(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記底版ブロックの前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管との間隙にはグラウト材が充填されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水域構造物。
前記底版ブロックの前記突出さや管には芯材が差し込まれていて、かつ、差し込まれた該芯材の上端は前記突出さや管の上端よりも高い位置に達しており、さらに、前記芯材と該芯材が差し込まれた前記突出さや管とは一体化され、前記芯材と前記上部部材さや管とは一体化されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水域構造物。
前記芯材と該芯材が差し込まれた前記突出さや管との間隙にはグラウト材が充填され、前記芯材と前記上部部材さや管との間隙にはグラウト材が充填されていることを特徴とする請求項6に記載の水域構造物。
少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、
前記施工地点で前記底版ブロックを沈設する底版ブロック沈設工程と、
上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で一体化する上部部材ブロック設置工程と、
を有することを特徴とする水域構造物の施工方法。
少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有し、かつ、杭が差し込まれる杭用さや管を上下方向が開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、
前記施工地点で前記底版ブロックを水底に沈設する底版ブロック沈設工程と、
前記底版ブロック沈設工程で前記底版ブロックを水底に沈設した後、前記杭用さや管の内側の水底に杭を打設する杭打設工程と、
前記底版ブロックの前記杭用さや管と前記杭とを一体化する底版ブロック固定工程と、
上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で一体化する上部部材ブロック設置工程と、
を有することを特徴とする水域構造物の施工方法。
少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、
前記施工地点で前記底版ブロックを沈設する底版ブロック沈設工程と、
前記底版ブロック沈設工程で沈設した前記底版ブロックの前記突出さや管に該突出さや管よりも長さの長い芯材を差し込み、差し込んだ該芯材と前記突出さや管とを一体化する芯材設置工程と、
上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管および前記芯材設置工程で設置された前記芯材に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化し、かつ前記芯材設置工程で設置された前記芯材と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化する上部部材ブロック設置工程と、
を有することを特徴とする水域構造物の施工方法。
少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有し、かつ、杭が差し込まれる杭用さや管を上下方向が開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、
前記施工地点で前記底版ブロックを水底に沈設する底版ブロック沈設工程と、
前記底版ブロック沈設工程で前記底版ブロックを水底に沈設した後、前記杭用さや管の内側の水底に杭を打設する杭打設工程と、
前記底版ブロックの前記杭用さや管と前記杭とを一体化する底版ブロック固定工程と、
前記底版ブロック沈設工程で沈設した前記底版ブロックの前記突出さや管に該突出さや管よりも長さの長い芯材を差し込み、差し込んだ該芯材と前記突出さや管とを一体化する芯材設置工程と、
上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管および前記芯材設置工程で設置された前記芯材に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化し、かつ前記芯材設置工程で設置された前記芯材と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化する上部部材ブロック設置工程と、
を有することを特徴とする水域構造物の施工方法。
前記芯材と該芯材が差し込まれた前記突出さや管との間隙にグラウト材を充填し、前記芯材と該芯材が差し込まれた前記上部部材さや管との間隙にグラウト材を充填することを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の水域構造物の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された、陸上で建設した可動式防波堤は、「底壁構造体の両側縁に一対の側壁部を一体突設することにより、その3つの壁部により取り囲まれた流通路が中央部に形成された横断面略コ字状の堤本体と、該堤本体に開閉自在に取り付けられる扉体の開閉駆動装置とを備えた可動式防波堤」であり、大型の部材であり、海上輸送時に海面下に沈む部位の鉛直方向の長さが長くなるため、水深の浅い地点での施工は困難である。また、施工可能な地点で施工する場合も、陸上で建設した可動式防波堤の大きさが大きいため、大型の施工重機や船舶を用いる必要がある。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、施工地点の水を排出することが不要な上に、比較的水深の浅い地点でも施工が可能で、かつ、施工に用いる重機や船舶の大きさを従来よりも小型化できる水域構造物および水域構造物の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の水域構造物により、前記課題を解決したものである。
【0011】
即ち、本発明に係る水域構造物の第1の態様は、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックと、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックと、を備えた水域構造物であって、前記底版ブロックは、前記底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有しており、さらに、前記底版ブロックは、水底に沈設されていて、前記上部部材ブロックは水底に沈設された前記底版ブロックの上方に配置され、前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管は、水底に沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管に差し込まれており、さらに、前記底版ブロックの前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管は
、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で一体化されていることを特徴とする水域構造物である。
【0012】
なお、本出願において、「差し込む」とは、径の大きいものの中に径の小さいものを挿入する場合と、径の大きいものを径の小さいものに被せる場合の両方を含むものとする。ただし、ここで言う「径」は、棒状の部材をその長手方向と直交する平面で切断したときの断面において最大となる差し渡しの長さのことであり、本願の他の箇所で用いている「径」も同様の意味である。前記棒状の部材はその長手方向と直交する平面で切断したときの断面が円形となる部材に限られない。
【0013】
また、本出願において、「一体化」とは、設計で想定する断面力を伝達できるような連結状態であれば足り、設計で想定する断面力以外の力については伝達できない連結状態も含む概念である。
【0014】
本発明に係る水域構造物の第2の態様は、水底に打設された杭と、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックと、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックと、を備えた水域構造物であって、前記底版ブロックは、前記底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有しており、かつ、前記底版ブロックは杭用さや管を該杭用さや管の内部空間が少なくとも下方に開口するように有しており、さらに、前記底版ブロックは、前記杭用さや管が前記杭に差し込まれるように水底に沈設されていて、前記上部部材ブロックは水底に沈設された前記底版ブロックの上方に配置され、前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管は、水底に沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管に差し込まれ、さらに、
前記杭用さや管と該杭用さや管が差し込まれた前記杭とは一体化され、前記底版ブロックの前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管は
、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で一体化さ
れていることを特徴とする水域構造物である。
【0015】
前記杭用さや管と該杭用さや管に差し込まれた前記杭との間隙にはグラウト材が充填されていることが好ましい。また、前記底版ブロックの前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管との間隙にはグラウト材が充填されていることが好ましい。
また、前記突出さや管の上端と前記上部部材さや管の隙間に治具が打ち込まれて、前記上部部材ブロックの傾きが調整されているようにしてもよい。
【0016】
さらに、前記底版ブロックの前記突出さや管には芯材が差し込まれていて、かつ、差し込まれた該芯材の上端は前記突出さや管の上端よりも高い位置に達しており、さらに、前記芯材と該芯材が差し込まれた前記突出さや管とが一体化され、前記芯材と前記上部部材さや管とが一体化されていれば、外力に対する抵抗力をより大きくすることができる。
【0017】
前記芯材と該芯材が差し込まれた前記突出さや管との間隙にはグラウト材が充填され、前記芯材と前記上部部材さや管との間隙にはグラウト材が充填されていることが好ましい。
【0018】
前記芯材としては、例えば鋼管を用いることができる。
【0019】
前記上部部材ブロックは、例えば、堰柱を構成する部材としてもよい。
【0020】
ここで、堰柱とは、水門躯体を構成する部材の1つであり、水路の両側に立設される柱状の部材のことである。
【0021】
前記底版ブロックの前記中空部を形成している部材を、鋼板、プレキャスト鉄筋コンクリート、プレキャストコンクリートおよび鋼コンクリート合成構造のうちの少なくともいずれかを有して構成するようにしてもよい。なお、鋼コンクリート合成構造とは、鋼板とコンクリートが鋼板表面に設けられたずれ止めを介して一体化された構造または鉄筋コンクリートの中にH形鋼等の鋼材が埋め込まれて一体化された構造(SRC構造)のことである。
【0022】
前記上部部材ブロックは、前記上部部材さや管および該上部部材さや管の内部空間以外の部位は、鋼板、プレキャスト鉄筋コンクリート、プレキャストコンクリートおよび鋼コンクリート合成構造のうちの少なくともいずれかを有して構成するようにしてもよい。
【0023】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第1の態様は、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、前記施工地点で前記底版ブロックを沈設する底版ブロック沈設工程と、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを
、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で一体化する上部部材ブロック設置工程と、を有することを特徴とする水域構造物の施工方法である。
【0024】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第2の態様は、施工地点の水底に杭を打設する杭打設工程と、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有し、かつ、前記杭が差し込まれる杭用さや管を少なくとも下方が開口するように有する底版ブロックを、前記施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、前記施工地点で前記底版ブロックを、該底版ブロックの前記杭用さや管が、前記杭打設工程で水底に打設された前記杭に差し込まれるように、水底に沈設する底版ブロック沈設工程と、前記底版ブロック沈設工程で、前記底版ブロックを、前記杭用さや管が前記杭打設工程で水底に打設された前記杭に差し込まれるように水底に沈設した後、前記底版ブロックの前記杭用さや管と前記杭とを一体化する底版ブロック固定工程と、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを
、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で一体化する上部部材ブロック設置工程と、を有することを特徴とする水域構造物の施工方法である。
【0025】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第3の態様は、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有し、かつ、杭が差し込まれる杭用さや管を上下方向が開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、前記施工地点で前記底版ブロックを水底に沈設する底版ブロック沈設工程と、前記底版ブロック沈設工程で前記底版ブロックを水底に沈設した後、前記杭用さや管の内側の水底に杭を打設する杭打設工程と、前記底版ブロックの前記杭用さや管と前記杭とを一体化する底版ブロック固定工程と、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを
、前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で一体化する上部部材ブロック設置工程と、を有することを特徴とする水域構造物の施工方法である。
【0026】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第4の態様は、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、前記施工地点で前記底版ブロックを沈設する底版ブロック沈設工程と、前記底版ブロック沈設工程で沈設した前記底版ブロックの前記突出さや管に該突出さや管よりも長さの長い芯材を差し込み、差し込んだ該芯材と前記突出さや管とを一体化する芯材設置工程と、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管および前記芯材設置工程で設置された前記芯材に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、
前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化し、かつ前記芯材設置工程で設置された前記芯材と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化する上部部材ブロック設置工程と、を有することを特徴とする水域構造物の施工方法である。
【0027】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第5の態様は、施工地点の水底に杭を打設する杭打設工程と、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有し、かつ、前記杭が差し込まれる杭用さや管を少なくとも下方が開口するように有する底版ブロックを、前記施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、前記施工地点で前記底版ブロックを、該底版ブロックの前記杭用さや管が、前記杭打設工程で水底に打設された前記杭に差し込まれるように、水底に沈設する底版ブロック沈設工程と、前記底版ブロック沈設工程で、前記底版ブロックを、該底版ブロックの前記杭用さや管が前記杭打設工程で水底に打設された前記杭に差し込まれるように水底に沈設した後、前記底版ブロックの前記杭用さや管と前記杭とを一体化する底版ブロック固定工程と、前記底版ブロック沈設工程で沈設した前記底版ブロックの前記突出さや管に該突出さや管よりも長さの長い芯材を差し込み、差し込んだ該芯材と前記突出さや管とを一体化する芯材設置工程と、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管および前記芯材設置工程で設置された前記芯材に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、
前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管と
を一体化し、かつ前記芯材設置工程で設置された前記芯材と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化する上部部材ブロック設置工程と、を有することを特徴とする水域構造物の施工方法である。
【0028】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第6の態様は、少なくとも下方および側方が開口していない中空部を有する底版ブロックであって、該底版ブロックの上面よりも上方の位置まで延伸している突出さや管を、該突出さや管の内部空間が少なくとも上方に開口するように有し、かつ、杭が差し込まれる杭用さや管を上下方向が開口するように有する底版ブロックを、施工地点まで回航または曳航する水上輸送工程と、前記施工地点で前記底版ブロックを水底に沈設する底版ブロック沈設工程と、前記底版ブロック沈設工程で前記底版ブロックを水底に沈設した後、前記杭用さや管の内側の水底に杭を打設する杭打設工程と、前記底版ブロックの前記杭用さや管と前記杭とを一体化する底版ブロック固定工程と、前記底版ブロック沈設工程で沈設した前記底版ブロックの前記突出さや管に該突出さや管よりも長さの長い芯材を差し込み、差し込んだ該芯材と前記突出さや管とを一体化する芯材設置工程と、上部部材さや管を該上部部材さや管の内部空間が上下方向に開口するように有する上部部材ブロックを、該上部部材ブロックの該上部部材さや管が、沈設された前記底版ブロックの前記突出さや管および前記芯材設置工程で設置された前記芯材に差し込まれるように、前記底版ブロックの上に配置した後、
前記上部部材ブロックの傾きが調整された状態で、前記底版ブロックの前記突出さや管と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管と
を一体化し、かつ前記芯材設置工程で設置された前記芯材と前記上部部材ブロックの前記上部部材さや管とを一体化する上部部材ブロック設置工程と、を有することを特徴とする水域構造物の施工方法である。
【0029】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第2、3、5、6の態様において、前記杭用さや管と該杭用さや管に差し込まれた前記杭との間隙に、グラウト材を充填してもよい。
【0030】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第4〜6の態様において、前記芯材と該芯材が差し込まれた前記突出さや管との間隙にグラウト材を充填し、前記芯材と該芯材が差し込まれた前記上部部材さや管との間隙にグラウト材を充填してもよい。
【0031】
本発明に係る水域構造物の施工方法の第1〜6の態様において、前記底版ブロックの前記突出さや管と該突出さや管に差し込まれた前記上部部材さや管との間隙に、グラウト材を充填してもよい。
【0032】
前記上部部材ブロックは、例えば、堰柱を構成する部材としてもよい。
【0033】
前記底版ブロックは、前記中空部への注水前は水面に浮くことができることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る水域構造物および水域構造物の施工方法によれば、施工地点の水を排出することが不要な上に、比較的水深の浅い地点でも施工が可能で、かつ、施工に用いる重機や船舶の大きさを従来よりも小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施形態に係る水域構造物を鉛直面で切断した断面図(
図2のI−I線断面図)であり、
図2は、本発明の実施形態に係る水域構造物を上方から見た平面図である。
図3は、本実施形態に係る水域構造物の底版ブロックを鉛直面で切断した断面図(
図4のIII−III線断面図)であり、
図4は
図3のIV−IV線断面図である。
図5は、本実施形態に係る水域構造物の堰柱ブロックを鉛直面で切断した断面図(
図6のV−V線断面図)であり、
図6は
図5のVI−VI線断面図である。
図7〜
図17は、本実施形態に係る水域構造物の各施工段階を模式的に示す側面図である。
図18は、本実施形態に係る水域構造物を用いた構造物を模式的に示す側面図である。
【0038】
(本実施形態に係る水域構造物10の構造の概要)
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る水域構造物10は、鋼管杭12と、底版ブロック14と、芯材16と、堰柱ブロック(上部部材ブロック)18と、を備えてなる水門躯体の下部構造であるが、水域構造物10を構成する各部材(鋼管杭12、底版ブロック14、芯材16、堰柱ブロック18)は、対象の水底に据え付けられて連結されるまでは別部材になっており、別々に運搬できるようになっている。
【0039】
鋼管杭12は円筒状の鋼管であり、所定の支持力が確保できる深さまで地中に打ち込まれており、底版ブロック14を下方から支持して水域構造物10を安定させて、台風等の悪天時や地震による津波襲来時にも水域構造物10全体が転倒することのないようにする役割を有する。鋼管杭12の頭部には、補強のためにコンクリートを打設することが好ましく、本実施形態では鋼管杭12の頭部にはコンクリートが打設されている。ここで、鋼管杭12の頭部とは、鋼管杭12の上端の位置から、地盤面(水底)よりも鋼管杭12の杭径程度下方の位置までのことである。そして、頭部にコンクリートが打設された鋼管杭12の上端部には、底版ブロック14の杭用さや管14Bが差し込まれていて、グラウト材40により一体化されている。鋼管杭12の上端部が底版ブロック14の杭用さや管14Bに、鋼管杭12の杭径以上の長さだけ差し込まれていれば、その接合部に要求される必要な強度を確保できることが多い。本実施形態では、鋼管杭12は水底に打設されており、グラウト材40の充填は水中での施工となるため、グラウト材40としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
【0040】
なお、本実施形態では杭として鋼管杭12を用いているが、本発明に適用可能な杭は鋼管杭に限定されるわけではなく、本発明においては、例えばH形の鋼材を杭として用いることもできる。また、本発明に適用可能な杭の材質は鋼製に限定されるわけではなく、例えばコンクリート製の杭等を用いることもできる。
【0041】
底版ブロック14は版状の部材であり、その底面(底面鋼板14E)が、基礎捨石層82および均しコンクリート84(
図9〜
図18参照)を介して地盤1に接地されていて広い受圧面積を有しているとともに、鋼管杭12を介して地盤1に固定されており、水域構造物10の全体を安定性よく支持する土台の役割を有する。底版ブロック14は突出さや管14Aおよび杭用さや管14Bを有しており、底版ブロック14は、突出さや管14Aを介して堰柱ブロック(上部部材ブロック)18と強固に連結できるようになっており、また、杭用さや管14Bを介して鋼管杭12と強固に連結できるようになっている。水底に沈設後の底版ブロック14の上面と水底との位置関係は特に限定されないが、水流の影響を抑える点で、底版ブロック14の上面が水底の地表面とほぼ一致するようにすることが好ましい。なお、均しコンクリート84は、水底および地盤の状況や構造物の種類によっては省略してもよい。
【0042】
芯材16は、堰柱ブロック(上部部材ブロック)18と底版ブロック14との間の応力伝達を強固にする役割を有し、突出さや管14Aの内側に差し込まれ、鉛直方向に立設され、芯材16の上端は突出さや管14Aの上端よりも高い位置に達している。この状態において、突出さや管14Aと芯材16との間の隙間にはグラウト材42が充填されており、突出さや管14Aと芯材16とは一体化されている。そして、突出さや管14Aと芯材16とを一体化した後、堰柱ブロック18の堰柱さや管(上部部材さや管)18Aが突出さや管14Aおよび芯材16の外側に差し込まれるように、堰柱ブロック18が配置されており、この配置状態において堰柱さや管18Aの内側にはグラウト材44が充填されていて、突出さや管14A、芯材16および堰柱さや管(上部部材さや管)18Aは一体化されている。グラウト材42、44としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
【0043】
芯材16の材質および形状は、必要な強度および剛度が確保されていれば、特には限定されず、例えば鋼管や棒状の鋼材(鋼板を切り出して溶接によりI型断面にビルドアップした鋼材や既製のH形鋼等)を用いることができる。
【0044】
また、水門の場合、堰柱ブロック(上部部材ブロック)18の内側面の凹部18Fに取り付けられた戸当りに沿って水門扉体52(
図18参照)が昇降するので、堰柱ブロック18の傾きを厳密に管理する必要があるが、芯材16はこの管理を容易にする役割も有する。堰柱さや管(上部部材さや管)18Aが突出さや管14Aおよび芯材16の外側に差し込まれるように、堰柱ブロック18を配置した後、芯材16の上端と堰柱さや管18Aの隙間にクサビ状の治具を打ち込むことで堰柱ブロック18の傾きも容易に調整することができる。
【0045】
なお、堰柱ブロック(上部部材ブロック)18によって底版ブロック14上に構築される堰柱(上部部材)の高さが低い場合には、底版ブロック14の突出さや管14Aの高さを堰柱ブロック(上部部材ブロック)18の天端付近まで立ち上げることで、芯材16を省略しても安全性が確保できる場合も考えられる。この場合には、芯材16を省略してもよい。
【0046】
堰柱ブロック(上部部材ブロック)18は、水門扉体52を支持する役割を有する。堰柱ブロック18は、堰柱さや管(上部部材さや管)18Aをその内部空間が上下方向に開口するように備えている。そして、前述したように、堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aが突出さや管14Aおよび芯材16の外側に差し込まれるように、堰柱ブロック18が底版ブロック14の上に配置されており、この配置状態において堰柱さや管18Aの内側にはグラウト材44が充填されていて、突出さや管14A、芯材16および堰柱さや管18Aはグラウト材44を介して一体化されている。これにより、水門扉体52が波浪等から受けた外力は、堰柱ブロック18を介して底版ブロック14に伝達され、地盤1に伝達される。
【0047】
なお、堰柱ブロック18は上下方向に複数段積むようにすることも可能である。堰柱ブロック18を上下方向に複数段積む場合、最下段の堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aのみに突出さや管14Aが突出さや管14Aの管径以上差し込まれていれば安全性が確保されることが多い。最下段の堰柱ブロック18よりも上段の堰柱さや管18Aに突出さや管14Aを差し込む必要がない場合、最下段の堰柱ブロック18よりも上段の堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aの管径は、芯材16を差し込むことができる管径であればよく、最下段の堰柱ブロック18の管径よりも小さくすることも可能である。
【0048】
(底版ブロック14の詳細について)
図3および
図4に示すように、底版ブロック14は、突出さや管14Aと、杭用さや管14Bと、上面外壁14Cと、側面外壁14Dと、底面鋼板14Eと、隔壁鋼板14Fと、を備えてなる。突出さや管14Aと杭用さや管14Bは鋼管であり、上面外壁14Cおよび側面外壁14Dは鋼とコンクリートの合成版であり、底面鋼板14Eは鋼板である。上面外壁14Cおよび側面外壁14Dを構成する鋼とコンクリートの合成版は、内面に鋼板が配置され外面にコンクリートが配置されてなり、鋼板の外面に所定の間隔で取り付けられた複数のスタッドによって鋼板とコンクリートが一体化された構造である。
【0049】
突出さや管14Aは、その内部空間が少なくとも上方に開口するように設けられており、杭用さや管14Bは、その内部空間が少なくとも下方に開口するように設けられている。突出さや管14Aは、底版ブロック14の上面よりも上方の位置まで延伸している。一方、杭用さや管14Bは、底版ブロック14の上面および下面の間に収まっている。
【0050】
突出さや管14Aおよび杭用さや管14Bは、上面外壁14Cの鋼板との溶接および上面外壁14Cのコンクリートとの付着力により上面外壁14Cに連結されており、また溶接により底面鋼板14Eと連結されている。なお、突出さや管14Aの内部空間は上方が開口しているだけでなく、下方が開口していてもよく、突出さや管14Aの内部空間は上下方向に開口していてもよい。また、杭用さや管14Bの内部空間は下方に開口しているだけでなく、上方に開口していてもよく、杭用さや管14Bの内部空間は上下方向に開口していてもよい。本実施形態では、突出さや管14Aの内部空間は上方のみが開口しているものとして、また、杭用さや管14Bの内部空間は上下方向に開口しているものとして、
図1〜
図4を描いている。杭用さや管14Bの内部空間が上下方向に開口している場合、鋼管杭12を施工地点の水底に打設するよりも前に底版ブロック14を沈設して、その後に、杭用さや管14Bの内側の水底に鋼管杭12を打設してもよい。
【0051】
突出さや管14Aの内側には芯材16が差し込まれ、また、突出さや管14Aの外側には上部部材さや管18Aが差し込まれ、杭用さや管14Bの内側には鋼管杭12が差し込まれる。この状態において、突出さや管14Aと芯材16との間の隙間にはグラウト材42が充填されており、突出さや管14Aと芯材16とは一体化されており、また、堰柱さや管18Aの内側にはグラウト材44が充填されていて、突出さや管14A、芯材16および堰柱さや管(上部部材さや管)18Aは一体化されており、また、杭用さや管14Bの内側には、グラウト材40が充填されていて、杭用さや管14Bと鋼管杭12は一体化されている。
【0052】
突出さや管14Aの外周面および杭用さや管14Bの外周面、上面外壁14Cの内側の面、底面鋼板14Eの上側の面、および隔壁鋼板14Fで囲まれた部位は、中空部14Gとなっている。この中空部14Gには、底版ブロック14を水底に沈設する際に注水されるが、底版ブロック14を水底の所定の位置(底版ブロック14の杭用さや管14Bが、予め水底の所定位置に設置された鋼管杭12に差し込まれるような位置)に沈設した後、水中コンクリートを充填してもよい。図示はしていないが、中空部14Gの上側の上面外壁14Cには、中空部14Gへの注水や水中コンクリートの充填が可能なように、貫通孔が設けられている。
【0053】
隔壁鋼板14Fは補強のための部材であり、突出さや管14Aおよび杭用さや管14Bの位置を保持するとともに、底版ブロック14の全体の形状を保持する役割を有し、突出さや管14Aおよび杭用さや管14Bの外面、上面外壁14Cの内側の鋼板の下面、側面外壁14Dの内側の鋼板の内面、および底面鋼板14Eの上面と溶接により連結されている。
【0054】
杭用さや管14Bは、鋼管杭12の上端部に差し込まれているが、前述したように、鋼管杭12と杭用さや管14Bとの間にはグラウト材40が充填されて一体化され、これにより鋼管杭12は底版ブロック14と一体化される。前述したように、鋼管杭12の上端部が底版ブロック14の杭用さや管14Bに、鋼管杭12の杭径以上の長さだけ差し込まれていれば、その接合部に要求される必要な強度を確保できることが多い。
【0055】
突出さや管14Aと杭用さや管14Bとは、前述したように、上面外壁14Cの鋼板との溶接および上面外壁14Cのコンクリートとの付着力により上面外壁14Cに連結されており、また溶接により底面鋼板14Eと連結されているので、突出さや管14A、杭用さや管14B、上面外壁14C、側面外壁14Dおよび底面鋼板14Eは相互に応力を伝達することができるようになっている。このため、水門扉体52が波浪等から受けて堰柱ブロック(上部部材ブロック)18に伝達された外力は、突出さや管14Aを介して底版ブロック14の全体に伝達され、そして、底版ブロック14の杭用さや管14Bを介して鋼管杭12から地盤1に伝達されるので、水域構造物10は外力に対して安定した抵抗力を発揮することができる。
【0056】
突出さや管14Aおよび杭用さや管14Bの管厚と径、底面鋼板14Eの板厚、および、上面外壁14Cおよび側面外壁14Dを構成する材料とその形状は、想定される外力に応じて設計すればよい。したがって、安全性が確認できれば、突出さや管14Aおよび杭用さや管14Bは鋼管以外の材料および形状としてもよい。また、安全性が確認できれば、上面外壁14Cおよび側面外壁14Dは、鋼とコンクリートの合成構造でなくてもよく、例えば鋼板のみで構成してもよいし、プレキャスト鉄筋コンクリートで構成してもよいし、プレキャストコンクリートで構成してもよい。あるいは、鋼およびコンクリート以外の材料で構成してもよい。また、安全性が確認できれば、底面鋼板14Eは、鋼板でなくてもよく、例えば鋼とコンクリートの合成構造で構成してもよいし、プレキャスト鉄筋コンクリートで構成してもよいし、プレキャストコンクリートで構成してもよい。あるいは、鋼およびコンクリート以外の材料で構成してもよい。
【0057】
底版ブロック14においては、突出さや管14Aと杭用さや管14Bは、前述したように、上面外壁14Cの鋼板との溶接および上面外壁14Cのコンクリートとの付着力により上面外壁14Cに連結されており、また溶接により底面鋼板14Eと連結されているが、必要な応力伝達能力を確保できるのであれば、溶接ではなくそれ以外の連結機構を用いてもよい。
【0058】
以上説明した底版ブロック14は、水域構造物10を構成する一部材に過ぎず、また、中空部14Gを有する。したがって、底版ブロック14の重量は比較的軽く、底版ブロック14を施工地点まで回航または曳航する際の吃水が小さくなるので、水深の浅い地点でも施工を行うことができる。また、底版ブロック14を施工地点まで回航または曳航するのに用いる船舶も小型化することができ、使用船舶の吃水の点でも水深の浅い地点で施工を行うことに有利に働く。さらに、使用船舶の小型化により施工現場への入域および退域ならびに旋回に必要な海面面積を小さくすることもできる。
【0059】
また、陸上で水域構造物の大半以上を製作して、施工現場まで水上輸送する場合に用いる重機については、浜出し時に使用する起重機船が最も大型であり、これまでの実績では、700t吊り以上の大型起重機船が使用されている。しかし、700t吊り以上の大型起重機船は国内に数基しかないため、700t吊り以上の大型起重機船を用いる場合、所望の時期に手配ができなくなるリスクがあり、また、コストアップにつながる。一方、本実施形態で用いる底版ブロック14は、水域構造物10を構成する一部材に過ぎず、また中空部14Gを有することから軽量であり、700t吊り以上の大型起重機船を用いる必要がない。したがって、軽量な底版ブロック14を用いることにより、起重機船の選択肢が増え、工程管理およびコスト面で多大なメリットがある。
【0060】
また、陸上で水域構造物の大半以上を製作して、施工現場まで水上輸送する場合、起重機船で浜出しするため、水域構造物は岸壁近傍で製作するところ、軽量な底版ブロック14を用いることにより、浜出しに使用する起重機船を小さくすることができ、水深が浅い岸壁でも水域構造物の製作が可能となり、製作場所の選択肢が増える。したがって、本実施形態で用いる底版ブロック14は、この点でも工程管理上およびコスト面においてメリットがある。
【0061】
なお、突出さや管14Aは、その内部空間が上下の両方向に開口するように設けられていてもよい。突出さや管14Aがその内部空間が上下の両方向に開口するように設けられている場合、上方から芯材16を差し込むだけでなく、下方から鋼管杭12を差し込むことも可能であり、そのような突出さや管14Aは、底版ブロック14を鋼管杭12と連結させる役割および底版ブロック14を堰柱18の堰柱さや管18Aと連結させる役割の2つの役割を果たすことができる。突出さや管14Aのうち、その内部空間が上下の両方向に開口するように設けられていて、前記した2つの役割を有する突出さや管14Aは設計によって任意に設定することができ、例えば、
図4に示す2列の突出さや管14A(1列につき8つの突出さや管14Aがある)において、いくつかの突出さや管14Aに前記した2つの役割を担わせるように設計することができる。
【0062】
突出さや管14Aがその内部空間が上下の両方向に開口するように設けられていて、下方から突出さや管14Aに鋼管杭12が差し込まれている場合、上方から突出さや管14Aに差し込まれる芯材16は、頭部にコンクリートが打設された鋼管杭12の天端に上載されることになる。このため、突出さや管14Aに差し込まれる芯材16の長さが短くなるが、芯材16はその径の1.5倍以上の長さだけ突出さや管14Aに差し込むことができれば安全性が確保されることが多い。
【0063】
(堰柱ブロック18の詳細について)
図5および
図6に示すように、堰柱ブロック(上部部材ブロック)18は、堰柱さや管(上部部材さや管)18Aと、堰柱外壁18Bと、堰柱底面鋼板18Cと、堰柱隔壁鋼板18Dと、を有してなる。堰柱さや管18Aは鋼管であり、堰柱外壁18Bは鋼とコンクリートの合成版であり、堰柱底面鋼板18Cおよび堰柱隔壁鋼板18Dは鋼板である。堰柱外壁18Bを構成する鋼とコンクリートの合成版は、内面に鋼板が配置され外面にコンクリートが配置されてなり、鋼板の外面に所定の間隔で取り付けられた複数のスタッドによって鋼板とコンクリートが一体化された構造である。
【0064】
堰柱さや管18Aは、その内部空間が上下方向に開口するように設けられていて、堰柱ブロック18の上面および下面の間に収まっている。堰柱さや管18Aは、溶接により堰柱底面鋼板18Cに連結されている。堰柱さや管18Aと連結される堰柱底面鋼板18Cの部位には、堰柱さや管18Aの外形と同じ形状の貫通孔が設けられている。
【0065】
堰柱さや管(上部部材さや管)18Aは堰柱ブロック(上部部材ブロック)18の耐力に寄与する。また、堰柱さや管18Aは突出さや管14Aおよび芯材16の外周を取り囲んで、突出さや管14Aおよび芯材16と堰柱さや管18Aとの間のグラウト材44を拘束し、堰柱ブロック18が受けた外力を確実に堰柱ブロック18から底版ブロック14に伝達できるようにする役割も果たす。したがって、堰柱さや管(上部部材さや管)18Aの上端の位置は、突出さや管14Aの上端の位置および芯材16の上端の位置よりも高い位置にあることが好ましい。
【0066】
堰柱さや管18Aの外周面、堰柱外壁18Bの内側の面、堰柱底面鋼板18Cの上側の面、および堰柱隔壁鋼板18Dで囲まれた部位は、中空部18Eとなっている。この中空部18Eには、堰柱ブロック18を沈設する際に注水されるが、堰柱ブロック18を水底に沈設された底版ブロック14上の所定の位置(堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aが、水底の所定位置に設置された底版ブロック14の突出さや管14Aに差し込まれるような位置)に沈設した後、水中コンクリートを充填してもよい。
【0067】
堰柱隔壁鋼板18Dは補強のための部材であり、堰柱さや管18Aの位置を保持するとともに、堰柱ブロック18の全体の形状を保持する役割を有し、堰柱さや管18Aの外面、堰柱外壁18Bの内側の鋼板の内面、および堰柱底面鋼板18Cの上面と溶接により連結されている。
【0068】
堰柱さや管18Aの管厚と径、堰柱底面鋼板18Cの板厚、および、堰柱外壁18Bを構成する材料とその形状は、想定される外力に応じて設計すればよい。したがって、安全性が確認できれば、堰柱さや管18Aは鋼管以外の材料および形状としてもよい。また、安全性が確認できれば、堰柱外壁18Bは、鋼とコンクリートの合成構造でなくてもよく、例えば鋼板のみで構成してもよいし、プレキャスト鉄筋コンクリートで構成してもよいし、プレキャストコンクリートで構成してもよい。あるいは、鋼およびコンクリート以外の材料で構成してもよい。また、安全性が確認できれば、堰柱底面鋼板18Cおよび堰柱隔壁鋼板18Dは、鋼板でなくてもよく、例えば鋼とコンクリートの合成構造で構成してもよいし、プレキャスト鉄筋コンクリートで構成してもよいし、プレキャストコンクリートで構成してもよい。あるいは、鋼およびコンクリート以外の材料で構成してもよい。
【0069】
堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aは、前述したように、溶接により堰柱底面鋼板18Cと連結されているが、必要な応力伝達能力を確保できるのであれば、溶接ではなくそれ以外の連結機構を用いてもよい。
【0070】
なお、
図2および
図6に示すように、堰柱外壁18Bの内側の中央部付近には、上下方向に溝状の凹部18Fが設けられているが、凹部18Fは、水門扉体52(
図18参照)を昇降させるのに用いる戸当りを取り付けるための部位である。
【0071】
以上説明した堰柱ブロック18は、水域構造物10を構成する一部材に過ぎず、また、中空部18Eを有する。したがって、堰柱ブロック18の重量は比較的軽く、運搬に用いる台船や据え付けに用いるクレーンも小型化することができ、水深の浅い地点でも施工を容易に行うことができる。
【0072】
なお、前述したように、堰柱ブロック18は上下方向に複数段積むようにすることも可能である。堰柱ブロック18を上下方向に複数段積む場合、最下段の堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aのみに突出さや管14Aが突出さや管14Aの管径以上差し込まれていれば安全性が確保されることが多い。最下段の堰柱ブロック18よりも上段の堰柱さや管18Aに突出さや管14Aを差し込む必要がない場合、最下段の堰柱ブロック18よりも上段の堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aの管径は、芯材16を差し込むことができる管径であればよく、最下段の堰柱ブロック18の管径よりも小さくすることも可能である。
【0073】
また、堰柱ブロック18を上下方向に複数段積むようにする場合、堰柱ブロック18の高さを小さくすることができるので、堰柱ブロック18の重量をより軽くすることができ、運搬に用いる台船や据え付けに用いるクレーンも小型化することができ、水深の浅い地点でも施工をより容易に行うことができる。
【0074】
(底版ブロック14と堰柱ブロック18との接合部の詳細について)
底版ブロック14と堰柱ブロック18との接合部には底版ブロック14の突出さや管14A、芯材16および堰柱さや管(上部部材さや管)18Aが配置されている。なお、本明細書においては、底版ブロック14と堰柱ブロック18との接合部とは、水域構造物10の完成後において底版ブロック14の突出さや管14Aが存在する高さ範囲の堰柱ブロック(上部部材ブロック)18の部位を意味し、
図1において符号18Gで示す範囲である。
【0075】
図1および
図2に示すように、接合部18Gにおいては、芯材16の周囲を突出さや管14Aが囲み、さらに突出さや管14Aの周囲を堰柱さや管18Aが囲んだ構造となっている。波浪等により水門扉体52に加わった外力は堰柱ブロック18に伝達され、そのモーメントは、底版ブロック14と堰柱ブロック18との接合部18Gの下端で最も過大となるが、接合部18Gでは芯材16の周囲を突出さや管14Aが囲んでおり、芯材16と突出さや管14Aとの間のグラウト材42は芯材16と突出さや管14Aとによりはさまれて強力に拘束されており、芯材16からグラウト材42を介して突出さや管14Aへと効率的に断面力は伝達される。また、突出さや管14Aの周囲をさらに堰柱さや管18Aが囲んでおり、突出さや管14Aと堰柱さや管18Aとの間のグラウト材44も突出さや管14Aと堰柱さや管18Aとによりはさまれて強力に拘束されており、堰柱さや管18Aから突出さや管14Aへも断面力が効率的に伝達される。そして、突出さや管14Aへ伝達された断面力は、底版ブロック14から鋼管杭12を介して地盤1に伝達されるので、水域構造物10は外力に対して安定した抵抗力を発揮することができる。
【0076】
なお、芯材16と突出さや管14Aとの間の応力伝達は、主にグラウト材42の圧縮力によりなされる。
【0077】
底版ブロック14と堰柱ブロック18との接合部18Gを耐力面から考えてみると、接合部18Gの水平断面には、芯材16と底版ブロック14の突出さや管14Aが存在しており、これら2つの鋼管により鋼材量を稼ぐことができ、水門扉体52が波浪等により受けた時に生じる断面力に対しても十分な量の鋼材で抵抗することができる。また、芯材16と突出さや管14Aによる鋼材量では想定される外力に必要な鋼材量に足らない場合でも、比較的少量の鉄筋を追加するだけで済むので、良好な施工性を確保できる。これに対して、鉄筋のみで必要な鋼材量を確保しようとすると、鉄筋の配置が密になりすぎ、グラウト材充填時の施工性の確保と必要な鉄筋量の配置を両立することが困難になることがある。また、鉄筋のみで必要な鋼材量を確保できたとしても、現場で多くの鉄筋を配置する工程が必要となり、現地施工期間が長くなってしまう。
【0078】
このように、本実施形態に係る水域構造物10は、芯材16および突出さや管14Aによって鋼材量を稼ぐことができ、接合部18Gに鉄筋を配置することが不要になるか、あるいは必要になっても少量で済むので、良好な施工性を確保できる。この施工性に対する効果は、本実施形態に係る水域構造物10(水門躯体の下部構造)のように水中で施工する必要のある構造物の場合に特に大きくなる。
【0079】
以上述べたように、底版ブロック14の突出さや管14Aと堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aは、グラウト材42、44を拘束する観点、および接合部18Gの水平断面における鋼材量を稼ぐ観点から、ある程度以上の板厚を有していることが好ましい。
【0080】
底版ブロック14の突出さや管14Aの長さは、想定される外力によって生じる断面力を、芯材16と突出さや管14Aとの間、および突出さや管14Aと堰柱さや管18Aとの間で効率的に伝達するのに必要な長さに設定する。具体的には例えば、他の部位の破壊前に突出さや管14Aとグラウト材42、44との間で剥離が生じない長さに設定することが考えられるが、芯材16と突出さや管14Aとの間、および突出さや管14Aと堰柱さや管18Aとの間の断面力の伝達をより安定させる点で、突出さや管14Aは少なくとも突出さや管14Aの管径以上を底版ブロック14の上面よりも突出させることが好ましい。また、突出さや管14Aとグラウト材42、44との間の接着力を向上させるために、突出さや管14Aの外面と内面の両面に機械的な凹凸等を設けたり、グラウト材42、44との間の接着力を向上させる下地剤等を塗布しておくことも好ましい。
【0081】
(堰柱ブロック18および鋼管杭12の天端の納まりについて)
堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aの上端は、堰柱ブロック18の天端よりも少し低くし、また、芯材16の上端は堰柱ブロック18の天端よりも少し低くし、堰柱さや管18Aの上端および芯材16の上端を上方から覆う取り外し可能なゴムパッキン等を配置し、さらにその上方に養生材を配置し、さらに養生材を上方から覆う取り外し可能な蓋を設けてもよい。ゴムパッキンは、芯材16の上端および堰柱さや管18Aの上端に直接接して芯材16の上端および堰柱さや管18Aの上端を保護するが、芯材16の上端および堰柱さや管18Aの上端を保護できる養生であればゴムパッキンでなくてもよい。ただし、芯材16の上端および堰柱さや管18Aの上端に直接接する養生材はゴムパッキンのように柔軟性のある材質のものが好ましい。また、養生材を上方から覆う取り外し可能な蓋の材質は特に限定されず、例えばコンクリート製または鋼製とすることができる。堰柱ブロック18の天端の納まりをこのようにした場合、将来、堰柱ブロック18の長さを延長することが可能となった時でも、条件によっては対応が可能となる。
【0082】
なお、堰柱ブロック18の上方にさらに門柱50(
図18参照)等を設ける場合は、芯材16の長さを長くして、堰柱ブロック18の上端を超える長さとしてもよい。この場合には、前記した養生(ゴムパッキン、養生材、蓋)は不要となり、堰柱ブロック18の上端を超えた芯材16の部位は門柱50等の一部を構成することになる。
【0083】
また、堰柱さや管18Aの内側に充填するグラウト材44を堰柱ブロック18の上端まで充填してしまい、芯材16の上端および堰柱さや管18Aの上端をグラウト材44で覆ってしまってもよい。このようにした場合、将来、堰柱ブロック18の長さを延長することが難しくなるが、前記した養生(ゴムパッキン、養生材、蓋)よりも施工に手間がかからず工事費の低減につながる。
【0084】
鋼管杭12は延長することがほとんど考えられず、また鋼管杭12の上端は水中となるので、鋼管杭12の上端は、底版ブロック14の杭用さや管14Bに充填されるグラウト材40で覆ってしまえばよい。前記した養生(ゴムパッキン、養生材、蓋)を行ってもよいが、その必要性は小さい。
【0085】
(本実施形態に係る水域構造物10の変形例)
本実施形態に係る水域構造物10(水門躯体の下部構造)の基礎構造は、鋼管杭12を基礎とする杭基礎構造であるが、本発明の水域構造物の基礎構造は杭基礎構造に限定されるわけではなく、施工地点の条件に応じた設計で安全性が確認できれば、杭を設置しない直接基礎構造としてもよい。
【0086】
直接基礎構造とする場合、鋼管杭12が不要となるので、底版ブロック14の杭用さや管14Bも不要となる。
【0087】
(本実施形態に係る水域構造物10の施工手順の一例)
図7〜
図18は、本実施形態に係る水域構造物10の施工手順の一例の各施工段階を模式的に示す図である。なお、
図1、
図2に記載の水域構造物10では鋼管杭12を5列に記載し、
図3、
図4に記載の底版ブロック14では杭用さや管14Bを5列に記載しているが、図示の都合上、
図8〜
図18では鋼管杭12を3列に記載しており、
図10〜
図18では杭用さや管14Bを3列に記載している。
【0088】
本実施形態に係る水域構造物10の施工に際しては、まず、
図7に示すように、底版ブロック14を沈設する地点の水底80を必要な深さまで床掘りして、床掘り部80Aを設ける。
図7において、符号90は水面を示す。
【0089】
次に、
図8に示すように、鋼管杭12を、床掘り部80Aの所定の位置において、所定の支持力が確保できる深さまで地中に打ち込む。鋼管杭12を所定の深さまで地中に打ち込んだ後、鋼管杭12の頭部を補強するため、鋼管杭12の頭部にコンクリートを打設することが好ましい。ここで、鋼管杭12の頭部とは、鋼管杭12の上端の位置から、床掘り部80Aの床掘り面よりも鋼管杭12の杭径程度下方の位置までのことである。
【0090】
次に、
図9に示すように、床掘り部80Aに基礎捨石を敷き詰めて基礎捨石層82を造成し、造成した基礎捨石層82の上に均しコンクリート84を打設する。
【0091】
次に、
図10に示すように、底版ブロック14を施工地点まで回航または曳航して水上輸送する。前述したように、底版ブロック14は、水域構造物10を構成する一部材に過ぎず、また、中空部14Gを有する。したがって、底版ブロック14の重量は比較的軽く、底版ブロック14を施工地点まで回航または曳航する際の吃水が小さくなるので、水深の浅い地点でも施工を行うことができる。また、底版ブロック14を施工地点まで回航または曳航するのに用いる船舶も小型化することもできる。さらに、使用船舶の小型化により、施工現場への入域および退域ならびに旋回に必要な海面面積を小さくすることもできる。
【0092】
次に、
図11に示すように、底版ブロック14を施工地点まで回航または曳航した後、底版ブロック14の中空部14Gに注水して、杭用さや管14Bが鋼管杭12に差し込まれるように底版ブロック14を水底に沈設する。沈設する際には、鋼管杭12の頭部に仮受およびレベル調整ための機構(特許第3627095号)を設けておき、底版ブロック14の据え付け精度を確保することが好ましい。また、均しコンクリート84と底版ブロック14との間の隙間には、必要に応じてグラウト材を充填することが好ましい。
【0093】
次に、
図12に示すように、鋼管杭12の上端部が差し込まれた底版ブロック14の杭用さや管14Bにグラウト材40を充填し、鋼管杭12と杭用さや管14Bとの間の隙間をグラウト材40で充填して、一体化する。グラウト材40としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
【0094】
また、必要に応じ、底版ブロック14の中空部14Gに水中コンクリートを充填する。
【0095】
次に、
図13に示すように、底版ブロック14の突出さや管14Aに芯材16を差し込み、突出さや管14Aと芯材16との間の隙間にグラウト材42を充填し、突出さや管14Aと芯材16とを一体化する。芯材16は、その上端が突出さや管14Aの上端よりも高い位置に達するように、突出さや管14Aの高さよりも長いものを用いる。グラウト材42としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
【0096】
次に、
図14に示すように、陸上の工場で製作した堰柱ブロック18を台船92で施工現場まで水上輸送する。
【0097】
次に、堰柱ブロック18を起重機船または陸上クレーン等により持ち上げ、
図15に示すように、堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aを、突出さや管14Aおよび芯材16に差し込むように、堰柱ブロック18を底版ブロック14の上に据え付ける。
【0098】
次に、
図16に示すように、堰柱ブロック18の堰柱さや管18Aの内側にグラウト材44を充填し、底版ブロック14の突出さや管14Aと堰柱さや管18Aとの間の隙間、および芯材16と堰柱さや管18Aとの間の隙間をグラウト材44で充填し、突出さや管14A、芯材16および堰柱さや管18Aを一体化する。グラウト材44としては、水中不分離性セメントミルク、水中不分離性モルタルまたは水中不分離性コンクリートを用いることが好ましい。
【0099】
また、必要に応じ、堰柱ブロック18の中空部18Eに水中コンクリートを充填する。
【0100】
次に、
図17に示すように、沈設した底版ブロック14の周囲の床掘り部80Aを埋め戻して埋戻し部86を設け、底版ブロック14の上端の位置と水底80の位置が連続的につながるようにする。
【0101】
水門躯体の下部構造である水域構造物10の施工完了後、必要に応じて、
図18に示すように、堰柱ブロック18の上に門柱50等を施工したり、堰柱ブロック18の間に水門扉体52を取り付けて、構造物を最終的に完成させる。
【0102】
なお、本実施形態に係る水域構造物10の変形例のように、杭を設置しない直接基礎構造とする場合、鋼管杭12が不要となるので、底版ブロック14の杭用さや管14Bが不要となり、また、鋼管杭12を設置する工程も不要となる。
【0103】
また、前述したように、芯材16を省略しても安全性が確保できる場合には、芯材16を省略してもよく、この場合には芯材16を設置する工程も不要となる。