(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における非接触給電システム1の全体構成図である。
非接触給電システム1は、車両10(移動体)と停車ステーション20(地上側設備)との間で非接触給電を行うものである。本実施形態では、
図1に示すように、車両10に受電装置が設けられ、車両10が停車する停車ステーション20に送電装置が設けられている。車両10は、路面2に設けられた停車ステーション20に対して移動可能とされている。
【0021】
車両10には、受電用の受電側パッド11(コイル装置)が設けられている。一方で、停車ステーション20には、送電用の送電側パッド21(コイル装置)が設けられている。受電側パッド11は、地上側の送電側パッド21と対向可能に車両10の底部に設けられている。この受電側パッド11は、コイル11aを有し、送電側パッド21のコイル21aと磁気的に結合することによって電力を非接触で受電する。受電側パッド11は、コイル11aと、コイル11aを覆うカバー部材11bと、から構成されている。また、送電側パッド21は、コイル21aと、コイル21aを覆うカバー部材21bと、から構成されている。カバー部材11b,21bは、コイル11a,21a間の磁気結合を利用する非接触給電において電力を伝達するために生じる磁界を妨げないよう、非磁性且つ非導電性の材料で構成されている。なお、カバー部材11b,21bは、非磁性且つ非導電性の材料で構成されていることが好ましいが、磁性及び導電性を有していてもよい。
【0022】
本実施形態の非接触給電システム1における送電側パッド21から受電側パッド11への非接触給電は、送電側パッド21と受電側パッド11との磁気結合を利用して実現されるものであり、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式等に基づいて行われる。例えば、コイル21aとコイル11aとには各々に共振回路を構成するための共振用コンデンサ(不図示)が接続される。また、例えば共振用コンデンサの静電容量は、コイル21aと共振用コンデンサとからなる送電側共振回路の共振周波数とコイル11aと共振用コンデンサとからなる受電側共振回路の共振周波数とが同一周波数となるように設定されている。
【0023】
車両10には、受電側パッド11の他に、受電側電力変換回路12と、負荷13とが設けられている。
受電側電力変換回路12は、送電側パッド21から受電側パッド11が非接触給電により受電した受電電力を直流電力に変換して負荷13に供給する電力変換回路である。すなわち、この受電側電力変換回路12は、負荷13に応じた電流を負荷13に供給する。なお、受電側電力変換回路12は、負荷13が直流入力の場合は、整流回路のみであっても良いし、さらにDC/DCコンバータを含む構成であってもよい。また、受電側電力変換回路12は、負荷13が交流入力の場合は、AC/AC交換機能を有する構成、例えば、整流回路、DC/DCコンバータ、DC/ACコンバータ、または、マトリクスコンバータ等を含む構成であってもよい。なお、使用するコンバータは、非絶縁型(チョッパ等)であっても、絶縁型(トランス使用等)であってもよい。
【0024】
負荷13は、車両10の駆動動力源として十分な電力を蓄えることが可能な蓄電デバイスであり、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等から構成されている。なお、負荷13は、他の蓄電デバイス(大容量コンデンサ等)、抵抗使用負荷(発熱体、照明機器等)、インダクタンス使用負荷(モータ等)等であってもよい。
【0025】
受電側パッド11の周囲には、伝熱板14が設けられている。伝熱板14は、受電側パッド11の背面側に配置され、受電側パッド11を支持している。また、伝熱板14上には、受電側電力変換回路12及び負荷13が設けられており、伝熱板14は、受電側パッド11、受電側電力変換回路12及び負荷13と熱的に接続されている。この伝熱板14は、例えば伝熱性を有するアルミニウムや銅等の金属材から形成されている。
【0026】
一方で、送電側パッド21は、受電側パッド11と対向可能に路面2に設けられている。停車ステーション20には、送電側パッド21の他に、送電側直流交流変換回路22と、送電側電力変換回路23とが設けられている。送電側電力変換回路23には、外部電源24が接続されている。
送電側直流交流変換回路22は、送電側のインバータ回路であって、ハーフブリッジやフルブリッジ等の一般的に使用される回路を含み、送電側電力変換回路23からの直流電力を非接触給電の共振周波数に応じた交流電力に変換してコイル21aに供給するものである。このインバータ回路としては、例えば、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体電力素子のゲートをパルス信号で駆動し、パルス信号の周期や長さを変えてPWM(Pulse Width Modulation)変調する方式が一般に用いられる。
【0027】
送電側電力変換回路23は、外部電源24から供給される電力を直流電力に変換して送電側直流交流変換回路22に供給する電力変換回路である。なお、送電側電力変換回路23は、交流入力の場合は、AC/DC変換機能を有する構成であってもよい。また、送電側電力変換回路23は、交流入力の場合は、PFC(Power Factor Correction、すなわち力率改善)機能を有する構成であってもよい。また、送電側電力変換回路23は、直流入力の場合は、DC/DC機能を有する構成であってもよい。なお、使用するコンバータは、非絶縁型(チョッパ等)であっても、絶縁型(トランス使用等)であってもよい。
【0028】
外部電源24は、例えば商用電源、太陽電池、風力発電等であって、その電力を送電側電力変換回路23に供給するものである。なお、外部電源24が直流入力の場合は、送電側電力変換回路23が無く、送電側直流交流変換回路22に直接に直流入力を繋ぐ構成であってもよい。
【0029】
この非接触給電システム1は、非接触給電で生じる磁界が通過する送電側パッド21の領域に存在する異物100を除去する異物除去装置30を備える。本実施形態の異物除去装置30は、非接触給電システム1の地上側設備である停車ステーション20に付設されている。なお、非接触給電で生じる磁界が通過する領域とは、送電側パッド21と受電側パッド11とが互いに対向し、非接触給電が開始されたことにより実際に磁界が通過した領域のみに限定されるものではない。この領域には、後述の第6実施形態に示されているように、非接触給電の開始前のために磁界はまだ発生していないが、将来的に非接触給電が行われたときに磁界が通過する領域、つまり磁界が通過し得る領域も含むものである。
【0030】
図2は、本発明の第1実施形態における異物除去装置30を示す構成図である。
図3は、本発明の第1実施形態における液体噴射部材31の配置を示す平面図である。
異物除去装置30は、
図2に示すように、液体101の噴射によって異物100を押し流す構成となっている。本実施形態の液体101は、例えば上水道の水である。上水道の水は、非磁性且つ導電性が低く、非接触給電に影響をほとんど与えない。なお、液体101は、磁性及び導電性を有していてもよい。
【0031】
異物除去装置30は、
図2に示すように、液体101を噴射する液体噴射部として、液体噴射部材31と、液体供給ライン32と、電磁弁33と、ポンプ34と、を有する。
液体噴射部材31には、液体噴射口35が形成されている。本実施形態の液体噴射部材31は、先端に液体噴射口35が形成されたノズルである。この液体噴射部材31は、非接触給電において電力を伝達する磁界を妨げないよう、非磁性且つ非導電性の材料で構成された部品、例えば樹脂成型部品である。なお、液体噴射部材31は、非磁性且つ非導電性の材料で構成されていることが好ましいが、磁性及び導電性を有していてもよい。
【0032】
液体噴射部材31は、非接触給電のときに受電側パッド11と送電側パッド21が対向する対向面11A,21Aのうち対向面21A上に設けられている。液体噴射口35は、非接触給電のときにコイル11a,21a同士が対向する対向方向(
図2において紙面上下方向)に対し略直交する水平方向に向いている。この液体噴射部材31は、コイル11a,21aの間の非接触給電で磁界が発生する対向領域102の外側から水平に液体101を噴射し、磁界が通過する対向面21A上に存在する異物100を、水圧で押し流す構成となっている。
【0033】
液体噴射部材31は、
図3に示すように、対向面21A上に複数設けられている。本実施形態の異物除去装置30は、ジェット状及びスプレー状の少なくともいずれか一方で液体101を噴き付ける構成となっており、例えば、ジェット状に液体101を噴射する液体噴射口35を備える液体噴射部材31aと、スプレー状に液体101を噴射する液体噴射口35を備える液体噴射部材31bと、を有する。液体噴射部材31aと液体噴射部材31bは、例えば
図3に示すように、カバー部材21bの周縁部に沿って交互に配置されている。
【0034】
液体供給ライン32は、
図2に示すように、液体噴射部材31に液体101を供給するものである。液体供給ライン32は、下流側で液体噴射部材31毎に分岐している。液体供給ライン32には、電磁弁33が設けられている。電磁弁33は、液体供給ライン32の流路を開閉するものである。電磁弁33は、金属部品を含むため、コイル11a,21aの間の非接触給電で磁界が発生するエリア(送電側パッド21上ないしその近傍)より外側に設けられていることが好ましい。
【0035】
また、液体供給ライン32のうち磁界が発生するエリアに侵入する部分は、非接触給電において電力を伝達する磁界を妨げないよう、非磁性且つ非導電性の材料、例えば樹脂ホース等から形成することが好ましい。この液体供給ライン32は、上流側でポンプ34と接続されている。ポンプ34は、液体噴射部材31から噴射する液体101の水圧を高めるものである。このポンプ34は、例えば上水道等と接続されている。なお、異物100を押し流すことができる水圧を確保できれば、ポンプ34は無くてもよい。
【0036】
次に、このように構成された非接触給電システム1の動作について説明する。
非接触給電システム1は、
図1に示すように、車両10と停車ステーション20との間で非接触給電を行うものである。このような非接触給電システムでは、送電側パッド21と受電側パッド11との間に隙間があるため、異物100が入り込むことがある。
【0037】
本実施形態のように、送電側パッド21が地上側設備の停車ステーション20に設置されている場合、
図2に示すように、送電側パッド21の対向面21A上に異物100が載ってしまうことがある。非接触給電では、送電側パッド21と受電側パッド11との間に異物100が存在すると磁界分布が乱されて給電効率が落ちる虞がある。このため、非接触給電システム1は、送電側パッド21と受電側パッド11の間に載置された異物100を排除する異物除去装置30を有する。
【0038】
異物除去装置30は、電磁弁33を開き、液体101を液体噴射部材31に供給する。液体噴射部材31には液体噴射口35が設けられており、液体101は、液体噴射口35から送電側パッド21の対向面21Aに沿って水平に噴射される。液体101は、複数の液体噴射部材から対向面21Aに広範囲に噴射され、送電側パッド21の磁界が通過する領域に存在する異物100を、水圧で押し流す。液体101は、異物100と接触してもワイパーのように摩耗することがなく、また、所定の質量を有しており、比較的重い異物100であっても容易に押し流すことができる。したがって、この異物除去装置30は、機械的な可動部分が少なく経年劣化を抑制でき、また、異物100との接触で摩耗することがなく異物100の除去性能が低下し難い。
【0039】
また、異物除去装置30は、ジェット状及びスプレー状に液体101を噴き付けるようになっている。ジェット状の液体101は、指向性が高く狙った場所に噴射でき、また、水圧が大きい。このジェット状の液体101の噴き付けは、例えば比較的重い異物100(中身が入った缶等)の押し流しに好適に用いることができる。また、スプレー状の液体101は、拡散性が高く広範囲に噴射できるが、水圧は小さい。このスプレー状の液体101の噴き付けは、例えば比較的軽い異物100(銀紙等)の押し流しに好適に用いることができる。本実施形態の異物除去装置30は、ジェット状の液体101とスプレー状の液体101とを同時に噴射するため、対向面21A上の広い範囲をカバーでき、様々な重さの異物100を効果的に押し流すことができる。
【0040】
また、本実施形態においては、液体噴射部材31は、非磁性且つ非導電性を有する。この構成によれば、液体噴射部材31が非接触給電の磁界分布を乱したり、渦電流により発熱したりすることはない(若しくはあったとしても小さい)。したがって、
図2に示すように、非接触給電の効率を低下させずに、コイル11a,21a同士が対向する対向面21A上に液体噴射部材31を設けることができる。このように、液体噴射部材31を送電側パッド21の対向面21A上に収めて配置することで、異物除去装置30の省スペース化を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態においては、コイル11a,21aは、非磁性且つ非導電性のカバー部材11b,21bによって覆われている。この構成によれば、カバー部材11b,21bが非接触給電の磁界分布を乱したり、渦電流により発熱したりすることはない(若しくはあったとしても小さい)。また、カバー部材11b,21bによって、液体101が付着ても、コイル11a,21aまで液体101が浸入しないように防水することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、異物除去装置30が、コイル11a,21aの間で給電のための磁界が発生しているときに、液体101を噴射する。液体101は、非磁性且つ導電性が低く、非接触給電に影響をほとんど与えないため、非接触給電中に異物100が飛んできても、非接触給電に影響を与えることなく(給電を停止することなく)その異物100を除去することができる。また、この構成によれば、液体101の噴射によりコイル21aで発生した熱も除去することができる。
【0043】
このように、上述の本実施形態によれば、送電側パッド21の磁界が通過する領域に存在する異物100を、液体101の噴射で押し流す、異物除去装置30を採用することによって、ワイパーを使用せずに、異物を除去できる。このため、本実施形態では、機械的な可動部分が少ないため経年劣化を抑制でき、異物100の除去性能が低下し難くすることができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0045】
図4は、本発明の第2実施形態における異物除去装置30を示す斜視図である。
第2実施形態の異物除去装置30は、液体101を噴射する液体噴射部材31(液体噴射部)と、液体噴射部材31から噴射された液体101を回収する液体回収タンク36(液体回収部)と、液体回収タンク36が回収した液体101を液体噴射部材31に供給するポンプ34(液体供給部)と、を有する。
【0046】
第2実施形態の送電側パッド21の対向面21Aの周縁部には、所定高さで壁部37が設けられている。壁部37は、液体噴射部材31から噴射された液体101を回収するためのものであり、対向面21Aの四方を囲うようになっている。第2実施形態の液体噴射部材31は、壁部37のコーナーの上方から送電側パッド21の対向面21Aに対して斜めに液体101を噴射する構成となっている。この構成によれば、送電側パッド21の対向面21Aに幅広く液体101を濡れ広がらせることができる。
【0047】
液体噴射部材31の対角線上には、液体回収ライン38が接続されている。液体回収ライン38は、対向面21A上の液体101を液体回収タンク36に導入するものである。液体回収ライン38は、その一端部が壁部37のコーナー下部に接続されており、その他端部が液体回収タンク36の上部に接続されている。液体回収タンク36は、液体回収ライン38から導入される液体101を貯溜するものである。液体回収ライン38からは、液体101と共に異物100も導入される。
【0048】
液体回収タンク36の下部には、液体供給ライン32が接続されている。この構成によれば、比重の軽い異物100(空き缶や銀紙等)は、液体101の液面に浮くため、液体101のみをポンプ34に供給することができる。なお、液体供給ライン32の接続部等に、フィルタを設けて、異物100がポンプ34に供給されないようにしてもよい。ポンプ34は、液体回収タンク36に貯溜された液体101を、液体供給ライン32を介して抜き出し、加圧して液体噴射部材31に向けて搬送するものである。そして、電磁弁33が開くと、加圧された液体101が、液体噴射部材31から噴射される。なお、液体噴射部材31が壁部37の上方に設置されているため、液体噴射部材31からの液体101が対向面21Aに噴き付けられる勢いは、ポンプ34の加圧量と重力に因る。重力によっても液体101の勢いを実現できるため、その分、ポンプ34の加圧量を抑えることができる。これにより、ポンプ34の使用負荷が小さくなり、劣化を抑えることができる。
【0049】
上記構成の第2実施形態によれば、液体噴射部材31から噴射された液体101を液体回収タンク36に回収し、液体回収タンク36に回収された液体101をポンプ34によって再び液体噴射部材31から噴射させ、液体101を循環させることができる。このため、第2実施形態では、液体101の再利用が可能となり、水資源の節約に寄与できる。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0051】
図5は、本発明の第3実施形態における異物除去装置30を示す平面図である。
第3実施形態の異物除去装置30は、送電側パッド21における異物100の位置を特定する位置特定部40と、位置特定部40の特定結果に応じて、液体101の噴射角度を調整する噴射角度調整部41と、を有する。
【0052】
第3実施形態の送電側パッド21には、送電用のコイル21aとは異なる複数の検出コイル21a1がマトリクス状に設けられている。送電用のコイル21aから磁界が発生すると、検出コイル21a1に磁束が鎖交し、検出コイル21a1に電流(誘導電流)が発生する。そして、この電流値が位置特定部40に入力される。位置特定部40は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の任意の好適なプロセッサで構成できる。
【0053】
異物が存在すると、磁界分布が乱れるため、異物の有無に応じて検出コイル21a1から出力される電流の大きさが変わる。そのため、位置特定部40は、異物が無いときの電流値を予め把握しておくことにより、検出コイル21a1からの電流の変化から異物の有無を特定できる。異物に近い領域ほど、磁界分布の変化が大きいため、位置特定部40は、変化量の大きい電流を出力する検出コイル21a1の周囲に異物が存在すると判断できる。
【0054】
噴射角度調整部41は、位置特定部40の特定結果に応じて、液体噴射部材31の向きを調整するものである。噴射角度調整部41は、モータ等を駆動源とする角度調整アクチュエータを備えており、位置特定部40により周囲に異物があると判断された検出コイル21a1に向けて噴射するように液体噴射部材31の水平角度を調整する構成となっている。なお、液体噴射部材31としては、狙った場所に大きな水圧をかけることができるように、ジェット状に液体101を噴射するものを採用することが好ましい。
【0055】
上記構成の第3実施形態によれば、位置特定部40が複数の検出コイル21a1の誘導電流に基づいて異物100の位置を特定し、その特定結果に基づいて噴射角度調整部41が液体噴射部材31の向きを調整し、対向面21A上の異物100に向けて液体101を噴射し、異物100を押し流すことができる。このため、第3実施形態では、異物100の除去精度の向上を図ることができる。また、第3実施形態では、液体101を異物100に当てることができるため、水資源の節約に寄与できる。
【0056】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0057】
図6は、本発明の第4実施形態における送電側パッド21を示す平面図である。
図7は、
図6における矢視A−A断面図である。
第4実施形態の送電側パッド21には、磁界が通過する領域であり、異物が接触可能な領域に溝50が形成されており、異物除去装置30は、溝50に沿って液体を噴射する構成となっている。
【0058】
第4実施形態の送電側パッド21には、対向面21Aに溝50が形成されている。
図6に示すように、溝50は、平行に複数形成されている。溝50の断面形状は、
図7に示すように、略V字状に形成されている。異物除去装置30の液体噴射部材31は、
図6に示すように、溝50のそれぞれに配置され、溝50が延在する方向に液体101を噴射する構成となっている。
【0059】
上記構成の第4実施形態によれば、送電側パッド21に溝50を形成することで、磁界が通過する対向面21Aに凹凸を形成することができる。これにより、異物100が、凸部に支えられて存在するような場合、異物100は、線状で接触することになる。この場合、異物100が対向面21Aと面状で接触する場合に比べ、対向面21Aと異物100との接触面積を小さくすることができるため、異物100が付着性のものであっても、異物100が対向面21Aに付着する力が弱く、液体101で容易に押し流すことができる。また、第4実施形態では、溝50に沿って液体101を噴射するため、溝50に対して交差する方向に液体101を噴射するよりも、液体101が溝50の表面に当たって飛び散り液体101の勢いを殺すことなく異物100を押し流すことができる。
【0060】
なお、第4実施形態の変形例として、
図8及び
図9に示す構成を採用してもよい。
図8に示す変形例では、送電側パッド21の対向面21Aに複数の小突起51(シボ面)が設けられている。この構成によっても、異物100と対向面21Aとの接触面積を小さくすることができる。
また、
図9に示す変形例では、送電側パッド21の対向面21Aに複数の起毛52が設けられている。この構成によっても、異物100と対向面21Aとの接触面積を小さくすることができる。
【0061】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0062】
図10は、本発明の第5実施形態における非接触給電システム1を示す構成図である。
第5実施形態の非接触給電システム1は、受電側パッド11及び送電側パッド21の磁界が通過する領域であり、異物100が接触可能な領域に、重力方向に傾いた傾斜部60を有する。
【0063】
受電側パッド11のカバー部材11bは、下方に凸となる山型に形成されている。これにより、受電側パッド11の対向面11Aには、周縁部から中央部に向かって(水平方向を基準として)重力方向に傾いた傾斜部60が形成される。一方、送電側パッド21のカバー部材21bは、上方に凸となる山型に形成されている。これにより、送電側パッド21の対向面21Aには、中央部から周縁部に向かって重力方向に傾いた傾斜部60が形成される。
【0064】
第5実施形態の異物除去装置30は、受電側パッド11の周縁部に向かって液体101を噴射する複数の液体噴射部材31を有する。液体供給ライン32は、分岐して複数の液体噴射部材31に接続されており、分岐したそれぞれに電磁弁33が設けられている。送電側パッド21の周囲には、排液溝25が形成されている。この排液溝25の底部には、排液ライン39が接続されている。
【0065】
上記構成の第5実施形態によれば、液体101は、複数の液体噴射部材31から受電側パッド11の対向面11Aの周縁部に向かって噴射される。対向面11Aの周縁部に噴射された液体101は、傾斜部60によって、対向面11Aの中央部に集まり、送電側パッド21の対向面21Aの中央部に流れ落ちる。対向面21Aの中央部に流れ落ちた液体101は、傾斜部60によって、対向面21Aの周縁部に放射状に拡散し、排液溝25に流れ落ちる。排液溝25に流れ落ちた液体101は、排液ライン39を介して排液される。
【0066】
第5実施形態では、受電側パッド11の対向面11Aの周縁部に向けて液体101を噴射することで、磁界が通過する受電側パッド11の対向面11Aだけでなく、磁界が通過する送電側パッド21の対向面21Aにも液体101を流すことができる。これにより、対向面11A及び21Aのそれぞれに接触している異物100を除去することができる。特に、対向面11Aが下方に凸となっていることにより、対向面11Aに噴射された液体101が対向面11Aの中央付近に集まりやすくなり、対向面11Aから液体101が対向面21Aの外に落ちにくくなる。これにより、対向面11Aに噴射された液体101が、対向面21Aの異物除去用の液体101として効率的に利用される。更に、磁界が通過する送電側パッド21の対向面21Aに、傾斜部60を形成することで、対向面21Aに載置された異物100を流し落とし易くすることができる。また、この構成によれば、傾斜による重力を利用することができるため、液体101の噴射圧力が小さくしても、異物100の除去性能の低下を抑えることができる。
【0067】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0068】
図11は、本発明の第6実施形態における非接触給電システム1を示す構成図である。
第6実施形態の非接触給電システム1は、車両10と停車ステーション20の送電側パッド21との距離に基づいて、異物除去装置30の液体101の噴射を停止させる制御部70を有する。なお、車両10との距離とは、受電側パッド11の位置を基準としたり、車両10の先端部を基準として測ることができ、距離の測定基準位置は、適宜設定できるものである。
【0069】
制御部70は、車両10に搭載された制御部71と無線通信を行う通信部を有し、制御部71との通信により車両10と送電側パッド21との距離を算出し、車両10が送電側パッド21に近づいてきたら、異物除去装置30の電磁弁33を閉じて、液体101の噴射を停止させるものである。この制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び通信部等を有し、所定のプログラムに基づき電磁弁33を駆動させる構成となっている。
【0070】
制御部70は、地球上における送電側パッド21の位置(座標)を予め記憶している。制御部71は、車両10に搭載されたGPS(Global Positioning System)用アンテナ(不図示)と接続されており、地球上における車両10の位置(座標)を取得し、車両10の位置を制御部70に送信する構成となっている。この制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び通信部等を有する。制御部70は、車両10と送電側パッド21との距離が所定の閾値以下(例えば、車両10に液体101がかかる距離)になったら、電磁弁33を閉じるようにプログラムされている。
【0071】
上記構成の第6実施形態によれば、停車ステーション20側に設けられた制御部70と、車両10に設けられた制御部71との通信により、給電を受けたい車両10が送電側パッド21に近づく前に、異物除去装置30による液体101の噴射を開始させ、異物100を除去する。そして、制御部70は、車両10が送電側パッド21から所定距離内に入る前に、異物除去装置30による液体101の噴射を停止させ、車両10に液体101がかからないようにする。このため、第6実施形態では、液体101及び水圧により噴き飛ばされた異物100が車両10に付着することを防止できる。また、送電側パッド21上に生き物がいた場合でも、車両10が近づく前に、液体101の噴射によって逃がすことができる。
【0072】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0073】
例えば、上記第2実施形態において、カバー部材21bに高低差を設け、液体回収ライン38が接続された位置を最も低くすることにより、液体101の回収効率を向上させることができる。
【0074】
また、例えば、上記第2実施形態において、液体回収タンク36が野外に配置されている場合、液体回収タンク36の上部を開放して、雨水等を溜めることにより、水料金の節約及び水道設備のない場所でも利用性を向上させることができる。
【0075】
また、例えば、上記第3実施形態において、複数の検出コイル21a1からの誘導電流に基づき、異物100の位置を特定すると説明したが、位置特定部40は、例えば、送電側パッド21の対向面21Aに重みセンサ(ひずみセンサ等)を複数個敷設して、重みに基づいて異物100の位置を特定する構成であってもよい。
【0076】
また、例えば、上記第6実施形態において、車両10に液体101がかからないようにしたが、例えば、人や動物等の生体に液体101がかからないようにしてもよい。例えば、停車ステーション20に、カメラやスマートエントリーキー、センサ(光・音波)等の生体検知手段を設け、生体が送電側パッド21の周囲に存在していないことを確認した後に、液体101の噴射を開始する構成を採用してもよい。
【0077】
また、例えば、上記実施形態では、液体101として上水道から供給される水を例示したが、非磁性且つ導電性の低いものであれば、冷媒の種類は問わず、本システムを寒冷地方に設置する場合には、例えば、エチレングリコールなどの不凍液、水に不凍液を混ぜたもの、若しくは油等の凝固点が低いものを用いてもよい。水以外の冷媒を使用する場合、第2実施形態において、回収した液体を排液せず、フィルタを通してゴミ等を除去して、再度液体として利用するようにすると、液体101を有効に利用することができる。
【0078】
また、例えば、上記実施形態では、地上側の停車ステーション20から給電して車両10の底部に給電すると説明したが、給電の方向は問わない。例えば、壁から車両10の側部あるいは前部あるいは後部に給電してもよいし、天井から車両10の屋根部に給電する構成であってもよい。
【0079】
また、例えば、上記実施形態では、受電装置が車両10に設置され、送電装置が停車ステーション20に設置されている場合を例示したが、この構成に限定されることなく、例えば受電装置が停車ステーション20に設置され、送電装置が車両10に設置されてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、送電側パッド21が路面2上に設けられている場合を例示したが、本発明は、この構成に限定されない。例えば、送電側パッド21は、対向面21Aが地面と同一平面となるように埋まっていてもよいし、対向面21Aが完全に地中内に隠れるように埋まっていてもよい。
【0081】
また、例えば、上記各実施形態の構成の置換、組み合わせは適宜可能である。