(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圃場を走行する左右の走行装置(6L,6R)を設け、作物を引抜収穫する引抜搬送装置(24)を設け、収穫した作物を収容容器(97)に搬送する搬送装置(87)を設けると共に、該収容容器(97)を支持する収容支持部材(112)を設けた根菜類収穫機において、
前記左右の走行装置(6L,6R)の左右どちらか一側を左右の分割走行装置(600L,600R)で構成し、該左右の分割走行装置(600L,600R)の上下高さを変更する上下位置変更部材(612)を各々設けると共に、左右の分割走行装置(600L,600R)を左右方向に移動させる移動調節部材(606L,606R)を各々設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
前記移動調節部材(606L,606R)に前記左右の分割走行装置(600L,600R)を左右方向に移動させる移動プレート(607L,607R)を各々設け、該移動プレート(607L,607R)と左右の分割走行装置(600L,600R)を回動アーム(610)で各々連結すると共に、該回動アーム(610)を前記上下位置変更部材(612)で回動させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
前記上下位置変更部材(612)と移動調節部材(606L,606R)の作動を制御する制御装置(700)を設け、前記左右の走行装置(6L,6R)の走行状態を検出する走行検知部材(6a)を設けると共に、前記上下位置変更部材(612)の作動量を検出する上下作動検知部材(612a)を設け、
前記制御装置(700)は、前記走行検知部材(6a)が走行を検出しておらず、且つ前記左右の分割走行装置(600L,600R)のどちらか一方を下降させる方向に前記上下位置変更部材(612)が作動していることを上下作動検知部材(612a)が検出していないときは、前記移動調節部材(606L,606R)を作動させないことを特徴とする請求項1または2に記載の根菜類収穫機。
前記移動調節部材(606L,606R)の作動を制御する制御装置(700)を設け、前記移動調節部材(606L,606R)の作動量を検出する間隔作動検出部材(606a)を各々設け、
前記制御装置(700)は、該間隔作動検出部材(606a)の検出結果から前記左右の分割走行装置(600L,600R)が隣接していると判断したとき、前記左右の分割走行装置(600L,600R)の一方が他方に接触しながら移動する方向への前記移動調節部材(606L,606R)の操作を受け付けないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。
前記左右の走行装置(6L,6R)のうち、前記左右の分割走行装置(600L,600R)で構成する側を前記収容支持部材(112)から機体左右方向に離間する側に配置し、
前記搬送装置(87)の搬送終端側を上下動させる上下動アクチュエータ(88)を設け、前記搬送装置(87)の搬送終端側に収容容器(97)の上部を保持する容器受部材(98)を設け、前記収容支持部材(112)に収容容器(97)に収容された作物の重量を検知する重量検知部材(701)を設け、
前記制御装置(700)は、該重量検知部材(701)が検知する重量が所定値以上であるときは、前記上下動アクチュエータ(88)を作動させて搬送装置(87)の搬送終端側を上昇させると共に、前記上下位置変更部材(612)を左右の分割走行装置(600L,600R)を下降させる方向に作動させることを特徴とする請求項3または4に記載の根菜類収穫機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
図1〜
図23に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参の収容部材を配置する収容部Gと、収容部材の底部を載置すると共に圃場に排出する載置排出部Hから構成される。
【0024】
なお、本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0025】
まず、走行部Aの構成について説明する。
【0026】
図1から
図4に示すとおり、機体フレーム1の下方に、機体前部側の左右の駆動スプロケット2,2、機体後部側の左右の従動輪3,3、及び該左右の駆動スプロケット2,2と左右の従動輪3,3の前後間に設ける複数の転輪4,4…を装着するトラックフレーム6F,6Fを設け、前記左右の駆動スプロケット2,2と左右の従動輪3,3の前後間に設ける複数の転輪4,4…に左右クローラベルト5,5を無端状に巻回して、左右のクローラ6L,6Rを構成する。
【0027】
そして、該左右のクローラ6L,6Rの左右の駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右のドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。また、該左右クローラ6L,6Rの駆動出力や出力方向を前後進に切り替える油圧式無段変速装置、所謂HST150を機体上フレーム1に搭載する。なお、前記ミッションケース8は、左右のドライブシャフト9,9の回転方向を左右で同じ方向とすることも、別々にすることも可能な伝動構成とする。
【0028】
上記に加えて、前記左側のクローラ6Lは、
図1、
図3及び
図4に示すとおり、左右に分割可能な左右の分割クローラ600L、600Rで構成する。該左右の分割クローラ600L,600Rは、前記左右の分割トラックフレーム601L,601Rと、左右の駆動スプロケット2と同径、同一形状である分割駆動スプロケット602L,602Rと、左右の従動輪3と同径、同一形状である分割従動輪603L,603Rと、左右の転輪4と同径、同一形状である分割転輪604L,604R…と、左右の分割クローラベルト605L,605Rで各々構成される。該左右の分割トラックフレーム600L,600Rは左右方向に移動可能に構成し、右側のクローラ6Rと左側のクローラ6Lの左右間隔、所謂トレッドを調節可能としている。
【0029】
上記のトレッド調節を行うべく、
図3に示すとおり、前記機体フレーム1の上面で且つ前後及び左右方向の中央部である、後述する操縦座席11の左側方で且つ引抜搬送装置24の下方位置に、機体外側に位置する前記左側の分割トラックフレーム601Lを左右方向に移動させる第1トレッドシリンダ606Lを左右方向に伸縮可能に配置すると共に、前記機体フレーム1の下面で、且つ前後及び左右方向の中央部である、後述する操縦座席11の左側方で且つ左右のクローラ6L,6Rの左右中央位置に、機体内側に位置する前記右側の分割トラックフレーム601Rを左右方向に移動させる第2トレッドシリンダ606Rを配置する。
【0030】
該第1トレッドシリンダ606L及び第2トレッドシリンダ606Rの機体左右一側(機体左側)端部には、伸縮時に前記左右の分割トラックフレーム601L,601Rを移動させる移動プレート607L,607Rが装着されている。
【0031】
なお、
図2及び
図3で示すとおり、前記第1トレッドシリンダ606Lは、第2トレッドシリンダ606Rよりも機体左側寄りに配置する。
【0032】
さらに、
図4で示すとおり、左右の分割トラックフレーム601L,601Rには、前記左右の移動プレート607L,607Rに設ける前側支持フレーム608と後側支持フレーム609に前後方向に回動可能に連結する前後のスイングアーム610,610を設け、該前後のスイングアーム610,610の上端部を連結ロッド611で連結すると共に、後側のスイングアーム610を前後方向に回動させるスイングシリンダ612を設けて、該スイングシリンダ612の伸縮により左右の分割トラックフレーム600L,600Rの上下位置を調節可能に各々構成する。
【0033】
上記の構成による、左右の分割クローラ600L,600Rの動作について説明する。なお、
図15及び
図16がこの動作を説明するフローチャートである。
図15は走行中のトレッド調節を示し、
図16は走行停止中のトレッド調節を示す。また、
図17(a)〜(c)は左右の分割クローラ600L,600Rの移動を示す要部背面図である。
【0034】
まず、走行停止時において、左右の分割クローラ600L,600Rが両方とも接地しているときは、第1トレッドシリンダ606Lと第2トレッドシリンダ606Rのどちらを作動させても、左右の分割クローラベルト605L,605Rの接地圧により、左右の分割クローラ600L,600Rは左右方向に移動することはできない。
【0035】
このとき、左右のスイングシリンダ612,612のどちらか一方を収縮方向に作動させると、左側または右側の前後のスイングアーム610,610の回動によって左右の分割トラックフレーム601L,601Rの対応する側が下方に移動し、左右どちらか一方の分割クローラ600L,600Rが機体を持ち上げる状態になる。以下に、トレッドを広げるべく、先に左側(機体左右一側)に位置する左側の分割クローラ600Lを左側(機体左右一側)に移動させることを例として説明を続ける。
【0036】
前記右側の分割クローラ600Rを下降させると、左側の分割クローラ600Lが接地しない状態になるので、前記第1トレッドシリンダ606Lを伸張方向に作動させると、左側の移動プレート607Lによって左側の分割トラックフレーム601Lが左側に移動する。即ち、前記左側の分割クローラ600Lが左側に移動する。
【0037】
該左側の分割クローラ600Lを移動させた後は、右側のスイングシリンダ612を伸張方向に作動させ、右側の分割トラックフレーム601Rを上方に移動させ、左右の分割クローラ600L,600Rが共に接地する状態に切り替える。この状態で、左側のスイングシリンダ612を収縮方向に作動させて左側の前後のスイングアーム610,610を回動させると共に、左側の分割トラックフレーム601Lを下方に移動させることで、左側の分割クローラ600Lが接地して機体を持ち上げる状態にする。
【0038】
これにより、右側の分割クローラ600Rが非接地状態になるので、第2トレッドシリンダ606Rを伸張方向に作動させると、右側の移動プレート607Rによって右側の分割トラックフレーム601Rが左側に移動する。即ち、前記右側の分割クローラ600Rが左側に移動する。この後は、左側のスイングシリンダ612を伸張方向に作動させて左側の前後のスイングアーム610,610を回動させると共に、左側の分割トラックフレーム601Lを上方に移動させることで、左右の分割クローラ600L、600Rが同じ高さで接地する状態となる。
【0039】
上記の動作により、左右のクローラ6L,6Rのトレッドが広くなり、人参を栽培する畝の左右幅に左右のクローラ6L,6Rを合わせて走行することができるので、左右のクローラ6L,6Rの上下高さが左右で異なり、左右どちらか一方に傾斜した姿勢で人参の収穫作業を行うことがなく、確実に人参を引抜収穫することができる。
【0040】
後述する引抜搬送装置24の挟持始端部が圃場面に対して左右方向に傾斜していると、人参の茎葉部が挟持されず、圃場から引き抜かれない人参が発生して作業者が手作業で引き抜く必要があるが、上記のトレッド調節機構によって機体が左右傾斜姿勢になることを防止することで、引抜搬送装置24の作業姿勢が圃場面に対して略水平となり、人参の抜き残しの発生が防止される。
【0041】
上記とは逆に、左右のクローラ6L,6Rのトレッドを狭くするときは、先に左側のスイングシリンダ612を収縮方向に作動させて左側の分割クローラ600Lを下降させて機体を持ち上げ、第2トレッドシリンダ606Rを収縮方向に作動させ、右側の分割トラックフレーム601Rを右側(機体左右他側)に移動させることで、右側の分割クローラ600Rを移動させる。
【0042】
そして、右側の分割クローラ600Rを右側に移動させ終えると、左側のスイングシリンダ612を伸張方向に作動させて左側の分割クローラ600Lを上昇させると共に、右側のスイングシリンダ612を収縮方向に作動させて右側の分割クローラ600Rを下降させ、左側の分割クローラ600Lの移動が許容される状態とする。
【0043】
このとき、第1トレッドシリンダ606Lを収縮方向に作動させ、左側の分割トラックフレーム601Lを右側(機体左右他側)に移動させることで、左側の分割クローラ600Lを移動させる。そして、右側のスイングシリンダ612を伸張方向に作動させて右側の分割クローラ600Rを下降させる。
【0044】
これにより、左右のクローラ6L,6Rのトレッドが狭くなり、左右の分割クローラ600L、600Rが同じ高さで接地する状態となり、左右一方のクローラ6L,6Rが収穫作業中の畝に隣接する畝上を走行し、機体の、ひいては引抜搬送装置24の作業姿勢が左右方向に傾斜することが防止される。
【0045】
なお、左側の分割クローラ600Lは、第1トレッドシリンダ606Lを最大限伸張させても、隣接する人参の栽培畝に届かない位置まで移動するものとすると、未収穫の人参が植生している畝を左側のクローラ6Lで崩しながら走行することがなく、人参の姿勢が乱れて引抜搬送装置24で引き抜き損ないにくくなり、抜き残される人参が生じにくくなる。
【0046】
この状態では、左側の分割クローラ600Lの右側端部は、背面視で前記機体フレーム1の左側端部の下方に位置し、左側端部は、引抜搬送装置24の左側(機体左右一側)を覆う引抜搬送カバー24cよりも機体外側に突出しない、即ち直下に位置する構成とする。
【0047】
一方、右側の分割クローラ600Rは、第2トレッドシリンダ606Rを最大限収縮させたとき、前記第1トレッドシリンダ606Lの下方に位置するものとすると、左右のクローラ6L,6Rのトレッドが狭くなり過ぎてバランスが悪くなることが防止され、走行姿勢や収穫作業姿勢の安定化が図られる。なお、上記の位置で左側の分割クローラ600Rを右側一杯に移動させると、従来構成における左側クローラ6Lの配置と同一になるので、安定的なバランスを確保しやすい。
【0048】
上記のトレッド調節では、最終的に左右の分割クローラ600L,600Rを両方とも圃場に接地させているが、圃場端にコンクリート等の硬い畝が形成されており、この畝の側方に人参の栽培畝の畝溝が形成されているときは、左側の分割クローラ600Lを下降させて畝溝に接地させ、右側の分割クローラ600Rを上昇させて栽培畝の上方を通過させるようにすると、左側のクローラ6Lを圃場端にできるだけ接近させることができるので、圃場端付近の人参の収穫時であっても引抜搬送装置24の作業姿勢が安定し、人参が圃場に抜き残されることが防止される。
【0049】
あるいは、左側の分割クローラ600Lを上昇させてコンクリート等の畝の上方を通過させ、右側の分割クローラ600Rを下降させて畝溝に接地させると、上記と同様に左側のクローラ6Lを圃場端にできるだけ接近させることができる。
【0050】
次に、左右のクローラ6L,6Rによって走行しながら人参の収穫作業を行う際、移動しながらトレッド調節を行う例を説明する。
【0051】
走行時は、左右の分割クローラベルト605L,605Rは共に回転動作しているので、接地していても左右の分割トラックフレーム601L,601Rの左右移動の抵抗は小さくなっている。
【0052】
このため、左右のクローラ6L,6Rのトレッドを広げるときは、第1トレッドシリンダ606Lを作動させて左側の分割クローラ600Lを左側に移動させ、その次に第2トレッドシリンダ606Rを作動させて右側の分割クローラ600Lを左側に移動させる。逆にトレッドを狭めるときは、第2トレッドシリンダ606Rを作動させて右側の分割クローラ600Rを右側に移動させ、その次に第1トレッドシリンダ606Lを作動させて左側の分割クローラ600Lを右側に移動させる。
【0053】
上記により、人参の栽培畝の端部が崩れているときや、部分的に畝の左右幅を変更している場所で人参を収穫するときは、左右のクローラ6L,6Rのトレッド調節によって畝溝を走行させることができるので、走行姿勢や引抜搬送装置24の引抜作業姿勢が左右方向に傾斜することが防止され、人参の抜き残しの発生が防止される。
【0054】
なお、走行中のトレッド調節は、第1及び第2トレッドシリンダ606L,606Rが共に作動していれば同時に行うことができるので、トレッド調節に要する時間が短縮され、トレッド変更中に走行速度を低下させる必要が無く、作業能率が向上する。
【0055】
図2及び
図13に示すとおり、操縦部Bの操縦パネル12には、前記第1トレッドシリンダ606L、第2トレッドシリンダ606Rを各々伸縮操作する左右のトレッド調節ダイヤル613L,613Rを設けると共に、前記左右のスイングシリンダ612,612を各々伸縮操作する左右のスイング調節ダイヤル614L,614Rを設ける。これに加えて、走行中にトレッドを調節する際、前記第1トレッドシリンダ606L、第2トレッドシリンダ606Rを同時に伸縮させる走行トレッド調節ダイヤル615を設けると共に、機体の姿勢を左右方向水平とすべく左側のクローラ6Lの上下位置を調節する際、左右のスイングシリンダ612,612を同時に伸縮させるフローティングダイヤル616を設ける。
【0056】
なお、機体フレーム1に少なくとも左右方向の傾斜を検知する傾斜センサ617を設け、該傾斜センサ617が検知する傾斜角度に合わせて左右のスイングシリンダ612,612を収縮させる制御を行う制御装置700を設け、機体の左右方向の姿勢が水平に保たれる構成としてもよい。
【0057】
該制御装置700は、前記第1トレッドシリンダ606L,第2トレッドシリンダ606Rの伸縮操作を検出するトレッド切替センサ606a,606a、左右のスイングシリンダ612,612の伸縮操作を検出するスイング切替センサ612a,612a、及び左右のクローラ6L,6Rの走行状態を検出する走行センサ6aの信号を受信し、第1トレッドシリンダ606L,第2トレッドシリンダ606R及び左右のスイングシリンダ612,612の伸縮が行えるか否かを判断する。
【0058】
例えば、左側の分割クローラ600Lが機体左側に全く移動していない状態、即ち第1トレッドシリンダ606Lが最大限収縮した状態で、右側の分割クローラ600Rを機体左側に移動させるべく第2トレッドシリンダ606Rを伸張させようとすると、第1トレッドシリンダ606Lや第2トレッドシリンダ606Rが負荷で破損するおそれがある。これは、右側の分割クローラ600Rが右側に全く移動していない状態、即ち第2トレッドシリンダ606Rが最大限収縮した状態で、左側の分割クローラ600Lを機体右側に移動させるときも同様である。
【0059】
また、走行センサ6aが走行状態を検出していないとき、左右のスイングシリンダ612,612がどちらも左右の分割クローラ600L,600Rを下降させていない状態では、左右の分割クローラ600L,600Rは接地抵抗により左右方向に移動することはできないが、この状態で第1トレッドシリンダ606Lまたは第2トレッドシリンダ606Rを作動させると、負荷による第1トレッドシリンダ60Lや第2トレッドシリンダ606Rの破損、あるいは接地抵抗により左右の分割クローラベルト605L,605Rが脱落し、走行不能になるおそれがある。
【0060】
前記制御装置700により、走行停止中に左右の分割クローラ600L,600Rの左右どちらか一方を下降させずにトレッド調節を行うことや、左右の分割クローラ600L,600Rが左右方向に移動できない状態でトレッド調節操作が受け付けられることを防止できるので、第1及び第2トレッドシリンダ606L,606Rが負荷により破損することや、左右の分割クローラ600L,600Rの分割クローラベルト605L,605Rが外れて走行不能になることが防止される。
【0061】
一方、走行センサ6aが走行を検出しているときは、左右のスイングシリンダ612,612を収縮させて左右の分割クローラ600L,600Rを下降させずにトレッド調節ができるので、第1トレッドシリンダ606Lまたは第2トレッドシリンダ606Rが最大限伸張、または最大限収縮している状態でなければ、制御装置700は第1トレッドシリンダ606Lと第2トレッドシリンダ606Rの伸縮を許容し、トレッド調節を可能とする。
【0062】
なお、第1トレッドシリンダ606L及び第2トレッドシリンダ606Rには負荷センサ(図示省略)を設け、第1トレッドシリンダ606L及び第2トレッドシリンダ606Rの伸縮を左右スライド移動の途中で止めているとき、左右の分割クローラ600L,600R同士が接触して負荷センサが所定値以上の負荷を検知すると、制御装置700が第1トレッドシリンダ606Lまたは第2トレッドシリンダ606Rの伸縮を停止させる構成とし、左右のクローラ6L,6Rのトレッドをより細かく変更可能に構成してもよい。
【0063】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
【0064】
図1、
図2、
図4及び
図13に示すとおり、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に、前記HST150の出力、及び出力方向を切り替えて、機体の前後進及び走行速度を切り換える走行操作レバー13を設け、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を設けると共に、ミッションケース8の走行伝動を人参の収穫作業時の「作業速」と、移動時の「路上速」と、走行伝動のみ伝動する「作業切」と、作業伝動のみ伝動する「走行切(中立)」に操作する副変速レバー58を設ける。
【0065】
また、前記操縦部フレーム10の機体左右他側(機体右側)にエンジン7を冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバーを着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0066】
上記構成により、走行操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0067】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
【0068】
図1から
図4に示すとおり、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を付勢し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0069】
なお、前記伝動ケース22は、引抜搬送装置24だけでなく、後述する位置揃え装置54L,54R、排葉搬送装置65及び残葉搬送装置70にも駆動力を供給するものである。
【0070】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを設ける。
【0071】
そして、前記引抜搬送装置24で搬送中の人参に接触して付着した土砂を除去する左右の泥落し体34a,34aを振動ソイラ34,34の土中に進入しない部分に設けると共に、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を設けて、収穫部Cを構成する。
【0072】
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0073】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0074】
そして、振動ソイラ34,34の土中に進入しない部分に左右の泥落し体3a,34aを設けたことにより、搬送中の人参に付着した土砂を除去することができるので、機体の掃除にかかる時間が短縮されてメンテナンス性が向上すると共に、作業者や選別作業者が人参の形状や傷等の異常の有無を目視することができるので、人参の選別精度が向上する。
【0075】
さらに、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0076】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0077】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
【0078】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
【0079】
図1から
図4、及び
図18から
図21に示すとおり、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0080】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0081】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
【0082】
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を付勢して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の付勢バネ50,50を取り付ける。該付勢バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる付勢力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0083】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は付勢バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0084】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0085】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0086】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0087】
なお、
図20(a)〜(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0088】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0089】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0090】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
【0091】
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0092】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0093】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0094】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記付勢バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0095】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0096】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
【0097】
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0098】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端側の下方に構成される。
【0099】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0100】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0101】
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0102】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0103】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を付勢する左右の付勢バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0104】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで付勢バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0105】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、付勢バネ50,50に付勢された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0106】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0107】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0108】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0109】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
【0110】
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0111】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0112】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0113】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0114】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0115】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0116】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,事務52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0117】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0118】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
【0119】
図1から
図8に示すとおり、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該残葉処理フレーム72,72の機体左右一側の前後間に第1残葉処理駆動ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72,72の機体左右他側の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理駆動ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理駆動ローラ73aと第2残葉処理駆動ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。さらに、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0120】
なお、該残葉処理コンベア76は、機体左右一側から左右他側に向けて2〜5度程度傾斜している。
【0121】
これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜による移動により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2〜5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア76は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動することがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が向上する。
【0122】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0123】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0124】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
【0125】
図1から
図8に示すとおり、前記エンジン7の駆動力を伝動する伝動シャフト120を、前後の残葉処理フレーム72,72の下部側を貫通させて機体後側に突出させ、該伝動シャフト120の後端部に出力スプロケット121を軸着する。また、機体後側の残葉処理フレーム72の該出力スプロケット121よりも上方位置にアイドルスプロケット122を回転自在に装着し、該アイドルスプロケット122よりも機体左右一側(機体右側)に後述する回収コンベア160に駆動力を伝動する回収入力軸123aを回転自在に装着し、該回収入力軸123aに入力スプロケット123を軸着する。
【0126】
そして、該入力スプロケット123及び出力スプロケット121よりも機体左右他側(機体左側)に従動スプロケット124を回転自在に装着し、該出力スプロケット121とアイドルスプロケット122と入力スプロケット123と従動スプロケット124に亘って伝動チェーン125を無端状に巻回する。該従動スプロケット124は、前記第2残葉処理駆動ローラ73bに回転駆動力を供給する残葉処理出力軸124aに軸着される。
【0127】
なお、前記アイドルスプロケット122は、出力スプロケット121と入力スプロケット123との間で伝動チェーン125を機体上下方向から機体左右方向に屈曲させると共に、伝動チェーン125が弛まないように張圧するために設けるものである。
【0128】
さらに、前記後側の残葉処理フレーム72と従動スプロケット124の間に、第2入力スプロケット126を従動スプロケット124の回転軸に軸着して配置すると共に、該第2入力スプロケット126よりも機体左右一側で且つ下側にカウンタスプロケット127を回転自在に配置する。そして、該カウンタスプロケット127よりも機体左右一側で且つ上側に、第2従動スプロケット128を回転自在に装着し、該第2入力スプロケット126とカウンタスプロケット127と第2従動スプロケット128に亘って第2伝動チェーン129を無端状に巻回する。該カウンタスプロケット127は、後述する選別搬送コンベア87に駆動力を供給する選別搬送入力軸127aに軸着する。
【0129】
また、前記第2従動スプロケット128の回転軸(図示省略)に入力スパーギア130aを設け、該入力スパーギア130aの上側に出力スパーギア130bを噛み合わせて配置する。該入力スパーギア130aと出力スパーギア130bは、伝動ギアケース130内に配置する。そして、前記出力スパーギア130bの回転軸(図示省略)の機体前側端部に出力ベベルギア131aを軸着し、該出力ベベルギア131aを、前記残葉処理ローラ75の回転軸(図示省略)の後端部に軸着した入力ベベルギア131bに噛み合わせる構成とする。
【0130】
上記構成により、エンジン7から供給される駆動力を回収コンベア160、残葉処理コンベア76と残葉処理ローラ75、選別搬送コンベア87に供給する伝動経路をコンパクトに構成することができるので、機体の前後幅や左右幅が抑えられ、機体の旋回性が向上すると共に、収納に必要な面積が抑えられる。
【0131】
また、スプロケットや伝動チェーン等の部品点数を削減することができるので、コストダウンが図られる。
【0132】
そして、
図5から
図8に示すとおり、機体前側の前記残葉処理フレーム72よりも機体前側で且つ前記位置揃え装置54L,54Rの下方に、前後の第1搬送フレーム77,77を前後方向に所定間隔を開けて配置し、該第1搬送フレーム77,77の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム78,78を前後方向に所定間隔を空けて且つ搬送終端部側が上下回動自在に配置する。該前後の第1搬送フレーム77,77は、正面(背面)視でT字型であり、左右他側には、左右中央部から左右他側に向かうほど上方に傾斜する上方傾斜部を有する形状とする。
【0133】
そして、前記第1搬送フレーム77,77の機体左右一側端部で且つ残葉処理コンベア76の搬送面、即ち残葉処理ベルト74の上面よりも下方に回収従動ローラ132bを回転自在に装着し、該回収従動ローラ132bよりも機体左右他側で且つ回収入力軸123aに軸着可能な位置、具体的には残葉処理ローラ75の機体左右一側位置に、該回収入力軸123aの回転により駆動する回収駆動ローラ132aを配置する。さらに、該回収従動ローラ132bと回収駆動ローラ132aに亘って回収ベルト133を無端状に巻回して、回収コンベア160を構成する。
【0134】
該回収コンベア160は、引抜搬送装置24の搬送経路及び位置揃え装置54L,54Rの下方に配置され、茎葉切断装置61よりも搬送方向上手側で茎葉部が切れて落下する人参を受けて、機体左右一側から他側に搬送し、選別搬送コンベア87に引き継がせるものである。このため、回収駆動ローラ132aを回収従動ローラ132bよりも下方に配置し、回収コンベア160を機体左右一側から左右他側に向かう下方傾斜姿勢に構成してもよい。
【0135】
上記構成により、茎葉部が切れて搬送途中に人参が落下することがあっても、人参は回収コンベア160を経由して選別搬送コンベア87に移動し、元の移動経路に戻ることができるので、搬送経路外に落ちた人参を拾い集める作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0136】
また、回収従動ローラ132を残葉処理コンベア76の搬送面よりも下方に配置したことにより、大量の人参が一斉に供給されたときなど、残葉処理ローラ75に当たらずに機体前側に人参が押し出される条件となっても、押し出されてきた人参は停滞することなく回収コンベア160に移動することができるので、人参の収穫作業が停滞することが防止され、作業能率が向上する。
【0137】
さらに、回収コンベア160を機体左右一側から左右他側に向かう下方傾斜姿勢とすると、回収コンベア160に受け止められた人参が自重で転がって選別搬送コンベア87に向かって移動することができるので、回収コンベア160上に人参が留まり、選別搬送コンベア87側に搬送される途中で上方から落下してくる人参と接触することが防止されるため、人参が傷つくことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0138】
そして、前記前後の第2搬送フレーム78,78の搬送終端部側に、前後の選別駆動ケース200f,200rを設け、該前側の選別伝動ケース200fの機体前側で且つ外側に、選別搬送コンベア87を駆動させる選別駆動モータ201を設ける。また、前記前後の選別伝動ケース200f,200rには、該選別駆動モータ201から駆動力を受けて回転する選別駆動回転軸202を前後の第2搬送フレーム78,78を貫通させて設ける。さらに、該選別駆動回転軸202のうち、前後の選別伝動ケース200f,200rの内部に、選別駆動スプロケット203,203を各々設け、該前後の選別駆動スプロケット203,203よりも機体左右他側(搬送方向下手側)に選別入力スプロケット204,204を各々回転自在に設け、該前後の選別駆動スプロケット203,203と選別入力スプロケット204,204に、選別伝動チェーン205,205を各々無端状に巻回する。
【0139】
なお、前後の選別伝動ケース200f,200rは、メンテナンス等で分解しない限り密閉状態を維持し、内部に土や茎葉屑等の夾雑物が入り込まない構成としている。
【0140】
また、該前後の選別駆動スプロケット203,203と選別入力スプロケット204,204は、どちらか一方の径を他方の径よりも大径とし、配置箇所を入れ替えて選別搬送コンベア87の駆動速度を切り替えられる構成とする。
【0141】
そして、該前後の選別入力スプロケット204,204の回転軸206,206を各々前後の第2搬送フレーム78,78に差し込んで設け、該前後の回動軸206,206に、選別出力スプロケット207,207を各々装着する。このとき、前後の回動軸206,206は連結せず、前後の選別出力スプロケット207,207の前後間に空間部が生じる構成とする。
【0142】
前記選別駆動回転軸202、及び選別駆動モータ201の出力軸(図示省略)の外周は、中空であり、且つ金属や硬質樹脂で構成する保護パイプ208で覆い、選別駆動回転軸202や選別駆動モータ201の出力軸に土や茎葉の切れ端などの夾雑物が接触することを防止すると共に、左右の第2搬送フレーム78,78の連結を強め、選別搬送コンベア87の強度を向上させる。
【0143】
また、前記前後の選別伝動ケース200f,200rの内部で且つ機体左右一側(搬送方向上手側)に平面視でL字形状のテンションプレート209,209を各々設け、該前後のテンションプレート209,209に前記選別駆動回転軸202と選別駆動モータ201の出力軸を選別搬送コンベア87の搬送方向上手側に張圧して前後の選別伝動チェーン205,205の弛みを取るテンションロッド210,210を各々設ける。
【0144】
該前後のテンションロッド210,210の機体左右一側端部は、前後の選別伝動ケース200f,200rの機体左右一側端部の外側に貫通させ、ダブルナットにより機体左右方向に移動可能とすると共に、機体左右他側端部は前後のテンションプレート209,209の機体左右一側端部にナットを介して取り付ける。
【0145】
これにより、前後のテンションロッド210,210を機体左右方向に移動させると前後のテンションプレート209,209の機体左右位置が変更されるので、選別駆動回転軸202と選別駆動モータ201の出力軸にかかる張力を変更し、前後の選別伝動チェーン205,205の弛みを取って選別搬送コンベア87の駆動回転を安定させたり、前後の選別伝動チェーン205,205を張り詰め過ぎることによる破断の発生を防止したりすることができる。
【0146】
なお、前記前後の選別駆動スプロケット203,203と選別入力スプロケット204,204の左右間で、且つ前後の選別出力スプロケット207,207よりも搬送方向上手側(機体左側)に、後述する、人参の収容容器97を吊り下げる前後のハンガーアーム95,95を装着する、機体前後方向向きの回動シャフト93を、前後の第2搬送フレーム78,78を貫通させて設ける。このとき、該回動シャフト93の前後長さは前後の選別伝動ケース200f,200rの前後間の長さよりも長く構成し、前記前後のハンガーフレーム95,95が選別搬送コンベア87に干渉しない構成とする。また、該回動シャフト93は、前記前後の選別伝動チェーン205,205の巻回域内を通過する。
【0147】
これにより、回動シャフト93を選別搬送コンベア87の駆動に干渉させることなく配置できると共に、前後の第2搬送フレーム78,78を連結することができるので、選別搬送コンベア87の強度が一層向上する。
【0148】
さらに、前記前側の選別伝動ケース200fには、機体前側方向に向かう前方傾斜部200fdを形成すると共に、後側の選別伝動ケース200rには、機体後側方向に向かう後方傾斜部200rdを形成する。
【0149】
そして、該後方傾斜部200rdには、前記選別駆動モータ201を入切操作する、コンベアスイッチ211を設ける。なお、
図12に示すとおり、該選別駆動モータ201に可変回転モータを用い、該コンベアスイッチ211に変えて、或いはコンベアスイッチ211の近傍に、選別駆動モータ201の回転数を変更する可変回転ダイヤル212を設けてもよい。前記コンベアスイッチ211を用いないときは、可変回転ダイヤル212を最低出力位置まで操作すると、選別駆動モータ201が停止する構成とするとよい。
【0150】
前記コンベアスイッチ211及び可変回転ダイヤル212は、操縦部Bにも設けると、補助作業者だけでなく機体の操縦者も選別搬送コンベア87の搬送速度の調節や入切操作ができるようになる。
【0151】
上記構成により、選別駆動モータ201による選別搬送コンベア87の駆動部が、搬送終端部よりも搬送方向上手側に位置するので、駆動回転によって前後の選別伝動チェーン205,205が張り詰めることを防止でき、前後の選別伝動チェーン205,205の破断が防止される。
【0152】
また、選別搬送コンベア87の回転周期が不定期に乱れて、人参の搬送量が一時的に多くなったり少なくなったりすることを防止できるので、人参の選別精度が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0153】
そして、前後の選別出力スプロケット207,207を回転軸で連結していないことにより、一方の選別出力スプロケット207の回転が他方に影響しないので、一方の回転の乱れても他方の回転が安定していれば正常な回転に復帰するので、選別搬送コンベア87の回転周期が不定期に乱れることが防止され、人参の搬送量が安定し、選別精度や作業能率の向上が図られる。
【0154】
さらに、一方の選別出力スプロケット207に負荷がかかっても、他方の選別出力スプロケット207には負荷がかからないので、破損箇所が拡大することが防止され、修理に要する時間や労力、及び修理に用いる部品の削減が図られる。
【0155】
また、前後の選別駆動スプロケット203,203と選別入力スプロケット204,204のどちらか一方を他方よりも大径としたことにより、前後の選別駆動スプロケット203,203と選別入力スプロケット204,204の取付位置を逆転させると選別搬送コンベア87の搬送速度を速く、または遅くすることができる。
【0156】
収穫される見込みの人参の量が多く、選別搬送コンベア87が常に大量の人参を搬送し得るときは、選別搬送コンベア87の搬送速度が遅くなる選別駆動スプロケット203,203と選別入力スプロケット204,204の配置とすると、収穫に適さない人参を見つけやすくなるので、選別精度が向上する。
【0157】
収穫される見込みの人参の量が少なく、選別搬送コンベア87が搬送する人参の量が少なくなり得るときは、選別搬送コンベア87の搬送速度が速くなる選別駆動スプロケット203,203と選別入力スプロケット204,204の配置とすると、人参が収容容器97に収容されるまでの時間が短縮され、作業能率が向上する。
【0158】
そして、選別駆動回転軸202及び選別駆動モータ201の出力軸を保護パイプ208で覆うことにより、選別駆動回転軸202及び選別駆動モータ201の出力軸に土や茎葉屑等の夾雑物が付着することを防止できるので、選別駆動回転軸202及び選別駆動モータ201の出力軸の回転が妨げられることが防止され、選別精度や作業能率が向上すると共に、摩耗による耐久性の低下が防止される。
【0159】
さらに、保護パイプ208や回動シャフト93で前後の第2搬送フレーム78,78を連結することにより、選別搬送コンベア87の強度メンバーとなるので、選別搬送装置87の耐久性が向上する。
【0160】
また、前後の選別伝動ケース200f,200rに前方傾斜部200fdと後方傾斜部200rを形成したことにより、選別作業時に人参から剥離した土や、風等により飛んでくる夾雑物を下方に落とすことができるので、選別搬送コンベア87に土や夾雑物が溜まりにくく、掃除に要する時間や労力が軽減される。
【0161】
そして、選別駆動モータ201を前側の選別伝動ケース200fの機体前側に配置したことにより、選別搬送部Fと操縦部Bの前後間に選別駆動モータ201を配置することができるので、選別駆動モータ201と他の部材が干渉することが防止される。
【0162】
さらに、前後のテンションロッド210,210を左右方向に移動操作して選別駆動回転軸202及び選別駆動モータ201の出力軸の搬送方向上手側への張力を調節可能としたことにより、前後の選別伝動チェーン205,205の弛みが防止され、選別搬送コンベア87の回転周期が不定期に乱れることが防止され、人参の搬送量が安定し、選別精度や作業能率の向上が図られる。
【0163】
あるいは、前後の選別伝動チェーン205,205が過度に張り、僅かな負荷で破断することを防止できるので、耐久性が向上すると共に、作業が中断されることが防止される。
【0164】
上記のとおり、選別搬送コンベア87の駆動は、搬送方向下手側から行う構成としている。これにより、選別搬送コンベア87の従動回転側、即ち搬送方向上手側には、前後一対の選別従動スプロケット213,213を前後方向の従動回転軸214を設け、該選別従動スプロケット213,213と前記選別出力スプロケット207,207の前後間に、複数のテンションスプロケット215,215をテンション回転軸216…を介して設け、前後の選別伝動チェーン217,217を無端状に巻回している。
【0165】
また、前記前後の選別伝動チェーン217,217の前後間に、人参を載置して搬送する搬送バー144…を左右方向の等間隔、即ち左右間隔L1を空けて複数設け、該搬送バー144…複数個ごとに、選別搬送コンベア87の上方傾斜部などで人参が転げ落ちることを防止する受け桟145…を、所定間隔毎に配置する。さらに、前記第2搬送フレーム78,78に、前記選別伝動チェーン217,217の上方を覆うチェーンカバー146,146を設けることにより、選別搬送コンベア87が構成される。
【0166】
図5に示すとおり、該選別搬送コンベア87の搬送始端部と前記回収コンベア160の搬送終端部の間には、人参が落下し得る左右間隔が開いていると共に、選別搬送コンベア87の搬送始端部は回収コンベア160の搬送終端部よりも下方に位置しているので、前記前後の残葉処理フレーム72,72には、回収コンベア160の搬送終端部から排出される人参を選別搬送コンベア87の搬送始端部に移動させる引継シュータ147を、背面視で機体左右一側から左右他側に向かって下方傾斜する姿勢で配置する。
【0167】
該引継シュータ147は、人参と接触しても人参を傷付けることを防止すると共に、選別搬送コンベア87の搬送バー144…と接触しても抵抗となることを防止すべく、ゴムや合成樹脂等の軟質部材で構成すると、人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が維持されると共に、選別搬送コンベア87の駆動回転が乱れて人参の搬送が滞ることが防止され、作業能率が向上する。
【0168】
上記構成のとおり、選別搬送コンベア87は残葉処理コンベア76よりも下方に位置するため、残葉処理コンベア76から選別搬送コンベア87への人参の引き継ぎの停滞も防止されるので、作業能率がいっそう向上すると共に、人参の商品価値の低下が防止される。
【0169】
また、搬送バー144…を左右方向に左右間隔L1を空けて配置したことにより、人参と共に運ばれてきた土砂や、残葉処理ローラ75で取り除かれた残葉をこの左右間隔L1から選別搬送コンベア87の下方に落下させることができるので、収容容器97に入る土砂や残葉が減少し、収容容器97の容量一杯に人参を収容することができる。これにより、収容容器97を交換する頻度が減少し、作業能率が向上する。
【0170】
さらに、搬送バー144…よりも広い間隔で受け桟145…を設けたことにより、人参が選別搬送コンベア87上を転げても、受け桟145…が人参の移動を止めるので、同じ人参が何回も搬送始端部に戻ることが防止されるので、作業能率が向上すると共に、転げ落ちる際に後続の人参と接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が維持される。
【0171】
なお、前記搬送バー144は、硬質ゴム等の強度の高い弾性体、あるいは棒状の金属の外周部に軟質ゴム等の柔らかい弾性体を巻き付けて構成すると、回収コンベア160や残葉処理コンベア76から人参を引き継ぐ際、接触の衝撃で人参が傷つくことを防止することができるので、人参の商品価値が向上する。
【0172】
また、該受け桟145は、リベットまたはボルト(図示省略)を搬送面の反対側、即ち下側から装着して選別伝動チェーン217に取り付ける構成とすると、選別伝動チェーン217の巻回域内にリベットやボルトが突出しないので、他の部材との干渉が防止されるため、選別搬送コンベア87の破損が防止されると共に、搬送中の人参にリベットやボルトが接触して傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0173】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の左右間に支持プレート86を取り付け、該支持プレート86と機体フレーム1との間に選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88を伸縮自在に取り付けて、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア87を構成する。さらに、該選別搬送コンベア87の搬送終端部の下部に、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
【0174】
なお、昇降シリンダ88は電動式でも油圧式でも空圧式でもよく、手動で伸縮操作するものでもよい。
【0175】
また、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア87よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別作業や選別搬送コンベア87の操作を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90を配置し、該搭乗ステップ90に補助作業座席91を取り付ける。
【0176】
さらに、前記昇降シリンダ88を伸縮操作して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降操作ペダル92を選別搬送コンベア87の搬送経路の下方に配置する。
【0177】
そして、該搭乗ステップ90上で且つ補助作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に配置することによって、選別搬送部Fが構成される。
【0178】
上記構成によれば、昇降シリンダ88を操作する昇降操作ペダル92を補助作業座席91に着座した補助作業者の足が届く位置に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席91に着座したまま選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させることができ、作業能率が向上するとともに作業者の労力が軽減される。
【0179】
さらに、昇降操作ペダル92を設けたことにより、補助作業者は選別搬送コンベア87の上下動を足だけで操作することができ、手を搬送中の人参の選別作業に集中させられるので選別精度が向上すると共に、手を選別搬送コンベア87の構成部材で挟んだり切ったりすることが防止でき、作業の安全性が向上する。
【0180】
上記の選別搬送部Fの構成において、上述のとおり、選別搬送コンベア87は、搬送バー144…同士の左右空間部で土砂や残葉を下方に排出しながら、人参を収容容器97に搬送するものである。
【0181】
この選別搬送コンベア87を駆動させる前後の選別伝動チェーン217,217の上方には、各々チェーンカバー146,146が設けられており、前後の選別伝動チェーン217,217に上方から落下する土砂が接触することを防止している。
【0182】
しかしながら、回収コンベア160の搬送終端部からは、引抜搬送装置24で搬送中の人参から落下する土砂や、搬送途中で茎葉部が千切れるなどして落下してきた人参に付着した土砂が、下方に落ち込む軌跡で移動して排出され、土砂の排出位置が前後のチェーンカバー146,146の下方になることがある。
【0183】
また、残葉処理コンベア76の残葉処理ローラ75は、人参の残葉を除去した後、選別搬送コンベア87の搬送始端部の近傍に人参を案内すべく、残葉処理コンベア76の搬送方向を基準として斜めに装着されており、この残葉処理ローラ75の端部から直下に落下する土砂は、チェーンカバー146を迂回して機体後側の選別出力スプロケット207と選別伝動チェーン217との間に入り込むことがある。
【0184】
選別出力スプロケット207と選別伝動チェーン217の間に土砂、特に硬めの石が入り込むと、石が砕けたとしても、前後の選別伝動チェーン217が浮き上がり、選別出力スプロケット207の回転駆動を受けないタイミングが発生する。
【0185】
選別伝動チェーン217の浮き上がりが生じると、選別搬送コンベア87の駆動が一時的に停止し、反動で搬送中の人参が逆流し、後続の人参と接触して傷付き、商品価値が低下する問題が生じる。
【0186】
また、前後の選別伝動チェーン217,217のうち、どちらか一方の送り出しタイミングにズレが生じると、次第に選別搬送コンベア87の前後で搬送速度に差が生じ始める。前後の選別伝動チェーン217,217は複数の搬送バー144…で連結されており、前後の選別出力スプロケット207,207は、選別搬送コンベア87の搬送速度に速度差が付くと、搬送バー144…などに負荷がかかるようになる。
【0187】
これにより、前後の選別伝動チェーン217,217間に設けた搬送バー144…が歪んで正常に回転しなくなるので、これらの部品を交換せねばならず、その間作業が中断されてしまい、作業能率が極端に低下したり、人参の収穫時期を逃してしまう問題がある。
【0188】
この問題を防止すべく、前記前後の第1搬送フレーム77,77の前後で、且つ回収コンベア160の回収ベルト133の上面に、前後のガードカバー148,148を、前側のものは機体後側に向かう後ろ下がり傾斜姿勢で、後側のものは機体前側に向かう前下がり傾斜姿勢で取り付ける。該前後のガードカバー148,148の一側端部は、回収コンベア160の搬送始端側の上方に臨ませると共に、他側端部は選別搬送コンベア87の搬送始端部の上方に臨ませる。
【0189】
より詳細に説明すると、選別搬送コンベア87を構成する、前後の選別出力スプロケット207,207よりも機体左右他側まで延長し、回収コンベア160の搬送終端部、及び残葉処理コンベア76の残葉処理ローラ75から排出される土砂を、前後のガードカバー148,148によって選別出力スプロケット207,207よりも機体左右他側位置に案内し、選別搬送コンベア87の下方に落下させる構成とし、選別出力スプロケット207と選別伝動チェーン217の間に土砂が噛み込まれることを防止する。
【0190】
上記構成により、選別伝動チェーン217が選別出力スプロケット207から浮き上がり、選別伝動チェーン217の送り出しタイミングにズレが生じる、所謂コマズレの発生が防止され、選別搬送コンベア87の前後位置で速度差が生じることを防止できるので、搬送バー144…が歪んで選別搬送コンベア87が駆動しなくなることが防止される。
【0191】
これにより、人参の収穫作業が中断されず、作業能率が向上すると共に、人参を収穫適期に収穫できるので、人参の商品価値が向上する。また、部品の交換を行う必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0192】
また、前後のガードカバー148,148を各々回収コンベア160及び選別搬送コンベア87の前後方向の中央部に向かって傾斜させていることにより、ガードカバー148,148に載った土砂は、回収コンベア160及び選別搬送コンベア87の前後方向の中央部に移動するので、回収コンベア160の搬送終端部から選別搬送コンベア87の搬送始端部に移動する土砂が前後の選別出力スプロケット207,207に接近することが防止され、選別出力スプロケット207と選別伝動チェーン217との間に土砂が噛み込まれることが防止される。
【0193】
これに加えて、残葉処理コンベア76から選別搬送コンベア87に移動する土砂も、選別搬送コンベア87の前後方向の中央部に移動するので、落下中の土砂が選別出力スプロケット207と選別伝動チェーン217との間に噛み込まれることが防止される。
【0194】
なお、前記前後のガードカバー148,148は、樹脂製のリベットを前後の第1搬送フレーム77,77に差し込んで装着することにより、ガードカバー148が摩耗するなどして交換する必要が生じた際、ガードカバー148を引き上げると簡単に外れるので、ガードカバー148の交換作業が容易に行え、作業能率が向上する。
【0195】
また、前後のガードカバー148,148の搬送方向の後端部、即ち選別搬送コンベア87の搬送始端部に臨む部分には、切込みを入れる等して他の部分よりも撓みやすく構成すると、前後のガードカバー148,148が搬送バー144…や受け桟145…に接触する際に抵抗となることを防止できるので、選別搬送コンベア87に余分な負荷がかかり、耐久性が低下することが防止される。
【0196】
前後のガードカバー148,148の前後幅は、前後の選別出力スプロケット207,207や前後の選別伝動チェーン217,217に土砂が落下することを防止でき、さらに回収コンベア160及び選別搬送コンベア87の前後中央部に向かって土砂を案内しやすくすべく、60〜90mm程度とする。機体前側のガードカバー148は後側のガードカバー148に比べると土砂が入り込みにくいので、上記の例ほどの長さは不要ではあるが、前後共に同じ長さとすると、共通の部品を用いることができ、部品のコストダウンが図られる。
【0197】
次に、収容部Gの構成について説明する。
【0198】
図2から
図4、及び
図9から
図11に示すとおり、前記選別搬送コンベア87の前後の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右他側部)に回動シャフト93を機体前後方向に貫通させて取り付け、該回動シャフト93の前後両端側で且つ第2搬送フレーム78,78の外側に夫々摩擦抵抗体94,94を軸着する。
【0199】
該摩擦抵抗体94,94は皿バネやスプリングワッシャ、ゴムリング等、強い摩擦抵抗を有する部材であればどのようなものを用いてもよい。
【0200】
また、前記回動シャフト93の前後両端部に前後のハンガーアーム95,95の基部側を摩擦抵抗体94,94よりも前後方向外側に設け、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に挟み込んだ摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗によりハンガーアーム95,95が上方または下方に抵抗力以上の移動力がかかったときのみ上方または下方に移動可能に構成する。
【0201】
なお、
図9に示すとおり、ハンガーアーム95,95は左右方向略中央部に屈曲部95a,95aを形成し、正面視あるいは背面視で逆“へ”の字形状に屈曲させた形状とすると、選別搬送コンベア87を上昇させた際にハンガーアーム95,95が下方に回動しても、前後の第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に隙間が生じなくなり、補助作業者が選別搬送コンベア87の搬送終端部に向かって腕を伸ばしていても、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95とに腕を挟まれることがなく、作業者の安全性が向上する。
【0202】
また、ハンガーアーム95,95が第2搬送フレーム78,78の搬送終端側の近傍に位置することにより、ハンガーアーム95,95がどの傾斜角度であっても第2搬送フレーム78,78よりも下方に位置するので、補助作業者の選別作業スペースが広くなるので、選別精度が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0203】
そして、前記ハンガーアーム95,95の端部側に前後方向に亘って選別搬送コンベア87の機体前後端部よりも前後方向に突出するハンガーフレーム96を取り付け、該ハンガーフレーム96の前後両端部に人参を収容する収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97を前後左右の4点を引っ掛けて吊り下げ支持する前後一対の吊下げハンガー98,98を左右方向に回動自在に取り付ける。
【0204】
さらに、該吊下げハンガー98,98の機体外側端部に上方向きの逆U字型(∩型)の外側吊下げ体99a,99aを夫々溶着すると共に、機体内側端部を下方向きのU字型の内側吊下げ体99b,99bを溶着し、該外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに収容袋97を吊り下げる吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下移動自在に取り付ける。
【0205】
なお、外側吊下げ体99a,99a及び内側吊下げ体99b,99bを溶着する代わりに、吊下げハンガー98,98の機体外側端部を逆U字型(∩型)に折り曲げ、機体内側端部をU字型に折り曲げて、吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下方向に移動自在に取付可能な構成としてもよい。
【0206】
該吊下げハンガー98,98は、吊り下げる収容袋97の上側開口部が平面視で略四角形となるように、収容袋97の4箇所の角部を前後の外側吊下げ体99a,99a及び前後の内側吊下げ体99b,99bで吊り下げる。
【0207】
また、選別搬送コンベア87を上限まで回動させて収納状態にした際、吊下げハンガー98,98は機体フレーム1に対して直交姿勢となるので、収納時に機体フレーム1の外側にはみ出す部材がなく、収納時にはみ出た部材が破損することが防止されると共に、収納スペースを余分に取ることが防止される。
【0208】
さらに、
図9及び
図10に示すとおり、前記ハンガーフレーム96に、直射日光を遮断するバイザープレート250を前後の吊下げハンガー98,98と略水平姿勢で取り付ける。該バイザープレート250は、ハンガーフレーム96と共に回動し、選別搬送コンベア87を上下動させても吊下げハンガー98,98と略水平姿勢となる構成とする。
【0209】
上記構成により、収容袋97内に射し込む直射日光をバイザープレート250が遮断するため、長時間直射日光に晒された人参が乾燥等で萎びたり割れたりすることを防止できるので、人参の品質が低下しにくく、人参の商品価値が向上する。
【0210】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の搬送終端部の前後外側で且つ回動シャフト93の取付位置よりも機体外側方向に前後のハンガーアーム95,95を受け止めて下方回動を規制する下限規制突起100,100を取り付ける。さらに、機体前側の第2搬送フレーム78の外側で機体前側の下限規制突起100よりも上方且つ回動シャフト93寄りの位置に、機体前側のハンガーアーム95を受け止めて上方回動を規制する上限規制突起101を取り付ける。
【0211】
また、前記回動シャフト93の機体後側もしくは前後両側に雌ネジを刻んだ孔部(図示せず)を形成し、該孔部にねじ込む雄ネジ(図示せず)を刻んだ調節ノブ102を挿し込み、該調節ノブ102を回転させて摩擦抵抗体94,94を間に挟んだ第2選別フレーム78,78とハンガーアーム95,95との前後間隔を変更することにより、摩擦抵抗力が変化する構成とする。
【0212】
上記調節ノブ102を回動シャフト93の機体後側端部に設けると補助作業座席91に搭乗した補助作業者が操作し易く、回動シャフト93の機体前側端部に設けると操縦座席11に搭乗した作業者が操作し易くなり、摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力の調節が容易となる。
【0213】
さらに、前記回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送終端側で且つ機体後側の第2搬送フレーム78の下側に前後方向に摺動自在なスライド軸103を設け、該スライド軸103に機体前側方向に付勢力をかけるスプリング104を軸着する。そして、該スプリング104の機体前側端部に選別搬送コンベア87の下部に入り込む収容袋97の機体内側の前後中間部を吊り下げて弛みを防止する補助フック105を設け、前記スライド軸103の後側端部で且つ第2フレーム78の外側に作業者がスライド軸103を前後摺動させるスライドノブ106を取り付ける。
【0214】
そして、該スライドノブ106に、作業者がスライドノブ106を手で操作し易くするフックレバー106aを設け、該フックレバー106aの基部にフックレバー106aを選別搬送コンベア87側、即ち機体内側に向けて付勢するトルク・スプリング106bを取り付ける。
【0215】
前記フックレバー106aは、収穫作業時には収容袋97の機体内側の内部に接触させて収容袋97の機体内側を付勢させることにより、収容袋97の機体内側に弛みが発生することを防止できるので、弛みに人参が入り込んで収容量を無駄にすることが防止され、収容袋97の交換を頻繁に行う必要が無くなり、作業能率が向上する。また、フックレバー106aの表面にゴム等の軟質材で構成するチューブを装着すると、収容袋97に収容された人参がフックレバー106aに接触して傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0216】
これに加えて、バイザープレート250はハンガーフレーム96と共に回動して常に吊下げハンガー98,98と略水平姿勢となるため、選別搬送コンベア87を上下動させても直射日光が収容袋97内に入り込みにくく、人参の劣化を防いで商品価値を向上させることができると共に、バイザープレート250が吊下げハンガー98,98の動きを妨げることが防止される。
【0217】
さらに、フックレバー106aは、非作業時(収納時)はトルク・スプリング106bの力によって選別搬送コンベア87の底部に押し当てられるため、機体外側にフックレバー106aが突出することが防止されるので、収納時にフックレバー106aが接触により破損することが防止されると共に、収納スペースが余分に取られることがなくなる。
【0218】
なお、前記スライド軸103は非操作時に選別搬送コンベア87の機体後端部から前後中間部と同じか若干機体前側まで亘って設けると、補助フック105の位置を合わせ易くなる。また、スライド軸103を機体前側から後側に向かって設けてもよく、この場合操縦座席11に搭乗する作業者がスライド軸103の操作を行なうことができる。
【0219】
次に、上記収容部Gの動作について説明する。
【0220】
人参の収穫作業開始時には、前記選別搬送コンベア87の搬送終端部から収容袋97までの人参の落下距離を最小限にするため、該選別搬送コンベア87を最下位置まで下降させる。また、前後の吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに設けた吊下げフック99f,99f,99f,99fに収容袋97の四隅を引っ掛けて、上側開口部を平面視で略四角形状とする。
【0221】
そして、前後のハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触するまで上方回動させ、前後の吊下げハンガー98,98を機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する姿勢とする。吊下げハンガー98,98が機体外側方向に向かって上方に傾斜する姿勢となることにより、吊り下げられている収容袋97も機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する上り傾斜姿勢となる。
【0222】
このとき、吊り下げられた収容袋97のうち、選別搬送コンベア87の搬送終端部側から人参が排出される機体内側は弛むため上下長さが短くなり、機体外側は殆ど弛みが生じないため上下長さが長くなる。
【0223】
なお、収容袋97は、布材や合成繊維等で柔軟に構成したものとする。
【0224】
また、前記収容袋97の機体内側端部に排出シュータ89の機体外側端部を入り込ませ、収容袋97の機体内側端部を選別搬送コンベア87の搬送終端側の下方に入り込ませ、収容袋97の前後方向略中心部に形成した吊り孔(図示せず)に補助フック105を引っ掛ける。さらに、収容袋Bの機体内側の吊り帯97iを吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側の吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛ける。
【0225】
前記ハンガーアーム95,95は摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力により、作業者が設定した傾斜姿勢で保持されるが、放置すると勝手に下方回動し始める場合には調節ノブ102を回転させて、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に配置された摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力を調節する。調節ノブ102を締め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が増加して摩擦抵抗力が強くなり、ハンガーアーム95,95が勝手に移動することが防止される。なお、緩め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が減少して、摩擦抵抗力が弱くなる。
【0226】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超えると、補助作業者が昇降操作ペダル92の伸張側を足踏み操作し、昇降シリンダ88を伸ばして選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させる。
【0227】
選別搬送コンベア87が上昇している間は、前記ハンガーアーム95,95が下降しようとする力が摩擦抵抗体96,96の摩擦抵抗力を上回るため、ハンガーアーム95,95が下降する。ハンガーアーム95,95の下降は、収容袋97に人参の収容スペースを確保すべく選別搬送コンベア87を上昇させている間のみ発生する。
【0228】
ハンガーアーム95,95が下方回動することにより、吊下げハンガー98,98がハンガーフレーム96を支点として回動し、吊下げハンガー98.98の機体外側が下方に回動すると共に、機体内側が上方に回動する。収容袋97の機体外側は設置の段階で上方に位置しているので殆ど位置の変化はないが、機体内側は吊下げハンガー98,98の移動により、上方に引き上げられる。これにより、収容袋97の機体内側に生じていた弛みが上昇量に応じて解消される。
【0229】
なお、この動作による選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どなく、また排出シュータ89の端部は、収容袋97の内部に垂れ下がって入り込んでいるため、収容袋97からはみ出すことがない。
【0230】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超える度に選別搬送コンベア87の搬送終端部を上昇させ、ハンガーアーム95,95を下方回動させると共に、収容袋97の機体内側を上方に引き上げて、収容袋97内の人参の収容スペースを確保すると共に、機体内側に偏る人参の山を崩していく。
【0231】
そして、選別搬送コンベア87を上方に回動させ、吊下げハンガー98,98が略水平姿勢になると、収容袋97の機体内側の弛みが解消され、機体内側と外側の上下高さが略同じになる。この状態となると、収容袋97には約200kgの人参が収容されているため、作業者は機体の走行を停止して収容袋97を機外に下ろす。
【0232】
このとき、ハンガーアーム95,95が下限規制突起100,100に接触する構成とする。
【0233】
しかしながら、あと数メートルで圃場内の人参を全て収穫できる場合等、収容袋97を交換すると手間が多くなる場合には、収容袋97の上部開口部を閉じる蓋部を吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aに引っ掛け、収容袋97の機体外側から左右方向中央部の近傍までの上下高さを長くしてやると、数メートル(数kg)分の人参であれば収容可能となり、収容袋97の交換の手間が省け、作業能率が向上する。
【0234】
なお、この状態でも選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どない。
【0235】
そして、収容袋97の収容量が一杯になると、機体や引抜搬送装置24、選別搬送コンベア87等を停止させ、吊下げフック99f,99f,99f,99fから収容袋97取り外すと共に、フックレバー106aを操作してスライドノブ106を介して機体後方に引っ張り、補助フック105を収容袋97から取り外す。補助フック105はスプリング104の付勢力によって、フックレバー106aから手を離すと選別搬送コンベア87、及び装着時の収容袋97の前後方向略中央部に自動的に復帰する。
【0236】
そして、収穫作業が終了すると、ハンガーアーム95,95を再び上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで上方回動させる。
【0237】
上記構成及び動作により、収容袋97の機体外側には作業の開始から交換時まで殆ど弛みが生じないため、弛みに人参が入り込んで収容袋97の収容量を減らしてしまうことが防止され、収容袋97の交換の頻度が減り、作業能率が交換すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0238】
従来の収容袋の取り付け方では、機体内外両側に弛みが生じるため、この弛みに人参が入り込み、収容袋が持ち上げられても弛みが取れなくなり、一回の収容量が減少し、収容袋の交換頻度が高くなっていた。
【0239】
また、収容袋に生じた弛みを選別搬送コンベアを上下動させて解消し、収容スペースを確保することはできたが、弛みを取る度に作業者は選別搬送コンベアを操作せねばならず、作業能率を低下させていた。特に選別を行う補助作業者の場合、操作中の選別精度が低下していた。
【0240】
そして、選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が常に略一定であるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0241】
さらに、通常はハンガーアーム95,95の回動を摩擦抵抗体96,96によって規制し、選別搬送コンベア87を上昇させている間のみハンガーアーム95,95が下方回動する構成としたことにより、収容袋97の人参の収容量の変化に合わせて選別搬送コンベア87を操作すると連動して吊下げハンガー98,98の機体内側を上方に移動させることができるので、収容袋97の収容量を自動的に増大させられると共に、収容袋97の機体内側の弛みが自動的に解消されるので、弛みを取るために選別搬送コンベア87を上下動させる必要がなく、作業能率が格段に向上する。
【0242】
また、ハンガーアーム95,95の上方傾斜姿勢の限度を決める上限規制突起101を機体前側の第2搬送フレーム78に設けたことにより、作業者はハンガーアーム98,98をセットする位置がわかりやすく、収容袋97が満杯になるようにハンガーアーム95,95の位置を決めることができる。
【0243】
加えて、上限規制突起101が機体前側の第2搬送フレーム78にのみ設けられたことにより、上限規制突起101は選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別を行う補助作業者の作業範囲内に存在しないため、補助作業者が動作する際にぶつかったり衣服に引っ掛かったりすることが防止され、作業者の負担が軽減される。
【0244】
下限規制部材100,100は機体後側の第2搬送フレーム78にも設けられるが、設けられる位置は吊下げハンガー98,98の機体内側端部が位置しており、しかも通常選別作業を終えている領域であるため、補助作業者の動作に干渉することはないので、問題はない。
【0245】
なお、作業者がハンガーアーム95,95を上段規制突起101に接触させ忘れることを防止するために、後側の第2搬送フレーム78に注意書きを記しておくと、設定忘れが防止できる。
【0246】
そして、吊下げハンガー98,98の機体外側端部に外側吊下げ体99a,99aを上方に向けて設け、機体内側端部に内側吊下げ体99b,99bを設けたことにより、機体内側の吊下げフック99f,99fが機体外側の吊下げフック99f,99fよりも下方に位置するので、収容袋97を設置した際に収容袋97の機体外側と機体内側の上下高さの差が大きくなるので、収容袋97の機体外側からいっそう人参がこぼれにくくなる。
【0247】
また、吊下げハンガー98の左右両端部を折り曲げて外側吊下げ体99a及び内側吊下げ体99bを形成すると、一本の棒材で構成することができるので、コストダウンを図ることができる。
【0248】
そして、収容袋97の機体内側に設けた吊り帯97iを選別搬送コンベア87下の吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側に設けた吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛けることにより、収容袋97を吊り帯97i,97oが引っ張るので、収容袋97に生じる弛みを軽減することができる。
【0249】
さらに、収容袋97の前後方向略中央部の孔部に補助フック105を引っ掛けることにより、収容袋97の機体内側の前後方向略中央部に生じる弛みを小さくすることができるので、人参が機体内側の弛みに入り込みにくく、収容スペースが十分に確保できる。
【0250】
そして、スライドノブ106を機体後方に引っ張ると、スライド軸103が機体後方に摺動して補助フック105が収容袋97から外れるので、人参で満杯になった収容袋97と選別搬送コンベア87の搬送終端部の下方との間に生じる狭いスペースに手を進入させなくても補助フック105を外すことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0251】
また、ハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで回動させると、吊下げハンガー98,98が回動して吊下げハンガー98,98の機体外側端部が機体フレーム1の端部よりも内側に位置するので、機体フレーム1からはみ出した吊下げハンガー98,98が壁等にぶつかることがなく、機体の破損が防止される。
【0252】
また、排出シュータ89の端部を収容袋97の内側に垂れ下がらせたことにより、排出シュータ89と収容袋97との間の人参が落下し得る空間部がなくなるので、選別搬送コンベア87から排出される人参が落下することを防止でき、人参の商品価値が向上する。該排出シュータ89の機体前後方向の幅は、選別搬送コンベア87の機体前後方向の幅と略同じにすると、上記の人参の落下防止効果がいっそう向上する。
【0253】
次に、載置排出部Hの構成について説明する。
【0254】
図2及び
図3で示すように、前記機体フレーム1の機体左右他側後部に前後支持プレート109,109を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート109,109の機体外側端部に載置部フレーム110を、左右回動軸110aを回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム110の後下部に上下回動軸111aを設け、該上下回動軸111aの上部に前後の吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の底部を載置支持する載置台112を上下回動自在に取り付ける。
【0255】
また、前記載置部フレーム110の後側の左右他側端部に後側支持プレート113を設け、前記上下回動軸111aの左右他側端部に回動プレート114の下端部を機体前後方向に回動自在に設けるとともに、該回動プレート114の上部と後側支持プレート113の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド115を取り付ける。
【0256】
さらに、該伸縮ロッド115の機体後側の端部に伸縮ロッド115を伸縮させる操作ハンドル116を取り付けるとともに、前記載置台112の左右両側及び後側に収容袋97の落下を防止する落下防止板117B,117L,117Rを取り付けることにより、回収台118が構成される。該回収台118の機体外側端部(機体右側端部)には、回収台118の折り畳み作業時に前記吊下げハンガー98,98の一側端部を引っ掛ける支持突起119を取り付ける。
【0257】
上記落下防止板117B,117L,117Rのうち、機体左側、即ち機体内側に配置される左落下防止板117Lの下部側に、水や夾雑物を排出する排出開口部117sを形成し、回収台118を機体フレーム1側に回動させると水や夾雑物が排出開口部117sから圃場に落下する構成とする。
【0258】
そして、前記左右回動軸110aに、回収台118を常時上方に付勢して上方傾斜姿勢で保持するトルク・スプリング110bを取り付け、収容袋97に収容された人参の重量が増加すると自動的に機体フレーム1に対して略水平姿勢になるまで下方回動する構成とする。
【0259】
前記収容袋吊下げ装置85と回収台118とにより、載置排出部Hが構成される。
【0260】
なお、伸縮ロッド115は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル116で回転させて伸縮する構成としているが、電動シリンダや油圧シリンダに置き換えてもよく、その場合は操作ハンドル116をスイッチやレバーに置き換えてもよい。
【0261】
上部を前後の吊下げハンガー98,98で支持すると共に、底部を載置台112で支持する収容袋97は、収穫する作物によって違いはあるが、例えば人参を容量一杯に収容すると、約200kgの重量物となる。収容袋97は上下方向から支持されるので、前後の吊下げハンガー98,98や載置台112にかかる負荷は分散されるが、人参の収容量が増えるほど機体右側(機体左右他側)に重量バランスが偏る傾向にある。
【0262】
前記左右のクローラ6L,6Rは、旋回時等進行方向を変更する際は、左右のドライブシャフト9,9を同一速度で反対方向に回転させることで、その場で旋回する、所謂超信地旋回を行うが、重量バランスが左右どちらか一方に偏っていると、収容袋97から離れた側に位置する左側のクローラ6Lが圃場面から僅かに浮き上がってしまい、旋回中に僅かに円弧の軌跡を描くことがある。
【0263】
これにより、高畦の圃場や、圃場端に壁や電柱等の障害物があると、畦や障害物との接触で、機体が破損することがある。また、機体の傾きによって収容袋97が揺れると、人参が落下してしまい、回収作業が必要になり、余分な時間と労力が費やされると共に、落下時に人参が損傷し、商品価値が低下する問題が生じる。
【0264】
収容袋97による重量バランスの偏りがあっても超信地旋回を行うべく、
図14に示すとおり、前記載置台112に収容袋97の重量を検出する重量センサ701を設け、前記選別搬送コンベア87の第2搬送フレーム78,78の上下回動量を検出するポテンショメータ702を設けると共に、前記副変速レバー58の操作位置を検知する副変速センサ703を設ける。該重量センサ701の検知重量、ポテンショメータ702の検知角度、ならびに副変速センサの検知する操作位置は、前記制御装置700に送られる。
【0265】
該副変速センサ703の検知する副変速レバー58の操作位置が「作業切」位置であるとき、重量センサ701が検知する収容袋97の重量が所定重量(例:200kg±20kg)以上であるときは、前記昇降シリンダ88が伸張して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上方に回動させ、前記ポテンショメータ702が最大上昇位置と見做す角度を検知すると、該昇降シリンダ88の伸張が停止する。
【0266】
これにより、収容袋97を吊り下げる前後の吊下げハンガー98,98が上方で且つ左側(機体左右一側)に移動するので、重心位置を高くすると共に機体左右方向の中心に近付けることができるので、収容袋97に収容された人参の重量によって機体左側が浮き上がりにくくなり、左右のクローラ6L,6Rの接地状態が維持され、超信地旋回が正常に行われる。
【0267】
これに加えて、地面から浮き上がった左側のクローラ6Lを下降させるべく、前記左右のスイングシリンダ612,612を収縮させ、左側のクローラ6Lを右側のクローラ6Rよりも下方に位置させ、地面に接触させる。
【0268】
これにより、選別搬送コンベア87の搬送終端側の上昇だけでは左側のクローラ6Lの浮き上がりが抑えられなくても、左側のクローラ6L自身が下降して接地することができるので、超信地旋回が正常に行われ、機体が畦や障害物に接触することが防止される。
【0269】
さて、人参の収穫作業は、人参の品種や地域、播種時期によって異なるが、春から晩秋、または初冬まで行われる。夏場の作業時は、操縦座席11、補助作業座席91に搭乗する作業者と補助作業者は強い陽射しに晒されるので疲労しやすく、休憩の頻度が多いほど作業能率が低下する。
【0270】
また、収穫適期に人参を収穫すべく、雨や雪が降るときに収穫作業を強行することもあるが、このときは雨や雪に晒されるので、長時間の作業が行えず、作業能率が低下する。
【0271】
こうした気候や気象による作業への影響を軽減すべく、
図22及び
図23に示すとおり、操縦座席11の後方と選別搬送コンベア87の前方の間の空間部に、バイザ支柱618を着脱自在に立設する。該バイザ支柱618は、テレスコピック方式やシリンダ方式として、伸縮により長さを調節可能に構成してもよい。
【0272】
そして、前記バイザ支柱618の上部には、前後のバイザ回動軸619,619を回動支点として上下回動する前後のバイザ620F,620Rを回動自在に設け、前記バイザ支柱618と前後のバイザ620F,620Rの間に、前後のバイザ620F,620Rの回動角度を調節する前後の角度調節シリンダ621,621を各々配置する。該前後の角度調節シリンダ621,621は、前記操縦パネル12に角度調節ダイヤル628,628を設け、該角度調節ダイヤル628,628を操作することによって調節するものとする。
【0273】
前記前側のバイザ620Fの前端下部、及び後側のバイザ620Rの後端下部には、陽射しをフィルタリングして視認性を向上させると共に、作業者が過度に日焼けすることを防止する遮光プレート622を各々回動自在に装着している。該遮光プレート622は、上方回動させて前後のバイザ620F,620Rの下面(裏面)に接触させて固定することで、非使用状態になるものとする。
【0274】
陽射しの弱いときに遮光プレート622を作業者の視界に臨ませていると、遮光プレート622に施す加工によっては、視界が暗くなったり僅かに歪んだりするので、かえって視認性が低下する問題がある。
【0275】
なお、
図23で示すとおり、補助作業座席91に搭乗する補助作業者の上方を覆う後側のバイザ620Rは、前記選別搬送コンベア87の搬送終端側を所定高さ以上になるまで回動させたときに干渉することを防止すべく、選別搬送コンベア87の上昇位置に切欠部624を形成するとよい。
【0276】
該切欠部624には、選別搬送コンベア87の搬送終端側の上昇量が所定高さ未満であるときには後側のバイザ620Rで前側のバイザ620Fと同じ範囲を保護すべく、上下方向に回動する回動バイザ625を設けてもよい。
【0277】
該回動バイザ625は、開閉モータ626aや開閉シリンダ626b等の開閉アクチュエータ626を設け、前記ポテンショメータ702の検知する選別搬送コンベア87の搬送終端部側の回動角度に基づき、制御装置700によって該開閉アクチュエータ626の作動により、開閉する構成とする。
【0278】
あるいは、前記前後の第2搬送フレーム78,78の搬送終端部側に、上方に突出する接触突起627,627を設け、該接触突起627,627によって回動バイザ625が上方に持ち上げられる構成としてもよい。
【0279】
上記構成により、選別搬送コンベア87の搬送終端側の上方回動量が所定角度未満であるときは、後側のバイザ620Rの保護範囲が前側のバイザ620Fと同じになるので、補助作業者の労力の軽減が図られる。