【実施例】
【0023】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本実施例において、各原料及び素材の配合比率、含有比率、濃度は断りのない限り全て重量部基準である。
【0024】
[実施例1]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)26gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)20gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)54gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例1)を得た。
【0025】
[実施例2]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)26gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)3gと、(C)賦形剤として、難消化性デンプン(日食ロードスター(登録商標):日本食品化工株式会社製、全窒素濃度:0.1重量%)71gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例2)を得た。
【0026】
[実施例3]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)55gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)10gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)35gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例3)を得た。
【0027】
[実施例4]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)25gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、乾燥酵母粉末(アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:8.2重量%、アミノ態窒素濃度:0.7重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.09)55gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)20gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例4)を得た。
【0028】
[実施例5]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)60gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)10gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)30gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例5)を得た。
【0029】
[実施例6]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)25gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、乾燥酵母粉末(アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:8.2重量%、アミノ態窒素濃度:0.7重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.09)60gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)15gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例6)を得た。
【0030】
[実施例7]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)25gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、米麹粉末(市販品、全窒素濃度:1.2重量%、アミノ態窒素濃度:0.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.08)20gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)55gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例7)を得た。
【0031】
[比較例1]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)26gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)74gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、油脂粉末95g(比較例1)を得た。
【0032】
[評価試験1]
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6及び実施例7で得られた本発明の油脂粉末並びに比較例1で得られた油脂粉末を検体として、それぞれを50℃で6日間保存した後、各検体をジエチルエーテルで抽出することで得られた脂質の過酸化物価(POV)を常法により測定した。なお、上記各実施例及び比較例において、高度不飽和脂肪酸含有油脂として用いたドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)のPOVは、0.9であった。また、50℃で6日間の保存条件は、常温(20℃)保存の約1.5ヶ月、冷蔵(10℃)保存の約3ヶ月間にそれぞれ相当するものである。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すとおり、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6及び実施例7で得られた本発明の油脂粉末は、いずれもPOVが30以下と低い値であった。一方、比較例1で得られたタンパク質含有乾燥物を配合していない油脂粉末は、食用として用いることが出来ない程度までPOVが増加していた。すなわち、本発明の油脂粉末は、酸化安定性が顕著に高まっており、酸化による劣化が予防された、酸化安定性に優れた油脂粉末であることがわかった。
【0035】
[評価試験2]
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6及び実施例7で得られた本発明の油脂粉末並びに比較例1で得られた油脂粉末を検体として、50℃で6日間保存後の流動性を観察した。流動性の評価は、各検体を10メッシュのふるいで篩別したとき、ふるいで篩別する前の検体の全重量に対して、ふるいを通過した検体の重量を求め、その割合を算出した。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2のとおり、本発明の油脂粉末の中でも、特に実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例7については、10メッシュのふるいを通過した割合が80重量%を超え、特に優れた流動性を示した。
【0038】
[実施例8]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)25gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、カザミノ酸粉末(Bacto(登録商標)カザミノ酸:ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー社製、全窒素濃度:10.8重量%、アミノ態窒素濃度:7.7重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.71)10gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)65gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例8)を得た。
【0039】
[実施例9]
(B)タンパク質含有乾燥物として、植物タンパク加水分解物粉末(プロエキスB:播州調味料株式会社製、全窒素濃度:6.2重量%、アミノ態窒素濃度:3.6重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.58)を用いる以外は、実施例8と同様にして、本発明の油脂粉末95g(実施例9)を得た。
【0040】
[実施例10]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)25gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、乾燥酵母粉末(アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:8.2重量%、アミノ態窒素濃度:0.7重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.09)20gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)55gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例10)を得た。
【0041】
[実施例11]
(B)タンパク質含有乾燥物として、酒粕粉末(ST酒粕パウダー:池田糖化工業株式会社製、全窒素濃度:4.4重量%、アミノ態窒素濃度:0.6重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.14)を用いる以外は、実施例10と同様にして、本発明の油脂粉末95g(実施例11)を得た。
【0042】
[比較例2]
(B)タンパク質含有乾燥物として、カゼインナトリウム粉末(カゼインナトリウムCW:日本新薬株式会社製、全窒素濃度:14.1重量%、アミノ態窒素濃度:0.7重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.05)を用いる以外は、実施例10と同様にして、油脂粉末95g(比較例2)を得た。
【0043】
[比較例3]
(B)タンパク質含有乾燥物として、きな粉(市販品、全窒素濃度:6.4重量%、アミノ態窒素濃度:0.2重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.03)を用いる以外は、実施例10と同様にして、油脂粉末95g(比較例3)を得た。
【0044】
[比較例4]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)25gと、(B)アミノ酸乾燥物として、L−セリン粉末(協和発酵バイオ株式会社製、全窒素濃度:13.3重量%、アミノ態窒素濃度:11.5重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.86)5gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)70gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、油脂粉末95g(比較例4)を得た。
【0045】
[評価試験3]
実施例1、実施例7、実施例8、実施例9、実施例10及び実施例11で得られた本発明の油脂粉末並びに比較例1、比較例2、比較例3及び比較例4で得られた油脂粉末を検体として、それぞれを50℃で6日間保存した後、各検体をジエチルエーテルで抽出することで得られた脂質の過酸化物価(POV)を常法により測定した。なお、上記各実施例及び各比較例において、高度不飽和脂肪酸含有油脂として用いたドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)のPOVは、0.9であった。また、50℃で6日間の保存条件は、常温保存の約1.5ヶ月間、冷蔵保存の約3ヶ月間にそれぞれ相当するものである。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
表3に示すとおり、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度が0.06〜0.8である、実施例1、実施例7、実施例8、実施例9、実施例10及び実施例11で得られた本発明の油脂粉末は、いずれもPOVが30以下と低い値であり、酸化安定性に優れた油脂粉末であった。一方、タンパク質含有乾燥物を含まない比較例1で得られた油脂粉末、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度が0.06未満である比較例2及び比較例3で得られた油脂粉末並びにアミノ態窒素濃度/全窒素濃度が0.8超過である比較例4で得られた油脂粉末は、いずれもPOVが50を超えており、酸化安定性に劣る油脂粉末であった。
【0048】
[実施例12]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)26gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)10gと、(C)賦形剤として、セルロース(KCフロック(登録商標)W−200G:日本製紙株式会社製、全窒素濃度:不検出)20g及びオクテニルコハク酸デンプンナトリウム(乳華L:日澱化學株式会社製、全窒素濃度:不検出)39gと、さらに、乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル(リョートー(登録商標)ポリグリエステルO−50D:三菱化学フーズ株式会社製)5gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例12)を得た。
【0049】
[評価試験4]
実施例12で得られた本発明の油脂粉末を、50℃で9日間保存した後、ジエチルエーテルで抽出することで得られた脂質の過酸化物価(POV)を常法により測定した。なお、高度不飽和脂肪酸含有油脂として用いたドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)のPOVは、0.9であった。また、50℃で9日間の保存条件は、常温保存の約2.5ヶ月間、冷蔵保存の約5ヶ月間に相当するものである。さらに、実施例12で得られた本発明の油脂粉末を検体として、50℃で9日間保存後の流動性を評価試験2と同様にして観察した。また、50℃で9日間保存後の油脂粉末1gを水道水99gに分散させ、その水に対する分散性を観察した。結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
表4に示す通り、実施例12で得られた本発明の油脂粉末は、POVが3.5と極めて低い値であった。また、10メッシュのふるいを通過した割合は、93重量%であり、特に優れた流動性を示した。さらに、水分散性については、油浮きが全く見られず、ムラの無い均一な水分散性を示した。
【0052】
[実施例13]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)25gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)10gと、(C)賦形剤として、澱粉(オイルQNo.50:日澱化學株式会社製、全窒素濃度:0.1重量%)65gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例13)を得た。
【0053】
[評価試験5]
実施例13で得られた本発明の油脂粉末を、50℃で8〜22日間保存した後、ソックスレー抽出法により得られた脂質について、脂質のドコサヘキサエン酸(DHA)含量を社団法人日本油化学会編「基準油脂分析試験法」の「参3.2.3−1996」により、また、脂質の過酸化物価(POV)を常法により、それぞれ測定した。なお、高度不飽和脂肪酸含有油脂として用いたドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)のPOVは0.9であった。また、50℃で8日間、15日間、22日間の保存条件は、それぞれ常温保存の約2ヶ月間、約4ヶ月間、約6ヶ月間、冷蔵保存の約4ヶ月間、約8ヶ月間、約12ヶ月間に相当するものである。結果を表5に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
表5に示すとおり、実施例13で得られた本発明の油脂粉末は、いずれの保存条件においてもドコサヘキサエン酸含量が保持されているとともに、POVが4未満と顕著に低い値であり、酸化安定性に優れた油脂粉末であった。
【0056】
[実施例14]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、エイコサペンタエン酸含有油脂(EPA−28:タマ生化学株式会社製、エイコサペンタエン酸含量:27重量%)20gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)20gと、(C)賦形剤として、澱粉(オイルQNo.50:日澱化學株式会社製、全窒素濃度:0.1重量%)60gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例14)を得た。
【0057】
[比較例5]
(B)タンパク質含有乾燥物として、カゼインナトリウム粉末(カゼインナトリウムCW:日本新薬株式会社製、全窒素濃度:14.1重量%、アミノ態窒素濃度:0.7重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.05)を用いる以外は、実施例14と同様にして、油脂粉末95g(比較例5)を得た。
【0058】
[評価試験6]
実施例14で得られた本発明の油脂粉末及び比較例5で得られた油脂粉末を、それぞれ50℃で6日間保存した後、ジエチルエーテルで抽出することで得られた脂質の過酸化物価(POV)を常法により測定した。なお、高度不飽和脂肪酸含有油脂として用いたエイコサペンタエン酸含有油脂(EPA−28:タマ生化学株式会社製、エイコサペンタエン酸含量:27重量%)のPOVは、1.2であった。また、50℃で6日間の保存条件は、常温保存の約1.5ヶ月間、冷蔵保存の約3ヶ月間に相当するものである。さらに、実施例14で得られた本発明の油脂粉末を検体として、50℃で6日間保存後の流動性を評価試験2と同様にして観察した。結果を表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
表6に示すとおり、実施例14で得られた本発明の油脂粉末は、そのPOVが4.6という極めて低い値であった。一方、比較例5で得られた油脂粉末のPOVは、34.6という高い値を示した。すなわち、本発明の油脂粉末は、酸化安定性が顕著に高まっており、酸化による劣化が予防された、酸化安定性に優れた油脂粉末であることがわかった。また、実施例14で得られた本発明の油脂粉末の10メッシュのふるいを通過した割合は、90重量%であり、特に優れた流動性を示した。
【0061】
[実施例15]
(A)高度不飽和脂肪酸含有油脂として、ドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)13gと、(B)タンパク質含有乾燥物として、酵母エキス粉末(ミーストP1G:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製、全窒素濃度:12.3重量%、アミノ態窒素濃度:5.1重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.41)20gと、(C)賦形剤として、澱粉(オイルQNo.50:日澱化學株式会社製、全窒素濃度:0.1重量%)67gとを、攪拌式混合機であるブレンダーに投入し均一に分散するまで混合することで、本発明の油脂粉末95g(実施例15)を得た。
【0062】
[比較例6]
(B)タンパク質含有乾燥物として、カゼインナトリウム粉末(カゼインナトリウムCW:日本新薬株式会社製、全窒素濃度:14.1重量%、アミノ態窒素濃度:0.7重量%、アミノ態窒素濃度/全窒素濃度=0.05)を用いる以外は、実施例15と同様にして、油脂粉末95g(比較例6)を得た。
【0063】
[評価試験7]
実施例15で得られた本発明の油脂粉末及び比較例6で得られた油脂粉末を、それぞれ50℃で5日間保存した後、ジエチルエーテルで抽出することで得られた脂質の過酸化物価(POV)を常法により測定した。なお、高度不飽和脂肪酸含有油脂として用いたドコサヘキサエン酸含有油脂(DHA46−RD:池田糖化工業株式会社製、ドコサヘキサエン酸含量:42重量%)のPOVは0.9であった。また、50℃で5日間の保存条件は、常温保存の約1.3ヶ月間、冷蔵保存の約2.7ヶ月間に相当するものである。さらに、実施例15で得られた本発明の油脂粉末を検体として、50℃で5日間保存後の流動性を評価試験2と同様にして観察した。結果を表7に示す。
【0064】
【表7】
【0065】
表7に示すとおり、実施例15で得られた本発明の油脂粉末は、そのPOVが4.3という極めて低い値であった。一方、比較例6で得られた油脂粉末のPOVは、81.1という顕著に高い値を示した。すなわち、本発明の油脂粉末は、酸化安定性が顕著に高まっており、酸化による劣化が予防された、酸化安定性に優れた油脂粉末であることがわかった。また、実施例15で得られた本発明の油脂粉末の10メッシュのふるいを通過した割合は、90重量%であり、特に優れた流動性を示した。