(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1導電板から第2導電板への第1電流経路、及び、第3導電板から前記第2導電板への第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力する電流検出回路において、
前記第1導電板及び第2導電板の板面に位置する2点間の電位差に係る値を検出する電位差検出部を備え、
前記第1導電板及び第3導電板夫々が前記第2導電板に連なることによって導電体が構成され、
電流が前記第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合にて、前記電位差検出部が検出した値に基づき、前記第1電流経路及び第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力すること
を特徴とする電流検出回路。
印加された電圧を変圧し、変圧した電圧を前記第1導電板に出力する変圧部の作動/停止と、一端が前記第3導電板に接続してあるスイッチのオン/オフとを制御することによって前記切替えを行うこと
を特徴とする請求項8から請求項12のいずれか1つに記載の切替え装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
A/D変換部85は、四捨五入又は切り捨て等の処理を行って、基準電圧値を所定数で等分した電圧値の中で、差動増幅器84が出力した電圧値に1番目又は2番目に近い電圧値に、差動増幅器84が出力した電圧値を量子化する。前述したように電流経路が切替わる従来の電源装置8においては、第1経路に第1電流値未満の電流が流れ、第2経路に第2電流値以上の電流が流れる。第2経路は第1電流値以上の電流を流すために設けられているので、第2経路には第1電流値以上の電流が流れる。
【0011】
例えば、従来の電源装置8において第1経路にゼロ〜100Aの電流が流れ、第2経路に90〜200Aの電流が流れる場合、抵抗R8には、ゼロ〜200Aの電流が流れる。抵抗R8に200Aの電流が流れた場合に差動増幅器84が出力する電圧値が10Vであるとき、差動増幅器84が出力する電圧値はゼロ〜10Vの範囲で変動する。このため、A/D変換部85の基準電圧値は10V以上に設定される。基準電圧値が10Vであって、A/D変換部85が電圧値を10ビットのデジタル値に変換する場合、A/D変換部85は、10V(基準電圧値)を1023(所定数)で等分した電圧値の中で、差動増幅器84が出力した電圧値に1番目又は2番目に近い電圧値に、差動増幅器84が出力した電圧値を量子化する。このとき、目盛の間隔は約9.78mVである。
【0012】
第1経路を流れる電流の値はゼロ〜100Aの範囲で変動する。第1経路を流れる電流の値のみを検出する構成を考える。抵抗R8に100Aの電流が流れた場合に差動増幅器84が出力する電圧値が5Vであるとき、A/D変換部85の基準電圧値を5Vに設定することができる。このとき、A/D変換部85は、5V(基準電圧値)を1023(所定数)で等分した電圧値の中で、差動増幅器84が出力した電圧値に1番目又は2番目に近い電圧値に、差動増幅器84が出力した電圧値を量子化する。このとき、目盛の間隔は約4.89mVである。基準電圧値が5Vである場合、目盛の間隔が小さいため、抵抗R8、差動増幅器84及びA/D変換部85によって構成される電流検出
回路は第1経路を流れる電流の値を高精度に検出することができる。
【0013】
しかしながら、従来の電源装置8に搭載されている
電流検出回路においては、第2経路に流れる電流の最大値に応じて、A/D変換部85の基準電圧値が設定されるため、第1経路に流れる電流値を高精度に検出することができ
ないという問題がある。この場合、適切に電流経路を切替えることができない
虞がある。
【0014】
この問題を解決するために
、抵抗、差動増幅器及びA/D変換部
夫々の数を2つに増やし、第1経路及び第2経路を流れる電
流値を
各別に検出する構成が考えられる。しかしながら、この構成では、部品点数が多いため、製造費用が嵩むという問題がある。
【0015】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
2つの電流経路
夫々に流れる電流値を正確に示す電圧値を出力することが可能である安価な
電流検出回路、並びに、該電流検出回路を備える電流検出装置及び切替え装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る電流検出回路は、第1導電板から第2導電板への第1電流経路、及び、第3導電板から前記第2導電板への第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力する電流検出回路において、前記第1導電板及び第2導電板の板面に位置する2点間の電位差に係る値を検出する電位差検出部を備え
、前記第1導電板及び第3導電板夫々が前記第2導電板に連なることによって導電体が構成され、電流が前記第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合にて、前記電位差検出部が検出した値に基づき、前記第1電流経路及び第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力することを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、第1導電板から第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から第2導電板への第2電流経路に電流が流れる。
第1導電板及び第3導電板夫々が第2導電板に連なることによって導電体が構成されている。
【0018】
第1導電板の板面に位置する点と第3導電板の板面に位置する点との電位差に係る値を検出する。
電流が第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合において、検出した値に基づき、第1電流経路及び第2電流経路夫々に応じた電圧値を出力する。
【0019】
2点
間の電位
差に係る値は、第1電流経路に流れる電
流値と、第2電流経路に流れる電
流値とに応じて変動する。そして、第2電流経路に、ある値の電流が流れている場合に検出される2点
間の電位
差に係る値は、第1電流経路に同じ値の電流が流れている場合に検出される2点
間の電位
差に係る値と異なる。
【0020】
2点
間の電位
差に係る値は、
2点間の電圧値、又は、2点間を流れる電流値等である。回路から出力される電圧値は、2点間の電圧値、又は、2点間を流れる電流値に基づく電圧値である。本発明では、例えば、第1電流経路に100Aの電流が流れた場合における2点間の
電位差に係る値と、第2電流経路に200Aの電流が流れた場合における2点間の
電位差に係る値とを一致させることができる。
この場合、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値が出力される。
【0021】
また、2点
間の電位
差に係る値を検出する構成の数は1つでよいため、製造費用が安価である。
【0022】
本発明に係る
電流検出回路は、
前記2点間に接続してある導線を
備え、
前記電位差検出部は該導線を流れる電流値を検出することを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、第1導電
板の
板面に位置する点と第2導電
板の
板面に位置する点との間に接続してある導線に流れる電
流値を検出する
。
【0024】
本発明に係る
電流検出回路は、前記
電位差検出部は前記2点間の電圧値を検出
することを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、第1導電
板の
板面に位置する点と第2導電
板の
板面に位置する点との間の電圧値を検出する
。
【0028】
本発明に係る電流検出回路は、
第1導電板から第2導電板への第1電流経路、及び、第3導電板から前記第2導電板への第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力する電流検出回路において、前記第1導電板及び第2導電板の板面に位置する2点間の電位差に係る値を検出する電位差検出部を備え、前記第1導電板及び第3導電板夫々は、前記第1導電板、第2導電板及び第3導電板よりも導電率が低い抵抗部を介して、前記第2導電板に連なって
おり、電流が前記第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合にて、該電位差検出部が検出した値に基づき、前記第1電流経路及び第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力することを特徴とする。
【0029】
本発明にあっては、
第1導電板から第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から第2導電板への第2電流経路に電流が流れる。第1導電板の板面に位置する点と第3導電板の板面に位置する点との電位差に係る値を検出する。電流が第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合において、検出した値に基づき、第1電流経路及び第2電流経路夫々に応じた電圧値を出力する。従って、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値を出力することが可能であり、製造費用が安価である。
また、第1導電板及び第3導電板夫々は、第1導電板、第2導電板及び第3導電板よりも導電率が低い抵抗部を介して第2導電板に連なっている。このため、第1導電板の板面に位置する点と第2導電板の板面に位置する点との間の電圧値が大きい。
【0030】
本発明に係る電流検出装置は、前述した電流検出回路と、
前記導電体の温度値を検出する温度検出部と、該温度検出部が検出した温度値、及び、前記電流検出回路が出力した電圧値に基づいて、前記第1電流経路又は第2電流経路に流れる電流値を算出する算出部とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、第1導電板及び第3導電板が第2導電板に連なっており、第1導電板、第2導電板及び第3導電板によって構成された導電体の温度値を検出する。検出した温度値と、電流検出回路が出力した電圧値とに基づいて、第1電流経路又は第2電流経路に流れる電流値を算出する。
本発明に係る電流検出装置は、前述した電流検出回路と、前記抵抗部の温度値を検出する温度検出部と、該温度検出部が検出した温度値、及び、前記電流検出回路が出力した電圧値に基づいて、前記第1電流経路又は第2電流経路に流れる電流値を算出する算出部とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、抵抗部の温度値を検出し、検出した温度値と、電流検出回路が出力した電圧値とに基づいて第1電流経路又は第2電流経路に流れる電流値を算出する。
本発明に係る電流検出装置は、第1導電板及び第2導電板の板面に位置する2点間の電位差に係る値を検出する電位差検出部を有し、電流が、前記第1導電板から前記第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から前記第2導電板への第2電流経路を流れている場合にて、該電位差検出部が検出した値に基づき、前記第1電流経路及び第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力する電流検出回路と、前記第1導電板及び第3導電板夫々が前記第2導電板に連なることによって構成された導電体の温度値を検出する温度検出部と、該温度検出部が検出した温度値、及び、前記電流検出回路が出力した電圧値に基づいて、前記第1電流経路又は第2電流経路に流れる電流値を算出する算出部とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、第1導電板から第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から第2導電板への第2電流経路に電流が流れる。第1導電板の板面に位置する点と第3導電板の板面に位置する点との電位差に係る値を検出する。電流が第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合において、検出した値に基づき、第1電流経路及び第2電流経路夫々に応じた電圧値を出力する。従って、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値を出力することが可能であり、製造費用が安価である。
また、第1導電板及び第3導電板が第2導電板に連なっており、第1導電板、第2導電板及び第3導電板によって構成された導電体の温度値を検出する。検出した温度値と、電流検出回路が出力した電圧値とに基づいて、第1電流経路又は第2電流経路に流れる電流値を算出する。
【0031】
本発明に係る切替え装置は、前述した電流検出回路と、電流が流れる電流経路を前記第1電流経路又は第2電流経路に切替える切替え部とを備え、該切替え部は、前記第1電流経路及び第2電流経路のいずれに電流が流れているかと、前記電流検出回路が出力した電圧値とに基づいて切替えを行うことを特徴とする。
本発明にあっては、例えば、第1電流経路に電流が流れている状態で電流検出回路が出力した電圧値に基づいて、電流が流れる電流経路を第2電流経路に切替えるべきか否かを判定し、第2電流経路に電流が流れている状態で電流検出回路が出力した電圧値に基づいて、電流が流れる電流経路を第1電流経路に切替えるべきか否かを判定する。電流検出回路において、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値が出力されるように2点の位置を調整することによって、電流が流れる電流経路を適切に切替えることが可能である。
本発明に係る切替え装置は、前述した電流検出回路と、電流が流れる電流経路を前記第1電流経路又は第2電流経路に切替える切替え部と、
前記導電体の温度値を検出する温度検出部とを備え、前記切替え部は、前記第1電流経路及び第2電流経路のいずれに電流が流れているかと、前記電流検出回路が出力した電圧値と、前記温度検出部が検出した温度値とに基づいて切替えを行うことを特徴とする。
本発明にあっては、第1導電板及び第3導電板が第2導電板に連なっており、第1導電板、第2導電板及び第3導電板によって構成された導電体の温度値を検出する。電流が第1電流経路及び第2電流経路のいずれに流れているかと、電流検出回路が出力した電圧値とにだけではなく、検出した温度値にも基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定するので、電流が流れる電流経路をより適切に切替えることが可能である。
本発明に係る切替え装置は、前述した電流検出回路と、電流が流れる電流経路を前記第1電流経路又は第2電流経路に切替える切替え部と、前記抵抗部の温度値を検出する温度検出部とを備え、前記切替え部は、前記第1電流経路及び第2電流経路のいずれに電流が流れているかと、前記電流検出回路が出力した電圧値と、前記温度検出部が検出した温度値とに基づいて切替えを行うことを特徴とする。
本発明にあっては、抵抗部の温度値を検出する。検出した温度値と、電流が第1電流経路及び第2電流経路のいずれに流れているかと、電流検出回路が出力した電圧値とに基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定する。電流検出回路において、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値を出力するように2点の位置を調整することによって、電流が流れる電流経路を適切に切替えることが可能である。また、電流経路を切替えるべきか否かの判定が、検出した温度値にも基づいているため、電流経路をより適切に切替えることが可能である。
【0032】
本発明に係る切替え装置は、第1導電板及び第2導電板の板面に位置する2点間の電位差に係る値を検出する電位差検出部を有し、電流が、前記第1導電板から前記第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から前記第2導電板への第2電流経路を流れている場合にて、該電位差検出部が検出した値に基づき、前記第1電流経路及び第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力する電流検出回路と、電流が流れる電流経路を前記第1電流経路又は第2電流経路に切替える切替え部とを備え、該切替え部は、前記第1電流経路及び第2電流経路のいずれに電流が流れているかと、前記電流検出回路が出力した電圧値とに基づいて切替えを行うことを特徴とする。
本発明にあっては、第1導電板から第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から第2導電板への第2電流経路に電流が流れる。第1導電板の板面に位置する点と第3導電板の板面に位置する点との電位差に係る値を検出する。電流が第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合において、検出した値に基づき、第1電流経路及び第2電流経路夫々に応じた電圧値を出力する。従って、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値を出力することが可能であり、製造費用が安価である。
また、例えば、第1電流経路に電流が流れている状態で電流検出回路が出力した電圧値に基づいて、電流が流れる電流経路を第2電流経路に切替えるべきか否かを判定し、第2電流経路に電流が流れている状態で電流検出回路が出力した電圧値に基づいて、電流が流れる電流経路を第1電流経路に切替えるべきか否かを判定する。電流検出回路において、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値が出力されるように2点の位置を調整することによって、電流が流れる電流経路を適切に切替えることが可能である。
本発明に係る切替え装置は、第1導電板及び第2導電板の板面に位置する2点間の電位差に係る値を検出する電位差検出部を有し、電流が、前記第1導電板から前記第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から前記第2導電板への第2電流経路を流れている場合にて、該電位差検出部が検出した値に基づき、前記第1電流経路及び第2電流経路夫々に流れる電流値に応じた電圧値を出力する電流検出回路と、電流が流れる電流経路を前記第1電流経路又は第2電流経路に切替える切替え部と、前記第1導電板及び第3導電板夫々が前記第2導電板に連なることによって構成された導電体の温度値を検出する温度検出部とを備え、前記切替え部は、前記第1電流経路及び第2電流経路のいずれに電流が流れているかと、前記電流検出回路が出力した電圧値と、前記温度検出部が検出した温度値とに基づいて切替えを行うことを特徴とする。
本発明にあっては、第1導電板から第2導電板への第1電流経路、又は、第3導電板から第2導電板への第2電流経路に電流が流れる。第1導電板の板面に位置する点と第3導電板の板面に位置する点との電位差に係る値を検出する。電流が第1電流経路又は第2電流経路を流れている場合において、検出した値に基づき、第1電流経路及び第2電流経路夫々に応じた電圧値を出力する。従って、第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流値を正確に示す電圧値を出力することが可能であり、製造費用が安価である。
また、第1導電板及び第3導電板が第2導電板に連なっており、第1導電板、第2導電板及び第3導電板によって構成された導電体の温度値を検出する。電流が第1電流経路及び第2電流経路のいずれに流れているかと、電流検出回路が出力した電圧値と、検出した温度値とに基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定するので、電流が流れる電流経路をより適切に切替えることが可能である。
本発明に係る切替え装置は、印加された電圧を変圧し、変圧した電圧を前記第1導電板に出力する変圧部の作動/停止と、一端が前記第3導電板に接続してあるスイッチのオン/オフとを制御することによって前記切替えを行うことを特徴とする。
【0033】
本発明にあっては、変圧部は、印加された電圧を変圧し、変圧した電圧を第1導電
板に出力する。変圧部が作動している間、第1電流経路に電流が流れる。また、スイッチの一端が第3導電
板に接続してあるため、スイッチがオンである間、第2電流経路に電流が流れる。変圧部を作動させてスイッチをオフにすることによって、電流が流れる電流経路を第1電流経路に切替えることが可能であり、変圧部を停止させてスイッチをオンにすることによって、電流が流れる電流経路を第2電流経路に切替えることが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、
2つの電流経路夫々に流れる電流値を正確に示す電圧値を出力することが可能であり、製造費用が安価である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電源装置1の要部構成を示すブロック図である。電源装置1は、車両に好適に搭載されており、発電機10、スイッチ11、DCDCコンバータ12、バッテリ13、負荷14、電流検出回路15、制御部16及び記憶部17を備える。
【0037】
発電機10の一端はスイッチ11及びDCDCコンバータ12夫々の一端に接続してある。スイッチ11及びDCDCコンバータ12夫々の他端は、バッテリ13の正極と負荷14の一端とに接続してある。発電機10及び負荷14夫々の他端と、バッテリ13の負極とは接地されている。電流検出回路15及び記憶部17は制御部16に各別に接続してある。
【0038】
発電機10は、図示しないエンジンと連動して交流の電力を発生させ、発生させた交流の電力を直流の電力に整流し、整流した電力を平滑する。発電機10は、平滑した直流の電力に係る直流電圧を、出力電圧として、スイッチ11を介して、バッテリ13及び負荷14に供給する。発電機10は、更に、出力電圧をDCDCコンバータ12の一端に印加する。
【0039】
発電機10には、出力電圧値を所定の第1出力電圧値、例えば12Vに低下させることを指示する低下指示と、出力電圧値を、第1出力電圧値よりも高い第2出力電圧値に上昇させることを指示する上昇指示とが制御部16から入力される。発電機10は、制御部16から低下指示が入力された場合に出力電圧値を第1出力電圧値に低下させ、制御部16から上昇指示が入力された場合に出力電圧値を第2出力電圧値に上昇させる。
【0040】
スイッチ11は制御部16によってオン/オフされる。スイッチ11がオンである場合、発電機10の出力電圧は、スイッチ11を介して、バッテリ13及び負荷14に供給される。
【0041】
DCDCコンバータ12は、一端に印加された発電機10の出力電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を他端からバッテリ13及び負荷14に供給する。DCDCコンバータ12が変圧した電圧の値は例えば12Vである。
【0042】
DCDCコンバータ12には、制御部16から、作動を指示する作動指示と、動作の停止を指示する停止指示とが入力される。DCDCコンバータ12は、制御部16から作動指示が入力された場合に作動し、制御部16から停止指示が入力された場合に動作を停止する。
【0043】
前述したように、バッテリ13には、発電機10からスイッチ11を介して出力電圧が供給されるか、又は、DCDCコンバータ12から、変圧した電圧が供給される。これにより、バッテリ13は蓄電する。
【0044】
負荷14は車両に搭載された電気機器である。
発電機10が発電している場合において、DCDCコンバータ12が作動しているとき、発電機10の出力電圧値は第2出力電圧値であり、スイッチ11はオフである。このとき、バッテリ13及び負荷14には、DCDCコンバータ12が変圧した電圧が供給され、バッテリ13及び負荷14は給電される。
【0045】
同様の場合において、DCDCコンバータ12が動作を停止しているとき、発電機10の出力電圧値は第1出力電圧値であり、スイッチ11はオンである。このとき、バッテリ13及び負荷14には発電機10の出力電圧が供給され、バッテリ13及び負荷14は給電される。
発電機10が発電を停止している場合、負荷14にはバッテリ13の出力電圧が供給され、負荷14は給電される。
【0046】
電流検出回路15は、バッテリ13及び負荷14へ流れる電流に係るアナログ値をデジタル値に変換し、変換したデジタル値を制御部16に出力する。
【0047】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)を有し、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されている制御プログラムを実行することによって処理を実行する。制御部16は、電流検出回路15から入力されたデジタル値に基づいて、発電機10への低下指示/上昇指示の出力、スイッチ11のオン/オフ、及び、DCDCコンバータ12への作動指示/停止指示の出力等を行う。
【0048】
記憶部17は不揮発性メモリであり、記憶部17には制御部16が処理を実行するために必要なデータが記憶されている。記憶部17に記憶されている内容の読み出し及び書き込みは、制御部16によって行われる。
【0049】
図2は電流検出の説明図である。電源装置1は、スイッチ11及びDCDCコンバータ12夫々の他端を、バッテリ13の正極及び負荷14の一端に接続する板状の導電体18を更に備える。導電体18は、第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23によって構成されている。第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23夫々は、所謂バスバーであり、板状をなしている。
図2には、第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23夫々の板面が示されている。
【0050】
第1導電部21及び第3導電部23夫々は第2導電部22に連なっている。スイッチ11の他端は第3導電部23に接続してある。DCDCコンバータ12の他端は第1導電部21に接続してある。バッテリ13の正極、及び、負荷14の一端は第2導電部22に接続してある。DCDCコンバータ12は、変圧した電圧を第1導電部21に出力する。DCDCコンバータ12は変圧部として機能する。
【0051】
導電体18には、第1導電部21から第2導電部22へ電流が流れる第1電流経路と、第3導電部23から第2導電部22へ電流が流れる第2電流経路とがある。発電機10が発電している場合において、スイッチ11がオフであってDCDCコンバータ12が作動しているとき、第1電流経路に電流が流れる。同様の場合において、スイッチ11がオンであってDCDCコンバータ12が動作を停止しているとき、第2電流経路に電流が流れる。
【0052】
DCDCコンバータ12から負荷14へ供給する電流は制限されている。制御部16は、導電体18において電流が流れる電流経路を第1電流経路又は第2電流経路に切替える切替え処理を行う。切替え処理では、制御部16は、第1電流経路に流れている電流の値が第1電流閾値、例えば100A以上である場合に導電体18において電流が流れる電流経路を第1電流経路から第2電流経路に切替える。更に、切替え処理では、制御部16は、第2電流経路に流れている電流の値が第2電流閾値、例えば90A未満である場合に導電体18において電流が流れる電流経路を第2電流経路から第1電流経路に切替える。第2電流閾値は第1電流閾値以下である
。
【0053】
電流検出回路15は、導線30、電流センサ31及びA/D変換部32を有する。導線30は、第1導電部21の表面に位置する点P1と、第2導電部22の表面に位置する点P2との間に接続してある。電流センサ31は、環状をなし、導線30を囲繞している。A/D変換部32は、制御部16と電流センサ31とに各別に接続されている。点P1,P2は特許請求の範囲における2点に該当する。
【0054】
導電体18において、第1電流経路に電流が流れた場合、即ち、電流が第1導電部21から第2導電部22に流れた場合、電流の一部が導線30を介して点P1から点P2に流れる。また、
図2において、実線の矢印によって示されるように第2電流経路に電流が流れた場合、破線の矢印で示すように電流の一部が導線30を介して点P1から点P2に流れる。
【0055】
第1電流経路に電流が流れている場合、値が第1電流経路に流れる電流の値の第1定数分の1、例えば1000分の1である電流が導線30に流れる。また、第2電流経路に電流が流れている場合、値が第2電流経路に流れる電流の値の第2定数分の1、例えば2000分の1である電流が導線30に流れる。ここで、第2定数は第1定数よりも大きい。
【0056】
第1定数及び第2定数夫々は、導電体18における点P1,P2間の抵抗値と導線30の抵抗値との比率に依存する。第2定数は、更に点P1の位置に依存する。点P1が第3導電部23から離れる程、第2定数は大きい。
【0057】
導電体18の電気抵抗率は導電体18の温度値に依存する。同様に、導線30の電気抵抗率は導線30の温度値に依存する。導電体18及び導線30の温度値は略同一である。導電体18及び導線30夫々の電気抵抗率は導電体18及び導線30の温度値の変動に応じで同様に変動する。導電体18及び導線30の温度値の変化によって、導電体18の電気抵抗率が例えば1.1倍となった場合、導線30の電気抵抗率も1.1倍となる。このため、導電体18及び導線30夫々の電気抵抗率の比は、導電体18及び導線30の温度値に無関係に一定である。
【0058】
従って、第1電流経路に電流が流れている場合、導電体18及び導線30の温度値に無関係に、値が第1電流経路に流れる電流の値の第1定数分の1である電流が導線30に流れる。同様に、第2電流経路に電流が流れている場合、導電体18及び導線30の温度値に無関係に、値が第2電流経路に流れる電流の値の第2定数分の1である電流が導線30に流れる。
【0059】
電流センサ31は導線30を流れる電流の値に応じた電圧値をA/D変換部32に出力する。電流センサ31が出力する電圧値は、アナログ値であり、導線30を流れる電流の大/小に応じて高/低となる。電流センサ31が出力する電圧値は、点P1,P2夫々の電位に依存する。
【0060】
A/D変換部32は、電流センサ31から入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換し、変換したデジタルの電圧値を制御部16へ出力する。アナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する場合において、A/D変換部32は、四捨五入又は切り捨て等の処理を行うことによって、電流センサ31から入力された電圧値を、予め設定されている基準電圧値を所定数で等分した電圧値の中で、電流センサ31に入力された電圧値に1番目又は2番目に近い電圧値に量子化する。A/D変換部32は、変換したデジタルの電圧値を制御部16へ出力する。
【0061】
A/D変換部32が制御部16へ出力するデジタルの電圧値は、点P1,P2の電位に係る値に相当する。また、電流センサ31が導線30を流れる電流の値に応じたアナログの電圧値をA/D変換部32に出力し、A/D変換部32が電流センサ31から入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換し、変換した電圧値を出力することは、導線30を流れる電流の値を検出することに相当する
。
【0062】
記憶部17には、A/D変換部32が出力した電圧値を第1電流経路に流れている電流の値に変換するための第1変換式と、A/D変換部32が出力した電圧値を第2電流経路に流れている電流の値に変換するための第2変換式とが記憶されている。制御部16は、第1変換式又は第2変換式を用いてA/D変換部32が出力した電圧値を第1電流経路又は第2電流経路に流れている電流の値に変換する。
【0063】
図3は、制御部16が実行する切替え処理を示すフローチャートである。制御部16は、発電機10が発電している場合において、切替え処理を周期的に実行する。
制御部16は、まず、第1電流経路に電流が流れているか否かを判定する(ステップS1)。制御部16は、作動指示を出力することによってDCDCコンバータ12を作動させ、停止指示を出力することによってDCDCコンバータ12の動作を停止させる。制御部16は、スイッチ11をオフにしてDCDCコンバータ12を作動させている場合、第1電流経路に電流が流れていると判定する。また、制御部16は、スイッチ11をオンにしてDCDCコンバータ12の動作を停止させている場合、第1電流経路に電流が流れていないと判定する。
【0064】
制御部16は、第1電流経路に電流が流れていると判定した場合(S1:YES)、第1変換式を用いて、A/D変換部32が出力した電圧値を電流値に変換する(ステップS2)。ここで、電流値は、第1電流経路に流れる電流の値である。
【0065】
次に、制御部16は、導電体18において電流が流れる電流経路を第2電流経路に切替えるべきか否かを判定する(ステップS3)。制御部16は、ステップS2で変換した電流値が第1電流閾値、例えば100A以上である場合に電流経路を第2電流経路に切替えるべきと判定する。制御部16は、ステップS2で変換した電流値が第1電流閾値未満である場合に電流経路を第2電流経路に切替えるべきではないと判定する。第1電流閾値は記憶部17に予め記憶されている。
【0066】
制御部16は、電流経路を第2電流経路に切替えるべきと判定した場合(S3:YES)、低下指示を発電機10に出力する(ステップS4)。これにより、発電機10の出力電圧値は、第1出力電圧値、例えば12Vに低下する。
【0067】
次に、制御部16は、停止指示をDCDCコンバータ12に出力し(ステップS5)、スイッチ11をオンにする(ステップS6)。これにより、電流が、発電機10の一端から、スイッチ11を介して、第3導電部23及び第2導電部22へ流れる。言い換えると、導電体18において電流が流れる電流経路が第2電流経路に切替わる。
以上のように、制御部16は、DCDCコンバータ12に動作を停止させ、スイッチ11をオンにすることによって、電流が流れる電流経路を第1電流経路から第2電流経路に切替える。
【0068】
制御部16は、電流経路を第2電流経路に切替えるべきではないと判定した場合(S3:NO)、又は、ステップS6を実行した後、処理を終了する。
【0069】
制御部16は、第1電流経路に電流が流れていない、即ち、第2電流経路に電流が流れていると判定した場合(S1:NO)、第2変換式を用いて、A/D変換部32が出力した電圧値を電流値に変換する(ステップS7)。ここで、電流値は、第2電流経路に流れる電流の値である。
【0070】
次に、制御部16は、導電体18において電流が流れる電流経路を第1電流経路に切替えるべきか否かを判定する(ステップS8)。制御部16は、ステップS7で変換した電流値が第2電流閾値、例えば90A未満である場合に電流経路を第1電流経路に切替えるべきと判定する。制御部16は、ステップS7で変換した電流値が第2電流閾値以上である場合に電流経路を第1電流経路に切替えるべきではないと判定する。第2電流閾値は記憶部17に予め記憶されている。
【0071】
制御部16は、電流経路を第1電流経路に切替えるべきと判定した場合(S8:YES)、スイッチ11をオフにし(ステップS9)、作動指示をDCDCコンバータ12に出力する(ステップS10)。これにより、電流が、DCDCコンバータ12を介して、発電機10の一端から第1導電部21及び第2導電部22へ流れる。即ち、導電体18において電流が流れる電流経路が第1電流経路に切替わる。
以上のように、制御部16は、スイッチ11をオフにし、DCDCコンバータ12を作動させることによって、電流が流れる電流経路を第2電流経路から第1電流経路に切替える。
【0072】
次に、制御部16は、上昇指示を発電機10に出力する(ステップS11)。これにより、発電機10の出力電圧値は、第1出力電圧値から第2出力電圧値に上昇する。
制御部16は、電流経路を第1電流経路に切替えるべきではないと判定した場合(S8:NO)、又は、ステップS11を実行した後、処理を終了する。
【0073】
切替え処理において、制御部16は、現在、導電体18において電流が流れている電流経路と、電流検出回路15のA/D変換部32が出力した電圧値とに基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定する。A/D変換部32が出力した電圧値は、点P1,P2の電位に係る値であり、電流検出回路15が検出した電流値に相当する
。
また、電流検出回路15、制御部16及び記憶部17は切替え装置として機能する。
【0074】
以上のように構成された切替え装置においては、電流検出回路15のA/D変換部32が出力する電圧値は、第1電流経路に流れる電流の値の大/小に応じて高/低となり、第2電流経路を流れる電流の値の大/小に応じて高/低となる。更に、電流値がItである電流が第1電流経路に流れた場合に電流センサ31が出力する電圧値は、電流値が同じItである電流が第2電流経路に流れた場合に電流センサ31が出力する電圧値と異なる。
【0075】
実施の形態1においては、例えば、第1電流経路に100Aの電流が流れた場合に導線30に流れる電流の値を、第2電流経路に200Aの電流が流れた場合に導線30に流れる電流の値に一致させることができる。これにより、A/D変換部32が出力する電圧値が第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流の値を正確に示すように、A/D変換部32の基準電圧値を設定することができる。このように基準電圧値が設定された場合、導電体18において電流が流れる電流経路を適切に切替えることができる。また、第1電流経路及び第2電流経路夫々について、各別に電流を検出する回路を構成する必要がないため、実施の形態1における切替え装置を安価に製造することができる。
【0076】
また、制御部16は、前述したように、現在、電流が流れている電流経路と、A/D変換部32が出力した電圧値、即ち、電流検出回路15が検出した電流値とに基づいて電流経路を切替えるべきか否かを判定する。このため、簡単な構成で電流経路が切替えられる。
【0077】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、制御部16は、A/D変換部32が出力した電圧値を、導電体18に流れている電流の値に変換している。しかしながら、第1電流経路に電流が流れる場合にA/D変換部32が出力する電圧値、及び、第2電流経路に電流が流れる場合にA/D変換部32に出力する電圧値夫々について第1電圧閾値及び第2電圧閾値を用意し、第1電圧閾値及び第2電圧閾値を用いて電流経路を切替えてもよい。
【0078】
以下では、実施の形態2について実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0079】
実施の形態2における電源装置1については、実施の形態1における電源装置1と比較して、制御部16が実行する切替え処理が異なる。実施の形態2における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0080】
図4は実施の形態2における制御部16が実行する切替え処理を示すフローチャートである。実施の形態2においても、制御部16は、発電機10が発電している場合において、切替え処理を周期的に実行する。
実施の形態2における制御部16が実行するステップS21〜S29の中で、ステップS21,S23,S24,S25,S27,S28,S29は、実施の形態1における制御部16が実行するステップS1,S4,S5,S6,S9,S10,S11と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0081】
制御部16は、第1電流経路に電流が流れていると判定した場合(S21:YES)、導電体18において電流が流れる電流経路を第2電流経路に切替えるべきか否かを判定する(ステップS22)。制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が第1電圧閾値以上である場合に電流経路を第2電流経路に切替えるべきと判定する。制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が第1電圧閾値未満である場合に電流経路を第2電流経路に切替えるべきではないと判定する。第1電圧閾値は、値が第1電流閾値である電流が第1電流経路に流れた場合にA/D変換部32が出力する電圧値である。第1電圧閾値は記憶部17に予め記憶されている。
【0082】
制御部16は、電流経路を第2電流経路に切替えるべきと判定した場合(S22:YES)、ステップS23を実行する。制御部16は、電流経路を第2電流経路に切替えるべきではないと判定した場合(S22:NO)、又は、ステップS25を実行した後、切替え処理を終了する。
【0083】
制御部16は、第1電流経路に電流が流れていない、即ち、第2電流経路に電流が流れていると判定した場合(S21:NO)、導電体18において電流が流れる電流経路を第1電流経路に切替えるべきか否かを判定する(ステップS26)。制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が第2電圧閾値未満である場合に電流経路を第1電流経路に切替えるべきと判定する。制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が第2電圧閾値以上である場合に電流経路を第2電流経路に切替えるべきではないと判定する。第2電圧閾値は、値が第2電流閾値である電流が第2電流経路に流れた場合にA/D変換部32が出力する電圧値である。第2電圧閾値は記憶部17に予め記憶されている。第2電流閾値は第1電流閾値以下であるため、第2電圧閾値は第1電圧閾値以下である。
【0084】
制御部16は、電流経路を第1電流経路に切替えるべきと判定した場合(S26:YES)、ステップS27を実行する。制御部16は、電流経路を第1電流経路に切替えるべきではないと判定した場合(S26:NO)、又は、ステップS29を実行した後、切替え処理を終了する。
【0085】
実施の形態2における切替え処理においても、制御部16は、現在、導電体18において電流が流れている電流経路と、電流検出回路15のA/D変換部32が出力した電圧値とに基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定する。また、前述したように、実施の形態2において、制御部16が実行する切替え処理を除く他の構成は実施の形態1と同様である。このため、実施の形態2において、電流検出回路15、制御部16及び記憶部17を備える切替え装置は、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0086】
(実施の形態3)
実施の形態1においては、点P1,P2間に接続された導線30に流れる電流の値に基づいて、導電体18において電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定している。しかしながら、点P1,P2間の電圧値に基づいて、導電体18において電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定してもよい。
【0087】
以下では、実施の形態3について実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0088】
図5は実施の形態3における電源装置1の要部構成を示すブロック図である。実施の形態3における電源装置1は、発電機10、スイッチ11、DCDCコンバータ12、バッテリ13、負荷14、電流検出回路15、制御部16及び記憶部17を備え、これらは実施の形態1と同様に接続されている。実施の形態3における電源装置1は、更に、温度検出回路19を備え、温度検出回路19は制御部16に接続されている。
実施の形態3における電源装置1について、温度検出回路19を備える点と、電流検出回路15の構成とが実施の形態1における電源装置1と異なる。
【0089】
図6は電流検出の説明図である。実施の形態1と同様に、第1導電部21及び第3導電部23夫々は第2導電部22に連なって、第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23は導電体18を構成している。温度検出回路19は導電体18の温度値を検出する。具体的には、温度検出回路19は、図示しない温度センサ及びA/D変換部等によって構成され、検出したデジタルの温度値を制御部16に出力する。温度検出回路19は温度検出部として機能する。
【0090】
実施の形態3における電流検出回路15は、実施の形態1と同様のA/D変換部32と差動増幅器40とを有する。差動増幅器40ついて、プラス端子は、第1導電部21の表面に位置する点P1に接続してあり、マイナス端子は、第2導電部22の表面に位置する点P2に接続してある。差動増幅器40の出力端子はA/D変換部32に接続してある。A/D変換部32は、更に制御部16に接続してある。
【0091】
差動増幅器40は、点P1,P2間の電圧値を増幅し、増幅したアナログの電圧値をA/D変換部32に出力する。
A/D変換部32は、差動増幅器40から入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換し、変換したデジタルの電圧値を制御部16へ出力する。アナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する場合において、A/D変換部32は、四捨五入又は切り捨て等の処理を行うことによって、差動増幅器40から入力された電圧値を、予め設定されている基準電圧値を所定数で等分した電圧値の中で、差動増幅器40から入力された電圧値に1番目又は2番目に近い電圧値に量子化する。A/D変換部32は、変換したデジタルの電圧値を制御部16へ出力する。
【0092】
導電体18において、第1電流経路又は第2電流経路に電流が流れた場合、電圧降下が生じる。このとき、導電体18の位置に応じて電位が異なる。
図6において、実線の矢印によって示されるように第2電流経路に電流が流れた場合における等電位線が破線で示されている。
図6では、導電体18の一部分における等電位線が示されている。電流は第3導電部23から第2導電部22へ流れているため、第3導電部23側の等電位線が示す電位は、第2導電部22側の等電位線が示す電位よりも高い。
図6の等電位線からわかるように、点P1の電位は点P3の電位と同じである。このため、点P1,P2間の電圧値は、点P3,P2間の電圧値と同じである。
【0093】
第2電流経路に電流が流れている場合において、点P3,P2間の電圧値は、第2電流経路に流れる電流の値が大きい程大きく、第2電流経路に流れる電流の値が小さい程小さい。このため、同様の場合において、点P1,P2間の電圧値も、第2電流経路に流れる電流の値が大きい程大きく、第2電流経路に流れる電流の値が小さい程小さい。
第1電流経路に流れている場合において、点P1,P2間の電圧値は、第1電流経路に流れる電流の値が大きい程大きく、第1電流経路に流れる電流の値が小さい程小さい。
【0094】
電流値がItである電流が第1電流経路に流れた場合における点P1,P2間の電圧値は、電流値が同じItである電流が第2電流経路に流れた場合における点P1,P2間の電圧値よりも高い。
【0095】
A/D変換部32が制御部16へ出力するデジタルの電圧値は、点P1,P2の電位に係る値に相当する。差動増幅器40が点P1,P2間の電圧値を増幅し、増幅したアナログの電圧値をA/D変換部32に出力し、A/D変換部32が差動増幅器40から入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換し、変換した電圧値を出力することは、点P1,P2間の電圧を検出することに相当する
。
【0096】
制御部16は実施の形態1と同様の切替え処理を実行する。ただし、ステップS2,S7夫々で行われる具体的な変換の構成が実施の形態1と異なる。実施の形態3において、記憶部17に記憶されている第1変換式及び第2変換式夫々では、電流検出回路15のA/D変換部32が制御部16に出力する電圧値と、温度検出回路19が制御部16に出力する温度値とが変数である。
【0097】
実施の形態3における制御部16は、第1電流経路に電流が流れていると判定した場合(S1:YES)、温度検出回路19が出力した温度値を第1変換式に代入し、その後、ステップS2を実行する。制御部16は、ステップS2において、温度検出回路19が出力した温度値が代入された第1変換式を用いて、A/D変換部32が出力した電圧値を電流値に変換する。ここで電流値は第1電流経路に流れている電流の値である。同様に、実施の形態3における制御部16は、第1電流経路に電流が流れていない、即ち、第2電流経路に電流が流れていると判定した場合(S1:NO)、温度検出回路19が出力した温度値を第2変換式に代入し、その後、ステップS7を実行する。制御部16は、ステップS7において、温度検出回路19が出力した温度値が代入された第2変換式を用いて、A/D変換部32が出力した電圧値を電流値に変換する。ここで電流値は第2電流経路に流れている電流の値である。
【0098】
例えば、導電体18の温度値が高い程、導電体18の電気抵抗率が高いと仮定する。点P1,P2間の電圧値が一定値である場合、ステップS2又はS7で変換された電流値は、導電体18の温度値が高い程小さく、導電体18の温度値が低い程大きい。
【0099】
実施の形態1では、電流センサ31は導線30を流れる電流の値に応じた電圧値を出力し、A/D変換部32は、電流センサ31が出力したアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する。一方で、実施の形態3では、差動増幅器40は点P1,P2間の電圧値を増幅し、増幅した電圧値を出力し、A/D変換部32は、差動増幅器40が出力したアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する。このため、実施の形態3における第1変換式及び第2変換式夫々は、実施の形態1における第1変換式及び第2変換式と異なる。
【0100】
切替え処理において、制御部16は、現在、導電体18において電流が流れている電流経路と、電流検出回路15のA/D変換部32が出力した電圧値と、温度検出回路19が検出した温度値とに基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定する。A/D変換部32が出力した電圧値は、点P1,P2の電位に係る値であり、電流検出回路15が検出した電圧値に相当する。
【0101】
実施の形態3においては、電流検出回路15、制御部16、記憶部17及び温度検出回路19が切替え装置として機能する。電流検出回路15のA/D変換部32が出力する電圧値は、第1電流経路に流れる電流の値の大/小に応じて高/低となり、第2電流経路を流れる電流の値の大/小に応じて高/低となる。更に、電流値がItである電流が第1電流経路に流れた場合に差動増幅器40が出力する電圧値は、電流値が同じItである電流が第2電流経路に流れた場合に差動増幅器40が出力する電圧値と異なる。
【0102】
実施の形態3において、例えば、第1電流経路に100Aの電流が流れた場合における点P1,P2間の電圧値を、第2電流経路に200Aの電流が流れた場合における点P1,P2間の電圧値に一致させることができる。これにより、A/D変換部32が出力する電圧値が第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流の値を正確に示すように、A/D変換部32の基準電圧値を設定することができる。このように基準電圧値が設定された場合、導電体18において電流が流れる電流経路を適切に切替えることができる。また、第1電流経路及び第2電流経路夫々について、各別に電流を検出する回路を構成する必要がないため、実施の形態1における切替え装置を安価に製造することができる。
【0103】
また、制御部16は、前述したように、現在、電流が流れている電流経路と、A/D変換部32が出力した電圧値、即ち、電流検出回路15が検出した電圧値とに基づいて電流経路を切替えるべきか否かを判定する。このため、簡単な構成で電流経路が切替えられる。
更に、制御部16は、現在、電流が流れている電流経路、及び、電流検出回路15が検出した電圧値だけではなく、温度検出回路19が出力した温度値、即ち、温度検出回路19が検出した温度値にも基づいて電流経路を切替えるべきか否かを判定する。このため、導電体18において電流が流れる電流経路がより適切に切替えられる。
【0104】
なお、実施の形態1において、導電体18の温度値が導線30の温度値と異なる場合、導電体18及び導線30夫々の電気抵抗率の比は、導電体18及び導線30の温度値に依存する。また、実施の形態1において、例えば、導電体18及び導線30夫々に用いられる材料が異なるために、温度値と電気抵抗率との関係が導電体18及び導線30の間で異なる場合も、導電体18及び導線30夫々の電気抵抗率の比は、導電体18及び導線30の温度値に依存する。この温度依存性の問題を解決するため、実施の形態1における切替え装置は、実施の形態3と同様に、温度検出回路19を備え、電流検出回路15のA/D変換部32が制御部16に出力する電圧値と、温度検出回路19が制御部16に出力する温度値とが変数である第1変換式及び第2変換式を用いてもよい。
【0105】
この場合、制御部16は、実施の形態3と同様に、第1電流経路に電流が流れていると判定した場合(S1:YES)、温度検出回路19が出力した温度値を第1変換式に代入し、その後、ステップS2を実行する。また、制御部16は、第1電流経路に電流が流れていない、即ち、第2電流経路に電流が流れていると判定した場合(S1:NO)、温度検出回路19が出力した温度値を第2変換式に代入し、その後、ステップS7を実行する。
また、前述した温度依存性の問題を解決するために、実施の形態1における切替え装置は、導電体18及び導線30夫々の温度値を検出する温度検出回路を備え、導線30に流れる電流の値と、導電体18及び導線30夫々の温度値とが変数である第1変換式及び第2変換式を用いてもよい。
【0106】
(実施の形態4)
実施の形態3において、制御部16は実施の形態1における切替え処理を実行している。しかしながら、制御部16が実行する切替え処理は、実施の形態1における切替え処理に限定されず、実施の形態2と同様の切替え処理を実行してもよい。
【0107】
以下では、実施の形態4について実施の形態3と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施の形態3と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0108】
実施の形態4における電源装置1について、制御部16が実行する切替え処理が実施の形態3における電源装置1と異なる。実施の形態4における制御部16は、実施の形態2と同様の切替え処理を実行する。ただし、実施の形態4において、ステップS22,S26夫々で行われる判定の構成が実施の形態2と異なる。具体的には、ステップS22で用いられる第1電圧閾値は温度検出回路19が制御部16に出力している温度値によって異なる。更に、ステップS27で用いられる第2電圧閾値も温度検出回路19が制御部16に出力している温度値によって異なる。
【0109】
図7は、実施の形態4における第1電圧閾値及び第2電圧閾値を示す図表である。
図7では、温度検出回路19が制御部16に出力する温度値に、第1電圧閾値及び第2電圧閾値夫々が対応付けられている。記憶部17には、温度値と第1電圧閾値との関係と、温度値と第2電圧閾値との関係とが記憶されている。
図7において、T1,T2,T3,T4は温度値であり、V11,V12,V13・・・及びV21,V22,V23,・・・は電圧値である。温度値の大小関係について、T1<T2<T3<T4が成り立っている。
【0110】
温度検出回路19が制御部16に出力する温度値がT1以上T2未満である場合、第1電圧閾値及び第2電圧閾値夫々はV11及びV21である。温度検出回路19が制御部16に出力する温度値がT2以上T3未満である場合、第1電圧閾値及び第2電圧閾値夫々はV12及びV22である。温度検出回路19が制御部16に出力する温度値がT3以上T4未満である場合、第1電圧閾値及び第2電圧閾値夫々はV13及びV23である。
【0111】
導電体18の温度値が高い程、導電体18の電気抵抗率が高い場合、値が同じ電流が第1電流経路(又は第2電流経路)に流れているときであっても、導電体18の電気抵抗率が高い程、点P1,P2間の電圧値は高い。従って、導電体18の温度値が高い程、導電体18の電気抵抗率が高い場合、第1電圧閾値の大小関係についてV11<V12<V13が成り立ち、第2電圧閾値の大小関係についてV21<V22<V23が成り立つ。
【0112】
切替え処理において、実施の形態4における制御部16は、第1電流経路に電流が流れていると判定した場合(S21:YES)、温度検出回路19が制御部16に出力した温度値に対応する第1電圧閾値を記憶部17から読み出し、その後、ステップS22を実行する。ステップS22において、制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が、読み出した第1電圧閾値以上である場合に電流経路を第2電流経路に切替えるべきと判定する。制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が、読み出した第1電圧閾値未満である場合に電流経路を第2電流経路に切替えるべきではないと判定する。実施の形態2と同様に、第1電圧閾値は、値が第1電流閾値である電流が第1電流経路に流れた場合にA/D変換部32が出力する電圧値である。
【0113】
切替え処理において、実施の形態4における制御部16は、第1電流経路に電流が流れていない、即ち、第2電流経路に電流が流れていると判定した場合(S21:NO)、温度検出回路19が制御部16に出力した温度値に対応する第2電圧閾値を記憶部17から読み出し、その後、ステップS26を実行する。ステップS26において、制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が、読み出した第2電圧閾値未満である場合に電流経路を第1電流経路に切替えるべきと判定する。制御部16は、A/D変換部32が出力したデジタルの電圧値が、読み出した第2電圧閾値以上である場合に電流経路を第1電流経路に切替えるべきではないと判定する。実施の形態2と同様に、第2電圧閾値は、値が第2電流閾値である電流が第2電流経路に流れた場合にA/D変換部32が出力する電圧値である。
【0114】
実施の形態4における切替え処理においても、制御部16は、現在、導電体18において電流が流れている電流経路と、電流検出回路15のA/D変換部32が出力した電圧値と、温度検出回路19が検出した温度値とに基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定する。また、実施の形態4において、制御部16が実行する切替え処理と、記憶部17に
図7に示す対応関係が記憶されていることを除く他の構成は実施の形態3と同様である。このため、実施の形態4において、電流検出回路15、制御部16、記憶部17及び温度検出回路19を備える切替え装置は、実施の形態3と同様の効果を奏する。
【0115】
なお、実施の形態2において、導電体18の温度値が導線30の温度値と異なる場合、又は、温度値と電気抵抗率との関係が導電体18及び導線30の間で異なる場合、導電体18及び導線30夫々の電気抵抗率の比は、導電体18及び導線30の温度値に依存する。この温度依存性の問題を解決するため、実施の形態2における切替え装置は、実施の形態4と同様に、温度検出回路19を備え、温度値と第1電圧閾値との関係と、温度値と第2電圧閾値との関係とが記憶部17に記憶されていてもよい。
【0116】
この場合、制御部16は、実施の形態4と同様に、第1電流経路に電流が流れていると判定した場合(S21:YES)、温度検出回路19が制御部16に出力した温度値に対応する第1電圧閾値を記憶部17から読み出し、その後、ステップS22を実行する。また、制御部16は、第1電流経路に電流が流れていない、即ち、第2電流経路に電流が流れていると判定した場合(S21:NO)、温度検出回路19が制御部16に出力した温度値に対応する第2電圧閾値を記憶部17から読み出し、その後、ステップS26を実行する。
更に、前述した温度依存性の問題を解決するために、実施の形態1における切替え装置は、導電体18及び導線30夫々の温度値を検出する温度検出回路を備え、導電体18及び導線30夫々の温度値と第1電圧閾値との関係と、導電体18及び導線30夫々の温度値と第2温度値との関係とが記憶部17に記憶されていてもよい。
【0117】
なお、実施の形態4において、第1電圧閾値又は第2電圧閾値夫々を決定する構成は、記憶部17が温度値に対応付けられた第1電圧閾値又は第2電圧閾値を読み出す構成に限定されない。例えば、第1電圧閾値(又は第2電圧閾値)と、温度検出回路19が検出した温度値との関係式が記憶部17に記憶されていてもよい。この場合、制御部16は、切替え処理において、前述した関係式に温度検出回路19が検出した温度値を代入することによって第1電圧閾値(又は第2電圧閾値)を算出し、算出した第1電圧閾値(又は第2電圧閾値)をステップS22(又はステップ26)で用いる。
また、実施の形態2における切替え装置に実施の形態4の特徴を組み入れた前述の構成においても、第1電圧閾値又は第2電圧閾値夫々を決定する構成は、記憶部17が温度値に対応付けられた第1電圧閾値又は第2電圧閾値を読み出す構成に限定されない。
【0118】
(実施の形態5)
実施の形態3において、点P1,P2間の抵抗値が小さい場合、導電体18に流れる電流の値の変動幅に対する点P1,P2間の電圧値の変動幅は小さい。点P1,P2間の抵抗値が大きくなるように、導電体18は、第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23のいずれよりも導電率が低い抵抗部を更に有してもよい。
【0119】
以下では、実施の形態5について実施の形態3と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施の形態3と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0120】
実施の形態5における電源装置1については、導電体18の構成と、温度検出回路19が温度
値を検出する対象とが、実施の形態3における電源装置1と異なる。
【0121】
図8は実施の形態5における電流検出の説明図である。実施の形態5における導電体18は、第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23に加えて、抵抗部50を有する。抵抗部50は矩形板状をなす。抵抗部50の一辺に第3導電部23の端部が連結しており、該一辺に対向する抵抗部50の一辺に第2導電部22の端部が連結している。第2導電部22及び第3導電部23が連結している二辺を除く抵抗部50の他の二辺中の一辺に第1導電部21の一辺が連結している。このように、第1導電部21及び第3導電部23夫々は抵抗部50を介して、第2導電部22に連なっている。
図8には、第1導電部21、第2導電部22、第3導電部23及び抵抗部50夫々の板面が示されている。
【0122】
点P1は第1導電部21及び抵抗部50の連結部分に位置する。また、点P2は第2導電部22及び抵抗部50の連結部分に位置する。
【0123】
実施の形態5における温度検出回路19は、抵抗部50の温度
値を検出する。具体的には、温度検出回路19は、図示しない温度センサ及びA/D変換部等によって構成され、検出したデジタルの温度値を制御部16に出力する。
【0124】
実施の形態5における導電体18において、第1電流経路に電流が流れた場合、電流は第1導電部21、抵抗部50及び第2導電部22の順に流れる。また、実施の形態5における導電体18において、第2電流経路に電流が流れた場合、電流は第3導電部23、抵抗部50及び第2導電部22の順に流れる。
【0125】
第1電流経路又は第2電流経路に電流が流れた場合、電圧降下が生じる。このとき、導電体18の位置に応じて電位が異なる。
図8において、実線の矢印によって示されるように第2電流経路に電流が流れた場合における等電位線が破線で示されている。
図8では、抵抗部50における等電位線が示されている。電流は第3導電部23から第2導電部22へ流れているため、第3導電部23側の等電位線が示す電位は、第2導電部22側の等電位線が示す電位よりも高い。
図8の等電位線からわかるように、点P1の電位は点P3の電位と同じである。このため、点P1,P2間の電圧値は、点P3,P2間の電圧値と同じである。
【0126】
図6及び
図8夫々に示す等電位線は、実施の形態3及び
5において第2電流経路に、値が同じである電流が流れた場合における等電位線である。
図8において隣り合う等電位線間の電圧差は
図6において隣り合う等電位線間の電圧差と同じである。抵抗部50の導電率は、第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23の導電率のいずれよりも低い。このため、
図8において実線の矢印によって示されるように第2電流経路に電流が流れた場合、抵抗部50によって、点P1,P2間で大きく電圧が降下する。これは、点P3,P2間における
図8の等電位線の数が、点P3,P2間における
図6の等電位線の数よりも多いことからもわかる。
【0127】
第2電流経路に電流が流れている場合において、点P1,P2間の電圧値は、実施の形態3と同様に、第2電流経路に流れる電流の値が大きい程大きく、第2電流経路に流れる電流の値が小さい程小さい。また、第1電流経路に電流が流れている場合において、点P1,P2間の電圧値は、第1電流経路に流れる電流の値が大きい程大きく、第1電流経路に流れる電流の値が小さい程小さい。
【0128】
また、実施の形態3と同様に、電流値がItである電流が第1電流経路に流れた場合における点P1,P2間の電圧値は、電流値が同じItである電流が第2電流経路に流れた場合における点P1,P2間の電圧値よりも大きい。
【0129】
実施の形態5における制御部16は、実施の形態3と同様の切替え処理を行う。ただし、前述したように温度検出回路19は抵抗部50の温度
値を検出するため、ステップS2,S7夫々を実行する前に第1変換式及び第2変換式に代入される温度値は、抵抗部50の温度値である。
【0130】
導電体18は抵抗部50を有し、更には、第1変換式及び第2変換式に代入される温度値は抵抗部50の温度値であるため、実施の形態5における記憶部17に記憶されている第1変換式及び第2変換式夫々は実施の形態3における記憶部17に記憶されている第1変換式及び第2変換式と異なる。
【0131】
例えば、抵抗部50の温度値が高い程、抵抗部50の電気抵抗率が高いと仮定する。点P1,P2間の電圧値が一定値である場合、ステップS2又はS7で変換された電流値は、抵抗部50の温度値が高い程小さく、抵抗部50の温度値が低い程大きい。
【0132】
実施の形態5における切替え処理においても、制御部16は、現在、導電体18において電流が流れている電流経路と、電流検出回路15のA/D変換部32が出力した電圧値と、温度検出回路19が検出した温度値とに基づいて、電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定する。
【0133】
実施の形態5においても、電流検出回路15、制御部16、記憶部17及び温度検出回路19が切替え装置として機能する。電流検出回路15のA/D変換部32が出力する電圧値は、第1電流経路に流れる電流の値の大/小に応じて高/低となり、第2電流経路を流れる電流の値の大/小に応じて高/低となる。更に、電流値がItである電流が第1電流経路に流れた場合に差動増幅器40が出力する電圧値は、電流値が同じItである電流が第2電流経路に流れた場合に差動増幅器40が出力する電圧値と異なる。
【0134】
実施の形態5において、例えば、第1電流経路に100Aの電流が流れた場合における点P1,P2間の電圧値を、第2電流経路に200Aの電流が流れた場合における点P1,P2間の電圧値に一致させることができる。これにより、A/D変換部32が出力する電圧値が第1電流経路及び第2電流経路夫々を流れる電流の値を正確に示すように、A/D変換部32の基準電圧値を設定することができる。このように基準電圧値が設定された場合、導電体18において電流が流れる電流経路を適切に切替えることができる。また、第1電流経路及び第2電流経路夫々について、各別に電流を検出する回路を構成する必要がないため、実施の形態1における切替え装置を安価に製造することができる。
【0135】
また、制御部16は、前述したように、現在、電流が流れている電流経路と、A/D変換部32が出力した電圧値、即ち、電流検出回路15が検出した電圧値とに基づいて電流経路を切替えるべきか否かを判定する。このため、簡単な構成で電流経路が切替えられる。
更に、制御部16は、現在、電流が流れている電流経路、及び、電流検出回路15が検出した電圧値だけではなく、温度検出回路19が出力した温度値、即ち、温度検出回路19が検出した温度値にも基づいて電流経路を切替えるべきか否かを判定する。このため、導電体18において電流が流れる電流経路がより適切に切替えられる。
【0136】
実施の形態5における切替え装置においては、導電体18が抵抗部50を有するため、点P1,P2間の電圧値が大きく、切替え処理において、電流経路を切替えるべきか否かを、制御部16が更に適切に判定することができる。
【0137】
なお、実施の形態5において、記憶部17が実施の形態4と同様に構成され、制御部16は実施の形態4における切替え処理を実行してもよい。温度検出回路19が制御部16に出力する温度値は、前述したように、導電体18の温度値ではなく抵抗部50の温度値である。このため、温度検出回路19が制御部16に出力する温度値に対応付けて記憶部17に記憶されている第1電圧閾値V11,V12,V13,・・・及び第2電圧閾値V21,V22,V23,・・・は実施の形態4と異なる。
【0138】
また、抵抗部50の温度値が高い程、抵抗部50の電気抵抗率が高い場合、値が同じ電流が第1電流経路(又は第2電流経路)に流れているときであっても、抵抗部50の電気抵抗率が高い程、点P1,P2間の電圧値は高い。従って、抵抗部50の温度値が高い程、抵抗部50の電気抵抗率が高い場合、第1電圧閾値の大小関係についてV11<V12<V13が成り立ち、第2電圧閾値の大小関係についてV21<V22<V23が成り立つ。
【0139】
実施の形態5における制御部16が実施の形態4における切替え処理を実行した場合であっても、前述した実施の形態5と同様の効果を奏する。
【0140】
また、実施の形態5において、点P1の位置は、第1導電部21及び抵抗部50の連結部分に限定されず、第1導電部21の表面であればよい。同様に、点P2の位置も、第2導電部22及び抵抗部50の連結部分に限定されず、第2導電部22の表面であればよい。
【0141】
更に、実施の形態5において、抵抗部50の形状は、矩形板状に限定されず、例えば、T字状又はL字状であってもよい。また、抵抗部50において、第1導電部
21が接続されている一辺は第2導電部22が接続されている一辺に対向していなくてもよい。第1導電部21及び第3導電部23夫々が抵抗部50を介して第2導電部22に接続していればよい。
【0142】
また、実施の形態1における切替え装置が温度検出回路19、又は、導電体18及び導線30夫々の温度値を検出する温度検出回路を備える前述の構成において、実施の形態5における導電体18が用いられていてもよい。同様に、実施の形態2における切替え装置が温度検出回路19、又は、導電体18及び導線30夫々の温度値を検出する温度検出回路を備える前述の構成夫々において、実施の形態5における導電体18が用いられてもよい。
【0143】
(実施の形態6)
実施の形態1において、制御部16は、スイッチ11のオン/オフと、DCDCコンバータ12の作動/停止とを制御することによって、導電体18において流れる電流の経路を切替える。しかしながら、スイッチ11の代わりにもう1つのDCDCコンバータを用い、制御部16は、このDCDCコンバータの作動/停止と、DCDCコンバータ12の作動/停止とを制御することによって、導電体18において電流が流れる電流経路を切替えてもよい。
【0144】
以下では、実施の形態6について実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0145】
図9は実施の形態6における電源装置1の要部構成を示すブロック図である。実施の形態6における電源装置1は、発電機10、DCDCコンバータ12、バッテリ13、負荷14、電流検出回路15、制御部16及び記憶部17を備え、これらは実施の形態1と同様に接続されている。実施の形態6における電源装置1は、更にDCDCコンバータ60を備える。DCDCコンバータ60の一端は発電機10の一端に接続されており、DCDCコンバータ60の他端はバッテリ13の正極と負荷14の一端とに接続されている。
【0146】
DCDCコンバータ60は、DCDCコンバータ12と同様に、一端に印加された発電機10の出力電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を他端からバッテリ13及び負荷14に供給する。DCDCコンバータ60が変圧した電圧の値は例えば12Vである。
【0147】
DCDCコンバータ60にも、DCDCコンバータ12と同様に、制御部16から作動指示と停止指示とが入力される。DCDCコンバータ60は、制御部16から作動指示が入力された場合に作動し、制御部16から停止指示が入力された場合に動作を停止する。
【0148】
DCDCコンバータ12,60の中で、一方のDCDCコンバータが作動している場合、他方のDCDCコンバータは動作を停止している。DCDCコンバータ12,60のいずれか一方から、変圧した電圧がバッテリ13及び負荷14に供給される。これにより、バッテリ13は蓄電し、負荷14は給電される。発電機10が発電を停止している場合、負荷14はバッテリ13によって給電される。
実施の形態1で述べたように、DCDCコンバータ12を介して流れる電流の値に関して上限値が存在する。DCDCコンバータ60には、この上限値以上の電流が流れもよい。第1電流閾値は上限値未満である。前述したように、第2電流閾値は第1電流閾値以下である。
【0149】
実施の形態6における電源装置1においては、導電体18はDCDCコンバータ12,60夫々の他端を、バッテリ13の正極及び負荷14の一端に接続する。より具体的には、DCDCコンバータ12の他端は第1導電部21に接続してあり、DCDCコンバータ60の他端は第3導電部23に接続してある。バッテリ13の正極、及び、負荷14の一端は第2導電部22に接続してある。
【0150】
制御部16は実施の形態1と同様の切替え処理を実行する。制御部16は、実施の形態1における切替え処理(
図3参照)のステップS6において、スイッチ11をオンにする代わりに、DCDCコンバータ60に作動指示を出力する。更に、制御部16は、ステップS9において、スイッチ11をオフにする代わりに、DCDCコンバータ60に停止指示を出力する。
【0151】
制御部16は、切替え処理において、DCDCコンバータ12に停止指示を出力し、DCDCコンバータ60に作動指示を出力する。これにより、DCDCコンバータ12は動作を停止し、DCDCコンバータ60は作動するため、導電体18において電流が流れる電流経路が第1電流経路から第2電流経路に切替わる。
また、制御部16は、切替え処理において、DCDCコンバータ60に停止指示を出力し、DCDCコンバータ12に作動指示を出力する。これにより、DCDCコンバータ60は動作を停止し、DCDCコンバータ12は作動するため、導電体18において電流が流れる電流経路が第2電流経路から第1電流経路に切替わる。
以上のように、制御部16は、作動指示又は停止指示をDCDCコンバータ12,60に各別に出力することによって、導電体18において電流が流れる電流経路を切替える。
【0152】
実施の形態6における制御部16は、実施の形態1における制御部16と同様に、導電体18において電流が流れる電流経路を切替えるべきか否かを判定する。従って、実施の形態6において、電流検出回路15、制御部16及び記憶部17を備える切替え装置は実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0153】
なお、実施の形態2〜5において、電源装置1は、実施の形態6と同様に、スイッチ11の代わりにDCDCコンバータ60を備えてもよい。このとき、制御部16は、実施の形態6と同様に、導電体18において電流が流れる電流経路を切替える。このように構成された実施の形態2〜5夫々の切替え装置も、スイッチ11を備える実施の形態2〜5の切替え装置と同様の効果を奏する。
【0154】
なお、実施の形態1〜6において、第1導電部21、第2導電部22及び第3導電部23夫々は、バスバーに限定されず、例えば、プリント配線基板内の導体であってもよい。また、実施の形態3〜5において、制御部16及び温度検出回路19は、別々に構成されている。しかしながら、制御部16及び温度検出回路19は一体的に構成されていてもよい。
【0155】
開示された実施の形態1〜6は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。