(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のホルダはいずれも、濾過フィルタをホルダに保持させるために、接続作業者は上側及び下側ロックレバーを操作しなければならないが、上側及び下側ロックレバーはハウジングの長手方向に離れているため、濾過フィルタをホルダに保持させるためには、両手で操作したり、片側ずつ段階的に操作する必要がある。したがって、濾過フィルタをホルダに保持させるための作業が煩雑で手間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、濾過フィルタをホルダに簡便に保持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、濾過フィルタの流入管部及び流出管部が押し込まれて接続される流入側接続部及び流出側接続部をホルダに設け、この流入側接続部と流出側接続部との間に、接続作業者が手を掛けるための手掛け部を設けるようにした。
【0009】
第1の発明は、濾過材を収容する筒状のハウジングを備える濾過フィルタを保持するためのホルダにおいて、
ホルダ本体と、
上記ハウジングの外周面から上記ホルダ本体に向かって突出する液体の流入管部が押し込まれて接続される流入側接続部と、
上記ハウジングの外周面から上記ホルダ本体に向かって突出する液体の流出管部が押し込まれて接続される流出側接続部と、
上記ホルダ本体における上記流入側接続部と上記流出側接続部との間に設けられ、接続作業者が手を掛ける手掛け部と、を備え、
上記流入側接続部には、上記流入管部が挿入される流入側挿入孔が形成され、
上記流出側接続部には、上記流出管部が挿入される流出側挿入孔が形成され、
上記流入管部及び上記流出管部の上記流入側挿入孔及び上記流出側挿入孔への挿入方向から上記濾過フィルタ用ホルダを見たときに、上記手掛け部は上記ハウジングと重なる位置にあり、
接続作業者が上記ハウジング及び上記手掛け部に掛けた手を握り込む際に上記ハウジングに働く力によって、上記流入管部及び上記流出管部がそれぞれ上記流入側接続部及び上記流出側接続部に押し込まれて同時接続されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、接続作業者が濾過フィルタの流入管部及び流出管部の先端をそれぞれホルダの流入側接続部及び流出側接続部に当てた状態で、例えばハウジングに手のひらを当てて手掛け部に指を掛け、ハウジングと手掛け部を一緒に握り込むように力を加えると、ハウジングがホルダ本体に接近する方向の力が作用して、流入管部及び流出管部が流入側接続部及び流出側接続部に押し込まれて同時接続される。
【0011】
また、ハウジングと手掛け部を一緒に握り込む際に、流入管部及び流出管部の突出方向が流入側挿入孔及び流出側挿入孔の挿入方向に沿うように、流入管部及び流出管部を、流入側接続部及び流出側接続部に、実質的に同時に(均等な力で)押し込むことが可能であるため、流入管部及び流出管部が流入側挿入孔及び流出側挿入孔にスムーズに挿入されて流入側接続部及び流出側接続部に接続される。
【0012】
第
2の発明は、第
1の発明において、
上記濾過フィルタを上記濾過フィルタ用ホルダに保持した状態で、上記手掛け部は上記ハウジングの長手方向に延びることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、手掛け部を長くすることができるので、ハウジングに手のひらを当て、手掛け部に複数本の指を掛けることができ、ハウジングと手掛け部を一緒に握り込む際に、流入管部及び流出管部を流入側接続部及び流出側接続部に押し込む力を加えることが容易となる。
【0014】
第
3の発明は、第
1または第2の発明において、
上記手掛け部は、上記濾過フィルタが上記濾過フィルタ用ホルダに保持された状態で上記ハウジングの外面に対向する位置に設けられ、
上記濾過フィルタが上記濾過フィルタ用ホルダに保持された状態で、上記手掛け部と上記ハウジングの外面との間に隙間が形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、仮に手掛け部やハウジング等の寸法に誤差があったとしても、流入管部及び流出管部をそれぞれ流入側接続部及び流出側接続部に接続する際に、手掛け部とハウジングの外面とが接触することはないので、流入管部及び流出管部がそれぞれ流入側接続部及び流出側接続部に完全に押し込まれる。
【0016】
第
4の発明は、第1〜第
3のいずれか1つの発明において、
上記ハウジングの長手方向と鉛直線とのなす角度を調整する角度調整部を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ハウジングの長手方向と鉛直線とのなす角度を、例えばハウジング内の気泡が流出管部から抜けやすいような角度に調整できるため、濾過面積が広く保たれるとともに、液体の流路内の圧力変動が抑制される。
【0018】
第
5の発明は、第1〜第
4のいずれか1つの発明において、
上記流入管部及び上記流出管部が上記流入側接続部及び上記流出側接続部に接続された状態にあるときには、上記濾過フィルタ用ホルダ内に収容されて上記流入管部及び上記流出管部が接続状態にあることを示し、上記流入管部及び上記流出管部の少なくとも一方が上記流入側接続部又は上記流出側接続部に接続されていない状態にあるときには、上記濾過フィルタ用ホルダから露出して上記流入管部及び上記流出管部の少なくとも一方が非接続状態にあることを示すインジケータが設けられていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、流入管部及び流出管部が接続状態にあるか否かを接続作業者が簡単かつ確実に確認できるため、流入管部及び流出管部の少なくとも一方が非接続状態のときに誤って濾過フィルタが使用されてしまい、液漏れが起こることが回避される。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、濾過フィルタの流入管部及び流出管部が押し込まれて接続される流入側接続部及び流出側接続部をホルダに設け、この流入側接続部と流出側接続部との間に、接続作業者が手を掛けるための手掛け部を設けたので、接続作業者は上下に離れたロックレバーの操作等の煩雑な作業をすることなく、濾過フィルタをホルダに簡便に保持させることができる。
【0021】
また、流入管部及び流出管部の流入側挿入孔及び流出側挿入孔への挿入方向からホルダを見たときに、ハウジングと重なる位置に手掛け部を設けたので、接続作業者がハウジングと手掛け部を一緒に握り込む際に、流入管部及び流出管部の突出方向が流入側挿入孔及び流出側挿入孔の挿入方向に沿うように、流入管部及び流出管部を、流入側接続部及び流出側接続部に、実質的に同時に(均等な力で)押し込むことが可能である。したがって、流入管部及び流出管部が流入側挿入孔及び流出側挿入孔にスムーズに挿入されて流入側接続部及び流出側接続部に接続され、接続作業者が容易に濾過フィルタをホルダに保持させることができる。
【0022】
第
2の発明によれば、ハウジングの長手方向に延びる手掛け部を長くすることができるので、ハウジングに手のひらを当て、手掛け部に複数本の指を掛けることができる。したがって、ハウジングと手掛け部を一緒に握り込む際に、流入管部及び流出管部を流入側接続部及び流出側接続部に押し込む力を加えることが容易となり、接続作業者が容易に濾過フィルタをホルダに保持させることができる。
【0023】
第
3の発明によれば、手掛け部とハウジングの外面との間に隙間が形成されるようにしたので、接続作業者は流入管部及び流出管部をそれぞれ流入側接続部及び流出側接続部に完全に押し込むことができ、濾過フィルタをホルダに確実に保持させることができる。
【0024】
第
4の発明によれば、ハウジングの長手方向と鉛直線とのなす角度を調整する角度調整部を設けたので、濾過フィルタの使用時の性能を高めることができるとともに、液体の流路内の圧力変動に起因する透析装置のエラーの発生を抑制することができる。
【0025】
第
5の発明によれば、流入管部及び流出管部が接続状態にあるか否かを示すインジケータを設けたので、流入管部又は流出管部が非接続状態で濾過フィルタが使用されることによる液漏れを予防することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0028】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るホルダ1は、例えば
図1及び
図2に示すような濾過フィルタFを保持するためのものである。この濾過フィルタFは透析治療時において、外部から供給される水道水等の原水(液体)を精密濾過できるように構成された周知のものであり、濾過後の純水に電解質等が添加されて、透析液としてダイアライザ(図示せず)に供給される。濾過フィルタFは中心線方向に延びる筒状のハウジングF1を備え、ハウジングF1の長手方向が上下方向となる姿勢で使用される。
【0029】
以下の説明では、ハウジングF1の長手方向が上下方向となった状態を基準として、「上側」とは
図1における上側を示し、「下側」とは
図1における下側を示し、「前側」とは
図1における左側を示し、「後側」とは
図1における右側を示している。
【0030】
ハウジングF1の上端面及び下端面は上側蓋部材F2及び下側蓋部材F3でそれぞれ覆われている。上側蓋部材F2には、濾過後の純水を流出させることのできる上管部F2aが、上側に突出するように一体に設けられている。また、下側蓋部材F3には、濾過後の純水を流出させることのできる下管部F3aが、下側に突出するように一体に設けられている。上管部F2a及び下管部F3aには、濾過フィルタFの内部の汚染を防ぐためのキャップFcが液密に取り付けられている。
【0031】
図2に示すように、ハウジングF1内には複数の中空糸膜F4(濾過材)が収容されている。中空糸膜F4は、膜の厚み方向に極微小な孔が形成された半透膜である。中空糸膜F4の両端部は封止剤により固着されて各端部が揃うように束ねられており、中空糸膜F4内部の空間と上管部F2a及び下管部F3aの内部の空間が連通している。
【0032】
ハウジングF1は、ハウジングF1内に原水を流入させる流入管部F11と、ハウジングF1外に原水を流出させる流出管部F12とを備え、流入管部F11はハウジングF1の外周面の下部から後方に向かって突出し、流出管部F12はハウジングF1の外周面の上部から後方に向かって突出している。
【0033】
以下の説明では、流入管部F11及び流出管部F12について、「先端側」とは流入管部F11及び流出管部F12の先端側(
図1及び
図2における右側)を示し、「基端側」とは流入管部F11及び流出管部F12の基端側(
図1及び
図2における左側)を示している。
【0034】
図1及び
図2に示すように、流入管部F11の外周面には、後述するホルダ1の流入側接続部20の環状係合突条部232(
図5等に示す)が係合するための流入側環状溝F11aが、流入管部F11の軸方向における中央近傍に形成されている。
図1に示すように、流入側環状溝F11aよりも先端側の外周面には、流入側環状凹部F11bが、流入側環状溝F11aよりも幅広に(流入管部F11の軸方向に広く)形成されている。流入側環状凹部F11bには、軸方向に延びるリブが、流入管部F11の周方向に離れて複数設けられており、このリブにおける流入管部F11の径方向外側の面は、軸方向に沿って平坦な流入側平坦部F11cである。流入側平坦部F11cよりも先端側では、流入管部F11の外径は小径であって、この小径部の形成に対応して、流入側段部F11dが形成されている。
【0035】
流出管部F12の外周面にも同様に、流出側接続部30の環状係合突条部332(
図4に示す)が係合するための流出側環状溝F12aが、流出管部F12の軸方向における中央近傍に形成されている。この流出側環状溝F12aよりも先端側の外周面には、流出側環状凹部F12bが、流出側環状溝F12aよりも幅広に(流出管部F12の軸方向に広く)形成されている。流出側環状凹部F12bには、軸方向に延びるリブが、流出管部F12の周方向に離れて複数設けられており、このリブにおける流出管部F12の径方向外側の面は、軸方向に沿って平坦な流出側平坦部F12cである。流出側平坦部F12cよりも先端側では、流出管部F12の外径は小径であって、この小径部の形成に対応して、流出側段部F12dが形成されている。
【0036】
図2に示すように、流入管部F11からハウジングF1内に流入した原水のうち、中空糸膜F4を通過した濾過後の純水は、中空糸膜F4内部を通って上管部F2aから流出し、中空糸膜F4を通過しない原水は流出管部F12からハウジングF1外に流出するように構成されている。後述するように、上管部F2aには純水流出用チューブT3(
図15に示す)が接続され、純水が透析装置(図示せず)に供給されるようになっている。
【0037】
図3及び
図4は、上記濾過フィルタFを保持するためのホルダ1を示す。ホルダ1は、例えば透析装置の側面W(
図15に示す)等に取り付けられて使用される。このホルダ1は、矩形板状のホルダ本体10と、濾過フィルタFの流入管部F11が押し込まれて接続される流入側接続部20と、濾過フィルタFの流出管部F12が押し込まれて接続される流出側接続部30と、接続作業者が手を掛けるための手掛け部40と、ハウジングF1の長手方向と鉛直線とのなす角度を調整するための角度調整部50とを備える。
【0038】
ホルダ本体10の上部(
図4における上部)には、上管部F2a(
図15に示す)に接続された純水流出用チューブT3(
図15に示す)を挿通するためのチューブ挿通孔10aが、ホルダ本体10を前後方向(
図3における左右方向)に貫通するように形成されている。
【0039】
図3及び
図4に示すように、流入側接続部20は、ホルダ本体10の下部を前後方向に貫通して設けられている。また、流出側接続部30は、ホルダ本体10の上部を前後方向に貫通して設けられている。
【0040】
図5に、流入側接続部20の拡大断面図を示す。尚、以下の説明では、流入側接続部20について説明するが、流出側接続部30については、流入側接続部20と上下対称であることを除けば、流入側接続部20と同様の構成であることから、その詳細な説明は省略する。
【0041】
図3〜
図5に示すように、流入側接続部20は、ホルダ本体10の下部(
図3における下部)から前方に突出する略円筒状の前側ケーシング21と、前側ケーシング21の後部に螺合して、ホルダ本体10の下部から後方に突出する略円筒状の後側ケーシング22と、前側ケーシング21と後側ケーシング22の内部に大部分が収容されるとともに、流入管部F11が挿入される際の力によって弾性変形して流入管部F11を保持する弾性筒23とを備える。前側ケーシング21及び後側ケーシング22は、例えばポリアセタール等の樹脂により構成されており、弾性筒23は、例えばシリコーンゴム等の弾性材料で構成されている。
【0042】
以下のホルダ1に関する説明では、特に断らない限り、「軸方向」、「径方向」及び「周方向」の各方向は、前側ケーシング21を基準として定めている。すなわち、「軸方向」とは前側ケーシング21の中心軸線に沿った方向を示し、「径方向」とは前側ケーシング21の中心軸線に対して直交する方向を示し、「周方向」とは前側ケーシング21の中心軸線周りの周回方向を示している。
【0043】
図5に示すように、前側ケーシング21は、後側ケーシング22の前側に支持されており、前側ケーシング21の後端部は、ホルダ本体10の前面よりも前側に位置している。前側ケーシング21の前端部には、径方向内側に延びる環状延出部211が設けられている。また、前側ケーシング21の後側部分の内周面には、後側ケーシング22が螺合するための雌ねじ部212が形成されている。また、
図3及び
図4に示すように、前側ケーシング21の外周面には複数の面取り部213が形成されている。前側ケーシング21の中心線は、ホルダ本体10の前面に対して略垂直である。
【0044】
図5に示すように、後側ケーシング22の前側部分には、前側ケーシング21の雌ねじ部212に螺合する雄ねじ部221が形成されている。この雄ねじ部221が、前側ケーシング21の雌ねじ部212にホルダ本体10の後側から螺合することによって、前側ケーシング21が後側ケーシング22に固定されている。
【0045】
弾性筒23の内部には、流入管部F11が挿入される流入側挿入孔23aが形成されている。流入側挿入孔23aの中心線はホルダ本体10の前面に対して略垂直である。また、弾性筒23の前端部近傍の内周面には、流入管部F11の流入側環状溝F11aに係合する環状係合突条部232が設けられている。後述するように、流入管部F11が流入側接続部20に接続された状態(
図13に示す)で、弾性筒23の軸方向における環状係合突条部232の位置は、流入管部F11の流入側環状溝F11aに対応する位置にある。弾性筒23における環状係合突条部232よりも前側の内周面は、径方向外側ほど前側に位置するように傾斜する傾斜面233であって、傾斜面233の後部の内径は、流入管部F11の先端部の外径よりも大きく設定されている。
【0046】
図3に示すように、弾性筒23の後部には、原水供給用チューブT1(
図15に示す)を接続するための流入側L字管24が嵌挿されている。流入側L字管24は、弾性筒23の後端面から後方に向かって突出した後下方に屈曲している。
【0047】
図3及び
図4に示すように、流出側接続部30も、流入側接続部20と同様に、前側ケーシング31と、後側ケーシング32と、弾性筒33と、を備えている。
図4に示すように、弾性筒33の内部には、流出管部F12が挿入される流出側挿入孔33aが形成されている。また、弾性筒33の内周面には、流出管部F12の流出側環状溝F12aに係合する環状係合突条部332が設けられている。
図3に示すように、弾性筒33の後部には、ハウジングF1外に原水を排出するための排水用チューブT2(
図15に示す)が接続される流出側L字管34が嵌挿されている。
【0048】
図3及び
図4に示す手掛け部40は、接続作業者が濾過フィルタF(
図9等に示す)のハウジングF1に手を当てて流入管部F11及び流出管部F12を流入側接続部20及び流出側接続部30に押し込む際に手を掛けるための棒状の部材である。手掛け部40は、ホルダ本体10の前面における流入側接続部20と流出側接続部30との間に設けられている。
図3に示すように、手掛け部40は、ホルダ本体10の前面における流出側接続部30の下方から前方に突出する上側棒状部41と、流入側接続部20の上方から前方に突出する下側棒状部42と、上側棒状部41の前端部と下側棒状部42の前端部を上下に連結する連結部43とを備える。
【0049】
上側棒状部41の前端部の前後方向の位置は、流出側接続部30の前側ケーシング31の前端面と同程度であり、下側棒状部42の前端部の前後方向の位置は、流入側接続部20の前側ケーシング21の前端面と同程度である。
【0050】
図5に示すように、下側棒状部42の内部にはボルトB1が前側から後側に向かって挿通され、このボルトB1によって下側棒状部42がホルダ本体10に支持されている。同様に、上側棒状部41もボルト(図示せず)によってホルダ本体10に支持されている。
【0051】
図3に示すように、連結部43はホルダ本体10の長手方向に対して略平行に延びている。連結部43とホルダ本体との間には隙間が形成され、この隙間に一般的な成人男性が手を入れることができるように、上側棒状部41及び下側棒状部42の長さが設定されている。連結部43の上下方向の長さは、一般的な成人男性の手のひらの幅よりも長く、接続作業者が複数本の指を連結部43に掛けることができるように構成されている。連結部43の径はハウジングF1(
図14等に示す)の径よりも細く、接続作業者がハウジングF1に手を当てた状態で連結部43に指を掛けやすいように構成されている。また、手掛け部40は、接続作業者がハウジングF1と一緒に握り込んでも、折れたり変形したりしない程度の強度を持つ。
【0052】
図4に示すように、手掛け部40は、ホルダ1を前方から見た時に、流入側挿入孔23aの中心と流出側挿入孔33aの中心とを結ぶ直線上に位置しており、後述するように、濾過フィルタFをホルダ1に保持した状態で、前方からホルダ1を見たときに、左右方向における手掛け部40の位置は、左右方向におけるハウジングF1の略中央(ハウジングF1と重なる位置)にあるように構成されている(
図14に示す)。
【0053】
図3に示すように、手掛け部40における下側棒状部42の前端部には、流入管部F11が流入側接続部20に接続されているか否かを示す円柱状の下側インジケータ70が前方に突出するように設けられている。下側インジケータ70は、下側棒状部42の前側部分に固定された筒状の下側収容部45に収容可能に構成されている。また、手掛け部40における上側棒状部41の前端部には、流出管部F12が流出側接続部30に接続されているか否かを示す円柱状の上側インジケータ60が前方に突出するように設けられている。上側インジケータ60は、上側棒状部41の前側部分に固定された筒状の上側収容部44に収容可能に構成されている。
【0054】
図5に、下側インジケータ70の拡大図を示す。尚、以下の説明では、下側インジケータ70について説明するが、上側インジケータ60については、下側インジケータ70と上下対称であることを除けば同様の構成であることから、その詳細な説明は省略する。
【0055】
下側インジケータ70を収容する下側収容部45は、螺合により下側棒状部42に固定されている。
【0056】
下側インジケータ70は、突出方向先端側と基端側で異なる色として識別可能に構成されている。すなわち、下側インジケータ70は、突出方向先端部に位置する白色等の下側淡色部71と、突出方向基端部に位置する赤色等の下側濃色部72とを備える。下側インジケータ70は下側収容部45に内蔵されたコイルばね451により突出方向(前側)に付勢されている。
【0057】
したがって、流入管部F11が流入側接続部20に接続されていない時は、下側淡色部71及び下側濃色部72の両方が下側収容部45から露出するのに対し、後述するように流入管部F11が流入側接続部20に正常に接続されている時(
図13に示す)は、コイルばね451の付勢力に抗して、下側濃色部72が下側収容部45内に収容され、下側淡色部71のみが下側収容部45から露出するように構成されている。
【0058】
図3に示すように、上側インジケータ60も、下側インジケータ70と同様に、上側淡色部61と、上側濃色部62とを備え、上側収容部44に内蔵されたコイルばね(図示せず)により突出方向(前側)に付勢されている。したがって、流出管部F12が流出側接続部30に接続されていない時は、上側淡色部61及び上側濃色部62の両方が上側収容部44から露出するのに対し、後述するように流出管部F12が流出側接続部30に正常に接続されている時(
図12に示す)は、上側淡色部61のみが上側収容部44から露出するように構成されている。
【0059】
図3及び
図6に示すように、ホルダ本体10の後面における流入側接続部20と流出側接続部30との間には、ホルダ1が濾過フィルタFを保持したときにハウジングF1の長手方向と鉛直線とのなす角度を調整するための角度調整部50が設けられている。この角度調整部50は、ホルダ本体10の後面に固定される固定部材51と、固定部材51の下部に取り付けられる軸ねじ52と、軸ねじ52を中心として回動可能に構成された回動部材53とを備えている。
【0060】
図6に示すように、固定部材51は、ホルダ本体10の後面における流入側接続部20と流出側接続部30との間で上下方向に延びるように設けられ、ホルダ本体10の後面に固定された固定側前板部51aと、固定側前板部51aの左縁部から後方に延びる固定側左板部51bと、固定側前板部51aの右縁部から後方に延びる固定側右板部51cとからなる。固定側前板部51aの左右方向の幅は、ホルダ本体10の左右方向の幅と同程度である。
【0061】
固定側左板部51bと固定側右板部51cの下部には、軸ねじ52を挿通するための一対の固定側軸孔51dが形成されている。また、固定側左板部51b及び固定側右板部51cの上部には、略前後方向に延びる一対のガイド孔51eが、固定側軸孔51dを中心とした円弧状長孔として形成されている。
【0062】
固定側左板部51b及び固定側右板部51cの左右方向外側の面におけるガイド孔51eの上方には、ホルダ本体10の長手方向と後述する回動部材53の回動側後板部53aの長手方向とのなす角度を、接続作業者が目視で確認するための角度目盛が設けられている。
【0063】
回動部材53は、上下方向の長さが固定部材51と同程度であり、固定側前板部51aよりもやや左右方向の幅が狭い回動側後板部53aと、回動側後板部53aの左縁部から前方に延びる回動側左板部53bと、回動側後板部53aの右縁部から前方に延びる回動側右板部53cとを備える。
【0064】
回動側左板部53b及び回動側右板部53cの下部には、軸ねじ52が螺合するためのねじ溝が形成された一対の回動側軸孔53dが形成されている。回動側左板部53b及び回動側右板部53cの上部には、回動部材53の回動角度を制限するロックねじ53eを螺合により取り付けるためのロック孔53fが形成されている。ロックねじ53eは、上記固定部材51のガイド孔51eから左右方向内側に突出して、ロック孔53fに螺合により取り付けられるようになっている。
【0065】
回動側後板部53aの上部及び下部には、透析装置の側面W(
図15に示す)に取り付けられたボルトB2(
図15に示す)等を挿通するためのボルト挿通孔53gが形成されている。ボルトB2をボルト挿通孔53gに挿通し、透析装置の側面Wに締結することで、ホルダ1が透析装置等に取り付けられるようになっている。ボルト挿通孔53gは、ボルトB2の頭部が挿通する大きさの大径部と、ボルトB2の軸部の外径と同程度の大きさの小径部とが連続している、いわゆるダルマ穴である。
【0066】
ホルダ本体10に角度調整部50を取り付け、ホルダ1を透析装置の側面Wに取り付ける際には、まず透析装置の側面Wに取り付けられたボルトB2の締結を緩め、ボルトB2を頭部から回動部材53のボルト挿通孔53gの大径部に挿通した後、ボルトB2の軸部をボルト挿通孔53gの小径部に掛止させる。そして、透析装置の側面WにあるボルトB2を強く締結し、取り付ける。次に、この回動部材53を、ホルダ本体10に取り付けた固定部材51の左右方向内側に収容した状態で、軸ねじ52を固定側軸孔51dに左右方向外側から挿通し、回動側軸孔53dに螺合させる。そして、ロックねじ53eを固定部材51のガイド孔51eに左右方向外側から挿通し、回動部材53のロック孔53fに螺合により締結することで、このロックねじ53eの締結力により、回動部材53に対して固定部材51を固定し、ロック状態とする。また、ロックねじ53eを緩めると、回動部材53に対して固定部材51が軸ねじ52周りに回動する。このとき、後述するように、回動側後板部53aを透析装置の側面W(
図15に示す)に取り付けたまま、回動側後板部53aの長手方向が鉛直方向と一致するようにしておくと、固定部材51はホルダ本体10に取り付けられているため、固定部材51を軸ねじ52周りに回動させてホルダ本体10の長手方向と鉛直線とのなす角度を調整することが可能である。
【0067】
次に、上記のように構成されたホルダ1に濾過フィルタFを接続する場合について説明する。まず、
図7に示すように、ホルダ本体10の長手方向と濾過フィルタFのハウジングF1の長手方向とが一致するように、ホルダ1の前方に濾過フィルタFを配置する。ここで、濾過フィルタFの流入管部F11及び流出管部F12がホルダ本体10に向かって突出し、流入側接続部20の前側ケーシング21及び流出側接続部30の前側ケーシング31がそれぞれ流入管部F11及び流出管部F12に対向するように、濾過フィルタFを配置しておく。
【0068】
このとき、
図8に拡大して示すように、下側インジケータ70は、下側収容部45に内蔵されたコイルばね451の付勢力により、下側淡色部71から下側濃色部72まで下側収容部45から露出して、流入管部F11が流入側接続部20に接続されていない非接続状態にあることを示している。
【0069】
次に、
図9に示すように、流入管部F11及び流出管部F12の先端をそれぞれ流入側接続部20の弾性筒23(
図4等に示す)及び流出側接続部30の弾性筒33(
図4等に示す)に当てる。このとき、ハウジングF1は手掛け部40に接近し、接続作業者はハウジングF1の前方に手のひらを当てた状態で、手掛け部40の連結部43に後方から指を掛けることができる。
【0070】
このとき、
図10に拡大して示すように、流入側接続部20の弾性筒23の前端面における内径は、流入管部F11の先端部の外径よりも大きいため、流入管部F11の軸方向が弾性筒23の軸方向から多少ずれていても、接続作業者は流入管部F11の先端を弾性筒23に容易に挿入することができる。そして、流入管部F11の流入側段部F11dが、流入側接続部20の弾性筒23の内周面に設けられた環状係合突条部232に当接する。
【0071】
このときも、下側インジケータ70は下側収容部45から露出したままであり、流入管部F11が非接続状態にあることを示している。
【0072】
この状態から、ハウジングF1と手掛け部40を一緒に握り込むように力を加えると、ハウジングF1に対しホルダ本体10に接近する方向の力が作用して、流入管部F11を流入側接続部20の内部の流入側挿入孔23aに押し込む力が、流入管部F11の突出方向に作用する。すると、その押し込み力によって、
図11に示すように、流入管部F11の流入側段部F11dが流入側接続部20の弾性筒23の環状係合突条部232を後側かつ径方向外側に押圧し、環状係合突条部232を径方向外側へ移動させるとともに、弾性筒23を径方向外側へ弾性変形させる。そして、流入管部F11が流入側挿入孔23aに挿入され、流入管部F11の流入側平坦部F11cが径方向内側から弾性筒23の環状係合突条部232に当接して径方向外側へ押圧する。
【0073】
このとき、ハウジングF1の下部の外周面のうち後方に向いている部分が下側インジケータ70の突出方向先端部に当接するが、下側インジケータ70は下側収容部45から露出したままであり、流入管部F11が非接続状態にあることを示している。
【0074】
さらに、
図12に示すように、ハウジングF1と手掛け部40を一緒に握り込むように力を加えると、流入管部F11が流入側接続部20の流入側挿入孔23aの挿入方向奥側へ挿入され、
図13に示すように、弾性筒23の軸方向における流入管部F11の流入側環状溝F11aの位置が、弾性筒23の環状係合突条部232に対応する位置となる。すると、流入管部F11の流入側平坦部F11cにより径方向外側へ押圧されていた弾性筒23の環状係合突条部232が、弾性力により弾性筒23の径方向内側に戻る方向へ収縮し、流入管部F11の流入側環状溝F11aに係合する。この状態でも、弾性筒23は流入管部F11が挿入されていない非挿入状態(
図8に示す)には戻っておらず、流入管部F11には、弾性筒23が径方向内側へ収縮しようとする弾性力が作用している。
【0075】
このとき、ハウジングF1の下部の外周面のうち後方に向いている部分が、下側インジケータ70に前方から当接して後方へ押圧することで、下側インジケータ70の下側濃色部72が、下側収容部45に内蔵されたコイルばね451の付勢力に抗して、下側収容部45に押し込まれて収容される。よって、下側淡色部71のみが下側収容部45から露出して、流入管部F11が流入側接続部20に接続された接続状態にあることを示す。
【0076】
以上の流入側接続部20に関する一連の動きは、
図12に示す流出側接続部30でも同時に同様に起こっているため、流入管部F11及び流出管部F12はそれぞれ流入側接続部20及び流出側接続部30に押し込まれて同時接続され、濾過フィルタFがホルダ1に保持される。この状態では、弾性筒23,33の弾性力により、環状係合突条部232,332が流入側環状溝F11a及び流出側環状溝F12aに係合し、流入管部F11及び流出管部F12がそれぞれ流入側接続部20及び流出側接続部30から抜け難くなっている。
【0077】
また、下側インジケータ70に関する一連の動きは、上側インジケータ60でも同時に同様に起こっている。したがって、接続作業者は流入管部F11及び流出管部F12が接続状態にあることを簡単かつ確実に確認した上で濾過フィルタFを使用できるため、流入管部F11又は流出管部F12が非接続状態で濾過フィルタFが使用されることによる液漏れを予防することができる。
【0078】
このとき、濾過フィルタFがホルダ1に保持された状態(
図15に示す)では、ハウジングF1と手掛け部40の連結部43との間には隙間が形成されているため、仮にハウジングF1や手掛け部40等の寸法に誤差があったとしても、ハウジングF1と連結部43が接触することはなく、濾過フィルタFがホルダ1に確実に保持される。
【0079】
また、
図14に示すように、ホルダ1を前方(流入管部F11及び流出管部F12の流入側挿入孔23a及び流出側挿入孔33aへの挿入方向)から見たときに、左右方向における手掛け部40の位置は、左右方向におけるハウジングF1の略中央(ハウジングF1と重なる位置)にあるため、接続作業者は流入管部F11及び流出管部F12の突出方向が流入側挿入孔23a及び流出側挿入孔33aの挿入方向に沿うように、流入管部F11及び流出管部F12を、流入側接続部20及び流出側接続部30に、実質的に同時に(均等な力で)押し込むことができる。したがって、流入管部F11及び流出管部F12が流入側挿入孔23a及び流出側挿入孔33aにスムーズに挿入されて流入側接続部20及び流出側接続部30に接続される。
【0080】
また、
図12に示すように、手掛け部40の連結部43はホルダ本体10及びハウジングF1の長手方向に長く延びているため、ハウジングF1に手のひらを当て、手掛け部40に複数本の指を掛けることができる。したがって、ハウジングF1と手掛け部40を一緒に握り込む際に、流入管部F11及び流出管部F12を流入側接続部20及び流出側接続部30に押し込む力を加えることが容易である。
【0081】
次に、上記のようにホルダ1に保持された濾過フィルタFを使用する場合について説明する。まず、
図15に示すように、ホルダ1の後方から突出する流入側L字管24に原水供給用チューブT1を、流出側L字管34に排水用チューブT2を、濾過フィルタFの上管部F2aに純水流出用チューブT3をそれぞれ接続し、濾過フィルタFの下管部F3aをキャップFcで液密に塞いでおく。そして、上管部F2aに接続された純水流出用チューブT3は、ホルダ本体10の上部のチューブ挿通孔10aに挿通し、透析装置(図示せず)に接続しておく。
【0082】
この状態で、原水供給用チューブT1に原水を供給すると、原水は流入側L字管24の内部、弾性筒23の内部及び流入管部F11の内部を通ってハウジングF1内に供給される。ハウジングF1内に供給された原水のうち一部は中空糸膜F4(
図2に示す)を介して濾過され、純水として中空糸膜F4の内部、上管部F2aの内部及び純水流出用チューブT3の内部を通って透析装置(図示せず)に供給される。一方、中空糸膜F4を通過しない原水は、流出管部F12の内部、弾性筒33の内部及び流出側L字管34の内部を通って排水用チューブT2から排出される。
【0083】
このとき、原水が中空糸膜F4(
図2に示す)の外部から内部へと濾過されるようにホルダ1が濾過フィルタFを保持しているため、中空糸膜F4の内部から外部に原水を濾過する場合に比べて、濾過フィルタFの目詰まり等が起こりにくく、長期間、濾過フィルタFの濾過性能を維持することができる。
【0084】
また、仮に原水の流入圧力が上昇した場合でも、
図13に示すように、流入側接続部20の弾性筒23は前側ケーシング21の径方向内側に収容されているため、弾性筒23は径方向外側へ弾性変形し難い。したがって、弾性筒23と流入管部F11との間から液漏れすることが抑制される。同様に、仮に原水の流出圧力が上昇した場合でも、流出側接続部30(
図15等に示す)の弾性筒33は前側ケーシング31の径方向内側に収容されているため、弾性筒33は径方向外側へ弾性変形し難い。したがって、弾性筒33と流出管部F12との間から液漏れすることが抑制される。
【0085】
また、濾過フィルタFの使用開始時に、流入管部F11から原水を流入する場合、中空糸膜F4(
図2に示す)の表面に気泡が付着するとともに、ハウジングF1内の上部に気泡がたまる。ハウジングF1内に気泡がたまると、原水と中空糸膜F4との接触面積が小さくなるため、濾過面積が小さくなって濾過性能が悪化するとともに、原水の流路内における圧力変動が大きくなり、透析装置(図示せず)のエラーを誘発するという問題がある。ここで、
図15において仮想線で示すように、角度調整部50の回動部材53を固定部材51に対して軸ねじ52周りに回動させてロック状態とし、回動側後板部53aを透析装置の側面W等に当てて、回動側後板部53aの長手方向が鉛直方向と一致するようにすると、ハウジングF1の上部が前方に傾くため、ハウジングF1内の気泡は、ハウジングF1内の上部の後側すなわち流出管部F12側にたまることになる。よって、ハウジングF1内の気泡はスムーズに流出管部F12の内部に導かれて、流出側接続部30の弾性筒33の内部及び流出側L字管34の内部を通り、排水用チューブT2から排出される。したがって、ハウジングF1内から全ての気泡が無くなるために、濾過面積が広く保たれ、濾過フィルタFの使用時の性能を高めることができる。また、原水流路内の圧力変動が抑制され、圧力変動に起因する透析装置(図示せず)のエラーを抑制することができる。
【0086】
以上説明したように、この実施形態1に係るホルダ1によれば、濾過フィルタFの流入管部F11及び流出管部F12が押し込まれて接続されるホルダ1の流入側接続部20と流出側接続部30の間に、接続作業者が手を掛けるための手掛け部40を設けたので、接続作業者はロックレバーの操作等の煩雑な作業をすることなく、濾過フィルタFをホルダ1に簡便に保持させることができる。
【0087】
また、濾過フィルタFがホルダ1に保持された状態で、ハウジングF1と手掛け部40との間には隙間が形成されるようにしたので、仮にハウジングF1や手掛け部40等の寸法に誤差があったとしても、ハウジングF1と手掛け部40が接触することはなく、接続作業者は濾過フィルタFをホルダ1に確実に保持させることができる。
【0088】
また、ハウジングF1の長手方向と鉛直線とのなす角度を調整する角度調整部50を設けたので、濾過フィルタFの使用時の性能を高めることができる。
【0089】
また、流出管部F12及び流入管部F11が接続状態にあるか否かを示す上側インジケータ60及び下側インジケータ70を設けたので、流出管部F12又は流入管部F11が非接続状態で濾過フィルタFが使用されることによる液漏れを予防することができる。
【0090】
(実施形態2)
図16及び
図17は本発明の実施形態2を示す。尚、以下の実施形態2では、
図1〜
図15(実施形態1)と同じ部分については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施形態1では、手掛け部40が棒状の部材であるのに対し、この実施形態2では、手掛け部80が板状の部材である点で異なっている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0091】
すなわち、この実施形態2では、手掛け部80はホルダ本体10の前面における流出側接続部30の下方に取り付けられた板状の上側取付部81と、上側取付部81の上端部から前方に突出する上側板状部82と、流入側接続部20の上方に取り付けられた板状の下側取付部83と、下側取付部83の下端部から前方に突出する下側板状部84と、上側板状部83の前端部と下側板状部84の前端部を上下に連結する板状の連結部85と、を備える。
【0092】
連結部85の上部及び下部には、上側インジケータ60及び下側インジケータ70を収容するための上側収容部86及び下側収容部87が取り付けられている。上側収容部86及び下側収容部87には、上側インジケータ60及び下側インジケータ70を突出方向に付勢するためのコイルばね(図示せず)がそれぞれ内蔵されている。
【0093】
この実施形態2でも、例えば接続作業者が濾過フィルタFのハウジングF1(
図1等に示す)に手のひらを当てて手掛け部80の連結部85に指を掛け、ハウジングF1と手掛け部80を一緒に握り込むように力を加えると、ハウジングF1がホルダ本体10に接近する方向の力が作用して、流入管部F11(
図1等に示す)及び流出管部F12(
図1等に示す)が流入側接続部20及び流出側接続部30に押し込まれて同時接続される。したがって、この実施形態2でも、実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0094】
(実施形態3)
図18〜
図20は本発明の実施形態3を示す。尚、以下の実施形態3では、
図1〜
図15(実施形態1)と同じ部分については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施形態1では、棒状の部材である手掛け部40がホルダ本体10に取り付けられているのに対し、この実施形態3では、ホルダ本体10の一部を折り曲げ加工することで、ホルダ本体10と一体に手掛け部11が設けられている点で異なっている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0095】
すなわち、この実施形態3では、ホルダ本体10の上下方向中央部に、上下に延びる2本の切り込みを互いに略平行に形成した後、これら切り込みの間の部分を後方から前方に向けて側面視でコの字状になるように折り曲げ加工することで、手掛け部11が形成されている。したがって、手掛け部11は、ホルダ本体10の前面における流出側接続部30の前側ケーシング31の下方から前方に突出する上側板状部11aと、流入側接続部20の前側ケーシング21の上方から前方に突出する下側板状部11bと、上側板状部11aの前端部と下側板状部11bの前端部を上下に連結する板状の連結部11cとを備えている。
【0096】
また、
図20に示すように、ホルダ本体10における手掛け部11の後方に位置する部分には、手掛け部を折り曲げ加工することにより、加工孔11dが形成されている。
【0097】
図18〜
図20に示すように、連結部11cの上部及び下部には、上側インジケータ60及び下側インジケータ70を収容するための上側収容部86及び下側収容部87が取り付けられている。上側収容部86及び下側収容部87には、上側インジケータ60及び下側インジケータ70を突出方向に付勢するためのコイルばね(図示せず)がそれぞれ内蔵されている。
【0098】
この実施形態3でも、例えば接続作業者が濾過フィルタFのハウジングF1(
図1等に示す)に手のひらを当てて手掛け部11の連結部11cに指を掛け、ハウジングF1と手掛け部11を一緒に握り込むように力を加えると、ハウジングF1がホルダ本体10に接近する方向の力が作用して、流入管部F11(
図1等に示す)及び流出管部F12(
図1等に示す)が流入側接続部20及び流出側接続部30に押し込まれて同時接続される。したがって、この実施形態3でも、実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0099】
また、この実施形態3では、手掛け部11がホルダ本体10と一体に設けられているため、部品点数が少なくなるという利点がある。
【0100】
(実施形態4)
図21及び
図22は本発明の実施形態4を示す。尚、以下の実施形態4では、
図1〜
図15(実施形態1)と同じ部分については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。この実施形態4は、ホルダ1におけるホルダ本体10よりも前側の部分及び濾過フィルタFを保護するための保護カバー90をホルダ1に対して取り付けた点で、実施形態1とは異なっている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0101】
すなわち、この実施形態4では、略直方体形状の保護カバー90がホルダ本体10の前面に着脱可能に取り付けられている。保護カバー90の上下方向の長さは、ホルダ本体10の上下方向の長さと同等であり、保護カバー90の左右方向の長さは、ホルダ本体10の左右方向の長さよりも若干長く設定されている。また、保護カバー90の前後方向の長さは、濾過フィルタFをホルダ1に保持したときの、濾過フィルタFにおける最も前方に位置している部分とホルダ本体10の前面との間の距離よりも長く設定されている。
【0102】
保護カバー90の上面は、ホルダ本体10の上部に取り付けられた掛止部12に掛止されている。保護カバー90の後面は開放されている。
【0103】
保護カバー90の上下方向中央部近傍には、保護カバー90の前面から左右の両側面に亘って、濾過フィルタFのハウジングF1の外周面に当接する半円筒部91が形成されている。半円筒部91の内径は、ハウジングF1の直径よりも若干小さく設定されている。
【0104】
また、保護カバー90の左右の両側面における上下方向中央部近傍には、半円筒部91の左右の端部から後方に延びるように連続する連続部92が設けられている。連続部92は、上下方向及び前後方向に沿って平坦であり、左右の連続部92の間の距離は、ハウジングF1の直径と同程度に設定されている。
【0105】
保護カバー90がホルダ1に取り付けられた状態では、ハウジングF1の外周面が半円筒部91の内周面及び連続部92の内壁面に当接することで、保護カバー90の左右方向への位置ずれが規制されるようになっている。
【0106】
この実施形態4では、濾過フィルタF、流入側接続部20及び流出側接続部30に異物が付着してハウジングF1内に流通する液体が汚染されることが抑制されるとともに、不慮の事故による濾過フィルタF及びホルダ1の損傷が緩和されるという利点がある。
【0107】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、流入側接続部20と流出側接続部30との間の離間距離は固定されているが、この離間距離を調整するための距離調整手段(図示せず)を設けてもよい。例えば、ホルダ1における流入側接続部20と流出側接続部30との間にスライド部(図示せず)を設け、流入側接続部20と流出側接続部30との間の距離を調整可能としてもよい。この場合、形状や大きさの異なる濾過フィルタでも、同じホルダ1で保持することができる。
【0108】
また、上述の実施形態では、上側インジケータ60及び下側インジケータ70は手掛け部40の上部及び下部に設けられているが、上側インジケータ60を流出側接続部30に、下側インジケータ70を流入側接続部20に設けるようにしてもよい。インジケータを設ける位置は、流入側挿入孔23a又は流出側挿入孔33aの上方であっても下方であってもよいが、ホルダ1を前方から見た時に、インジケータ60,70がハウジングF1と重なる位置にあることが望ましい。また、インジケータの数は2個に限定されず、1個でも3個以上でもよい。
【0109】
また、上述の実施形態では、インジケータ60,70は、突出方向先端側が淡色部で基端側が濃色部であるが、突出方向先端側が濃色部で基端側が淡色部であってもよい。
【0110】
また、上述の実施形態では、下側インジケータ70は下側収容部45に内蔵されたコイルばね451によって前方に付勢されており、上側インジケータ60も同様に前方に付勢されているが、コイルばねで付勢することに代えて、濾過フィルタF及びインジケータ60,70が当接する位置に一対の磁石(図示せず)を取り付けるようにしてもよい。この場合、流入管部F11および流出管部F12が接続状態にあるときには、インジケータ60,70はホルダ1内に押し込まれて収容され、流入管部F11および流出管部F12が取り外されるときには、濾過フィルタFに取り付けられた磁石がインジケータ60,70に取り付けられた磁石を引き付けることで、インジケータ60,70がホルダ1から露出して、流入管部F11及び流出管部F12が非接続状態にあることを示すようになる。