【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの主題は、原動機付き二輪車用のタイヤであって、トレッドの半径方向内側にある拡張不能クラウン補強材により半径方向外側に取り付けることができるカーカス補強材を備え、各補強材は少なくとも1層の補強要素からなり、トレッドは2つのサイドウォールにより2つのビードに接続され、ビードはリムと接触することを意図し、各ビードは、ビードワイヤと呼ばれる少なくとも1つの拡張不能外周補強要素を備え、ビードワイヤは、外周方向平面において、概ね円形の閉鎖曲線を形成する中央線を定め、サイドウォールは、2mmと7mmの間の厚さを有し、クラウン補強材は2mmと3mmの間の厚さを有する、タイヤである。サイドウォールの厚さは、サイドウォールとカーカスプライの組み合わせた厚さに対応する。
各ビードのビードワイヤは可撓性である。タイヤは、タイヤを折り畳むと、ビードワイヤの中央線が、少なくとも1つのより小さい半径Rcの凹部Pcと曲率中心Ccとを備え、かつビードワイヤが、少なくとも1つの、炭素含有率が0.5%と0.9%の間である、非
巻き付けの金属コードを備えることを特徴とする。
【0014】
炭素含有率の値の範囲により、コードの強度を増大させて、ビードワイヤを形成するコードの巻き数を減らすことができる。
ビードワイヤは、半径10mmのプーリーの周りの平面で屈曲させても、ビードワイヤを形成する剛性要素は全く恒久変形しないほど、可撓性である。
【0015】
本発明によると、クラウン補強材は、クラウン補強材を5%変形させようとする荷重が40Nと少なくとも等しい場合は、拡張不能であり、ビードワイヤは、ビードワイヤを1%伸長させようとする荷重が2500Nと少なくとも等しい場合は、拡張不能である。
本発明によるタイヤは、輸送及び/又は保管中の単位容積あたりのタイヤ数を大幅に増加させることができ、相当の経済的節約につながることが有利である。
【0016】
具体的には、本発明による折り畳みの形態により、前述したレーシングとして知られる梱包方法に対して、1立方メートルあたり30%増しでタイヤを保管することができる。本発明によるタイヤは、折り畳んで、ばらばらに又はケースに入れて保管することができる。
本発明のタイヤの別の優位性は、サイズに関わらず、様々な方法でタイヤを折り畳み、それらの方法で折り畳んだまま保管できることである。最後に、本発明によるタイヤは、性能に悪影響無しに、輸送及び/又は保管期間中折り畳んだままにしておけることである。
【0017】
本発明の別の主題は、上述のタイヤを折り畳むための方法であって、
a)半径方向平面において、タイヤの第1の半分のビードを、トレッドの中心に接線方向の軸に向かって軸方向に分離するステップと、
b)2つの平行な半径方向において、第1の半分(M
1)のトレッドの2つの離間された点に、同一の強さの力を印加して、分離されたトレッドの第1の半分(M
1)を、該2つの点で、第1の半分(M
1)と反対の第2の半分(M
2)に近づけて、第1及び第2の相互近接ゾーンを形成すると同時に、該2つの点の間のトレッドを突起の形態に保持するステップと、
c)突起の内側部分を、固定された第1の垂直軸の各側に配置し、同時に、相互近接ゾーンのうち1つを、第3の垂直軸に対して
押し込み、第1の軸を第2の軸に対して正反対に配置し、第1及び第2の垂直軸を回転できる平坦手段に配置するステップと、
d)平坦手段を少なくとも1回転させて、第1及び第3の垂直軸の周りで、タイヤを自らコイル化させることにより折り畳むステップ、
からなる方法である。
分離するステップは、ビード間の軸方向距離を増大させることを意味する。
【0018】
最後に、本発明の最後の目的は、前述のモータバイク型式の二輪車用のタイヤの使用方法である。
各ビードのビードワイヤは、単繊維で形成され、飽和しかつ非
巻き付けであり、直径が0.22mm未満であることが好ましい、少なくとも1つの金属コードを巻くことにより形成することが好ましい。ビードワイヤは、破裂圧力が、最大圧力が10気圧と12気圧との間である自動膨張ツールの能力より高くなるような寸法にされる。
【0019】
コードを曲げることができるかどうかは、重ねるコードの数による。重ねるコードの巻き数を減らすように、非常に高強度(1700Nと2200Nの間)の鋼製コードを使用することが好ましい。これにより、折り畳んだタイヤの質量を減らす優位性も提供される。これは、いくつかの場合には、質量により制限される(ビードワイヤは、タイヤの合計容積の5乃至10%を占める)ものの、折り畳まない状態で輸送した場合には、容積により制限される。
ビードワイヤの中央線は、凹部P
cの境界を定める2つの屈曲点I
1、I
2をさらに備える。
【0020】
ビードワイヤの中央線は、2つのより小さい半径R
x1、R
x2及び2つの曲率中心C
x1、C
x2を有する少なくとも2つの凸部P
x1、P
x2を備える。凹部Pcの曲率中心C
c1と凸部の曲率中心C
x1、C
x2をそれぞれ接続する直線D
1、D
2は、5°と130°との間の角度を形成することが好ましい。
【0021】
凹部P
cは、ビードワイヤの閉鎖中央線の外側の曲率中心により定まる。凸部P
xは、ビードワイヤの閉鎖中央線の内側の曲率中心により定まる。
【0022】
各ビードのビードワイヤの中央線は、単繊維で形成された金属コードを巻くことにより形成することが好ましい。コードの直径は、1.5mm未満で、非
巻き付けであることが好ましい。単繊維の直径は、0.22mm未満であることが好ましい。
「非
巻き付け」とは、コードの外面の螺旋に巻かれた追加の単繊維がないことを言う。包む単繊維は、通常、コードの単繊維の直径より小さい直径を有し、短いピッチで包まれ、コードの外面を形成するスレッドが巻かれたのと反対の又は同じ方向であるように選択される。
巻き付けの主要機能は、コードの座屈を制限することである。
【0023】
また、コードを形成するスレッドつまり単繊維の直径は、0.22mm未満であることが好ましい。かかる短繊維の直径は、さらにコードの可撓性に寄与し、タイヤを折り畳むために必要な荷重を制限する。
本発明の一つの有利な実施形態によると、コードの引張弾性率は、150GPaより大きい。
【0024】
また、コードは、タイヤを使用不能にさせかねない任意の変形をせずに、2乃至5mmの曲率半径で湾曲させられることが有利である。コードは、タイヤを使用不能にさせかねない任意の変形をせずに、3mm未満の曲率半径で湾曲させられることが好ましい。
【0025】
本発明の実施形態の一つの代替形態によると、コードは、[L+M]または[L+M+N]構造の層化金属コードであり、Lが1乃至4の範囲である、直径d
1のLスレッドの第1の層C1を備え、Mが3乃至12の範囲である、ピッチp
2で螺旋に一緒に巻かれた直径d
2のMスレッドの少なくとも1つの中間層C2により囲まれ、層C2は、Nが8乃至20の範囲である、ピッチp
3で螺旋に一緒に巻かれた直径d
3のNスレッドの外側層C3により囲むことができる。
Lが1と等しいと、第1の層は、直径d
1の金属スレッドからなる中心コアを形成する。
実施形態の本代替形態によると、ピッチp
2とピッチp
3が同一であることが有利である。
【0026】
実施形態のこの代替的形態によると、コードは、式1.22+6.20+12.20の19.20非
巻き付け金属コードであり、層は、同一回転方向及び同一ピッチで形成されることも有利である。かかるコードにより、1乃至4つのコードの最初の回転又は2乃至4回転を巻いて第1の層を形成し、以下同様にしてn個の層を形成して、ビードワイヤを形成することができる。層の数nは、1と4の間である。必要な回転/コード/層の数は、タイヤのサイズ及び使用方法による。
【0027】
第1の代替的形態によると、タイヤを折り畳んだ後、ビードワイヤの中央線は、より小さい半径R
c1及び曲率中心C
c1の凹部P
cを備える。ビードワイヤは、それぞれより小さい半径R
x1、R
x2及び曲率中心C
x1、C
x2の2つの凸部P
x1、P
x2も備える。凹部Pcの曲率中心C
c1と凸部P
xの曲率中心C
x1、C
x2をそれぞれ接続する直線D
1、D
2は、5°と40°の間の角度αを形成する。第1の代替的形態において折り畳まれたタイヤの幾何形状は、直線D
1、D
2が同じ長さか異なる長さかによって、U字型又はJ字型に非常に類似する。
【0028】
第2の代替的形態によると、タイヤを折り畳んだ後、ビードワイヤの中央線は、より小さい半径R
c1及び曲率中心C
c1の凹部P
cを備えることが好ましい。ビードワイヤは、それぞれより小さい半径R
x1、R
x2及び曲率中心C
x1、C
x2の2つの凸部P
x1、P
x2を備える。凹部Pcの曲率中心C
c1と凸部P
xの曲率中心C
x1、C
x2をそれぞれ接続する直線D
1、D
2は、50°と85°の間の角度αを形成し、異なる長さであることが好ましい。折り畳みの第2の代替的形態による折り畳まれたタイヤの幾何形状は、螺旋形状に非常に類似する。
【0029】
最後に、本発明の最後の代替的形態によると、タイヤを折り畳んだ後、ビードワイヤの中央線は、それぞれ、より小さい半径R
c1、R
c2及び曲率中心C
c1、C
c2の2つの凹部P
c1、P
c2を備えることができる。また、それぞれ、より小さい半径R
x1、R
x2及び曲率中心C
x1、C
x2の2つの凸部P
x1、P
x2を備えることもできる。凹部の曲率中心C
c1と凸部P
x1、P
x2の曲率中心C
x1、C
x2をそれぞれ接続する直線D
1、D
2は、95°と130°の間の角度αを形成し、同じ長さではないことが好ましい。折り畳みの最後の代替的形態による折り畳まれたタイヤの幾何形状は、S字形状に非常に類似する。
【0030】
代替的形態の各々に関して、角度αの値の範囲により、特定のサイズのタイヤについて、長期間折り畳まれたままにしておいても機能障害のリスクがなく、また圧縮の量を大幅に増やすことを保証することができる。
【0031】
概ねU字型又はJ字型に折り畳んだ場合、D
1/D
2の比は1に等しいとすることができる。
螺旋形状に折り畳んだ場合、D
1/D
2の比はゼロに向かう傾向がある。D
1/D
2の比は0.15乃至1であることが好ましい。
概ねS字形状に折り畳んだ場合、D
1/D
2の比は無限値に向かう傾向がある。D
1/D
2の比は1乃至12であることが好ましい。
【0032】
本発明によるタイヤは、折り畳んだ後、束ねる梱包方法と比較して、1立方メートルあたり65%未満の容積を占めることが好ましい。
【0033】
ここで、本発明を以下の、いかなる方法でも本発明の主題を限定しない、各種詳細な実施形態により説明する。
以下の各種測定値は、異なるサイズの、本発明により折り畳まれたタイヤで採取したものである。