(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
押出物の形状を規定する口金を備えた押出機と、前記口金から押し出される帯状の押出物を連続的に搬送する少なくとも1つの搬送装置とを備えた押出成形装置を用いてゴム組成物からなる押出物を成形する際に該押出物に生じる歪を計測する方法であって、前記押出物に対して押出直後に透明な蛍光塗料からなる模様を印刷し、前記押出物の搬送経路において前記押出物に対して紫外線を照射し、該紫外線の照射に伴って前記押出物上に浮き上がった模様を画像検出器により検出し、該画像検出器の検出結果に基づいて前記押出物に生じている歪を算出することを特徴とする押出物の歪計測方法。
押出物の形状を規定する口金を備えた押出機と、前記口金から押し出される帯状の押出物を連続的に搬送する少なくとも1つの搬送装置とを備えた押出成形装置を用いてゴム組成物からなる押出物を成形する際に該押出物に生じる歪を計測する方法であって、前記押出物に対して押出直後に透明又は黒色であって赤外線放射率が前記ゴム組成物とは異なる塗料からなる模様を印刷し、前記押出物の搬送経路において前記押出物に印刷された模様を赤外線感知機能を持つ画像検出器により検出し、該画像検出器の検出結果に基づいて前記押出物に生じている歪を算出することを特徴とする押出物の歪計測方法。
押出物の形状を規定する口金を備えた押出機と、前記口金から押し出される帯状の押出物を連続的に搬送する少なくとも1つの搬送装置とを備えた押出成形装置を用いてゴム組成物からなる押出物を成形する際に該押出物に生じる歪を計測する方法であって、前記押出物に対して押出直後に加硫時の加熱で黒色に変色する塗料からなる模様を印刷し、前記押出物の搬送経路において前記押出物に印刷された模様を画像検出器により検出し、該画像検出器の検出結果に基づいて前記押出物に生じている歪を算出することを特徴とする押出物の歪計測方法。
【背景技術】
【0002】
例えば、空気入りタイヤに使用されるトレッド部材やサイド部材等のタイヤ構成部材はゴム組成物を連続的に押し出すことで帯状に成形され、しかる後、所望の長さに切断される。このような押出物を成形する場合、押出機の口金から押し出された帯状の押出物を少なくとも1つの搬送装置を介して連続的に搬送する際に、押出機の押出速度及び各搬送装置の稼働速度を制御することで押出物に対して所定の歪を与え、規定の最終寸法を有する押出物を得るようにしている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
しかしながら、上述のような押出成形方法において、搬送装置の稼働速度はそれを駆動するモーター等の回転数等により把握できるが、押出物の移動速度は必ずしも正確に把握できないため、押出物に対して実際に如何なる歪が与えられているのかを把握するのは困難である。
【0004】
これに対して、押し出された押出物に回転体等からなる速度検出器を当接させ、その速度検出器により押出物の移動速度を計測し、その移動速度から押出物の長手方向の歪を推測することが考えられる。しかしながら、この場合、押出物の幅方向の歪情報を得ることはできない。
【0005】
また、上述のような手法により押出物の長手方向の歪情報を取得することができたとしても、それは押出物の幅方向の一部での歪情報であって押出物の全体の歪分布を示すものではない。そのため、押出物の全体の歪分布を把握するには押出物の幅方向に沿って多数の速度検出器を設置する必要があり、これは現実的な手法ではない。
【0006】
このような状況に鑑みて、本発明者は、押出物に対して押出直後に印刷機により幾何学模様を印刷し、その押出物に印刷された幾何学模様を画像検出器により検出し、その画像検出器の検出結果に基づいて押出物の歪を算出することを検討した。この場合、押出物の歪分布を容易に観測することが可能になる。
【0007】
しかしながら、押出物に対して画像検出器で検出可能な幾何学模様を印刷した場合、その押出物に印刷された幾何学模様が最終的なゴム製品に残存してしまうため、ゴム製品の仕分けが困難になるばかりでなく、ゴム製品としての外観が悪化し、商品価値の低下を招くという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ゴム組成物からなる押出物を用いて得られるゴム製品の仕分け容易性や外観を悪化させることなく、押出物の歪分布を容易に観測することを可能にした押出物の歪計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の押出物の歪計測方法は、押出物の形状を規定する口金を備えた押出機と、前記口金から押し出される帯状の押出物を連続的に搬送する少なくとも1つの搬送装置とを備えた押出成形装置を用いてゴム組成物からなる押出物を成形する際に該押出物に生じる歪を計測する方法であって、前記押出物に対して押出直後に透明な蛍光塗料からなる模様を印刷し、前記押出物の搬送経路において前記押出物に対して紫外線を照射し、該紫外線の照射に伴って前記押出物上に浮き上がった模様を画像検出器により検出し、該画像検出器の検出結果に基づいて前記
押出物に生じている歪を算出することを特徴とするものである。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の押出物の歪計測方法は、押出物の形状を規定する口金を備えた押出機と、前記口金から押し出される帯状の押出物を連続的に搬送する少なくとも1つの搬送装置とを備えた押出成形装置を用いてゴム組成物からなる押出物を成形する際に該押出物に生じる歪を計測する方法であって、前記押出物に対して押出直後に透明又は黒色であって赤外線放射率が前記ゴム組成物とは異なる塗料からなる模様を印刷し、前記押出物の搬送経路において前記押出物に印刷された模様を赤外線感知機能を持つ画像検出器により検出し、該画像検出器の検出結果に基づいて前記
押出物に生じている歪を算出することを特徴とするものである。
【0012】
更に、上記目的を達成するための本発明の押出物の歪計測方法は、押出物の形状を規定する口金を備えた押出機と、前記口金から押し出される帯状の押出物を連続的に搬送する少なくとも1つの搬送装置とを備えた押出成形装置を用いてゴム組成物からなる押出物を成形する際に該押出物に生じる歪を計測する方法であって、前記押出物に対して押出直後に加硫時の加熱で黒色に変色する塗料からなる模様を印刷し、前記押出物の搬送経路において前記押出物に印刷された模様を画像検出器により検出し、該画像検出器の検出結果に基づいて前記
押出物に生じている歪を算出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、押出物の形状を規定する口金を備えた押出機と、その口金から押し出される帯状の押出物を連続的に搬送する少なくとも1つの搬送装置とを備えた押出成形装置を用いて押出物を成形するにあたって、ゴム製品の状態では痕跡が実質的に残らない塗料からなる模様を押出物に対して印刷し、その模様を画像検出器により検出し、その画像検出器の検出結果に基づいて押出物の歪を算出するので、ゴム組成物からなる押出物を用いて得られるゴム製品の仕分け容易性や外観を悪化させることなく、押出物の歪分布を容易に観測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る押出物の歪計測方法を実施するための押出成形装置の一例を示すものである。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の押出成形装置は、押出物1を成形するための押出機10を備えている。この押出機10は、水平方向に延長するように配設されたシリンダ11と、該シリンダ11内に設置されたスクリュー12と、シリンダ11の先端側に設置された口金13とを有し、シリンダ11の後端側に設けられたホッパー14から原料を投入し、口金13から押出物1を連続的に排出するようになっている。そのため、押出物1の形状は口金13により規定される。トレッド部材やサイド部材等のタイヤ構成部材を成形する場合、押出物1の原料として未加硫のゴム組成物を使用し、口金13の形状を適宜選択することにより、所望の形状を有するタイヤ構成部材を成形することができる。
【0017】
押出物1の搬送経路には、口金13から押し出される帯状の押出物1を連続的に搬送するための複数の搬送装置(例えば、ベルトコンベア)21,22,23が配設されている。そして、押出機10の押出速度及び搬送装置21〜23の稼働速度は制御装置(制御手段、演算手段)30により制御されている。例えば、搬送装置22の稼働速度V
2を搬送装置21の稼働速度V
1よりも速くすると押出物1は搬送装置21,22を通過する際に引き伸ばされ、搬送装置23の稼働速度V
3を搬送装置22の稼働速度V
2よりも遅くすると押出物1は搬送装置22,23を通過する際に押し縮められることになる。
【0018】
上記押出成形装置において、押出機10の口金13の近傍には、押出物1に対して押出直後に透明な蛍光塗料からなる模様を印刷する印刷機40が配設されている。この印刷機40により印刷される模様は、押出物1の長手方向に沿って連続していても良く、或いは、押出物1の長手方向に沿って間欠的に配置されていても良い。
【0019】
蛍光塗料は、特に限定されるものではなく、紫外線の照射により発光する蛍光染料や蛍光物質を含む塗料であれば良い。
【0020】
印刷される模様としては、幾何学模様を採用することが好ましい。幾何学模様とは三角形、方形、菱形、多角形、円形等を素材とする模様であり、このような幾何学模様によれば、押出方向及びそれと直交する押出物1の幅方向の形状変化を捉えることができる。幾何学模様は点の集合体や線により構成することが可能であるが、線で構成した方が連続的な情報が得られるため好ましい。また、歪を計測したい方向、例えば、押出方向及び幅方向に対してそれぞれ角度を持つように線を配置することにより、両方向の歪を同時に計測することができる。
【0021】
搬送装置21〜23の上方位置には、押出物1の搬送経路に沿って、押出物1に印刷された模様を検出する複数の画像検出器(例えば、カメラ)51,52,53が配設されている。より具体的には、画像検出器51は押出物1の搬送経路における印刷機40の下流側において搬送装置21の直上域に配置され、画像検出器52は搬送装置22の直上域に配置され、画像検出器53は搬送装置23の直上域に配置されている。また、搬送装置21〜23の上方位置には、各画像検出器51〜53の撮像箇所に向かって紫外線を照射する複数の紫外線照射装置61,62,63が配設されている。これら紫外線照射装置61〜63からの紫外線の照射により押出物1上に蛍光塗料からなる模様が鮮明に浮き上がるようになっている。画像検出器51〜53の検出結果は制御装置30に入力され、制御装置30の演算手段が画像検出器51〜53の検出結果に基づいて押出物1の歪を演算するようになっている。そして、制御装置30は演算手段により算出された押出物1の歪に基づいて押出機10の押出速度及び/又は搬送装置21〜23の稼働速度を制御するようになっている。
【0022】
次に、上述した押出成形装置を用いて押出物1を成形する際に押出物1に生じる歪を計測する方法について、
図2(a)〜(d)及び
図3(a)〜(d)を用いて説明する。
【0023】
先ず、押出機10を駆動することにより、押出機10の口金13から帯状の押出物1を連続的に押し出す。この押出物1は搬送装置21〜23により連続的に搬送され、その搬送過程において冷却された後、所定の長さに切断されて目的成形物となる。押出物1を成形するにあたって、押出機10の押出速度及び各搬送装置21〜23の稼働速度を制御することで押出物1に対して所定の歪を与え、規定の最終寸法を有する押出物1を得るようにする。
【0024】
このような押出成形工程において、押出物1に対して押出直後に印刷機40により蛍光塗料からなる模様を印刷し、その押出物1の搬送経路に沿って配設された紫外線照射装置61〜63により押出物1に対して紫外線を照射し、紫外線の照射に伴って押出物1上に浮き上がった模様を画像検出器51〜53により検出する。そして、画像検出器51〜53の検出結果に基づいて制御装置30の演算手段により押出物1の歪を算出する。
【0025】
例えば、
図2(a)に示すように、押出物1に多数の方形からなる幾何学模様41aを印刷した場合、画像検出器51により検出される幾何学模様41b、画像検出器52により検出される幾何学模様41c及び画像検出器53により検出される幾何学模様41dの形状は、押出物1の歪の状態に応じて
図2(b)〜
図2(d)のように変化する。ここで、印刷機40の近傍で画像検出器51により検出された幾何学模様41bの寸法データを初期値とし、画像検出器52,53により検出された幾何学模様41c,41dの寸法データの初期値に対する変化量を求めることにより、各時点において押出物1に生じている歪を算出することができる。なお、画像検出器51により検出された幾何学模様41bの寸法データを初期値とする替りに、印刷機40により印刷される幾何学模様41bの寸法データを初期値として使用することも可能である。
【0026】
また、
図3(a)に示すように、押出物1に網目状の幾何学模様42aを印刷した場合、画像検出器51により検出される幾何学模様42b、画像検出器52により検出される幾何学模様42c及び画像検出器53により検出される幾何学模様42dの形状は、押出物1の歪の状態に応じて
図3(b)〜
図3(d)のように変化するが、この場合も、上記と同様に押出物1に生じた歪を算出することができる。
【0027】
このように押出物1に対して押出直後に印刷機40により蛍光塗料からなる模様を印刷し、その押出物1の搬送経路に沿って配設された少なくとも1つの紫外線照射装置61〜63により押出物1に対して紫外線を照射し、少なくとも1つの画像検出器51〜53により押出物1に印刷された模様を検出し、その画像検出器51〜53の検出結果に基づいて制御装置30の演算手段により押出物1の歪を算出することにより、押出物1の歪分布を容易に観測することができる。
【0028】
更に、上記押出成形方法においては、演算手段により算出された押出物1の歪に基づいて制御装置30の制御手段が押出機10の押出速度及び/又は搬送装置21〜23の稼働速度を制御することにより、押出物1の歪を精度良く制御することができる。例えば、押出物1に与えられるべき長手方向の伸張が不十分である場合、押出機10の押出速度を低下させたり、搬送装置21〜23の稼働速度を下流側ほど速くしたりすることにより、押出物1を引き延ばすような歪を与えることができる。これとは逆に、押出物1に与えられるべき幅方向の拡張が不十分である場合、押出機10の押出速度を増大させたり、搬送装置21〜23の稼働速度を下流側ほど遅くしたりすることにより、押出物1を押し縮めるような歪を与えることができる。これにより、所望の最終寸法を有する押出物1を得ることができる。特に、ゴム組成物から構成される押出物1は押出後に収縮する傾向があるので、その押出物1の歪を制御することにより、押出後の寸法変化を小さくすることができる。
【0029】
このようにして得られた押出物1は、空気入りタイヤに代表されるゴム製品の構成部材として使用されるが、押出物1の歪を計測するために印刷された模様がゴム製品に残存していると、ゴム製品の仕分けが困難になるばかりでなく、ゴム製品としての外観が悪化し、商品価値の低下を招くことになる。しかしながら、上記押出成形装置を用いて押出物1を成形するにあたって、ゴム製品の状態では痕跡が実質的に残らない透明な蛍光塗料からなる模様を押出物1に対して印刷し、押出物1に対して紫外線照射装置61〜63から紫外線を照射し、紫外線の照射に伴って押出物1上に浮き上がった模様を画像検出器51〜53により検出し、その画像検出器51〜53の検出結果に基づいて押出物1の歪を算出するので、ゴム組成物からなる押出物1を用いて得られるゴム製品の仕分け容易性や外観を悪化させることなく、押出物1の歪分布を容易に観測することができる。この場合、押出物1の単体についても仕分け容易性を高めることができる。
【0030】
図4は本発明に係る押出物の歪計測方法を実施するための他の押出成形装置を示すものである。
図4において、
図1と同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
【0031】
この押出成形装置において、押出物1の歪を計測するために、押出機10の口金13の近傍には、押出物1に対して押出直後に透明又は黒色であって赤外線放射率がゴム組成物とは異なる塗料からなる模様を印刷する印刷機40Aが配設されている。この印刷機40Aにより印刷される模様は、押出物1の長手方向に沿って連続していても良く、或いは、押出物1の長手方向に沿って間欠的に配置されていても良い。
【0032】
透明又は黒色であって赤外線放射率がゴム組成物とは異なる塗料としては、一般に断熱塗料として認識される塗料等を使用することができる。このような塗料として、例えば、一般的にタイヤトレッド部の識別記号の印刷に使われる塗料に赤外線反射顔料(例えば、アサヒ化成工業株式会社製のIRR Black #6303)を適量(例えば、5重量部)配合して黒色塗料としたものを挙げることができる。また、上記塗料の赤外線放射率と押出物1を構成するゴム組成物の赤外線放射率との差は0.05以上、より好ましくは、0.1以上であると良い。両者間の赤外線放射率の差を十分に確保することにより、押出物1から放射される赤外線が上記塗料によって効果的に吸収又は遮蔽されるので、押出物1に印刷された模様をより確実に判別することができる。
【0033】
搬送装置21〜23の上方位置には、押出物1の搬送経路に沿って、押出物1に印刷された模様を検出する複数の画像検出器(例えば、カメラ)51A,52A,53Aが配設されている。これら画像検出器51A〜53Aはいずれも赤外線感知機能を有するものである。画像検出器51Aは押出物1の搬送経路における印刷機40Aの下流側において搬送装置21の直上域に配置され、画像検出器52Aは搬送装置22の直上域に配置され、画像検出器53Aは搬送装置23の直上域に配置されている。画像検出器51A〜53Aの検出結果は制御装置30に入力され、制御装置30の演算手段が画像検出器51A〜53Aの検出結果に基づいて押出物1の歪を演算するようになっている。
【0034】
上述した押出成形装置を用いて押出物1を成形する場合、押出物1に対して押出直後に印刷機40Aにより透明又は黒色であって赤外線放射率がゴム組成物とは異なる塗料からなる模様を印刷し、その押出物1の搬送経路に沿って配設された少なくとも1つの赤外線感知機能付きの画像検出器51A〜53Aにより押出物1に印刷された模様を検出し、その画像検出器51A〜53Aの検出結果に基づいて制御装置30の演算手段により押出物1の歪を算出することにより、押出物1の歪分布を容易に観測することができる。
【0035】
また、上記押出成形装置を用いて押出物1を成形するにあたって、カーボンブラックで補強された黒色のゴム製品の状態では痕跡が実質的に残らない透明又は黒色の塗料からなる模様を押出物1に対して印刷し、押出物1の搬送経路において押出物1に印刷された模様を赤外線感知機能付きの画像検出器51A〜53Aにより検出し、その画像検出器51A〜53Aの検出結果に基づいて押出物1の歪を算出するので、ゴム組成物からなる押出物1を用いて得られるゴム製品の仕分け容易性や外観を悪化させることなく、押出物1の歪分布を容易に観測することができる。この場合、押出物1の単体についても仕分け容易性を高めることができる。
【0036】
図5は本発明に係る押出物の歪計測方法を実施するための更に他の押出成形装置を示すものである。
図5において、
図1と同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
【0037】
この押出成形装置において、押出物1の歪を計測するために、押出機10の口金13の近傍には、押出物1に対して押出直後に加硫時の加熱で黒色に変色する塗料からなる模様を印刷する印刷機40Bが配設されている。この印刷機40Bにより印刷される模様は、押出物1の長手方向に沿って連続していても良く、或いは、押出物1の長手方向に沿って間欠的に配置されていても良い。
【0038】
加硫時の加熱で黒色に変色する塗料としては、不可逆性示温塗料又は感熱インキ等を使用することができる。ここで言う不可逆性示温塗料又は感熱インキは、例えば、0℃〜40℃の温度範囲では白色又は有彩色(即ち、黒色以外の色)を呈する一方で、特定の変色温度まで加熱されると黒色に変色し、その黒色を維持する塗料である。不可逆性示温塗料又は感熱インキの変色温度は、ゴム製品の加硫温度が140℃〜200℃であることを考慮して、例えば、100℃〜160℃の範囲にあることが好ましい。不可逆性示温塗料としては、例えば、熱研科学工業(株)製のサーモベルNF−160(変色温度160℃)、ダイサーモPI−110(変色温度110℃)及びダイサーモPI−150(変色温度150℃)を挙げることができる。感熱インキとしては、例えば、日本化薬(株)製の感熱インキT−1765(変色温度140℃)、T−1800(変色温度130℃)及びW−1760(変色温度120℃)を挙げることができる。
【0039】
搬送装置21〜23の上方位置には、押出物1の搬送経路に沿って、押出物1に印刷された模様を検出する複数の画像検出器(例えば、カメラ)51B,52B,53Bが配設されている。より具体的には、画像検出器51Bは押出物1の搬送経路における印刷機40Bの下流側において搬送装置21の直上域に配置され、画像検出器52Bは搬送装置22の直上域に配置され、画像検出器53Bは搬送装置23の直上域に配置されている。画像検出器51B〜53Bの検出結果は制御装置30に入力され、制御装置30の演算手段が画像検出器51B〜53Bの検出結果に基づいて押出物1の歪を演算するようになっている。
【0040】
上述した押出成形装置を用いて押出物1を成形する場合、押出物1に対して押出直後に印刷機40Bにより加硫時の加熱で黒色に変色する塗料からなる模様を印刷し、その押出物1の搬送経路に沿って配設された少なくとも1つの画像検出器51B〜53Bにより押出物1に印刷された模様を検出し、その画像検出器51B〜53Bの検出結果に基づいて制御装置30の演算手段により押出物1の歪を算出することにより、押出物1の歪分布を容易に観測することができる。
【0041】
また、上記押出成形装置を用いて押出物1を成形するにあたって、カーボンブラックで補強された黒色のゴム製品の状態では痕跡が実質的に残らない加硫時の加熱で黒色に変色する塗料からなる模様を押出物1に対して印刷し、押出物1の搬送経路において押出物1に印刷された模様を持つ画像検出器51B〜53Bにより検出し、その画像検出器51B〜53Bの検出結果に基づいて押出物1の歪を算出するので、ゴム組成物からなる押出物1を用いて得られるゴム製品の仕分け容易性や外観を悪化させることなく、押出物1の歪分布を容易に観測することができる。