特許第6337790号(P6337790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337790
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ドア用ガゼットのシール部材の固定構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/77 20160101AFI20180528BHJP
   B60J 10/78 20160101ALI20180528BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   B60J10/77
   B60J10/78
   B60J5/04 N
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-20947(P2015-20947)
(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-141360(P2016-141360A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和也
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−076715(JP,U)
【文献】 特開平09−011754(JP,A)
【文献】 特開2008−037330(JP,A)
【文献】 特開平06−247142(JP,A)
【文献】 特開平08−332850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
10/00−10/90
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットのシール部材の固定構造において、
上記ドア用ガゼットは、上記自動車ドアに取付けられる金属製のサッシュホルダブラケットと、該サッシュホルダブラケットに取付けられるシール部材を有し、
上記サッシュホルダブラケットは、上記自動車ドアのベルトラインより上部に取付けられるブラケット上部と、上記自動車ドアのベルトラインより下部に取付けられるブラケット下部を有し、該ブラケット下部は、ガラスラン保持部が設けられ、該ガラスラン保持部は、断面コ字形に形成された保持部車外側側壁、保持部車内側側壁及び保持部底壁を有し、
上記シール部材は、上記ブラケット上部に取付けられ、ドアガラスの側端と上記三角コーナー部の間及び車体開口部周縁と上記三角コーナー部の間をシールするサッシュホルダシールと、上記ガラスラン保持部に取付けられ、上記自動車ドアのベルトラインより下部で上記ドアガラスの側端を保持するガラスランを有し、
上記サッシュホルダシールは、上記ドアガラスの側端を保持するホルダドアガラスシール部を有し、該ホルダドアガラスシール部は、断面略コ字形の凹部を有し、
上記ガラスランは、断面コ字形に形成されたガラスラン車外側側壁、ガラスラン車内側側壁及びガラスラン底壁を有し、
上記ガラスランは、断面コ字形の上記ガラスラン保持部に保持され、上記ガラスランの上方の端部に、上記ガラスラン底壁から延設されるガラスラン底壁延設部を設け、上記ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の下端部より下方の位置の上記ガラスラン保持部の保持部底壁に、上記ガラスラン底壁延設部を固定部材で固定したドア用ガゼットのシール部材の固定構造。
【請求項2】
上記ガラスラン底壁延設部を固定部材で上記ガラスラン保持部の保持部底壁に固定したとき、上記固定部材の頭部は、上記ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の内面よりも上記ドアガラスの側端からから離れる方向に低く固定された請求項1に記載のドア用ガゼットのシール部材の固定構造。
【請求項3】
上記ガラスラン保持部の保持部底壁は、上記サッシュホルダブラケットの上記ブラケット上部のサッシュホルダシールを保持するブラケット上部シール保持部の底壁と連続して一体的に形成された請求項1または請求項2に記載のドア用ガゼットのシール部材の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットのシール部材の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ドア1には、図13に示すように、昇降可能なドアガラス5が取付けられて、自動車ドア1がフロントドアの場合は、ベルトライン部位におけるフロント側の端部の三角コーナー部には、ドアガラス5の昇降を容易にして、当該コーナー部の見栄えを向上させるために、ドア用ガゼット106が取付けられている。
【0003】
ドア用ガゼット106は、図14に示すように、自動車ドア1のベルトライン4の上部に取付けられるガゼット上部106aと、ベルトライン4の下部に取付けられてドアパネル102に取付けられるガゼット下部106bを有している。ガゼット上部106aは、自動車ドア1に取付けられるサッシュホルダブラケット130とサッシュホルダブラケット130の周囲に取付けられるサッシュホルダシール120を有している。
【0004】
サッシュホルダシール120は、ドアガラス5の側端とガゼット上部106aの間及び車体開口部周縁(図示せず)と三角コーナー部の間をシールする。
ガゼット下部106bには、ドアガラス5の自動車ドア1内の昇降を案内するガイドレール106cが取付けられ、ガイドレール106cには自動車ドア1のベルトライン4より下部でドアガラス5の側端を保持して昇降を案内するガラスラン110が取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ドアガラス5が昇降すると、ガラスラン110がドアガラス5に引きずられて、ガイドレール106c内をずれる場合がある。ガラスラン110のずれを防止するために、図15に示すように、ガラスラン底壁113とガイドレール106cに孔をあけて、ガイドレール106cにクリップ115でガラスラン底壁113を固定するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、この場合にはドアガラス5の昇降時にドアガラス5の昇降軌跡のバラツキにより、ドアガラス5の側端がクリップ115の頭部と接触してしまい、異音が発生したり、摩擦抵抗が生じたりする不具合が発生することとなる。
そのため、ガラスラン110やガイドレール106cの組付け精度や、ドアガラス5の昇降精度が要求されることとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−332850号公報
【特許文献2】特開平9−11754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットにおけるガラスランのずれを防止して、ドアガラスとの干渉の無い自動車ドアのシール部材の固定構造が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットのシール部材の固定構造において、
ドア用ガゼットは、自動車ドアに取付けられる金属製のサッシュホルダブラケットと、サッシュホルダブラケットに取付けられるシール部材を有し、
サッシュホルダブラケットは、自動車ドアのベルトラインより上部に取付けられるブラケット上部と、自動車ドアのベルトラインより下部に取付けられるブラケット下部を有し、ブラケット下部はガラスラン保持部が設けられ、ガラスラン保持部は、断面コ字形に形成された保持部車外側側壁、保持部車内側側壁及び保持部底壁を有し、
シール部材は、ブラケット上部に取付けられ、ドアガラスの側端と三角コーナー部の間及び車体開口部周縁と三角コーナー部の間をシールするサッシュホルダシールと、ガラスラン保持部に取付けられ、自動車ドアのベルトラインより下部でドアガラスの側端を保持するガラスランを有し、
サッシュホルダシールは、ドアガラスの側端を保持するホルダドアガラスシール部を有し、ホルダドアガラスシール部は、断面略コ字形の凹部を有し、
ガラスランは、断面コ字形に形成されたガラスラン車外側側壁、ガラスラン車内側側壁及びガラスラン底壁を有し、
ガラスランは、断面コ字形のガラスラン保持部に保持され、ガラスランの上方の端部に、ガラスラン底壁から延設されるガラスラン底壁延設部を設け、ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の下端部より下方の位置のガラスラン保持部の保持部底壁に、ガラスラン底壁延設部を固定部材で固定したドア用ガゼットのシール部材の固定構造である。
【0010】
請求項1の本発明では、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットのシール部材の固定構造において、ドア用ガゼットは、自動車ドアに取付けられる金属製のサッシュホルダブラケットと、サッシュホルダブラケットに取付けられるシール部材を有する。このため、サッシュホルダブラケットを自動車ドアに固定して、シール部材でドア用ガゼットの周囲をシールすることができる。
【0011】
サッシュホルダブラケットは、自動車ドアのベルトラインより上部に取付けられるブラケット上部と、自動車ドアのベルトラインより下部に取付けられるブラケット下部を有し、ブラケット下部はガラスラン保持部が設けられる。このため、ブラケット上部で自動車ドアのサッシュレスフロントドアのドア用ガゼットとドアガラス及び車体のフロントピラーの間をシールして、ブラケット下部でドア用ガゼットを自動車ドアに取付けるとともにガラスラン保持部でガラスランを保持することができる。
【0012】
ガラスラン保持部は、断面コ字形に形成された保持部車外側側壁、保持部車内側側壁及び保持部底壁を有する。このため、断面コ字形に形成された保持部車外側側壁、保持部車内側側壁及び保持部底壁で、断面コ字形に形成されたガラスランを保持して、ドアガラスの昇降を案内することができる。
【0013】
シール部材は、ブラケット上部に取付けられ、ドアガラスの側端と三角コーナー部の間及び車体開口部周縁と三角コーナー部の間をシールするサッシュホルダシールを有する。このため、ブラケット上部に取付けられたサッシュホルダシールにより、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部の周囲をシールすることができる。
【0014】
シール部材は、ガラスラン保持部に取付けられ、自動車ドアのベルトラインより下部でドアガラスの側端を保持するガラスランを有する。このため、ガラスランはガラスラン保持部に保持されて、ドアガラスの側端を保持して、ドアガラスが円滑に昇降するように案内することができる。
【0015】
サッシュホルダシールは、ドアガラスの側端を保持するホルダドアガラスシール部を有し、ホルダドアガラスシール部は、断面略コ字形の凹部を有する。このため、ホルダドアガラスシール部の断面略コ字形の凹部にドアガラスの側端が侵入して、ドアガラスを案内するとともにドアガラスの側端をシールすることができる
【0016】
ガラスランは、断面コ字形に形成されたガラスラン車外側側壁、ガラスラン車内側側壁及びガラスラン底壁を有する。このため、ガラスランは、断面略コ字形のガラスラン保持部の内部に取付けられて、ガラスランの断面コ字形の内部にドアガラスの側端を保持して、摺動させて、ドアガラスを案内することができる。
【0017】
ガラスランは、断面コ字形のガラスラン保持部に保持されるため、断面略コ字形に形成され、ガラスラン保持部によりガラスラン車外側側壁とガラスラン車内側側壁とガラスラン底壁を安定して保持されて、ドアガラスの昇降時の横方向のぶれを防ぐことができる。
【0018】
ガラスランの上方の端部に、ガラスラン底壁から延設されるガラスラン底壁延設部を設け、ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の下端部より下方の位置の上記ガラスラン保持部の保持部底壁に、ガラスラン底壁延設部を固定部材で固定した。このため、ガラスランは、ガラスラン底壁から延設されるガラスラン底壁延設部で固定されて、ドアガラスの昇降によりガラスランがガラスラン保持部内を上下方向にずれることを防止できる。
【0019】
ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の下端部の下方の近接した部分にガラスラン底壁延設部を固定して、ガラスランとサッシュホルダシールの間のドアガラスの昇降を円滑にすることができる。
また、ガラスラン底壁延設部を設けたため、ガラスラン車外側側壁とガラスラン車内側側壁に妨げられることなく、固定部材をガラスラン保持部の保持部底壁に挿入することができ、取付け作業が容易である。
【0020】
請求項2の本発明は、ガラスラン底壁延設部を固定部材でガラスラン保持部の保持部底壁に固定したとき、固定部材の頭部は、ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の内面よりもドアガラスの側端からから離れる方向に低く固定されたドア用ガゼットのシール部材の固定構造である。
【0021】
請求項2の本発明では、ガラスラン底壁延設部を固定部材でガラスラン保持部の保持部底壁に固定したとき、固定部材の頭部は、ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の内面よりもドアガラスの側端からから離れる方向に低く固定された。このため、ドアガラスの昇降時にドアガラスがぶれても、ドアガラスの側端が固定部材の頭部に接触することがなく、異音の発生や摩擦抵抗が生じることが無く円滑に昇降することができる。
【0022】
請求項3の本発明は、ガラスラン保持部の保持部底壁は、サッシュホルダブラケットのサッシュホルダシールを保持するブラケット上部シール保持部の底壁と連続して一体的に形成されるドア用ガゼットのシール部材の固定構造である。
【0023】
請求項3の本発明では、ガラスラン保持部の保持部底壁は、サッシュホルダブラケットのサッシュホルダシールを保持するブラケット上部シール保持部の底壁と連続して一体的に形成されている。このため、サッシュホルダブラケットを製造するときに、ガラスラン保持部の保持部の底壁とサッシュホルダブラケットのブラケット上部シール保持部の底壁を同時に、連続的して一体的に形成することができ、サッシュホルダブラケットの製造が容易である。
【発明の効果】
【0024】
ガラスランの上方の端部に、ガラスラン底壁から延設されるガラスラン底壁延設部を設け、ホルダドアガラスシール部の凹部の底壁の下端部より下方のガラスラン保持部の保持部底壁に、ガラスラン底壁延設部を固定部材で固定したため、ガラスラン底壁から延設されるガラスラン底壁延設部で固定されて、ドアガラスの昇降によりドアガラスがガラスラン保持部内をずれることを防止できる。また、ガラスラン車外側側壁とガラスラン車内側側壁に妨げられることなく、固定部材をガラスラン保持部の保持部底壁に挿入することができ、取付け作業が容易である。
【0025】
ガラスラン保持部の保持部底壁のガラスラン底壁延設部を保持する部分は、ガラスラン保持部の保持部底壁の他の部分よりも、ガラスラン底壁延設部の肉厚の寸法以上低く固定されている場合は、ガラスラン底壁延設部をガラスラン保持部の保持部底壁に固定部材で固定するときに、固定部材の頭部がドアガラスの側端と接触することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けた状態の正面図である。
図2】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットの第1サッシュホルダブラケットの正面図である。
図3】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットの第2サッシュホルダブラケットの正面図である。
図4】本発明の実施の形態における、サッシュホルダシールをサッシュホルダブラケットに取付けた断面図であり、図1におけるA−A線に沿った断面図である。
図5】本発明の実施の形態における、ガラスランをサッシュホルダブラケットのガラスラン保持部に取付けた断面図であり、図1におけるB−B線に沿った断面図である。
図6】本発明の実施の形態における、サッシュホルダシールの正面図である。
図7】本発明の実施の形態における、サッシュホルダシールの裏面図である。
図8】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、サッシュホルダシールとガラスランの接続部分の正面図である。
図9】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、サッシュホルダシールとガラスランの接続部分の縦方向の断面図である。
図10】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、サッシュホルダシールとガラスランの接続部分の横方向の断面図である。
図11】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、サッシュホルダシールとガラスランの接続部分の横方向の側面図である。
図12】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、フロントドアに取付けた状態の縦方向の断面図であり、図1におけるC−C線に沿った断面図である。
図13】自動車の側面図である。
図14】従来のガゼットを自動車ドアに取付ける取付構造を示す正面図である。本発明の実施の形態における、ガラスランをサッシュホルダブラケットのガラスラン保持部に取付けた断面図である。
図15】従来のガラスラン保持部にガラスランを取付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図1図13に基づき説明する。
図13は自動車の側面図である。図13に示すように、サッシュレスの自動車ドア1であるフロントドアとのベルトライン4部位には、アウターウエザストリップが取付けられ、ドアガラス5は自動車ドア1内を上下に昇降することができる。
自動車ドア1であるフロントドアのベルトライン4部位におけるフロント側の端部には、略三角形状のドア用ガゼット6が取付けられている。
【0028】
本発明の実施の形態のドア用ガゼット6は、図1に示すように、金属製のサッシュホルダブラケット30に、サッシュホルダシール20とガラスラン10が取付けられている。ドア用ガゼット6は、フロントドアのベルトライン4の上部に位置するガゼット上部6aとフロントドアのベルトライン4の下部のフロントドア内に位置するガゼット下部6bから構成される。
【0029】
ガゼット上部6aには、サッシュホルダブラケット30のブラケット上部31にサッシュホルダシール20が取付けられ、ガラスラン10は、ガゼット下部6bのサッシュホルダブラケット30のブラケット下部32に取付けられた後述するガラスラン保持部33に取付けられる。サッシュホルダシール20は、ガゼット上部6aのフロント側に取付けられるホルダフロントシール部22とリヤ側でドアガラス5の側端をシールするホルダドアガラスシール部21を有する。
【0030】
まず、サッシュホルダブラケット30、サッシュホルダシール20及びガラスラン10の構成について説明し、その後、その固定構造について説明する。
サッシュホルダブラケット30は、2枚の金属製の板材から形成され、一方を第1サッシュホルダブラケット40として図2に示し、他方を第2サッシュホルダブラケット50として図3に示す。
【0031】
図2に示すように、第1サッシュホルダブラケット40は、上部に三角形状でサッシュホルダシール20が取付けられる第1ブラケット上部41と、下部の第1ブラケット下部45が形成され、第1ブラケット下部45は、ドアガラス5の側端と対向する側にガラスラン10が取付けられる第1ガラスラン保持部42が上下方向に延びて形成されている。
【0032】
図3に示すように、第2サッシュホルダブラケット50は、上下に長く板状に形成され、上部にサッシュホルダシール20が取付けられる第2ブラケット上部51と、下部の第2ブラケット下部55が形成され、第1ブラケット下部55は、ドアガラス5の側端と対向する側にガラスラン10が取付けられる第2ガラスラン保持部52が形成されている。
【0033】
第1サッシュホルダブラケット40と第2サッシュホルダブラケット50はスポット溶接等で合体される。合体されたサッシュホルダブラケット30は、ブラケット上部31には、図4に示すように、第1ブラケット上部41と第2ブラケット上部51の先端が断面コ字形のブラケット上部シール保持部31aを形成する。ブラケット上部シール保持部31aにサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部21が取付けられて、ホルダドアガラスシール部凹部21aにドアガラス5の側端が入り、上下に摺動する。
ブラケット上部シール保持部31aの底壁の部分は、第1サッシュホルダブラケット40のブラケット上部シール保持部の底壁と第2サッシュホルダブラケット50のブラケット上部シール保持部の底壁とにより形成されている。
サッシュホルダシール20の車外側には、ガーニッシュ60が取付けられ、車内側にはインナーガーニッシュ70が取付けられる。
【0034】
合体されたサッシュホルダブラケット30のブラケット下部32には、図5に示すように、第1ガラスラン保持部42と第2ガラスラン保持部52の先端が断面コ字形の溝を形成する。その溝にガラスラン10が取付けられて、ガラスラン10の断面略コ字形の内部にドアガラス5の側端が入り、上下に摺動する。
【0035】
第1サッシュホルダブラケット40と第2サッシュホルダブラケット50は、ブラケット上部31では、図4に示すように、両方の先端が階段状に屈曲して形成される。ブラケット下部32では、図5に示すように、第1サッシュホルダブラケット40の先端のみが階段状に屈曲して形成され、第2サッシュホルダブラケット50は屈曲せずに、第1サッシュホルダブラケット40の屈曲部に合体して、断面コ字形の溝を形成する。このような構成にすることにより、第1サッシュホルダブラケット40及び第2サッシュホルダブラケット50は、各々に高い剛性を確保することができる。
【0036】
ガゼット下部6bにおける第1サッシュホルダブラケット40の屈曲部において、断面コ字形の溝の底壁は、第1ガラスラン保持部底壁43を形成し、後述するように、ガラスラン底壁13を保持して、ガラスラン底壁延設部14を固定するガラスラン取付クリップ15を挿入する第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aが形成される。
【0037】
第1サッシュホルダブラケット40の第1ガラスラン保持部底壁43の先端は、第1ガラスラン保持部車外側側壁44を形成し、第2サッシュホルダブラケット50の先端は、第2ガラスラン保持部車内側側壁54を形成し、第1ガラスラン保持部車外側側壁44、第1ガラスラン保持部底壁43及び第2ガラスラン保持部車内側側壁54で断面略コ字形の溝を形成する。サッシュホルダブラケット30全体として、高い剛性を保持するとともに、クリップ止めをする部位を平坦な面として確保し、確実なクリップ止めができるようになっている。
【0038】
次に、図1図5に基づき、ガラスラン10について説明する。ガラスラン10は、図1に示すように、後述するサッシュホルダシール20の下端から若干離れて、ドア用ガゼット6のガゼット下部6bのドアガラス5の側端と対向ずるガラスラン保持部33に取付けられる。
【0039】
ガラスラン10は、長手方向に直線状に形成され、断面形状は、図5に示すように、ガラスラン車外側側壁11、ガラスラン車内側側壁12及びガラスラン底壁13から断面略コ字形に形成されている。ガラスラン車外側側壁11の先端から断面略コ字形の内部方向に斜めにガラスラン車外側シールリップ11aが延設され、断面略コ字形の外面に沿ってガラスラン車外側カバーリップ11bが形成されている。
ガラスラン車外側側壁11の外面には、ガラスラン車外側側壁保持リップ16がガラスラン底壁13との連続部分とガラスラン車外側側壁11の中央付近の2箇所に形成されている。
【0040】
ガラスラン車内側側壁12の先端から断面略コ字形の内部方向に斜めにガラスラン車内側シールリップ12aが延設され、断面略コ字形の外面に沿ってガラスラン車内側カバーリップ12bが形成されている。
ガラスラン車内側側壁12の外面には、ガラスラン車内側側壁保持リップ17がガラスラン底壁13との連続部分とガラスラン車外側側壁11の中央付近の2箇所に形成されている。
【0041】
ガラスラン10がサッシュホルダブラケット30のガラスラン保持部33に取付けられると、第1サッシュホルダブラケット40の先端の第1ガラスラン保持部車外側側壁44は、ガラスラン車外側カバーリップ11bとガラスラン車外側側壁11の間に挿入されてガラスラン車外側側壁11を保持する。
【0042】
第1ガラスラン保持部車外側側壁44は、ガラスラン車外側カバーリップ11bの先端よりも若干、第1ガラスラン保持部底壁43側の部分で屈曲して形成され、屈曲部分に、ガラスラン車外側側壁11の中央付近に形成されたガラスラン車外側側壁保持リップ16が係合して、ガラスラン車外側側壁11を保持している。ガラスラン底壁13との連続部分に形成されたガラスラン車外側側壁保持リップ16は、第1ガラスラン保持部車外側側壁44に当接してガラスラン車外側側壁11の保持とシールをしている。
【0043】
第2ガラスラン保持部車内側側壁54は、ガラスラン車内側カバーリップ12bの先端よりも若干、第1ガラスラン保持部底壁43側の部分で屈曲して形成され、屈曲部分に、ガラスラン車内側側壁12の中央付近に形成されたガラスラン車内側側壁保持リップ17が係合して、ガラスラン車内側側壁12を保持している。ガラスラン底壁13との連続部分に形成されたガラスラン車内側側壁保持リップ17は、第1ガラスラン保持部車内側側壁54に当接してガラスラン車内側側壁12の保持とシールをしている。
【0044】
ガラスラン10がドア用ガゼット6に取付けられて、自動車ドア1に取付けられると、ドアガラス5の側端が断面略コ字形の内部に進入して、ガラスラン車外側シールリップ11aとガラスラン車内側シールリップ12aがドアガラス5の側端を保持する。
【0045】
図8図11に示すように、サッシュホルダシール20と近接するガラスラン10の端部には、ガラスラン底壁13から延設されたガラスラン底壁延設部14が形成されている。ガラスラン底壁延設部14は、ガラスラン10の端部のガラスラン車外側側壁11とガラスラン車内側側壁12を切除して形成することができる。ガラスラン底壁延設部14の固定構造については後述する。
【0046】
次に、図4図6図8に基づきサッシュホルダシール20について説明する。
サッシュホルダシール20は、サッシュホルダブラケット30のブラケット上部31に取付けられるため、略逆V字形に形成されている。ブラケット上部31のフロント側でフロントピラーと当接する側はホルダフロントシール部22を形成し、リヤ側でドアガラス5の側端をシールするホルダドアガラスシール部21を有し、ホルダフロントシール部22とホルダドアガラスシール部21の先端は一体的に連結されている。
【0047】
ホルダドアガラスシール部21は、図4に示すように、ドアガラス5の側端が進入可能なホルダドアガラスシール部凹部21aが形成され、ホルダドアガラスシール部凹部21aを囲むようにホルダドアガラスシール部車外側側壁21b、ホルダドアガラスシール部車内側側壁21c及びホルダドアガラスシール部底壁21dが断面略コ字形に形成されている。
【0048】
ホルダドアガラスシール部車外側側壁21bとホルダドアガラスシール部車内側側壁21cの先端はリップ状に形成され、先端がドアガラス5の側面に当接してドアガラス5の昇降を案内することができる。
【0049】
ホルダドアガラスシール部車外側側壁21bとホルダドアガラスシール部車内側側壁21cの内部には第1ブラケット上部41と第2ブラケット上部51の先端が挿入されるホルダドアガラスシール部溝部21eが形成されている。
図6図7に示すように、ホルダドアガラスシール部21の先端には、ホルダ接続部24が形成され、ガラスラン10の先端との接続部分であるガラスラン底壁延設部14の部分をカバーしている。
【0050】
ホルダドアガラスシール部21とホルダフロントシール部22の内側には、ホルダカバー部23が形成され、サッシュホルダブラケット30をカバーする。ホルダカバー部23のホルダフロントシール部22の側はフロント側ホルダフロントシール部23aとなり、ホルダドアガラスシール部21の側はリヤ側ホルダフロントシール部23bとなる。
図4に示すように、ホルダカバー部23の車外側はガーニッシュ60が取付けられ、車内側はインナーガーニッシュ70が取付けられている。
【0051】
次に、図8図12に基づき、ガラスラン10の先端部をサッシュホルダシール20の先端付近に近接して取付ける固定構造について説明する。
ガラスラン10のサッシュホルダシール20と近接する側の先端は、図8図10に示すように、ガラスラン車外側側壁11とガラスラン車内側側壁12が切り欠かれたガラスラン底壁延設部14が形成されている。ガラスラン底壁13とガラスラン底壁延設部14は、サッシュホルダブラケット30の第1ガラスラン保持部底壁43に保持されている。
【0052】
ガラスラン底壁延設部14には、ガラスラン底壁延設部取付孔14aが形成されている。第1ガラスラン保持部底壁43のガラスラン底壁延設部取付孔14aと対応する部分には第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aが形成されている。ガラスラン底壁延設部取付孔14aと第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aを貫通して、ガラスラン取付クリップ15が挿入されている。
【0053】
このとき、図9に示すように、第1ガラスラン保持部底壁43の第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aが形成された部分は凹んで形成(ドアガラス5の側端から離れる方向に凹む)されている。従って、ガラスラン取付クリップ15の頭部15aは、ガラスラン底壁13の内面、及びサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部底壁21dと同じか、又は低く位置する。このため、ドアガラス5の昇降時のドアガラス5の側端の軌跡(図9の5aに示す)から離れて、ドアガラス5がぶれても、ドアガラス5の側端が固定部材の頭部に接触することがなく、異音の発生や摩擦抵抗が生じることが無く円滑に昇降することができる。
【0054】
図10に示すように、ガラスラン取付クリップ15がガラスラン底壁延設部14を固定する部分では、ホルダカバー部23は、第1ガラスラン保持部42と第2ガラスラン保持部52の先端で保持されている。ホルダカバー部23の間をドアガラス5の側端が昇降することができる。
【0055】
ガラスラン底壁延設部14は、図11に示すように、ガラスラン車外側側壁11とガラスラン車内側側壁12が切り欠かれている部分を覆うように、サッシュホルダシール20のホルダカバー部23でカバーされているため、ドアガラス5の昇降時にガラスラン10とサッシュホルダシール20の間の隙間で、ドアガラス5がぶれることがない。
【0056】
また、ガラスラン10の、ガラスラン車外側側壁11とガラスラン車内側側壁12が切り欠かれて、ホルダカバー部23は両側に開いて形成されるため、ガラスラン取付クリップ15をガラスラン底壁延設部14に取付けるときに、邪魔になるものがなく、取付が容易である。
【0057】
図12に示すように、ドア用ガゼット6がフロントドアに取付けられると、ガラスラン10の断面略コ字形の溝とサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部凹部21aとが連続して、ドアガラス5の側端を案内することができる。また、ガラスラン10は、ガラスラン取付クリップ15により固定されているため、ドアガラス5の昇降によっても、ガラスラン10がずれることがない。
【符号の説明】
【0058】
1 自動車ドア
5 ドアガラス
6 ドア用ガゼット
10 ガラスラン
11 ガラスラン車外側側壁
12 ガラスラン車内側側壁
13 ガラスラン底壁
14 ガラスラン底壁延設部
15 ガラスラン取付クリップ
20 サッシュホルダシール
30 サッシュホルダブラケット
32 ガラスラン保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15