記フローセルは、前記流入口、前記流出口、前記流路部、及び前記流路部の底部から下方に延在する穴部を備えたフローセル本体と、上方の端部に開口部を備え該上方の端部側が前記流路部の底部よりも上方に突出するようにして前記穴部内に嵌合される筒状体と、を有し、前記液絡部支持体は前記開口部を通して前記筒状体内に挿入され、前記開口部は前記感応部の下方の端部よりも上方に位置し、前記筒状体の前記流路部の底部よりも上方に突出した部分の少なくとも一部が、前記感応部と前記液絡部支持体との間に配置されることを特徴とするフロー型電極装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構成で、より安定して、より低電気伝導率の被検液の測定が可能となる。また、本発明によれば、貯留部を形成する筒状体をフローセル本体に対して着脱自在にすることで、メンテナンス時の作業が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係るフロー型電極装置の部分断面図である。
図2図1のフロー型電極装置における筒状体の着脱部を示す拡大断面図である。
図3図1のフロー型電極装置における測定電極の感応部及び比較電極の液絡部の近傍を示す拡大部分断面図である。
図4図1のフロー型電極装置によるpHの測定結果を示すグラフである。
図5】比較例のフロー型電極装置によるpHの測定結果を示すグラフである。
図6】pHの測定結果に対する内部液の影響を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るフロー型電極装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0019】
実施例1
図1は、本発明に係るフロー型電極装置の部分断面図である。なお、フロー型電極装置に関して、上方、下方とは、それぞれ通常の使用時における鉛直方向の上方、下方のことをいうものとする。
【0020】
フロー型電極装置1は、複合電極2と、複合電極2が装着されるフローセル3と、を有する。フロー型電極装置1は、全体として一方向に長い形状を有し、通常、その長手方向(以下、単に「装置長手方向」ともいう。)が鉛直上下方向に沿うように配置されて使用される。
【0021】
まず、複合電極2の構成について説明する。複合電極2は、測定電極4と、比較電極5と、電極本体6と、を有する。
【0022】
測定電極4は、感応部41と、感応部41を支持する感応部支持体42と、を有する。本実施例では、感応部41は、pHに感応する略球状のpHガラス感応膜である。また、本実施例では、感応部支持体42は、水平断面が略円形の上下方向に延在する管状の部材である。感応部41は、感応部支持体42の下方の端部に支持されている。感応部支持体42の内部には、図示しない測定電極内極が配置され、また測定電極内部液が充填されている。
【0023】
比較電極5は、液絡部51を支持し感応部41に隣接して配置される液絡部支持体52を有する。本実施例では、液絡部51は、多孔質セラミックスで形成された略円柱状の部材である。また、本実施例では、液絡部支持体52は、水平断面が略円形の上下方向に延在する管状の部材である。液絡部51は、液絡部支持体52の下方の端部(端面)に封入されて支持されている。液絡部支持体52の内部は、後述する電極本体6の内部に形成された図示しない内部液収容部の内部と連通しており、この電極本体6の内部液収容部を介して液絡部支持体52の内部に比較電極内部液(単に「内部液」ともいう。)Iが補充される。また、その電極本体6の内部液収容部の内部には、図示しない比較電極内極が配置されている。液絡部51は、液絡部支持体52の外側から内側へと貫通しており、この液絡部51を通して内部液Iが液絡部支持体52の内部から外部へと滲出する。これにより、上記電極本体6の内部に配置された比較電極内極と、フローセル3に導入される被検液Sとの間の電気的導通がとられる。液絡部51、液絡部支持体52、電極本体6の内部に形成された内部液収容部、その内部液収容部の内部に配置された比較電極内極などにより、比較電極5が構成される。
【0024】
電極本体6は、測定電極4及び液絡部支持体52を支持すると共に、上記測定電極内極及び比較電極内極を介して電気信号を取り出すことができるようになっている。また、電極本体6に設けられた補充口21を介して、電極本体6の内部に形成された内部液収容部内に内部液Iが連続的に補充されるようになっており、その内部液Iが更に液絡部支持体52内に連続的に補充されるようになっている。測定電極4は、電極本体6の下方の端部(端面)から感応部41及び感応部支持体42の一部が下方に突出するようにして、電極本体6に対して螺合されて着脱自在に固定される。また、比較電極5の液絡部支持体51も、電極本体6の下方の端部(端面)から液絡部51及び液絡部支持体52の一部が下方に突出するようにして、電極本体6に対して螺合されて着脱自在に固定される。電極本体6の下方の端部から突出している測定電極4と液絡部支持体52とは、水平方向において隣り合って、上下方向に延在している。液絡部支持体52は、感応部41に対して、被検液Sの流動方向の下流側に位置する。
【0025】
次に、フローセル3について説明する。フローセル3は、感応部41よりも下方に設けられた流入口31、感応部41よりも上方に設けられた流出口32、流路部33、及び貯留部34を有する。流路部33は、流入口31から流入して流出口32から流出する被検液Sの流路を形成し、感応部41を収容する。また、貯留部34は、上方の端部の開口部34aにおいて流路部33と連通しており、また下方の底部34bまで上下方向に延在している。また、貯留部34は、液絡部51を収容し、液絡部51から滲出する内部液Iの成分を貯留する。ここで、液絡部支持体52は、貯留部34の上方の端部の開口部34aを通して貯留部34内に挿入される。そして、この貯留部34の開口部34aは、感応部41の下方の端部よりも上方に位置するように構成されている。これにより、詳しくは後述するように、感応部41側に内部液Iが拡散しないか又は拡散しにくくされている。
【0026】
更に説明すると、フローセル3は、フローセル本体35を有し、このフローセル本体35の略中央部に流路部33が形成されている。本実施例では、流路部33は、水平断面が略円形の円柱状の空間で構成されている。この流路部33の上方の端部側に形成された本体開口部33aを通して、複合電極2がその下方の端部側から流路部33に挿入される。そして、複合電極2は、電極本体6の固定部61をフローセル本体35の被固定部35aに螺合することで、フローセル3に着脱自在に固定される。
【0027】
流入口31は、感応部41の上流側から流路部33に被検液Sを流入させるように、感応部41よりも下方、本実施例では流路部33の底部33bに形成されている。特に、本実施例では、流入口31は、感応部41の直下に位置する。また、本実施例では、流入口31は、平面視が円形である。この流入口31は、フローセル本体35の外部の被検液Sの供給源と連通している。ここで、本実施例では、流路部33の底部33bは略水平方向に沿って略平坦に形成されている。そして、感応部41の下方の端部は、流路部33の底部33bに近接して配置される。特に、本実施例では、流入口31が感応部41の直下に形成されているので、感応部41は流入口31に近接して配置される。
【0028】
流出口32は、感応部41の下流側において被検液Sを流路部33から流出させるように、感応部41よりも上方、本実施例では流路部33の上方の端部側の側面に形成されている。この流出口32は、フローセル本体35の外部の被検液Sの排出先と連通している。
【0029】
また、本実施例では、フローセル本体35には、流路部33の底部33bからフローセル本体35の外部まで貫通して上下方向に延在する穴部36が形成されている。そして、この穴部36に、貯留部34を形成する筒状体(スリーブ状部材)37が取り付けられている。筒状体37は、上方の端部に開口部37aを備え、下方の端部側に底部37bを備え、上方の端部側の所定範囲が流路部33の底部33bよりも上方に突出するようにして穴部36内に嵌合される。筒状体37の開口部37aは、貯留部34の開口部34aを構成し、筒状体37の底部37bは貯留部34の底部34bを構成する。そして、液絡部支持体52は、筒状体37の開口部37aを通して、筒状体37内に挿入される。これにより、液絡部51は、筒状体37で形成された貯留部34内に収容される。本実施例では、液絡部51は、感応部41の下方の端部、更には流路部33の底部33bよりも下方に位置するように、貯留部34の深部に侵入させられている。そして、筒状体37の流路部33の底部33bよりも上方に突出した部分の少なくとも一部が、水平方向において感応部41と液絡部支持体52との間に配置される。
【0030】
このように、本実施例では、筒状体37aの流路部33の底部33bよりも上方に突出した部分の少なくとも一部の領域が、測定電極4の感応部41の下方の端部から上方の少なくとも一部の領域とオーバーラップして、感応部41に対して内部液Iを遮蔽する遮蔽部Bを構成する。
【0031】
本実施例では、フローセル本体35に形成される穴部36は、水平断面が略円形の円柱状の空間で構成されている。したがって、筒状体37は、この穴部36と嵌合するように、水平断面が略円形で底部37bが封鎖された管状の部材で構成されている。流路部33の底部33bにおいて流入口31と穴部36の開口部36aとは隣り合って開口している。本実施例では、液絡部支持体52は、筒状体37が間隔をあけて周りを囲むように、平面視で筒状体37の略中央部に配置される。なお、本実施例では、液絡部支持体52は、貯留部34内に配置される部分を含む下方の所定部分が、それよりも上方で流路部33内に配置される部分よりも小径とされている。これにより、穴部36の内径をより小さくすることが可能となり、例えば流入口31と穴部36との間の肉厚が薄くなりすぎることなどを防ぐことができる。
【0032】
本実施例では、筒状体37は、フローセル本体35に対して着脱自在である。図2に示すように、本実施例では、筒状体37は、円筒部37cよりも下方に結合部(ネジ部)37dを有し、ネジ部37dの下方に操作部(つまみ)37eを有する。また、結合部37dの下方の端部には、フローセル本体35の穴部36を液密的に封止する封止手段としてのOリング37fが配置されている。筒状体37は、装着時には、円筒部37cを先頭にしてフローセル本体35の外部から穴部36に挿入される。そして、筒状体37の結合部37dが、穴部36の下方の端部の内周に形成された被結合部(本体ネジ部)36bに螺合されることで、筒状体37はフローセル本体35に対して着脱自在に固定される。なお、筒状体37は、上記装着時とは逆方向に回すことで、フローセル本体35から取り外すことができる。この着脱操作は、操作者が筒状体37の操作部37eをつまんで回すことで、容易に行うことができる。
【0033】
フローセル本体35、筒状体37を形成する材料としては、ガラス、樹脂などの任意適当なものを用いることができるが、作製や取り扱いのしやすさの点で樹脂が好ましく、例えばアクリル樹脂を好適に用いることができる。
【0034】
さて、流入口31から流路部33内に被検液Sが導入されると、その被検液Sは流路部33及び貯留部34を満たした後、流出口32から流出する。その後、流入口31から被検液Sが導入され続けることで、被検液Sは図1中矢印で示すように流路部33内を流動して流出口32から流出する。また、液絡部51を通して内部液I貯留部34内に滲出してくる。その後、液絡部51を通して内部液Iが滲出し続けることで、内部液Iは開口部37aを通して流路部33内に流入し、被検液Sと共に流路部33内を流動して流出口32から流出する。
【0035】
このとき、本実施例では、感応部41に対して内部液Iを遮蔽する遮蔽部Bを形成する筒状体37が、液絡部支持体52の周りに被さるようにして配置されている。そして、筒状体37の内周面と液絡部支持体52の外周面との間の隙間が第2の液絡部の働きをして、感応部41の下方の端部よりも上方(すなわち、感応部41の下方の端部よりも被検液Sの流動方向の下流側)において、内部液Iが貯留部34から流路部33へと少量ずつ流出する。これにより、内部液Iが測定電極4の感応部41側に拡散しないか又は拡散しにくい。また、流入口31から流路部33内に流入する際に流入口31の縁から広がって貯留部34側に流れる被検液Sにより乱されないか又は乱されにくいため、内部液Iと被検液Sとの液界面がほとんど揺れない。そのため、液間電位、流動電位の変動を小さくすることができ、電気伝導率が0.5μS/cm以下、例えば0.1μS/cm程度の超純水まで安定したpHの測定が可能となる。
【0036】
また、本実施例では、筒状体37は、フローセル本体35に対して着脱自在とされている。そのため、筒状体37を取り外すと、フローセル本体35に形成された穴部36がドレインとして機能して、流路部33などの清掃が容易となる。また、貯留部34を構成する筒状体37自体の清掃も容易となり、所望により筒状体37は交換することもできる。例えば、フロー型電極装置1がボイラー水のpH測定に用いられる場合などには、フローセル3の内部は、錆などで汚れることがあるため、清掃が容易であることは極めて有利である。
【0037】
また、本実施例では、フローセル本体35に形成された流路部33の底部33b自体は平坦として、筒状体37を装着することで貯留部34の開口部34a(37a)を感応部41の下方の端部よりも上方に位置させた。これにより、フローセル本体35に流路部33を加工するのが容易となり、また筒状体37を取り外すことで流路部33の底部33bなどの清掃がより一層容易となる。
【0038】
ここで、図3は、本実施例のフロー型電極装置1における感応部41及び液絡部51の近傍の配置関係をより詳しく示す拡大部分断面図である。なお、L1〜L5は、水平方向の寸法、H1〜H6は上下方向(鉛直方向)の寸法を表すものとする。電極本体6から下方に突出した測定電極4と液絡部支持体52との中心間距離L1は、10〜20mm程度が好適である。L1は、大きすぎると測定感度の低下が懸念され、また製造上の理由などからあまり小さくすることは難しい。本実施例では、L1=13mmである。貯留部34(即ち、筒状体37の円筒部37c)の内径L2は、貯留部34内に配置される液絡部支持体52の外径L3との関係などに応じて適宜設定することができるが、L2−L3=0.5〜3mmとなるように設定することが好ましい。この値が大きすぎると、流路部33内を流動する被検液Sと貯留部34内の内部液Iとの間で流動電位が発生して指示値に影響することが懸念され、またこの値をあまり小さくすると内部液Iの流出量が少なくなりすぎることが懸念される。本実施例では、L2=10mm、L3=9mmである。流入口31の内径L4は、被検液Sの流量や感応部41の最大外径L5との関係などに応じて適宜設定することができるが、後述するような被検液Sの流量の場合、通常、5〜20mm程度が好適である。本実施例では、L4=10mm、L5=7mmである。流路部33の底部33b(本実施例では流入口31)に対する感応部41の下方の端部の高さH1は、後述する液絡部51の位置との関係などに応じて適宜設定することができるが、0〜5mm程度が好適である。H1が大きすぎると、応答性の低下が懸念される。本実施例では、H1=1mmである。また、流路部33の底部33bに対する感応部41の上方の端部の高さH2は、感応部41の大きさなどに応じて適宜設定することができるが、5〜15mm程度が一般的である。本実施例では、H2=10mmである。そして、流路部33の底部33bに対する貯留部34の開口部34a(本実施例では、筒状体37の開口部37a)の高さH3は、上記H1、H2との関係などに応じて適宜設定することができるが、感応部41の下方の端部に対する貯留部34の開口部34aの高さH4(すなわち、H3−H1)の、感応部41の下方の端部から上方の端部までの高さH5(すなわち、H2−H1)に対する割合(オーバーラップ量)が、30%以上となるように設定するのが好ましい。オーバーラップ量が小さすぎると、遮蔽部Bにより感応部41に対して内部液Iを遮蔽する効果が得にくくなる。また、貯留部34の開口部34aの高さH3を、感応部41の上方の端部の高さH2よりも高くして、オーバーラップ量を100%以上としてもよいが、オーバーラップ量はあまり大きくしても上記効果の更なる向上は得にくい。したがって、オーバーラップ量は70%以下が好ましい。本実施例では、H3=5mm、オーバーラップ量は約40%である。貯留部34の深さH6は、10〜30mm程度が好適である。H6が大きすぎると、取り扱いにくくなることが懸念され、小さすぎると、貯留部34内の内部液Iの濃度が高くなるため、被検液Sとの濃度差が大きくなり、ノイズの発生が懸念される。また、被検液Sは、一般に、50〜500mL/min程度の所定の流量で連続的にフローセル3に供給される。また、比較電極5の内部液Iとしては、3mol/L以上の塩化カリウム(KCl)水溶液が用いられ、またこの内部液Iは液絡部51を通して0.1〜1mL/日の割合で滲出する。
(具体例1)
本実施例のフロー型電極装置1を用いて、電気伝導率が0.17μS/cmの超純水のpHを、その純水の流量を50mL/min、100mL/min、150mL/min、200mL/min、300mL/minと変更して、それぞれ一定時間測定した。結果を図4に示す。
【0039】
また、比較例として、本実施例のフロー型電極装置1から筒状体37を除去し、本実施例における穴部36を貯留部34としたフロー型電極装置について同様の測定を行った。比較例における貯留部34の底部34aは、本実施例の場合と同等の高さ位置に設けた。結果を図5に示す。なお、比較例についても、本実施例のものに対応する要素には同じ符号を付して説明する。
【0040】
図5から分かるように、比較例では、一定以上の流速(100mL/min以上)において、pHの指示値が不安定になる。これは、次のような理由によるものと考えられる。すなわち、図6(a)に模式的に示すように、穴部36の流路部33側の開口部36aから流出する内部液Iを感応部41に対して遮るものが無いため、内部液Iが測定電極4の感応部41側に拡散する。また、流入口31から流路部33に流入する際に流入口31の縁から広がって穴部36側に流れた被検液Sによって、穴部36から流出した内部液Iが乱されて、内部液Iと被検液Sとの液界面が揺れる。そのため、液間電位、流動電位が変動し、pHの指示値が不安定になる。
【0041】
これに対して、図4から分かるように、本実施例によれば、流速によらず安定したpHの測定が可能である。これは、図6(b)に示すように、筒状体37によって測定電極4の感応部41に対して貯留部34内の内部液Iが遮られて、内部液Iが測定電極4の感応部41側に拡散せず、また内部液Iと被検液Sとの液界面がほとんど揺れないことにより、液間電位、流動電位の変動を小さくできるためと考えられる。
【0042】
以上説明したように、本実施例によれば、簡単な構成で、より安定して、より低電気伝導率の被検液の測定が可能となる。また、本実施例によれば、筒状体37はフローセル本体35から取り外せるので、メンテナンス時の作業が簡単である。
【0043】
その他
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0044】
例えば、比較電極の液絡部は、上述した多孔質セラミック型のものに限定されるものではなく、ガラススリーブの擦り合わせによるスリーブ型、ファイバー型、ピンホール型など公知の形状ないし種類であってよい。
【0045】
また、本発明は、ボイラー水や超純水などの電気伝導率が低い被検液のpH測において好適に作用し得るものであるが、測定電極はpHに応答するpHガラス感応膜などの感応部を有するもの(pH電極)に限定されるものではない。測定電極は、例えば水素イオン以外のイオンに感応するガラス感応膜などの感応部を有するもの(イオン電極)であってもよく、本発明の原理を同様に適用して、同様の効果を得ることが可能である。
【0046】
また、液絡部は使用により汚れることがあるので、測定電極と比較電極の液絡部(又は比較電極)とは個別に交換できることが、ランニングコストの低減などの点で好ましいが、これらが個別に交換できない場合であっても、本発明は適用できる。
【0047】
また、測定電極と比較電極とは複合電極として一体化可能であることに限定されるものではなく、測定電極と比較電極とが一体化できない別個のものとされている場合であっても、本発明は適用できる。
【0048】
また、貯留部を形成する筒状体をフローセル本体に対して着脱自在とすることで上述のような有利な効果を得ることができるが、所望により筒状体はフローセル本体に対して容易には着脱できないように固定されていてもよい。また、貯留部を筒状体で形成することで上述のような有利な効果を得ることができるが、所望によりフローセル本体に直接、本発明に従う貯留部を加工してもよい。例えば、流入口が形成される部分の流路部の底部よりも、貯留部が形成される部分の流路部の底部を上方に高くして、貯留部の開口部が感応部の下方の端部よりも上方に位置するようにすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 フロー型電極装置
2 複合電極
3 フローセル
4 測定電極
5 比較電極
33 流路部
34 貯留部
36 穴部
37 筒状体
41 感応部
51 液絡部
52 液絡部支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6