(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円筒内面、部分凸球面状外面並びに部分凸球面状外面の大径側及び小径側に環状端面を備えていると共に排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、複数の方形状の網目を形成する複数の縦線及び横線を有していると共に部分凸球面状外面及び円筒内面間で複数の層を形成して当該部分凸球面状外面及び円筒内面間に配された平織金網と、この平織金網の網目を充填すると共にこの平織金網と混在一体化された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、部分凸球面状外面は、最外層を形成する平織金網において各網目を形成する相隣り合う縦線と相隣り合う横線との交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置すると共に軸方向に配列された一方の交点群からなる面及び当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置すると共に円周方向に配列された他方の交点群からなる面を含む当該平織金網の面を具備しており、部分凸球面状外面は、最外層を形成する平織金網の網目に充填されている耐熱材からなる面を具備している球帯状シール体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振動吸収機構の一例としての特許文献1に記載された排気管継手に使用されるシール体は、蛇腹式継手と比較して製造コストの低減を図り得て、しかも耐久性に優れているという利点を有するが、このシール体は、膨張黒鉛からなる耐熱材と補強材としての金網とを圧縮して金網の網目に耐熱材を充填し、当該耐熱材と金網とを混在一体化してなるために、耐熱材に対して金網の占める割合、耐熱材及び金網の圧縮の程度等によりシール体自体を介する排気ガスの漏出の問題に加えて、相手材と摺動自在に接触する部分凸球面状面の表面での耐熱材の存在による摩擦異常音の発生の問題を具有しており、例えば耐熱材に対して金網が占める割合が大きく、耐熱材に対する加圧の程度が低いと、金網の周りに生じる微小通路(隙間)に対する耐熱材による封止の程度が減少して初期漏洩を惹起する上に、高温下における耐熱材の酸化消耗等により早期の排気ガスの漏出の虞があり、また、部分凸球面状面での金網に対する耐熱材の露出割合が極めて大きいと、スティックスリップ現象を惹起して当該スティックスリップ現象に起因する摩擦異常音の発生の原因となる虞がある。
【0006】
斯かるシール体の欠点を解決せんとする特許文献2に記載されたシール体における摺動面(部分凸球面状面)は、変形して絡み合った金網と金網の網目に充填保持された固体潤滑剤とが混在一体化された平滑な面に形成されていることから、特許文献1に記載されたシール体の相手材に摺動自在に接触する部分凸球面状面での耐熱材の存在による摩擦異常音の発生という欠点を極力回避させることができるという利点を有するものの、やはりシール体の本来的に具有する排気ガスの漏出の問題は依然として解決されない。
【0007】
特許文献3に記載されたシール体においては、特許文献2に記載されたシール体と同様、その摺動面である部分凸球面状面は、変形して絡み合った金網と金網の網目に充填保持された固体潤滑剤とが混在一体化された平滑な面に形成されており、特に固体潤滑剤に窒化硼素を含有することから、特許文献2に記載されたシール体よりも高温領域での摺動特性に優れており、また相手材との摺動においても摩擦異常音の発生がないという利点を有するものであるが、シール体に、例えばアイドリング時や信号待ちなどに生じる微小な揺動運動や軸方向の過大な入力が長期間連続して負荷された場合、相手材との摺動摩擦によって金網が相手材表面を攻撃し、アブレッシブ摩擦(ざらつき摩耗)を誘発して相手材表面を抉り取るような損傷を与えて粗面化し、シール性を著しく低下させる虞や、摩擦異常音が発生する虞がある。
【0008】
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、相手材との摺動摩擦面となる球帯状シール体の部分凸球面状外面に着目し、この部分凸球面状外面で露出した金網と相手材の凹球面部との摺動摩擦面を観察したところ、金網を形成する編組金網の相隣り合うループの交点が恰も大きな瘤のような塊となり、これが相手材との摺動摩擦において相手材表面を損傷させるものである、との知見を得た。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その目的とするところは、相手材との摺動摩擦において、相手材表面を損傷させたり、粗面化させたりすることを極力防止し得、シール性の低下及び摩擦異常音の発生を極力防止し得る球帯状シール体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
円筒内面、部分凸球面状外面並びに部分凸球面状外面の大径側及び小径側に環状端面を備えていると共に排気管継手に用いられる本発明の球帯状シール体は、複数の方形状の網目を形成する複数の縦線及び横線を有していると共に部分凸球面状外面及び円筒内面間で複数の層を形成して当該部分凸球面状外面及び円筒内面間に配された平織金網と、この平織金網の網目を充填すると共にこの平織金網と混在一体化された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、部分凸球面状外面は、最外層を形成する平織金網において各網目を形成する相隣り合う縦線と相隣り合う横線との交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置すると共に軸方向に配列された一方の交点群からなる面及び当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置すると共に円周方向に配列された他方の交点群からなる面を含む当該平織金網の面を具備している。
【0011】
本発明の球帯状シール体によれば、最外層を形成する平織金網において方形状の網目を形成する相隣り合う縦線と相隣り合う横線との交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置すると共に軸方向に配列された一方の交点群からなる面と、当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置すると共に円周方向に配列された他方の交点群からなる面とを部分凸球面状外面が具備しているために、相手材との摺動摩擦において、大きな瘤のような塊での摺動をなくし得て、当該各交点と相手材表面との間のアブレッシブ摩耗の誘発を極力減少させることができ、相手材表面の損傷に起因する粗面化を減少させてシール性の低下を極力防止することができる上に、平織金網が複数の層を形成しているために、部分凸球面状外面が順次摩耗した場合においても、斯かる大きな瘤のような塊と相手材表面との間の摺動が回避されるので、摩擦異常音の発生を極力防止することができる。
【0012】
本発明の球帯状シール体において、部分凸球面状外面は、最外層を形成する平織金網の網目に充填されている耐熱材からなる面を具備していてもよく、斯かる場合には、部分凸球面状外面は、耐熱材からなる面と、平織金網の一方及び他方の交点群からなる面を含む平織金網の面とが混在した平滑な面となっていてもよく、また、球帯状シール体は、固体潤滑剤を更に具備していてもよく、斯かる場合には、部分凸球面状外面は、最外層を形成する平織金網の網目に充填されている固体潤滑剤からなる面を具備していてもよく、斯かる場合にも、部分凸球面状外面は、固体潤滑剤からなる面と、平織金網の面とが混在した平滑な面となっていてもよい。
【0013】
部分凸球面状外面が耐熱材の面と平織金網の一方及び他方の交点群からなる面を含む平織金網の面とが混在した平滑な面となっていると、本発明の球帯状シール体では、相手材とは、少なくとも、耐熱材の面と平織金網の交点群を含む平織金網からなる面とで摺動するので、アブレッシブ摩耗の誘発及び摩擦異常音の発生を回避でき、耐熱材の被膜が相手材表面に過度に被着形成されようとしても、当該平織金網の交点群からなる面による被膜の掻き取り作用により、相手材表面には適度な被膜しか被着形成されないことになり、従って、斯かる適度な被膜を介しての摺動摩擦となることから摩擦異音の発生を極力防止でき、また、部分凸球面状外面が固体潤滑剤の面と平織金網の一方及び他方の交点群を含む平織金網からなる面とが混在した平滑な面となっていると、本発明の球帯状シール体では、上記に加えて、相手材とは、固体潤滑剤の面により初期の摩擦抵抗を低減して円滑な摺動を行わせることができる。
【0014】
上記効果をより発揮させるために、本発明の球帯状シール体においては、部分凸球面状外面での平織金網の一方及び他方の交点群からなる面を含む平織金網の面は、部分凸球面状外面の全体に対して10〜60%の面積割合をもって部分凸球面状外面で露出しているとよい。
【0015】
部分凸球面状外面での平織金網の一方及び他方の交点群からなる面を含む平織金網の面が部分凸球面状外面の全体に対して10〜60%の面積割合をもっていると、相手材との摺動摩擦において、上記効果に加えて、相手材表面の損傷に起因する粗面化をより減少させてシール性の低下を極力防止することができる。
【0016】
本発明の球帯状シール体において、大径側の環状端面は、平織金網の面と、この平織金網の網目に充填されていると共に膨張黒鉛を含む耐熱材からなる面とを具備していてもよく、斯かる場合には、大径側の環状端面は、膨張黒鉛の面と、平織金網の一方の及び他方の交点群からなる面とが混在した平滑な面となっていてもよい。また、部分凸球面状外面の大径側の環状端面は、円環状の大径縁で部分凸球面状外面の大径側の円環状端縁に連接した円環状平坦端面部と、円環状平坦端面部の円環状の小径縁に大径縁で連接していると共に小径縁で円筒内面の軸方向の円環状の一端縁に連接した円環状の内側テーパ面部とを具備していてもよく、斯かる場合には、円筒内面によって規定された貫通孔への排気管の一端部の挿入において、排気管の一端部に対する球帯状シール体の位置決め案内部となり、当該排気管の一端部の貫通孔への挿入作業性を向上させる。
【0017】
大径側の環状端面が耐熱材の面と平織金網の一方及び他方の交点群からなる面とが混在した平滑な面となっていると、部分凸球面状外面の大径側の環状端面と当該環状端面が接触する排気管継手におけるフランジ部材との間に相対的な回転摺動を生じても、フランジ部材の表面への耐熱材の過度の移着は回避され、適正な耐熱材の被膜をフランジ部材の表面に形成できて、大径側の環状端面とフランジ部材との間の相対的な回転摺動は、適正にフランジ部材の表面に移着された耐熱材の被膜を介しての回転摺動に移行するので、スティックスリップ現象を生じることはなく、該スティックスリップ現象に起因するフランジ部材の表面と大径側の環状端面との摺動面での摩擦異常音の発生もない。
【0018】
本発明の球帯状シール体では、円筒内面は、膨張黒鉛を含む耐熱材のみからなる面を具備していてもよく、斯かる球帯状シール体によれば、当該球帯状シール体が排気管の外面に固定された際には、その円筒内面と排気管の外面との接触面の密封性が膨張黒鉛を含む耐熱材により高められるので、当該接触面からの排気ガスの漏洩を極力防ぐことができる。
【0019】
本発明の球帯状シール体では、円筒内面は、最内層を形成する平織金網からなる面と、この平織金網の網目に充填されていると共に膨張黒鉛を含む耐熱材からなる面とを具備していてもよく、斯かる球帯状シール体によれば、当該球帯状シール体を排気管の外面に嵌合固定する際には、円筒内面と排気管の外面との間の摩擦が円筒内面における膨張黒鉛を含む耐熱材と平織金網との混在した面により高められ、結果として球帯状シール体が排気管の外面に強固に固定されることになる。
【0020】
本発明の球帯状シール体の好ましい例において、固体潤滑剤は、四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEと略称する。)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPと略称する。)及び六方晶窒化硼素(以下、「h−BN」と略称する。)を含んでいてもよい。
【0021】
PTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤の組成割合は、PTFE、FEP及びh−BNの三元系組成図において、PTFE10質量%、FEP10質量%及びh−BN80質量%とする組成点、PTFE10質量%、FEP45質量%及びh−BN45質量%とする組成点、PTFE45質量%、FEP45質量%及びh−BN10質量%とする組成点並びにPTFE40質量%、FEP10質量%及びh−BN50質量%とする組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあるとよい。
【0022】
固体潤滑剤の組成割合が三元系組成図において四個の組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある本発明の球帯状シール体の好ましい例によれば、相手材表面を損傷させる虞がなく、特に、固体潤滑剤が互いに融点の異なるPTFE及びFEPに加えてh−BNを含むために、自励振動の軽減を図り得ると共に異音の発生を防止することができる上に、高温領域において優れた摺動性を得ることができる。
【0023】
即ち、斯かる例によれば、FEPが溶融軟化してその粘度により弾性が発現する一方、PTFEが溶融しないで固体状態にある温度領域での球帯状シール体の使用では、固体状態にあるPTFEによりFEPの弾性が抑止されて、相手材との摺動においてスティックスリップが抑えられ、PTFEが溶融軟化してその粘度により弾性が発現する温度以上での球帯状シール体の使用では、FEPの更なる溶融によりその粘度が大幅に低減して潤滑性の増大を招来して、PTFEの粘度による弾性が抑止されて、同様に、相手材との摺動においてスティックスリップが抑えられ、而して、PTFE及びFEPの夫々が溶融しない低温領域からPTFE及びFEPの夫々が溶融する高温領域までの球帯状シール体の使用で、PTFEとFEPとの相乗効果により自励振動の軽減を図り得ると共に異音の発生を防止することができる上に、PTFE、FEP及びh−BNの夫々の潤滑性、特に、h−BNの高温での潤滑性により高温でも相手材と低摩擦抵抗をもって滑らかに摺動できてかつ膨張黒鉛及び平織金網との協働で安定したシール特性を発揮できる。
【0024】
固体潤滑剤におけるPTFE、FEP及びh−BNの組成割合は、より好ましくは、三元系組成図において、PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%とする組成点、PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%とする組成点、PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%とする組成点並びにPTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%とする組成点を頂点とする六角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあり、より好ましくは、PTFE25質量%、FEP25質量%及びh−BN50質量%である。
【0025】
また、本発明では、固体潤滑剤は、アルミナ水和物を20質量%以下、好ましくは0.05〜10質量%以下、更に好ましくは0.05〜10質量%の割合で含有してもよく、斯かるアルミナ水和物は、それ自体は何らの潤滑性を示すものではないが、部分凸球面状外面での固体潤滑剤の被着性を改善し、強固な部分凸球面状外面の形成に効果を発揮すると共にh−BNの板状結晶の層間の滑りを助長してh−BNの潤滑性を引出す役割を発揮する効果を有する。
【0026】
アルミナ水和物は、組成式Al
2O
3・nH
2O(組成式中、0<n<3)で表される化合物でり、該組成式において、nは、通常、0(零)を超えて3未満の数、好ましくは0.5〜2、さらに好ましくは0.7〜1.5程度である。アルミナ水和物としては、例えばベーマイト(Al
2O
3・H
2O)やダイアスポア(Al
2O
3・H
2O)などのアルミナ一水和物(水酸化酸化アルミニウム)、ギブサイト(Al
2O
3・3H
2O)やバイヤライト(Al
2O
3・3H
2O)などのアルミナ三水和物、擬ベーマイトなどが挙げられ、これらの少なくとも一つが使用されて好適である。
【0027】
本発明では、固体潤滑剤は、焼成されていなくてもよいが、FEPの融点以上の温度で焼成されていてもよい。
【0028】
本発明の球帯状シール体において、好ましい例では、耐熱材は、圧縮された膨張黒鉛を含んでおり、また、膨張黒鉛に加えて、酸化抑制剤としての燐酸塩0.1〜16.0質量%若しくは五酸化燐を0.05〜5質量%又は燐酸塩0.1〜16.0質量%及び五酸化燐0.05〜5.0質量%を含んでいてもよい。
【0029】
酸化抑制剤としての燐酸塩及び五酸化燐のうちの少なくとも一方と膨張黒鉛とを含む耐熱材は、球帯状シール体自体の耐熱性及び耐酸化消耗性を向上させることができ、球帯状シール体の高温領域での使用を可能とする。
【0030】
本発明の球帯状シール体において、平織金網において、その縦線及び横線は、好ましくは、0.15〜0.50mm、より好ましくは、0.15〜0.32mmの線径を有しており、網目の目幅は、縦1.5〜5.0mm、横1.5〜5.0mm程度であればよく、斯かる平織金網は、多数の方形状の網目を形成するように格子状に織られた縦線と横線とを有しており、互いに平行な一対の平行辺とこの平行辺に対して傾斜すると共に互いに平行な一対の傾斜辺とで規定された平行四辺形状の形状であって、相隣り合う縦線と相隣り合う横線との交点群において各網目での交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置する一方の交点群が平行辺に対して直交する方向に、他方の対角線上に位置する他方の交点群が平行辺に平行な方向に配列されている平行四辺形状平織金網を用いるとよい。
【0031】
本発明では、最外層に続く層であって少なくとも最外層に隣接する層を形成する平織金網において、各網目を形成する相隣り合う縦線と相隣り合う横線との交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置する一方の交点群は、軸方向に配列されており、当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置する他方の交点群は、円周方向に配列されているとよく、最外層に隣接する層を形成する平織金網がこのようになっていると、部分凸球面状外面での最外層の平織金網が摩耗した場合においても、次層の平織金網との摺動に移行されるので、編組金網の大きな瘤のような塊と相手材表面との間の摺動を回避でき、摩擦異常音の発生を極力防止することができ、また、最外層から最内層を形成する平織金網において、各網目を形成する相隣り合う縦線と相隣り合う横線との交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置する一方の交点群は、軸方向に配列されており、当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置する平織の交点群は、円周方向に配列されていていてもよく、この場合には、部分凸球面状外面で各層の平織金網が順次摩耗した場合においても、次層の平織金網との摺動に次々に移行されるので、平織金網と相手材表面との滑らかな摺動を長期に亘って維持できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、相手材との摺動摩擦においては、部分凸球面状外面が相手材を攻撃してアブレッシブ摩擦の誘発を極力減少させることができ、相手材表面の損傷に起因する粗面化を減少させてシール性の低下を極力防止すると共に、摩擦異常音の発生を極力防止することができる球帯状シール体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0035】
本発明の球帯状シール体の構成材料及び球帯状シール体の製造方法の一例について説明する。
【0036】
<耐熱材I及びその製造方法について>
濃度98%の濃硫酸を攪拌しながら、酸化剤として過酸化水素の60%水溶液を加え、これを反応液とする。この反応液を冷却して10℃の温度に保持し、該反応液に粒度30〜80メッシュの鱗片状天然黒鉛粉末を添加して30分間反応を行う。反応後、吸引濾過して酸処理黒鉛粉末を分離し、該酸処理黒鉛粉末を水で10分間攪拌して吸引濾過するという洗浄作業を2回繰り返し、酸処理黒鉛粉末から硫酸分を充分除去する。ついで、硫酸分を充分除去した酸処理黒鉛粉末を110℃の温度に保持した乾燥炉で3時間乾燥し、これを酸処理黒鉛粉末とする。
【0037】
酸処理黒鉛粉末を、950〜1200℃の温度で1〜10秒間加熱(膨張)処理して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた膨張黒鉛粒子(膨張倍率240〜300倍)を形成する。この膨張黒鉛粒子を所望のロール隙間に調整した双ローラ装置に供給してロール成形し、所望の厚さの膨張黒鉛シートIを作製し、この膨張黒鉛シートIから形成された耐熱材を耐熱材Iとする。
【0038】
<耐熱材II及びその製造方法について>
上記と同様の方法で得た酸処理黒鉛粉末に燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム〔Al(H
2PO
4)
3〕水溶液をメタノールで希釈した溶液を噴霧状に配合し、これらを均一に攪拌して湿潤性を有する混合物を作製し、この混合物を120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥し、ついで、これを上記と同様の方法で膨張処理して膨張黒鉛粒子(膨張倍率240〜300倍)を形成する。この膨張処理工程において、第一燐酸アルミニウムでは構造式中の水が脱離する。この膨張黒鉛粒子から上記と同様の方法で膨張黒鉛シートIIを作製し、この膨張黒鉛シートIIから形成された耐熱材を耐熱材IIとし、斯かる耐熱材IIには、第一燐酸アルミニウムが0.1〜16質量%の割合で含有されている。
【0039】
膨張黒鉛に加えて燐酸塩を含有した耐熱材IIでは、膨張黒鉛自体の耐熱性が向上されると共に酸化抑制作用が付与されるため、例えば600℃から600℃を超える高温領域での使用が可能となる。燐酸塩としては、第一燐酸アルミニウムの他に、第二燐酸リチウム(Li
2HPO
4)、第一燐酸カルシウム〔Ca(H
2PO
4)
2〕、第二燐酸カルシウム(CaHPO
4)、第二燐酸アルミニウム〔Al
2(HPO
4)
3〕を使用することができる。
【0040】
<耐熱材III及びその製造方法について>
上記と同様の方法で得た酸処理黒鉛粉末に燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム水溶液と燐酸として濃度84%のオルト燐酸(H
3PO
4)水溶液をメタノールで希釈した溶液を噴霧状に配合し、これらを均一に攪拌して湿潤性を有する混合物を作製し、この混合物を、120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥し、ついで、これを上記と同様の方法で膨張処理して膨張黒鉛粒子(膨張倍率240〜300倍)を形成する。この膨張処理工程において、第一燐酸アルミニウムでは構造式中の水が脱離し、オルト燐酸では脱水反応を生じて五酸化燐を生成する。この膨張黒鉛粒子から上記と同様の方法で膨張黒鉛シートIIIを作製し、この膨張黒鉛シートIIIから形成された耐熱材を耐熱材IIIとし、斯かる耐熱材IIIには、第一燐酸アルミニウムが0.1〜16質量%及び五酸化燐が0.05〜5質量%の割合で含有されている。
【0041】
膨張黒鉛に加えて燐酸塩及び五酸化燐を含有した耐熱材IIIでは、膨張黒鉛自体の耐熱性が向上されると共に酸化抑制作用が付与されるため、例えば600℃から600℃を超える高温領域での使用が可能となる。燐酸としては、オルト燐酸の他に、メタ燐酸(HPO
3)、ポリ燐酸などを使用することができる。
【0042】
膨張黒鉛シートI、II及びIIIの夫々は、0.3〜1.5Mg/m
3程度の密度で、0.3〜1.5mm程度の厚さを有していると共に互いに平行な一対の平行辺とこの一対の平行辺に対して傾斜すると共に互いに平行な一対の傾斜辺とで規定された長尺の平行四辺形状に形成されているとよい。
【0043】
<補強材としての平織金網について>
鉄系としてオーステナイト系のSUS304、SUS310S、SUS316、フェライト系のSUS430などのステンレス鋼線、鉄線(JISG3532)もしくは亜鉛メッキ鋼線(JISG3547)又は銅系として銅−ニッケル合金(白銅)線、銅−ニッケル−亜鉛合金(洋白)線、黄銅線、ベリリウム銅線からなっており、好ましくは、0.15〜0.50mmの線径を、より好ましくは、0.15mmから0.32mmの線径を有している金属細線を使用した複数の縦線と複数の横線とが格子状に織られていると共に相隣り合う縦線と相隣り合う横線とに囲まれた方形状の網目、好ましくは縦幅及び横幅共に1.5〜5mm程度の目幅の網目をもった平織金網であって、互いに平行である一対の平行辺とこの一対の平行辺に対して傾斜した一対の傾斜辺とで規定された平行四辺形状の形状をもっていると共に方形状の網目を形成する相隣り合う縦線と相隣り合う横線との交点群において各網目での交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置する一方の交点群が平行辺に対して平行に配列されている一方、他方の対角線上に位置する他方の交点群が平行辺に対して直交する方向に配列された長尺の平行四辺形状平織金網が補強材となる平織金網に使用されるとよい。
【0044】
<固体潤滑剤及び被覆層について>
固体潤滑剤におけるPTFE、FEP及びh−BNの含有割合は、好ましくは、PTFE、FEP及びh−BNの組成割合(質量%)に関する
図38における右側辺でもってPTFEの含有量(質量%)を、底辺でもってFEPの含有量(質量%)を、左側辺でもってh−BNの含有量(質量%)を夫々示す正三角形の三元系組成図において、PTFE10質量%、FEP10質量%及びh−BN80質量%とする組成点A、PTFE10質量%、FEP45質量%及びh−BN45質量%とする組成点B、PTFE45質量%、FEP45質量%及びh−BN10質量%とする組成点C並びにPTFE40質量%、FEP10質量%及びh−BN50質量%とする組成点Dを頂点とする四角形80で境界付けられる領域P内に相当する数値範囲内にあり、より好ましくは、
図38に示す三元系組成図において、PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%とする組成点E、PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%とする組成点F、PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%とする組成点G、PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%とする組成点H、PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%とする組成点J並びにPTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%とする組成点Kを頂点とする六角形81で境界付けられる領域Q内に相当する数値範囲内にある。
【0045】
固体潤滑剤は、製造過程においては、平均粒子径が0.01〜1μmのPTFE粉末、平均粒子径が0.01〜1μmのFEP粉末及び平均粒子径が0.1〜20μmのh−BN粉末を含む固体潤滑剤粉末と界面活性剤と水とからなる水性ディスパージョンの形態で使用される。
【0046】
水性ディスパージョンにおいて、PTFE粉末、FEP粉末及び特に高温領域において優れた潤滑性を発揮するh−BN粉末の含有割合は、好ましくは、
図38に示す三元系組成図において、四角形80で境界付けられるの領域内に相当する数値範囲内にあり、より好ましくは、同三元系組成図において、六角形81で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあり、更により好ましくは、PTFE粉末25質量%、FEP粉末25質量%及びh−BN粉末50質量%である。
【0047】
斯かる含有割合からなるPTFE粉末、FEP粉末及びh−BN粉末を含む固体潤滑剤粉末39質量%に対して、例えば、界面活性剤4質量%と水57質量%とが混合された水性ディスパージョンが用いられるが、水性ディスパージョンの水の含有量は、ローラ塗り、刷毛塗り、スプレー等の手段による水性ディスパージョンの膨張黒鉛シートI、II、及びIIIへの適用の態様に応じて増減してもよい。
【0048】
水性ディスパージョン中に含有される界面活性剤は、固体潤滑剤粉末を水に均一に分散させ得るものであればよく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。例えば、ナトリウムアルキルサルフェート、ナトリウムアルキルエーテルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルエーテルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート、アンモニウムアルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルリン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、プロピレングリコール−プロピレンオキシド共重合体、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、2−エチルヘキサノールエチレンオキシド付加物などの非イオン性界面活性剤;アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミド酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられる。特に、アニオン性、非イオン性界面活性剤が好ましい。特に好ましい界面活性剤は、熱分解残量の少ないオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤である。
【0049】
水性ディスパージョンにおいて、界面活性剤の含有量は、例えば、固体潤滑剤粉末39質量%に対して4質量%であるが、界面活性剤の含有量が少なすぎると、固体潤滑剤粉末の分散が均一にならず、また、界面活性剤の含有量が多すぎると、焼成による界面活性剤の分解残渣が多くなり着色が生ずるほか、被覆層の耐熱性、非粘着性などが低下する。
【0050】
固体潤滑剤粉末は、h−BN粉末の含有量の一部に代えて、アルミナ水和物粉末を20質量%以下の割合で、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%の割合で含有していてもよい。
【0051】
PTFE粉末、FEP粉末、h−BN粉末、界面活性剤及び水を含有した水性ディスパージョン又はPTFE粉末、FEP粉末、h−BN粉末、アルミナ水和物粉末、界面活性剤及び水を含有した水性ディスパージョンには、さらに水溶性有機溶剤が含有されてもよい。水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、グリセリンなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコール系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量は、全水量の0.5〜50質量%、好ましくは1〜30質量%である。水溶性有機溶剤は、PTFE粉末及びFEP粉末を濡らす働きを有し、h−BN粉末との均一な混合物を形成させるもので、乾燥時には蒸発するので被覆層に悪影響を及ぼすことはない。
【0052】
固体潤滑剤粉末の水性ディスパージョンとしては、
(1)平均粒子径が0.01〜1μmのPTFE粉末、平均粒子径が0.01〜1μmのFEP粉末及び平均粒子径が0.1〜20μmのh−BN粉末からなると共に
図38に示す三元系組成図において四角形80で境界付けられる領域P内に相当する数値範囲内にある組成割合をもった固体潤滑剤粉末39質量%と、界面活性剤4質量%と水57質量%とからなる水性ディスパージョン、
(2)上記(1)の組成割合をもった固体潤滑剤粉末において、h−BN粉末の含有量45質量%以上を確保して当該h−BN粉末含有量の一部に代えてアルミナ水和物粉末20質量%以下を含有した上記(1)の固体潤滑剤粉末39質量%と界面活性剤4質量%と水57質量%とからなる水性ディスパージョン、
(3)上記(1)の水性ディスパージョンに、更に水溶性有機溶剤を0.1〜22.5質量%含有した水性ディスパージョン、
(4)上記(2)の水性ディスパージョンに、更に水溶性有機溶剤を0.1〜22.5質量%含有した水性ディスパージョン
のいずれかが使用される。
【0053】
水性ディスパージョンは、耐熱材となる平面視平行四辺形状の膨張黒鉛シートの一方の端部の一方の表面に又は平面視平行四辺形状の膨張黒鉛シートの一方の表面全体にローラ塗り、刷毛塗り、スプレー等の手段で適用される。この水性ディスパージョンの乾燥後には、膨張黒鉛シートの一方の端部の一方の表面に又は膨張黒鉛シートの一方の表面全体に固体潤滑剤の被覆層が形成される。乾燥後において、固体潤滑剤の被覆層は、加熱炉において、FEPの融点T(=245℃)に対して、(T)〜(T+150℃)、好ましくは(T+5℃)〜(T+135℃)、更に好ましくは(T+10℃)〜(T+125℃)の範囲内の温度で10〜30分間焼成されてもよく、この固体潤滑剤の被覆層の焼成により、膨張黒鉛シートの一方の端部の一方の表面に又は膨張黒鉛シートの一方の表面全体に固体潤滑剤の焼成された被覆層が形成される。
【0054】
次に、上記した構成材料からなる球帯状シール体の製造方法について説明する。
【0055】
<第一の製造方法>
(第一工程)
図4に示すように、線径0.15〜0.50mmの金属細線を使用して、複数本の縦線1及び横線2が格子状に織られていると共に相隣り合う一対の縦線1と相隣り合う一対の横線2とに囲まれて縦P及び横Qの目幅をもった方形状の網目3を有する平織金網4を準備し、平織金網4を用いて、
図5に示すように、方向Xに伸びる互いに平行な一対の平行辺5と平行辺5に対して傾斜すると共に互いに平行な一対の傾斜辺6とにより規定された平行四辺形状であって、網目3を形成する相隣り合う一対の縦線1と相隣り合う一対の横線2との交点7a、7b、7c及び7d群において、各網目3での交点7a、7b、7c及び7dを結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置する一方の交点群7b及び7cが平行辺5と平行な方向Xに配列され、他方の対角線上に位置する他方の交点群7a及び7dが方向Xと直交する方向Yに配列されている長尺の平行四辺形状平織金網8を二枚準備する。
【0056】
(第二工程)
図6に示すように、長尺の平行四辺形状平織金網8の方向Yの幅Dと同じ方向Yの幅dを有すると共に平行四辺形状平織金網8の方向Xの長さLよりも長い方向Xの長さlを有し、方向Xに伸びる互いに平行な一対の平行辺10と平行辺10に対して傾斜すると共に互いに平行な一対の傾斜辺11により規定された平行四辺形状に形成されており、密度が0.3〜1.5Mg/m
3、好ましくは0.5〜1.2Mg/m
3の膨張黒鉛を含む耐熱材I、II又はIIIとなる長尺の膨張黒鉛シート12を準備する。
【0057】
(第三工程)
図7及び
図8に示すように、二枚の平行四辺形状平織金網8の間に膨張黒鉛シート12を、一方の傾斜辺11を除いて残る傾斜辺11を平行四辺形状平織金網8の一方の傾斜辺6に、一対の平行辺10を各一対の平行辺5にそれぞれ合致させて挟み込んで、膨張黒鉛シート12と膨張黒鉛シート12の表裏面に重ね合わされた二枚の平行四辺形状平織金網8との重合シート13を作製した後、重合シート13を、
図9に示すように、一対のローラ14及び15間の隙間δに通して加圧し、
図10に示すように、膨張黒鉛シート12のみの部位Aと、方形状の網目3に充填された膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む面16及び平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面17が両面で露出した部位Bとを有すると共に部位Aの傾斜辺11からなる傾斜辺18と部位Bの一致した傾斜辺6及び11からなる傾斜辺18とを有する平行四辺形状の長尺の複合シート19を形成する。
【0058】
(第四工程)
図11、
図12及び
図13に示すように、複合シート19において、部位Aの傾斜辺18を最内周に位置させ、部位Aの傾斜辺18と径方向において重畳しないように部位Bの傾斜辺18を最外周に位置させるようにして、長尺の複合シート19を円筒状に捲回して円筒成形体20を形成する。
【0059】
(第五工程)
図14に示すように、円筒壁面21と円筒壁面21に連なる部分凹球面状壁面22と部分凹球面状壁面22に連なる円環状壁面23とを備え、円環状壁面23により規定される貫通孔に段付きコア24を嵌挿することによって内部に円筒状中空部25と円筒状中空部25に連なる球帯状中空部26とが形成された金型27を準備し、金型27の段付きコア24の外周面に円筒成形体20を挿入する。
【0060】
(第六工程)
図15に示すように、金型27の円筒壁面21に嵌合する円筒外面28及び段付きコア24の小径円中部の円筒外面に嵌合する円孔29を規定する円筒内面30を有した円盤状本体30a及び円孔29の一方の開口部の周縁に円筒内面30に連接する円筒内面31をもって円盤状本体30aの一方の環状端面32において突出すると共に外面に環状テーパ面部33を有する環状突起部34を具備している押圧パンチ35を金型27の円筒壁面21に嵌合させて配置し、金型27の円筒状中空部25及び球帯状中空部26に配された円筒成形体20を、押圧パンチ35を介して段付きコア軸方向に98〜294N/mm
2(1〜3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、
図1、
図2及び
図3に示すような、中央部に貫通孔36を有すると共に貫通孔36を規定する円筒内面37と部分凸球面状外面38と部分凸球面状外面38の大径側及び小径側の環状端面39及び40とを備えた球帯状シール体41を作製する。
【0061】
斯かる球帯状シール体41は、複数の方形状の網目3を形成する複数の縦線1及び横線2を有していると共に部分凸球面状外面38及び円筒内面37間で複数の層を形成するように捲回されて当該部分凸球面状外面38及び円筒内面37間に圧縮されて配された平行四辺形状平織金網8からなる補強材としての平織金網4と、平織金網4の網目3を充填すると共に平織金網4と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む耐熱材42とを具備しており、これら平織金網4と膨張黒鉛を含む耐熱材42とが互いに絡み合い、かつ平織金網4が耐熱材42に万遍なく分散して平織金網4と耐熱材42とが構造的一体性を有するように形成されており、部分凸球面状外面38は、最外層を形成する平行四辺形状平織金網8からなる圧縮された平織金網4の網目3に充填されていると共に当該平織金網4と混在一体化された膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む耐熱材42の面43と、最外層を形成する平行四辺形状平織金網8からなる圧縮された平織金網4において方形状の網目3を形成する相隣り合う縦線1と相隣り合う横線2との交点群7a、7b、7c及び7dを結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置すると共に軸方向Zに配列されている一方の交点群7a及び7dの面及び当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置すると共に円周方向Rに配列された他方の交点群7b及び7cの面を含む平織金網4の面44とを具備して平滑な面45となっており、部分凸球面状外面38において、交点群7a及び7d並び7b及び7cを含む平織金網4の面44は、部分凸球面状外面38の全体に対して10〜60%の面積割合をもっており、円筒内面37は、部位Aの膨張黒鉛を含む耐熱材42のみの面からなっており、最外層から最内層を形成する平織金網4において、交点群7a7dは、軸方向Zに配列されており、交点群7及び7cは、円周方向に配列されている。
【0062】
<第二の製造方法>
(第一工程)
第一の製造方法における第一工程で準備した平行四辺形状平織金網8と同様の長尺の平行四辺形状平織金網8を二枚準備する。
(第二工程)
第一の製造方法における第二工程で準備した膨張黒鉛シート12と同様であって第一工程で準備した平行四辺形状平織金網8の長さLと同じ長さlをもった長尺の膨張黒鉛シート12を準備する。
【0063】
(第三工程)
第二工程で準備した膨張黒鉛シート12と同様であって、当該膨張黒鉛シート12の長さlよりも短い長さlをもった短尺の膨張黒鉛シート12を準備する。
【0064】
(第四工程)
図16に示すように、第一工程で準備した二枚の平行四辺形状平織金網8の間に第二工程で準備した長尺の膨張黒鉛シート12を、各辺をそれぞれ合致させて挟み込んで重合した重合シート13を形成後、重合シート13を
図9に示す一対のローラ14及び15間の隙間δに通して加圧し、
図17に示すように、方形状の網目3に充填された膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む面16及び平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面17が両面で露出していると共に一致した傾斜辺6及び11からなる傾斜辺46を有する平行四辺形状の長尺の複合シート47を形成する。
【0065】
(第五工程)
図18に示すように、第三工程で準備した短尺の膨張黒鉛シート12を、一方の傾斜辺11を最内周に位置させると共に重畳部48を形成するようにして他方の傾斜辺11を該一方の傾斜辺11を超えて位置させて円筒状に一回捲回した後、円筒状に捲回された短尺の膨張黒鉛シート12の外周に、当該膨張黒鉛シート12の他方の傾斜辺11に一方の傾斜辺46を突き合わせると共に最外周に膨張黒鉛シート12の一方の傾斜辺11と平行な他方の傾斜辺46が一方の傾斜辺46と径方向において重なり合わないようにして、複合シート47を円筒状に捲回して円筒成形体49を形成する。
【0066】
(第六工程)
円筒成形体49を
図14に示す金型27の段付きコア24の外周面に挿入し、金型27の円筒状中空部25及び球帯状中空部26に配された円筒成形体49を、押圧パンチ35を介して段付きコア軸方向に98〜294N/mm
2(1〜3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、
図1、
図2及び
図3に示すような、球帯状シール体41を作製する。
【0067】
斯かる球帯状シール体41は、第一の製造方法で製造された球帯状シール体41と同様に形成されている。
【0068】
<第三の製造方法>
(第一工程)
第一の製造方法における第一工程で準備した平行四辺形状平織金網8と同様の長尺の平行四辺形状平織金網8を二枚準備する。
【0069】
(第二工程)
第一の製造方法における第二工程で準備した膨張黒鉛シート12と同様の長尺の膨張黒鉛シート12を準備する。
【0070】
(第三工程)
第一工程で準備した二枚の平行四辺形状平織金網8と、第二工程で準備した長尺の膨張黒鉛シート12とから第二の製造方法の第四工程と同様にして傾斜辺46を有した平面視平行四辺形状の長尺の複合シート47を形成する。
【0071】
(第四工程)
長尺の複合シート47を、
図19に示すように、最内周に一方の傾斜辺46を位置させ、最外周に一方の傾斜辺46と平行な他方の傾斜辺46が径方向に重畳しないようにして、円筒状に捲回し、最内周及び最外周の夫々に平行四辺形状平織金網8の方形状の網目3に充填された膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む面16と平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面17とが露出した筒状母材52を形成する。
【0072】
(第五工程)
第一の製造方法の第二工程での膨張黒鉛シート12と同様であって、筒状母材52の外周面を一回捲回する長さと筒状母材52を形成する膨張黒鉛シート12の幅よりも狭い幅を有する平面視平行四辺形状の短尺の膨張黒鉛シート12と、この短尺の膨張黒鉛シート12と同じ長さ及び同じ幅を有する平面視平行四辺形状の短尺の二枚の平行四辺形状平織金網8とを準備する。
【0073】
(第六工程)
図20に示すように、第五工程で準備した短尺の膨張黒鉛シート12を、第五工程で準備した二枚の短尺の平行四辺形状平織金網8の間に各辺をそれぞれ合致させて挟み込んで重合して重合シート13を作製後、重合シート13を
図9に示す一対のローラ14及び15間の隙間δに通して加圧し、
図21に示すように、方形状の網目3に充填された膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む面16及び平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面17が両面で露出していると共に一致した傾斜辺6及び11からなる傾斜辺53とを有する
図17に示す複合シート47と同様の平行四辺形状の短尺の外面形成部材54を形成する。
【0074】
(第七工程)
筒状母材52の外周面に、
図22及び23に示すように、筒状母材52の下端に一方の平行辺を一致させて外面形成部材54を、その両端の平行な傾斜辺53及び53との間に円周方向に隙間をもって捲回した複合円筒成形体55を形成する。
【0075】
(第八工程)
複合円筒成形体55を、
図24に示すように金型27の段付きコア24の外周面に挿入し、段付きコア24を金型27内に配置すると共に金型27内において複合円筒成形体55を、押圧パンチ35を介してコア軸方向に98〜294N/mm
2(1〜3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、
図1、
図2及び
図3に示すような、球帯状シール体41を作製する。
【0076】
本球帯状シール体41は、円筒内面37に平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面と膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む耐熱体の面とが混在している以外、第一の製造方法で製造された球帯状シール体41と同様に形成されている。
【0077】
<第四の製造方法>
(第一工程)
第一の製造方法における第一工程で準備した長尺の平行四辺形状平織金網8を二枚準備する。
【0078】
(第二工程)
第一の製造方法における第二工程で準備した膨張黒鉛シート12と同様であって、第一工程で準備した平行四辺形状平織金網8の長さLよりも少なくとも後述の円筒成形体62の最内周の一周分に相当する長さだけ長い長さlをもった長尺の膨張黒鉛シート12を準備し、
図25及び
図26に示すように、膨張黒鉛シート12において後述の円筒成形体62の最外周の一周分に相当する長さの一方の端部56の一方の表面57に、固体潤滑剤を適用して当該表面57に固体潤滑剤からなる被覆層58を形成する。
【0079】
(第三工程)
図27に示すように、第一工程で準備した二枚の平織金網8の間に、第二工程で作製した被覆層58付き膨張黒鉛シート12を、膨張黒鉛シート12の一方の端部56と平織金網8の一方の端部との各辺をそれぞれ合致させて挟み込んで重合して重合シート13を作製後、重合シート13を
図9に示す一対のローラ14及び15間の隙間δに通して加圧し、
図28に示すように、膨張黒鉛シート12のみの部位Aと、方形状の網目3を形成する相隣り合う縦線1と相隣り合う横線2との交点群7a、7b、7c及び7dにおいて各網目3での交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置する一方の交点群7b及び7cが平行辺6と平行に方向Xに配列されている一方、当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置する他方の交点群7a及び7dが一方の交点群7b及び7cと直交して方向Yに配列された平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の網目3に充填された膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を含む面16及び膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛を充填した平織金網8の面17が露出した部位Bと、交点群7a及び7dが方向Xに、交点群7a及び7dが方向Yに夫々配列された平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の網目3に被覆層58を充填した平織金網4の面17及び被覆層58の固体潤滑剤からなる面59が露出した部位Cとを具備しており、方向Xの両端が同じ方向に傾いた傾斜辺60を有した平面視平行四辺形状の長尺の複合シート61を形成する。
【0080】
(第四工程)
図29に示すように、複合シート61を、最内周に部位Aの傾斜辺60を、最外周に部位Cの傾斜辺60を夫々配すると共に部位Aを最内周側で一巻き、部位Cを固体潤滑剤からなる面59を外側にして最外周側で一巻きするようにして、円筒状に捲回して円筒成形体62を形成する。
【0081】
(第五工程)
円筒成形体62を
図14に示す金型27の段付きコア24の外周面に挿入し、段付きコア24を金型27内に配置すると共に金型27内において円筒成形体62を、押圧パンチ35を介してコア軸方向に98〜294N/mm
2(1〜3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、
図1、
図3及び
図37に示す球帯状シール体41を作製する。
【0082】
斯かる球帯状シール体41は、部分凸球面状外面38側に、平織金網4と平織金網4の網目3に充填されていると共に当該平織金網4と共に圧縮されて当該平織金網4と混在一体化された部位Cの被覆層58からなる固体潤滑剤とを具備しており、部分凸球面状外面38に膨張黒鉛を含む耐熱材42の面43に代えて部位Cの被覆層58からなる固体潤滑剤の面59を具備している以外、第一の製造方法で得られた球帯状シール体41と同様に形成されている。
【0083】
<第五の製造方法>
(第一工程)
第一の製造方法における第一工程で準備した平行四辺形状平織金網8と同様の長尺の平行四辺形状平織金網8を二枚準備する。
【0084】
(第二工程)
第一の製造方法で準備した膨張黒鉛シート12と同様の長尺の膨張黒鉛シート12を準備し、この長尺の膨張黒鉛シート12において後述の円筒成形体65の最外周の一周分に相当する長さをもった一方の端部56の一方の表面57に固体潤滑剤を適用して当該表面57に固体潤滑剤からなる被覆層58を形成する。
【0085】
(第三工程)
図30に示すように、第一工程で準備した二枚の平織金網8の間に、第二工程で作製した膨張黒鉛シート12を、夫々の各辺を合致させて、挟み込んで重合して重合シート13を作製後、重合シート13を
図9に示す一対のローラ14及び15間の隙間δに通し加圧し、
図31に示すように、第四の製造方法での部位B及びCと同様の部位B及びCを具備しており、両端が同じ方向に傾いた互いに平行な傾斜辺63を有した平面視平行四辺形状の長尺の複合シート64を形成する。
【0086】
(第四工程)
図32に示すように、第一の製造方法で準備した膨張黒鉛シート12と同様であって、円筒成形体65の最内周の一周分に相当する長さをもった短尺の膨張黒鉛シート12の一方の傾斜辺11を最内周に位置させると共に他方の傾斜辺11を一方の傾斜辺11を超えて重畳部48をもって位置させて当該短尺の膨張黒鉛シート12を円筒状に一回捲回した後、短尺の膨張黒鉛シート12の他方の傾斜辺11に一方の傾斜辺63を対峙させると共に最外周で一方の傾斜辺63に他方の傾斜辺63が重なり合わないようにして、複合シート64を先に円筒状に捲回した短尺の膨張黒鉛シート12の周りに円筒状に捲回して最外周の外面に平織金網4の面17と被覆層58の面59とが露出した円筒成形体65を形成する。
【0087】
(第五工程)
円筒成形体65を
図14に示す金型27の段付きコア24の外周面に挿入し、段付きコア24を金型27内に配置すると共に金型27内において円筒成形体65を、押圧パンチ35を介してコア軸方向に98〜294N/mm
2(1〜3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、
図1、
図3及び
図37に示す球帯状シール体41を作製する。
【0088】
斯かる球帯状シール体41は、部分凸球面状外面38側に、平織金網4と平織金網4の網目3に充填されていると共に当該平織金網4と共に圧縮されて当該平織金網4と混在一体化された部位Cの被覆層58からなる固体潤滑剤とを具備しており、部分凸球面状外面38に膨張黒鉛を含む耐熱材42の面43に代えて部位Cの被覆層58からなる固体潤滑剤の面59を具備している以外、第一の製造方法で得られた球帯状シール体41と同様に形成されている。
【0089】
<第六の製造方法>
(第一工程)
第一の製造方法の第一工程で準備した平行四辺形状平織金網8であって、第一の製造方法の第二工程で準備した長尺の膨張黒鉛シート12と同じ幅及び長さをもった長尺の平行四辺形状平織金網8を二枚準備する。
【0090】
(第二工程)
第四の製造方法における第二工程で作製された
図25及び26に示す一方の端部56の一方の表面57に固体潤滑剤の被覆層58を備えた膨張黒鉛シート12と同様の長尺の膨張黒鉛シート12を準備する。
【0091】
(第三工程)
第一工程で準備した二枚の平織金網8の間に第二工程で準備した膨張黒鉛シート12を、各辺をそれぞれ合致させて挟み込んだ後、第五の製造方法における第三工程と同様にして、複合シート64を形成する。
【0092】
(第四工程)
複合シート64を、
図33に示すように、最内周に部位B側の傾斜辺63を配し、最外周に部位C側の傾斜辺63を、部位B側の傾斜辺63と径方向に重畳しないように配して、円筒状に捲回して円筒成形体68を形成する。
【0093】
(第五工程)
円筒成形体68を
図14に示す金型27の段付きコア24の外周面に挿入し、段付きコア24を金型27内に配置すると共に金型27内において円筒成形体68を、押圧パンチ35を介してコア軸方向に98〜294N/mm
2(1〜3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、
図1、
図3及び
図37に示す球帯状シール体41を作製する。
【0094】
斯かる球帯状シール体41は、部分凸球面状外面38側に、平織金網4と平織金網4の網目3に充填されていると共に当該平織金網4と共に圧縮されて当該平織金網4と混在一体化された部位Cの被覆層58からなる固体潤滑剤とを具備しており、円筒内面37に平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面と膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛の面とが混在しており、部分凸球面状外面38に膨張黒鉛を含む耐熱材42の面43に代えて部位Cの被覆層58からなる固体潤滑剤の面59を具備している以外、第一の製造方法で得られた球帯状シール体41と同様に形成されている。
【0095】
<第七の製造方法>
(第一工程)
第三の製造方法と同様の方法で、
図19に示す筒状母材52を形成する。
【0096】
(第二工程)
第三の製造方法における第五工程で準備する短尺の膨張黒鉛シート12と、夫々この短尺の膨張黒鉛シート12と同じ長さ及び幅の二枚の平行四辺形状平織金網8とを準備する。
【0097】
(第三工程)
図34に示すように短尺の膨張黒鉛シート12の一方の表面全体に固体潤滑剤を適用して当該表面全体に固体潤滑剤の被覆層58を形成する。
【0098】
(第四工程)
図35に示すように、固体潤滑剤の被覆層58を備えた短尺の膨張黒鉛シート12を、二枚の短尺の平織金網8の間に各辺をそれぞれ合致させて挟み込んで重合して重合シート13を作製後、重合シート13を
図9に示す一対のローラ14及び15間の隙間δに通して加圧し、
図36に示すように、方形状の網目3を形成する相隣り合う縦線1と相隣り合う横線2との交点群7a、7b、7c及び7dにおいて各網目3での交点を結ぶ一対の対角線のうちの一方の対角線上に位置する一方の交点群7b及び7cが平行辺6と平行な方向Xに配列されている一方、当該一対の対角線のうちの他方の対角線上に位置する他方の交点群7a及び7dが方向Xと直交する方向Yに配列された平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面17と被覆層58の面59とが露出していると共に両端が同じ方向に傾いた傾斜辺69を有した平面視平行四辺形状の外面形成部材70を形成する。
【0099】
(第八工程)
筒状母材52の外周面に、
図22及び23に示すように、筒状母材52の下端に一方の平行辺を一致させて外面形成部材70を、その両端の平行な傾斜辺69との間に円周方向に隙間をもって捲回した複合円筒成形体71を形成する。
【0100】
(第九工程)
複合円筒成形体71を
図24に示すように金型27の段付きコア24の外周面に挿入し、段付きコア24を金型27内に配置すると共に金型27内において複合円筒成形体71を、押圧パンチ35を介して段付きコア軸方向に98〜294N/mm
2(1〜3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、
図1、
図3及び
図37に示すような球帯状シール体41を作製する。
【0101】
本球帯状シール体41は、第六の製造方法で製造された球帯状シール体41と同様に形成されている。
【0102】
第一から第七の製造方法において、膨張黒鉛シート12としては、膨張黒鉛シートI、II及びIIIのいずれの膨張黒鉛シートを用いてもよく、第一から第七の製造方法によって得られた球帯状シール体41において、環状端面39には、平行四辺形状平織金網8からなる平織金網4の面と平織金網4の方形状の網目3を充填した膨張黒鉛シート12からなる膨張黒鉛の面とが混在していており、斯かる環状端面39は、円環状の大径縁72で部分凸球面状外面38の大径側の円環状端縁73に連接した円環状平坦端面部74と、円環状平坦端面部74の円環状の小径縁75に大径縁76で連接していると共に小径縁77で円筒内面37の軸方向Zの円環状の一端縁78に連接した円環状の内側テーパ面部79とを具備していてもよく、本環状端面39において、内側テーパ面部79は、
図15に示す押圧パンチ35の環状テーパ面部33で、円環状平坦端面部74は、当該押圧パンチ35の環状テーパ面部33で夫々形成され得る。
【0103】
球帯状シール体41が組込まれて使用された
図41に示す排気管球面継手において、エンジン側に連結された上流側排気管100の外周面には、管端部101を残してフランジ200が立設されており、管端部101には、球帯状シール体41が貫通孔36を規定する円筒内面37において嵌合されており、大径側の環状端面39において球帯状シール体41がフランジ200に当接されて着座せしめられており、上流側排気管100と対峙して配されていると共にマフラ側に連結された下流側排気管300には、凹球面部302と凹球面部302に連接されたフランジ部303とを一体に備えた径拡大部301が固着されており、凹球面部302の内面304が球帯状シール体41の部分凸球面状外面38に摺接されている。
【0104】
図41に示す排気管球面継手において、一端がフランジ200に固定され、他端が径拡大部301のフランジ部303を挿通して配された一対のボルト400とボルト400の膨大頭部及びフランジ部303の間に配された一対のコイルばね500とにより、下流側排気管300には、常時、上流側排気管100方向にバネ力が付勢されている。そして、排気管球面継手は、上、下流側排気管100、300に生じる相対角変位に対しては、球帯状シール体41の部分凸球面状外面38のすべり面としてと下流側排気管300の端部に形成された径拡大部301の凹球面部302の内面304との摺接でこれを許容するようになっている。
【実施例】
【0105】
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何等限定されない。
【0106】
実施例1
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦1.5mm、横1.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網と密度1.12Mg/cm
3、厚さ0.28mmの耐熱材Iとしての膨張黒鉛シートとを用いて第一の製造方法で球帯状シール体を製造した。
【0107】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して43%の面積割合をもっていた。
【0108】
実施例2
実施例1と同様の金属細線を用いて目幅が縦2.0mm、横2.0mmの方形状の網目をもって織られた平織金網と実施例1と同様の膨張黒鉛シートとを用いて第一の製造方法で球帯状シール体を製造した。
【0109】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して35%の面積割合をもっていた。
【0110】
実施例3
実施例1と同様の金属細線を使用して目幅が縦2.5mm、横2.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網と実施例1と同様の膨張黒鉛シートとを用いて、第二の製造方法で球帯状シール体を製造した。
【0111】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して28%の面積割合をもっていた。
【0112】
実施例4
実施例1と同様の平織金網及び膨張黒鉛シートを用いた筒状母材と、金属細線として線径0.15mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦2.0mm、横2.0mmの方形状の網目をもって織られた平織金網及び実施例1と同様の膨張黒鉛シートを用いた外面形成部材とから第三の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0113】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して20%の面積割合をもっていた。
【0114】
実施例5
金属細線として線径0.32mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦2.5mm、横2.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網及び実施例1と同様の膨張黒鉛シートを用いた筒状母材と、金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦2.5mm、横2.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網及び実施例1と同様の膨張黒鉛シートを用いた外面形成部材とから第三の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0115】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して28%の面積割合をもっていた。
【0116】
実施例6
平均粒径0.20μmのPTFE粉末25質量%、平均粒径0.15μmのFEP粉末15質量%、平均粒径8μmのh−BN粉末60質量%を含有する固体潤滑剤用粉末39質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%及び水57質量%からなる水性ディスパージョン(PTFE9.75質量%、FEP5.85質量%、h−BN23.4質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされて、100℃の温度で乾燥されて、PTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%)の被覆層が一方の端部の一方の表面に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シートと、実施例1と同様の平織金網とから第四の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0117】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して40%の面積割合をもっていた。
【0118】
実施例7
平均粒径0.20μmのPTFE粉末12質量%、平均粒径0.15μmのFEP粉末28質量%、平均粒径8μmのh−BN粉末60質量%を含有する固体潤滑剤用粉末39質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%及び水57質量%からなる水性ディスパージョン(PTFE4.68質量%、FEP10.92質量%、h−BN23.4質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされて、100℃の温度で乾燥されてPTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%)の被覆層が一方の端部の一方の表面に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シートと金属細線として線径0.42mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦2.5mm、横2.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網とから第四の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0119】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して38%の面積割合をもっていた。
【0120】
実施例8
【0121】
平均粒径0.20μmのPTFE粉末10質量%、平均粒径0.15μmのFEP粉末40質量%、平均粒径8μmのh−BN粉末50質量%を含有する固体潤滑剤用粉末39質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%及び水57質量%からなる水性ディスパージョン(PTFE3.9質量%、FEP15.6質量%、h−BN19.5質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされて、100℃の温度で乾燥されてPTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%)の被覆層が一方の端部の一方の表面に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シート及び実施例2と同様の平織金網から形成された複合シートと、実施例1と同様の短尺の膨張黒鉛シートとを用いて第五の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0122】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して32%の面積割合をもっていた。
【0123】
実施例9
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦3.0mm、横3.0mmの方形状の網目をもって織られた平織金網と、平均粒径0.20μmのPTFE粉末20質量%、平均粒径0.15μmのFEP粉末40質量%及び平均粒径8μmのh−BN粉末40質量%を含有する固体潤滑剤用粉末39質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%及び水57質量%からなる水性ディスパージョン(PTFE7.8質量%、FEP15.6質量%、h−BN15.6質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされて、100℃の温度で乾燥されてPTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%)の被覆層が一方の端部の一方の表面に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シートとを用いて第六の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0124】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して24%の面積割合をもっていた。
【0125】
実施例10
金属細線として線径0.32mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦2.5mm、横2.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網と、平均粒径0.20μmのPTFE粉末38質量%、平均粒径0.15μmのFEP粉末22質量%及び平均粒径8μmのh−BN粉末40質量%を含有する固体潤滑剤用粉末39質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%及び水57質量%からなる水性ディスパージョン(PTFE14.82質量%、FEP8.58質量%、h−BN15.6質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされ、100℃の温度で乾燥されたPTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%)の被覆層が一方の端部の一方の表面に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シートとを用いて第六の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0126】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面おける平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して27%の面積割合をもっていた。
【0127】
実施例11
金属細線として線径0.5mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦2.0mm、横2.0mmの方形状の網目をもって織られた平織金網と、平均粒径0.20μmのPTFE粉末22質量%、平均粒径0.15μmのFEP粉末22質量%、平均粒径8μmのh−BN粉末53質量%及びアルミナ水和物としてベーマイト粉末3質量%を含有する固体潤滑剤用粉末39質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%及び水57質量%からなる水性ディスパージョン(PTFE8.58質量%、FEP8.58質量%、h−BN20.67質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされ、100℃の温度で乾燥されてPTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE22質量%、FEP22質量%、h−BN53質量%及びベーマイト3質量%)の被覆層が一方の端部の一方の表面に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シートとを用いて第六の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0128】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して55%の面積割合をもっていた。
【0129】
実施例12
実施例1と同様の膨張黒鉛シートと実施例10と同様の平織金網とを用いて作製した筒状母材と、金属細線として線径0.15mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦1.5mm、横1.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網並びに平均粒径0.20μmのPTFE粉末35質量%、平均粒径0.15μmのFEP粉末15質量%及び平均粒径8μmのh−BN粉末50質量%を含有する固体潤滑剤用粉末39質量%、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%及び水57質量%からなる水性ディスパージョン(PTFE13.65質量%、FEP5.85質量%、h−BN19.5質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされ、100℃の温度で乾燥されたPTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%)の被覆層が一方の表面全体に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シートで形成された外面形成部材とを用いて第七の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0130】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して21%の面積割合をもっていた。
【0131】
実施例13
実施例12と同様にして筒状母材と、金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して目幅が縦2.5mm、横2.5mmの方形状の網目をもって織られた平織金網及び実施例6と同様の水性ディスパージョン(PTFE9.75質量%、FEP5.85質量%、h−BN23.4質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)がローラ塗りされて100℃の温度で乾燥され、更に加熱炉内において340℃の温度で20分間焼成されてPTFE、FEP及びh−BNの固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%)の被覆層が一方の端部の一方の表面に形成された実施例1と同様の膨張黒鉛シートで形成された外面形成部材とを用いて第七の製造方法で球帯状シール体を得た。
【0132】
得られた球帯状シール体において、部分凸球面状外面における平織金網の面は、当該部分凸球面状外面の全体に対して27%の面積割合をもっていた。
【0133】
比較例1
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して網目の目幅が縦4mm、横5mmの円筒状編組金網を作製し、これを一対のローラ間に通して帯状金網とし、耐熱材Iとして密度1.12Mg/cm
3、厚さ0.38mmの実施例1と同様の膨張黒鉛シートを使用し、膨張黒鉛シートをうず巻き状に一周分捲回したのち、膨張黒鉛シートの内側に帯状金網を重ね合わせ、うず巻き状に捲回して最外周に膨張黒鉛シートを位置させた筒状母材を作製した。この筒状母材においては、膨張黒鉛シートの幅方向(方向Y)の両端部はそれぞれ帯状金網の幅方向に突出(はみ出し)している。
【0134】
上記膨張黒鉛シートと同様の膨張黒鉛シートを別途準備し、該膨張黒鉛シートの一方の表面にh−BN粉末85質量%とアルミナ粉末15質量%とからなる固体潤滑剤を100質量部とし、これにPTFE粉末を150質量部分散含有した固体潤滑剤(h−BN34質量%、PTFE60質量%及びアルミナ6質量%)を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(h−BN10.2質量%、PTFE18質量%、アルミナ1.8質量%、水分70質量%)をローラ塗りし、100℃の温度で乾燥させるという被覆操作を3回繰返し、該膨張黒鉛シートの一方の表面に固体潤滑剤の被覆層(h−BN34質量%、PTFE60質量%及びアルミナ6質量%)を形成した。
【0135】
線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を使用して網目の目幅が縦3.5mm、横2.5mmの編組金網(
図39参照)からなる円筒状編組金網を形成した後、これをローラ間に通して帯状金網とし、該帯状金網内に被覆層を備えた膨張黒鉛シートを挿入すると共にこれらをローラ間に通して一体化させ、固体潤滑剤の面と編組金網の面とが混在した一方の面を有した外面形成部材を作製した。
【0136】
筒状母材の外周面に、この外面形成部材を、固体潤滑剤の面と編組金網とが混在した一方の面を外側にして、捲回した複合円筒成形体を作製し、この複合円筒成形体を金型の中空部に配置した後、該金型内において該複合円筒成形体をコア軸方向に294N/mm
2(3トン/cm
2)の圧力で圧縮成形し、円筒内面と部分凸球面状外面と部分凸球面状外面の大径側及び小径側に環状端面を備えた球帯状シール体を得た。
【0137】
得られた球帯状シール体は、圧縮された編組金網からなる金網と、この編組金網の網目を充填し、かつこの編組金網と混在一体化されて圧縮された耐熱材としての膨張黒鉛シートからなる膨張黒鉛とを有しており、部分凸球面状外面は、金網からなる編組金網と固体潤滑剤とが混在した平滑な面からなっており、部分凸球面状外面における編組金網は、43.4%の面積割合をもっていた。
【0138】
比較例2
比較例1と同様の膨張黒鉛シートの幅方向の両端部がそれぞれ比較例1と同様の編組金網の幅方向に突出(はみ出し)している筒状母材を作製した。
【0139】
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を使用して、複数本の縦線及び横線が格子状に織られていると共に相隣り合う縦線と相隣り合う横線とに囲まれた目幅が縦2.0mm、横2.0mmの方形状の網目をもって織られた平織金網を用いて、長方形状の平織金網を作製した。
【0140】
実施例1と同様の膨張黒鉛シートの一方の表面に、比較例1と同様の固体潤滑剤からなる水性ディスパージョンを適用し、h−BN34質量%、PTFE60質量%及びアルミナ6質量%を含む固体潤滑剤の被覆層を備えた膨張黒鉛シートを作製した。この固体潤滑剤の被覆層を備えた膨張黒鉛シートを、二枚の平織金網間に各辺を合致させて挟み込んだ後、該膨張黒鉛シート及び二枚の平織金網を一対のローラ間の隙間に通して加圧し、平織金網の網目に膨張黒鉛及び固体潤滑剤を充填した扁平状であって、平織金網の方形状の網目を形成する縦線が方向Yに、この縦線と協働して平織金網の方形状の網目を形成する横線が方向Xに夫々平行に配置された長方形状の外面形成部材を作製した。
【0141】
外面形成部材を、平織金網の面と固体潤滑剤からなる面とが混在した面を外側にして筒状母材の外周面に捲回した複合円筒成形体を作製した。
【0142】
以下、実施例1と同様の方法で、円筒内面、部分凸球面状外面並びに部分凸球面状外面の大径側及び小径側に環状端面を備えた球帯状シール体を得た。
【0143】
得られた球帯状シール体は、膨張黒鉛と平織金網とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように形成されており、膨張黒鉛と平織金網とが圧縮されて平織金網の網目に、膨張黒鉛及びPTFE60質量%、h−BN34質量%及びアルミナ6質量%を含む固体潤滑剤が充填されて当該膨張黒鉛と固体潤滑剤とが混在一体化されてなり、部分凸球面状外面は、固体潤滑剤からなる面と、網目を形成する縦線群が方向Yに、同じく網目を形成する横線群が円周方向Rにそれぞれ配列(
図40参照)された平織金網の面とが混在して露出した平滑な面に形成されており、平織金網の表面は25%の面積割合をもって露出していた。
【0144】
次に、上記した実施例1から実施例13並びに比較例1及び比較例2で得た球帯状シール体を
図41に示す排気管継手に組み込み、揺動試験により相手材表面の表面粗さの変化、摩擦異音発生の有無及びガス漏れ量(l/min)について試験した。
【0145】
<揺動試験の試験条件>
温度(
図41に示す径拡大部301の表面の温度) 300℃
振幅(揺動角) ±2°
加振周波数 25Hz
加振時間 42Hr
コイルバネによるセット荷重 650N
加振回数 374万回
相手材材質(
図41に示す径拡大部301の材質) SUS304
【0146】
<摩擦異音発生の有無の試験条件>
温度(
図41に示す径拡大部301の表面の温度) 室温(25℃)〜500℃
加振周波数 25Hz
摺動距離(振幅) ±0.05〜±2.05mm
加振時間 40分間(1サイクル)
コイルバネによるセット荷重 650N
【0147】
<試験方法>
図41に示す排気管継手の上流側排気管100を固定すると共に上流側排気管100に高温ガスを流通させて相手材(
図41に示す径拡大部301)の表面温度を300℃まで昇温し、相手材の表面温度が300℃に到達した時点で、他方の排気管300を25Hzの加振周波数で±2°の振幅で揺動運動を42時間(加振回数374回)行った後、一旦温度を室温まで降下させる(揺動試験)。引き続き、10分間で相手材の表面温度を500℃に昇温し、相手材の表面温度が500℃に到達した時点で、周波数25Hz、振幅±0.05mmの条件で10分間加振する。次いで、相手材の表面温度を500℃から室温まで降下させながら振幅を±0.05mmから±2.05mmの範囲で変化させ、当該振幅での摩擦異音の有無の測定を行った(摩擦異音の有無の試験)。
【0148】
<ガス漏れ量の試験条件>
コイルバネによる押圧力(スプリングセットフォース):650N
揺動角度:±2°
加振周波数(揺動速度):5Hz
温度(
図41に示す径拡大部301):室温(RT=25℃)〜500℃
揺動回数:100万回
相手材(
図41に示す径拡大部301の材質):SUS304
【0149】
<試験方法>
揺動試験の試験条件により揺動試験を行った後、室温において5Hzの加振周波数で±2°の揺動運動を継続しながら相手材表面の温度を500℃まで昇温し、その温度を保持した状態で揺動運動を継続し、(1)試験開始前、(2)揺動回数25万回後、(3)揺動回数50万回後及び(4)揺動回数100万回に到達した時点でのガス漏れ量について測定した。
【0150】
<ガス漏れ量の測定方法>
図41に示す排気管継手の上流側排気管100の開口部を閉塞し、下流側排気管300側から、49kPa(0.5kgf/cm
2)の圧力で乾燥空気を流入し、継手部分(球帯状シール体41の部分凸球面状外面38と凹球面部302の内面304との摺接部、球帯状シール体41の円筒内面37と上流側排気管100の管端部101との嵌合部及び環状端面39と上流側排気管100に立設されたフランジ部200との当接部からの(1)試験開始前、(2)揺動回数25万回到達時、(3)揺動回数50万回到達時及び(4)揺動回数100万回到達時のガス漏れ量を流量計にて測定した。
【0151】
表1から表4は上記試験結果を示し、表5から表8は、実施例2、実施例8、実施例12及び比較例2についての摩擦異音の試験経過及び試験結果を示す。なお、摩擦異音の判定は、次の基準で行った。
【0152】
<摩擦異音の判定>
記号:0 摩擦異音の発生なし。
記号:0.5 集音パイプで摩擦異音の発生を確認できる。
記号:1 排気管球面継手の摺動部位から約0.2m離れた位置で摩擦異音の発 生を確認できる。
記号:1.5 排気管球面継手の摺動部位から約0.5m離れた位置で摩擦異音の発 生を確認できる。
記号:2 排気管球面継手の摺動部位から約1m離れた位置で摩擦異音の発生を 確認できる。
記号:2.5 排気管球面継手の摺動部位から約2m離れた位置で摩擦異音の発生を 確認できる。
記号:3 排気管球面継手の摺動部位から約3m離れた位置で摩擦異音の発生を 確認できる。
記号:3.5 排気管球面継手の摺動部位から約5m離れた位置で摩擦異音の発生を 確認できる。
記号:4 排気管球面継手の摺動部位から約10m離れた位置で摩擦異音の発生 を確認できる。
記号:4.5 排気管球面継手の摺動部位から約15m離れた位置で摩擦異音の発生 を確認できる。
記号:5 排気管球面継手の摺動部位から約20m離れた位置で摩擦異音の発生 を確認できる。
【0153】
以上の判定において、記号:0から記号:2.5までを摩擦異音の発生なし(合格)と判定し、記号:3から記号:5までを摩擦異音の発生あり(不合格)とした。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
【表5】
【0159】
【表6】
【0160】
【表7】
【0161】
【表8】
【0162】
表1から表8に示す試験結果から、実施例1から実施例13で得られた球帯状シール体は、相手材表面の粗面化、摩擦異音の評価及びガス漏れ量において、比較例1及び比較例2で得られた球帯状シール体よりも優れていることが分かる。そして、比較例2からなる球帯状シール体の部分凸球面状外面には、実施例1から実施例13で得られた球帯状シール体と同様の平織金網が露出しているにも係わらず、相手材表面の粗面化が増大したのは、平織金網の方形状の網目を形成する相隣り合う縦線群が軸方向に沿って配置され、相隣り合う横線群が円周方向に沿って配置されており、相手材表面とはこれら平織金網の縦線群及び横線群と摺動方向に常時直接的に接触して摺動することによるものと推察される。
【0163】
以上説明したように、本発明の球帯状シール体においては、平織金網とこの平織金網の網目を充填すると共にこの平織金網と混在一体化された膨張黒鉛とが互いに絡み合い、かつ平織金網が万遍なく分散しているので、内部の均質化が高められ、また、部分凸球面状外面においては、交点群での大きな瘤のような塊をなくし得て、相手材との摺動摩擦において、当該網目の交点群と相手材表面との間のアブレッシブ摩耗の誘発を極力減少させることができ、相手材表面の損傷に起因する粗面化を減少させてシール性の低下を極力防止することができる。
【0164】
また、最外層を形成する部分凸球面状外面の平織金網が摩耗した場合においても、最外層に位置する平織金網に続いて内部に位置する次の層を形成する平織金網との摩擦摺動に次々に移行し、相手材とは常時、膨張黒鉛を含む耐熱材の表面と平織金網の表面とが混在した面で摺動して、相手材と膨張黒鉛を含む耐熱材のみとの摺動は回避されるので、摩擦異常音の発生を極力防止することができる。