(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る通信装置、通信システム及び通信方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る通信装置1を示すブロック図である。この
図1に基づいて、通信装置1について説明する。
図1に示すように、通信装置1は、移動体に搭載されるものであり、位置検出手段10と、パケット通信手段20と、記憶手段30と、決定手段40と、判定手段50とを備えている。
【0012】
(位置検出手段10)
位置検出手段10は、移動体の位置を検出するものである。この位置検出手段10は、例えば、GPS受信機であり、移動体に搭載されることにより、その搭載された移動体の位置を検出する。
【0013】
(パケット通信手段20)
パケット通信手段20は、他の移動体との間で、受信量を示すトラフィック情報が含まれる送信パケット及び受信パケットを送受信するものである。このパケット通信手段20は、パケット送信手段21及び送信アンテナ22と、受信アンテナ23及びパケット受信手段24とを備えている。
【0014】
(パケット送信手段21、送信アンテナ22)
パケット送信手段21は、他の移動体に送信されるパケットに変調等を施して、送信パケットを生成するものである。また、送信アンテナ22は、このパケット送信手段21で生成された送信パケットを他の移動体に送信するものである。
【0015】
(受信アンテナ23、パケット受信手段24)
受信アンテナ23は、他の移動体から送信されたパケットを受信するものである。また、パケット受信手段24は、この受信アンテナ23で受信されたパケットに復調等を施して、受信パケットを生成するものである。
【0016】
(記憶手段30)
記憶手段30は、移動体の位置と送信パケットの送信タイミングとの関係を示すテーブルを記憶するものである。
図2は、実施の形態1におけるテーブルを示す図である。
図2に示すように、テーブルは、送信されたパケットが届く範囲の領域毎に複数に分割されている。そして、第1の領域に対応するパケットの第1の送信タイミングと、第1の領域に隣接する第2の領域に対応するパケットの第2の送信タイミングとが異なる。
図2では、送信タイミングが9種類の場合が例示されており、夫々所属エリアi=1〜9とする。例えば、所属エリアi=7が選択されると、その領域からパケットが届く領域CRは、
図2のハッチングされた領域である。そして、上記のとおり、所属エリアi=1に隣接する領域は、所属エリアi=2〜9であり、所属エリアi=1とは異なる。このように、同じ送信タイミングが充当された所属エリアiが重複しないように領域を分割することによって、隠れ端末の発生を防止している。
【0017】
なお、本実施の形態1では、領域が四角形で分割されたテーブルを例示しているが、領域は、三角形又は六角形でもよく、そのほかの形状でもよい。また、各領域が同じ形状を備えている必要はなく、領域毎に形状が異なってもよい。採用する領域の形状及び寸法等によって、各送信タイミング占有時間及び隠れ端末の発生率等が変動し、送信可能なデータの量及びパケット受信性能等が変動する。
【0018】
(決定手段40)
決定手段40は、位置検出手段10で検出された移動体の位置と、記憶手段30に記憶されたテーブルとに基づいて、送信パケットの送信タイミング候補を決定するものである。
図1に示すように、決定手段40は、位置情報特定手段41と、送信タイミング候補決定手段42とを備えている。
【0019】
(位置情報特定手段41)
位置情報特定手段41は、位置検出手段10で検出された移動体の位置と、記憶手段30に記憶されたテーブルとに基づいて、テーブルにおける移動体の位置を特定するものである。具体的には、検出された移動体の位置が、
図2に示すテーブルのいずれの位置に合致するかを特定する。
【0020】
(送信タイミング候補決定手段42)
送信タイミング候補決定手段42は、位置情報特定手段41で特定されたテーブルにおける移動体の位置に基づいて、送信タイミング候補を決定するものである。具体的には、テーブルにおいて、移動体の位置と合致する領域の所属エリアiに対応する送信タイミングが、送信タイミング候補とされる。例えば、移動体の位置と合致する領域が、所属エリアi=1である場合、送信タイミング候補Si=S1である。
図3は、実施の形態1における送信タイミングを示す図である。送信タイミングが、
図2と同様に、1〜9に9分割されている場合、
図3に示すように、送信タイミングは、基準タイミングを起点として、1〜9の順序で、ずらされている。
【0021】
なお、本実施の形態1では、一定間隔で発生する基準タイミング間を、等間隔で9等分して、夫々送信タイミングが充当されているが、この間隔は、等間隔でなくともよい。また、移動体が存在する地域ごとに、送信タイミングの割り当てを変更してもよい。この場合、送信タイミングの割り当てに関する情報が、テーブルに付加される。
【0022】
(判定手段50)
判定手段50は、パケット通信手段20で受信された受信パケットに含まれるトラフィック情報に基づいて、決定手段40で決定された送信タイミング候補Siを最終送信タイミングとして決定するか否かを判定するものである。
図1に示すように、この判定手段50は、第1の判定手段60と、変更手段70と、第2の判定手段80とを備えている。
【0023】
(第1の判定手段60)
第1の判定手段60は、トラフィック情報に基づいて、送信タイミング候補Siを最終送信タイミングとして決定するか否かを1次判定するものである。
図1に示すように、この第1の判定手段60は、第1のトラフィック生成手段61と、第1の閾値処理手段62と、第1の最終送信タイミング決定手段63とを備えている。
【0024】
(第1のトラフィック生成手段61)
第1のトラフィック生成手段61は、パケット通信手段20で受信された受信パケットの量をカウントして、その受信パケットの量と送信タイミング候補Siとに基づいて、第1のトラフィック情報を生成するものである。第1のトラフィック情報Tiは、送信タイミング候補Siの間に移動体が受信した通信トラフィックである。これは、各送信タイミングSi’の間、即ち
図3における期間P
1の間にパケット通信手段20が受信したパケットの量をカウントすることで得られる通信トラフィックTi’と、送信タイミング候補Siとに基づいて決定される。即ち、i’=iのときのTi’がTiである。
【0025】
(第1の閾値処理手段62)
第1の閾値処理手段62は、第1のトラフィック生成手段61で生成された第1のトラフィック情報Tiが、予め定められた第1のトラフィック閾値V0以上であるか否かを判定するものである。
【0026】
(第1の最終送信タイミング決定手段63)
第1の最終送信タイミング決定手段63は、第1のトラフィック情報Tiが第1のトラフィック閾値V0未満であることが第1の閾値処理手段62で判定された場合、送信タイミング候補Siを最終送信タイミングとして決定するものである。この場合、この送信タイミング候補Siが、パケット通信手段20に送信され、この送信タイミング候補Siで、送信アンテナ22からパケットが送信される。
【0027】
そのほかに、この第1の最終送信タイミング決定手段63は、第1のトラフィック情報Tiが第1のトラフィック閾値V0以上であることが第1の閾値処理手段62で判定された場合、送信タイミング候補Siを最終送信タイミングとして決定しないものである。その場合、送信タイミング候補Siを最終送信タイミングとして決定しないという情報が、変更手段70に送信される。
【0028】
(変更手段70)
変更手段70は、送信タイミング候補Siを最終送信タイミングとして決定されなかったことが第1の判定手段60で判定された場合、送信タイミング候補Siを送信タイミング第2候補Sjに変更するものである。この変更手段70において、具体的には、先ず、通信トラフィックTi’に基づいて、各送信タイミングSi’に対する選択確率αが算出される。例えば、選択確率αは、以下の式(1)で算出される。
【0029】
α=(1/Ti’)/Σ(1/Ti’)・・・・・・・・(1)
【0030】
式(1)では、通信トラフィックTi’が大きい送信タイミングSi’における選択確率αが低くなる。この選択確率αが算出された後、選択確率αに比例するように、送信タイミング第2候補Sjがランダムに選択される。
【0031】
(第2の判定手段80)
第2の判定手段80は、トラフィック情報に基づいて、変更手段70で変更された送信タイミング第2候補Sjを最終送信タイミングとして決定するか否かを判定する2次判定するものである。
図1に示すように、この第2の判定手段80は、第2のトラフィック生成手段81と、第2の閾値処理手段82と、第2の最終送信タイミング決定手段83とを備えている。
【0032】
(第2のトラフィック生成手段81)
第2のトラフィック生成手段81は、パケット通信手段20で受信された受信パケットに含まれる他の移動体における他端末トラフィック情報と、パケット通信手段20で受信パケットが受信される受信タイミングとに基づいて、第2のトラフィック情報を生成するものである。他端末トラフィック情報は、他の移動体である送信元mが、送信タイミングSj’の間に受信したものである。この他端末トラフィック情報と、パケット通信手段20で受信パケットが受信される受信タイミングSkに関する情報とで、行列Uj’k(m)が生成される。
【0033】
そして、この行列Uj’k(m)に基づいて、周辺の移動体のうち、所属エリアがk、即ち、送信タイミングSk’の移動体が、送信タイミングSj’の間に受信した通信トラフィックの代表値である第2のトラフィック情報Tjk’が算出される。具体的には、行列Uj’k(m)のうち、j’=jとなるものを抽出し、それを送信タイミングSk’毎に分けて、各k’に対し、Ujk’(m)の最大値又は平均値等を代表値Tjk’とすることができる。
【0034】
また、第2のトラフィック生成手段81は、そのほかに、パケット通信手段20で受信された受信パケットから、端末の制御に必要な受信データを抽出するものである。
【0035】
(第2の閾値処理手段82)
第2の閾値処理手段82は、第2のトラフィック生成手段81で生成された第2のトラフィック情報Tjk’が、予め定められた第2のトラフィック閾値以上であるか否かを判定するものである。第2のトラフィック閾値Vi’j’k’は、予め設定されたトラフィック閾値V0’を用いて算出されるものであり、第2の閾値処理手段82で、第2のトラフィック情報Tjk’と、この第2のトラフィック閾値Vi’j’k’とが比較される。具体的には、行列である第2のトラフィック閾値Vi’j’k’のうち、i’=i、j’=jとなるVijk’が抽出され、各k’に対して、第2のトラフィック情報Tjk’と抽出されたVijk’とが比較される。
【0036】
(第2の最終送信タイミング決定手段83)
第2の最終送信タイミング決定手段83は、第2のトラフィック情報Tjk’が第2のトラフィック閾値Vi’j’k’未満であることが第2の閾値処理手段82で判定された場合、送信タイミング第2候補Sjを最終送信タイミングとして決定するものである。この場合、この送信タイミング第2候補Sjが、パケット通信手段20に送信され、この送信タイミング第2候補Sjで、送信アンテナ22からパケットが送信される。具体的には、全ての第2のトラフィック情報Tjk’がVijk’より小さい場合、送信タイミング第2候補Sjが、最終送信タイミングとして決定される。
【0037】
そのほかに、この第2の最終送信タイミング決定手段83は、第2のトラフィック情報Tjk’が第2のトラフィック閾値Vi’j’k’以上であることが第2の閾値処理手段82で判定された場合、送信タイミング第2候補Sjを最終送信タイミングとして決定せず、この送信タイミング第2候補Sjを変更手段70に変更させるものである。具体的には、少なくとも1つの第2のトラフィック情報Tjk’がVijk’以上である場合、送信タイミング第2候補Sjが、最終送信タイミングとして決定されず、再度、送信タイミング第2候補Sjが、変更手段70で変更される。なお、少なくとも1つの第2のトラフィック情報Tjk’がVijk’以上である場合、送信タイミング第2候補Sjに変更される前の送信タイミング候補Siを、最終送信タイミングとしてもよい。
【0038】
ここで、所属エリアi’の送信タイミングを決定するために用いられる第2のトラフィック閾値Vi’j’k’、即ち、送信タイミングSk’の移動体が、送信タイミングSj’の間に受信した通信トラフィックに対するトラフィック閾値について説明する。
図2において、i=1を中心とする周辺領域において、j’=9(1の右隣)の所属エリアから送信されたパケットは、k’=1、2(1の上隣)、7(1の右上隣)、9(1の右隣)、3(1の下隣)、8(1の右下隣)の所属エリアには、パケットが直接届く。このため、他端末から、送信タイミングS9でパケットが送信されていなければ、これらの所属エリアにおける送信タイミングS9の間に受信する通信トラフィックは、いずれの所属エリアも等しい。
【0039】
一方、
図2において、i=1を中心とする周辺領域において、j’=9(1の右隣)の所属エリアから送信されたパケットは、k’=4(1の左上隣)、6(1の左隣)、5(1の左下隣)の所属エリアには、パケットが届かない。このため、他端末から、送信タイミングS9でパケットが送信されていなければ、これらの所属エリアにおける送信タイミングS9の間に受信する通信トラフィックは、いずれの所属エリアも0である。
【0040】
なお、上記の状態から外れて、通信トラフィックが大きい所属エリアが存在する場合、最終送信タイミングをS9とすると、隠れ端末の関係が発生する虞がある。
図4は、実施の形態1におけるテーブルを示す図である。以上より、本実施の形態1では、
図4に示すように、i=1、j’=9のときの第2のトラフィック閾値V19k’は、k’=1、2、7、9、3、8のとき、V19k’=T9+V0’とする。また、k’=4、6、5のとき、V19k’=V0’とする。なお、そのほかの場合、即ちj’=2〜8における第2のトラフィック閾値Vi’j’k’も、上記と同様に算出することができる。
【0041】
なお、通信装置1は、そのほかに、トラフィック情報付加手段90及び基準タイミング決定手段91を備えている。
【0042】
(トラフィック情報付加手段90)
トラフィック情報付加手段90は、他端末の制御に必要な送信データに対し、第1のトラフィック生成手段61で生成された通信トラフィックTi’を付加し、通信トラフィックTi’を付加した送信データを、パケット送信手段21に送信するものである。これにより、送信データを受信した他端末は、通信トラフィックTi’という情報を取得することができる。このように、送信データと通信トラフィックTi’とが、同じパケットで送信されるようにしてもよいし、送信データと通信トラフィックTi’とが、別のパケットで送信されるように構成してもよい。この場合、通信トラフィックTi’に対応する行列Uj’k(m)と、受信データとは、別のパケットから抽出される。
【0043】
(基準タイミング決定手段91)
基準タイミング決定手段91は、送信タイミングを決定する際の基準となる基準タイミングを決定し、決定された基準タイミングを、パケット送信手段21に送信する。なお、前述の如く、基準タイミングは、
図3に示すように、送信タイミングの起点となるものである。基準タイミングは、例えば、GPS受信機といった位置検出手段10による基準信号を受信するタイミングに基づいて決定されるが、これに限らない。
【0044】
次に、本実施の形態1に係る通信装置1の通信方法について説明する。
図5は、実施の形態1に係る通信装置1の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、先ず、位置検出手段10によって移動体の位置が検出され、その移動体の位置の情報が、位置情報特定手段41に送信される(ステップS1)。
【0045】
次に、位置情報特定手段41によって、移動体の位置と記憶手段30に記憶されたテーブルとに基づいて、テーブルにおける移動体の位置が特定され、これが、送信タイミング候補決定手段42に送信される(ステップS2)。そして、送信タイミング候補決定手段42によって、位置情報特定手段41で特定されたテーブルにおける移動体の位置に基づいて、送信タイミング候補Siが決定され、これが、第1の最終送信タイミング決定手段63及び第1のトラフィック生成手段61に送信される(ステップS3)。
【0046】
一方、第1のトラフィック生成手段61によって、パケット通信手段20で受信された受信パケットの量がカウントされ、その受信パケットの量と送信タイミング候補Siとに基づいて、第1のトラフィック情報Tiが生成され、この第1のトラフィック情報Tiが第1の閾値処理手段62に送信される(ステップS4)。また、その際に、第1のトラフィック生成手段61で生成された通信トラフィックTi’が、トラフィック情報付加手段90に送信される。そして、第1の閾値処理手段62によって、第1のトラフィック生成手段61で生成された第1のトラフィック情報Tiが、予め定められた第1のトラフィック閾値V0以上であるか否かが判定される(ステップS5)。
【0047】
ステップS5において、第1のトラフィック情報Tiが第1のトラフィック閾値V0未満であることが第1の閾値処理手段62で判定された場合(ステップS5のNo)、第1の最終送信タイミング決定手段63によって、送信タイミング候補Siが最終送信タイミングとして決定される(ステップS14)。一方、ステップS5において、第1のトラフィック情報Tiが第1のトラフィック閾値V0以上であることが第1の閾値処理手段62で判定された場合(ステップS5のYes)、第1の最終送信タイミング決定手段63によって、送信タイミング候補Siが最終送信タイミングとして決定されず、この情報が、変更手段70に送信される。
【0048】
なお、ここで、変更手段70における送信タイミング候補Siの変更回数のカウンタnが0にリセットされる(ステップS6)。その後、変更手段70によって、送信タイミング候補Siが送信タイミング第2候補Sjに変更され、この送信タイミング第2候補Sjが、第2の最終送信タイミング決定手段83に送信される(ステップS7)。
【0049】
一方、第2のトラフィック生成手段81によって、送信元mが送信タイミングSj’の間に受信した他端末トラフィック情報と、パケット通信手段20で受信パケットが受信される受信タイミングSkに関する情報とで、行列Uj’k(m)が生成される(ステップS8)。また、第2のトラフィック生成手段81によって、行列Uj’k(m)に基づいて、周辺の移動体のうち、所属エリアがk、即ち、送信タイミングSk’の移動体が、送信タイミングSj’の間に受信した通信トラフィックの代表値である第2のトラフィック情報Tjk’が算出され、この第2のトラフィック情報Tjk’が、第2の閾値処理手段82に送信される(ステップS9)。
【0050】
そして、第2の閾値処理手段82によって、第2のトラフィック生成手段81で生成された第2のトラフィック情報Tjk’が、予め設定されたトラフィック閾値V0’を用いて算出された第2のトラフィック閾値Vi’j’k’以上であるか否かが判定される(ステップS10)。このステップS10において、全ての第2のトラフィック情報Tjk’が、第2のトラフィック閾値Vi’j’k’未満であることが第2の閾値処理手段82で判定された場合(ステップS10のNo)、第2の最終送信タイミング決定手段83によって、送信タイミング第2候補Sjが最終送信タイミングとして決定される(ステップS11)。
【0051】
一方、ステップS10において、少なくとも1つの第2のトラフィック情報Tjk’が、第2のトラフィック閾値Vi’j’k’以上であることが第2の閾値処理手段82で判定された場合(ステップS10のYes)、第2の最終送信タイミング決定手段83によって、送信タイミング第2候補Sjが最終送信タイミングとして決定されず、ステップS12に進む。
【0052】
ステップS12では、変更手段70における送信タイミング候補Siの変更回数のカウンタnが1加算される。そして、カウンタnが、予め設定されたN0以上であるか否かが判定される(ステップS13)。ステップS13において、nがN0以上であると判定された場合(ステップS13のYes)、ステップS14に進み、送信タイミング第2候補Sjに変更される前の送信タイミング候補Siが、最終送信タイミングとして決定される。一方、ステップS13において、nがN0未満であると判定された場合(ステップS13のNo)、ステップS7に戻り、再度、送信タイミング第2候補Sjが、変更手段70で変更される。なお、N0を1とすれば、送信タイミング第2候補Sjの再変更は実施されない。
【0053】
以上説明したように、通信装置1は移動体の位置とトラフィック情報とに基づいて、送信タイミングを制御するため、通信効率の良好な送信タイミングとすることができ、周辺に存在する複数の移動体におけるパケットの衝突を抑制することができる。これにより、移動する全ての移動体が受信対象とされた場合におけるパケットの受信確率を向上する。
【0054】
そして、本実施の形態1における通信装置1は、先ずは、位置情報に基づいた送信タイミングでパケットを送信しようとするものであり、これにより、隠れ端末によるパケットの衝突を回避している。本実施の形態1における通信装置1は、これに加え、更に、位置情報及びトラフィック情報に基づいて、送信タイミングが変更される。このため、周辺に存在する移動体の数が増加しても、移動体同士が、同じ送信タイミングで送信する確率が飛躍的に減少するため、送信されるパケットの衝突を抑止することができる。
【0055】
更に、変更手段70において、送信タイミング第2候補Sjは、算出された選択確率αに比例するようにランダムに選択され、一義的には選択されない。このため、周辺の移動体同士が、いずれも同じ送信タイミングに変更させることが抑制される。更に、本実施の形態1においては、隠れ端末によるパケットの衝突が発生し難いことを推測した上で、送信タイミングが変更される。このため、更に、送信されるパケットの衝突を回避することができる。
【0056】
また、実施の形態1に係る通信装置1は、例えば、移動体等に搭載される。そして、この通信装置1が搭載された移動体同士で、パケットの送受信が行われる通信システムが構成される。このように、実施の形態1に係る通信装置1を備えた複数の移動体を有する通信システムにおいては、前述の如く、移動体から送信されるパケットの衝突を回避することができるため、通信装置1が搭載された移動体が、周辺に存在するそのほかの移動体の存在を的確に把握することができる。このため、移動体同士の衝突が抑制される。