(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(メタ)アクリレート系共重合体を構成する単量体(A)と単量体(B)との重量比が、(A):(B)=20:80〜80:20である、請求項1に記載の粘度指数向上剤。
(メタ)アクリレート系共重合体を構成する単量体(A)と単量体(B)の割合が、(メタ)アクリレート系共重合体の重量を基準として、それぞれ、単量体(A)が20〜80重量%、単量体(B)が20〜80重量%である、請求項1又は2に記載の粘度指数向上剤。
単量体(B)が、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B1))及び/又は炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B2))である、請求項1〜3のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
ギア油用、自動変速機油用、無段変速機油用、パワーステアリング油用、アクティブサスペンション油用、クッションアブゾーバー油用、油圧作動油用又はトラクション油用である、請求項8〜10のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の粘度指数向上剤は、上記一般式(1)で表されるシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート(単量体(A))及び炭素数1〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B))を必須構成単量体とする(メタ)アクリレート系共重合体を含有する粘度指数向上剤である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及び/又はメタクリレート、「(メタ)アクリル」とはアクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0021】
<シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート>
本発明において、一般式(1)で表されるシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート(単量体(A))のR
2及びR
3は、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。
【0022】
R
2及びR
3の具体的な例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、等が挙げられる。その中でも、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
【0023】
nは、1〜6の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。
【0024】
前記シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート(単量体(A))の具体的な例としては、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−ジメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−プロピルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−イソプロピルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−イソブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ペンチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヘキシルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヘプチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−オクチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ノニルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−デシルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−メチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3、4−ジメチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−エチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ブチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−イソブチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ペンチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ヘキシルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ヘプチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−オクチルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ノニルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−デシルシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−(3−メチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−メチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジメチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−エチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−プロピルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−イソプロピルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−ブチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−イソブチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−ヘキシルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−オクチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−ノニルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−デシルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、4−シクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4−(3−メチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−メチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(3,4−ジメチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−エチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−プロピルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−イソプロピルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−ブチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−イソブチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−ヘキシルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−オクチルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−ノニルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(4−デシルシクロヘキシル)ブチル(メタ)アクリレート、5−シクロヘキシルペンチル(メタ)アクリレート、5−(3−メチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−メチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(3,4−ジメチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−エチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−プロピルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−イソプロピルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−ブチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−イソブチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−ペンチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−ヘキシルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−オクチルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−ノニルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(4−デシルシクロヘキシル)ペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その中でも、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−ジメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−イソプロピルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−イソブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−(3−メチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−メチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジメチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−イソプロピルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−イソブチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)プロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0025】
<炭素数1〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B))>
炭素数1〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B))の具体的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−イコシル(メタ)アクリレート、n−テトラコシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−オクチルドデシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−オクチルドデシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0026】
<粘度指数向上剤>
本発明の粘度指数向上剤は、上記一般式(1)で表されるシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート(単量体(A))及び炭素数1〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B))を必須構成単量体とする(メタ)アクリレート系共重合体を含有することを特徴とするものであり、当該粘度指数向上剤及び潤滑油基油を含有する潤滑油組成物は、粘度指数、金属間摩擦係数が高く低温流動性に優れることから、動力伝達用に最適な組成物となる。
【0027】
前記シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート(単量体(A))は1種でもよく、2種以上を用いてもよい。
【0028】
また、炭素数1〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B))は1種でもよく、2種以上を用いてもよい。
【0029】
(メタ)アクリレート系共重合体を構成する単量体(A)と単量体(B)との重量比は、好ましくは(A):(B)=20:80〜80:20であり、特に25:75〜70:30の範囲が推奨される。
【0030】
本発明において、(メタ)アクリレート系共重合体を構成する単量体(A)及び単量体(B)の(メタ)アクリレート系共重合体の重量に対するそれぞれ割合は、低温流動性及び金属間摩擦係数の観点から、(メタ)アクリレート系共重合体の重量を基準として、単量体(A)が20〜80重量%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜70重量%の範囲である。また、粘度指数の観点から、(メタ)アクリレート系共重合体の重量を基準として、単量体(B)が20〜80重量%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜80重量%の範囲である。
【0031】
特に好ましい態様として、(メタ)アクリレート系共重合体を構成する単量体(A)と単量体(B)との重量比が、(A):(B)=20:80〜80:20の範囲であり、かつ、(メタ)アクリレート系共重合体の重量を基準として、単量体(A)が20〜80重量%、単量体(B)が20〜80重量%の範囲、特に、単量体(A)と単量体(B)との重量比が、(A):(B)=25:75〜70:30の範囲であり、かつ、(メタ)アクリレート系共重合体の重量を基準として、単量体(A)が20〜70重量%、単量体(B)が30〜80重量%の範囲であることが推奨される。
【0032】
さらに、単量体(A)と単量体(B)の合計量は、(メタ)アクリレート系共重合体の重量を基準として、低温流動性、金属間摩擦係数及び粘度指数の観点から、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上が推奨され、特にその合計量の推奨範囲であって単量体(A)及び単量体(B)のそれぞれの割合が前記の好ましい範囲となっていることが推奨される。
【0033】
(メタ)アクリレート系共重合体は、性能のバランスの観点から、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B1))及び/又は炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B2))を必須構成単量体とする(メタ)アクリレート系共重合体が好ましい。
が推奨される。
【0034】
単量体(B1)の具体的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
単量体(B1)のうち、高粘度指数の観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0036】
単量体(B2)の具体的な例としては、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−イコシル(メタ)アクリレート、n−テトラコシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−オクチルドデシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
単量体(B2)のうち、高粘度指数及び低温流動性の両立の観点から、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−オクチルドデシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート、が好ましく、さらに好ましくはn−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0038】
単量体(B)を構成する単量体(B2)は、低温流動性の観点から、単量体(B)の重量を基準として、60重量%以上が好ましく、特に70重量%が推奨される。
【0039】
(メタ)アクリレート系共重合体は、上記単量体(A)及び単量体(B)以外に、必要によりラジカル重合性の単量体(単量体(C))を構成単位に含むことができる。
【0040】
単量体(C)としては、炭素数25以上のアルキル(メタ)アクリレート(単量体(C1))、不飽和炭化水素(単量体(C2))、ビニルケトン(単量体(C3))、エポキシ基含有不飽和単量体(単量体(C4))、ハロゲン原子含有不飽和単量体(単量体(C5))、アルケニルカルボキシレート(単量体(C6))、アルキルアルケニルエーテル(単量体(C7))、窒素原子含有不飽和単量体(単量体(C8))、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル(単量体(C9))、単量体(A)を除くシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(単量体(C10))等が含まれる。
【0041】
単量体(C1)としては、アルキル基の炭素数が25以上の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0042】
単量体(C2)としては、脂肪族、脂環式又は芳香族の不飽和化合物が含まれ、具体的には、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブテン、ジイソブチレン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンスチレン等が挙げられる。
【0043】
単量体(C3)としては、脂肪族又は芳香族のビニルケトンが含まれ、具体的には、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトン等が挙げられる。
【0044】
単量体(C4)としては、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、グリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0045】
単量体(C5)としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0046】
単量体(C6)としては、アルケニル(炭素数2〜10)カルボキシレート(炭素数1〜20)が含まれる。具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、n−オクタン酸ビニル等が挙げられ、好ましくは酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルが推奨される。
【0047】
単量体(C7)としては、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、メチル(イソ)プロペニルエーテル等が挙げられる。
【0048】
単量体(C8)としては、第1級アミノ基を有する不飽和単量体{(メタ)アクリル酸アミノアルキル(炭素数1〜8)[(メタ)アクリル酸アミノエチル等]、(メタ)アクリルアミド[N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド等]、モノアルケニルアミン[モノアリルアミン等]など};第2級アミノ基を有する不飽和単量体{(メタ)アクリル酸−N−アルキル(炭素数1〜6)アミノアルキル(炭素数2〜6)エステル[メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸−N−エチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチルエステル等]、複素環アミノ基含有ビニル化合物[(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びN−ビニルピロール等]、ジアリルアミンなど};第3級アミノ基を有する不飽和単量体{(メタ)アクリル酸−N−ジアルキル(炭素数1〜8)アミノアルキル(炭素数2〜6)エステル[(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジ−t−ブチルアミノエチルエステル等]など};第4級アンモニウム基を有する不飽和単量体;アミド基を有する不飽和単量体{(メタ)アクリルアミド等};ニトロ基を有する不飽和単量体{(メタ)アクリロニトリル、ニトロスチレン等}、などが挙げられる。
【0049】
単量体(C9)としては、不飽和ジカルボン酸(例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等)ジアルキル(炭素数1〜40)エステルが含まれ、具体的にはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
【0050】
単量体(C10)としては、単量体(A)を除く炭素数3〜8のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレートが含まれ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。これらのシクロアルキル基が有する水素原子は直鎖又は分岐鎖のアルキル基で置換されていてもよい。具体的には、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
(メタ)アクリレート系共重合体中のラジカル重合性の単量体(単量体(C))の含有量は、低温流動性の観点から、(メタ)アクリレート系共重合体の重量を基準として、20重量%以下が好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0052】
(メタ)アクリレート系共重合体の重量平均分子量(以下Mwと略記する)は、高粘度指数及び低温流動性の両立の観点から、5,000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜50,000である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において(メタ)アクリレート系共重合体のMwは、後述の実施例に記載した方法で測定された値である。
【0053】
(メタ)アクリレート系共重合体は、公知の(メタ)アクリレートの重合体の製造方法と同様の製造方法によって容易に得ることができ、具体的には前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下に溶液重合することにより得る方法が挙げられる。
【0054】
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9〜10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン、鉱物油等が挙げられる。
【0055】
ラジカル重合開始剤(重合触媒)としては、アゾ系開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等)、過酸化物系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)、レドックス系開始剤(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)などが挙げられる。更に必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2〜20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
【0056】
重合温度は、好ましくは25〜140℃であり、更に好ましくは50〜120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により(メタ)アクリレート系共重合体を得ることができる。
【0057】
<動力伝達用潤滑油組成物>
本発明の動力伝達用潤滑油組成物は、上記粘度指数向上剤及び潤滑油基油を含有する潤滑油組成物である。潤滑油基油としては、鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油、ナフテン油等)、合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油等)、エステル系合成潤滑油等]及びこれらの混合物などが挙げられる。これらのうちで鉱物油が好ましい。
【0058】
潤滑油基油の100℃における動粘度(100℃)(JIS K2283で測定したもの)は、粘度指数の観点から、1〜10mm
2/sが好ましく、さらに好ましくは2〜6mm
2/sである。
【0059】
潤滑油基油の引火点は、貯蔵安定性の観点から、160℃以上が好ましく、さらに好ましくは180℃以上である。
【0060】
潤滑油基油の粘度指数(JIS K2283で測定したもの)は、省燃費性の観点から、50以上が好ましく、さらに好ましくは100以上である。
【0061】
本発明の動力伝達用潤滑油組成物において、本発明に係る粘度指数向上剤の含有量は、粘度指数及び金属間摩擦係数の観点から、当該潤滑油組成物の重量に基づいて、0.1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0062】
また、本発明の動力伝達用潤滑油組成物において、潤滑油基油の含有量は、粘度指数及び金属間摩擦係数の観点から、70〜99.9重量%が好ましく、さらに好ましくは80〜95重量%である。
【0063】
本発明の動力伝達用潤滑油組成物の動粘度(100℃)は、粘度指数の観点から、3〜15mm
2/sが好ましく、さらに好ましくは4〜10mm
2/sである。なお、本明細書及び特許請求の範囲において動粘度(100℃)は、後述の実施例に記載した方法で測定された値である。
【0064】
本発明の動力伝達用潤滑油組成物の粘度指数は、長期安定性の観点から、180以上が好ましく、さらに好ましくは190以上である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において粘度指数は、後述の実施例に記載した方法で測定された値から算出された値である。
【0065】
本発明の動力伝達用潤滑油組成物の流動点は、低温作動性の観点から、−20℃以下が好ましく、さらに好ましくは−30℃以下である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において流動点は、後述の実施例に記載した方法で測定された値である。
【0066】
本発明の動力伝達用潤滑油組成物の金属間摩擦係数は、0.060以上が好ましく、さらに好ましくは0.065以上である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において金属間摩擦係数は、後述の実施例に記載した方法で測定された値である。
【0067】
本発明の動力伝達用潤滑油組成物は、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、以下のものが挙げられる。
【0068】
(1)清浄剤
清浄剤としては、塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート、アルキルナフタレンスルフォネート等)の塩基性、過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物などが挙げられる。清浄剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、0.05〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。
【0069】
(2)分散剤
分散剤としては、コハク酸イミド類(ビス−又はモノ−ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物、ボレート類等が挙げられる。分散剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.05〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜10重量%である。
【0070】
(3)酸化防止剤
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、芳香族2級アミン類等が挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.05〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。
【0071】
(4)油性向上剤
油性向上剤としては、長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン、オレイルアミド等)などが挙げられる。油性向上剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.05〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0072】
(5)摩擦摩耗調整剤
摩擦摩耗調整剤としては、モリブデン系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート等)、亜鉛系化合物(ジンクジアルキルジチオフォスフェート等)などが挙げられる。摩擦摩耗調整剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.05〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。
【0073】
(6)極圧剤
極圧剤としては、硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド、硫黄フォスファイド化合物等)、フォスファイド化合物、塩素系化合物(塩素化パラフィン等)などが挙げられる。極圧剤を添加する場合、その使用量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.05〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜10重量%である。
【0074】
(7)消泡剤
消泡剤としては、シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル、フォスフェート化合物等が挙げられる。消泡剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.1〜1,000ppmが好ましく、さらに好ましくは10〜700ppmである。
【0075】
(8)抗乳化剤
抗乳化剤としては、4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油、フォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)などが挙げられる。坑乳化剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.05〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
【0076】
(9)腐食防止剤
腐食防止剤としては、窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール、1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート等)などが挙げられる。腐食防止剤を添加する場合、その配合量は、動力伝達用潤滑油組成物の重量に基づいて、動力伝達用潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0.05〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。
【0077】
本発明の動力伝達用潤滑油組成物は、粘度指数及び金属間摩擦係数が高く、低温特性が良好なため、ギア油用、自動変速機油用、無段変速機油用、パワーステアリング油用、アクティブサスペンション油用、クッションアブゾーバー油用、油圧作動油又はトラクション油用等の動力伝達用潤滑油組成物として使用でき、特に省燃費に対応した動力伝達用潤滑油組成物として好適に使用できる。
【実施例】
【0078】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例および比較例中の各特性の測定方法は以下の通りである。特に言及していない化合物は試薬を使用した。
【0079】
<化合物の略号>
製造例、実施例および比較例中の化合物の略称は以下の通りである。
[原料]
シクロヘキサンメタノール 東京化成工業株式会社製
3−シクロヘキシル−1−プロパノール 東京化成工業株式会社製
1−テトラデカノール 東京化成工業株式会社製
1−ヘキサデカノール 東京化成工業株式会社製
[単量体]
単量体(A)
CHMMA:シクロヘキサンメチルメタクリレート
CHPMA:3−シクロヘキシルプロピルメタクリレート
単量体(B1)
MMA:メチルメタクリレート 東京化成工業株式会社製
単量体(B2)
DDMA:ドデシルメタクリレート 新日本理化株式会社製 製品名「エヌジェルブ CM−12」
単量体(C)
BMA:ベンジルメタクリレート 東京化成工業株式会社製
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート 東京化成工業株式会社製
[連鎖移動剤]
DM:ドデシルメルカプタン 東京化成工業株式会社製
[ラジカル重合開始剤]
ADVN:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ二トリル) 東京化成工業株式会社製
[潤滑油基油]
YUBASE 3:SKルブリカンツ社製(鉱物油)
【0080】
<単量体のGCによる純度測定法>
単量体を1重量%となるようにアセトンで希釈して、GC測定用の試料溶液を調製する。下記の測定条件にてGC面積%を測定した。
[測定条件]
機器:島津製作所製 GC−2010
カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製DB−1 30mx0.25mm×0.25μm
カラム温度:60〜300℃(昇温速度10℃/min)
インジェクション温度/検出器温度:305℃/305℃
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
ガス流量:1.08ml/min
【0081】
<(メタ)アクリレート系共重合体のGPCによる重量平均分子量の測定法>
(メタ)アクリレート系共重合体約0.2gをテトラヒドロフラン約30mlで希釈して、分子量測定用の試料溶液を調製する。ゲルパーミエーションクロマトクラフィー(GPC)を用いて下記の測定条件でポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
[測定条件]
装置:株式会社島津製作所 Prominence GPCシステム
カラム:昭和電工株式会社製 shodex LF−Gを1本とshodex LF804を2本直列に連結
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
検出器:RI
【0082】
[潤滑油組成物の物性測定]
<動粘度および粘度指数の測定法>
JIS K2283(2000)に準拠して、40℃、100℃における動粘度を測定し、得られた測定値から粘度指数を算出した。
【0083】
<低温流動性試験(流動点)の測定法>
JIS K2269(1987)に準拠して流動点を測定した。
【0084】
<金属間摩擦係数>
JPI−5s−32−90に準じ、下記の測定条件にて1時間摩擦試験した時の平均摩擦係数を測定し、金属間摩擦係数とした。
[測定条件]
装置:神鋼造機株式会社製 高速四球形摩擦試験機
試験片:シェル四球試験用鋼球(サイズ1/2) JIS B1501(株式会社天辻鋼球製作所製)
回転速度:1200rpm
試料温度:75℃
荷重:40kg
【0085】
<(メタ)アクリレート系共重合体の溶解性>
YUBASE 3に、(メタ)アクリレート系共重合体を濃度が10重量%になるように添加し、100℃で2時間撹拌し、1週間室温で放置した後の状態を目視で観察して評価した。その評価の基準は次の通りである。該基準では、○が溶解性に優れる。×が溶解性に劣るとの評価になる。その評価の基準は、次の通りである。
○ : 溶液が均一
× : 析出物が認められる
【0086】
[製造例1]
撹拌器、温度計、冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコにシクロヘキサンメタノール320.0g(2.80mol)、重合禁止剤としてヒドロキノン1.5g、エステル化触媒としてパラトルエンスルホン酸一水和物10g、メタクリル酸265.2g(3.08mol)、シクロヘキサン75gを仕込み、徐々に110℃まで昇温した。理論生成水量(50.4g)を目処にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しつつ、還流が起こるように減圧度を調整しながら、エステル化反応を行い、全酸価が30以下となるまで反応を行った。反応終了後、シクロヘキサン及び残存するメタクリル酸を蒸留により除去してエステル化粗物を得た。次いで、得られたエステル化粗物の全酸価に対して1.3倍当量の苛性ソーダ水溶液で中和した後、水洗した。水洗は、水洗水が中性になるまで行った。水洗後に得られたエステル化粗物に硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、濾過により硫酸マグネシウムを除去して、99.4GC面積%のCHMMA460.3g(2.52mol)を得た。
【0087】
[製造例2]
シクロヘキサンメタノールを3−シクロヘキシル−1−プロパノール398.3g(2.80mol)に変更した以外は製造例1と同様の方法で実施して、99.4GC面積%のCHPMA535.9g(2.55mol)を得た。
【0088】
[製造例3]
四つ口フラスコを2リットルに変更し、シクロヘキサンメタノールを1−テトラデカノール600.3g(2.80mol)に変更した以外は製造例1と同様の方法で実施して、96.1GC面積%のテトラデシルメタクリレート(TDMA)720.3g(2.55mol)を得た。
【0089】
[製造例4]
四つ口フラスコを2リットルに変更し、シクロヘキサンメタノールを1−ヘキサデカノール678.8g(2.80mol)に変更した以外は製造例1と同様の方法で実施して、99.4GC面積%のヘキサデシルメタクリレート(HDMA)807.4g(2.60mol)を得た。
【0090】
[実施例1]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、窒素吹き込み管、減圧装置を備えた反応容器に、トルエン25重量部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、CHMMA47重量部、MMA10重量部、DDMA27重量部、HDMA16重量部(単量体の合計として100重量部)、連鎖移動剤としてDMを1重量部、ラジカル重合開始剤としてADVNを0.5重量部仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、その単量体溶液を滴下ロートに仕込んだ。反応容器内を減圧にして脱気した後、窒素パージする操作を3回行った。密閉下85℃で2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、130℃、0.13kPa以下の減圧下で3時間トルエンを留去して、(メタ)アクリレート系共重合体(a1)を得た。得られた(メタ)アクリレート系共重合体(a1)を本発明の粘度指数向上剤(1)として用いた。なお、(メタ)アクリレート系共重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)を測定し、表1に示した。
【0091】
[実施例2〜6]
実施例1で用いた単量体を表1に記載の単量体に代えた以外は実施例1と同様な方法で実施して、(メタ)アクリレート系共重合体(a2)〜(a6)を得た。得られた(メタ)アクリレート系共重合体(a2)〜(a6)をそれぞれ本発明の粘度指数向上剤(2)〜(6)として用いた。なお、(メタ)アクリレート系共重合体(a2)〜(a6)の重量平均分子量(Mw)を測定し、表1に示した。
【0092】
[比較例1〜3]
実施例1で用いた単量体を表1に記載の単量体に代えた以外は実施例1と同様な方法で実施して、(メタ)アクリレート系共重合体(b1)〜(b3)を得た。得られた(メタ)アクリレート系共重合体(b1)〜(b3)をそれぞれ本発明外の粘度指数向上剤(1’)〜(3’)として用いた。なお、(メタ)アクリレート系共重合体(b1)〜(b3)の重量平均分子量(Mw)を測定し、表1に示した。
【0093】
【表1】
【0094】
[実施例7]
潤滑油基油としてのYUBASE 3に100℃で撹拌しながら、粘度指数向上剤(1)を加えて、潤滑油組成物として100℃での動粘度が7mm
2/s程度となるように調整し、本発明の動力伝達用潤滑油組成物を得た。当該潤滑油組成物の物性値を表2に示した。
【0095】
[実施例8〜12]
実施例7で用いた粘度指数向上剤を表1に記載の粘度指数向上剤(2)〜(6)にそれぞれ代えた以外は実施例7と同様な方法で実施して、本発明の動力伝達用潤滑油組成物を得た。これらの潤滑油組成物の物性値を表2に示した。
【0096】
[比較例4]
実施例7で用いた粘度指数向上剤を表1に記載の粘度指数向上剤(1’)に代えた以外は実施例7と同様な方法で実施して、本発明外の潤滑油組成物を得た。当該潤滑油組成物の物性値を表2に示した。
【0097】
[比較例5]
実施例7で用いた粘度指数向上剤を表1に記載の粘度指数向上剤(2’)に代えた以外は実施例7と同様な方法で実施して、本発明外の潤滑油組成物の調製を試みたが、粘度指数向上剤(2’)が溶解しなかった。その為、物性値を測定することができなかった。
【0098】
[比較例6]
実施例7で用いた粘度指数向上剤を表1に記載の粘度指数向上剤(3’)に代えた以外は実施例7と同様な方法で実施して、本発明外の潤滑油組成物を得た。当該潤滑油組成物の物性値を表2に示した。
【0099】
[比較例7]
YUBASE 3を潤滑油とし、その物性値を表2に示した。
【0100】
【表2】
【0101】
表2からわかるように実施例7〜実施例12に記載の動力伝達用潤滑油組成物は粘度指数が190以上と高く、流動点が−30℃以下と低く、金属間摩擦係数が0.060以上と高い。
【0102】
比較例4に記載の潤滑油組成物は粘度指数および流動点は良好であるが、金属間摩擦係数が低く、比較例5に記載の粘度指数向上剤(2’)はYUBASE 3のような鉱物油への溶解性が低く、粘度指数向上剤として用いることができない。比較例6に記載の潤滑油組成物は金属間摩擦係数は高いが、粘度指数は低くまた流動点は高い。また、比較例7からわかるように本発明の粘度指数向上剤を添加していない潤滑油基油YUBASE 3のみであると、粘度指数および金属間摩擦係数が低い。
【0103】
以上のことからシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート(単量体(A))及び炭素数1〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(単量体(B))を必須構成単量体とする(メタ)アクリレート系共重合体を含有する粘度指数向上剤を用いることで、高粘度指数かつ優れた低温流動性かつ高金属間摩擦係数を示す潤滑油組成物を得ることができ、動力伝達用潤滑油に好適に用いることができる。