(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遮蔽壁とダイヤフラムとの間に形成される空間は、共鳴効果により特定の周波数の音圧を増幅させるものの、反面、共鳴周波数よりも高い周波数域では音圧を低下させてしまうという問題が発生する。
【0005】
また、大口径スピーカを搭載する発音器においては、大口径スピーカの音響特性を悪化させないために大きな放音面積を確保する必要があるが、放音孔を大きくすると水や雪が侵入しやすくなるという問題が発生する。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、音響性能と水や雪の侵入防止機能を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ダイヤフラム(41)を振動させて音を発生させるスピーカ(4)と、スピーカを収容するとともに、スピーカが発生させた音が通過する音通路(61、62、63、64、65)および音通路を通過した音を外部に放出させる放音孔(24、25、26、66)が形成された筐体(1、2、3)とを備える車両用発音器において、音通路の途中に、共鳴周波数の異なる複数の共鳴室(61、62、65)を設け、音通路を、放音孔からダイヤフラムへの異物の侵入を防止可能な迷路構造にしたことを特徴とする。
【0008】
これによると、共鳴周波数の異なる複数の共鳴室により、広い周波数帯域において大きな音圧を得ることができる。また、迷路構造により、スピーカ部位への水や雪の侵入を防止することができる。
【0009】
さらに請求項
1に記載の発明では
、筐体は、スピーカを収容する筒状のベース(1)と、ベースの一端側に配置されるカバー(2)とを含み、ベースは、ダイヤフラムに対向して配置されて、複数の共鳴室のうち一つである第1共鳴室(61)をダイヤフラムとの間に形成する遮蔽壁(12)を備えることを特徴とする。
【0010】
ところで、遮蔽壁の形状を適宜に設定することにより、第1共鳴室の容積により第1共鳴室の共鳴周波数を調整することができる。しかし、特許文献1に記載された車両用発音器では、遮蔽壁がカバーに設けられているため、金型の制約により遮蔽壁を平板以外の任意の形状にすることは困難であった。また、特許文献1に記載された車両用発音器では、カバーの構成が複雑であるため、スライド型を用いて遮蔽壁を成形している。
【0011】
これに対し、請求項
1に記載の発明によると、遮蔽壁をベースに設けているため、遮蔽壁の形状を適宜に設定することができるとともに、スライド型を用いることなく遮蔽壁を成形することができる。
【0012】
さらに請求項
1に記載の発明のように
、ベースは、遮蔽壁の外周縁部からベースの軸方向に沿って且つダイヤフラムから遠ざかる向きに延びる筒状のベース第1立壁(13)と、ベース第1立壁の外周側に配置されてダイヤフラムの外周縁部の位置からベースの軸方向に沿って延びる筒状のベース第2立壁(14)とを備え、カバーは、ベース第1立壁とベース第2立壁との間に形成される空間におけるダイヤフラムとは反対側の開口部を覆うカバー板部(23)を備え、ベース第1立壁とベース第2立壁とカバー板部とによって、複数の共鳴室のうち一つであり且つ第1共鳴室よりも音流れ下流側に位置する第2共鳴室(62)が形成され、ベース第1立壁とカバー板部との間に、音通路を構成する第1隙間(63)が形成され、ベース第2立壁とカバー板部との間に、音通路を構成する第2隙間(64)が形成されている構成を採用することができる。
【0013】
請求項
2に記載の発明では、請求項
1に記載の車両用発音器において、カバー板部は、第1隙間を覆っていることを特徴とする。
【0014】
これによると、第1隙間への水や雪の侵入を防止することができる。
【0015】
請求項
3に記載の発明では、請求項
1または2に記載の車両用発音器において、カバー板部は、第2隙間を覆っていることを特徴とする。
【0016】
これによると、第2隙間への水や雪の侵入を防止することができる。
【0017】
請求項
4に記載の発明では、請求項
1ないし
3のいずれか1つに記載の車両用発音器において、カバーは、放音孔側から第2隙間側を見たときに放音孔と第2隙間との間を遮る筒状のカバー立壁(27)を備えていることを特徴とする。
【0018】
これによると、第2隙間への水や雪の侵入を防止することができる。
【0019】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について説明する。なお、
図2に示した天地方向は、発音器を車両に装着した状態での方向を示している。
【0022】
図1〜6に示すように、樹脂製のベース1は、略四角筒状のベース筒部11を備えている。このベース筒部11の一端側開口部に、ベース筒部11の一端側を閉塞するようにして略有底四角筒状の樹脂製のカバー2が接合されている。ベース筒部11の他端側に、ベース筒部11の他端側を閉塞するようにして略有底四角筒状のケース3が気密的に接合されている。なお、ベース1、カバー2、およびケース3は、本発明の筐体を構成している。
【0023】
ベース筒部11およびケース3によって形成される空間に、スピーカ4が収容されている。スピーカ4は、振動して音を発生する円錐状のダイヤフラム41と、このダイヤフラム41を振動させるダイヤフラム駆動部42とを備えている。
【0024】
スピーカ4は、ダイヤフラム駆動部42がベース1にねじにて固定されるとともに、ダイヤフラム41の外周縁部がベース1に接着にて接合されている。また、ダイヤフラム駆動部42は、ワイヤ線43およびベース1に圧入された接続端子44を介して、図示しない外部ハーネスと電気的に接続される。
【0025】
ベース筒部11とケース3とスピーカ4によって形成される空間の、温度変化による圧力変動を抑制するために、ベース筒部11とケース3とスピーカ4によって形成される空間を外部に連通させる貫通孔(図示せず)がベース1に形成されており、その貫通孔は、通気はするが水は通さない特性を有する繊維よりなる圧力調整膜5にて覆われている。
【0026】
ベース1は、ベース筒部11内においてスピーカ4よりもカバー2側に、円錐状の遮蔽壁12が設けられている。遮蔽壁12は、ダイヤフラム41に対向して配置されて、ダイヤフラム41との間に円錐状の第1共鳴室61を形成している。
【0027】
スピーカ4が発生させた音は、第1共鳴室61を通過する際に、第1共鳴室61の共鳴効果により特定の周波数の音圧が増幅される。本実施形態では、第1共鳴室61の共鳴周波数は、2.7kHzに設定されている。
【0028】
ベース1は、遮蔽壁12の外周縁部からベース1の軸方向(すなわち、
図4の紙面上下方向)に沿って且つダイヤフラム41から遠ざかる向きに延びる円筒状のベース第1立壁13と、このベース第1立壁13の外周側に同心状に配置されてダイヤフラム41の外周縁部の位置からベース1の軸方向に沿って延びる円筒状のベース第2立壁14と、ベース第1立壁13の内周側に同心状に配置されて遮蔽壁12の径方向中間部からベース1の軸方向に沿って且つダイヤフラム41から遠ざかる向きに延びる円筒状のベース第3立壁15とを備えている。
【0029】
また、ベース1は、ベース第2立壁14の外周面から、ベース1の軸直角方向(すなわち、
図4の紙面左右方向)に沿って且つ外方に向かって延びる、板状のベース板部16を備えている。このベース板部16は、ベース第2立壁14の先端部(すなわち、カバー2側の端部)よりもダイヤフラム41側に位置しており、ベース筒部11とベース第2立壁14とベース板部16とによって、円筒状の空間が形成されている。
【0030】
カバー2は、略四角板状のカバー底壁部21と、カバー底壁部21の外縁部からベース1の軸方向に沿って且つベース1側に向かって延びる略四角筒状のカバー側壁部22とを備えている。
【0031】
また、カバー2は、ベース第1立壁13とベース第2立壁14との間に形成される円筒状の空間におけるダイヤフラム41とは反対側の開口部を覆う円板状のカバー板部23を備えている。
【0032】
そして、ベース第1立壁13とベース第2立壁14とカバー板部23とによって、円筒状の第2共鳴室62が形成されている。この第2共鳴室62は、第1共鳴室61よりも音流れ下流側に位置し、第1共鳴室61で増幅された音は第2共鳴室62に伝播される。
【0033】
第2共鳴室62に伝播された音は、第2共鳴室62を通過する際に、第2共鳴室62の共鳴効果により特定の周波数の音圧が増幅される。本実施形態では、第2共鳴室62の共鳴周波数は、5kHzに設定されている。
【0034】
ベース第1立壁13とカバー板部23との間に、音を通過させる第1隙間63が形成され、ベース第2立壁14とカバー板部23との間に、音を通過させる第2隙間64が形成されている。第1隙間63および第2隙間64は、第2共鳴室62よりも音流れ下流側に位置し、第2共鳴室62で増幅された音が第1隙間63および第2隙間64を介してさらに下流側に伝播される。
【0035】
カバー板部23は、ベース第1立壁13とベース第3立壁15との間に形成される円筒状の空間における遮蔽壁12とは反対側の開口部の一部を覆っている。
【0036】
そして、遮蔽壁12、ベース第1立壁13、ベース第3立壁15、およびカバー板部23によって、第3共鳴室65が形成されている。この第3共鳴室65は、第2共鳴室62よりも音流れ下流側に位置し、第2共鳴室62で増幅された音の一部は、第1隙間63を介して第3共鳴室65に伝播される。
【0037】
第3共鳴室65に伝播された音は、第3共鳴室65を通過する際に、第3共鳴室65の共鳴効果により特定の周波数の音圧が増幅される。本実施形態では、第3共鳴室65の共鳴周波数は、3.8kHzに設定されている。
【0038】
カバー板部23の内周側に円形の第1放音孔24が形成されており、第3共鳴室65で増幅された音は、第1放音孔24を介して外部に放出される。
【0039】
カバー底壁部21には、多数の第2放音孔25が形成されている。また、カバー底壁部21とカバー板部23との間に、複数の第3放音孔26が形成されている。なお、
図1では、第3放音孔26の位置や範囲を明瞭にするために、第3放音孔26の部位を便宜的に綾目模様で示している。
【0040】
さらに、カバー側壁部22の先端面と、ベース筒部11におけるカバー側壁部22の先端面に対向する面との間に、第3隙間66が複数個形成され、それらの第3隙間66は放音孔として機能する。以下、第3隙間66を、第4放音孔66という。
【0041】
そして、第2共鳴室62で増幅された音の一部は、第2隙間64を介して下流側に伝播され、第2放音孔25、第3放音孔26、および第4放音孔66から外部に放出される。
【0042】
なお、第1共鳴室61、第2共鳴室62、第3共鳴室65、第1隙間63、および第2隙間64は、本発明の音通路を構成している。
【0043】
カバー2は、カバー底壁部21からベース1の軸方向に沿って且つベース板部16側に向かって延びる円筒状のカバー立壁27を備えている。このカバー立壁27は、ベース第2立壁14およびカバー板部23の外周側に配置されるとともに、第4放音孔66の内周側に配置されている。そして、第4放音孔66側および第2放音孔25側から第2隙間64側を見たときに、カバー立壁27によって第2隙間64が視認できないように遮られ、これにより、第2隙間64に水や雪が侵入しないようにしている。
【0044】
また、カバー板部23は、第1隙間63よりも内周側まで張り出して第1隙間63を覆っており、これにより、第1隙間63に水や雪が侵入しないようにしている。
【0045】
さらに、カバー板部23は、第2隙間64に対し第3放音孔26側に配置されて第2隙間64を覆っており、これにより、第3放音孔26から第2隙間64に水や雪が侵入しないようにしている。
【0046】
なお、水や雪の侵入を防止する観点からは、第1隙間63や第2隙間64の寸法は、1〜2mmに設定するのが望ましい。
【0047】
上記構成になる発音器は、例えば車両のフロントバンパー内に配置される。そして、スピーカ4が発生させた音は、第1共鳴室61、第2共鳴室62、第3共鳴室65、第1隙間63、および第2隙間64を通過した後、第1放音孔24、第2放音孔25、第3放音孔26、および第4放音孔66から警報音として外部に放出される。
【0048】
ここで、
図7において、実線は、第1共鳴室61、第2共鳴室62、および第3共鳴室65を備える本実施形態の発音器の特性を示し、破線は、共鳴室を備えていない発音器の特性を示している。
【0049】
この
図7から明らかなように、本実施形態の発音器は、共鳴室を備えていない発音器に対して、各共鳴室61、62、65の共鳴周波数付近において音圧レベルが上昇している。換言すると、共鳴周波数の異なる複数の共鳴室61、62、65を設けることにより、広い周波数帯域において大きな音圧が得られている。
【0050】
なお、本実施形態の発音器は、5kHzを超える周波数域では音圧レベルが低下しているが、この周波数域での音圧レベル低下は製品の使用上問題ない。
【0051】
また、スピーカ部位から各放音孔24、25、26、66に至るまでの音通路を、複雑に入り組んだ経路、すなわち迷路構造にして、高圧洗車時の水流や雪の侵入を防止するようにしている。
【0052】
まず、第2放音孔25、第3放音孔26、および第4放音孔66から、ベース筒部11とベース第2立壁14とベース板部16とによって形成された円筒状の空間に侵入した水や雪は、ベース板部16で受け止められた後に、その円筒状の空間のうち下部側部位に移動し、さらに、第4放音孔66のうち最下部に位置する第4放音孔66から外部に排出される。したがって、水や雪はダイヤフラム41に到達せず、水の付着によるスピーカ4の破損が防止される。
【0053】
また、第1放音孔24から第3共鳴室65に侵入した水は、遮蔽壁12で受け止められた後に、第3共鳴室65のうち下部側部位に移動し、さらに、第1隙間63および第2隙間64のうち最下部に位置する第1隙間63および第2隙間64から外部に排出される。また、第1放音孔24から第3共鳴室65に侵入した雪は、遮蔽壁12上に堆積する。したがって、水や雪はダイヤフラム41に到達せず、水の付着によるスピーカ4の破損が防止される。
【0054】
本実施形態によると、共鳴周波数の異なる複数の共鳴室61、62、65を設けているため、広い周波数帯域において大きな音圧を得ることができる。
【0055】
また、音通路を迷路構造にしているため、スピーカ4部位への水や雪の侵入を防止することができる。
【0056】
さらに、遮蔽壁12をベース1に設けているため、遮蔽壁12の形状を適宜に設定することができるとともに、スライド型を用いることなく遮蔽壁12を成形することができる。
【0057】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0058】
また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0059】
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
【0060】
また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。