特許第6337691号(P6337691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337691
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】加湿機
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20180528BHJP
   F24F 6/12 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F24F6/00 B
   F24F6/12 101A
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-171190(P2014-171190)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-44924(P2016-44924A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112210
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】陸 茉莉花
(72)【発明者】
【氏名】任田 保満
(72)【発明者】
【氏名】高坂 勇
(72)【発明者】
【氏名】柳内 敏行
(72)【発明者】
【氏名】美寿見 奈穂
(72)【発明者】
【氏名】小林 朋生
(72)【発明者】
【氏名】及川 貴裕
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−326147(JP,A)
【文献】 特開2002−106897(JP,A)
【文献】 実開昭60−191823(JP,U)
【文献】 特開2005−265383(JP,A)
【文献】 特開2016−017717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00−6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
該本体内に設けられ、高湿度空気を生成する高湿度空気生成手段と、
前記本体に着脱自在に取り付けられ、前記高湿度空気生成手段に水を供給する給水タンクと、
前記高湿度空気を前記本体外へ送出するための搬送風を発生させる送風機と、を備え、
前記高湿度空気生成手段の上方に、前記高湿度空気と前記搬送風を混合するダクトを設け、
該ダクトは前記搬送風と混合された前記高湿度空気を送出する送出口と、前記送出口下部の少なくとも一部に、最外部から前記送出口に向かって低くなるように設けられた第1の傾斜部を有し、
前記ダクトに、前記送出口内外に生じる結露によってできた水を前記第1の傾斜部で集めて回収する回収部を設けたことを特徴とする加湿機。
【請求項2】
前記第1の傾斜部の最下部となる位置に係るように、前記回収部の上方に回収穴を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加湿機。
【請求項3】
前記回収部は、前記ダクトの外郭に設けられていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2何れかに記載の加湿機。
【請求項4】
前記高湿度空気生成手段は蒸気生成装置であり、
前記回収部は、前記蒸気生成装置が発生させる蒸気によって高温となる前記ダクトの外郭上部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3何れか1項に記載の加湿機。
【請求項5】
前記回収部の底部から上方へ立設するリブを設け、前記回収穴を上面から見たときに、前記リブは、少なくともその一部が前記回収穴から視認できる位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の加湿機。
【請求項6】
前記リブの上端が少なくとも前記回収穴の下端の一部と当接することを特徴とする請求項に記載の加湿機。
【請求項7】
前記送出口上部の少なくとも一部に第2の傾斜部を設け、前記第1の傾斜部及び前記第2の傾斜部の幅方向の長さが、前記送出口の横幅と同じか、あるいは前記送出口の横幅よりも長くなっていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2何れか1項に記載の加湿機。
【請求項8】
前記第1の傾斜部の後方に、前記回収穴に一部係るように、回収した結露によってできる水を逃がすための溝形状を設けたことを特徴とする請求項2に記載の加湿機。
【請求項9】
前記ダクトの内壁から前記送出口から延設する外部にかけて、少なくともその一部に親水処理を施したことを特徴とする請求項1から請求項何れか1項に記載の加湿機。
【請求項10】
前記第1の傾斜部あるいは前記第2の傾斜部あるいはその両方に親水処理を施したことを特徴とする請求項に記載の加湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高湿度の空気を供給する加湿機に関し、詳しくは結露により生ずる水の回収構造を備える加湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
高湿度空気を生成する加湿機、特に高湿度空気の温度が常温より高い温度であるような加湿機では、高湿度空気の送出口周辺に結露することがあり、それによって生ずる水が本体外や本体内底部に滴下することがある。
【0003】
そこで、高湿度空気を生成する加熱部に、結露により生ずる水を回収して戻す構成の加湿機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−104956号公報(第3頁、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の加湿機では、加熱部で水を加熱して高湿度空気である蒸気を生成しているが、結露によって生じた水を回収して加熱部に戻すようにしている。しかし、結露によって生じた水は温度が低いため、加熱部に戻すことで加熱部の温度も一時的に低下することになり、結露によって生じた水を戻す度に加熱部の温度低下を繰り返してしまうことで、加湿性能の低下を招くという問題があった。
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたもので、結露によって生じた水を加熱部に戻すことなく回収し、加湿性能が低下することがない、使い勝手のよい加湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決する本発明に係る加湿機は、本体と、本体内に設けられ、高湿度空気を生成する高湿度空気生成手段と、本体に着脱自在に取り付けられ、高湿度空気生成手段に水を供給する給水タンクと、高湿度空気を本体外へ送出するための搬送風を発生させる送風機と、を備え、高湿度空気生成手段の上方に、高湿度空気と搬送風を混合するダクトを設け、ダクトは搬送風と混合された高湿度空気を送出する送出口と、送出口下部の少なくとも一部に、最外部から送出口に向かって低くなるように設けられた第1の傾斜部を有し、ダクトに、送出口内外に生じる結露によってできた水を第1の傾斜部で集めて回収する回収部を設けたものである。


【発明の効果】
【0008】
本発明に係る加湿機によれば、高湿度空気が通過するダクトに、ダクトの送出口内外に生じる結露によってできる水を回収する回収部を設けたので、加熱部である高湿度空気生成手段に、結露によってできた水を戻すことがなく加湿性能の低下を起こすことが無い。
【0009】
また、ダクトの送出口内外に生じる結露によってできる水を回収するようにしているので、本体外や本体内底部に水が滴下することがない。よって、使用者が滴下した水を拭いたりする必要がないので、衛生的で使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の概略構成を示す前側に近い方から見た全体斜視図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の概略構成を示す後側に近い方から見た全体斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る加湿機の概略構成を示す側面に近い方から見た全体斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る加湿機の可動ダクトを前方に移動した状態の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る加湿機から本体カバーと給水タンクカバーと給水タンクを取り外した状態の斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る加湿機の側面方向から見た全体断面図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンク取付け部の要部断面拡大図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンク取付け部を上方から見た平面図である。
図8】本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクカバーを外した状態の後方からの斜視図である。
図9】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの取り外し前の状態を側面方向から見た要部断面図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの取り外し始めの状態を側面方向から見た要部断面図、(c)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの取り外し後の状態を側面方向から見た要部断面図である。
図10】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの通常使用状態の側面図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクを側面方向から見た断面図、(c)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクを持ち上げた状態の側面図である。
図11】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトを上方から見た平面図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの側面図である。
図12】本発明の実施の形態1に係る加湿機の本体カバーと給水タンクカバーが一体となった状態の断面図である。
図13】本発明の実施の形態1に係る加湿機の本体カバーを下方から見た斜視図である。
図14】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクカバーの斜視図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクカバーを下方から見た斜視図である。
図15】本発明の実施の形態1に係る加湿機の本体カバーと給水タンクカバーが一体となった状態で、可動ダクトを前方に移動した状態の断面図である。
図16】本発明の実施の形態1に係る加湿機の本体カバーから給水タンクカバーを取り外した状態の上方斜め後方から見た斜視図である。
図17】(a)図12の要部拡大図、(b)可動ダクトを前方に移動した状態の本体カバーの爪部と給水タンクカバーの爪係合部の要部断面図、(c)可動ダクトを後方に移動した状態の本体カバーの爪部と給水タンクカバーの爪係合部の要部断面図である。
図18】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの斜視図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの分解斜視図である。
図19】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの回収穴周辺を上方から見た斜視図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの回収穴周辺を上方から見た上面図である。
図20】(a)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの正面図、(b)本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトを断面H−Hで切断した側面方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
(全体の構成)
図1図7を適宜使用し、本発明の実施の形態1に係る加湿機の概略構成を説明する。
なお、それぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する場合がある。
【0012】
本発明の実施の形態1に係る加湿機100は、高湿度空気生成送風ユニットである本体1に後述する給水タンク41を取り付け、本体カバー2及び給水タンクカバー3を被せて構成されている。
【0013】
図1(b)に示すように、本体後側下部にある電源コード接続部17は、加湿機100に商用電源を接続するための、図示しないマグネット式電源コードを接続する部位である。加湿機の電源コードは、例えば、意図せず電源コードに引っ掛かってしまったときに加湿機100が転倒しないよう、接続箇所に所定以上の力が加わると外れるようにマグネット式の電源コードになっている。
【0014】
また、図1(b)及び図5に示すように、電源コード接続部17の上部には、電源コード接続部17に被るように、本体1の後側より水平方向に突出したリブ状の庇形状30が設けられている。この庇形状30は、後述する給水タンク41を取り外すときに、後方に傾斜させて取り外すので、その際、給水タンク41から水が滴下したとしても、通電部である電源コード接続部17に水滴が直接滴下しないようにするためのものである。
【0015】
本体カバー2の本体カバー前側2aは光透過性を有する樹脂材で形成されており、図4に示す本体1に設けられた発光表示操作部11が備える発光部116、117a〜117g、118が発光すると、その光を透過して本体カバー前側2aで発光部116、117a〜117g、118が発光したことが視認できるようになっている。
【0016】
本体カバー2の前側2a以外の部位である本体カバー右側2b、本体カバー左側2c(図8参照)、本体カバー上側2dも樹脂材で形成されていて、同一の樹脂材により一体で形成してもよいが、光透過性を必要としないので本体カバー前側2aとは異なる樹脂材で形成している。
【0017】
本体カバー2の本体カバー前側2aには電源スイッチ4及びタイマースイッチ5が設けられている。電源スイッチ4及びタイマースイッチ5は樹脂材で形成されており、本体に被せたときに、本体1に設けられた発光表示操作部11が備える電源ボタン114とタイマーボタン115を、それぞれ操作入力できるようになっている。
【0018】
本体の内部の前側には図5に示すように、操作基板111が配置されている。操作基板111には、発光表示操作部11が備える電源ボタン114とタイマーボタン115用の図示しない機械式スイッチ、及び発光部116、117a〜117g、118用の図示しないLEDが実装されている。
【0019】
操作基板111は図示しない接続電線で、操作基板111の後方に配置された制御基板18と電気的に接続されている。制御基板18には、図示しないマイコン等の加湿機100の動作を制御する電子部品が実装されていて、例えば本体カバー前側2aに設けられたタイマースイッチ5を操作すると、その入力により加湿機100の運転時間が設定され、その設定された時間で加湿運転が行われる。
【0020】
制御基板18の後方には、高湿度空気生成手段である蒸気生成装置71が配置されている。蒸気生成装置71は、上方が開口した金属部材から成る円形の深皿状をしており、その深皿状の外周に蒸気生成用ヒーター72が巻かれている(図5参照)。
【0021】
蒸気生成装置71には、後述する給水タンク41に収容された水が、図7に示す本体給水路151を通過し、本体給水路151よりも低い位置に設けられた貯水部171に貯められて、その貯水部171と連通する蒸気生成装置給水経路74を経由して水供給口73から供給される。
【0022】
(給水タンクの取り付け構成と給水タンクの構成)
ここで、給水タンク41の本体1への取り付け構成について、図8図9(a)、(b)、(c)及び前述の図を使用し説明する。図8は本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクカバーを外した状態の後方からの斜視図、図9(a)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの取り外し前の状態を側面方向から見た要部断面図、図9(b)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの取り外し始めの状態を側面方向から見た要部断面図、図9(c)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの取り外し後の状態を側面方向から見た要部断面図である。
【0023】
まず、給水タンク41は、図8に示すように加湿機100の後方の給水タンクカバー3を取り外すと露出するようになっている。給水タンク41は、本体側風路16の後方で送風機61の上方に設けられた、図6図7に示す給水タンク取付け部12に取り付けられている。
【0024】
給水タンク取付け部12の内部には、給水タンク41にねじ込み式で着脱可能に取り付けられた、後述する水供給機構44を有するキャップ42を収容するキャップ収容部13が設けられている。
【0025】
ここで、図10(a)、(b)、(c)を使用し給水タンク41の構成を説明する。図10(a)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクの通常使用状態の側面図、図10(b)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクを側面方向から見た断面図、図10(c)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の給水タンクを持ち上げた状態の側面図である。
【0026】
給水タンク41は、樹脂材で形成された中空の容器状になっていて、通常使用状態で給水タンク41の上部となる位置に、回動自在のハンドル45が設けられている。ハンドル45の回動軸45aは、前後方向で見たときに給水タンク41の重心Gよりも前方に配置されている。ここでいう前方とは、加湿機100に取り付けたときの、吹き出し口21側の方向のことである。
【0027】
そのため、給水タンク41を、ハンドル45を持って持ち上げると、図10(c)に示すように、回動軸45aの回動軸の軸中心から真っ直ぐ下に下ろした線上に給水タンク41の重心Gが来るように傾斜するようになっている。言い換えると、給水タンク41の上方が後方に傾斜するようになっている。
【0028】
また、給水タンク41には、通常使用状態で給水タンク41の下部となる位置に設けられた注水口43にはねじ込み式のキャップ42が取り付けられていて、内部に注水できるようになっている。注水は、通常使用状態で給水タンク41の下部となる位置に設けられた注水口43に取り付けられたねじ込み式のキャップ42を取り外して、通常使用状態とは逆の向きで行う。
【0029】
キャップ42は、前述のように水供給機構44を有しており、水供給機構44は、止水弁44aと止水弁開閉軸44b及びバネ44cで構成されている。止水弁44aは止水弁開閉軸44bに取り付けられていて、キャップ42に設けられた円周状のリブ42aと全周が接触することで閉塞され止水するようになっていて、バネ44cで閉塞方向に付勢されている。
【0030】
また、止水弁44aは、通常使用状態では、傘を逆さまにしたような形状が上に向くようになっていて、注水した後に通常使用状態の向きに戻すと、傘を逆さまにしたような形状のところに水の圧力が掛かるので、止水弁44aがリブ42aと接触する方向、つまりは止水弁44aが閉塞する方向に圧力が掛かり、給水タンク41に注水した水は漏れないようになっている。
【0031】
通常使用状態の向きで、バネ44c及び水の圧力で閉塞されている止水弁44aは、止水弁44aが取り付けられている止水弁開閉軸44bを押し上げ、給水タンク41内に空気が入るようにすることで水が供給可能な状態になる。
【0032】
給水タンク41を本体1の給水タンク取付け部12に取り付けると、図7に示すキャップ受け部13のほぼ中央に設けられた止水弁開閉軸押し上げ凸部10によって、バネ44cの付勢力に抗して止水弁開閉軸44bが押し上げられ、図6に示すように止水弁44aが円周状のリブ42aから離れ、通気、通水が可能な状態となり、給水タンク41内に空気が侵入して本体給水路151に水が供給される。
【0033】
水の供給は給水タンク41内に空気が侵入できる間だけ行われる。キャップ42には切り欠き形状42bが設けられていて(図10(a)参照)、水が供給され始めキャップ42の先端が水に浸かっても、切り欠き形状42bから空気が侵入し水が供給され続ける。切り欠き形状42bが水に浸かる位置まで水が供給されると、水によって空気の侵入が出来なくなり、空気の侵入が止まって、それにより水の供給が停止する。
【0034】
このように切り欠き形状42bが浸かる位置で水の供給が停止するので、この切り欠き形状42bが浸かる位置が貯水部171に貯められる水の水位と同水位となり、蒸気生成装置71に供給される水の水位もまた同水位となる。
【0035】
この水の供給が停止した状態から加湿機100を稼働させると、蒸気生成装置71の蒸気生成用ヒーター72の通電により水が加熱され蒸気化して高湿度空気が生成され、それにより蒸気生成装置71に供給された水が蒸発した分減って水位が下がり始める。
【0036】
蒸気生成装置71に供給された水と同水位である貯水部171及びキャップ収容部13の水位も同様に下がり始め、キャップ42の切り欠き形状42bが露出するまで水位が下がると、切り欠き形状42bから再び空気の侵入が可能となり、切り欠き形状42bが浸かる位置まで水が供給されると、そこでまた空気の侵入が止まり、再び水の供給が停止する。これを、蒸気生成装置71の稼働に合わせ、給水タンク41に注水した水が空になるまで複数回繰り返し、蒸気生成装置71に水を供給し続けるようになっている。
【0037】
前述のような給水タンク41が取り付けられる、給水タンク取り付け部12のキャップ収容部13であるが、図7に示すように前後方向の長さがA、幅(左右)方向の長さがBとなっていて、A>Bの関係となっている。
【0038】
この前後方向の長さの違いは、図6に示すようにキャップ収容部13の後側の壁であるキャップ収容部後側壁13aとキャップ42との隙間Cよりも、キャップ収容部前側壁13bとキャップ42との隙間Dを広くするために成されたものである。
【0039】
給水タンク41を取り外そうとして、給水タンク41を持ち上げると、前述のように(図10(c)参照)、給水タンク41上方が後方に傾斜するため、それにともないキャップ42は前方へ傾斜する。
【0040】
よって、キャップ収容部前側壁13bとキャップ42との隙間Dが、隙間C程度しかない場合、前側に傾斜したキャップ42が直ぐにキャップ収容部前側壁13bと接触し、擦れながら上方へ移動することになり、給水タンク41の取り外しがスムーズにできなくなってしまう。
【0041】
本発明の実施の形態1のように、キャップ収容部前側壁13bとキャップ42との隙間Dを広くすることで、キャップ42が前側に傾斜しても、図9(b)、図9(c)に示すように、給水タンク41の取り外しの途中でキャップ42がキャップ収容部前側壁13bと接触することなく取り外せるので、給水タンク41の取り外しがスムーズにできる。
【0042】
当然、給水タンク41の取り付けにおいても、持ち上げた状態の給水タンク41が後方に傾いて、キャップ42が前側に傾斜しているので、キャップ42がキャップ収容部前側壁13bと接触することなく取り付けられるので、スムーズな取り付けが可能である。
【0043】
それから、キャップ収容部13には、キャップ42を直接受けるキャップ受け面131が設けられ、キャップ42がキャップ受け面131に当接したときに、キャップ収容部13の深さはキャップ42の高さ方向の半分程度となっている(図6参照)。
【0044】
また、キャップ42がキャップ受け面131に当接したときに、給水タンク41を受けるための支持部121、141が給水タンク取り付け部12に設けられている。
【0045】
キャップ収容部13を深くして給水タンク取り付け部12で直接給水タンク41を受けるようにすると、キャップ42が高さ方向において全体がキャップ収容部13に囲まれてしまい、前述のようにキャップ収容部後側壁13aとキャップ42との隙間Cよりも、キャップ収容部前側壁13bとキャップ42との隙間Dを広くしても、給水タンク41が後方に傾斜したときにキャップ42がキャップ収容部前側壁13aとキャップ収容部前側壁13bと接触し、擦れて給水タンク41が取り外し難くなる。
【0046】
そのため、給水タンク41を受けるための支持部121、141を設けることでキャップ収容部13を深くせずに済むので、給水タンク41が後方に傾斜したときにキャップ42がキャップ収容部前側壁13aとキャップ収容部前側壁13bと接触することも、擦れることもなく給水タンク41の取り外しがスムーズにできる。
【0047】
なお、ここでは図7に示すように支持部121はリブ形状、支持部141は凸形状としたが、その逆に支持部121を凸形状、支持部141をリブ形状としてもよく、また支持部の121、141全てをリブ形状あるいは凸形状にしてもよく、何れにおいても給水タンク41の取り外しがスムーズに行える。
【0048】
次に、図8に示すように、給水タンク41の下方を囲むように本体1に壁部6が設けられている。壁部6は、図4に示すように本体の一方の前側から後側を通り、もう一方の前側に至るように設けられていて、この壁部6は、加湿機100に水が供給されている状態で、加湿機100を傾けてしまったときに、貯水部171やキャップ収容部13等の水が本体1外に、できるだけ漏れないようにするためのものである。
【0049】
壁部6は、図4に示すように本体1の後側に行くほど低くなっており、給水タンク41の取り外し側である後側が最も低くなっている。後側の壁部6と給水タンク41は、給水タンク41を取り付けた状態で所定の隙間Eが設けられている。
【0050】
このように後側の壁部6を低くして、給水タンク41との間に隙間Eを設けたことで、給水タンク41を取り外すために給水タンク41を持ち上げ、給水タンク41が後方に傾斜しても、図9(b)に示すように、給水タンク41との間に隙間Fが確保されていて、壁部6が給水タンク41に干渉せず接触しないので、給水タンク41の取り外しがスムーズにできる。
【0051】
また、当然であるが、給水タンク41の取り付けにおいても、持ち上げた状態の給水タンク41が後方に傾いて、キャップ42が前側に傾斜しているので、後側の壁部6が低く、壁部6と給水タンク41との間に、給水タンク41を取り付ける途中の状態で隙間F、給水タンク41を取り付けた後の状態で隙間Eが空くように空間が設けられているので、スムーズな取り付けが可能である。
【0052】
前述のような取り付け構成の給水タンク41から蒸気生成装置71内に供給された水は、蒸気生成用ヒーター72を通電することで加熱され湯沸かしの状態となり、蒸気化することで高温の高湿度空気となる。
【0053】
なお、ここでは、高湿度空気を生成する手段として蒸気式を挙げているが、これに限定されるものではなく、気化式や超音波式といった手段でもよい。但し、気化式や超音波式といった手段を選択した場合は、温度の低い高湿度空気となるので、蒸気式のような温度の高い高湿度空気を発生させることができない。
【0054】
そのため、温度の低い高湿度空気では使用者に不快感を与えてしまうような形態の加湿機、例えば、高湿度空気を直接使用者に向けて吹き出し、使用者の肌を潤したり、咽喉の乾燥を抑制したりするような使い方をする加湿機には向いていない。
【0055】
よって、気化式や超音波式といった手段で高湿度空気を生成する加湿機で、温度の高い高湿度空気が必要であるときは、高湿度空気の流通経路の途中に輻射式ヒーターのような加熱手段を設けて、温度の低い高湿度空気を加熱して昇温させれば、温度の高い高湿度空気にすることができるので、使用者に不快感を与えることがない。
【0056】
蒸気生成装置71には、上方の開口を覆うように、蒸気の通気口を有する耐熱性の樹脂材で形成された蒸気生成装置カバー75が設けられている。蒸気生成装置カバー75を覆うようにして、その上方に蒸気送出口52を備える耐熱性の樹脂材で形成されたダクト51が取り付けられている。このダクト51は蒸気送出口52を備えており、蒸気が通気するダクトであるので、以降、蒸気ダクト51と称する。なお、蒸気ダクト51の詳しい構成については後述する。
【0057】
蒸気ダクト51を取付けた後、図4に示すフック14を蒸気ダクト51の凹部に係合させることで、上方へ外れないように固定される。蒸気生成装置カバー75は、蒸気ダクト51が固定されることにより蒸気ダクト51と接触して動きが規制され固定される。
【0058】
蒸気生成装置71により蒸気化された高温の高湿度空気は、その蒸気化だけでは蒸気ダクト51の送出口52から送出される程の勢いがない。そのため、蒸気化された高温の高湿度空気が流れるように付勢する手段が必要となる。
【0059】
そこで、蒸気生成装置71の後方には、図5に示すように蒸気化された高温の高湿度空気が流れるように付勢するための搬送風を発生させる、ファン62を有する送風機61が設けられている。ファン62は送風機61の回転軸63に圧入されて固定されている。
【0060】
ファン62を有する送風機61は、加湿機100を小形化するために、本体1(高湿度空気生成送風ユニット)の前後方向と回転軸63が平行になるように配置されている。よって、ファン62の外形の大きい方である円周方向が、本体1(高湿度空気生成送風ユニット)の左右(幅)方向となり、外形の小さい方である厚さ方向が前後方向となるように配置できるので、円周方向が本体1の前後方向に来るように配置するよりも本体1(高湿度空気生成送風ユニット)の前後方向の寸法を抑制でき、加湿機100の外形寸法を大きくせずに済む。
【0061】
また、送風機61は図5に示すように、給水タンク41が配置される給水タンク取付け部12の下の空間を有効に利用して配置されているので、この配置によっても本体1(高湿度空気生成送風ユニット)の前後方向の寸法を抑制できる。
【0062】
ファン62はファン室64内に配置されていて、ファン室64は、その上方に形成された本体側風路16と通気可能に連通している。本体側風路16のさらに上方には本体カバー側風路22が形成されている。
【0063】
(本体カバーと給水タンクカバーの構成)
次に、本体カバー2と給水タンクカバー3について説明する。図12は、本発明の実施の形態1に係る加湿器の本体カバーと給水タンクカバーが一体となった状態の断面図であり、本体カバー側風路22は、図12に示すように本体カバー2側に形成されていて、本体カバー2と給水タンクカバー3を一体で取り外すと本体側風路16と分離し、本体カバー2とともに本体1から外れるようになっている。
【0064】
本体カバー2の後側の下方には、図13及び図16に示すように、給水タンクカバー3を外すと露出する後側接続部2eが設けられている。この後側接続部2eで接続されていることで、本体カバー2の強度を維持しつつ、給水タンク41が取り外し可能な開口部2fが構成される。
【0065】
本体カバー2と給水タンクカバー3は、常に一体で本体から取り外すのではなく、状況に応じて給水タンクカバー3のみを取り外したり、給水タンクカバー3を取り外した後、本体カバー2を取り外したりすることができる。
【0066】
状況に応じてというのは、例えば給水タンク41に給水するだけであれば、本体カバー2を取り外す必要がなく、給水タンクカバー3のみを取り外せば給水タンク41が取り外せる、あるいは、蒸気生成装置71のお手入れと給水タンク41への給水を同じタイミングで行うときには、本体カバー2と給水タンクカバー3を一体で同時に外す、というようなそれぞれの状況に応じてということである。
【0067】
なお、前述した蒸気生成装置71のお手入れであるが、蒸気生成装置71は通常、水道水を使用して湯沸かしポットのように沸騰させて水を蒸気化しているので、湯沸かしポットの内部と同様に、水道水に含まれる一般的にカルキと呼ばれる物質、正式には次亜塩素酸カルシウム(塩化石灰とも云う)が、内部の表面に固着、堆積する。このカルキの固着、堆積が進むと加熱性能が低下してしまうので定期的に取り除かなければならず、そのためのお手入れということである。
【0068】
給水タンクカバー3は樹脂材で形成されていて、図16及び図17に示す本体カバー2に設けられた爪形状27a、27bに、図14(b)に示す給水タンクカバー3に設けられた爪係合部35a、35bをそれぞれ係合させている。本体カバー2に給水タンクカバー3を取り付けるときは、図15及び図17(b)に示すように、後述する可動ダクト31を前方に移動した状態で行う。
【0069】
本体カバー2が本体1に取り付いている状態で給水タンクカバー3を取り付けるときは、爪形状27a、27bと爪係合部35a、35bとの係合に併せ、給水タンクカバー3に設けられたリブ3b、3c(図14(b)参照)を、本体1に設けられたリブ嵌合部161a、161b(図7参照)にそれぞれ嵌合させて取り付ける。
【0070】
給水タンクカバー3には、図16及び図17(a)に示すように指掛け部34が設けられている。正確には指掛け部34は、給水タンクカバー3とは別部品である樹脂材で形成された給水タンクカバートップ37に設けられていて、給水タンクカバートップ37は、給水タンクカバートップ37に設けられた爪形状39a〜39dを、給水タンクカバー3に設けられた爪掛け穴38a〜38dに係合させて取り付けられている。なお、ここでは指掛け部34を別部品で構成するようにしたが、必ずしも別部品で構成する必要はなく、給水タンクカバー3と一体で設けてもよい。
【0071】
指掛け部34は、指を掛かりやすくするため、図15に示すように突出部36を有していて、この突出部36に指を掛け、斜め後方に持ち上げるように傾けると、爪形状27a、27bと爪係合部35a、35bとの係合が外れ、リブ3b、3cがリブ嵌合部161a、161bから外れて取り外すことができる。
【0072】
なお、給水タンクカバー3は本体カバー2と一体で取り外せることを前述したが、給水タンクカバー3は可動ダクト31により本体カバー2と固定されることについて説明する。図17(b)に示すように爪形状27a、27bと爪係合部35a、35bを係合させてから、図17(c)に示すように可動ダクト31を後方に移動させると、給水タンクカバー3は可動ダクト31によって上部を抑えられることになり、上方へ移動できない状態となって爪形状27a、27bと爪係合部35a、35bの係合が維持されて、本体カバー2と一体の状態となる、つまりは、給水タンクカバー3は本体カバー2と一体で取り外せる状態となる。
【0073】
この状態から、再び可動ダクト31を前方へ移動させれば、可動ダクト31による給水タンクカバー3上部の抑えが解除され、爪形状27a、27bと爪係合部35a、35bの係合が外せる状態となって、給水タンクカバー3が単独で取り外せるようになる。
【0074】
給水タンクカバー3は、給水タンク41に注水するために単独で取り外すものであるが、給水タンクカバー3には給水タンク41の水位が視認できるよう、水位窓3aが設けられている(図14(a)、(b)参照)。水位窓3aにより給水タンク41の水位の低下を見て、それに応じて注水を行うことができるようになっている。
【0075】
だが、もし、給水タンク41の水位の低下を見逃してしまったとしても、図7に示す貯水部171には図示しない水位検知手段が設けられている。これによって、給水タンク41から供給された水の水位が所定の値より下がると、供給が停止したと判断し、給水タンク41が空であること、あるいは注水が必要であることを報知する図示しない報知手段の報知により、注水することができるようになっている。
【0076】
次に、図4に示すように、本体カバー側風路22と連通する本体側風路16の最上端は、本体カバー側風路22と通気可能に連結する開口を有する本体側連通部19で、その開口には図示しない弾性部材、例えばバネで開口を閉塞する方向に付勢されたシャッター20が設けられている。
【0077】
シャッター20は、本体カバー2を外したときに本体側風路16から、ファン室64へ塵等の異物が侵入したり、水が浸入したりすることを防ぐためのもので、本体カバー2が本体1に取り付けられているときは、図12に示すリブ状の突起24が、図示しないバネの付勢力に抗してシャッター20を押し開くようになっている。
【0078】
本体カバー2には、図13に示すように本体カバー側風路22とは別に、分岐風路25が設けられている。本体側連通部19は分岐されていないが、本体カバー側連通部23は、突起24に繋がる板状の仕切り28で本体カバー側風路22と分岐風路25が仕切られていて、送風機61の回転によりファン62が発生させる風が、本体カバー側風路22と分岐風路25にそれぞれ送られる。
【0079】
分岐風路25は、図12に示す連通口29により、本体カバー2が本体1に取り付けられた状態で蒸気ダクト51と連通、詳しくは図11(a)、(b)に示す蒸気ダクト51に設けられた蒸気ダクト連通口54と接続され連通する。
【0080】
分岐風路25に割り振られる風は、前段(段落0060)で説明した蒸気化された高温の高湿度空気が流れるように付勢するための搬送風である。付勢のための搬送風は図11(a)、(b)のイメージように蒸気ダクト連通口54から導入され、混合部55で旋回しながら上昇し送出口52から送りだされる。
【0081】
蒸気生成装置71により水を加熱して発生させた蒸気である高湿度空気は、蒸気生成装置カバー75に設けられた開口75a(図5参照)を通過し、図11(b)のイメージのように蒸気ダクト51まで上昇する。混合部55まで上昇すると、混合部55で旋回する搬送風と混合されて付勢され、さらに搬送風と混合されることで高温である高湿度空気の温度が少し下がった状態で送出口52から送り出される。
【0082】
(蒸気ダクトの構成)
ここで、蒸気ダクト51の詳しい構成について、前述の図11図18図20と説明する。図18(a)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの斜視図、図18(b)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの分解斜視図、図19(a)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの回収穴周辺を上方から見た斜視図、図19(b)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの回収穴周辺を上方から見た上面図、図20(a)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトの正面図、図20(b)は本発明の実施の形態1に係る加湿機の蒸気ダクトを断面H−Hで切断した側面方向から見た断面図である。
【0083】
蒸気ダクト51は図18(a)、(b)に示すように上部と下部の構成になっていて、それぞれ樹脂材料により形成され、上部は蒸気である高湿度空気に、搬送風を混合して付勢するための混合部55であり、下部はダクト本体56である。蒸気ダクト連通口54は、混合部55に設けられた蒸気ダクト連通口上部54aと、ダクト本体56に設けられた蒸気ダクト連通口下部54bとが、混合部55とダクト本体56を組立てた状態で、初めて蒸気ダクト連通口54として機能する。
【0084】
混合部55に設けられた送出口52は、搬送風と混合されて付勢された高湿度空気を送出するためのものである。但し、送出される高湿度空気は、搬送風と混合されているので、常温よりは温度が高いが蒸気生成装置71から発生した高湿度空気よりは温度が低くなっている。
【0085】
送出口52から送出される高湿度空気は、前述のように常温よりはまだ温度が高いことから、送出口52の内外は結露しやすい状況となっているため、送出口52の外側に結露を回収する構造を備えている。
【0086】
送出口52の下部には、送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81が設けられていて、最外部から送出口52寄りに向かって低くなるように、また、送出口52側の中央に向かって低くなるように傾斜している。
【0087】
よって、送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81上に、結露によってできた水が拡がっても送出口52寄りに集まり、さらに中央に向かって集まるので、その水が送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81より外側に拡がり落ちることがない。
【0088】
そして、送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81の送出口52寄りの中央、言い換えると送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81の最下部には、図19(a)、(b)に示すように結露によってできた水を回収する回収穴83が設けられている。
【0089】
回収穴83の最奥部には、回収穴83の開口83aが空いている。この開口83aは、図18(b)に示す、ダクト本体56のダクト外郭上部56aに設けられた回収部57の上方に設けられている。
【0090】
回収部57はダクト外郭上部56aの一部をリブ状の外周壁58で囲うように形成されている。図20(b)に示すように、回収部57の底部60(ダクト外郭上部56aと同位面)から上方へ立設するリブ59が設けられている。
【0091】
リブ59は図19(b)に示すように、回収穴83の開口83aから一部が視認できる位置に設けられている。また、図20(b)に示すように、リブ59の上端は、回収穴83の開口83aの、回収穴下端85の一部である奥側の下端と当接している。
【0092】
このようにリブ59の上端が、回収穴83の開口83aの回収穴下端85の一部と当接していることで、回収された結露によってできた水が回収穴83からリブ59を伝い、回収部57に流れ込みやすくなるので回収がスムーズにできる。
【0093】
結露によってできた水が回収される回収部57は、前述のようにダクト本体56のダクト外郭上部56aに設けられているが、ダクト本体56は図5に示すように蒸気生成装置(高湿度空気生成手段)71の上方に位置しており、蒸気である高湿度空気を蒸気ダクト51へ送るための開口75aを有する蒸気生成装置カバー75を覆い、抑えるようにして蒸気生成装置カバー75と接触している。
【0094】
蒸気生成装置カバー75は、その内部を蒸気である高湿度空気が通過するため温度が高くなっており、その温度が接触していることでダクト本体56、特にダクト外郭上部56aに伝わり、ダクト外郭上部56aの温度も高くなっている。そのため、その高い温度によって、回収された結露によってできた水の蒸発が促進される。
【0095】
但し、温度が高くても湿度の高い場所、例えばダクト51内のように湿度の高い場所に回収部57を設けても結露によってできた水の蒸発は促進されない。回収部57は、ダクト外郭上部56aのような高湿度ではなく、且つ高温となる場所に設けることで、水の蒸発を促進する効果が得られるようになる。
また、図18(b)に示すように、送出口52に連通する混合部55を下方で支持するダクト本体56の外郭であるダクト外郭上部56aに回収部57を設けたので、送出口52内外で結露した水の回収が容易である。
【0096】
なお、本発明の実施の形態では、回収された結露によってできた水の蒸発を促進するため、蒸気によって温度が高くなっている箇所(ダクト外郭上部56a)に回収部を設けるようにしたが、必ずしも蒸気によって温度が高くなっている箇所に限定されるものではなく、他に温度の高い箇所、言い換えれば高温になっている箇所、例えば電動機の近傍等でもよく、回収された結露によってできた水の蒸発を促進する効果がある。
また、ヒーター等の加熱手段を別に設けて高温の箇所を創りだし、そこに回収部を設けても同様の効果を得ることができる。
【0097】
しかし、必ずしも高温な箇所でなければ結露によってできた水が蒸発しない、という訳ではない。ダクト51内のように湿度の高い場所では蒸発は進まないが、高湿度下ではない場所に回収しておけば水の蒸発は進む。よって、回収57の近傍が高温であることは絶対条件ではない。
【0098】
それから、回収穴83に係るように、送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81の奥側に、送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81の横幅よりも長い、左右方向に延びる溝形状84が設けられている。これは、一時的に回収された水の量が多くなったときに、回収穴83の左右に水を逃すためのものである。これによって、回収された水の量が一時的に多くなっても、回収された水を溝形状84に逃がすことで、回収に支障をきたすことがない。
【0099】
また、前述のように送出口52の内外は結露しやすい状況となっているため、送出口52の外側に結露を回収する構造を備えている他、その結露が水玉になりにくいように、送出口52の内外に親水処理を施している。
【0100】
親水処理とは、物の表面に水が薄く広がるような性質を持たせる処理のことである。これにより、表面に水が薄く広がることで結露が水玉になることなく流れやすくなって、回収しやすくなる。
【0101】
親水処理は、例えば、送出口52の内外の表面に二酸化ケイ素(SiO2)化合物等を含む親水性塗料の塗布、あるいは送出口52内外の樹脂構造部品の表面へのシボ加工、といった表面処理、また送出口52内外の樹脂構造部品へ親水効果をもたらすグリセリン脂肪酸エステル等の添加剤の練り込み、といった方法で実現可能であり、親水性能が確保できればその方法については何れの方法を採用してもよい。
【0102】
親水処理を施しているのは、旋回部55aの内壁から送出口52へ連通する通風路55bの内壁、言い換えると蒸気ダクト51の混合部55の内壁である。特に送出口52へ近づくにつれて、外側に近づくので通風路55bの温度が低くなり、結露しやすい状況となることから、親水処理により結露が水玉になることなく流れやすくなっているので、蒸気ダクト51の混合部55の内壁の全域ではなく、通風路55bの内壁にのみ親水処理を施すようにしてもよい。
【0103】
また、送出口52の外側になる箇所にも親水処理を施している。図20(a)に示す送出口52からその外部に延設された送出口外壁86、さらに旋回部55aと一体的に形成され、図20(b)に示す送出口52からその外部の上下に延設された高湿度空気をより水平方向に送出するための風向板87a、87bに親水処理が施され、結露が水玉になることなく流れやすくなっている。
【0104】
さらに、送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81の少なくとも上面(送出口52に面する側)、送出口上部傾斜部(第2の傾斜部)82の少なくとも下面(送出口52に面する側)にも親水処理が施されて、結露が水玉になることなく流れやすくなっている。特に送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81の上面に施されることで、回収穴83に向けて水が流れやすくなり、回収しやすくなっている。
【0105】
さらに、送出口上部傾斜部(第2の傾斜部)82は、送出口52の横幅よりも広くなるように構成されており、蒸気を受けやすくなっていて結露による水の回収がしやすくなっている。同様に送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)81も、送出口52の横幅よりも広くなるように構成されており、送出口上部傾斜部(第2の傾斜部)82や送出口外壁86などで結露した水を確実に受けることができ、回収穴83に導きやすくなっている。
【0106】
次に、送出口52から送り出された高湿度空気は、図5に示す本体1の前側を覆う本体カバー2の前側上方に設けられた吹き出し口21から、本体1の前方に向かって吹き出される。本体1外に吹き出された高湿度空気は、温度が下がったとはいえ、通常の外気よりも高く、例えば40度程度の温度であるので、付勢されていても直進するより上昇する傾向にある。
【0107】
そこで、高湿度空気の上昇を抑え、より前方方向への直進性を確保するため、高湿度空気を上から抑えこんで前方方向へガイドするための風の流れを作ることが必要となる。本体カバー2に設けられた本体カバー側風路22は、高湿度空気が流れるように付勢するための風とは別の、高湿度空気をガイドするための風を通過させるためのものである。
【0108】
送風機61の回転によりファン62が発生させる風は、前述のように本体カバー側連通部23で本体カバー側風路22と分岐風路25にそれぞれ分けて送られ、本体カバー側風路22は分岐風路25よりも面積が大きいので、本体カバー側風路22側により多くの風が流れる、つまり、本体カバー側風路22側の風の流れの方が強いということである。
【0109】
本体カバー側風路22を通過した風は、加湿機100上部、詳しくは本体カバー2上部に設けられた可動ダクト31に送られ、加湿機100の前方寄りに設けられた送風口32から前方へ向かって送風される。
【0110】
送風口32には、風の向きを調節する風向調節板33が設けられていて、斜め下方に向いており、吹き出し口21から吹き出された高湿度空気に上から被さるようにして送風され、高湿度空気が上昇しないようにガイドしている。この上方からの送風にガイドされ、高湿度空気は上昇せず前方へ吹き出されるようになっている。
【0111】
可動ダクト31は、図2に示すように前方へ移動させていない状態でも、図3に示すように前方へ移動させた状態でも送風可能であるが、前方へ移動させた状態で送風すると、高湿度空気をより前方へガイドして送れるようになる。
【0112】
以上のような蒸気ダクトの構成とすることで、蒸気の送出口内外に生じた結露によってできた水を、第1の傾斜部である送出口下部傾斜部で集め、回収穴から回収部へ集めるようにしたので、加熱部である高湿度空気生成手段に、結露によってできた水を戻すことがなく加湿性能の低下を起こさない加湿機を提供することができる。
【0113】
また、送出口へ連通する通風路、送出口外壁、送出口の上下に設けられた風向板、第1の傾斜部である送出口下部傾斜部及び第2の傾斜部である送出口上部傾斜部に親水処理を施したので、結露によってできた水が水玉になることなく流れ、回収部に回収しやすくなるので、本体外や本体内底部に水が滴下することがなく、使用者が滴下した水を拭いたりする必要がない、衛生的で使い勝手のよい加湿機を提供することができる。
【符号の説明】
【0114】
G 重心、1 本体(高湿度空気生成送風ユニット)、2 本体カバー、2a 本体カバー前側、2b 本体カバー右側、2c 本体カバー左側、2d 本体カバー上側、2e 後側接続部、2f 開口部、3 給水タンクカバー、3a 水位窓、3b リブ、3c リブ、4 電源スイッチ、5 タイマースイッチ、6 壁部、10 止水弁開閉軸押し上げ凸部、11 発光表示操作部、12 給水タンク取り付け部、13 キャップ収容部、13a キャップ収容部後側壁、13b キャップ収容部前側壁、13c キャップ収容部左側壁(本体前側から見て)、14 フック、15 吸気口、16 本体側風路、17 電源コード接続部、18 制御基板、19 本体側連通部、20 シャッター、21 吹き出し口、22 本体カバー側風路、23 本体カバー側連通部、24 突起、25 分岐風路、26 分岐連通部、27a 爪形状、27b 爪形状、28 仕切り、29 連通口、30 庇形状、31 可動ダクト、32 送風口、33 風向調節板、34 指掛け部、35a 爪係合部、35b 爪係合部、36 突出部、37 給水タンクカバートップ、38a 爪掛け穴、38b 爪掛け穴、38c 爪掛け穴、38d 爪掛け穴、39a 爪形状、39b 爪形状、39c 爪形状、39d 爪形状、41 給水タンク、42 キャップ、42a 円周状リブ、42b 切り欠き形状、43 注水口、44 水供給機構、44a 止水弁、44b 止水弁開閉軸、44c バネ、45 ハンドル、45a 回動軸、51 ダクト(蒸気ダクト)、52 送出口、53 凹部、54 蒸気ダクト連通口、54a 蒸気ダクト連通口上部、54b 蒸気ダクト連通口下部、55 混合部、55a 旋回部、55b 通風路、56 ダクト本体、56a ダクト外郭上部、57 回収部、58 外周壁、59 リブ、60 回収部底部、61 送風機、62 ファン、63 回転軸、64 ファン室、71 蒸気生成装置(高湿度空気生成手段)、72 蒸気生成用ヒーター、73 水供給口、74 蒸気生成装置給水経路、75 蒸気生成装置カバー、75a 開口、81 送出口下部傾斜部(第1の傾斜部)、82 送出口上部傾斜部(第2の傾斜部)、83 回収穴、83a 開口、84 溝形状、85 回収穴下端、86 送出口外壁、87a 風向板、87b 風向板、100 加湿機、111 操作基板、114 電源ボタン、115 タイマーボタン、116 発光部、117a 発光部、117b 発光部、117c 発光部、117d 発光部、117e 発光部、117f 発光部、117g 発光部、118 発光部、121 タンク支持部、131 キャップ受け面、141 タンク支持部、151 本体給水路、161a リブ嵌合部、161b リブ嵌合部、171 貯水部。
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