特許第6337535号(P6337535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337535
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20180528BHJP
   H02G 1/00 20060101ALI20180528BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G01R31/02
   H02G1/00
   H02G1/06
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-53462(P2014-53462)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-177681(P2015-177681A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】500296295
【氏名又は名称】株式会社テクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井後 克明
(72)【発明者】
【氏名】矢野 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 政和
(72)【発明者】
【氏名】今井 克洋
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2952517(JP,B2)
【文献】 特開平7−37448(JP,A)
【文献】 特開平1−97877(JP,A)
【文献】 特開昭62−9236(JP,A)
【文献】 特開平11−121135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
H02G 1/00
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆層(92)の色が異なる円柱状の複数のワイヤ(9)が所定の配置で保持部材(8)に組み付けられたワイヤハーネス(W)の検査装置であって、
前記ワイヤが1本ずつ挿入されるワイヤ挿入溝部(11、21)が前記ワイヤと同数形成されて、前記複数のワイヤを保持するチャック部材(1、2、3)と、
前記被覆層に光を照射し、反射光の波長により前記被覆層の色を判定するセンサ(4)とを備え、
前記ワイヤ挿入溝部は、V字状に配置されて前記被覆層に接する2つのガイド面(12、22)を有し、
前記センサは、前記ワイヤ挿入溝部の底部から前記被覆層に光を照射するように構成されており、
前記ワイヤは、2列配置されるとともに各列毎に複数本配置された状態で前記保持部材に組み付けられており、
前記チャック部材は、一方の列の前記ワイヤが挿入される前記ワイヤ挿入溝部(11)が形成された第1チャック部材(1)と、他方の列の前記ワイヤが挿入される前記ワイヤ挿入溝部(21)が形成された第2チャック部材(2)と、一方の列の前記ワイヤと他方の列の前記ワイヤとを分離するとともに前記被覆層に接する仕切り板(3)とを備え、
前記ワイヤは、前記被覆層が前記2つのガイド面と前記仕切り板とに接して位置決めされることを特徴とするワイヤハーネス検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆層の色が異なる複数のワイヤを有するワイヤハーネスの検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被覆層の色が異なる円柱状の複数のワイヤが所定の配置で保持部材に組み付けられたワイヤハーネスは、車両等において用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−10427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、所定の色のワイヤが所定の位置で保持部材に組み付けられた否か(すなわち、誤組み付けがないか)を目視で検査する場合、人的要因により誤判定が生ずる虞があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、所定の色のワイヤが所定の位置で保持部材に組み付けられた否かを正確に検査可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、被覆層(92)の色が異なる円柱状の複数のワイヤ(9)が所定の配置で保持部材(8)に組み付けられたワイヤハーネス(W)の検査装置であって、ワイヤが1本ずつ挿入されるワイヤ挿入溝部(11、21)がワイヤと同数形成されて、複数のワイヤを保持するチャック部材(1、2、3)と、被覆層に光を照射し、反射光の波長により被覆層の色を判定するセンサ(4)とを備え、ワイヤ挿入溝部は、V字状に配置されて被覆層に接する2つのガイド面(12、22)を有し、センサは、ワイヤ挿入溝部の底部から被覆層に光を照射するように構成されており、ワイヤは、2列配置されるとともに各列毎に複数本配置された状態で保持部材に組み付けられており、チャック部材は、一方の列のワイヤが挿入されるワイヤ挿入溝部(11)が形成された第1チャック部材(1)と、他方の列のワイヤが挿入されるワイヤ挿入溝部(21)が形成された第2チャック部材(2)と、一方の列のワイヤと他方の列のワイヤとを分離するとともに被覆層に接する仕切り板(3)とを備え、ワイヤは、被覆層が2つのガイド面と仕切り板とに接して位置決めされることを特徴とする。
【0007】
これによると、V字状に配置された2つのガイド面に被覆層が接した状態で、ワイヤ挿入溝部の底部から被覆層にセンサの光を照射することにより、被覆層の所定位置にセンサの光を照射し反射させることができるとともに、センサの発光部から被覆層の照射面までの距離のばらつきを少なくすることができるため、光の反射量が安定し、被覆層の色を極めて正確に判別することができる。
【0008】
その結果、所定の色のワイヤが所定の位置で保持部材に組み付けられているか否かを正確に検査することができる。
【0009】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係るワイヤハーネス検査装置におけるワイヤ保持前の状態を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図2】(a)は本発明の一実施形態に係るワイヤハーネス検査装置におけるワイヤ保持後の状態を示す平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
図3図2(b)のC部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について説明する。
【0012】
図1図3に示すように、ワイヤハーネスWは、4個の貫通穴が形成された保持部材としてのゴム製のブッシュ8と、ブッシュ8の貫通穴に通された4本の円柱状のワイヤ9とを備え、4本のワイヤ9がブッシュ8によって一体的に保持されている。
【0013】
ブッシュ8に保持されたワイヤ9は、左右に2列に配置され、右側の列には上下方向に2本配置され、左側の列にも上下に2本配置されている。以下、右側に配置された2本のワイヤを第1列のワイヤ、左側に配置された2本のワイヤを第2列のワイヤという。
【0014】
ワイヤ9は、電気良導体の金属よりなる芯線91を、電気絶縁性に富む樹脂よりなる被覆層92にて覆ったものである。また、4本のワイヤ9は、被覆層92の色がそれぞれ異なっており、どの色のワイヤ9がブッシュ8のどの位置の貫通穴に挿入されるかは、予め決められている。換言すると、色の異なる各ワイヤ9は所定の配置でブッシュ8に組み付けられるようになっている。
【0015】
ワイヤハーネス検査装置は、第1列のワイヤ9を保持する第1チャック部材1と、第2列のワイヤ9を保持する第2チャック部材2と、第1列のワイヤと第2列のワイヤの間に位置して各ワイヤ9の被覆層92に接する仕切り板3と、被覆層92の色を判定するセンサ4とを備えている。なお、第1チャック部材1、第2チャック部材2、および仕切り板3は、本発明のチャック部材を構成している。
【0016】
第1チャック部材1は、第1列のワイヤ9が挿入される第1ワイヤ挿入溝部11が2つ形成されている。また、第2チャック部材2は、第2列のワイヤ9が挿入される第2ワイヤ挿入溝部21が2つ形成されている。すなわち、ワイヤ挿入溝部11、21は、ワイヤ9と同数形成されている。
【0017】
各ワイヤ挿入溝部11、21は、V字状に配置された2つの平坦なガイド面12、22を有している。なお、V字状に配置されたガイド面12、22の頂点(すなわち、2つの平坦なガイド面12、22の延長線が交差する点)を通り、且つ、各ワイヤ挿入溝部11、21を2分割する線を、以下、ワイヤ挿入溝部中心線という。
【0018】
第1チャック部材1と第2チャック部材2は、第1ワイヤ挿入溝部11と第2ワイヤ挿入溝部21が対向するように配置され、第1チャック部材1と第2チャック部材2の並び方向(すなわち、左右方向)に往復動可能になっている。
【0019】
仕切り板3は、平板状であり、ワイヤ9の被覆層92に接する平坦な2つの保持面31を有している。そして、一方の保持面31が第1列のワイヤ9の被覆層92に接し、他方の保持面31が第2列のワイヤ9の被覆層92に接するようになっている。なお、仕切り板3は、図示しない台に固定されている。
【0020】
センサ4は、第1チャック部材1および第2チャック部材2に組み付けられている。より詳細には、センサ4は、反射型光電センサであり、各ワイヤ挿入溝部11、21の底部側においてワイヤ挿入溝部中心線上に配置され、ワイヤ挿入溝部中心線と平行に被覆層92に向けて光を照射し、被覆層92に当たって反射した光の波長により被覆層92の色を判定する。
【0021】
なお、第1チャック部材1、第2チャック部材2、およびセンサ4の制御、さらには、被覆層92の色の判定結果に基づく誤組み付けか否かの判定は、図示しない制御装置によって行われる。
【0022】
次に、ワイヤハーネス検査装置による検査の手順について説明する。
【0023】
まず、図1に示すように、第1チャック部材1と第2チャック部材2が左右方向に開いている状態で、ワイヤハーネスWを下方に移動させる。より詳細には、第1列のワイヤ9が第1チャック部材1と仕切り板3との間に挿入され、また、第2列のワイヤ9が第2チャック部材2と仕切り板3との間に挿入される位置まで、ワイヤハーネスWを下方に移動させる。
【0024】
続いて、図2に示すように、第1チャック部材1と第2チャック部材2を仕切り板3側に移動させて、第1ワイヤ挿入溝部11に第1列のワイヤ9を挿入し、第2ワイヤ挿入溝部21に第2列のワイヤ9を挿入する。
【0025】
これにより、図3に示すように、第1ワイヤ挿入溝部11のガイド面12と仕切り板3の一方の保持面31が第1列のワイヤ9の被覆層92に接し、第1列のワイヤ9は第1チャック部材1と仕切り板3により位置決めされる。
【0026】
また、第2ワイヤ挿入溝部21のガイド面22と仕切り板3の他方の保持面31が第2列のワイヤ9の被覆層92に接し、第2列のワイヤ9は第2チャック部材2と仕切り板3により位置決めされる。
【0027】
より詳細には、ガイド面12、22はV字状に配置されているため、ワイヤ9は芯出しして保持される。換言すると、被覆層92の外周面のうち、ワイヤ挿入溝部11、21の底部側に最も近い部位P(図3参照。以下、この点Pを照射点Pという)が、ワイヤ挿入溝部中心線上に位置する。
【0028】
続いて、各ワイヤ挿入溝部11、21に保持された各ワイヤ9の被覆層92の色をセンサ4により判定する。このとき、ワイヤ9は芯出しして保持されているため、センサ4の光を照射点Pに確実に照射することができるとともに、センサ4の発光部および受光部から照射点Pまでの距離のばらつきを少なくすることができるため、光の反射量が安定し、被覆層92の色を極めて正確に判別することができる。
【0029】
そして、所定のワイヤ挿入溝部11、21に保持された各ワイヤ9の被覆層92の色が、予め決められた色と一致すれば、ワイヤ9がブッシュ8に正しく組み付けられているものと判定し、所定のワイヤ挿入溝部11、21に保持された各ワイヤ9の被覆層92の色が、予め決められた色と一致しない場合は、ワイヤ9がブッシュ8に正しく組み付けられていないものと判定する。
【0030】
本実施形態によると、各ワイヤ挿入溝部11、21に挿入されたワイヤ9の色を極めて正確に判別することができるため、所定の色のワイヤ9が所定の位置でブッシュ8に組み付けられている否かを正確に検査することができる。
【0031】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0032】
また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0033】
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
【0034】
また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1 第1チャック部材(チャック部材)
2 第2チャック部材(チャック部材)
3 仕切り板(チャック部材)
4 センサ
8 ブッシュ(保持部材)
9 ワイヤ
11 ワイヤ挿入溝部
12 ガイド面
21 ワイヤ挿入溝部
22 ガイド面
92 被覆層
W ワイヤハーネス
図1
図2
図3