特許第6337729号(P6337729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337729
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20180528BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20180528BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/81
   A61K8/44
   A61Q5/02
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-203525(P2014-203525)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-69360(P2016-69360A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】小田 義士
(72)【発明者】
【氏名】松藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真巳
【審査官】 木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−196807(JP,A)
【文献】 特開昭61−137812(JP,A)
【文献】 特表2013−517289(JP,A)
【文献】 特開2001−058930(JP,A)
【文献】 特開平09−030938(JP,A)
【文献】 特開2007−119374(JP,A)
【文献】 特開2013−133301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のa〜d成分を含有し、b成分に対するc成分の含有量比(c/b)が1≦c/b≦10、d成分に対するb成分の含有量比(b/d)が5≦b/d≦50であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
a.アシルアミノ酸塩型の陰イオン性界面活性剤:5〜30質量%
b.N−アシル−L−リシン及びN−アシル−L−アルギニンからなる群から選ばれる1種又は2種のアミノ酸誘導体:0.2〜4質量%
c.炭素数8〜22の不飽和又は分岐の一価アルコール:0.5〜5質量%
d.式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体と式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体との共重合体:0.01〜0.3質量%
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1〜4の整数である。)
【化2】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは−C−、−C10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−O−(C=O)−を表し、Lは炭素数10〜22の直鎖又は分岐アルキル基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡に弾力性があり、すすぎ時の指通り性が良好で、乾燥後の毛髪が柔らかく、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を付与するとともに、乾燥後の毛髪がうねり難い毛髪洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアシャンプーに代表される毛髪洗浄剤組成物は、頭髪及び頭皮の洗浄を目的として使用される化粧品である。近年は頭皮の痒みや脱毛症の予防効果を期待して、頭皮を優しく洗浄できる毛髪洗浄剤組成物が求められる傾向にあり、皮膚への刺激が少なく、適度な洗浄力を有するアミノ酸系洗浄成分が用いられている。
例えば、特許文献1においては、ココイルグルタミン酸塩とラウロイルリシンを組み合わせた洗浄剤組成物が開示され、特許文献2においては、ココイルグルタミン酸塩、カチオン性高分子と化粧用粉体を組み合わせた皮膚洗浄剤組成物が開示され、特許文献3においては、ラウロイルグルタミン酸塩、カチオン化セルロースと特定のカチオン性ポリマーを組み合わせた皮膚洗浄剤組成物が開示されている。
しかしながら、これらの洗浄剤組成物を用いた場合、乾燥後の毛髪がうねり易い、毛髪にツヤがない等の問題を有していた。
【0003】
そこで、特定の油性成分、保湿成分や高分子等を組み合わせた組成物が提案されている。例えば、特許文献4においては、アシルメチルタウリン塩、グリセリン、脂肪酸、クエン酸ナトリウムとカチオン性ポリマーを組み合わせた毛髪洗浄剤組成物が開示されている。
しかしながら、この組成物は、泡の弾力性が少ない、又は、乾燥後の毛髪のボリューム感が弱い等の問題を有していた。人口の高齢化が進み、毛量の低下に悩む消費者が増加している現代の日本においては、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感が得られる毛髪洗浄剤組成物に対する需要は高い。
【0004】
一方、分子構造中にグリセロール構造及びウレタン結合を有する特定の重合体を化粧料材料に配合することで、髪の指通り性に優れる化粧料が得られることが特許文献5に開示されている。
しかしながら、この化粧料は、使用時の指通り性、乾燥した時の櫛通り及び髪のまとまり感が優れるものの、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を与えるという点では不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−137812号公報
【特許文献2】特開2004−107319号公報
【特許文献3】特開2005−306843号公報
【特許文献4】特開2010−215577号公報
【特許文献5】特開2007−119374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、泡に弾力性があり、すすぎ時の指通り性が良好で、乾燥後の毛髪が柔らかく、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を付与するとともに、乾燥後の毛髪がうねり難い毛髪洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記問題を解決するために研究を重ねたところ、アシルアミノ酸型の陰イオン性界面活性剤、特定のアミノ酸誘導体、特定の高級アルコール、特定の高分子化合物を組み合わせることによって、上記目的の毛髪洗浄剤組成物を得るに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下のa〜d成分を含有し、b成分に対するc成分の含有量比(c/b)が1≦c/b≦10、d成分に対するb成分の含有量比(b/d)が5≦b/d≦50であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物である。
a.アシルアミノ酸塩型の陰イオン性界面活性剤:5〜30質量%
b.N−アシル−L−リシン及びN−アシル−L−アルギニンからなる群から選ばれる1種又は2種のアミノ酸誘導体:0.2〜4質量%
c.炭素数8〜22の不飽和又は分岐の一価アルコール:0.5〜5質量%
d.式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体と式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体との共重合体:0.01〜0.3質量%
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1〜4の整数である。)
【化2】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは−C−、−C10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−O−(C=O)−を表し、Lは炭素数10〜22の直鎖又は分岐アルキル基を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、泡に弾力性があり、すすぎ時の指通り性が良好で、乾燥後の毛髪が柔らかく、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を付与するとともに、乾燥後の毛髪がうねり難いという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の毛髪洗浄剤組成物は、以下に示すa〜d成分を含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表す。
【0011】
本発明に用いられるa成分は、アシルアミノ酸塩型の陰イオン性界面活性剤である。
アシルアミノ酸塩は、酸性又は中性アミノ酸(誘導体)のアミノ基の水素がアシル基で置換されたアミド化合物を、対イオンを形成し得る原子又は基の塩とすることによって得られる。
上記アシル基は、直鎖構造及び分岐構造のいずれでもよく、また飽和アシル基及び不飽和アシル基のいずれでもよい。アシル基の炭素数は、好ましくは8〜22であり、更に好ましくは10〜18、特に好ましくは12〜18である。
上記酸性又は中性アミノ酸(誘導体)としては、例えば、グリシン、サルコシン、アラニン、N−メチルアラニン、β−アラニン、グリタミン酸、アスパラギン酸、タウリン、N−メチルタウリン等が挙げられる。
上記対イオンを形成し得る原子又は基としては、例えば、水素原子;アルカリ金属;アルカリ土類金属;アンモニウム;置換アンモニウム;アミノ酸(塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、及び中性アミノ酸)由来の基又はそのアルカリ金属塩;タウリン由来の基又はそれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。具体的には、ナトリウム;カリウム;1/2カルシウム;1/2マグネシウム;アンモニウム;トリエタノールアミン;リジン、アルギニン、グリシンナトリウム、グリシンカリウム、グルタミン酸ジナトリウム、タウリンナトリウム、N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、泡の弾力性と乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を与える効果の点から、アシル基としては炭素数が10〜18の直鎖構造のアシル基が好ましく、酸性又は中性アミノ酸(誘導体)としてはグリシン、サルコシン、アラニン、N−メチルアラニン、タウリン、N−メチルタウリンが好ましく、対イオンを形成し得る好ましい原子又は基としてはナトリウム、カリウム、グリシンナトリウム、グリシンカリウム、タウリンナトリウム、タウリンカリウムが好ましい。
【0012】
このようなアシルアミノ酸型の陰イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、ラウロイルザルコシンナトリウム、ラウロイル−N−メチルアラニンナトリウム、ラウロイル−β−アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
泡の弾力性と乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を与える効果の点から好ましいアシルアミノ酸型の陰イオン性界面活性剤の具体的としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ラウロイル−N−メチルアラニンナトリウム、ラウロイル−β−アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリン・タウリンナトリウム等が挙げられる。
a成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
本発明に用いられるb成分は、N−アシル−L−リシン及びN−アシル−L−アルギニンからなる群から選ばれる1種又は2種のアミノ酸誘導体であり、N−アシル−L−リシン、又はN−アシル−L−アルギニンのいずれか一方、あるいは両方を用いることができる。
上記アシル基は、直鎖構造及び分岐構造のいずれでもよく、また飽和アシル基及び不飽和アシル基のいずれでもよい。アシル基の炭素数は、好ましくは8〜22であり、更に好ましくは10〜16である。
このようなアミノ酸誘導体の具体例としては、例えば、N−ラウロイル−L−リシン、N−ミリストイル−L−リシン、N−パルミトイル−L−リシン、N−ステアロイル−L−リシン、N−ラウロイル−L−アルギニン等が挙げられる。
中でも、乾燥後の毛髪がうねり難い効果の点から、炭素数が10〜16の直鎖構造のアシル基を有するN−アシル−L−リシン及びN−アシル−L−アルギニンが好ましく、炭素数が10〜16の直鎖構造のアシル基を有するN−アシル−L−リシンが更に好ましい。
【0014】
本発明に用いられるc成分は、炭素数8〜22の不飽和又は分岐の一価アルコールである。このような一価アルコールの具体例としては、例えば、2−エチルヘキサノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、リノリルアルコール等が挙げられる。
中でも、乾燥後の毛髪がうねり難く、毛髪に適度なボリューム感を与える効果の点から、炭素数14〜20の不飽和又は分岐の一価アルコールが好ましく、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコールが更に好ましい。
c成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0015】
本発明に用いられるd成分は、式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体と式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体との共重合体である。
【0016】
【化1】
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1〜4の整数である。
式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、例えば、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン、グリセロール−1−メタクリロイルオキシプロピルウレタン等が挙げられ、合成のし易さの点から、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンが好ましい。
【0017】
【化2】
式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは−C−、−C10−、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−O−(C=O)−を表し、Lは炭素数10〜22、好ましくは12〜18の直鎖又は分岐アルキル基を表す。
式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体の具体例としては、例えば、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコサニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、すすぎ時の指通り性を良好にする効果の点から、オクタデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0018】
d成分としての共重合体は、式(1)で表されるグリセロール(メタ)アクリレート単量体と式(2)で表される長鎖アルキル基含有単量体とを公知の重合方法にて重合することにより製造することができる。
d成分の具体例としては、日油株式会社製のセラキュートF、セラキュートL、セラキュートV等が挙げられ、これらはいずれもグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンとオクタデシルメタクリレートとの共重合体を含有するものである。
d成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
本発明に用いられるa成分の含有量は、組成物全量中に5〜30質量%であり、好ましくは8〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。5質量%未満では泡に弾力性がなく、また乾燥後の毛髪に適度なボリューム感がなくなることがあり、30質量%を超えると乾燥後の毛髪がうねり易くなることがある。
【0020】
本発明に用いられるb成分の含有量は、組成物全量中に0.2〜4質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。0.2質量%未満では泡に弾力性がなくなり、すすぎ時の指通り性が悪く、乾燥後の髪がうねり易くなることがあり、4質量%を超えると乾燥後の髪に自然な艶がなくなることがある。
【0021】
本発明に用いられるc成分の含有量は、組成物全量中に0.5〜5質量%であり、好ましくは1〜4質量%、更に好ましくは1.5〜3質量%である。0.5質量%未満では乾燥後の毛髪に自然な艶がなくなることがあり、乾燥後の髪がうねり易くなることがある。5質量%を超えると泡に弾力性がなくなり、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感がなくなることがある。
【0022】
本発明に用いられるd成分の含有量は、組成物全量中に0.01〜0.3質量%であり、好ましくは0.01〜0.2質量%、更に好ましくは0.01〜0.1質量%である。0.01質量%未満ではすすぎ時の指通り性が悪く、乾燥後の毛髪に自然な艶と適度なボリューム感を与えることが困難となることがある。0.3質量%を超えると乾燥後に毛髪に不自然なボリューム感を与えることがある。
【0023】
本発明において、b成分に対するc成分の含有量比(c/b)は、1≦c/b≦10であり、好ましくは1≦c/b≦5である。c/bが1未満では乾燥後の毛髪に自然な艶を与え難くなることがあり、c/bが10を超えると乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を与え難くなることがある。
また、d成分に対するb成分の含有量比(b/d)は、5≦b/d≦50であり、好ましくは8≦b/d≦40である。b/dが5未満では乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を与え難くなることがあり、b/dが50を超えると乾燥後の毛髪に自然な艶を与え難くなることがある。
上記a成分、b成分、c成分、d成分の合計含有量(a+b+c+d)は、毛髪洗浄剤組成物として求められる性能に応じて、適宜調整することができる。通常、上記a成分、b成分、c成分、d成分、他の添加剤や残部として水を更に加え、総量を100質量%として本発明の毛髪洗浄剤組成物が調製される。
【0024】
本発明の毛髪洗浄剤組成物には、化粧料に常用されている添加物を本発明の組成物の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;乳糖、果糖、ショ糖等の糖類;流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素系油;セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、カチオン化セルロース等のカチオン性高分子;キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー等の酸性高分子;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸類;食塩等の無機塩類;pH調製剤としてのアルカリ;アスコルビン酸、トコフェロール、ヘスペリジン等のビタミン類及びその誘導体;殺菌剤;キレート剤;抗酸化剤;血行促進剤;紫外線吸収剤;紫外線散乱剤;動植物由来の天然エキス;アミノ酸類;感光素;色素;顔料及び香料等を配合できる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
【0026】
〔実施例1〜7及び比較例1〜7〕
表1に示す10成分の共通添加成分を用い、表2及び表3に示す毛髪洗浄剤組成物を調製し、5項目について下記評価基準により評価を行った。実施例1〜7の評価結果を表2に、比較例1〜9の評価結果を表3にそれぞれ示す。
【0027】
【表1】
【0028】
(1)泡の弾力性
5gの各毛髪洗浄剤組成物に95gの精製水を加え100gとし、25℃にてミルサーを用いて5秒間攪拌して調製した泡について、B型粘度計を用いて粘度を測定した(1号ローター、6rpm、20秒)。そのときの粘度が600mPa・s以上の場合に、泡に弾力性があると判定して表中に「○」を記し、粘度が600mPa・s未満の場合に、泡に弾力性がないと判定して表中に「×」を記した。なお、表中の括弧内の数値は粘度(mPa・s)を表す。
【0029】
(2)すすぎ時の指通り性
長さ30cmの10g人毛の毛束(ビューラックス株式会社製)にブリーチ処理を3回実施し試験用毛束とした。試験用毛束に対して1gの各毛髪洗浄剤組成物を泡立ててから塗布し、テクノハシモト社製のコーミングテスター(櫛通り試験機)に取り付け、流水下においてブラシを10回通したときに掛かる最大荷重を測定した。すすぎ時の指通り性として以下のように判定した。なお、表中の括弧内の数値は最大荷重(N)を表す。
◎:最大荷重が3.0N未満(すすぎ時の指通り性が極めて良好である。)
○:最大荷重が3.0N以上、4.0N未満(すすぎ時の指通り性が良好である。)
△:最大荷重が4.0N以上、5.0N未満(すすぎ時の指通り性があまり良くない。)
×:最大荷重が5.0N以上(すすぎ時の指通り性が悪い。)
【0030】
(3)乾燥後の毛髪の柔らかさ
20名の男女(30〜50才)をパネラーとして、6gの各毛髪洗浄剤組成物を用いて洗髪し、タオル及びドライヤーを用いて乾燥させ1時間経過後の毛髪の柔らかさについて下記のように判定した。
2点:髪がとても柔らかく、まとまりやすいと感じた場合。
1点:髪がやや柔らかく、どちらかというとまとまりやすいと感じた場合。
0点:髪に柔らかさがなく、まとまりにくいと感じた場合。
【0031】
20名の合計点を表に記載し、さらに下記の基準で評価した。
◎:合計点が35点以上(乾燥後の毛髪が極めて柔らかい。)
○:合計点が30点以上、35点未満(乾燥後の毛髪が柔らかい。)
△:合計点が20点以上、30点未満(乾燥後の毛髪があまり柔らかくない。)
×:合計点が20点未満(乾燥後の毛髪が硬い。)
【0032】
(4)乾燥後の毛髪のボリューム感
20名の男女(30〜50才)をパネラーとして、6gの各毛髪洗浄剤組成物を用いて洗髪し、タオル及びドライヤーを用いて乾燥させ1時間経過後の毛髪のボリューム感について下記のように判定した。
2点:髪に適度なボリューム感があると感じた場合。
1点:髪に僅かにボリューム感がある、又は、髪にやや過度なボリューム感があると感じた場合。
0点:髪に明らかにボリューム感がない、又は、髪に不自然なボリューム感があると感じた場合。
【0033】
20名の合計点を表に記載し、さらに下記の基準で評価した。
◎:合計点が35点以上(乾燥後の毛髪のボリューム感が極めて適度である。)
○:合計点が30点以上、35点未満(乾燥後の毛髪のボリューム感が適度である。)
△:合計点が20点以上、30点未満(乾燥後の毛髪のボリューム感があまり適度でない。)
×:合計点が20点未満(乾燥後の毛髪のボリューム感が過度又は不足している。)
【0034】
(5)乾燥後の毛髪のうねり
20名の男女(30〜50才)をパネラーとして、6gの各毛髪洗浄剤組成物を用いて洗髪し、タオル及びドライヤーを用いて乾燥させ1時間経過後の毛髪のうねりについて下記のように判定した。
2点:髪にうねりがないと感じた場合。
1点:髪にややうねりがあると感じた場合。
0点:髪に明らかにうねりがあると感じた場合。
【0035】
20名の合計点を表に記載し、さらに下記の基準で評価した。
◎:合計点が35点以上(乾燥後の毛髪が極めてうねり難い。)
○:合計点が30点以上、35点未満(乾燥後の毛髪が極めてうねり難い。)
△:合計点が20点以上、30点未満(乾燥後の毛髪がうねり易い。)
×:合計点が20点未満(乾燥後の毛髪が極めてうねり易い。)
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
実施例1〜7より、本発明の毛髪洗浄剤組成物は、泡に弾力性があり、すすぎ時の指通り性が良好で、乾燥後の毛髪が柔らかく、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を付与するとともに、乾燥後の毛髪がうねり難かった。
【0039】
一方、比較例1〜9では充分な性能が得られていない。
つまり、比較例1ではa成分を用いていないため、泡の弾力性がなく、乾燥後の毛髪のボリューム感が十分ではなかった。
比較例2ではb成分を用いていないため、泡に弾力性がなく、すすぎ時の指通りが悪く、乾燥後の毛髪がうねり易かった。
比較例3ではc成分を用いていないため、乾燥後の毛髪がた硬く、乾燥後の毛髪がうねり易かった。
比較例4ではd成分を用いていないため、すすぎ時の指通り性、乾燥後の毛髪の柔らかさ、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
【0040】
比較例5ではb成分の含有量が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪があまり柔らかくならなかった。
比較例6ではc成分の含有量が本発明規定の上限値を超えているため、泡に弾力性がなく、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
比較例7ではd成分の含有量が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
比較例8では、b成分に対するc成分の含有量比(c/b)が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
比較例9では、d成分に対するb成分の含有量比(b/d)が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。