(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の移載装置では、一対のフォークの占有スペースが比較的大きいため、荷載置部における荷物を載置するためのスペースに制約が生じるという課題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、一対のフックの占有スペースを小さく抑えることができる移載装置及びこれを備えた搬送車システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る移載装置は、側面に被係合部を有する荷物を移載方向に移載するための移載装置であって、前記荷物を載置するための荷載置面を有する荷載置部と、前記荷載置面よりも上側に突出することにより各々の先端部が前記被係合部に係合する突出位置と、前記荷載置面よりも下側に退避することにより各々の前記先端部が前記被係合部から離脱する退避位置との間を、各々の基端部を中心に回転する一対のフックと、前記一対のフックを前記荷載置部に対して前記移載方向に移動させる移動機構と、を備え、前記一対のフックは、前記退避位置に位置した際には、互いに近付く方向に横向きに倒れることにより、上下に重なるように配置される。
【0009】
本態様によれば、一対のフックは、退避位置に位置した際には、互いに近付く方向に横向きに倒れることにより、上下に重なるように配置される。これにより、一対のフックの占有スペースを小さく抑えることができる。その結果、荷載置部における荷物を載置するためのスペースを確保することができ、比較的サイズの小さい荷物であっても移載することができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係る移載装置において、前記一対のフックの各々の前記先端部は、前記一対のフックの各々の前記基端部よりも前記移載方向に階段状に折れ曲がっているように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、一対のフックの各々の先端部は、一対のフックの各々の基端部よりも移載方向に階段状に折れ曲がっている。これにより、一対のフックの各々が退避位置に位置した際に、一対のフックが相互に干渉するのを抑制することができる。その結果、一対のフックの配置間隔を小さくすることができ、一対のフックの占有スペースをより一層小さく抑えることができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係る移載装置において、前記一対のフックの各々の前記先端部には、前記移載方向に対して略垂直な方向に向けて膨出した膨出部が設けられており、前記一対のフックの各々が前記退避位置に位置した際に、下側に重なった前記フックの前記膨出部は上向きに配置され、上側に重なった前記フックの前記膨出部は下向きに配置されるように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、一対のフックの各々の先端部には、移載方向に対して略垂直な方向に向けて膨出した膨出部が設けられている。これにより、一対のフックの各々の先端部を荷物の被係合部に安定して係合させることができる。さらに、一対のフックの各々が退避位置に位置した際に、下側に重なったフックの膨出部は上向きに配置され、上側に重なったフックの膨出部は下向きに配置される。これにより、一対のフックの各々の先端部に膨出部が設けられているにも拘らず、一対のフックの占有スペースを小さく抑えることができる。
【0014】
例えば、本発明の一態様に係る移載装置において、前記移載装置は、さらに、前記一対のフックの各々の回転を制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記一対のフックの各々を前記退避位置から前記突出位置に回転させる際に、上側に重なった前記フックの回転を開始してから所定時間が経過したタイミングで、下側に重なった前記フックの回転を開始するように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、コントローラは、一対のフックの各々を退避位置から突出位置に回転させる際に、上側に重なったフックの回転を開始してから所定時間が経過したタイミングで、下側に重なったフックの回転を開始する。これにより、一対のフックが回転時に互いに干渉するのを抑制することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る搬送車システムは、天井側に配置されたレールと、前記レールに沿って走行する走行車、及び、前記走行車から吊り下げられた状態で昇降する昇降台を有する搬送車と、前記昇降台との間で荷物が移載されるラックと、上述したいずれかの前記移載装置であって、前記昇降台に設けられ、且つ、前記昇降台と前記ラックとの間で前記荷物を載置するための前記移載装置と、を備え、前記移載装置の前記一対のフックは二組設けられ、前記二組の一対のフックはそれぞれ、前記昇降台の左右両側へ移動可能に配置されている。
【0017】
本態様によれば、一対のフックは、退避位置に位置した際には、互いに近付く方向に横向きに倒れることにより、上下に重なるように配置される。これにより、一対のフックの占有スペースを小さく抑えることができる。その結果、荷載置部における荷物を載置するためのスペースを確保することができ、比較的サイズの小さい荷物であっても移載することができる。さらに、二組の一対のフックはそれぞれ、昇降台の左右両側へ移動可能に配置されているので、荷物を昇降台とラックとの間でスムーズに移載することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る移載装置によれば、一対のフックの占有スペースを小さく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0021】
(実施の形態)
[1.搬送車システムの構成]
まず、
図1〜
図3を参照しながら、実施の形態に係る移載装置2を搭載した搬送車システム4の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る移載装置2を搭載した搬送車システム4の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1の昇降台24及び荷物10を拡大して示す斜視図である。
図3は、
図1中のA−A線による昇降台24及び荷物10の断面図である。
【0022】
図1に示すように、搬送車システム4は、例えば自動倉庫等において、天井側に配置されたレール6に沿って走行する搬送車8により荷物10(
図2及び
図3参照)を搬送するとともに、搬送車8とラック12a(又はラック12b)との間で荷物10を移載するためのシステムである。
図2及び
図3に示すように、荷物10の前面10a(側面)及び後面10b(側面)にはそれぞれ取っ手14a及び14b(被係合部)が設けられている。取っ手14a及び14bの各々の断面形状は、略L字状に構成されている。
【0023】
レール6は、例えば自動倉庫等の天井から吊り下げられた状態で設置されている。レール6は、例えばY軸方向に直線状に延びている。
【0024】
ラック12a及び12bは、複数の荷物10を保管するための設備であり、レール6の下方における地上側に設置されている。
図3に示すように、ラック12a及び12bは、レール6の両側にそれぞれ配置され、且つ、搬送車8の走行方向(Y軸方向)に沿って配置されている。ラック12a及び12bにはそれぞれ、荷物10を収納するための収納棚16が鉛直方向(Z軸方向)に複数段、及び、水平方向(Y軸方向)に複数列配置されている。
図1〜
図3に示すように、各収納棚16には、荷物10を下方より支持するための一対の棚板18が配置されている。一対の棚板18は、例えばY軸方向に間隔を置いて配置されている。
【0025】
図1に示すように、搬送車8は、走行車20、複数(本実施の形態では4本)の吊り部材22及び昇降台24を有している。
【0026】
走行車20は、レール6にぶら下がった状態で、レール6に沿って
図1中の矢印Pで示す方向に走行する。走行車20の内部には、走行車20を走行させるための駆動源となる走行用モータ(図示せず)が搭載されている。上述した走行用モータは、レール6に沿って配線された給電線(図示せず)を介して供給される電力により駆動される。なお、走行車20の内部に蓄電池(図示せず)を搭載し、この蓄電池からの電力を走行用モータに供給するようにしてもよい。
【0027】
走行車20の内部には、さらに、ドラム(図示せず)及び昇降用モータ(図示せず)が搭載されている。ドラムには、複数の吊り部材22の各々が巻き回されている。ドラムは、昇降用モータによって巻き出し方向又は巻き取り方向に回転する。ドラムが巻き出し方向に回転した場合には、ドラムに巻き回されている複数の吊り部材22の各々がドラムから巻き出される。一方、ドラムが巻き取り方向に回転した場合には、複数の吊り部材22の各々がドラムに巻き取られる。このように複数の吊り部材22の各々がドラムから巻き出される又はドラムに巻き取られることにより、昇降台24が鉛直方向に昇降する。
【0028】
複数の吊り部材22は、昇降台24を走行車20から吊り下げるためのものである。複数の吊り部材22の各々の一端部は、走行車20のドラムに連結され、それらの他端部は、昇降台24の四隅にそれぞれ連結されている。複数の吊り部材22の各々は、例えば金属製のワイヤ、チェーン又はベルト等である。
【0029】
昇降台24は、荷物10を載置するための略矩形状の台である。昇降台24は、複数の吊り部材22によって走行車20から昇降自在に吊り下げられている。昇降台24は、複数の吊り部材22の各々が走行車20のドラムに巻き取られた場合には
図1中の矢印Qで示す方向に上昇し、複数の吊り部材22の各々が走行車20のドラムから巻き出された場合には
図1中の矢印Rで示す方向に下降する。昇降台24には、ラック12a(又はラック12b)の収納棚16と昇降台24との間で荷物10を移載するための移載装置2が配置されている。移載装置2の構成については後述する。
【0030】
[2.移載装置の構成]
次に、
図2〜
図7を参照しながら、上述した移載装置2の構成について説明する。
図4は、スライドアーム28のトップ部42の内部機構を示す図である。
図5は、一対のフック30及び32の各々が突出位置に位置した状態での、
図2中のB−B線による昇降台24の断面図である。
図6は、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置した状態での、
図1の昇降台24及び荷物10を拡大して示す斜視図である。
図7は、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置した状態での、
図6中のC−C線による昇降台24の断面図である。
【0031】
図2及び
図3に示すように、移載装置2は、一対の荷載置部26と、スライドアーム28(移動機構)と、複数のフック30,32,34及び36と、を有している。
【0032】
一対の荷載置部26は、テーブル状に構成され、昇降台24の上端部に配置されている。一対の荷載置部26は、例えばY軸方向に間隔を置いて配置されている。一対の荷載置部26の各々の上面には、荷物10を載置するための荷載置面26aが形成されている。なお、荷載置面26aは、水平(XY平面上)に配置されている。
【0033】
スライドアーム28は、一対の荷載置部26の間の領域において、一対の荷載置部26よりも下側に配置されている。スライドアーム28は、ベース部38、ミドル部40及びトップ部42を有している。ベース部38は、昇降台24に対して固定されており、X軸方向に延びている。ミドル部40は、ベース部38に対してX軸方向にスライド自在に支持されている。トップ部42は、ミドル部40に対してX軸方向にスライド自在に支持されている。昇降台24に搭載された駆動用モータ(図示せず)によって、ミドル部40がベース部38に対してX軸方向にスライドするとともに、トップ部42がミドル部40に対してX軸方向にスライドする。これにより、
図3に示すように、トップ部42は、ラック12aの近傍の位置(
図3において実線で示す位置)とラック12bの近傍の位置(
図3において一点鎖線で示す位置)との間をX軸方向に往復移動するようになる。これに伴って、トップ部42に搭載された複数のフック32〜36は、一対の荷載置部26に対して荷物10の移載方向(X軸方向)に往復移動する。
【0034】
図2〜
図4に示すように、トップ部42には、複数のフック30〜36が搭載されている。一対のフック30及び32は、トップ部42のX軸方向における一方の端部に配置され、且つ、Y軸方向に間隔を置いて配置されている。一対のフック34及び36は、トップ部42のX軸方向における他方の端部に配置され、且つ、Y軸方向に間隔を置いて配置されている。すなわち、二組の一対のフック30,32と一対のフック34,36とはそれぞれ、昇降台24の左右両側(X軸方向における両側)に移動可能に配置されている。なお、説明の都合上、
図2及び
図6では、一対のフック34及び36の図示を省略してある。
【0035】
フック30の形状は、全体としてクランク状に構成されている。すなわち、フック30の先端部30aは、フック30の基端部30b(先端部30aと反対側の端部)よりも荷物10の移載方向に階段状に折れ曲がっている。さらに、フック30の先端部30aには、荷物10の移載方向に対して略垂直な方向(Y軸方向)に向けて膨出した膨出部30cが設けられている。さらに、フック30の先端部30aのうち荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)に係合する部位には、アール面30dが形成されている。
【0036】
フック32の形状は、フック30と同様に、全体としてクランク状に構成されている。すなわち、フック32の先端部32aは、フック32の基端部32bよりも荷物10の移載方向に階段状に折れ曲がっている。フック32の先端部32aには、荷物10の移載方向に対して略垂直な方向に向けて膨出した膨出部32cが設けられている。さらに、フック32の先端部32aのうち荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)に係合する部位には、アール面32dが形成されている。
【0037】
フック34の形状は、フック30の形状とY軸に対して対称であり、フック36の形状は、フック32の形状とY軸に対して対称である。例えば、フック34の先端部34aには膨出部(図示せず)が設けられ、フック36の先端部36aには膨出部36c(
図4参照)が設けられている。そのため、一対のフック34及び36の各々の形状については説明を省略する。
【0038】
図4に示すように、トップ部42の内部には、さらに、一対のシャフト44及び46と、一対の駆動用モータ48及び50と、コントローラ52とが搭載されている。なお、説明の都合上、
図2及び
図6では、一対の駆動用モータ48,50及びコントローラ52の図示を省略してある。本実施の形態では、コントローラ52をトップ部42の内部に配置したが、これに限定されず、コントローラ52を任意の箇所に配置することができる。例えば、コントローラ52を昇降台24の側面に配置してもよい。
【0039】
シャフト44は、トップ部42の内部に回転自在に支持されている。シャフト44は、X軸方向に延びており、フック30の基端部30bとフック34の基端部34bとを相互に連結する。シャフト44には、ギア54が固定されている。
【0040】
駆動用モータ48は、X軸を中心として正方向又は逆方向に回転する。駆動用モータ48には、シャフト44のギア54と噛み合わされたギア56が固定されている。駆動用モータ48の回転は、ギア56及び54を介してシャフト44に伝達される。シャフト44が回転することにより、フック30及び34がそれぞれ基端部30b及び34bを中心として連動して回転する。
【0041】
駆動用モータ48の回転は、コントローラ52により制御される。駆動用モータ48が正方向に回転した際には、フック30及び34の各々は、
図5中の矢印Sで示す方向に退避位置(
図4、
図6及び
図7参照)から突出位置(
図2、
図3及び
図5参照)まで連動して回転する。一方、駆動用モータ48が逆方向に回転した際には、フック30及び34の各々は、
図7中の矢印Tで示す方向に突出位置から退避位置まで連動して回転する。
【0042】
シャフト46は、トップ部42の内部に回転自在に支持されている。シャフト46は、X軸方向に延びており、フック32の基端部32bとフック36の基端部36bとを相互に連結する。シャフト46には、ギア58が固定されている。
【0043】
駆動用モータ50は、X軸を中心として正方向又は逆方向に回転する。駆動用モータ50には、シャフト46のギア58と噛み合わされたギア60が固定されている。駆動用モータ50の回転は、ギア60及び58を介してシャフト46に伝達される。シャフト46が回転することにより、フック32及び36がそれぞれ基端部32b及び36bを中心として連動して回転する。
【0044】
駆動用モータ50の回転は、コントローラ52により制御される。駆動用モータ50が正方向に回転した際には、フック32及び36の各々は、
図5中の矢印Uで示す方向に退避位置から突出位置まで回転する。一方、駆動用モータ50が逆方向に回転した際には、フック32及び36はそれぞれ、
図7中の矢印Vで示す方向に突出位置から退避位置まで回転する。
【0045】
[3.一対のフックの動作]
次に、
図2〜
図8を参照しながら、一対のフック30及び32の動作について説明する。
図8は、一対のフック30及び32の動作を説明するための図である。なお、一対のフック34及び36の動作については、一対のフック30及び32の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
上述したように、一対のフック30及び32はそれぞれ、基端部30b及び32bを中心として突出位置と退避位置との間を回転する。
【0047】
図2、
図3及び
図5に示すように、一対のフック30及び32の各々が突出位置に位置している際には、一対のフック30及び32の各々は、荷載置面26aよりも上側に突出する。これにより、一対のフック30及び32の各々の先端部30a及び32aは、荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)に下方より係合するようになる。
【0048】
一方、
図4、
図6及び
図7に示すように、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置している際には、一対のフック30及び32の各々は、互いに近付く方向に横向きに倒れることにより上下に重なるように配置され、荷載置面26aよりも下側に退避する。これにより、一対のフック30及び32の各々の先端部30a及び32aは、荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)から離脱するようになる。なお、このとき、
図6に示すように、下側に重なったフック32の膨出部32cは上向きに配置され、上側に重なったフック30の膨出部30cは下向きに配置される。
【0049】
一対のフック30及び32の各々が退避位置から突出位置まで回転する際には、コントローラ52は、駆動用モータ50の回転を開始するタイミングを、駆動用モータ48の回転を開始するタイミングよりも遅延させる。
図8の(a)に示すように、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置している状態から、コントローラ52は、駆動用モータ48の正方向への回転を開始させる。これにより、
図8の(b)に示すように、上側に重なったフック30が退避位置から突出位置に向けて回転を開始する。その後、コントローラ52は、上側に重なったフック30が回転を開始してから所定時間(例えば数秒程度)が経過したタイミングで、駆動用モータ50の正方向への回転を開始させる。これにより、
図8の(c)に示すように、下側に重なったフック32が退避位置から突出位置に向けて回転を開始する。その後、コントローラ52は、フック30が突出位置に位置したタイミングで駆動用モータ48の回転を停止させ、次いで、フック32が突出位置に位置したタイミングで駆動用モータ50の回転を停止させる。これにより、
図8の(d)に示すように、一対のフック30及び32の各々が突出位置に位置するようになる。
【0050】
一方、一対のフック30及び32の各々が突出位置から退避位置まで回転する際には、コントローラ52は、駆動用モータ48の回転を開始するタイミングを、駆動用モータ50の回転を開始するタイミングよりも遅延させる。
図8の(d)に示すように、一対のフック30及び32の各々が突出位置に位置している状態から、コントローラ52は、駆動用モータ50の逆方向への回転を開始させる。これにより、
図8の(c)に示すように、フック32が突出位置から退避位置に向けて回転を開始する。その後、コントローラ52は、フック32が回転を開始してから所定時間(例えば数秒程度)が経過したタイミングで、駆動用モータ48の逆方向への回転を開始させる。これにより、
図8の(b)に示すように、フック30が突出位置から退避位置に向けて回転を開始する。その後、コントローラ52は、フック32が退避位置に位置したタイミングで駆動用モータ50の回転を停止させ、次いで、フック30が退避位置に位置したタイミングで駆動用モータ48の回転を停止させる。これにより、
図8の(a)に示すように、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置するようになる。
【0051】
[4.荷物の移載方法]
次に、
図1〜
図3及び
図5〜
図7を参照しながら、上述した移載装置2による荷物10の移載方法について説明する。
【0052】
図1に示すように、例えば荷物10をラック12aの特定の収納棚16aから搬出する際には、まず、走行車20をレール6に沿って特定の収納棚16aに対応する位置まで走行させながら、昇降台24を特定の収納棚16aに対応する高さまで下降させる。このとき、
図6及び
図7に示すように、複数のフック30〜36の各々は退避位置に位置している。次に、走行車20の走行を上記位置で停止させるとともに、昇降台24の昇降を上記高さで停止させた状態で、スライドアーム28のトップ部42を待機位置からラック12aの近傍の位置まで移動させる。その後、
図2、
図3及び
図5に示すように、複数のフック30〜36の各々を退避位置から突出位置に回転させることにより、一対のフック30及び32の各々の先端部30a及び32aは、特定の収納棚16aに載置された荷物10の取っ手14aに係合される。
【0053】
この状態から、スライドアーム28のトップ部42をラック12aの近傍の位置からラック12bの近傍の位置まで移動させることにより、荷物10は、一対のフック30及び32によりX軸方向に引っ張られるようになる。これにより、荷物10は、
図3中の矢印W1で示すように、特定の収納棚16aから昇降台24の一対の荷載置部26に引き摺られながら移載される。なお、荷物10の移載が完了した際には、複数のフック30〜36の各々を突出位置から退避位置に回転させた後に、スライドアーム28のトップ部42を待機位置に戻す。その後、昇降台24を走行車20の近傍まで上昇させながら、走行車20の走行を開始させる。
【0054】
一方、
図3に示すように、例えば荷物10をラック12bの特定の収納棚16bに搬入する際には、まず、荷物10が載置された昇降台24を走行車20の近傍まで上昇させた状態で、走行車20をレール6に沿って特定の収納棚16bに対応する位置まで走行させる。このとき、複数のフック30〜36の各々は退避位置に位置している。次に、走行車20を上記位置まで走行させながら、昇降台24を特定の収納棚16bに対応する高さまで下降させる。走行車20の走行を上記位置で停止させるとともに、昇降台24の昇降を上記高さで停止させた状態で、スライドアーム28のトップ部42を待機位置からラック12aの近傍の位置まで移動させる。このとき、荷物10の搬入先が特定の収納棚16a及び16bのいずれであるかに応じて、スライドアーム28のトップ部42は、荷物10の下方を通ってラック12bの近傍の位置からラック12aの近傍の位置まで(又は、ラック12aの近傍の位置からラック12bの近傍の位置まで)移動する場合がある。その後、複数のフック30〜36の各々を退避位置から突出位置まで回転させることにより、一対のフック34及び36の各々の先端部34a及び36aは、昇降台24の一対の荷載置部26に載置された荷物10の取っ手14bに係合される。
【0055】
この状態から、スライドアーム28のトップ部42をラック12aの近傍の位置からラック12bの近傍の位置まで移動させることにより、荷物10は、一対のフック34及び36によりX軸方向に押し込まれるようになる。これにより、荷物10は、
図3中の矢印W2で示すように、昇降台24の一対の荷載置部26から特定の収納棚16bに引き摺られながら移載される。なお、荷物10の移載が完了した際には、複数のフック30〜36の各々を突出位置から退避位置に回転させた後に、スライドアーム28のトップ部42を待機位置に戻す。その後、昇降台24を走行車20の近傍まで上昇させながら、走行車20の走行を開始させる。
【0056】
[5.効果]
次に、本実施の形態の移載装置2により得られる効果について説明する。上述したように、一対のフック30及び32は、退避位置に位置した際には、互いに近付く方向に横向きに倒れることにより、上下に重なるように配置される。これにより、一対のフック30及び32の占有スペースを小さく抑えることができる。その結果、一対の荷載置部26における荷物10を載置するためのスペースを確保することができ、比較的サイズの小さい荷物10であっても移載することができる。なお、一対のフック34及び36についても上述と同様の効果を得ることができ、このことは以下で述べる効果についても同様である。
【0057】
さらに、上述したように、フック30の先端部30aは、フック30の基端部30bよりも荷物10の移載方向に階段状に折れ曲がっている。これにより、
図4及び
図6に示すように、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置した際に、フック30の先端部30aをフック32の基端部32bから逃がすことができる。同様に、フック32の先端部32aは、フック32の基端部32bよりも荷物10の移載方向に階段状に折れ曲がっている。これにより、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置した際に、フック32の先端部32aをフック30の基端部30bから逃がすことができる。その結果、一対のフック30及び32のY軸方向における配置間隔を小さくすることができ、一対のフック30及び32の占有スペースをより一層小さく抑えることができる。
【0058】
さらに、上述したように、フック30の先端部30a及びフック32の先端部32aにはそれぞれ、膨出部30c及び膨出部32cが設けられている。これにより、一対のフック30及び32の各々の先端部30a及び32aをそれぞれ荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)に安定して係合させることができる。さらに、上述したように、一対のフック30及び32の各々が退避位置に位置した際に、下側に重なったフック32の膨出部32cは上向きに配置され、上側に重なったフック30の膨出部30cは下向きに配置される。これにより、一対のフック30及び32の各々の先端部30a及び32aにそれぞれ膨出部30c及び32cが設けられているにも拘らず、一対のフック30及び32の占有スペースを小さく抑えることができる。
【0059】
さらに、上述したように、フック30の先端部30a及びフック32の先端部32aにはそれぞれ、アール面30d及び32dが形成されている。これにより、フック30の先端部30a及びフック32の先端部32aをそれぞれ荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)に深く係合させることができる。さらに、フック30の先端部30aにアール面30dが形成されていることに起因して、次のような効果を得ることもできる。仮に、フック30の先端部30aにアール面30dが形成されておらず、角部(図示せず)が形成されている場合には、フック30が退避位置から突出位置まで回転した際、フック30の角部が荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)のZ軸方向における位置よりも高い位置に位置するようになる。これにより、フック30と取っ手14a(又は取っ手14b)とが相互に干渉することにより荷物10が浮き上がり、他方のフック32が荷物10の取っ手14a(又は取っ手14b)に係合できないおそれがある。本実施の形態の移載装置2では、フック30の先端部30aにアール面30dを形成することにより、フック30が退避位置から突出位置まで回転した際に、アール面30dと取っ手14a(又は取っ手14b)との間に隙間が形成される。その結果、フック30と取っ手14a(又は取っ手14b)とが相互に干渉するのを抑制することができる。
【0060】
さらに、上述したように、コントローラ52は、一対のフック30及び32の各々を退避位置から突出位置に回転する際に、上側に重なったフック30の回転を開始してから所定時間が経過したタイミングで、下側に重なったフック32の回転を開始する。これにより、一対のフック30及び32が回転時に互いに干渉するのを抑制することができる。
【0061】
また、移載装置2は、ラック12a(又はラック12b)の収納棚16と昇降台24との間で荷物10を引き摺りながら移載する。これにより、収納棚16及び昇降台24で荷物10の荷重を下方より支持しながら荷物10を移載することができる。その結果、荷物10を昇降台24と収納棚16との間で移載する際に荷物10から受ける反力を抑えることができ、昇降台24が揺れるのを抑制することができる。
【0062】
(実施の形態の変形例)
次に、
図9を参照しながら、上記実施の形態の変形例について説明する。
図9は、実施の形態の変形例に係る一対のフック30A及び32Aを示す斜視図である。
【0063】
本変形例では、
図9に示すように、フック30Aのアール面30dの角部には、面取り面30eが形成されている。面取り面30eは、アール面30dの角部の延びる方向に沿って延びている。さらに、フック32Aの膨出部32cの角部には、面取り面32eが形成されている。面取り面32eは、膨出部32cの角部の延びる方向に沿って延びている。
【0064】
これにより、一対のフック30A及び32Aの各々を退避位置から突出位置まで回転させる際に、例えば一対のフック30A及び32Aの各々の位置が荷物10の取っ手14aの位置に対してずれた場合であっても、面取り面30e及び32eがそれぞれ取っ手14a上を滑るようになる。これにより、一対のフック30A及び32Aの各々を荷物10の取っ手14aに確実に係合させることができる。
【0065】
(他の変形例等)
以上、本発明の移載装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に対して当業者が思い付く変形を施して得られる形態、及び、上記実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0066】
上記実施の形態では、移載装置2を搬送車システム4に搭載したが、これに限定されず、例えばスタッカークレーン等に搭載してもよい。