(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多塩基酸成分と多価アルコール成分を共重合成分とし、下記(a)〜(b)を満足するポリエステルポリオール(A)をイソホロンジイソシアネートで鎖延長した構造を有するポリエステルポリウレタン(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)を含有する接着剤組成物。
(a)多塩基酸成分がイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ダイマー酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群より選ばれた1種以上の化合物である
(b)多価アルコール成分としてブタンジオールが90モル%以上である
ポリエステルポリオール(A)の多塩基酸成分におけるイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびトリメリット酸の合計の含有量が70モル%以上であり、且つテレフタル酸の含有量が50モル%以下である請求項1に記載の接着剤組成物。
ポリイソシアネート化合物(C)が、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートの反応生成物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートの反応生成物、及びイソホロンジイソシアネート3量体からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
基材フィルム/接着剤a/ガスバリヤ層/接着剤b/ヒートシール層が順次積層された積層フィルムにおいて、接着剤a及び/又は接着剤bが請求項7に記載の2液硬化型ドライラミネート用接着剤組成物である積層フィルム。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような接着剤は、ボイルやレトルトの高温殺菌処理を必要とする場合、内容物や基材によっては経時的に劣化し、性能面で問題になることがあった。例えば、ポリエステルあるいはナイロンフィルム/アルミニウム箔/未延伸ポリプロピレンフィルムが積層された一般的な複合フィルムで作製した袋に、内容物として食酢、しょう油、ソースのような酸性度の高い食品や油性食品等を充填してレトルト処理すると、レトルト直後から経時にわたって、接着強度の低下によるアルミニウム箔のデラミネーション(浮きや気泡)を発生させる欠点があった。
【0005】
本発明は、ラミネート基材間の強い接着強度を得ることができ、長期にわたって強い接着強度を維持できる接着剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明の接着剤組成物を食品包装材料として用いた場合、内容物に酸性度の高い食品や油性食品を充填した場合においても、経時的な影響によるデラミネーション(浮きや気泡)の発生がない包装用積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。 即ち、本発明は以下の構成からなる。
【0007】
多塩基酸成分と多価アルコール成分を共重合成分とし、下記(a)〜(b)を満足するポリエステルポリオール(A)をイソホロンジイソシアネートで鎖延長した構造を有するポリエステルポリウレタン(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)を含有する接着剤組成物。
(a)多塩基酸成分がイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ダイマー酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群より選ばれた1種以上の化合物である
(b)多価アルコール成分としてブタンジオールが90モル%以上である
【0008】
前記ポリエステルポリオール(A)の多塩基酸成分におけるイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびトリメリット酸の合計の含有量が70モル%以上であり、且つテレフタル酸の含有量が50モル%以下であることが好ましい。
【0009】
前記ポリエステルポリオール(A)の多価アルコール成分における1,4−ブタンジオールの含有量が65モル%以下であることが好ましい。
【0010】
前記ポリエステルポリオール(A)の酸価が1mgKOH/g以上12mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0011】
前記ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が−20℃以上、20℃以下であることが好ましい。
【0012】
前記ポリイソシアネート化合物(C)が、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートの反応生成物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートの反応生成物、及びイソホロンジイソシアネート3量体からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましい。
【0013】
前記いずれかに記載の接着剤組成物を主成分とする2液硬化型ドライラミネート用接着剤組成物。
【0014】
基材フィルム/接着剤a/ガスバリヤ層/接着剤b/ヒートシール層が順次積層された積層フィルムにおいて、接着剤a及び/又は接着剤bが前記の2液硬化型ドライラミネート用接着剤組成物である積層フィルム。
【0015】
前記積層フィルムを用いてなるレトルトパウチ用包装袋。
【発明の効果】
【0016】
本発明の接着剤組成物は、ラミネート基材間の強い接着強度を得ることができ、長期にわたって強い接着強度を維持することができる。また、本発明の接着剤組成物は、ポリエステルポリウレタン(B)を製造するために用いられるポリエステルポリオール(A)の成分として、FDA認可の原料を用いているため安全性に優れており、食品包装用材料として好適に使用することができる。さらに、本発明の接着剤組成物を食品包装用材料として用いた場合、内容物に酸性度の高い食品や油性食品を充填した場合においても、経時的な接着強度の低下によるデラミネーション(浮きや気泡)の発生がなく、長期保存に耐え得る食品用レトルトパウチ用包装袋を提供する事ができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ポリエステルポリオール(A)>
本発明に用いられるポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸成分と多価アルコール成分を共重合成分とし、要件(a)〜(b)を満足するポリエステルポリオールである。
【0019】
ポリエステルポリオール(A)の要件(a)は多塩基酸成分に関する。本発明のポリエステルポリオール(A)の合成に用いられる多塩基酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ダイマー酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群より選ばれた1種以上の化合物を用いることが必要である。これらの化合物は、FDA(Food and Drug Administration)規格175.300(b)(3)(vii)(2013年4月1日改訂版)に記載、認可された原料であり、食品包装用材料に好適に使用できる。これらの中では、基材への密着性や耐レトルト性、価格などの点からイソフタル酸を主体にして溶剤溶解性や柔軟性などからセバシン酸を組み合わせるのが好ましい。
【0020】
多塩基酸成分の合計量を100モル%としたとき、芳香族ジカルボン酸であるイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびトリメリット酸の合計の含有量が70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは72モル%以上であり、さらに好ましくは74モル%以上である。また、90モル%以下であることが好ましく、より好ましくは88モル%以下であり、さらに好ましくは86モル%以下である。芳香族ジカルボン酸が少なすぎるとレトルト処理後の長期保存安定性に劣り、目的とするレトルトパウチ用包装袋が得られないことがある。多すぎるとガラス転移温度が高くなるため、基材をラミネートする際のラミネート温度を高くしたり長時間かけることが必要になり、生産性が低下することがある。また、接着性が低下することがある。
【0021】
芳香族ジカルボン酸のなかでもイソフタル酸が好ましく、多塩基酸成分の合計量を100モル%としたとき、イソフタル酸の含有量は20モル%以上であることが好ましく、より好ましくは30モル%以上であり、さらに好ましくは40モル%以上であり、芳香族ジカルボン酸が全てイソフタル酸であっても差し支えない。
一方、テレフタル酸の含有量は50モル%以下であることが好ましく、より好ましくは40モル%以下であり、さらに好ましくは30モル%以下である。テレフタル酸の含有量が多すぎると酢酸エチル等の溶剤への溶解性が低下し、特に低温での保存安定性が低下することがある。
【0022】
多塩基酸成分の合計量を100モル%としたとき、脂肪族ジカルボン酸の含有量は30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは28モル%以下であり、さらに好ましくは26モル%以下である。また、10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは12モル%以上であり、さらに好ましくは14モル%以上である。上記範囲内にすることで接着性、耐レトルト性、レトルト処理後の長期保存安定性を満足する接着剤組成物を得ることができる。
【0023】
ポリエステルポリオール(A)の要件(b)は多価アルコール成分に関する。本発明のポリエステルポリオール(A)の合成に用いられる多価アルコール成分としてはブタンジオールが必須成分である。本発明でブタンジオールとは、炭素数が4で水酸基を2個有する化合物の総称であり、具体的には、1,1−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,1−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ、これらを単独で、または2種以上の混合物が用いられる。
【0024】
多価アルコール成分の合計量を100モル%としたとき、ブタンジオールの含有量は90モル%以上であることが必要であり、好ましくは92モル%以上であり、より好ましくは94モル%以上であり、さらに好ましくは96モル%以上であり、特に好ましくは98モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。ブタンジオールの中でも側鎖を有するジオールの含有量が35モル%以上であることが好ましく、より好ましくは38モル%以上であり、さらに好ましくは40モル%以上である。側鎖を有するジオールの中でも有機溶剤への優れた溶解性を発現させることができることから、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールまたは2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いることが好ましい。また、1,4−ブタンジオールは耐水性の優れたポリエステルポリオールが得られるため、使用することが好ましいが、多用すると有機溶剤への溶解性が低下し、ドライラミネート用の接着剤として使用できなくなることがある。そのため、1,4−ブタンジオールの含有量は65モル%以下であることが好ましく、より好ましくは63モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以下である。
【0025】
ブタンジオール以外の多価アルコール成分としては、FDA規格175.300(b)(3)(vii)(2013年4月1日改訂版)に記載された化合物を用いることが好ましい。特に限定されないが、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、マンニトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが挙げられる。
【0026】
また、本発明に使用されるポリエステルポリオール(A)において、3官能以上の多価カルボン酸や多価アルコールを少量共重合させて分岐構造を導入することも好ましい。これによって、ポリエステルポリウレタン(B)とポリイソシアネート化合物(C)との反応性が向上し、接着性や耐レトルト性の向上効果が発揮され得る。
具体的には無水トリメリット酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどが例示される。
【0027】
本発明に使用されるポリエステルポリオール(A)を製造する際には、従来公知の重合触媒、例えば、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、チタンオキシアセチルアセトネートなどのチタン化合物、トリブトキシアンチモン、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム化合物などを使用することができる。これらの触媒は1種又は2種以上を併用してもよい。重合の反応性の面からチタン化合物が好ましい。
【0028】
ポリエステルポリオール(A)の製造方法としては、公知の方法をとることができるが、例えば、上記のジカルボン酸及びジオール成分を150〜250℃でエステル化反応後、減圧しながら230〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステルポリオール(A)を得ることができる。
【0029】
本発明の接着剤組成物の主剤であるポリエステルポリウレタン(B)をポリイソシアネート化合物(C)で硬化させて、接着力や耐レトルト性を向上させるためには、ポリエステルポリオール(A)の酸価は1mgKOH/g以上、12mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは2mgKOH/g以上、11mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは4mgKOH/g以上、10mgKOH/g以下である。酸価が低すぎると硬化速度が低下する傾向にあり、酸価が高すぎると得られた接着層の耐湿熱性が低下する傾向にある。また、このポリエステルポリオール(A)を用いてポリエステルポリウレタン(B)を製造する場合、高分子量化が困難になるおそれがある。
【0030】
酸価は上記の酸無水物による分岐構造の導入によるほか、ポリエステルポリオール(A)の末端にカルボキシル基を導入することにより、調整することができる。ポリエステルポリオール(A)にカルボキシル基を導入する方法は、ポリエステルポリオール(A)を重合した後に常圧、窒素雰囲気下で酸無水物を後付加して酸価を付与する方法や、ポリエステルポリオール(A)を高分子量化する前のオリゴマー状態のものにこれらの酸無水物を投入し次いで減圧下の重縮合により高分子量化することでポリエステルポリオール(A)に酸価を導入する方法などがある。前者の方法でかつ無水トリメリット酸を使用すると、目標とする酸価が特に得られやすい。これらの反応に用いることのできる酸無水物しては、既述の無水トリメリット酸のほか、無水フタル酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートが例示される。これらの1種または2種以上を選択して使用することができる。
【0031】
本発明に使用するポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度の範囲は特に限定されないが、−20℃以上、20℃以下が好ましく、より好ましくは−18℃以上、18℃以下であり、さらに好ましくは−16℃以上、14℃以下であり、特に好ましくは−15℃以上、10℃以下である。ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が高すぎると包装材料の製造に適した温度でラミネートが困難になることがある。またガラス転移温度が低すぎると接着剤層の柔軟性が高くなり、耐熱性が低下し、レトルト処理時に基材同士が剥離することがある。
【0032】
本発明に使用するポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は特に限定されないが、1,000〜5,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜4,000である。ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が低すぎると架橋間分子量が小さいため、塗膜が硬くなりすぎて接着性が低下してしまうおそれがある。一方、ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が高すぎると、硬化剤との反応部位である末端水酸基の濃度が低くなり、硬化剤と十分に反応できないために耐湿熱性が低下してしまうおそれがある。
【0033】
<ポリエステルポリウレタン(B)>
本発明の用いるポリエステルポリウレタン(B)は、前記ポリエステルポリオール(A)とイソホロンジイソシアネートとの共重合物であり、具体的には、ポリエステルポリオール(A)をイソホロンジイソシアネートで鎖延長した構造を有するものである。
【0034】
本発明に使用するポリエステルポリウレタン(B)のガラス転移温度の範囲は特に限定されないが、−20℃以上、20℃以下が好ましく、より好ましくは−18℃以上、18℃以下であり、さらに好ましくは−16℃以上、14℃以下であり、特に好ましくは−15℃以上、10℃以下ある。このようなガラス転移温度の範囲を満足させ且つ、接着性や耐レトルト性を満足させるポリエステルポリウレタン(B)を得るには、長鎖の脂肪族及び/または分岐を有する二塩基酸を共重合成分として用いることが好ましい。また、複数種のブタンジオールを共重合することで耐湿熱性をも併せて発揮することができ、より好ましい。ポリエステルポリウレタン(B)のガラス転移温度が高すぎると低温でのラミネートが困難になる傾向にあり、またガラス転移温度が低すぎると接着層の柔軟性が高すぎ、接着性が低下してしまうおそれがある。
【0035】
本発明に使用するポリエステルポリウレタン(B)の酸価は特に限定されないが、1mgKOH/g以上、12mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは2mgKOH/g以上、11mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは4mgKOH/g以上、10mgKOH/g以下である。酸価が低すぎると硬化速度が低下する傾向にあり、酸価が高すぎると得られた接着層の耐湿熱性が低下する傾向にある。
【0036】
本発明に用いるポリエステルポリウレタン(B)を製造する上で、必要によりイソホロンジイソシアネート以外の鎖延長剤を使用しても良い。鎖延長剤としては、FDA規格175.300(b)(3)(vii)(2013年4月1日改訂版)に記載の多価アルコールを用いることが好ましい。鎖延長剤を使用した場合、ウレタンの鎖延長がスムーズに行われ、また、ウレタン基濃度も高くなる為、機械強度が強くなり、より耐熱性が向上する。多価アルコールとしては、特に限定されないが、具体的には、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、マンニトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが挙げられる。
【0037】
本発明に用いるポリエステルポリウレタン(B)の合成方法としては、ポリエステルポリオール(A)とイソホロンジイソシアネート、および必要により前記鎖延長剤を一括して反応容器に仕込んでも良いし、分割して仕込んでも良い。系内のポリエステルポリオール(A)、必要に応じて鎖延長剤の水酸基価の合計と、イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基の合計について、イソシアネート基/水酸基の官能基の比率が1以下で反応させることが好ましい。またこの反応は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒の存在下または非存在下に反応させることにより製造することができる。その溶媒としては、特に限定されないが、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチルなど)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど)、ケトン系溶媒(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、芳香族炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)およびこれらの混合溶媒が挙げられるが、環境付加の低減の観点から、酢酸エチルやメチルエチルケトンが好ましい。反応装置としては、撹拌装置の具備した反応缶だけでなく、ニーダー、二軸押出機のような混合混練装置も使用できる。
【0038】
上記のようなウレタン化反応を促進させる為、通常のウレタン化反応において用いられる触媒、たとえば錫系触媒(トリメチルチンラウレート、ジメチルチンジラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジヒドロキサイド、スタナスオクトエートなど)、鉛系触媒(レッドオレート、レッド−2−エチルヘキソエートなど)アミン系触媒(トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ジアザビシクロオクタンなど)等を使用することができる。
【0039】
本発明に使用するポリエステルポリウレタン(B)の数平均分子量は特に限定されないが、3,000〜40,000であることが好ましく、より好ましくは4,000〜30,000である。ポリエステルポリウレタン(B)の数平均分子量が低すぎると架橋間分子量が小さいため、塗膜が硬くなりすぎて接着性が低下してしまうおそれがある。一方、ポリエステルポリウレタンの数平均分子量が大きすぎると、硬化剤との反応部位である末端水酸基の濃度が低くなり、硬化剤と十分に反応できないために耐湿熱性が低下してしまうおそれがある。
【0040】
このようにFDA規格175.300(b)(3)(vii)(2013年4月1日改訂版)に記載の原料のみを用い、且つガラス転移温度の範囲、接着性および耐レトルト性満足するポリエステルポリウレタン(B)を得るには、ポリエステルポリオール(A)の多塩基酸として脂肪族ジカルボン酸を多く含有させる事が従来の技術常識である。しかしながら、脂肪族ジカルボン酸を多用するとレトルト処理後の長期保存安定性試験に劣り、目的とするレトルトパウチ用包装袋が得られないことがある。また、長鎖の多価アルコールとして、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等を使用すると耐水性が低下し、レトルト処理時に接着性低下が発生し、基材同士の剥離が生じることがある。また、1,4−ブタンジオールを用いることにより、耐水性に優れたポリエステルポリウレタン(B)を設計できるが、1,4−ブタンジオールを多用すると、有機溶剤への溶解性が低下し、ドライラミネート用接着剤として使用する事ができないことがある。
従って、本発明のポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸成分の合計100モル%中、芳香族ジカルボン酸であるイソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびトリメリット酸の合計量を70モル%以上含有し、多価アルコール成分の合計100モル%中、1,4−ブタンジオールの含有量を65モル%以下とすることが好ましい。また有機溶剤への溶解性を発現させるため、多価アルコール成分として、側鎖を有するブタンジオールである1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールを35モル%以上併用する事が好ましい。
【0041】
<ポリイソシアネート化合物(C)>
本発明に使用するポリイソシアネート化合物(C)は、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物及び/または脂環族ポリイソシアネート化合物が用いられるが、食品安全性の点から、FDA規格177.1390(2013年4月1日改訂版)で121℃(250°F)以上の温度での使用が認められている多官能イソシアネート化合物が好ましい。具体的にはトリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートの反応生成物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとの反応生成物またはイソホロンジイソシアネートの3量体が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上の混合物を用いるのが好ましい。これらを用いることで食品安全性に加え、接着性や耐レトルト性に優れた接着剤組成物を得ることができる。
【0042】
<接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、前記ポリエステルポリウレタン(B)とポリイソシアネート化合物(C)の混合物である。また、ポリエステルポリウレタン(B)を主剤とし、ポリイソシアネート化合物(C)を硬化剤とすることで、2液硬化型ドライラミネート用の接着剤組成物とすることができる。
【0043】
本発明の接着剤組成物におけるポリエステルポリウレタン(B)とポリイソシアネート化合物(C)との混合比は、ポリエステルポリウレタン(B)100重量部に対してポリイソシアネート化合物(C)1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜10重量部である。ポリイソシアネート化合物(C)の配合比率が低すぎると接着剤層の架橋密度が低すぎて接着性および/または耐湿熱性を低下させるおそれがあり、配合比率が高すぎると接着剤層の架橋密度が高すぎるために接着性に劣る可能性がある。
【0044】
本発明の接着剤組成物には、接着性、耐レトルト性、長期保存安定性を高めるため、さらに、シランカップリング剤及びFDA規格175.300(b)(3)(viii)(a)(2013年4月1日改訂版)に記載のエポキシレジンを併用することができる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の添加量は、ポリエステルポリオール(A)の固形分を基準として0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3重量%であることがより好ましい。エポキシレジンとしては、FDA規格175.300(b)(3)(viii)(a)(2013年4月1日改訂版)に記載されたビスフェノール型やフェノール型のエポキシレジンが挙げられ、エポキシレジンの添加量はポリエステルポリオール(A)の固形分を基準として1〜15重量%であることが好ましく、5〜10重量%であることがより好ましい。
【0045】
本発明の接着剤組成物にはFDA規格175.300(2013年4月1日改訂版)及び175.105(2013年4月1日改訂版)に記載された添加剤や硬化反応を促進する触媒、フィラー等を必要に応じて配合することができる。
【0046】
本発明の接着剤組成物および2液硬化型ラミネート用接着剤組成物は、溶剤型であることが好ましく、固形分濃度は30〜60重量%が好ましく、より好ましくは40〜50重量%である。溶剤はポリエステルポリオール(A)の製造後またはポリエステルポリウレタン(B)の製造時や接着剤組成物の製造時に使用され、更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては特に限定されないが、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらのうち価格、生産性、安全性などの点から通常は酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。
【0047】
<積層フィルム>
次に本発明の2液硬化型ラミネート用接着剤を用いた積層フィルムの構成について説明する。
【0048】
本発明の積層フィルムは、基材フィルム/接着剤a層/ガスバリヤ層/接着剤b層/ヒートシール層から順次積層された構成である。基材フィルムとしては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましく、より好ましくは二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムである。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、6−ナイロン、66−ナイロン、メタキシリレンアジペートなどのポリアミド樹脂などが強度や耐熱性、耐薬品性の点から好ましく用いられる。ガスバリヤ層としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−酢酸ビニルの部分鹸化物、ポリビニリデンクロリド、ポリアクリロニトリル共重合体などの有機高分子材料、アルミニウムなどの金属箔、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、などの無機薄膜層などが挙げられ目的や用途によって使い分けることができる。
また、ヒートシール層としては、特に限定されないが、低融点のポリオレフィン樹脂の無延伸フィルムが用いられ、通常、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合フィルムやポリプロピレン樹脂フィルムが用いられる。
【0049】
本発明の2液硬化型ラミネート用接着剤組成物は、接着剤a層及び接着剤b層のいずれにも用いることができるが、特に接着剤b層に用いた場合、レトルト処理後の優れた高温保存安定性が発揮されるため好ましい。
【0050】
積層フィルムはドライラミネート法によって製造される。まず、基材フィルムに接着剤組成物(接着剤a層)を塗布、乾燥してガスバリヤ層を常温又は加熱しながら貼り合わせ、ガスバリヤ層面に接着剤組成物(接着剤b層)を塗布、乾燥してヒートシール層を常温又は加熱しながら貼り合わせ、加熱硬化させる。この場合、接着剤a層、b層は公知のいずれの方法で塗布しても構わないが、一般的にはグラビアロールを用いて塗布することが好ましい。本発明の接着剤組成物の塗布量は、固形分で1〜10g/m
2、好ましくは3〜7g/m
2である。このようにして得られた本発明の積層フィルムは、硬化促進のため、40〜50℃で2〜5日間程度のエージングを行うことが好ましい。
【0051】
本発明の積層フィルムを用いてレトルトパウチ用包装袋を作製することができる。
【実施例】
【0052】
以下本発明について実施例を用いて説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。特に断らない限り、実施例中、単に部とあるのは重量部、%とあるのは重量%を示す。また、各測定項目は以下の方法に従った。
【0053】
<ポリエステルポリオール(A)の組成>
ポリエステルポリオールの組成及び組成比の決定は共鳴周波数400MHzの
1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はVARIAN社製NMR装置400−MRを用い、溶媒には重クロロホルムを用いた。
【0054】
<数平均分子量Mn>
4mlのテトラヒドロフラン(テトラブチルアンモニウムクロライド5mM添加)に試料(ポリエステルポリオール(A)またはポリエステルポリウレタン(B))4mgを溶解した後、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過した試料溶液とした。試料溶液をゲル浸透クロマトグラフィーで分析を行った。装置はTOSOH HLC−8220、検出器は示差屈折率検出器を用い、流速1mL/分、カラム温度40℃で測定した。分子量標準には単分散ポリスチレンを使用し、数平均分子量は標準ポリスチレン換算値とし、分子量1000未満に相当する部分を省いて算出した。
【0055】
<ガラス転移温度Tg>
示差走査型熱量計(SII社、DSC−200)により測定した。サンプルは試料(ポリエステルポリオール(A)またはポリエステルポリウレタン(B))5mgをアルミニウム抑え蓋型容器に入れて密封したものを用いた。まず、液体窒素を用いて−50℃まで試料を冷却し、次いで150℃まで20℃/分にて昇温した。この過程にて得られる吸熱曲線において、吸熱ピークが出る前のベースラインと、吸熱ピークに向かう接線との交点の温度をもって、ガラス転移温度(Tg、単位:℃)とした。
【0056】
<酸価AV>
試料(ポリエステルポリオール(A)またはポリエステルポリウレタン(B))0.2gを精秤しクロロホルム40mlに溶解し、0.01Nの水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定を行った。指示薬にはフェノールフタレインを用いた。単位はmgKOH/gとした。
【0057】
<ポリエステルポリウレタン(B)の溶解安定性>
試料(ポリエステルポリウレタン(B))を固形分50重量%、65℃下で溶解させ、25℃で3ヶ月及び5℃で1ヶ月保管し、溶解安定性を確認した。
評価基準: ○:透明を維持し溶液の流動性維持。
△:濁りが発生。
×:プリン化。
【0058】
ポリエステルポリオール(1)の製造例
攪拌機、コンデンサー、温度計を具備した反応容器にイソフタル酸481.4部、セバシン酸210.1部、無水トリメリット酸11.5部、1,4−ブタンジオール216.0部、2−メチル−1,3−プロパンジオール504.0部、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(以下、TBTと略記する場合がある)を全酸成分に対して0.02モル%仕込み、160℃から240℃まで4時間かけて昇温しながらエステル交換反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、20分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、230℃にて30分間重縮合反応を行った。窒素気流下、220℃まで冷却し、無水トリメリット酸を12.4部投入し、30分間反応を行った。得られたポリエステルポリオール(1)はNMRによる組成分析の結果、多塩基酸成分がモル比でイソフタル酸/セバシン酸/トリメリット酸=72.5/26.0/1.5モル%であり、多価アルコール成分がモル比で1,4−ブタンジオール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=48.0/52.0であった。また、数平均分子量は2500であった。
【0059】
ポリエステルポリオール(2)〜(14)の製造例
ポリエステルポリオール(1)の製造例に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更して、ポリエステルポリオール(2)〜(14)を製造した。結果を表1に記す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1において、樹脂の共重合成分は下記の略号を用いて表した。
TPA:テレフタル酸残基
IPA:イソフタル酸残基
AA:アジピン酸
SA:セバシン酸残基
TMA:トリメリット酸残基
2MG:2−メチル−1,3−プロパンジオール残基
1,4−BD:1,4−ブタンジオール残基
1,2−BD:1,2−ブタンジオール残基
EG:エチレングリコール残基
NPG:ネオペンチルグリコール残基
HD:1,6−ヘキサンジオール残基
【0062】
ポリエステルポリウレタン(1)の製造例
温度計、攪拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器に、表1に記載したポリエステルポリオール(1)を100部、酢酸エチル108.7部を仕込み溶解後、イソホロンジイソシアネート8.7部を投入し、撹拌して均一溶液とした。その後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.04部加え70℃で8時間反応させた。充分に反応させて目的とする固形分濃度50%のポリエステルポリウレタン(1)を得た。この様にして得られたポリエステルポリウレタン(1)の特性を表2に示す。
【0063】
ポリエステルポリウレタン(2)〜(14)の製造例
ポリエステルポリウレタン(1)の製造例と同様にして、表1に示すポリエステルポリオール(2)〜(14)を用いてポリエステルポリウレタン(2)〜(14)を製造した。それらの特性を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
実施例1
ポリエステルポリウレタン製造例(1)を用いて、以下の方法に従って接着剤組成物及び積層フィルムを作製し、さらにこれを用いたレトルトパウチを作製して接着力や耐レトルト性を測定した。
【0066】
<接着剤組成物の製造>
ポリエステルポリウレタン製造例(1)の溶液に硬化剤としてイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(住化バイエル製デスモジュール(登録商標)Z4470)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合した。この溶液に、酢酸エチルを加えて固形分濃度を30重量%となるように調整し、十分攪拌を行い目的とする接着剤組成物(1)を得た。
<積層体の作成>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東洋紡製E5100、12μm)/接着剤組成物(1)層(厚さ5μm )/アルミニウム箔(厚さ9μm)/接着剤組成物(1)層(厚さ5μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東洋紡製P2161、50μm)の5層積層フィルムを以下に記載の方法で作製した。すなわち、接着剤組成物(1)を常温にてアプリケーターにより、まずPETフィルムコロナ処理面に乾燥後の接着剤組成物塗布厚が5μmとなるように塗布し、120℃にて5分熱風乾燥機で溶剤を揮散させた。その後、塗布面をアルミニウム箔と重ね合わせ、ロール温度120℃、ロール荷重3kg/cm、被圧着物速度1m/分でドライラミネーション法にて貼り合せた。さらに、その積層体のアルミニウム箔面に同様の接着剤組成物(1)を乾燥後の厚さが5μmとなるように塗布した。接着剤組成物(1)の溶剤を揮散させた後、塗布面をCPPフィルムと重ね合わせ、上記と同じドライラミネーション法で貼り合せ、50℃で4日間保温(エージング)し、5層積層フィルムを作製した。
【0067】
<接着強度>
5層積層フィルムのアルミニウム箔とCPPとの間の接着強度を、引張り試験機を用いて測定した。測定時の雰囲気温度を25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180°剥離方法で剥離した際の引張り強度を接着強度とし、接着強度の単位は、N/15mmとした。結果を表3に示す。
(判定)◎:15N/15mm以上
○:10N/15mm以上15N/15mm未満
△:8N/15mm以上10N/15mm未満
×:8N/15mm未満
【0068】
<耐レトルト性>
5層積層フィルムを用いて、120mm×120mmの大きさのパウチを作製した。この際、ヒートシールは10mm幅のバーシールを用いて、200℃、98kPa、1秒のシール条件で行った。次いで、流れ方向(MD)および横方向(TD)に2本の折り目を入れ、内容物として、食酢、サラダ油、ケチャップソースを重量比で1:1:1に配合した疑似食品70gをパウチに充填した。このパウチを120℃で30分間の蒸気式のレトルト殺菌処理をした後の外観及び、この殺菌処理後のパウチを40℃及び60℃の恒温漕に14日静置して外観を目視でデラミネーション(浮き、または気泡)を確認した。結果を表3に示す。
(判定) ○:浮き、または気泡なし
△:浮き、または気泡がわずかに見られる
×:浮き、または気泡あり
【0069】
実施例2
<接着剤組成物の製造>
ポリエステルポリウレタン製造例(1)の溶液に硬化剤としてイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(住化バイエル製デスモジュール(登録商標)Z4470)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合した。さらに別途、酢酸エチルで固形分濃度50%となるようにエポキシレジン(三井化学製jER(登録商標)1001)溶液を作製し、先ほどのポリエステルポリウレタンおよびポリイソシアネート混合溶液に、ポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合した。この溶液に酢酸エチルを加えて固形分濃度を30重量%となるように調整し、十分攪拌を行い目的とする接着剤組成物(2)を得た。以下、実施例1と同様に評価を行った。これらの結果を表3に示す。
【0070】
実施例3
<接着剤組成物の製造>
ポリエステルポリウレタン製造例(1)の溶液に硬化剤としてトリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネート反応体(三井化学製タケネート(登録商標)D140N)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、10重量部(固形分)となるように配合し、さらにシランカップリング剤(信越シリコーン製KBM403)をポリエステルポリウレタン100重量部(固形分)に対し、1重量部(固形分)となるように配合した。この溶液に酢酸エチルを加えて固形分濃度を30重量%となるように調整し、十分攪拌を行い目的とする接着剤組成物(3)を得た。以下、実施例1と同様に評価を行った。これらの結果を表3に示す。
【0071】
実施例4〜14、比較例1、2
実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、同様に評価を行った。これらの結果を表3に示す。
【0072】
【表3】