【0011】
本発明に用いられるa成分は、アシルアミノ酸塩型の陰イオン性界面活性剤である。
アシルアミノ酸塩は、酸性又は中性アミノ酸(誘導体)のアミノ基の水素がアシル基で置換されたアミド化合物を、対イオンを形成し得る原子又は基の塩とすることによって得られる。
上記アシル基は、直鎖構造及び分岐構造のいずれでもよく、また飽和アシル基及び不飽和アシル基のいずれでもよい。アシル基の炭素数は、好ましくは8〜22であり、更に好ましくは10〜18、特に好ましくは12〜18である。
上記酸性又は中性アミノ酸(誘導体)としては、例えば、グリシン、サルコシン、アラニン、N−メチルアラニン、β−アラニン、グリタミン酸、アスパラギン酸、タウリン、N−メチルタウリン等が挙げられる。
上記対イオンを形成し得る原子又は基としては、例えば、水素原子;アルカリ金属;アルカリ土類金属;アンモニウム;置換アンモニウム;アミノ酸(塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、及び中性アミノ酸)由来の基又はそのアルカリ金属塩;タウリン由来の基又はそれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。具体的には、ナトリウム;カリウム;1/2カルシウム;1/2マグネシウム;アンモニウム;トリエタノールアミン;リジン、アルギニン、グリシンナトリウム、グリシンカリウム、グルタミン酸ジナトリウム、タウリンナトリウム、N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、泡の弾力性と乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を与える効果の点から、アシル基としては炭素数が10〜18の直鎖構造のアシル基が好ましく、酸性又は中性アミノ酸(誘導体)としてはグリシン、サルコシン、アラニン、N−メチルアラニン、タウリン、N−メチルタウリンが好ましく、対イオンを形成し得る好ましい原子又は基としてはナトリウム、カリウム、グリシンナトリウム、グリシンカリウム、タウリンナトリウム、タウリンカリウムが好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
【0026】
〔実施例1〜7及び比較例1〜7〕
表1に示す10成分の共通添加成分を用い、表2及び表3に示す毛髪洗浄剤組成物を調製し、5項目について下記評価基準により評価を行った。実施例1〜7の評価結果を表2に、比較例1〜9の評価結果を表3にそれぞれ示す。
【0027】
【表1】
【0028】
(1)泡の弾力性
5gの各毛髪洗浄剤組成物に95gの精製水を加え100gとし、25℃にてミルサーを用いて5秒間攪拌して調製した泡について、B型粘度計を用いて粘度を測定した(1号ローター、6rpm、20秒)。そのときの粘度が600mPa・s以上の場合に、泡に弾力性があると判定して表中に「○」を記し、粘度が600mPa・s未満の場合に、泡に弾力性がないと判定して表中に「×」を記した。なお、表中の括弧内の数値は粘度(mPa・s)を表す。
【0029】
(2)すすぎ時の指通り性
長さ30cmの10g人毛の毛束(ビューラックス株式会社製)にブリーチ処理を3回実施し試験用毛束とした。試験用毛束に対して1gの各毛髪洗浄剤組成物を泡立ててから塗布し、テクノハシモト社製のコーミングテスター(櫛通り試験機)に取り付け、流水下においてブラシを10回通したときに掛かる最大荷重を測定した。すすぎ時の指通り性として以下のように判定した。なお、表中の括弧内の数値は最大荷重(N)を表す。
◎:最大荷重が3.0N未満(すすぎ時の指通り性が極めて良好である。)
○:最大荷重が3.0N以上、4.0N未満(すすぎ時の指通り性が良好である。)
△:最大荷重が4.0N以上、5.0N未満(すすぎ時の指通り性があまり良くない。)
×:最大荷重が5.0N以上(すすぎ時の指通り性が悪い。)
【0030】
(3)乾燥後の毛髪の柔らかさ
20名の男女(30〜50才)をパネラーとして、6gの各毛髪洗浄剤組成物を用いて洗髪し、タオル及びドライヤーを用いて乾燥させ1時間経過後の毛髪の柔らかさについて下記のように判定した。
2点:髪がとても柔らかく、まとまりやすいと感じた場合。
1点:髪がやや柔らかく、どちらかというとまとまりやすいと感じた場合。
0点:髪に柔らかさがなく、まとまりにくいと感じた場合。
【0031】
20名の合計点を表に記載し、さらに下記の基準で評価した。
◎:合計点が35点以上(乾燥後の毛髪が極めて柔らかい。)
○:合計点が30点以上、35点未満(乾燥後の毛髪が柔らかい。)
△:合計点が20点以上、30点未満(乾燥後の毛髪があまり柔らかくない。)
×:合計点が20点未満(乾燥後の毛髪が硬い。)
【0032】
(4)乾燥後の毛髪のボリューム感
20名の男女(30〜50才)をパネラーとして、6gの各毛髪洗浄剤組成物を用いて洗髪し、タオル及びドライヤーを用いて乾燥させ1時間経過後の毛髪のボリューム感について下記のように判定した。
2点:髪に適度なボリューム感があると感じた場合。
1点:髪に僅かにボリューム感がある、又は、髪にやや過度なボリューム感があると感じた場合。
0点:髪に明らかにボリューム感がない、又は、髪に不自然なボリューム感があると感じた場合。
【0033】
20名の合計点を表に記載し、さらに下記の基準で評価した。
◎:合計点が35点以上(乾燥後の毛髪のボリューム感が極めて適度である。)
○:合計点が30点以上、35点未満(乾燥後の毛髪のボリューム感が適度である。)
△:合計点が20点以上、30点未満(乾燥後の毛髪のボリューム感があまり適度でない。)
×:合計点が20点未満(乾燥後の毛髪のボリューム感が過度又は不足している。)
【0034】
(5)乾燥後の毛髪のうねり
20名の男女(30〜50才)をパネラーとして、6gの各毛髪洗浄剤組成物を用いて洗髪し、タオル及びドライヤーを用いて乾燥させ1時間経過後の毛髪のうねりについて下記のように判定した。
2点:髪にうねりがないと感じた場合。
1点:髪にややうねりがあると感じた場合。
0点:髪に明らかにうねりがあると感じた場合。
【0035】
20名の合計点を表に記載し、さらに下記の基準で評価した。
◎:合計点が35点以上(乾燥後の毛髪が極めてうねり難い。)
○:合計点が30点以上、35点未満(乾燥後の毛髪が極めてうねり難い。)
△:合計点が20点以上、30点未満(乾燥後の毛髪がうねり易い。)
×:合計点が20点未満(乾燥後の毛髪が極めてうねり易い。)
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
実施例1〜7より、本発明の毛髪洗浄剤組成物は、泡に弾力性があり、すすぎ時の指通り性が良好で、乾燥後の毛髪が柔らかく、乾燥後の毛髪に適度なボリューム感を付与するとともに、乾燥後の毛髪がうねり難かった。
【0039】
一方、比較例1〜9では充分な性能が得られていない。
つまり、比較例1ではa成分を用いていないため、泡の弾力性がなく、乾燥後の毛髪のボリューム感が十分ではなかった。
比較例2ではb成分を用いていないため、泡に弾力性がなく、すすぎ時の指通りが悪く、乾燥後の毛髪がうねり易かった。
比較例3ではc成分を用いていないため、乾燥後の毛髪がた硬く、乾燥後の毛髪がうねり易かった。
比較例4ではd成分を用いていないため、すすぎ時の指通り性、乾燥後の毛髪の柔らかさ、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
【0040】
比較例5ではb成分の含有量が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪があまり柔らかくならなかった。
比較例6ではc成分の含有量が本発明規定の上限値を超えているため、泡に弾力性がなく、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
比較例7ではd成分の含有量が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
比較例8では、b成分に対するc成分の含有量比(c/b)が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。
比較例9では、d成分に対するb成分の含有量比(b/d)が本発明規定の上限値を超えているため、乾燥後の毛髪のボリューム感が不十分であった。