特許第6337704号(P6337704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337704
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】マーキングペン用インキ
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/16 20140101AFI20180528BHJP
   B43K 8/02 20060101ALN20180528BHJP
【FI】
   C09D11/16
   !B43K8/02
【請求項の数】8
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-178691(P2014-178691)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2016-53104(P2016-53104A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紀村 浩希
(72)【発明者】
【氏名】岡部 鋭一
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−007983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/16
B43K 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、着色剤、有機溶剤、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、前記着色剤が、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、インドリノン系染料、ニグロシン系染料、フタロシアニン系染料、アゾ系染料、ジアリールメタン系染料から少なくとも1つ以上含有することを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物
【請求項2】
油性マーキングペン用インキ組成物に、0.10重量%以上15.00重量%以下の水を含有することを特徴とする請求項1に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
【請求項3】
ロジン樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂のうち少なくとも1つ以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
【請求項4】
上記炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、0.10重量%以上5.00重量%以下であることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
【請求項5】
上記有機溶剤の主溶剤がエタノールであることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
【請求項6】
5℃における粘度が20mPa・s未満であることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
【請求項7】
更に炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物を含有し、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとの配合比が、重量比で炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル1に対し、炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物が0.01以上1.5以下であることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
【請求項8】
更に炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物を含有し、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとの配合比が、重量比で炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル1に対し、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物が0.01以上1.5以下であることを特徴とする請求項1項ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油性マーキングペン用インキに関し、低温環境下での筆記カスレを防止し、かつ、ペン先乾燥防止性に優れた油性マーキングペン用インキ組成物に関するものである。さらに詳細としては、冬期や寒冷地を想定した低温環境下でも筆記カスレがなく、かつ、長時間ペン先を外部に露出させておいてもペン先が乾燥しにくく良好な筆跡が得られるマーキングペン用インキ組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、油性マーキングペン用インキには、ポリグリセリン脂肪酸エステルがペン先乾燥防止剤として広く使用されてきた。これは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むインキがペン先で乾燥する際、ポリグリセリン脂肪酸エステルが析出して造膜し、ペン先からの溶剤蒸発を防ぐ効果があるためである(特許文献1、2)。ポリグリセリン脂肪酸エステルの他にも、アルキルアミド、アミノ酸誘導体などもペン先乾燥防止剤として利用されてきた(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−53785号公報
【特許文献2】特開2004−330456号公報
【特許文献3】特開平5−295292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2に記載のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したマーキングペン用インキは、低温環境下でインキ中のポリグリセリン脂肪酸エステルが析出して油性マーキングペンのペン先のインキ流路を塞ぎ、さらにはインキ粘度も高くなることで、インキ追従不良に起因する筆記カスレが生じる問題を有している。特許文献3に記載のインキは、低温環境下での析出による筆記カスレは生じないが、ペン先乾燥防止性能がポリグリセリン脂肪酸エステル類に比べ不十分である。
【0005】
最近ではメモ書きなどにも使えるペン先が細く、ペン先がより乾燥しやすいマーキングペンが発売されていることもあり、低温安定性に優れ、従来よりも更にペン先乾燥防止性の向上したマーキングペン用インキが望まれている。
この点からも従来のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したマーキングペン用インキ組成物のペン先乾燥防止性はなお不十分である。
【0006】
本発明の目的は、低温環境下でも筆記カスレが生じず、かつ、ペン先乾燥防止性を有する油性マーキングペン用インキ組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、
1.少なくとも、着色剤、有機溶剤、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、前記着色剤が、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、インドリノン系染料、ニグロシン系染料、フタロシアニン系染料、アゾ系染料、ジアリールメタン系染料から少なくとも1つ以上含有することを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物
2.油性マーキングペン用インキ組成物に、0.10重量%以上15.00重量%以下の水を含有することを特徴とする請求項1に記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
3.ロジン樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂のうち少なくとも1つ以上含有することを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
4.上記炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、0.10重量%以上5.00重量%以下であることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
5.上記有機溶剤の主溶剤がエタノールであることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
6.5℃における粘度が20mPa・s未満であることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
7.更に炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物を含有し、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとの配合比が、重量比で炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル1に対し、炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物が0.01以上1.5以下であることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
8.更に炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物を含有し、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとの配合比が、重量比で炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル1に対し、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物が0.01以上1.5以下であることを特徴とする請求項1項ないしの何れか1項に記載の油性マーキングペン用インキ組成物
を要旨とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明のマーキングペン用インキ組成物は、少なくとも、着色剤、有機溶剤、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、前記着色剤が、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、インドリノン系染料、ニグロシン系染料、フタロシアニン系染料、アゾ系染料、ジアリールメタン系染料から少なくとも1つ以上含有することで低温環境下でも筆記カスレが生じず、かつ、ペン先乾燥防止性を有することが可能な油性マーキングペン用インキ組成物である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
本願の炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、1つのテトラグリセリンに炭素数10以上20以下の脂肪酸1つがエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルを指す。
【0010】
本願の炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、1つのテトラグリセリンに炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸2つがエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルを指す。この時、直鎖飽和脂肪酸2つは同じ炭素数でなくても良い。
【0011】
本願の炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、1つのテトラグリセリンに炭素数10以上20以下の脂肪酸3つがエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルを指す。この時、脂肪酸3つは全て同じ炭素数でなくても良い。
本願の炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、1つのテトラグリセリンに炭素数10以上20以下の脂肪酸4つがエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルを指す。この時、脂肪酸4つは全て同じ炭素数でなくても良い。
本願の炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、1つのテトラグリセリンに炭素数10以上20以下の脂肪酸5つがエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルを指す。この時、脂肪酸5つは全て同じ炭素数でなくても良い。
【0012】
本願の炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、1つのテトラグリセリンに炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸2つがエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルを指す。この時、分岐脂肪酸2つは同じ炭素数でなくても良い。
本願の炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、1つのテトラグリセリンに炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸2つがエステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルを指す。この時、不飽和脂肪酸2つは同じ炭素数でなくても良い。
【0013】
炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例として、ジカプリン酸テトラグリセリル(炭素数10の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジウンデカン酸テトラグリセリル(炭素数11の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジラウリン酸テトラグリセリル(炭素数12の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジトリエシル酸テトラグリセリル(炭素数13の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジミリスチン酸テトラグリセリル(炭素数14の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジペンタデシル酸テトラグリセリル(炭素数15の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジパルミチン酸テトラグリセリル(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジマルガリン酸テトラグリセリル(炭素数17の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジツベルクロステアリン酸テトラグリセリル(炭素数19の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)、ジアラギジン酸テトラグリセリル(炭素数20の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上混合して使用してもよい。
【0014】
炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量はインキ組成物全量に対し0.10重量%以上5.00重量%以下が好ましく、0.20重量%以上2.00重量%以下が最も好ましい。炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルがインキ組成物全量に対し0.10重量%未満となると、ペン先乾燥防止性が不十分で、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルをインキ組成物全量に対し5.00重量%を超えて添加しても、ペン先乾燥防止性はそれ以上長くならず粘度が高くなることがある。
【0015】
炭素数10以上20以下の脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルのなかでも炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸や炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したものは、融点が低く低温環境下で筆記カスレは生じない。しかし、常温液体のためペン先でインキが乾燥する際に乾燥皮膜を形成できないので、ペン先乾燥防止性はない。
【0016】
炭素数10未満の脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルは、常温液体のためペン先でインキが乾燥する際に乾燥皮膜を形成できないので、ペン先乾燥防止性はない。また、炭素数21以上の脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルは、インキの溶剤に対して溶解性が悪く析出してしまい、筆記カスレが生じる。
【0017】
更に、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルと併用できる、炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとして、モノカプリン酸テトラグリセリル(炭素数10の脂肪酸でモノエステル化)、モノウンデカン酸テトラグリセリル(炭素数11の脂肪酸でモノエステル化)、モノラウリン酸テトラグリセリル(炭素数12の脂肪酸でモノエステル化)、モノトリエシル酸テトラグリセリル(炭素数13の脂肪酸でモノエステル化)、モノミリスチン酸テトラグリセリル(炭素数14の脂肪酸でモノエステル化)、モノペンタデシル酸テトラグリセリル(炭素数15の脂肪酸でモノエステル化)、モノパルミチン酸テトラグリセリル(炭素数16の脂肪酸でモノエステル化)、モノマルガリン酸テトラグリセリル(炭素数17の脂肪酸でモノエステル化)、モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でモノエステル化)、モノイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でモノエステル化)、モノオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でモノエステル化)、モノリノール酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でモノエステル化)、モノツベルクロステアリン酸テトラグリセリル(炭素数19の脂肪酸でモノエステル化)、モノアラギジン酸テトラグリセリル(炭素数20の脂肪酸でモノエステル化)、ジイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の分岐脂肪酸でジエステル化)、ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)、ジリノール酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)、トリカプリン酸テトラグリセリル(炭素数10の脂肪酸でトリエステル化)、トリウンデカン酸テトラグリセリル(炭素数11の脂肪酸でトリエステル化)、トリラウリン酸テトラグリセリル(炭素数12の脂肪酸でトリエステル化)、トリトリエシル酸テトラグリセリル(炭素数13の脂肪酸でトリエステル化)、トリミリスチン酸テトラグリセリル(炭素数14の脂肪酸でトリエステル化)、トリペンタデシル酸テトラグリセリル(炭素数15の脂肪酸でトリエステル化)、トリパルミチン酸テトラグリセリル(炭素数16の脂肪酸でトリエステル化)、トリマルガリン酸テトラグリセリル(炭素数17の脂肪酸でトリエステル化)、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でトリエステル化)、トリイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でトリエステル化)、トリオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でトリエステル化)、トリリノール酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でトリエステル化)、トリツベルクロステアリン酸テトラグリセリル(炭素数19の脂肪酸でトリエステル化)、トリアラギジン酸テトラグリセリル(炭素数20の脂肪酸でトリエステル化)、テトラカプリン酸テトラグリセリル(炭素数10の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラウンデカン酸テトラグリセリル(炭素数11の脂肪酸でテトラエステル化)、テトララウリン酸テトラグリセリル(炭素数12の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラトリエシル酸テトラグリセリル(炭素数13の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラミリスチン酸テトラグリセリル(炭素数14の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラペンタデシル酸テトラグリセリル(炭素数15の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラパルミチン酸テトラグリセリル(炭素数16の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラマルガリン酸テトラグリセリル(炭素数17の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でテトラエステル化)、テトライソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でテトラエステル化)、テトラリノール酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でテトラエステル化)、テトラツベルクロステアリン酸テトラグリセリル(炭素数19の脂肪酸でテトラエステル化)、テトラアラギジン酸テトラグリセリル(炭素数20の脂肪酸でテトラエステル化)、ペンタカプリン酸テトラグリセリル(炭素数10の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタウンデカン酸テトラグリセリル(炭素数11の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタラウリン酸テトラグリセリル(炭素数12の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタトリエシル酸テトラグリセリル(炭素数13の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタミリスチン酸テトラグリセリル(炭素数14の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタペンタデシル酸テトラグリセリル(炭素数15の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタパルミチン酸テトラグリセリル(炭素数16の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタマルガリン酸テトラグリセリル(炭素数17の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタリノール酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタツベルクロステアリン酸テトラグリセリル(炭素数19の脂肪酸でペンタエステル化)、ペンタアラギジン酸テトラグリセリル(炭素数20の脂肪酸でペンタエステル化)、などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用しても良い。
【0018】
炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物の添加量は、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとの配合比が、重量比で炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル1に対し、炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物が0.01以上1.5以下であるとインキ中の炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルがペン先で乾燥する際に形成する緻密な膜に柔軟性が得られ、ペン先と緻密な膜の間の空間がより少なくなることで、ペン先乾燥防止性がより向上するため好ましく、0.02以上1.3以下が最も好ましい。
【0019】
本発明で用いられる炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルは、従来公知の方法により製造することができる。例えば、攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器に、テトラグリセリンと脂肪酸をモル比で1:0.8以上1:1.2以下、好ましくは1:1で仕込み、触媒として水酸化ナトリウムを加えて攪拌混合し、窒素ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で加熱することにより製造できる。反応温度は通常、180℃以上260℃以下の範囲、好ましくは200℃以上250℃以下の範囲である。また、該反応の圧力条件は減圧下または常圧下で、反応時間は30分以上15時間以下、好ましくは1時間以上3時間以下である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、酸価3以下を目安に決められる。反応終了後、得られた反応液を120℃以上180℃以下、好ましくは130℃以上150℃以下に冷却し、酸を加えて触媒を中和し、好ましくは15分以上1時間以下放置し、未反応のテトラグリセリンが下層に分離した場合はそれを除去し、テトラグリセリン脂肪酸エステルからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを得ることができる。さらに、テトラグリセリン脂肪酸エステルを、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて分子蒸留するか、またはカラムクロマトグラフィーもしくは液−液抽出など従来公知の方法を用いて精製することで、炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを得ることができる。
【0020】
本発明で用いられる炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられるポリグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物が挙げられる。また、ポリグリセリンは、グリシドールまたはエピクロルヒドリンなどを原料として得られるものであっても良い。反応終了後、必要であれば中和、脱塩または脱色などの処理を行って良い。さらに、ポリグリセリンを、例えばカラムクロマトグラフィーもしくは液―液抽出方など従来公知の方法を用いて精製することで、テトラグリセリンを得ることができる。
【0021】
炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられる直鎖飽和脂肪酸としては、
カプリン酸(炭素数10の直鎖飽和脂肪酸)、ウンデカン酸(炭素数11の直鎖飽和脂肪酸)、ラウリン酸(炭素数12の直鎖飽和脂肪酸)、トリデシル酸(炭素数13の直鎖飽和脂肪酸)、ミリスチン酸(炭素数14の直鎖飽和脂肪酸)、ペンタデシル酸(炭素数15の直鎖飽和脂肪酸)、パルミチン酸(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸)、マルガリン酸(炭素数17の直鎖飽和脂肪酸)、ステアリン酸(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸)、ツベルクロステアリン酸(炭素数19の直鎖飽和脂肪酸)、アラギジン酸(炭素数20の直鎖飽和脂肪酸)が挙げられる。
【0022】
炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられる脂肪酸としては、カプリン酸(炭素数10の直鎖飽和脂肪酸)、ウンデカン酸(炭素数11の直鎖飽和脂肪酸)、ラウリン酸(炭素数12の直鎖飽和脂肪酸)、トリデシル酸(炭素数13の直鎖飽和脂肪酸)、ミリスチン酸(炭素数14の直鎖飽和脂肪酸)、ペンタデシル酸(炭素数15の直鎖飽和脂肪酸)、パルミチン酸(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸)、マルガリン酸(炭素数17の直鎖飽和脂肪酸)、ステアリン酸(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸)、イソステアリン酸(炭素数18の分岐脂肪酸)、オレイン酸(炭素数18の不飽和脂肪酸)、リノール酸(炭素数18の不飽和脂肪酸)、ツベルクロステアリン酸(炭素数19の直鎖飽和脂肪酸)、アラギジン酸(炭素数20の直鎖飽和脂肪酸)、天然由来の動物油、天然由来の植物油等が挙げられる。
【0023】
炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとして、具体的にはNIKKOL Tetraglyn 1−SV(モノステアリン酸テトラグリセリル、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)、NIKKOL Tetraglyn 1−OV(モノオレイン酸テトラグリセリル、炭素数18の不飽和脂肪酸でモノエステル化)、NIKKOL Tetraglyn 5−SV(ペンタステアリン酸テトラグリセリル、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でペンタエステル化)(以上、日光ケミカルズ(株)製)、ML−310(モノラウリン酸テトラグリセリン、炭素数12の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)、MS−3S(モノステアリン酸テトラグリセリル、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)、MO−3S(モノオレイン酸テトラグリセリル、炭素数18の不飽和脂肪酸でモノエステル化)、IS−401P(モノイソステアリン酸テトラグリセリル、炭素数18の分岐脂肪酸でモノエステル化)(以上、坂本薬品化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0024】
本発明の油性マーキングペン用インキ組成物のインキ粘度は、特に限定されるものではないが、5℃におけるインキ粘度が20mPa・sを超えると、インキの追従不良に起因する筆記カスレが生じる傾向がある。そのため、5℃におけるインキ粘度は、20mPa・s以下が好ましい。より好ましくは、10mPa・s以下である。
【0025】
本発明に使用される炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルはエタノールに特異的に溶解性がよく、低温になっても析出しないため、低温でのカスレが生じにくく、良好な筆跡が得られる。
本願の主溶剤とは、インキ組成物全量の中の溶剤で重量%が最大である溶剤を指す。
【0026】
炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから1つ以上選ばれる化合物と、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することで、インキ中の炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルがペン先で乾燥する際に形成する緻密な膜に柔軟性が得られ、ペン先と緻密な膜の間の空間がより少なくなることで、ペン先乾燥防止性がより向上する。
【0027】
また、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルと水を併用することにより、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの水酸基部分は、有機溶剤よりも親水性の高い水と水素結合する。水と水素結合した炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの水酸基が集まって親水性の層を形成する。ペン先では、水よりも沸点の低いアルコール溶剤から蒸発が進むため、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの水酸基と水素結合している水は、アルコールと比較してペン先表面に残る時間が長くなる。インキが乾燥する際に水がペン先表面の親水性の層に残っていると、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルのアルキル基同士が疎水性相互作用しやすくなり、緻密な膜を形成するものと推察され、その結果ペン先を長期間ペン先を外部に露出してもペン先からの溶剤蒸発が抑制されて乾燥しにくく、筆記不能とならず良好な筆跡が得られる。理由は定かではないが、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)が最もペン先乾燥防止性が長く好適である。
【0028】
本発明に使用する水は環境湿度によるインキのペン先乾燥防止性の変動を抑制するために使用する。従来の油性マーキングペン用インキも、特に水を添加していなくても溶剤や着色剤に吸湿されている水分やペン先から吸湿した水分により水は少量含有されているが、インキ作成時に所定の水分を添加し、インキ内で十分均一になるように分散・溶解することによりペン先部において環境湿度に左右されず安定したペン先乾燥防止性能を発揮できる。
水は水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水、純水等からいずれを選んで用いても良い。
中でも、イオン交換水、精製水、蒸留水、純水が好ましい。水の含有量はインキ組成物全量に対し0.10重量%より少ないと、所望のペン先乾燥防止性を得られないことがあり、水がインキ組成物全量に対し15.00重量%を超えると、インキ経時が不安定性になることがあるため、インキ組成物全量に対し、0.10重量%以上15.00重量%以下が好ましい。より好ましくはインキ組成物全量に対し0.50重量%以上10.00重量%以下である。尚、水の添加方法は特に限定されないが、水以外の成分を適宜混合したインキ中に水をそのままの状態で添加しても、着色剤や樹脂などの油性マーキングペン用インキに用いる成分に予め水分を吸湿や吸水させておいても良い。
【0029】
本発明に使用する着色剤としては、溶剤に可溶であればよく、直接染料、酸性染料、塩基性染料、油溶染料、ニグロシン系染料、造塩タイプ油溶性染料、含金属錯塩染料等が挙げられる。中でも、キサンテン系染料、トリアリ−ルメタン系染料、インドリノン系染料、ニグロシン系染料、フタロシアニン系染料、アゾ系染料、ジアリールメタン系染料は低温状態での溶解が悪い傾向が見られるが、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルと併用することで、低温時でも特異的に染料の溶解状態を良好に維持する事が可能となった。
【0030】
本発明に使用する染料としては、従来公知のC.I.Solvent Red 49、同109、Aizen Erythrosine(C.I.Acid Red 51)、Kayaku Acid Rhodamine FB(C.I.Acid Red 52)、Aizen Eosine GH(C.I.Acid Red 87)、Aizen Acid Floxine PB(C.I.Acid Red 92)、Floxine PB Conc.(C.I.Acid Red 92)、Rose Bengal(C.I.Acid Red 94)、Valifast Red 1308(Dye Solt、Basic Red 1 + Acid Yellow 23、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Red 1320(Dye Solt、Basic Red 1 + Azo、オリエント化学工業(株)製)、Spilon Red C−GH(Dye Solt、C.I.Basic Red 1 + Acid、保土谷化学工業(株)製)、Spilon Red C−BH(Dye Solt、C.I.Basic Violet 1 + Acid、保土谷化学工業(株)製)等のキサンテン系染料、C.I.Solvent Violet 8、C.I.Solvent Blue 2、同73、C.I.Basic Blue 7、Acid Violet 6BN(C.I.Acid Violet 15)、Pateent Pure Blue VX(C.I.Acid Blue 1)、Water Blue #106(C.I.Acid Blue 1)、Patent Blue AF(C.I.Acid Blue 7)、Water Blue #9(C.I.Acid Blue 9)、ダイワ青色1号(C.I.Acid Blue 9)、Supranol Blue B(C.I.Acid Blue 15)、Orient Solble Blue OBC(C.I.Acid Blue 22)、Sumitomo Brilliant Indocyanine 6B h/c(C.I.Acid Blue 83)、サンドランシアニンN−6B350%(C.I.Acid Blue 90)、Water Blue #115(C.I.Acid Blue 90)、Orient Soluble Blue OBB(C.I.Acid Blue 93)、Sumitomo Brilliant Blue 5G(C.I.Acid Blue 103)、Daiwa Guinea Green B(C.I.Acid Green 3)、Acid Brilliant Milling Green B(C.I.Acid Green 9)、Daiwa Green #70(C.I.Acid Green 16)、Aizen Diamond Green GH(C.I.Basic Green 1)、Aizen Malachite Green(C.I.Basic Green 4)、Valifast Violet 1701(Dye Solt、Acid Yellow 42 + Basic Violet 1、オリエント化学工業(株)製)、Oil Blue 613(Triphenylmethane Basic Blue 7 + Resin、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Blue 1613(Triphenylmethane Basic Blue 7 + Resin、オリエント化学工業(株)製)、Spilon Blue C−RH(保土谷化学工業(株)製)、Spilon Violet C−RH(Dye Solt、C.I.Basic Violet 1 + Acid、保土谷化学工業(株)製)等のトリアリールメタン系染料、Spilon Yellow C−GNH(保土谷化学工業(株)製)等のインドリノン系染料
、C.I.Solvent Black 5、同7、Nigrosine Base ER(C.I.Solvent Black 7、オリエント化学工業(株)製)、Nigrosine Base EX(C.I.Solvent Black 7、オリエント化学工業(株)製)、Nigrosine Base EX−BP(C.I.Solvent Black 7)、Orient Nigrosine BR(C.I.Acid Black 2、オリエント化学工業(株)製)等のニグロシン系染料、C.I.Solvent Blue 25、同55、Daivogen Turquoise Blue S(C.I.Direct Blue 86)、Water Blue #3(C.I.Direct Blue 86)、Kayarus Turwuoise Blue GL(C.I.Direct Blue 86)、Solar Turquoise Blue FBL(C.I.Direct Blue 199)、Valifast Blue 1605(Ptthalocyanine Solvent Blue 38、オリエント化学工業(株)製)等のフタロシアニン系染料、C.I.Solvent Yellow 2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同56、同62、同79、同82、C.I.Solvent Orange 1、同2、同5、同6、同45、同62、C.I.Solvent Red 1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.Solvent Violet 21、C.I.Solvent Brown 3、同5、同37、C.I.Solvent Black 3、同22、同23、同123、Japanol Fast Black D conc.(C.I.Direct Black 17)、Water Black 100L(C.I.Direct Black 19)、Water Black L−200(C.I.Direct Black 19)、Direct Fast Black B(C.I.Direct Black 22)、Direct Fast Black AB(C.I.Direct Black 32)、Direct Deep Black EX(C.I.Direct Black 38)、Direct Fast Black Conc.(C.I.Direct Black 51)、Kayarus Supra Grey VGN(C.I.Direct Black 71)、Direct Fast Yellow 5GL(C.I.Direct Yellow 26)、Aizen Primura Yellow GCLH(C.I.Direct Yellow 44)、Direct Fast Yellow R(C.I.Direct Yellow 50)、Aizen Direct Fast Red FH(C.I.Direct Red 1)、Nippon Fast Scarlet GSX(C.I.Direct Red 4)、Direct Fast Scarlet BS(C.I.Direct Red 23)、Aizen Direct Rhoduline Red BH(C.I.Direct Red 31)、Direct Scarlet B(C.I.Direct Red 37)、Kayaku Direct Scarlet 3B(C.I.Direct Red 39)、Aizen Primula Pink 2BLH(C.I.Direct Red 75)、Sumilight Red F3B(C.I.Direct Red 80)、Aizen Primula Red 4BH(C.I.Direct Red 81)、Kayarus Supra Rubine BL(C.I.Direct Red 83)、Kayarus Light Red F5G(C.I.Direct Red 225)、Kayarus Light Red F5B(C.I.Direct Red 226)、Kayarus Light Rose FR(C.I.Direct Red 227)、Direct Sky Blue 6B(C.I.Direct Blue 1)、Direct Sky Blue 5B(C.I.Direct Blue 15)、Sumilight Supra Blue BRR conc.(C.I.Direct Blue 71)、Acid Blue Black 10B(C.I.Acid Black 1)、Suminol Milling Black 8BX(C.I.Acid Black 24)、Kayanol Milling Black VLG(C.I.Acid Black 26)、Suminol Fast Black BR conc.(C.I.Acid Black 31)、Mitsui Nylon Black GL(C.I.Acid Black 52)、Aizen Opal Black WH extra conc.(C.I.Acid Black 52)、Sumilan Black WA(C.I.Acid Black 52)、Lanyl Black BG,extra conc.(C.I.Acid Black 107)、Kayanol Milling Black TLB(C.I.Acid Black 109)、Suminol Milling Black B(C.I.Acid Black 109)、Kayanol Milling Black TLR(C.I.Acid Black 110)、Aizen Opal Black new conc.(C.I.Acid Black 119)、Kayacyl Yellow GG(C.I.Acid Yellow 17)、Xylene Light Yellow 2G 140%(C.I.Acid Yellow 17)、Suminol Leveling Yellow NR(C.I.Acid Yellow 19)、Daiwa Tartrazine(C.I.Acid Yellow 23)、Kayaku Tartrazine(C.I.Acid Yellow 23)、Suminol Fast Yellow R conc.(C.I.Acid Yellow 25)、Diacid Light Yellow 2GP(C.I.Acid Yellow 29)、Suminol Milling Yellow O(C.I.Acid Yellow 38)、Suminol Milling Yellow MR(C.I.Acid Yellow 42)、Water Yellow #6(C.I.Acid Yellow 42)、Kayanol Yellow NFG(C.I.Acid Yellow 49)、Suminol Milling Yellow 3G(C.I.Acid Yellow 72)、Suminol Fast Yellow G(C.I.Acid Yellow 61)、Suminol Milling Yellow G(C.I.Acid Yellow 78)、Kayanol Yellow N5G(C.I.Acid Yellow 110)、Suminol Milling Yellow 4G(C.I.Acid Yellow 141)、Kayanol Fast Yellow NG(C.I.Acid Yellow 135)、Kayanol Milling Yellow 5GW(C.I.Acid Yellow 127)、Kayanol Milling Yellow 6GW(C.I.Acid Yellow 142)、Sumitomo Fast Scarrlet A(C.I.Acid Red 8)、Kayaku Silk Scarlet(C.I.Acid Red 9)、Solar Rubine extra(C.I.Acid Red 14)、Daiwa New Coccine(C.I.Acid Red 18)、Aizen Ponceau RH(C.I.Acid Red 26)、Daiwa Amaranth(C.I.Acid Red 27)、Suminol Leveling Brilliant Red S3B(C.I.Acid Red 35)、Kayacyl Rubinol 3GS(C.I.Acid Red 37)、Suminol Leveling Rubinol 3GP(C.I.Acid Red 57)、Kayanol Milling Scarlet FGW(C.I.Acid Red 111)、Kayanol Milling Rubine 3BW(C.I.Acid Red 129)、Suminol Milling Brilliant Red 3BN conc.(C.I.Acid Red 131)、Suminol Milling Brilliant Red BS(C.I.Acid Red 138)、Aizen Opal Pink BH(C.I.Acid Red 186)、Suminol Milling Brilliant Red B conc.(C.I.Acid Red 249)、Kayaku Acid Brilliant Red 3BL(C.I.Acid Red 254)、Kayaku Acidd Brilliant Red BL(C.I.Acid Red 265)、Supronol Brilliant Red GW(C.I.Acid Red 276)、Kayanol Milling Cyanine 5R(C.I.Acid Blue 113)、Aizen Opal Blue 2GLH(C.I.Acid Blue 158)、Aizn Cathilon Blue NBLH(C.I.Basic Blue 66)、Bismarck Brown G conc.(C.I.Basic Brown 1)、Valifast Yellow 1109(Acid Yellow 42、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Yellow 3150(Azo Chromium Complex Solvent Yellow 79、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Yellow 3170(Azo Cobalt Complex Solvent Yellow 151、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Black 3804(Azo Chromium ComplexSolvent Black 34 + Amine、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Orange 2210(Azo Chromium Complex、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Red 1308(Dye Solt、Basic Red 1 + Acid Yellow 23、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Red 1320(Dye Solt、Basic Red 1 + Azo、オリエント化学工業(株)製)、Valifast Violet 1701(Dye Solt、Acid Yellow 42 + Basic Violet 1、オリエント化学工業(株)製)等のアゾ系染料、Spilon Yellow C−2GH(保土谷化学工業(株)製)等のジアリールメタン系染料、C.I.Solvent Yellow 33、C.I.Disperse Red 9、C.I.Solvent Violet 13、同14、C.I.Disperse Violet 1、C.I.Solvent Blue 11、同12、同36、C.I.Solvent Green 3、Kayarus Supra Blue FF2GL(C.I.Direct Blue 106)、Kayaku Acid Brilliant Flavine FF(C.I.Acid Yellow 7)、Diacid Alizarine Rubinol F3G 200%(C.I.Acid Red 82)、Auminol Leveling Blue
4GL(C.I.Acid Blue 23)、Mitsui Nylon Fast Blue G(C.I.Acid Blue 25)、Kayacyl Blue AGG(C.I.Acid Blue 40)、Kayacyl Blue BR(C.I.Acid Blue 41)、Mitsui Alizarine Saphirol SE(C.I.Acid Blue 43)、Suminol Leveling Sky Blue R extra conc.(C.I.Acid Blue 62)、Mitsui Nylon Fast Sky Blue B(C.I.Acid Blue 78)、Kayanol Milling Ultra Sky SE(C.I.Acid Blue 112)、Kayanol Cyanine Green G(C.I.Acid Green 25)、Suminol Milling Green G(C.I.Acid Green 27)等を用いることができ、1種または2種以上を適宣選択して用いることができる。
【0031】
着色材として使用する顔料としては、従来公知のPigment Black 6、同7等のカーボンブラック、Pigment Blue 27、同9、Pigment Violet 15、Pigment Red 259等の金属錯塩系顔料、Pigment White 6、Pigment Yellow 42、Pigment Black 11、Pigment Red 101等の金属酸化物系顔料、Pigment Yellow 53、Pigment Brown 24等の複合酸化物系顔料等、Pigment White 21、同22、同27、同28、同19、同24、カオリンクレー、焼成クレー、タルク、ベントナイト、マイカ、白雲母、金雲母、ネフェリンシナイト等の体質顔料、アルミニウムペースト、アルミニウムフレークパウダー、ブロンズ粉等の金属粉系顔料、Pigment White 1、同14、二酸化チタン、被覆雲母等の真珠光沢顔料等の無機顔料、Pigment Red 81、同81:1、同81:2、同81:3、同81:4、同82、同83、同84、同90、同90:1、同151、同169、同172、同173、同174、同191、Pigment Orange 39、Pigment Yellow 18、同100、同104、同115、同117、Pigment Blue 1、同1:2、同2、同3、同8、同9、同10、同11、同12、同14、同53、同62、同63、Pigment Viotel 1、同2、同2:2、同3、同3:1、同3:3、同4、同5、同5:1、同6:1、同7:1、同9、同12、同20、同26、同27、同39、Pigment Green 1、同2、同3、同4、同8、同9、同10、同12、同45、Pigment Brown 3等のレーキ系顔料、Pigment Red 1、同3、同21、同112、同114、同146、同170、同187、同150、同185、同38、同41、Pigment Orange 5、同38、同36、同16、同13、同34、Pigment Yellow 1、同3、同97、同167、同154、同12、同13、同14、同17、同55、同83、同81、同10、Pigment Brown 25等の不溶性アゾ顔料、Pigment Red 144、同166等の縮合アゾ顔料、Pigment Red 53、同53:1、同53:3、同50、同50:1、同49、同49:1、同49:2、同49:3、同57:1、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同52:1、同63:1、同63:2、同58:2、同58:4、同51、同60:1、同64:1、Pigment Orange 17、同18、同19、Pigment Yellow 61、同62等のアゾレーキ系顔料、Pigment Blue 15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17:1、Pigment Green 7、同36、同37等のフタロシアニン系顔料、Pigment Red 122、同202、同206、同207、同209、Pigment Orange 48、Pigment Violet 19等のキナクリドン系顔料、Pigment Red 168、同177、Pigment Orange 51、Pigment Yellow 24、同108、Pigment Blue 60等のアントラキノン系顔料、Pigment Red 123、同149、同178、同179、同190、同224、Pigment Violet 29、Pigment Black 31、同32等のペリレン系顔料、Pigment Red 194、Pigment Orange 43等のペリノン系顔料、Pigment Red 88、同181、Pigment Brown 27、Pigment Blue 66、同63等のインジゴ系顔料、Pigment Violet 23、同37等のジオキサジン系顔料、Pigment Yellow 138等のキノフタロン系顔料、Pigment Orange 61、Pigment Yellow 109、同110、同173等のイソインドリノン系顔料、Pigment Red 260、Pigment Orange 66、同69、Pigment Yellow 139、同185等のイソインドリン系顔料、Pigment Yellow 150、Pigment Green 8、同10等のアゾ金属錯体顔料、Pigment Red 257、Pigment Orange 68、Pigment Yellow 129、同153、同65等のアゾメチン金属錯体顔料、Pigment Red 254、同255、同264、同270、同272、Pigment Orange 71、同73等のジケトピロロピロール系顔料、Pigment Blue 18、同19、同56、同57、同61、同56:1、同61:1等のアルカリブルー顔料、Pigment Black 1等のアニリンブラック、Basic Yellow 40、Basic Red 1、Basic Violet 10、Acid Yellow 7、Acid Red 92、Acid Blue 9、Disperse Yellow 121、Disperse Blue 7、Direct Yellow 85、フルオロセントブライティングホワイテックスWS52、Solvent Yellow 44、Solvent Blue 5等の蛍光染料を合成樹脂中で固溶体とした蛍光顔料等の有機顔料等の中から、油性マーキングペン用インキに微粒子として安定に分散し得るものを1種または2種以上を適宣選択して用いることができる。
【0032】
染料の可溶化剤は従来公知のものが使用でき、具体例として、ネオペレックスGS(花王ケミカル(株)製)、カプリン酸、オレイン酸などの脂肪酸エステル、サルコシネートOH(日光ケミカルズ(株))、オレオイルザルコシン 221P(日油(株)製)などの中から、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0033】
着色剤の使用量は、着色剤の種類やインキ組成物中の他の成分によって異なるものの、インキ組成物全量に対して1.00重量%以上30.00重量%以下が好ましい。着色剤の総量はインキ組成物全量に対して1.00重量%より少ないと濃度が低すぎて筆跡が確認しにくく、インキ組成物全量に対して30.00重量%を超えても筆跡の濃度はほとんど向上せず、インキ粘度が高くなり、インキ追従不良による筆記カスレが生じることがある。
【0034】
非吸収面での耐水性付与、皮膜形成付与、被筆記面への付着性付与およびインキの粘度調整等の目的で、天然樹脂、合成樹脂が使用でき、具体的には、ロジン樹脂、ロジンエステル、ロジン変性グリセリンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性フェノールグリセリンエステル等のロジン系樹脂、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合物、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合物、セラック、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン等の水溶性合成高分子、グァーガム、ローカストビーンガム及びそれらの誘導体などの種子多糖類、キサンタンガム、ウェランガム及びそれらの誘導体などの微生物系多糖類、カラギーナン、アルギン酸及びそれらの誘導体などの海藻多糖類、タラガントガム等の樹脂多糖類、セルロース系樹脂等が挙げられる。具体的には、フェノール樹脂として、タマノル100S、同510(以上、荒川化学工業(株)製)、ヒタノール1501、同2501(以上、日立化成工業(株)製)、YP−90、YP−90L、YSポリスターS145、同#2100、同#2115、同#2130、同T80、同T100、同T115、同T130、同T145、マイティエースG125、同150(以上、ヤスハラケミカル(株)製)などが、ケトン樹脂として、ケトンレジンK−90(荒川化学工業(株)製)、ハロン80、同110H(以上、本州化学(株)製)、シンセティックレジンAP、同SK、同1201(以上、ヒュルス社製、独国)などが、ロジン樹脂として、ハーコリンD、ペンタリン255、同261(以上、理化ハーキュレス(株)製)、ハリマックT80、ハリエスターNL、ネオトールC、ガムロジンX(以上、ハリマ化成(株)製)、ガムロジンWW(中国産)、中国レジンX(中国産)、エステルガムH(荒川化学工業(株)製)などが、ブチラール樹脂として、デンカブチラール#2000−L、同#3000−1、同#3000−2、同#3000−4、同#3000−K(以上、電気化学工業(株)製)、エスレックBL−1、同4BL−3、同BL−S、同BX−10(以上、積水化学工業(株)製)などが、セラックとして、セラックNSC、セラックCS、セラックB.D.S.(以上、日本シェラック工業(株)製)、セラックGBN−D、セラックPEARL−N811、セラックGBN−DF(以上、(株)岐阜セラック製造所製)などが挙げられる。中でも、ロジン樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂を用いると、非吸収面への筆跡の定着性がよく、好ましい。
これらは単独あるいは複数混合して使用でき、その使用量はインキ組成物全量に対して1.00重量%以上20.00重量%以下が好ましい。インキ組成物全量に対して1.00重量%未満では非吸収面に対する筆跡の定着性が不十分であり、インキ組成物全量に対して20.00重量%を超えるとインキの粘度が高くなり、インキの追従不良による筆記カスレが生じるおそれがある。
【0035】
有機溶剤として、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第三ブチルアルコール等の低級アルコールや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸の低級アルコールエステルや、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素やグリコールのアルキルアルコール等や、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級脂肪族ケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸の低級アルコールエステルや、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素や、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素や、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールアルキルエーテルやこれらのエステル等の有機溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロプル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−アミル、酢酸−2−エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチル等のエステル系溶剤や、アルコールやそのエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイド付加誘導体や、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルやそのエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイド付加誘導体等の芳香環を持つグリコールエーテル系溶剤、ジメチルスルホキシド等を単独もしくは複数混合して使用可能である。これらは単独もしくは複数混合して使用可能であり、これらの使用量はインキ組成物全量に対して50.00重量%以上90.00重量%以下であり、好ましくは60.00重量%以上75.00重量%以下である。
【0036】
油性マーキングペン用インキの経時安定性を向上させる有機溶剤として、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、ベンジルグリコール、フェニルジグリコール、フェニルトリグリコール、ベンジルジグリコール、ベンジルトリグリコールが挙げられる。これらは単独もしくは複数混合して使用可能であり、これらの使用量は、インキ組成物全量に対して1.00重量%以上10.00重量%以下であり、好ましくはインキ組成物全量に対して3.00重量%以上7.00重量%以下である。インキ組成物全量に対して10.00重量%を超えると、ガラスなどの非吸収面に筆記した際の筆記定着性が低下するおそれがある。
【0037】
本発明の油性マーキングペン用インキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、上記各成分を配合し、ホモミキサー、ラボミキサー等の高速撹拌機や、ボールミル、サンドミルまたはビーズミル等の分散機にて混合・分散することにより容易に得ることができる。
【実施例】
【0038】
実施例1
Valifast Red 1308(赤染料、オリエント化学工業(株)製)
0.25重量%
Spilon Yellow C−GNH(黄染料、保土化学工業(株)製)
0.25重量%
Pigment Black 6(黒顔料) 3.50重量%
エタノール 52.16重量%
イソプロピルアルコール 8.17重量%
アセトン 0.63重量%
n−プロピルアルコール 20.64重量%
ベンジルアルコール 3.00重量%
ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
0.50重量%
モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)
0.15重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
0.15重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
0.10重量%
イオン交換水 1.00重量%
ガムロジンWW(中国産) 6.00重量%
ネオペレックス GS(ドデシルベンゼンスルホン酸、花王ケミカル(株)製)
4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.4mPa・sであった。
【0039】
実施例2
Valifast Red 1308(赤染料、オリエント化学工業(株)製)
0.30重量%
Spilon Yellow C−GNH(黄染料、保土化学工業(株)製)
0.30重量%
Nigrosine Base ER(黒染料、オリエント化学工業(株)製)
10.0重量%
エタノール 45.66重量%
イソプロピルアルコール 6.36重量%
アセトン 0.58重量%
n−プロピルアルコール 14.30重量%
ベンジルアルコール 5.50重量%
ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
2.00重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
1.25重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
1.00重量%
ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)
0.15重量%
ジイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の分岐脂肪酸でジエステル化)
0.10重量%
イオン交換水 2.40重量%
ガムロジンWW(中国産) 5.50重量%
オレオイルザルコシン 221P(オレオイルザルコシン、日油(株)製)
4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は6.1mPa・sであった。
【0040】
実施例3
C.I. Basic Red 1(赤染料) 0.50重量%
C.I. Acid Yellow 23(黄染料) 0.25重量%
Pigment Red 81(赤顔料) 4.00重量%
C.I. Acid Yellow 42(黄染料) 0.25重量%
Spilon Yellow C−2GH(黄染料、保土谷化学工業(株)製)
0.50重量%
エタノール 50.87重量%
イソプロピルアルコール 7.97重量%
アセトン 0.63重量%
n−プロピルアルコール 14.95重量%
フェニルセロソルブ 5.10重量%
ジアラギジン酸テトラグリセリル(炭素数20の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
1.00重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
0.02重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
0.01重量%
イオン交換水 4.95重量%
中国ロジンX(中国産) 5.00重量%
サルコシネートOH(オレオイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製)4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ赤色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は4.5mPa・sであった。
【0041】
実施例4
C.I.Solvent Blue 4(青染料) 0.25重量%
C.I.Solvent Red 49(赤染料) 0.10重量%
Pigment Blue 1(青顔料) 8.00重量%
C.I. Solvent Blue 70(青染料) 0.25重量%
エタノール 43.09重量%
イソプロピルアルコール 6.75重量%
アセトン 0.53重量%
n−プロピルアルコール 18.50重量%
プロピレングリコールモノメチルエーテル 5.00重量%
ジパルミチン酸テトラグリセリル(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
1.50重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
0.02重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
0.01重量%
イオン交換水 7.00重量%
中国ロジンX(中国産) 5.00重量%
カプリン酸 4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ青色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.8mPa・sであった。
【0042】
実施例5
Pigment Green 1(緑顔料) 8.60重量%
エタノール 43.09重量%
イソプロピルアルコール 6.35重量%
アセトン 0.56重量%
n−プロピルアルコール 12.00重量%
ジメチルスルホキシド 5.00重量%
ジミリスチン酸テトラグリセリル(炭素数14の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
2.50重量%
ジカプリン酸テトラグリセリル(炭素数10の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
2.50重量%
モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)
0.10重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
0.20重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
0.10重量%
イオン交換水 10.00重量%
ハリマック T−80(ロジン変性マレイン酸樹脂、ハリマ化成(株)製)
5.00重量%
ネオペレックス GS(ドデシルベンゼンスルホン酸、花王ケミカル(株)製)
4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ緑色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は6.1mPa・sであった。
【0043】
実施例6
Valifast Red 1308(赤染料、オリエント化学工業(株)製)
0.50重量%
Spilon Yellow C−GNH(黄染料、保土化学工業(株)製)
0.50重量%
Pigment Black 6(黒顔料) 7.00重量%
エタノール 30.35重量%
イソプロピルアルコール 4.76重量%
アセトン 0.39重量%
n−プロピルアルコール 40.00重量%
ベンジルアルコール 12.00重量%
ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
0.50重量%
ネオペレックス GS(ドデシルベンゼンスルホン酸、花王ケミカル(株)製)
4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は4.9mPa・sであった。
【0044】
実施例7
Valifast Red 1308(赤染料、オリエント化学工業(株)製)
0.30重量%
Spilon Yellow C−GNH(黄染料、保土化学工業(株)製)
0.30重量%
Nigrosine Base ER(黒染料、オリエント化学工業(株)製)
10.00重量%
エタノール 45.66重量%
イソプロピルアルコール 6.36重量%
アセトン 0.58重量%
n−プロピルアルコール 14.90重量%
ベンジルアルコール 5.50重量%
ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
2.00重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
1.25重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
1.25重量%
イオン交換水 2.40重量%
セラック(日本シェラック工業(株)製) 5.50重量%オレオイルザルコシン 221P(オレオイルザルコシン、日油(株)製)
4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.7mPa・sであった。
【0045】
実施例8
実施例3において、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンの代わりにn−プロピルアルコールを加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.2mPa・sであった。
【0046】
実施例9
実施例1において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)を0.50重量%から0.01重量%に減らし、モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量を除き、n−プロピルアルコールを変わりに加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は4.6mPa・sであった。
【0047】
実施例10
Valifast Red 1308(赤染料、オリエント化学工業(株)製)
0.75重量%
Spilon Yellow C−GNH(黄染料、保土化学工業(株)製)
0.75重量%
Pigment Black 6(黒顔料) 12.00重量%
エタノール 11.54重量%
イソプロピルアルコール 1.81重量%
アセトン 0.15重量%
n−プロピルアルコール 34.20重量%
ベンジルアルコール 12.40重量%
ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
10.00重量%
モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)
0.15重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
0.15重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
0.10重量%
イオン交換水 2.00重量%
ガムロジンWW(中国産) 10.00重量%
ネオペレックス GS(ドデシルベンゼンスルホン酸、花王ケミカル(株)製)
4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は21.5mPa・sであった。
【0048】
実施例11
Valifast Red 1308(赤染料、オリエント化学工業(株)製)
0.40重量%
Spilon Yellow C−GNH(黄染料、保土化学工業(株)製)
0.80重量%
Nigrosine Base ER(黒染料、オリエント化学工業(株)製)
20.00重量%
エタノール 45.70重量%
イソプロピルアルコール 7.16重量%
アセトン 0.54重量%
n−プロピルアルコール 0.50重量%
ベンジルアルコール 6.00重量%
ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
0.50重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
0.20重量%
ペンタステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でペンタエステル化)
0.20重量%
イオン交換水 2.90重量%
ガムロジンWW(中国産) 5.10重量%
オレオイルザルコシン 221P(オレオイルザルコシン、日油(株)製)
10.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ黒色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は22.5mPa・sであった。
【0049】
実施例12
C.I.Acid Yellow 7(黄染料) 2.10重量%
C.I.Solvent Blue 11(青染料) 8.50重量%
エタノール 45.66重量%
イソプロピルアルコール 6.36重量%
アセトン 0.58重量%
n−プロピルアルコール 14.90重量%
ベンジルアルコール 5.50重量%
ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)
2.00重量%
トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)
1.25重量%
テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)
1.00重量%
ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)
0.15重量%
ジイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の分岐脂肪酸でジエステル化)
0.10重量%
イオン交換水 2.40重量%
ガムロジンWW(中国産) 5.50重量%
オレオイルザルコシン 221P(オレオイルザルコシン、日油(株)製)
4.00重量%
上記成分を、撹拌混合して溶解させ青色の油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.8mPa・sであった。
【0050】
実施例13
実施例1において、n−プロピルアルコール 14.00重量%を除き、イオン交換水 14.00重量%を加えた以外は同様に為して、油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は6.3mPa・sであった。
【0051】
比較例1
実施例1において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、n−プロピルアルコール 1.10重量%を除き、SYグリスターTS−3S(トリステアリン酸ヘキサグリセリル、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化したヘキサグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、坂本薬品化学(株)製) 2.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.6mPa・sであった。
【0052】
比較例2
実施例1において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、n−プロピルアルコール 2.10重量%を除いて、ジステアリン酸ヘキサグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したヘキサグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル) 3.00重量%加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.1mPa・sであった。
【0053】
比較例3
実施例1において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、n−プロピルアルコール 0.60重量%を除いて、代わりにNIKKOL Decaglyn 1−L(モノラウリン酸デカグリセリル、炭素数12の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化したデカグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、日光ケミカルズ(株)製) 1.00重量%とNIKKOL Decaglyn 1−ISV(モノイソステアリン酸デカグリセリル、炭素数18の分岐脂肪酸でモノエステル化したデカグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、日光ケミカルズ(株)製) 0.50重量%加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.3mPa・sであった。
【0054】
比較例4
実施例1において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、イオン交換水全量と、n−プロピルアルコール 0.10重量%を除き、NIKKOL Decaglyn 5−SV(ペンタステアリン酸デカグリセリル、炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でペンタエステル化したデカグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、日光ケミカルズ(株)製) 2.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は6.1mPa・sであった。
【0055】
比較例5
実施例12において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、ジイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の分岐脂肪酸でジエステル化)全量を除き、グリシン 1.50重量%とn−プロピルアルコール 3.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.2mPa・sであった。
【0056】
比較例6
実施例12において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、ジイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の分岐脂肪酸でジエステル化)全量を除き、n−プロピルアルコール 5.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は4.9mPa・sであった。
【0057】
比較例7
実施例12において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、ジイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の分岐脂肪酸でジエステル化)全量を除き、モノステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でモノエステル化) 0.50重量%とステアリンブチル 1.0重量%とn−プロピルアルコール 3.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.5mPa・sであった。
【0058】
比較例8
実施例12において、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化) 1.15重量%と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化) 0.80重量%と、ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化) 0.05重量%を除き、グリシン 1.00重量%と、n−プロピルアルコール 3.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.7mPa・sであった。
【0059】
比較例9
実施例12において、C.I.Solvent Blue 11全量と、ジステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、トリステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でトリエステル化)全量と、テトラステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の直鎖飽和脂肪酸でテトラエステル化)全量と、ジオレイン酸テトラグリセリル(炭素数18の不飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、ジイソステアリン酸テトラグリセリル(炭素数18の分岐脂肪酸でジエステル化)全量を除き、C.I.Solvent Blue 2(青染料)8.50重量%と、n−プロピルアルコール 3.00重量%と、モNIKKOL Decaglyn 5−SV 0.50重量%と、ステアリンブチル 1.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は5.9mPa・sであった。
【0060】
比較例10
実施例4において、ジパルミチン酸テトラグリセリル(炭素数16の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化)全量と、n−プロピルアルコール 12.00重量%を除き、NIKKOL Decaglyn 5−SV(ペンタステアリン酸デカグリセリル、日光ケミカルズ(株)製) 0.50重量%と、イオン交換水 13.00重量%を加えた以外は同様に為して油性マーキングペン用インキを得た。5℃におけるインキ粘度は7.0mPa・sであった。
【0061】
以上、実施例1〜13、比較例1〜10により得られた油性マーキングペン用インキ組成物を、繊維収束体をペン先とする筆記具である、ぺんてる(株)製のペン先の最大外径が2mmで丸芯のNXNS15に充填して試験サンプルとし、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0062】
重量比で炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル1に対し、炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物の配合比を「配合比A」とし、表1に示す。
【0063】
ペン先乾燥防止性試験1
試験サンプルのペン先を外部に露出した状態で、室温20℃、湿度65%の環境下に放置し、一定時間経過した時点で筆記し、カスレの発生した時間を測定した。
【0064】
ペン先乾燥防止性試験2
試験サンプルのペン先を外部に露出した状態で、室温20℃、湿度20%の環境下に放置し、一定時間経過した時点で筆記し、カスレの発生した時間を測定した。
【0065】
低温筆記性試験
試験サンプルのペン先を収容した状態で5℃の環境下に5時間放置し、連続丸書き4丸(直径:20mm)を3秒で筆記し、カスレの有無を目視で確認した。
【0066】
非吸収面での筆跡定着性試験
ポリプロピレン(PP)製OHPシート〔薄口〕(リコー教育機器(株)製)に、上記試験用筆記具を用いて横1回均一にインキを面状に塗布し10分間、温度20℃、湿度20%の環境で乾燥させ試験サンプルとする。次に試験サンプルの上に上質紙を重ね、底面の直径50mm、質量500gの重りを乗せ、左右10回上質紙を往復移動させた。塗布した面の面積を100%とし、試験後に転写されずに残った面の面積を測定して、転写されずに残った面積の割合をパーセントで表記する。数値が大きいほど筆跡定着性が良い。
【0067】
インキ粘度は、E型粘度計(VISCONIC E型、ローター 1°34′×R24、東京計器製)を用いて、5℃におけるインキ粘度を測定した。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例1〜13の油性マーキングペン用インキ組成物は、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しているので、筆記環境が低温時でも筆記カスレを防止し、かつ、長時間ペン先を外部に露出させておいてもペン先が乾燥しにくい。
【0070】
また、実施例1〜5、7、8、11〜13の油性マーキングペン用インキ組成物は、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルと、水と、炭素数10以上20以下の脂肪酸でモノエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の分岐脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の不飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でトリエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でテトラエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数10以上20以下の脂肪酸でペンタエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルから少なくとも1つ以上選ばれる化合物を好ましい添加量で併用しているので、筆記環境の湿度に影響されず、より、長時間ペン先を外部に露出させておいてもペン先が乾燥しにくい。
【0071】
これに対して、比較例1〜4の油性マーキングペン用インキ組成物は、使用しているポリグリセリン脂肪酸エステルが低温時に析出して油性マーキングペンのペン先のインキ流路を塞ぎ、さらにはインキ粘度も高くなることで、筆記環境が低温時にインキ追従不良に起因する筆記カスレが生じる。
【0072】
また、比較例5〜10の油性マーキングペン用インキ組成物は、炭素数10以上20以下の直鎖飽和脂肪酸でジエステル化したテトラグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しないので、ペン先乾燥防止性が不十分である。
【0073】
以上、詳細に説明したように本発明の油性マーキングペン用インキ組成物は、筆記環境が低温時でも筆記カスレを防止し、かつ、長時間ペン先を外部に露出させておいてもペン先が乾燥しにくい油性マーキングペン用インキ組成物に関するものである。