(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2画質保障処理は、検知された前記第2基準画像の濃度に基づいて前記残量を推定して推定結果を報知する推定報知処理である請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
前記第2画質保障処理は、検知された前記第2基準画像の濃度に基づいて前記残量を推定して推定結果を報知する推定報知処理と、検知された前記第2基準画像の濃度に基づいて前記画像形成手段によって形成される画像の画質を調整する画質調整処理とを含む処理である請求項5に記載の画像形成装置。
前記被画像形成面に形成された画像が被転写材に転写されるように転写電圧が印加される被印加部を前記第2基準画像が通過する場合、前記転写電圧の極性とは逆の極性の電圧が前記被印加部に印加される請求項1から請求項7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の説明では、一例として
図1に示す画像形成装置10において、トナーとこのトナーを静電潜像に付着させるべく静電気力を利用して搬送する役割を担うキャリアとが混合された二成分現像剤により静電潜像が現像される場合を例に挙げて説明する。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、二成分現像剤以外の電子写真用現像剤により静電潜像を現像する電子写真方式の画像形成装置であれば如何なる画像形成装置に対しても適用される。なお、本実施形態では、所謂タンデム型の中間転写方式の画像形成装置10を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ロータリー現像方式の画像形成装置であってもよく、後述の画質保障処理(
図7参照)が実行される画像形成装置であればよい。
【0026】
一例として
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30(本発明に係る画像形成手段の一例)、用紙供給部40、用紙排出部50、及び光学式センサ60を備えている
【0027】
画像形成装置10は、複数の搬送ロール46を有している。複数の搬送ロール46は、用紙搬送路12に沿って配置されている。複数の搬送ロール46は、モータを含む駆動源(図示省略)から駆動力を受けて回転することで、画像形成動作に応じて用紙Pを矢印A方向に搬送する。
【0028】
画像形成部30は、電子写真方式により用紙P上に画像を形成する。画像形成部30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び黒(K)の4色のトナーを使用する4色カラーモード、及びK色のトナーを使用する白黒モード等の種々のモードに応じて、Y,M,C,Kの4色のトナーを選択的に用いて画像形成を行う。
【0029】
画像形成部30は、画像形成ユニット32Y、画像形成ユニット32M、画像形成ユニット32C、及び画像形成ユニット32K(以下では、これらを区別して説明する必要がない場合、「画像形成ユニット32」と称する)を含む。また、画像形成部30は、中間転写ベルト36(本発明に係る被転写材の一例)、一次転写ロール130、二次転写ロール38(本発明に係る被印加部の一例)、及び定着装置39を含む。
【0030】
画像形成ユニット32Yは、Y色のトナー像を形成する。画像形成ユニット32Mは、M色のトナー像を形成する。画像形成ユニット32Cは、C色のトナー像を形成する。画像形成ユニット32Kは、K色のトナー像を形成する。
【0031】
画像形成ユニット32は、感光体ドラム100、帯電器102、露光器104、現像器106、及びクリーナ108を備えている。
【0032】
感光体ドラム100は、外周面が用紙Pに面するように配置されており、駆動源(図示省略)から駆動力を受けて予め定められた方向(
図1に示す円弧矢印方向)に予め定められた速度で回転する。
【0033】
帯電器102は、感光体ドラム100の外周面に配置されている。帯電器102は、感光体ドラム30の外周面を全域にわたって画像形成用電位(例えば、−900V)に帯電させる。
【0034】
感光体ドラム100の回転方向の帯電器102よりも下流側には露光器104が配置されている。露光器104は、感光体ドラム100の外周面が帯電器102によって帯電された状態で、感光体ドラム100における帯電された領域を露光する。露光器104は、入力された画像情報に基づく光ビームを走査しながら照射する。露光器104により光ビームが照射された領域の電位は低下し、感光体ドラム100に静電潜像が形成される。
【0035】
感光体ドラム100の回転方向の露光器104よりも下流側には現像器106が配置されている。現像器106は、
図1に示す円弧矢印方向に回転中の感光体ドラム100に形成された静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する。
【0036】
一例として
図2に示すように、現像器106は、二成分現像剤が貯留された現像剤ハウジング111を備えている。現像剤ハウジング111の内部には、現像ロール112が設けられている。現像ロール112は、感光体ドラム100の外周面に近接するように軸線の周りに回転可能に現像剤ハウジング111に取り付けられている。また、現像剤ハウジング111の内部には、現像剤搬送ロール114が設けられている。現像剤搬送ロール114は、現像ロール112に隣接するように配置され、現像剤ハウジング111内の二成分現像剤を搬送すると共に二成分現像剤に含まれるトナーを現像ロール112に搬送する。
【0037】
現像剤ハウジング111では、攪拌パドル116及び攪拌スクリュー118が駆動源(図示省略)からの駆動力を受けて回転することで現像剤ハウジング111に貯留されている二成分現像剤が攪拌されてトナーがキャリアに静電吸着する。このようにしてトナーが付着されたキャリアは、磁性を有する現像剤搬送ロール114に磁力で吸着されて現像ロール112へ搬送され、マグネットロールである現像ロール112に磁力で吸着される。現像ロール112は、現像ロール電圧の印加を受けることで、現像ロール112上のトナーを感光体ドラム100に転移する。つまり、現像ロール112の外周面に付着しているトナーが現像ロール112から感光体ドラム100における光ビームが照射された領域(感光体ドラム100の静電潜像)に転移し、これによって静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
【0038】
現像剤ハウジング111の上方には、トナー補給装置120が備えられている。トナー補給装置120は、トナーを収容するトナーカートリッジ122(本発明に係る貯留手段の一例)と、トナーカートリッジ122の内部と現像剤ハウジング111の内部とを繋ぐ補給流路124と、を備えている。トナーカートリッジ122の内部には、トナーを搬送する搬送スクリュー126が設けられている。搬送スクリュー126は、駆動源(図示省略)の駆動力を受けて回転する。従って、トナーカートリッジ122に収容されたトナーは、搬送スクリュー126が回転することで、補給流路124を通って現像剤ハウジング111の内部に補給される。なお、本実施形態では、現像剤ハウジング111の内部に補給されるトナーの補給量は、搬送スクリュー126の回転時間により調整される。なお、本実施形態では、現像剤ハウジング111の内部にキャリアは補給されず、トナーのみが補給される構成を採用している。
【0039】
一方、
図1において、中間転写ベルト36は、駆動ロール34A及び従動ロール34B,34C,34D(以下では、これらを区別して説明する必要がない場合、「複数のロール34」と称する)に巻き掛けられている。中間転写ベルト36は、駆動ロール34Aが駆動源(図示省略)から駆動力を受けて回転することで、予め定めた速度で矢印B方向に移動する。
【0040】
一次転写ロール130は、感光体ドラム100の回転方向の現像器106よりも下流側に配置されており、駆動源(図示省略)の駆動力を受けて回転する。一次転写ロール130は、中間転写ベルト36を介して感光体ドラム100に隣接して配置されている。一次転写ロール130には一次転写用電圧が印加され、これにより、感光体ドラム100の外周面に形成されたトナー像が中間転写ベルト36に転写(一次転写)される。
【0041】
クリーナ108は、感光体ドラム100の回転方向における一次転写ロール130よりも下流側に配置されており、感光体ドラム100上の残留トナーや紙粉等を除去する。
【0042】
二次転写ロール38は、中間転写ベルト36及び用紙搬送路12を介して従動ロール34Bに隣接して配置されている。二次転写ロール38には二次転写用電圧が印加され、これにより、中間転写ベルト36上のトナー像が用紙Pに転写(二次転写)される。また、従動ロール34Bは、駆動機構37によって支持されており、駆動機構37の駆動力を受けて用紙接触位置と用紙非接触位置とに選択的に変位する。なお、ここで、用紙接触位置とは、被画像形成面36Aを用紙搬送路12上の用紙Pに接触させる位置を指し、用紙非接触位置とは、被画像形成面36Aを用紙搬送路12上の用紙Pに接触させない位置を指す。
【0043】
中間転写ベルト36の移動方向における二次転写ロール38よりも下流側にはトナークリーナ35が配置されており、トナークリーナ35は、二次転写後の中間転写ベルト36上の残留トナーや後述の画質保障用パッチ131(
図3参照)を除去する。
【0044】
定着装置39は、加圧ロール39Aと加熱ロール39Bとを有しており、加圧ロール39Aと加熱ロール39Bとが用紙搬送路12を介して対向配置されている。定着装置39に搬送された用紙Pは、加圧ロール39Aと加熱ロール39Bとによって挟み込まれて搬送されることにより用紙P上のトナー像は溶融すると共に用紙Pに圧着されて用紙Pに定着する。
【0045】
用紙供給部40は、複数の用紙収容部42及び用紙供給機構43を備えている。用紙収容部42の各々は用紙Pの種類やサイズに応じて設けられており、用紙Pを収容する。用紙供給機構43は、取出ロール44及び一部の搬送ロール46を含む。取出ロール44は、用紙収容部42から用紙Pを取り出す。搬送ロール46は、取出ロール44によって用紙収容部42から取り出された用紙Pを画像形成部30に供給する。
【0046】
用紙排出部50は、排出機構53及び用紙受け54を備えている。排出機構53は、一部の搬送ロール46を含む。排出機構53は、定着装置39から排出された用紙Pを搬送ロール46を介して用紙受け54に排出する。
【0047】
光学式センサ60は、中間転写ベルト36の移動方向(矢印B方向)における画像形成ユニット32よりも下流側で、中間転写ベルト36の被画像形成面36A(例えば、画像形成ユニット32によってトナー像が転写される面)と対向するように配置されている。光学式センサ60は、トナー像が転写されていない被画像形成面36A及び被画像形成面36Aに転写された画質保障用パッチ131(
図3参照)からの反射光の光量を測定する。ここで、画質保障用パッチ131とは、例えば、Y,M,C,Kの各色のトナー像が中間転写ベルト36の移動方向に沿って色毎に配列されたトナー像の集合体を指す。
【0048】
一例として
図3に示すように、光学式センサ60は、LED照射部60A、第1フォトダイオード60B、及び第2フォトダイオード60Cを含む。LED照射部60Aは、被画像形成面36Aに対して、通電された電流の大きさに応じた光量の光を照射する。第1フォトダイオード60Bは、被画像形成面36Aに転写された画質保障用パッチ131のKの領域及び被画像形成面36Aの各々に対してLED照射部60Aにより光が照射された際の正反射光を受光して正反射光の光量を測定する。第2フォトダイオード60Cは、被画像形成面36Aに転写された画質保障用パッチ131のY,M,Cの各領域に対してLED照射部60Aにより光が照射された際の拡散反射光を受光して拡散反射光の光量を測定する。
【0049】
画質保障用パッチ131は、本発明に係る第1基準画像の一例である第1画質保障用パッチ132(
図4参照)と、本発明に係る第2基準画像の一例である第2画質保障用パッチ134(
図5参照)とに大別される。第1基準画像は、1色につき多階調の画像を含む画像であり、第2基準画像は、1色につき一階調の画像からなり、他の階調の画像は含まない。一例として
図4に示すように、第1画質保障用パッチ132は、電位制御用パッチ132A、トナー残量推定用パッチ132B、及び階調制御用パッチ132Cを含み、後述の第1画質保障処理が実行されることにより形成される。電位制御用パッチ132A及びトナー残量推定用パッチ132Bの各々は、Y,M,C,Kの各色につき一階調のトナー像を有するパッチである。階調制御用パッチ132Cは、Y,M,C,Kの各色につき多階調(本実施形態では一例として4階調)のトナー像を有するパッチである。なお、
図4に示す例では、階調制御用パッチ132Cは、画像密度(一般的に「像密度」とも称される)が異なる4つのトナー像として、低濃度トナー像132C
1、中低濃度トナー像132C
2、中高濃度トナー像132C
3、及び高濃度トナー像132C
4を有している。なお、画像密度とは、形成対象とされる画像におけるドット(トナーが付与される画素)の密度を指し、本実施形態では、例えば、後述する画像形成要求情報に含まれる画像情報により示される画像におけるドットの密度(画像情報に応じて定まるドットの密度)を指す。
【0050】
一例として
図4に示すように、被画像形成面36Aの幅方向の中央部には中間転写ベルト36の周回方向(
図4の破線矢印方向)に沿って複数の矩形領域36Bが形成されており、第1画質保障用パッチ132は矩形領域36Bの位置に合わせて形成される。具体的には、電位制御用パッチ132A及びトナー残量推定用パッチ132Bの場合、Y,M,C,Kの色毎に1つの矩形領域36Bにトナー像が形成される。また、階調制御用パッチ132Cの場合、Y,M,C,Kの各色の階調毎に1つの矩形領域36Bにトナー像が形成される。
【0051】
なお、
図4に示す例では、電位制御用パッチ132Aとトナー残量推定用パッチ132Bとが中間転写ベルト36の周回方向に沿って予め定められた間隔(矩形領域36Bの6個分の間隔)をあけて形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電位制御用パッチ132Aとトナー残量推定用パッチ132Bとが間隔をあけずに形成されるようにしてもよい。また、階調制御用パッチ132Cは、各色のトナー像が間隔をあけて形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各色のトナー像が間隔をあけずに形成されるようにしてもよい。
【0052】
一例として
図4に示すように、光学式センサ60による光量の測定は、中間転写ベルト36の3周(
図4に示す例では、1周目の第1測定範囲、2周目の第2測定範囲、及び3周目の3測定期間)にわたって行われる。第1測定範囲では、被画像形成面36Aからの反射光の光量が光学式センサ60によって測定される。第2測定範囲では、電位制御用パッチ132A及びトナー残量推定用パッチ132Bが中間転写ベルト36の周回方向に沿って予め定められた間隔で被画像形成面36Aに形成される。そして、電位制御用パッチ132A及びトナー残量推定用パッチ132Bからの反射光の光量が光学式センサ60によって順に測定される。第3測定範囲では、階調制御用パッチ132Cが被画像形成面36Aに形成され、階調制御用パッチ132Cからの反射光の光量が光学式センサ60によって測定される。
【0053】
一例として
図5に示すように、第2画質保障用パッチ134は、トナー残量推定用パッチ132Bに相当するパッチであり、後述の第2画質保障処理が実行されることにより形成される。
【0054】
一例として
図6に示すように、画像形成装置10は、コントローラ140を備えている。コントローラ140は、CPU(Central Processing Unit)142、一次記憶部144、及び二次記憶部146を備えている。一次記憶部144は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(例えば、RAM(Random Access Memory))である。二次記憶部146は、画像形成装置10の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する不揮発性のメモリ(例えば、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)など)である。CPU142、一次記憶部144、及び二次記憶部146は、バス148を介して相互に接続されている。
【0055】
二次記憶部146は、画像形成プログラム150を記憶している。CPU142は、二次記憶部146から画像形成プログラム150を読み出して一次記憶部144に展開し、画像形成プログラム150を実行する。CPU142は、画像形成プログラム150を実行することで、本発明に係る制御手段として動作する。
【0056】
なお、ここでは、画像形成プログラム150を二次記憶部146から読み出す場合を例示したが、最初から二次記憶部146に記憶させておく必要はない。例えば、画像形成装置10に接続されて使用されるSSD(Solid State Drive)、ICカード、光磁気ディスク、CD−ROMなどの任意の可搬型の記憶媒体に先ずは画像形成プログラム150を記憶させておいてもよい。そして、CPU142がこれらの可搬型の記憶媒体から画像形成プログラム150を取得して実行するようにしてもよい。また、通信回線を介して画像形成装置10に接続されるコンピュータ又はサーバ装置等の外部電子計算機の記憶部に画像形成プログラム150を記憶させておいてもよい。この場合、CPU142は外部電子計算機から画像形成プログラム150を取得して実行する。
【0057】
画像形成装置10は、CPU142と各種の入出力デバイスとを電気的に接続してCPU142と各種の入出力デバイスとの間の各種情報の送受信を司るインプット・アウトプット・インターフェース(I/O)152を備えている。画像形成装置10は、I/O152に接続されることで、バス148を介してCPU142と電気的に接続される入出力デバイスとして、受付部154、表示部156、外部インタフェース(I/F)158、及び通信I/F160を備えている。また、画像形成装置10は、入出力デバイスとして、画像形成部30、用紙供給部40、用紙排出部50、及び光学式センサ60を備えている。
【0058】
受付部154は、例えば、画像形成装置10の利用者や画像形成装置10の保守・点検を行う業者による操作入力を受け付ける。受付部154の一例としては、ディスプレイに重ねて用いられる透過型のタッチパネル、主電源投入用の操作ボタン、各種情報の設定用の操作ボタン、及びスクロールキーなどの入力デバイスが挙げられる。
【0059】
表示部156(本発明に係る報知手段の一例)は、各種情報を表示する。表示部156の一例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。なお、画像形成装置10では、表示部156としての液晶ディプレイに対して受付部154の一部であるタッチパネルを重ね合わせることによって形成されたタッチパネル・ディスプレイを採用している。
【0060】
外部I/F158は、外部装置(例えば、USBメモリ)に接続され、外部装置とCPU142との間の各種情報の送受信を司る。
【0061】
通信I/F160は、例えば、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの通信網に接続されており、通信網に接続された外部装置162(一例としてパーソナル・コンピュータ)との間の各種情報の送受信を司る。
【0062】
なお、本実施形態において、通信I/F160は、外部装置162から画像形成要求情報を受信する。画像形成要求情報は、用紙Pに形成すべき画像(本発明に係る指示画像の一例)を示す画像情報と画像の形成に供する各種指示を示す指示情報とを含む。なお、本発明に係る指示画像は、画像形成装置10が外部装置162から受け付ける画像であり、かつ画像形成装置10により出力される媒体(用紙P等)上に形成される画像である。画像形成要求情報は、外部装置162からジョブ(例えば、1回の実行指示に応じて実行される処理の単位)毎に画像形成装置10に送信される。なお、本発明に係る実行指示とは、指示画像の形成を要求する指示である。CPU142は、通信I/F160を介して画像形成要求情報を取得し、取得した画像形成要求情報を一次記憶部144に記憶する。そして、予め定められたタイミングで一次記憶部144から画像形成要求情報を取得し、取得した画像形成要求情報に基づいて画像形成部30、用紙供給部40、及び用紙排出部50を制御する。
【0063】
次に本実施形態の作用として、画像形成装置10の主電源がオンされた場合にCPU142が画像形成プログラム150を実行することにより画像形成装置10で行われる画像形成処理について、
図7を参照して説明する。
【0064】
なお、以下では、説明の便宜上、画像形成装置10がエンプティ、ニアエンプティ(本発明に係る第2範囲の一例)、及びプレニアエンプティの各々を報知する場合について説明する。
【0065】
エンプティとは、例えば、トナーカートリッジ122内のトナーが無くなった状態を指す。ニアエンプティとは、例えば、トナーカートリッジ122内にトナーは残っているものの、トナーカートリッジ122内のトナーの残量が第1基準値未満の状態を指す。ここで、第1基準値とは、例えば、トナーカートリッジ122内におけるトナーの満充填状態を100%とした場合の1%を指す。プレニアエンプティとは、例えば、トナーカートリッジ122内のトナーの残量が第1基準値以上かつ第2基準値(>第1基準値)未満の状態を指す。ここで、第2基準値とは、例えば、トナーカートリッジ122内におけるトナーの満充填状態を100%とした場合の30%を指す。
【0066】
プレニアエンプティであるか否かは、CPU142により、例えば、トナーカートリッジ使用開始からの累積トナー消費量と画像が形成された用紙Pの枚数(以下、「画像形成枚数」という)とに基づいて判断される。ニアエンプティであるか否かは、CPU142により、後述の第1画質保障処理及び第2画質保障処理で判断される。エンプティであるか否かは、CPU142により、例えば、ニアエンプティからの累積トナー消費量と画像形成枚数とに基づいて判断される。
【0067】
また、エンプティ、ニアエンプティ、及びプレニアエンプティの各々の報知は、例えば、表示部156による可視表示により実現されるが、これに限らず、音声再生装置(図示省略)による可聴表示、又は可視表示及び可聴表示の組み合わせによって実現されてもよい。また、可聴表示の手段は音声再生装置に限定されるものではなく、ブザー(図示省略)であってもよい。この場合、エンプティ、ニアエンプティ、及びプレニアエンプティの各々に応じて定められた鳴動パターンでブザーを鳴動させればよい。
【0068】
また、以下では、説明の便宜上、画像形成枚数がカウンタ(図示省略)によってジョブ単位で(1つのジョブ毎に)カウントされることを前提として説明する。なお、カウンタのカウント値は、後述の第1画質保障処理(ステップ200参照)及び後述の第2画質保障処理(ステップ222参照)の各々が実行されるとリセットされる。
【0069】
図7に示す画像形成処理では、先ず、ステップ200で、CPU142は、第1画質保障処理を実行し、その後、ステップ202へ移行する。第1画質保障処理は、トナーが満充填状態からエンプティまでの間に予め定められた条件を満たした場合(例えば、後述のステップ214において判定が否定された場合)に実行される。
【0070】
第1画質保障処理とは、第1基準画像(本実施形態では第1画質保障用パッチ132)を用いて画像形成装置10で用いられるパラメータを設定する処理を指す。本実施形態では、第1画質保障処理は、第1パッチ形成処理、第1パッチ濃度検知処理、電位制御値設定処理、TC(トナーコンセントレーション)制御値設定処理、推定報知処理、及び階調制御値設定処理を含む。
【0071】
第1パッチ形成処理とは、一例として
図4に示すように、画像形成部30に対して第1画質保障用パッチ132を被画像形成面36Aに形成させる処理を指す。なお、第1パッチ形成処理では、被画像形成面36Aに形成された第1画質保障用パッチ132が二次転写ロール38を通過する場合、従動ロール34Bを用紙非接触位置に退避させないように画像形成部30が制御される。加えて、二次転写用電圧の極性とは逆の極性の電圧が二次転写ロール38に対して印加されるように画像形成部30が制御される。
【0072】
第1パッチ濃度検知処理は、光量測定処理及び濃度算出処理を含む。光量測定処理とは、光学式センサ60に対して、被画像形成面36A、電位制御用パッチ132A、トナー残量推定用パッチ132B、及び階調制御用パッチ132Cの各々からの反射光の光量を測定させる処理を指す。光学式センサ60による測定結果は、一次記憶部144に記憶される。濃度算出処理とは、光量測定処理が行われることで光学式センサ60によって各々測定された素面反射光量とパッチ反射光量とに基づいて第1画質保障用パッチ132の濃度を算出する処理を指す。ここで、素面反射光量とは、被画像形成面36Aからの反射光の光量を指し、パッチ反射光量とは、第1画質保障用パッチ132からの反射光の光量を指す。パッチ反射光量は、電位制御用反射光量、トナー残量推定用反射光量、及び階調制御用反射光量に大別される。電位制御用反射光量とは、電位制御用パッチ132Aからの反射光の光量を指す。トナー残量推定用反射光量とは、トナー残量推定用パッチ132Bからの反射光の光量を指す。階調制御用反射光量とは、階調制御用パッチ132Cからの反射光の光量を指す。
【0073】
第1画質保障用パッチ132の濃度とは、素面反射光量とパッチ反射光量とを比較した比較結果を指す。本実施形態では、第1画質保障用パッチ132の濃度の一例として、素面反射光量に対するパッチ反射光量の割合を採用している。すなわち、電位制御用パッチ132Aの濃度は、素面反射光量に対する電位制御用反射光量の割合である。また、トナー残量推定用パッチ132Bの濃度は、素面反射光量に対するトナー残量推定用反射光量の割合である。また、階調制御用パッチ132Cの濃度は、素面反射光量に対する階調制御用反射光量の割合である。なお、電位制御用パッチ132A及びトナー残量推定用パッチ132Bの各々の濃度は、Y,M,C,Kの色毎に算出され、階調制御用パッチ132Cの濃度は、Y,M,C,Kの色毎かつ階調毎に算出されることは言うまでもない。
【0074】
電位制御値設定処理とは、例えば、感光体ドラム100の外周面の電位が調整されるように画像形成部30に対する印加電圧を制御する際に使用される制御値(以下、「電位制御値」という)を設定する処理を指す。ここで、画像形成部30に対する印加電圧とは、例えば、帯電器102、露光器104、及び現像器106の各々に対する印加電圧(本発明に係る画像の形成に寄与する電圧の一例)を指す。電位制御値は、濃度算出処理によって算出された電位制御用パッチ132Aの濃度と電位制御用目標濃度との差に応じて一意に定まる値であり、テーブル又は演算式によって導出される。電位制御用目標濃度は、種々の条件(例えば、特定の時点から現時点までの累積画像形成枚数、温度、及び湿度等)毎に定められた固定値であってもよいし、受付部154で受け付けられた指示に応じてカスタマイズされる可変値であってもよい。
【0075】
TC制御値設定処理とは、例えば、所謂TC制御(例えば、現像器106内のトナー量を調整するために行われるトナー補給装置120の制御)の際に使用される制御値(以下、「TC制御値」という)を設定する処理を指す。TC制御値は、濃度算出処理によって算出されたトナー残量推定用パッチ132Bの濃度とTC制御用目標濃度との差に応じて一意に定まる値であり、テーブル又は演算式によって導出される。TC制御用目標濃度は、種々の条件毎に定められた固定値であってもよいし、受付部154で受け付けられた指示に応じてカスタマイズされる可変値であってもよい。
【0076】
推定報知処理は、残量推定処理と報知処理とを含む。残量推定処理とは、例えば、濃度算出処理によって算出されたトナー残量推定用パッチ132Bの濃度からニアエンプティか否かを判断する処理を指す。ニアエンプティか否かの判断は、例えば、トナー残量推定用パッチ132Bの濃度が予め定められた濃度未満か否かを判断することによって行われる。報知処理とは、例えば、残量推定処理によってニアエンプティであると判断された場合に、表示部156に対してニアエンプティを示す情報(本発明に係る推定結果の一例)を表示させることによりニアエンプティであることの報知を行わせる処理を指す。ニアエンプティを示す情報の一例としては、ニアエンプティの態様が表現された画像が挙げられる。なお、本実施形態では、本発明に係る第2範囲の一例であるニアエンプティであることの報知を行うタイミングの一例として、ニアエンプティに入った時点を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ニアエンプティから外れた時点でのみ報知を行うようにしてもよいし、又はニアエンプティの間継続して報知を行うようにしてもよい。
【0077】
階調制御値設定処理とは、例えば、画像形成要求情報に含まれる画像情報の入力階調値C
inと出力階調値C
outとの関係(入出力階調値関係)を制御する際に使用される制御値(以下、「階調制御値」という)を設定する処理を指す。入出力階調値関係は、入力階調値C
inと出力階調値C
outとが対応付けられた入出力階調値テーブルによって規定されている。入出力階調値テーブルは、一例として
図8に示すように、低濃度、中低濃度、中低濃度、及び高濃度の各々についての入力階調値C
inと出力階調値C
outとが規定されている。ここで、低濃度とは、低濃度トナー像132C
1の濃度を指し、中低濃度とは、中低濃度トナー像132C
2の濃度を指し、中高濃度とは、中高濃度トナー像132C
3の濃度を指し、高濃度とは、高濃度トナー像132C
4の濃度を指す。
【0078】
階調制御値は、濃度算出処理によって算出された階調制御用パッチ132Cの濃度と階調制御用目標濃度との差に応じて一意に定まる値であり、テーブル又は演算式によって導出される。階調制御用目標濃度は、種々の条件毎に定められた固定値であってもよいし、受付部154で受け付けられた指示に応じてカスタマイズされる可変値であってもよい。
【0079】
なお、第1パッチ形成処理では、電位制御用パッチ132Aが、現時点で最新の電位制御値、現時点のTC制御状態、及びデフォルトの入出力階調値テーブルに従って形成される。ここで、デフォルトの入出力階調値テーブルとは、例えば、入力階調値C
inに対する出力階調値C
outのゲインが“1”を示す入出力階調値テーブルを指す。また、トナー残量推定用パッチ132Bは、現時点のTC制御状態、デフォルトの電位制御値、及びデフォルトの入出力階調値テーブルに従って形成される。階調制御用パッチ132Cは、現時点で最新の階調制御値に応じて調整された入出力階調値テーブル、現時点のTC制御状態、及び現時点で最新の電位制御値に基づいて形成される。
【0080】
ステップ202で、CPU142は、一次記憶部144に画像形成要求情報が記憶されているか否かを判定する。ステップ202において、一次記憶部144に画像形成要求情報が記憶されていない場合は、判定が否定されて、ステップ202の判定を再び行う。ステップ202において、一次記憶部144に画像形成要求情報が記憶されている場合は、判定が肯定されて、ステップ204へ移行する。
【0081】
ステップ204で、CPU142は、一次記憶部144から1つのジョブについての画像形成要求情報を取得し、取得した画像形成要求情報に基づいて用紙Pに対して画像の形成が開始されるように画像形成部30、用紙供給部40、及び用紙排出部50を制御する。これに応じて、画像形成部30では、画像形成要求情報、電位制御値、TC制御値、及び入出力階調値テーブルに基づく電子写真方式による画像形成が実行され、トナー像が被画像形成面36Aに形成される。そして、被画像形成面36Aのトナー像が、用紙供給部40から用紙搬送路12に供給された用紙Pに転写される。トナー像が転写された用紙Pは、複数の搬送ロール46によって搬送されることで、定着装置39を経由して用紙受け54に排出される。
【0082】
次のステップ206で、CPU142は、ステップ204で取得した画像形成要求情報に基づく用紙Pに対する画像の形成が終了したか否かを判定する。なお、ここで、画像の形成の終了とは、1つのジョブについての画像の形成が終了したことを意味する。ステップ206において、ステップ204で取得した画像形成要求情報に基づく用紙Pに対する画像の形成が終了していない場合は、判定が否定されて、ステップ204の判定を再び行う。ステップ206において、ステップ204で取得した画像形成要求情報に基づく用紙Pに対する画像の形成が終了した場合は、判定が肯定されて、ステップ208へ移行する。
【0083】
ステップ208で、CPU142は、カウンタから画像形成枚数を取得し、その後、ステップ210へ移行する。ここで、画像形成枚数とは、現時点までに実行された画像形成に供したジョブのうちの最新のジョブ(以下、「最新ジョブ」という)の画像形成要求情報に基づいて画像が形成された用紙Pの枚数を指す。
【0084】
ステップ210で、CPU142は、最新ジョブで用紙Pに形成された画像の平均画像密度(用紙Pの1枚あたりの平均画像密度)を、最新ジョブで使用した画像形成要求情報に含まれる画像情報に基づいて算出し、その後、ステップ212へ移行する。
【0085】
ステップ212で、CPU142は、ステップ210で算出した平均画像密度に応じた第1閾値及び第2閾値を導出し、その後、ステップ214へ移行する。第1閾値とは、後述のステップ212で用いられる閾値を指し、第2閾値とは、後述のステップ220で用いられる閾値を指す。第1閾値及び第2閾値は、ニアエンプティの場合に第1画質保障処理(ステップ200)が実行される頻度よりも第2画質保障処理が実行される頻度が高くなるように定められる。すなわち、第1閾値及び第2閾値は、“第1閾値>第2閾値”の大小関係が成り立つように定められる。また、第1閾値及び第2閾値は、ニアエンプティの場合に第1画質保障処理が実行される頻度よりも第2画質保障処理が実行される頻度が高くなるという傾向が平均画像密度の低下に従って顕著に現れるように定められる。なお、ここで、第1画質保障処理が実行される頻度よりも第2画質保障処理が実行される頻度が高いとは、換言すると、第1画質保障処理が実行される可能性よりも第2画質保障処理が実行される可能性が高くなることを意味する。
【0086】
本ステップ212において、第1閾値及び第2閾値は、例えば、次のように定められる。すなわち、平均画像密度が第1範囲内(画像密度β<平均画像密度<画像密度α)の場合は、第1閾値を“100”とし、第2閾値を“50”とする。また、平均画像密度が第2範囲内(画像密度γ≦平均画像密度≦画像密度β)の場合は、第1閾値を“80”とし、第2閾値を“10”とする。更に、平均画像密度が第3範囲内(平均画像密度<画像密度γ)の場合は、第1閾値を“60”とし、第2閾値を“5”とする。
【0087】
なお、ここでは、第1閾値及び第2閾値がステップ210で算出した平均画像密度のみに応じて定まる場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1閾値及び第2閾値は、ステップ210で算出した平均画像密度、及び画像形成装置10の環境条件(例えば、温度、湿度等)に応じて定められるようにしてもよい。
【0088】
ステップ214で、CPU142は、ステップ208で取得した画像形成枚数がステップ212で導出した第1閾値未満か否かを判定する。ステップ214において、ステップ208で取得した画像形成枚数がステップ212で導出した第1閾値以上の場合は、判定が否定されて、ステップ200へ移行する。ステップ214において、ステップ208で取得した画像形成枚数がステップ212で導出した第1閾値未満の場合は、判定が肯定されて、ステップ218へ移行する。
【0089】
ステップ218で、CPU142は、プレニアエンプティか否かを判定する。ここで、判定が肯定される場合とは、例えば、第1画質保障処理又は第2画質保障処理(ステップ222)でプレニアエンプティの報知が行われたが、未だにニアエンプティの報知が行われていない場合を意味する。ステップ218において、プレニアエンプティでない場合(例えば、ニアエンプティの場合)は、判定が否定されて、ステップ224へ移行する。ステップ218において、プレニアエンプティの場合は、判定が肯定されて、ステップ220へ移行する。
【0090】
ステップ220で、CPU142は、ステップ208で取得した画像形成枚数がステップ212で導出した第2閾値以上か否かを判定する。ステップ220において、ステップ208で取得した画像形成枚数がステップ212で導出した第2閾値未満の場合は、判定が否定されて、本画質保障処理を終了する。ステップ220において、ステップ208で取得した画像形成枚数がステップ212で導出した第2閾値以上の場合は、判定が肯定されて、ステップ222へ移行する。
【0091】
ステップ222で、CPU142は、第2画質保障処理を行い、その後、ステップ224へ移行する。第2画質保障処理とは、第2基準画像(本実施形態では第2画質保障用パッチ134)を用いて画像形成装置10で用いられるパラメータを設定する処理を指す。本実施形態では、具体的には、第2画質保障用パッチ134を用いて画質制御用パラメータを設定する処理、及び表示部156に対して特定の表示を行わせる処理を指す。
【0092】
第2画質保障処理は、第2パッチ形成処理、第2パッチ濃度検知処理、TC制御値設定処理、及び推定報知処理を含む。第2パッチ形成処理とは、一例として
図5示すように、画像形成部30に対して第2画質保障用パッチ134を被画像形成面36Aに形成させる処理を指す。なお、第2パッチ形成処理では、第2画質保障用パッチ134が、トナー残量推定用パッチ132Bの形成方法と同じ形成方法により形成される。なお、第2画質保障用パッチ134は、最大の露光量(例えば、感光体ドラム100の外周面が負極性の帯電状態の場合には被露光領域の電位を正極性の限界電位にするのに要する露光量)で形成されるようにしてもよい。これにより、電位の影響が除去された第2画質保障用パッチ134が形成される。なお、第2画質保障用パッチ134が最大の露光量で形成されるのであれば、トナー残量推定用パッチ132Bも同様の形成方法で形成されることが好ましい。
【0093】
また、第2パッチ形成処理では、被画像形成面36Aに形成された第2画質保障用パッチ134が二次転写ロール38を通過する場合、従動ロール38を用紙非接触位置に退避させないように画像形成部30が制御される。加えて、二次転写用電圧の極性とは逆の極性の電圧が二次転写ロール38に対して印加されるように画像形成部30が制御される。
【0094】
第2パッチ濃度検知処理は、光量測定処理及び濃度算出処理を含む。第2パッチ濃度検知処理に含まれる光量測定処理とは、光学式センサ60に対して、第2画質保障用パッチ134からの反射光の光量(第2パッチ反射光量)を測定させる処理を指す。第2パッチ濃度検知処理に含まれる濃度算出処理とは、第1画質保障処理によって一次記憶部144に記憶された素面反射光量と光学式センサ60によって測定された第2パッチ反射光量に基づいて第2画質保障用パッチ134の濃度を算出する処理を指す。
【0095】
第2画質保障用パッチ134の濃度とは、素面反射光量と第2パッチ反射光量とを比較した比較結果を指す。本実施形態では、第2画質保障用パッチ134の濃度の一例として、素面反射光量に対する第2パッチ反射光量の割合を採用している。なお、第2画質保障用パッチ134の濃度は、Y,M,C,Kの色毎に算出されることは言うまでもない。
【0096】
第2画質保障処理に含まれるTC制御値設定処理で設定されるTC制御値は、第2パッチ濃度検知処理によって算出された第2画質保障用パッチ134の濃度とTC制御用目標濃度との差に応じて一意に定まる値であり、テーブル又は演算式によって導出される。
【0097】
第2画質保障処理に含まれる推定報知処理は、第1画質保障処理に含まれる推定報知処理に比べ、第2パッチ濃度検知処理によって算出された第2画質保障用パッチ134の濃度からニアエンプティか否かが判断される点が異なる。
【0098】
ステップ224で、CPU142は、画像形成装置10の主電源がオフか否かを判定する。ステップ224において、画像形成装置10の主電源がオンの場合は、判定が否定されて、ステップ202へ移行する。ステップ224において、画像形成装置10の主電源がオフの場合は、判定が肯定されて、本画像形成処理を終了する。
【0099】
以上説明したように、画像形成装置10では、トナーの残量が満充填状態からエンプティの範囲にある場合、第1画質保障用パッチ132が形成され、第1画質保障用パッチ132に基づいて第1画質保障処理が実行される。プレニアエンプティ後、ニアエンプティか否かを判断するための本実施形態の第2画質保障処理の頻度を第1画質保障処理と同じにしてしまうと、タイミングによっては第2画質保障処理を実行した時点で既にニアエンプティに相当する残量よりもはるかに少ない残量になってしまっているという可能性があるが、第2画質保障処理の頻度を高くするとその可能性は低減される。
【0100】
また、画像形成装置10では、1つのジョブについての画像の形成が終了した後に、先行して形成された画像に続けて第1画質保障用パッチ134が形成され、形成された第1画質保障用パッチ134に基づいて第1画質保障処理が実行される。
【0101】
また、画像形成装置10では、表示部156によってプレニアエンプティが報知される。
【0102】
また、画像形成装置10では、第2画質保障用パッチ134の形成頻度が、1つのジョブ内で形成された画像の画像密度に応じて定められる。
【0103】
また、画像形成装置10では、第2画質保障処理が、画質を調整する処理を含まず、推定報知処理を含む。
【0104】
また、画像形成装置10では、第2画質保障用パッチ134が二次転写ロール38を通過する際に二次転写用電圧とは逆の極性の電位が二次転写ロール38に対して印加される。
【0105】
なお、上記実施形態では、第1画質保障処理が実行されることで被画像形成面36Aに第1画質保障用パッチ132が形成される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1画質保障用パッチ132に代えて、一例として
図9に示す第1画質保障用パッチ136が形成されるようにしてもよい。第1画質保障用パッチ136は、第1画質保障用パッチ132に比べ、トナー残量推定用パッチ132Bの除いた点が異なる。ここで、CPU142は、第1画質保障用パッチ136を用いてTC制御値設定処理及び推定報知処理を行う場合、トナー残量推定用パッチ132Bの予測濃度を予測する。そして、トナー残量推定用パッチ132Bの予測濃度をTC制御値設定処理及び推定報知処理に用いる。
【0106】
ここで、トナー残量推定用パッチ132Bの予測濃度とは、仮にトナー残量推定用パッチ132Bが形成された場合に濃度算出処理により算出されるトナー残量推定用パッチ132Bの濃度として予測された濃度を指す。トナー残量推定用パッチ132Bの予測濃度は、濃度算出処理によって算出された電位制御用パッチ132Aの濃度(実測濃度)、及び予め実験によって得られた特性データに基づいて予測される。ここで、特性データとは、帯電器102、露光器104、及び現像器106の各々の特性を示すデータを指す。つまり、電位制御用パッチ132Aの実測濃度から帯電器102、露光器104、及び現像器106の各々の特性による影響を除去して得た濃度が、トナー残量推定用パッチ132Bの予測濃度としてTC制御値設定処理及び推定報知処理に用いられる。
【0107】
また、上記実施形態では、第1測定範囲で中間転写ベルト36の1周分の被画像形成面36Aからの反射光の光量が測定される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図10に示すように、1つの矩形領域36Bのみからの反射光の光量が測定されるようにしてもよい。この場合、例えば、矩形領域36Bよりも中間転写ベルト36の周回方向の上流側で矩形領域36Bに隣接させて画質保障用パッチ138が形成されるようにする。画質保障用パッチ138は、第1画質保障用パッチ132に比べ、測定時間が短くて済むパッチである。よって、ステップ214において判定が否定されたことを条件に行われる第1画質保障処理で第1画質保障用パッチ138が形成され、主電源がオンされたことを条件に行われる第1画質保障処理で画質保障用パッチ132が形成されるようにするとよい。
【0108】
一例として
図10に示すように、画質保障用パッチ138は、中間転写ベルト36の周回方向の下流側から上流側にかけて、Y,M,C,Kの色毎に低濃度トナー像、中低濃度トナー像、中高濃度トナー像、及び高濃度トナー像を有する。階調制御値設定処理は、濃度算出処理によって算出された低濃度トナー像、中低濃度トナー像、中高濃度トナー像、及び高濃度トナー像の各濃度に基づいて行われる。
【0109】
ここで、電位制御値設定処理には、電位制御用パッチ132Aの予測濃度が用いられる。電位制御用パッチ132Aの予測濃度とは、仮に電位制御用パッチ132Aが形成された場合に濃度算出処理により算出される電位制御用パッチ132Aの濃度として予測された濃度を指す。電位制御用パッチ132Aの予測濃度は、濃度算出処理によって算出された高濃度トナー像の濃度、及び特性データに基づいて予測される。また、TC制御値設定処理及び推定報知処理には、トナー残量推定用パッチ132Bの予測濃度が用いられる。トナー残量推定用パッチ132Bの予測濃度は、濃度算出処理によって算出された高濃度トナー像の濃度、及び特性データに基づいて予測される。
【0110】
また、上記実施形態では、CPU142が第2画質保障用パッチ134を利用してTC制御値設定処理及び推定報知処理を行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2画質保障用パッチ134を利用して更に画質調整処理を行うようにしてもよい。これにより、画質調整処理に供する基準パッチを新たに形成する場合に比べ、画質調整処理が行われるまでの手間が軽減される。なお、ここでは、画質調整処理の一例として、電位制御値設定処理及び階調制御値設定処理を適用しているが、これに限らず、電位制御値設定処理又は階調制御値設定処理を適用してもよい。
【0111】
ここで、第2画質保障用パッチ134を利用して電位制御値設定処理が行われると、電位制御用パッチ132Aの予測濃度が電位制御値設定処理に用いられる。また、第2画質保障用パッチ134を利用して階調制御値設定処理が行われると、階調制御用パッチ132Cの予測濃度が階調制御値設定処理に用いられる。階調制御用パッチ132Cの予測濃度とは、仮に階調制御用パッチ132Cが形成された場合に濃度算出処理により算出される階調制御用パッチ132Cの濃度として予測された濃度を指す。電位制御用パッチ132A及び階調制御用パッチ132Cの予測濃度は、濃度算出処理によって算出されたトナー残量推定用パッチ132Bの濃度、及び特性データに基づいて予測される。
【0112】
CPU142は、予測濃度に基づいて設定された電位制御値及び階調制御値による電圧制御及び階調制御に従って形成された第2画質保障用パッチ134を用いてトナー残量推定用パッチ132Bの濃度を算出した場合、算出結果を調整する。ここで、算出結果の調整とは、濃度算出処理により算出されたトナー残量推定用パッチ132Bの濃度から電圧制御及び階調制御による影響を特性データを参照して除去することをいう。濃度算出処理により算出されたトナー残量推定用パッチ132Bの濃度から電圧制御及び階調制御による影響が除去されて得た濃度(調整後濃度)は、TC制御値設定処理及び推定報知処理で用いられる。これにより、濃度算出処理により算出されたトナー残量推定用パッチ132Bの濃度をそのままTC制御値設定処理及び推定報知処理で用いる場合と比べ、TC制御値設定処理及び推定報知処理が高精度に行われる。
【0113】
また、上記実施形態では、第2画質保障処理に含まれる濃度算出処理で算出された濃度に基づいてTC制御値設定処理及び推定報知処理のみが行われる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU142は、第2画質保障処理に含まれる濃度算出処理で算出された濃度が特定の範囲内にあると判定した場合に第1画質保障処理を実行してもよいし、特定の画質調整処理(例えば、電位制御値設定処理)を実行してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、1つのジョブについての画像の形成が終了したことを条件に第2画質保障処理が行われる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つのジョブ内で画像の形成が行われている間に第2画質保障処理が行われるようにしてもよい。この場合、CPU142は、例えば、画像形成要求情報に基づいて被画像形成面36Aに形成される隣接するトナー像間(隙間)に第2画質保障用パッチ134が形成されるように画像形成部30を制御する。また、CPU142は、第2画質保障用パッチ134が二次転写ロール38を通過する場合、従動ロール38を用紙非接触位置に退避させずに、二次転写用電圧の極性とは逆の極性の電圧が二次転写ロール38に対して印加されるように画像形成部30を制御する。これにより、第2画質保障用パッチ134の形成に伴って従動ロール38を用紙非接触位置に退避させる場合に比べ、生産性の低下が抑制される。
【0115】
なお、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、用紙Pの間隔を変えずに二次転写ロール38を用紙接触位置に保持したままトナー像(上記の例では、第2画質保障用パッチ134)を形成する場合以外でトナー像(例えば、画質保障用パッチ131)を形成する場合は、二次転写ロール38を用紙非接触位置に退避させてトナー像を形成するようにしてもよい。この場合、二次転写ロール38を用紙非接触位置に退避させない場合に比べ、高画質なトナー像が形成される。
【0116】
上記実施形態では、画像形成装置10によって
図7に示す画像形成処理が行われる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、
図11に示す画像形成処理が行われるようにしてもよい。ここで、
図11に示す画像形成処理で、
図7に示す画像形成処理と異なる点について説明する。
【0117】
図11に示す画像形成処理は、
図7に示す画像形成処理に比べ、ステップ300〜ステップ314を有する点が異なる。また、
図11に示す画像形成処理は、
図7に示す画像形成処理に比べ、ステップ204〜ステップ210を有しない点が異なる。
【0118】
図11に示す画像形成処理では、先ず、ステップ300で、CPU142は、電源がオンされたことに伴って画像形成装置10を稼動させ、その後、ステップ302へ移行する。
【0119】
ステップ302で、CPU142は、第1画質保障処理を実行するか否かを判定する。ステップ302において、第1画質保障処理を実行する場合は、判定が肯定されて、ステップ200へ移行する。ステップ302において、第1画質保障処理を実行しない場合は、判定が否定されて、ステップ202へ移行する。
【0120】
図11に示す画像形成処理では、ステップ200の処理が終了すると、ステップ304へ移行する。ステップ304で、CPU142は、第1画像形成枚数及び第2画像形成枚数をカウントするカウンタ(図示省略)を“0”にリセットし、その後、ステップ202へ移行する。ここで、第1画像形成枚数とは、前回の第1画質保障処理又は第2画質保障処理から最新の第1画質保障処理が開始されるまでに画像が形成された枚数を指す。第2画像形成枚数とは、前回の第1画質保障処理又は第2画質保障処理から最新の第2画質保障処理が開始されるまでに画像が形成された枚数を指す。
【0121】
図11に示す画像形成処理では、ステップ202において判定が肯定されると、ステップ306へ移行する。ステップ306で、CPU142は、画像形成要求情報に基づいて画像の形成が開始されるように画像形成部30、用紙供給部40、及び用紙排出部50を制御し、その後、ステップ308へ移行する。
【0122】
ステップ308で、CPU142は、1枚の用紙Pに対して画像が形成されるように画像形成部30、用紙供給部40、及び用紙排出部50を制御し、その後、ステップ310へ移行する。本ステップ308の処理が行われることで、1枚の用紙Pに対して画像が形成され、画像が形成された用紙Pが画像形成装置10から出力される。
【0123】
ステップ310で、CPU142は、カウンタの値を1インクリメントすることにより第1又は第2画像形成枚数を更新し、その後、ステップ312へ移行する。第1画像形成枚数が更新される場合とは、ステップ200で第1画質保障処理が行われた場合を指し、第2画像形成枚数が更新される場合とは、ステップ222で第2画質保障処理が行われた場合を指す。
【0124】
ステップ312で、CPU142は、前回の第1画質保障処理又は前回の第2画質保障処理からの平均画像密度を算出し、その後、ステップ212へ移行する。
【0125】
図11に示す画像形成処理では、ステップ222の処理が終了すると、ステップ312へ移行する。ステップ312で、CPU142は、第2画像形成枚数をカウントするカウンタ(図示省略)を“0”にリセットし、その後、ステップ314へ移行する。
【0126】
ステップ314で、CPU142は、画像形成を終了した否かを判定する。ステップ314において、画像形成を終了していない場合は、判定が否定されて、ステップ308へ移行する。ステップ314において、画像形成を終了した場合は、判定が肯定されて、ステップ224へ移行する。
【0127】
このように、
図11に示す画像形成処理が行われることで、前回の第1又は第2画質保障処理から最新の第1又は第2画質保障処理が開始されるまでの画像形成枚数及び平均画像密度に基づいて第1又は第2画質保障処理が行われる。これにより、ジョブ単位で得られた画像形成枚数及び平均画像密度に基づいて第1及び第2画質保障処理が実行される場合に比べ、第1及び第2画質保障処理の実行が過不足するという事態の発生が抑制される。
【0128】
なお、
図11に示す例では、電源がオンされると常に第1画質保障処理が実行されるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電源がオンされ、かつ、前回の第1画質保障処理が実行されてから予め定められた時間(例えば、1時間)が経過した場合に第1画質保障処理が実行されるようにしてもよい。また、電源がオンされ、かつ、前回の第1画質保障処理が実行されてから予め定められた度合い以上の環境変化(例えば、±20%以上の湿度変化、又は±5℃以上の温度変化)があった場合に第1画質保障処理が実行されるようにしてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、プレニアエンプティの場合に第2画質保障処理が行われる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ニアエンプティの場合に第2画質保障処理が行われるようにしてもよいし、プレニアエンプティ及びニアエンプティの場合に第2画質保障処理が行われるようにしてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、
図7に示す画像形成処理のステップ200及びステップ222で報知処理が行われる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステップ204とステップ206との間でプレニアエンプティ、ニアエンプティ、及びエンプティが選択的に報知されるようにしてもよい。この場合、例えば、濃度算出処理で算出されたトナー残量推定用パッチ132Bの濃度、ステップ208で取得された画像形成枚数、及びステップ210で算出された平均画像密度に基づいてプレニアエンプティ、ニアエンプティ、及びエンプティの何れかが特定される。なお、
図11に示す画像形成処理では、ステップ306からステップ212に至るまでの間にプレニアエンプティ及びエンプティが選択的に報知されるようにしてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、中間転写ベルト36に形成されたトナー像が用紙Pに転写される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、中間転写ベルト36を用いずに感光体ドラム100から用紙Pに対してトナー像が直接転写されるようにしてもよい。この場合、感光体ドラム100に形成された第1画質保障用パッチ132及び第2画質保障用パッチ134からの反射光の光量が測定され、測定結果に基づいて第1画質保障用パッチ132及び第2画質保障用パッチ134の濃度が算出される。
【0132】
また、上記実施形態で説明した画像形成処理の流れ(
図7参照)はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。また、上記実施形態で説明した画像形成処理に含まれる各処理は、ASICやプログラマブルロジックデバイス等のハードウェア構成で実現されてもよいし、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現してもよい。