(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングには、複数の前記端子保持部に備わる前記保護部とそれぞれの保護部に一体に突設された仕切板とが組み合わされることにより、前記電線接続部を個別に収容可能な複数の端子収容室が形成されることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい形態を示す。
本発明の第2によれば、内側端子保持部の保持本体に保持されてハウジングの内側に配置される端子金具と、外側端子保持部の保持本体に保持されてハウジングの外側に配置される端子金具とを、前後方向に重ねて配置することができるため、コネクタの前後寸法が大きくなるのを回避することができる。
【0012】
前記ハウジングには、複数の前記端子保持部に備わる前記保護部とそれぞれの保護部に一体に突設された仕切板とが組み合わされることにより、前記電線接続部を個別に収容可能な複数の端子収容室が形成される。こうすると、保護部と仕切板とは別に、端子収容室を形成するための特別な構造が不要となるため、部品点数のいっそうの削減を図ることができる。
【0013】
<実施例>
実施例のコネクタ10を図面に基づいて説明する。
図8に示すように、コネクタ10は、相手コネクタ100に嵌合可能とされ、合成樹脂製のハウジング20と、複数の金属製の端子金具60とを備える。なお、以下の説明において、前後方向については、両コネクタ10、100の相互の嵌合面側(嵌合開始時に互いに向き合う面側)を前方とし、上下方向については、各図を基準とする。
【0014】
まず、相手コネクタ100の構造を説明する。
図8に示すように、相手コネクタ100は、合成樹脂製の相手ハウジング110と、複数の金属製の相手端子金具600とを備えている。相手ハウジング110は、前方に突出する円筒状のフード部111を有している。
【0015】
図8に示すように、フード部111は、前端部に位置する先方部112と、先方部112よりも厚肉に形成されて先方部112の後端にテーパ状の段差部分を介して連続する中間部113と、中間部113よりも厚肉に形成されて中間部113の後端にテーパ状の段差部分を介して連続する後方部114とを備える。後方部114の後端は、奥壁115で閉塞されている。
【0016】
先方部112の内周面には、第1相手端子金具600Aの円環状部分が内嵌又はインサートにより装着されている。先方部112の外周面には、第4相手端子金具600Dの円環状部分が外嵌又はインサートにより装着されている。また、後方部114の内周面には、第2相手端子金具600Bの円環状部分が内嵌又はインサートにより装着されている。そして、後方部114の外周面には、第3相手端子金具600Cの円環状部分が外嵌又はインサートにより装着されている。
【0017】
続いて、ハウジング20の構造を説明する。
図8及び
図9に示すように、ハウジング20は、複数の端子保持部20A、20B、20C、20Dを組み合わせて構成される。端子金具60は、端子保持部20A、20B、20C、20Dに保持される。複数の端子保持部20A、20B、20C、20Dは、ハウジング20の内側に位置する第1、第2内側端子保持部20A、20Bと、ハウジング20の外側に位置する第3、第4外側端子保持部20C、20Dとからなる。なお、以下の説明において、複数の端子保持部20A、20B、20C、20Dに共通する構造には、特に区別する必要がない限り、同一の名称及び符号を付す。
【0018】
図2に示すように、第1内側端子保持部20Aは、前後方向にほぼ沿って配置される棒状の第1保持本体21Aと、第1保持本体21Aの後端に交差して一体に連続し、上方に起立して配置される平板状の第1保護部22Aとを備えている。第1保護部22Aは、板面を前後方向に向けて直立する矩形板状の形態とされている。第1保護部22Aの左右両側縁の上端には、前方に突出する一対の第1ロック片23Aが設けられている。両第1ロック片23Aは、幅方向(左右方向)に撓み変形可能とされ、幅方向に貫通する第1ロック孔24Aを有している。
【0019】
第1保持本体21Aには、前後方向に延びて上端に開口する嵌合溝25が設けられている。第1保持本体21Aの前面には、嵌合溝25の前端開口の直下に、矩形ブロック状の突起26が突設されている。
【0020】
図8に示すように、第1保持本体21Aの外周面の後部には、第1端子金具60Aの第1環状部61A(後述する)が外嵌される円弧面状の第1装着面27が設けられている。第1環状部61Aが第1装着面27に外嵌されることにより、第1端子金具60Aが第1内側端子保持部20Aに保持される。
図2に示すように、第1保持本体21の外周面の後部には、第1装着面27の直後方に、周方向に円弧状に延びる突条28が設けられている。また、第1内側端子保持部20Aの外周面には、突条28よりも後方に間隔をあけて、周方向に円弧状に延びる後方突条29が設けられている。
【0021】
図8に示すように、第1保持本体21Aの外周面の前部には、第2端子金具60Bの第2環状部61B(後述する)が外嵌される円弧面状の第2装着面31が設けられている。第2環状部61Bが第2装着面31に外嵌されることにより、第2端子金具60Bが第1内側端子保持部20Aに保持される。第2装着面31は、第1装着面27よりも小径とされている。
図2に示すように、第1保持本体21Aの外周面の前部には、第1装着面27と第2装着面31との間に、第2装着面31に向けて一段落ちた段部32が設けられている。
【0022】
図2に示すように、第2内側端子保持部20Bは、前後方向にほぼ沿って配置される断面円弧状の第2保持本体21Bと、第2保持本体21Bの後端に交差して一体に連続し、上方に起立して配置される平板状の第2保護部22Bとを備えている。第2保護部22Bは、板面を前後方向に向けて直立する矩形板状の形態とされている。第2保護部22Bの後面における左右両側縁と幅方向中央部とには、上下方向(高さ方向)に延びる仕切板33が一体に突設されている。また、第2保護部22Bの前面の幅方向中央部にも、上下方向に延びる仕切板33が一体に突設されている。各仕切板33のうち、第2保持本体21Bの左右両側縁に位置する一対の仕切板33の外側上端部には、爪状の一対の第2ロック突起34Bが設けられている。
【0023】
図2に示すように、第2保持本体21Bの前端は、円板状の閉止壁35で閉塞されている。第2保持本体21Bの内周面には、第1環状部61A及び第2環状部61Bがそれぞれ内嵌される円弧面状の領域が設けられている。第2保持本体21Bの内周面の上端には、前後方向に延びる垂下板状の嵌合リブ36が設けられている。閉止壁35には、嵌合リブ36の前端直下に、矩形状の突起受孔37が開口して設けられている。
【0024】
図6に示すように、第3外側端子保持部20Cは、前後方向にほぼ沿って配置される断面円弧状(詳細には断面半円弧状)の第3保持本体21Cと、第3保持本体21Cの後端上縁に交差して一体に連続し、上方に起立して配置される平板状の第3保護部22Cとを備えている。第3保護部22Cは、板面を前後方向に向けて直立する矩形板状の形態とされている。第3保護部22Cの外端(組み合わせ時に第4外側端子保持部20Dから離れた端部)には、後方へ略直角に交差する仕切板33が一体に突設されている。仕切板33は、第3保護部22Cの外端に上下方向の全長に亘って連結され、第3保護部22Cとの間に断面L字形をなしている。
【0025】
図6に示すように、第3保持本体21Cの外周面の前後方向中間部には、周方向に間隔をあけて複数の円弧板状のフランジ部38が立設されている。また、第3保持本体21Cの外周面には、隣接するフランジ部38間の空間よりも前方に、一対の帯板状の弾性片39が設けられている。弾性片39は、外側後方へ湾曲して突出する片持ち状をなし、径方向に撓み変形可能とされている。
【0026】
第3保持本体21Cの前端には、周方向に延びる厚肉の円弧リブ41が設けられている。円弧リブ41の上下両端部は、周方向内側(組み合わせ時に第4外側端子保持部20Dの位置する側)に突出する一対の突片42に連続している。突片42には、一対の切欠状の第3係止部43が設けられている。また、第3保持本体21Cの後部上縁には、フランジ部38と第3保護部22Cとの間に、周方向内側に短く突出する第3ロック片23Cが設けられている。第3ロック片23Cは、径方向に撓み変形可能とされ、径方向に貫通する第3ロック孔24Cを有している。第3ロック片23C及び第3ロック孔24Cは、前後方向に細長く延びる形態とされている。
【0027】
図8に示すように、第3保持本体21Cの内周面の前後方向中間部には、周方向に延びる帯状部45が突設されている。第3保持本体21Cの内周面には、帯状部45よりも後方に、第4端子金具60Dの第4環状部61D(後述する)が内嵌される円弧面状の第4装着面46が設けられ、帯状部45よりも前方に、第3端子金具60Cの第3環状部61C(後述する)が内嵌される円弧面状の第3装着面47が設けられている。さらに、第3保持本体21Cの後端には、板状の止め部48が径方向内側に張り出すように設けられている。
【0028】
図6に示すように、第4外側端子保持部20Dは、前後方向にほぼ沿って配置される断面円弧状(詳細には断面半円弧状)の第4保持本体21Dと、第4保持本体21Dの後端上縁に交差して一体に連続し、上方に起立して配置される平板状の第4保護部22Dとを備えている。第4保護部22Dは、板面を前後方向に向けて直立する矩形板状の形態とされている。第4保護部22Dの外端(組み合わせ時に第3外側端子保持部20Cから離れた端部)には、後方へ略直角に交差する仕切板33が一体に突設されている。仕切板33は、第4保護部22Dの外端に上下方向の全長に亘って連結され、第4保護部22Dとの間に断面L字形をなしている。
【0029】
第4保持本体21Dの外周面の前後方向中間部には、周方向に間隔をあけて複数の円弧板状のフランジ部38が立設されている。また、第4保持本体21Dの外周面には、隣接するフランジ部38間の空間よりも前方に、一対の帯板状の弾性片39が設けられている。弾性片39は、外側後方へ湾曲して突出する片持ち状をなし、径方向に撓み変形可能とされている。
【0030】
第4保持本体21Dの前端には、周方向に延びる厚肉の円弧リブ41が設けられている。円弧リブ41の上下両端部には、一対の切欠状の第4係止部44が設けられている。また、第4保持本体21Dの後部上縁には、フランジ部38と第4保護部22Dとの間に、爪状の第4ロック突起34Dが設けられている。第4ロック突起34Dは、第4保持本体21Dの上縁に沿って前後方向に細長く延びる形態とされている。
【0031】
第4保持本体21Dの内周面の前後方向中間部には、周方向に延びる帯状部45が突設されている。第4保持本体21Dの内周面には、帯状部45よりも後方に、第4端子金具60Dの第4環状部61Dが内嵌される円弧面状の第4装着面46が設けられ、帯状部45よりも前方に、第3端子金具60Cの第3環状部61Cが内嵌される円弧面状の第3装着面47が設けられている。さらに、第4保持本体21Dの後端には、板状の止め部48が径方向内側に張り出すように設けられている。
【0032】
続いて、端子金具60の構造を説明する。端子金具60は、導電性の金属板を所定形状に打ち抜いた後、曲げ加工等して成形され、互いに独立した第1〜第4端子金具60A、60B、60C、60Dによって構成される。なお、以下の説明において、第1〜第4端子金具60A、60B、60C、60Dに共通する構造には、特に区別する必要がない限り、同一の名称及び符号を付す。
【0033】
図2に示すように、第1端子金具60Aは、全体としてL字形をなし、前後方向にほぼ沿って配置される第1端子本体62Aと、第1端子本体62Aの後端に屈曲して一体に連続し、上方に起立して配置される第1電線接続部63Aとを備えている。第1端子本体62Aは、前後方向にほぼ真っ直ぐ延びる細帯状の第1前後連結部64Aと、第1前後連結部64Aの前部から周方向に円弧状に回曲して延びる有端の第1環状部61Aとからなる。
【0034】
図2に示すように、第1環状部61Aは、前後方向に所定幅を有する湾曲帯状の形態とされている。第1環状部61Aには、U字状に開口する開口部65が周方向に間隔をあけて一対設けられ、各開口部65に内部接触片66が区画して設けられている。内部接触片66は、第1環状部61Aの前端部から後方へ延びて開口部65に臨む片持ち状の形態とされている。具体的には、内部接触片66は、外側後方へテーパ状に延びたあと内側に屈曲する細帯状の形態とされ、屈曲部位の外側に接点部68を有している。
【0035】
第1電線接続部63Aは、第1前後連結部64Aの後端に略直角に連なって立ち上がる第1屈曲連結部67Aと、第1屈曲連結部67Aの上部の左右両側縁から突出するバレル状の一対の圧着片69とからなる。両圧着片69は、電線Wの端末部に圧着により巻き付けられて、電線Wに電気的及び機械的に接続される。
【0036】
第2端子金具60Bは、全体としてL字形をなし、前後方向にほぼ沿って配置される第2端子本体62Bと、第2端子本体62Bの後端に屈曲して一体に連続し、上方に起立して配置される第2電線接続部63Bとを備えている。第2端子本体62Bは、前後方向にほぼ真っ直ぐ延びる細帯条の第2前後連結部64Bと、第2前後連結部64Bの前部から周方向に円弧状に回曲して延びる有端の第2環状部61Bとからなる。第2前後連結部64Bの前後長は、第1前後連結部64Aの前後長よりも長くされている。
【0037】
第2環状部61Bは、前後方向に所定幅を有する湾曲帯状をなし、径寸法が第1環状部61Aの径寸法よりも小さくされている。第2環状部61Bの回曲方向(正面視して反時計回り)は、第1環状部61Aの回曲方向(正面視して時計回り)とは逆向きである。第2環状部61Bには、U字状に開口する開口部65が周方向に間隔をあけて一対設けられ、各開口部65に内部接触片66が区画して設けられている。内部接触片66は、第1環状部61Aの内部接触片66と同様の形態とされている。
【0038】
第2電線接続部63Bは、第2前後連結部64Bの後端に略直角に連なって立ち上がる第2屈曲連結部67Bと、第2屈曲連結部67Bの上部の左右両側縁から突出するバレル状の一対の圧着片69とからなる。第2屈曲連結部67Bの上下長は、第1屈曲連結部67Aの上下長とほぼ同一とされている。第2電線接続部63Bは、その全体が第1電線接続部63Aと同様の形態とされている。
【0039】
図6に示すように、第3端子金具60Cは、全体としてL字形をなし、前後方向にほぼ沿って配置される第3端子本体62Cと、第3端子本体62Cの後端に屈曲して一体に連続し、上方に起立して配置される第3電線接続部63Cとを備えている。第3端子本体62Cは、前後方向にほぼ真っ直ぐ延びる細帯状の第3前後連結部64Cと、第3前後連結部64Cの前部から周方向に円弧状に回曲して延びる有端の第3環状部61Cとからなる。
【0040】
第3環状部61Cは、前後方向に所定幅を有する湾曲帯状をなし、径寸法が第1環状部61Aの径寸法よりも大きくされている。第3環状部61Cには、U字状に開口する開口部65が周方向に間隔をあけて4つ設けられ、各開口部65に外部接触片71が区画して設けられている。外部接触片71は、第3環状部61Cの前端部から後方へ延びて開口部65に臨む片持ち状の形態とされている。具体的には、外部接触片71は、内側後方へテーパ状に延びたあと外側に屈曲する細帯状の形態とされ、屈曲部位の内側に接点部68を有している。
【0041】
第3電線接続部63Cは、第3前後連結部64Cの後端に略直角に連なって立ち上がる第3屈曲連結部67Cと、第3屈曲連結部67Cの上部の左右両側縁から突出するバレル状の一対の圧着片69とからなる。第3電線接続部63Cは、第3屈曲連結部67Cの上下長が第1屈曲連結部67Aの上下長よりも短い点を除いて、第1電線接続部63Aと同様の形態とされている。
【0042】
第4端子金具60Dは、全体としてL字形をなし、前後方向にほぼ沿って配置される第4端子本体62Dと、第4端子本体62Dの後端に屈曲して一体に連続し、上方に起立して配置される第4電線接続部63Dとを備えている。第4端子本体62Dは、前後方向にほぼ真っ直ぐ延びる細帯状に第4前後連結部64Dと、第4前後連結部64Dから周方向に円弧状に回曲して延びる有端の第4環状部61Dとからなる、第4前後連結部64Dの前後長は、第3前後連結部64Cの前後長よりも短くされている。
【0043】
第4環状部61Dは、前後方向に所定幅を有する湾曲帯状をなし、径寸法が第3環状部61Cの径寸法よりも小さくされている。第4環状部61Dの回曲方向(正面視して反時計回り)は、第3環状部61Cの回曲方向(正面視して時計回り)とは逆向きである。第4環状部61Dには、U字状に開口する開口部65が周方向に間隔をあけて3つ設けられ、各開口部65に外部接触片71が区画して設けられている。外部接触片71は、第3環状部61Cの外部接触片71と同様の形態とされている。
【0044】
第4電線接続部63Dは、第4前後連結部64Dの後端に略直角に連なって立ち上がる第4屈曲連結部67Dと、第4屈曲連結部67Dの上部の左右両側縁から突出するバレル状の一対の圧着片69とからなる。第4屈曲連結部67Dの上下長は、第3屈曲連結部67Cの上下長とほぼ同一とされている。第4電線接続部63Dは、その全体が第3電線接続部63Cと同様の形態とされている。
【0045】
次に、コネクタ10の組み立て方法及びコネクタ10と相手コネクタ100との嵌合方法を説明する。
まず、第1〜第4電線接続部63A、63B、63C、63Dのそれぞれの圧着片69に電線Wを圧着により接続する。続いて、
図3に示すように、第1保持本体21Aの第1装着面27に第1環状部61Aを前方から嵌め込み、第1内側端子保持部20Aに第1端子金具60Aを保持させる。第1内側端子保持部20Aに第1端子金具60Aが保持されると、第1前後連結部64Aが第1保持本体21Aの外周面に沿って前後方向に配置されるとともに、第1屈曲連結部67Aが第1保護部22Aの前面に沿って上下方向に配置される。また、第1環状部61Aの後端が突条28に当て止めして配置される。
【0046】
次いで、
図4に示すように、第1保持本体21Aの第2装着面31に第2環状部61Bを前方から嵌め込み、第1内側端子保持部20Aに第2端子金具60Bを保持させる。第1内側端子保持部20Aに第2端子金具60Bが保持されると、第2前後連結部64Bが第1前後連結部64Aと幅方向に並んで第1保持本体21Aの外周面に沿って配置されるとともに、第2屈曲連結部67Bが第1屈曲連結部67Aと幅方向に並んで第1保護部22Aの前面に沿って配置される。また、第2環状部61Bの後端が段部32に当て止めして配置される。
【0047】
続いて、
図5に示すように、第1内側端子保持部20Aに前方から第2内側端子保持部20Bを被せるように組み付ける。第2保護部22Bの仕切板33が第1保護部22Aの前面に当接可能に配置され、両第1ロック片23Aの第1ロック孔24Aに両第2ロック突起34Bが弾性的に嵌り込むことにより、第1内側端子保持部20Aに第2内側端子保持部20Bが組み付け状態に保持される。また、第1保持本体21Aの嵌合溝25に嵌合リブ36が嵌合して入り込むとともに、突起受孔37に突起26が進入することにより、第2内側端子保持部20Bが第1内側端子保持部20Aに位置決め状態に保持される。さらに、第1、第2保護部22A、22Bと各仕切板33との間に、断面矩形で上下方向に延びる一対の端子収容室77が形成され、両端子収容室77にそれぞれ第1、第2電線接続部63A、63Bが収容される。第1、第2電線接続部63A、63Bは、後方から第1保護部22Aに覆われて保護されるとともに、前方から第2保護部22Bに覆われて保護される。
【0048】
第2内側端子保持部20Bが第1内側端子保持部20Aに組み付けられると、第2保持本体21Bに第1、第2前後連結部64A、64B及び第1、第2環状部61A、61Bが部分的に被覆される一方、第1、第2端子金具60A、60Bの各弾性片39が露出して配置される。
【0049】
また、第3保持本体21Cの第3装着面47に第3環状部61Cを側方から嵌め込み、第3外側端子保持部20Cに第3端子金具60Cを保持させる。第3外側端子保持部20Cに第3端子金具60Cが保持されると、第3前後連結部64Cが第3保持本体21Cの内周面に沿って前後方向に配置されるとともに、第3屈曲連結部67Cが第3保護部22Cの後面に沿って上下方向に配置される。また、第3環状部61Cの後端が帯状部45に当て止めして配置される。
【0050】
上記と前後して、第4保持本体21Dの第4装着面46に第4環状部61Dを側方から嵌め込み、第4外側端子保持部20Dに第4端子金具60Dを保持させる。第4外側端子保持部20Dに第4端子金具60Dが保持されると、第4前後連結部64Dが第4保持本体21Dの内周面に沿って前後方向に配置されるとともに、第4屈曲連結部67Dが第4保護部22Dの後面に沿って上下方向に配置される。
【0051】
続いて、第1、第2保持本体21A、21Bを内側に配置した状態で、第3、第4保持本体21C、21Dの内端同士を突き合わせるようにして、第3、第4外側端子保持部20C、20Dを幅方向両側から互いに組み付ける。すると、
図1に示すように、第3、第4係止部43、44が互いに噛み合うように係止され、且つ第3ロック片23Cの第3ロック孔24Cに第4ロック突起34Dが弾性的に嵌り込む。これにより、第3、第4外側端子保持部20C、20Dが第1、第2保持本体21A、21Bを内包した状態で組み付け状態に保持される。第3、第4外側端子保持部20C、20Dの組み付けに伴い、第1内側端子保持部20Aの突条28と後方突条29との間に、第3、第4外側端子保持部20C、20Dの止め部48が嵌合して挿入される(
図8を参照)。これにより、第1、第2内側端子保持部20A、20Bが第3、第4外側端子保持部20C、20Dに前後方向に位置決めして保持される。
【0052】
上記組み付けに伴い、第3保持本体21Cの第4装着面46に第4環状部61Dが内嵌して装着されるとともに、第4保持本体21Dの第3装着面47に第3環状部61Cが内嵌して装着される。そして、第1、第2保持本体21A、21Bと第3、第4保持本体21C、21Dとの間に、前方に開口する嵌合空間90(
図1を参照)が形成される。この嵌合空間90には、第1、第2端子金具60A、60Bの内部接触片66が突出して配置されるとともに、第3、第4端子金具60C、60Dの外部接触片71が突出して配置される。そして、第1環状部61Aと第4環状部61Dとが前後方向で互いに重なる位置に配置され、第2環状部61Bと第3環状部61Cとが前後方向で互いに重なる位置に配置される。具体的には、第1環状部61Aは第3環状部61Cの前後範囲に収まる範囲に配置され、第2環状部61Bは、第3環状部61Cの前後範囲に収まる範囲に配置される(
図8を参照)。
【0053】
また、上記組み付けに伴い、第2保護部22B、第3保護部22C、第4保護部22D及び各仕切板33との間に、断面矩形で上下方向に延びる一対の端子収容室77が形成され、両端子収容室77にそれぞれ第3、第4電線接続部63C、63Dが収容される。第3、第4電線接続部63C、63Dは、後方から第2保護部22Bに覆われて保護されるとともに、前方から第3、第4保護部22C、22Dに覆われて保護される。かくして、第1〜第4電線接続部63A、63B、63C、63Dが各端子収容室77に互いに絶縁された状態で収容される。そして、第1〜第4電線接続部63A、63B、63C、63Dに接続された各電線Wは、各端子収容室77の上端から前後方向と交差する上方へ引き出される。
【0054】
こうして製造されるコネクタ10は、
図8に示すように、板状の取付部2の取付孔3内に挿入される。コネクタ10が取付孔3内に正規挿入されると、各弾性片39が取付孔3を抜け出て取付部2の前面に弾性的に係止されるとともに、各フランジ部38が取付部2の後面に当接可能に配置される。これにより、コネクタ10が取付部2に抜け止めして取り付けられる。このとき、コネクタ10は取付孔3内に所定のクリアランスをもって挿入され、そのクリアランスの範囲で径方向に変位可能となっている。
【0055】
コネクタ10が取付部2に取り付けられた状態で、コネクタ10の嵌合空間90に相手コネクタ100のフード部111が嵌合して挿入される。フード部111が嵌合空間90に正規挿入されると、第1、第2相手端子金具600A、600Bの円環状部分の内周面がそれぞれ第1、第2端子金具60A、60Bの内部接触片66の接点部68に弾性的に接触するとともに、第3、第4相手端子金具600C、600Dの円環状部分の外周面がそれぞれ第3、第4端子金具60C、60Dの外部接触片71の接点部68に弾性的に接触する。かくして、第1〜第4相手端子金具600A、600B、600C、600Dが第1〜第4端子金具60A、60B、60C、60Dに電気的に接続される。
【0056】
上記の場合において、仮に、相手コネクタ100とコネクタ10との嵌合軸が径方向にずれていても、コネクタ10が取付孔3内のクリアランスの範囲で径方向に変位することにより、嵌合軸のずれが適正に補正される。また、第1〜第4相手端子金具600A、600B、600C、600Dの円環状部分が第1〜第4端子金具60A、60B、60C、60Dの各接点部68に接続されるため、両コネクタ10、100の嵌合時に嵌合軸回りの方向性を区別する必要がない。したがって、本実施例によれば、両コネクタ10、100を嵌合させる際の嵌合自由度が高められる。
【0057】
以上説明したように、本実施例によれば、第1〜第4電線接続部63A、63B、63C、63Dがそれぞれ第1〜第4端子本体62Dの後端に屈曲して一体に連続する形態とされ、第1〜第4電線接続部63A、63B、63C、63Dから延びる電線Wが前後方向と交差する上方に引き出されるため、コネクタ10の後方スペースを有効に活用することができる。また、第1〜第4保護部22A、22B、22C、22Dがそれぞれ第1〜第4保持本体21A、21B、21C、21Dの後端に交差して一体に連続する形態とされるため、部品点数が増加するのを防止することができる。
【0058】
また、ハウジング20が第1、第2内側端子保持部20A、20Bと第3、第4外側端子保持部20C、20Dとを組み合わせることで形成され、第1、第2内側端子保持部20A、20Bに第1、第2端子金具60A、60Bが保持され、且つ第3、第4外側端子保持部20C、20Dに第3、第4端子金具60C、60Dが保持されることにより、第1環状部61Aと第4環状部61Dとが前後方向で互いに重なる位置に配置され、且つ第2環状部61Bと第3環状部61Cとが前後方向で互いに重なる位置に配置されるため、コネクタ10の前後寸法が大きくなるのを回避することができる。
【0059】
さらに、第1〜第4保護部22A、22B、22C、22Dとこれらと一体に突設された各仕切板33とが組み合わされることにより、第1〜第4電線接続部63A、63B、63C、63Dを個別に収容可能な複数の端子収容室77が形成されるため、第1〜第4保護部22A、22B、22C、22Dと仕切板33とは別に、端子収容室77を形成するための特別な構造が不要となり、全体の構成を簡素化することができ、部品点数のさらなる削減を図ることができる。
【0060】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した上記実施例に限定されるものではなく、例えば次のような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例の場合、コネクタに、端子保持部及び端子金具がそれぞれ4つ設けられていたが、端子保持部及び端子金具の個数は任意である。例えば、単一の端子保持部(例えば、上記実施例の第1内側端子保持部)と、その端子保持部に保持された端子金具を覆う部材(例えば、専用のカバー部材)とによってハウジングが構成されるものであってもよい。
(2)第1〜第4環状部は、全周に亘って連続する円環状の形態とされるものであってもよい。
(3)電線は、電線接続部に半田付け又は溶接により接続されるものであってもよい。
(4)電線接続部から引き出された電線は、上方に限らず、左右方向のいずれかの方向又は下方に配線されるものであってもよい。
(5)電線接続部は、端子本体の後端に対して直交せずに前後方向と交差する斜め方向に連続する形態とされるものであってもよい。
(6)保護部は、保持本体の後端に対して直交せずに前後方向と交差する斜め方向に連続する形態とされるものであってもよい。