特許第6337893号(P6337893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンパニー ジェネラレ デ エスタブリシュメンツ ミシュランの特許一覧

特許6337893折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用
<>
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000005
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000006
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000007
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000008
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000009
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000010
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000011
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000012
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000013
  • 特許6337893-折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337893
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】折り畳み可能タイヤ、折り畳み方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/04 20060101AFI20180528BHJP
   B60C 9/06 20060101ALI20180528BHJP
   B60C 3/08 20060101ALI20180528BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   B60C15/04 D
   B60C9/06 B
   B60C3/08
   B60C9/00 M
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-518979(P2015-518979)
(86)(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公表番号】特表2015-521564(P2015-521564A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2013062698
(87)【国際公開番号】WO2014001167
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】1256127
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ローラン クリストフ
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−073402(JP,A)
【文献】 特開昭58−185304(JP,A)
【文献】 特開2002−088666(JP,A)
【文献】 特開昭56−128385(JP,A)
【文献】 特表2011−528642(JP,A)
【文献】 特開平05−162514(JP,A)
【文献】 実開昭63−111303(JP,U)
【文献】 実公昭43−011556(JP,Y1)
【文献】 特開昭52−022204(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第01182664(GB,A)
【文献】 米国特許第04238259(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 3/08
B60C 9/00
B60C 9/06
B60C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータバイクタイプの二輪車両用の折り畳み可能タイヤであって、トレッド(2)と、前記トレッド(2)の半径方向内側にあるカーカス補強材(6)と、前記トレッドの半径方向内側にあるクラウン補強材と、を含み、前記補強材(6)は、それぞれ少なくとも1層の補強要素からなり、前記トレッド(2)は、2つのサイドウォール(3)により2つのビード(2)に接続され、前記ビード(4)は、リムと接触するようになっており、各ビード(4)は、ビードワイヤと呼ばれる少なくとも1つの拡張不能外周補強要素を含み、前記ビードワイヤ(5)は、周方向平面において概ね円形の閉鎖曲線を形成する中央線を定め、前記サイドウォール(3)は、2.6mmと7mmの間の厚さを有し、前記クラウン補強材は2mmと5mmの間の厚さを有するタイヤにおいて、各ビード(4)の前記ビードワイヤ(5)は、可撓性であり、前記タイヤが折り畳まれた後、前記ビードワイヤ(5)の前記中央線は、より小さい半径Rcの少なくとも1つの凹部Pcと曲率中心Ccとを含み、前記ビードワイヤは、炭素含有率が0.5%と0.9%の間である少なくとも1つの非巻き付け金属コードを含み、各ビード(4)の前記ビードワイヤ(5)は、単繊維で形成された飽和かつ非巻き付け状態の金属コードを巻くことにより形成され、前記コードの直径は1.5mm未満であり、前記単繊維の直径は0.22mm未満であることを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記ビードワイヤの前記中央線は、前記凹部Pcを境界付ける少なくとも2つの屈曲点I1、I2を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記ビードワイヤ(5)の前記中央線は、2つのより小さい半径Rx1、Rx2と2つの曲率中心Cx1、Cx2とを有する少なくとも2つの凸部Px1、Px2を含み、前記凹部Pcの曲率中心Cc1と前記凸部Px1、Px2の前記曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、5°と130°との間の角度αを形成することを特徴とする、請求項1〜請求項2のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項4】
タイヤが折り畳まれた後、前記ビードワイヤ(5)の前記中央線は、より小さい半径Rc1及び曲率中心Cc1の凹部Pcを含み、前記ビードワイヤ(5)は、それぞれより小さい半径Rx1、Rx2及び曲率中心Cx1、Cx2の2つの凸部Px1、Px2を含み、前記凹部Pcの前記曲率中心Cc1と前記凸部Pxの前記曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、5°と40°の間の角度αを形成することを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項5】
タイヤが折り畳まれた後、前記ビードワイヤ(5)の前記中央線は、より小さい半径Rc1及び曲率中心Cc1の凹部Pcを含み、前記ビードワイヤ(5)は、それぞれより小さい半径Rx1、Rx2及び曲率中心Cx1、Cx2の2つの凸部Px1、Px2を含み、前記凹部Pcの前記曲率中心Ccと前記凸部Pxの前記曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、50°と85°の間の角度αを形成することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項6】
タイヤが折り畳まれた後、前記ビードワイヤ(5)の前記中央線は、それぞれ、より小さい半径Rc1、Rc2及び曲率中心Cc1、Cc2の2つの凹部Pc1、Pc2を含み、前記ビードワイヤ(5)は、それぞれ、より小さい半径Rx1、Rx2及び曲率中心Cx1、Cx2の2つの凸部Px1、Px2を含み、凹部の前記曲率中心Cc1と前記凸部Px1、Px2の前記曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、95°と130°の間の角度αを形成することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項7】
折り畳んだ後、D1/D2の比は、ゼロ又は無限に向かう傾向があることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤを折り畳むための方法であって、
a)半径方向平面において、タイヤの第1の半分の前記ビードを、前記トレッドの中心の接線方向の軸に向かって軸方向に広げるステップと、
b)2つの平行な半径方向において、第1の半分(M1)の前記トレッド(2)の2つの離間された点に、同一の強さの力を印加して、前記分離されたトレッドの前記第1の半分(M1)を、前記2つの点で、前記第1の半分(M1)と反対の第2の半分(M2)に近づけて、第1(8)及び第2(9)の相互近接ゾーンを形成すると同時に、前記2つの点の間の前記トレッド(2)を突起の形態に保持するステップと、
c)前記突起(10)の内側部分(10a)を、固定された第1の垂直軸(12)の各側に配置し、同時に、相互近接ゾーン(8、9)のうち1つを、固定された第3の垂直軸(14)に対して押し込み、前記第1の垂直軸(12)は第2の垂直軸(13)に対して直径方向に対向して配置され、前記第1及び第2の垂直軸(12、13)は回転できる平坦手段(11)に配置されるステップと、
d)前記平坦手段(11)を少なくとも1回転させて、前記第1(12)及び第3(14)の垂直軸の周りで、タイヤを自らコイル化させることにより折り畳むステップと、
からなる方法。
【請求項9】
前記平坦手段(11)の回転方向は、回転の開始時に前記第2の垂直軸(12)が前記第3の垂直軸(14)から離れるように、向けられることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
原動機付き二輪車両型式の車両用の、請求項1〜請求項のいずれかに記載のタイヤの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータバイク型式の原動機付き二輪車用の、折り畳み可能なラジアルタイヤ、つまりクロスプライタイヤ、折り畳みの方法及びモータバイク型式の原動機付き二輪車用の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
これ以降の記載では、以下の定義を適用する。
「外周平面」は、タイヤの回転軸に直角の平面を意味する。
「赤道平面」は、タイヤのトレッド面の中央を通る外周平面を意味する。
「半径方向平面」は、タイヤの回転軸を含有する平面を意味する。
「軸方向」は、タイヤの回転軸に平行な方向を意味する。
「半径方向」は、タイヤの回転軸と交差し、それに直角な方向を意味する。
「外周方向」は、タイヤの回転方向において、トレッド表面に対して接線方向を意味する。
「〜の半径方向内側」は、タイヤの回転軸により近いことを意味する。
「〜の半径方向外側」は、タイヤの回転軸からより遠いことを意味する。
「〜の軸方向内側」は、赤道平面により近いことを意味する。
「〜の軸方向外側」は、赤道平面からより遠いことを意味する。
【0003】
タイヤは、トレッド表面を介して地面と接触し、タイヤとリムとの間の接続を設けることを意図した2つのビードに接続された2つのサイドウォールの形態で内側に向かって半径方向に延びる、トレッドを備える。
【0004】
原動機付き二輪車用のラジアルタイヤは、各端部が、ビードワイヤと呼ばれる外周方向補強要素の周りに折り返すことにより、ビードに固定された、少なくとも1つのカーカス補強材を備え、また、トレッドの半径方向内側にクラウン補強材を含む補強材を備える場合もある。
【0005】
原動機付き二輪車用のクロスプライタイヤは、トレッドの中心に位置合わせされたカーカスプライの角度が65°未満である点で、二輪車用のラジアルと異なる。
ビードタイヤは、基本スレッドの組立体又は、基本スレッドの組立体で形成されたコードで形成することができる。
【0006】
クラウン補強材は、備わっている場合は、「クラウンプライ」と従来的に呼ばれる1つ乃至2つのプライを一般的に備える。クラウンプライは、通常、ゴムの2つの層の間に挟まれた繊維コードのサンドイッチ構造と比較することができる。
【0007】
原動機付き二輪車用のタイヤの場合、本質的にクラウン補強材の半径方向スタックからなるクラウン補強材が備わっている場合、クラウン補強材及びカーカス補強材の厚さは、通常、2mmと4mmの間である。原動機付き二輪車用のタイヤのサイドウォールは、サイドウォールの厚さをサイドウォールの厚さ及びカーカスプライの厚さと定義すると、一般的に2mmと7mmの間の厚さを有する。
【0008】
各端部が、ビードワイヤと呼ばれる外周方向補強要素の周りに折り返すことにより、ビードに固定されたカーカス補強材を備えた自転車用の折り畳みタイヤは、特許文献1から既知である。各ビードは、トレッドに結合するサイドウォールにより半径方向に延びる。このタイヤは、単繊維で形成された、飽和し非巻き付けの金属コードを巻くことにより形成されたビードワイヤを備える。
【0009】
速度が(自転車用タイヤには速度レーティングがないので)暗に100km/hに限定される自転車用のタイヤと異なり、原動機付き二輪車のタイヤは、300km/hより高い速度にも達することがある。
さらに、タイヤが販売拠点から離れた製造拠点で製造される場合は、タイヤを輸送することが必要である。タイヤを輸送する場合、互いに圧縮したとしても、相当の容積を占める。
【0010】
具体的には、現在採用されている梱包の1つの方法は、初めに、タイヤの第1の列を垂直かつ一列に置き、部分的に重ねられるように、地面に対して傾斜角を作る。次に他のタイヤを、自由なままにしてある第1の列の各タイヤの穴の部分に組み合わせて押し込み、第2の列を形成する。かかる梱包方法により、タイヤを変形させずに隣り合わせて配置するレイアウトと比較して、1立方メートルあたり30%増のタイヤを梱包することができる。別の保管方法は、タイヤを垂直に5本の群で接続して保管することからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第10/100088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、リムに取り付けていない原動機付き二輪車用の1つ以上のタイヤを、輸送及び/又は保管期間に多かれ少なかれコンパクトな様式で、内部構造を損傷させず、同時に、折り畳まれなくなると非常に素早く元の形状に復帰させることができるように、梱包するためのニーズが依然存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの主題は、原動機付き二輪車用のタイヤであって、トレッドの半径方向内側にある拡張不能クラウン補強材により半径方向外側に取り付けることができるカーカス補強材を備え、各補強材は少なくとも1層の補強要素からなり、トレッドは2つのサイドウォールにより2つのビードに接続され、ビードはリムと接触することを意図し、各ビードは、ビードワイヤと呼ばれる少なくとも1つの拡張不能外周補強要素を備え、ビードワイヤは、外周方向平面において、概ね円形の閉鎖曲線を形成する中央線を定め、サイドウォールは、2mmと7mmの間の厚さを有し、クラウン補強材は2mmと3mmの間の厚さを有する、タイヤである。サイドウォールの厚さは、サイドウォールとカーカスプライの組み合わせた厚さに対応する。
各ビードのビードワイヤは可撓性である。タイヤは、タイヤを折り畳むと、ビードワイヤの中央線が、少なくとも1つのより小さい半径Rcの凹部Pcと曲率中心Ccとを備え、かつビードワイヤが、少なくとも1つの、炭素含有率が0.5%と0.9%の間である、非巻き付けの金属コードを備えることを特徴とする。
【0014】
炭素含有率の値の範囲により、コードの強度を増大させて、ビードワイヤを形成するコードの巻き数を減らすことができる。
ビードワイヤは、半径10mmのプーリーの周りの平面で屈曲させても、ビードワイヤを形成する剛性要素は全く恒久変形しないほど、可撓性である。
【0015】
本発明によると、クラウン補強材は、クラウン補強材を5%変形させようとする荷重が40Nと少なくとも等しい場合は、拡張不能であり、ビードワイヤは、ビードワイヤを1%伸長させようとする荷重が2500Nと少なくとも等しい場合は、拡張不能である。
本発明によるタイヤは、輸送及び/又は保管中の単位容積あたりのタイヤ数を大幅に増加させることができ、相当の経済的節約につながることが有利である。
【0016】
具体的には、本発明による折り畳みの形態により、前述したレーシングとして知られる梱包方法に対して、1立方メートルあたり30%増しでタイヤを保管することができる。本発明によるタイヤは、折り畳んで、ばらばらに又はケースに入れて保管することができる。
本発明のタイヤの別の優位性は、サイズに関わらず、様々な方法でタイヤを折り畳み、それらの方法で折り畳んだまま保管できることである。最後に、本発明によるタイヤは、性能に悪影響無しに、輸送及び/又は保管期間中折り畳んだままにしておけることである。
【0017】
本発明の別の主題は、上述のタイヤを折り畳むための方法であって、
a)半径方向平面において、タイヤの第1の半分のビードを、トレッドの中心に接線方向の軸に向かって軸方向に分離するステップと、
b)2つの平行な半径方向において、第1の半分(M1)のトレッドの2つの離間された点に、同一の強さの力を印加して、分離されたトレッドの第1の半分(M1)を、該2つの点で、第1の半分(M1)と反対の第2の半分(M2)に近づけて、第1及び第2の相互近接ゾーンを形成すると同時に、該2つの点の間のトレッドを突起の形態に保持するステップと、
c)突起の内側部分を、固定された第1の垂直軸の各側に配置し、同時に、相互近接ゾーンのうち1つを、第3の垂直軸に対して押し込み、第1の軸を第2の軸に対して正反対に配置し、第1及び第2の垂直軸を回転できる平坦手段に配置するステップと、
d)平坦手段を少なくとも1回転させて、第1及び第3の垂直軸の周りで、タイヤを自らコイル化させることにより折り畳むステップ、
からなる方法である。
分離するステップは、ビード間の軸方向距離を増大させることを意味する。
【0018】
最後に、本発明の最後の目的は、前述のモータバイク型式の二輪車用のタイヤの使用方法である。
各ビードのビードワイヤは、単繊維で形成され、飽和しかつ非巻き付けであり、直径が0.22mm未満であることが好ましい、少なくとも1つの金属コードを巻くことにより形成することが好ましい。ビードワイヤは、破裂圧力が、最大圧力が10気圧と12気圧との間である自動膨張ツールの能力より高くなるような寸法にされる。
【0019】
コードを曲げることができるかどうかは、重ねるコードの数による。重ねるコードの巻き数を減らすように、非常に高強度(1700Nと2200Nの間)の鋼製コードを使用することが好ましい。これにより、折り畳んだタイヤの質量を減らす優位性も提供される。これは、いくつかの場合には、質量により制限される(ビードワイヤは、タイヤの合計容積の5乃至10%を占める)ものの、折り畳まない状態で輸送した場合には、容積により制限される。
ビードワイヤの中央線は、凹部Pcの境界を定める2つの屈曲点I1、I2をさらに備える。
【0020】
ビードワイヤの中央線は、2つのより小さい半径Rx1、Rx2及び2つの曲率中心Cx1、Cx2を有する少なくとも2つの凸部Px1、Px2を備える。凹部Pcの曲率中心Cc1と凸部の曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、5°と130°との間の角度を形成することが好ましい。
【0021】
凹部Pcは、ビードワイヤの閉鎖中央線の外側の曲率中心により定まる。凸部Pxは、ビードワイヤの閉鎖中央線の内側の曲率中心により定まる。
【0022】
各ビードのビードワイヤの中央線は、単繊維で形成された金属コードを巻くことにより形成することが好ましい。コードの直径は、1.5mm未満で、非巻き付けであることが好ましい。単繊維の直径は、0.22mm未満であることが好ましい。
「非巻き付け」とは、コードの外面の螺旋に巻かれた追加の単繊維がないことを言う。包む単繊維は、通常、コードの単繊維の直径より小さい直径を有し、短いピッチで包まれ、コードの外面を形成するスレッドが巻かれたのと反対の又は同じ方向であるように選択される。巻き付けの主要機能は、コードの座屈を制限することである。
【0023】
また、コードを形成するスレッドつまり単繊維の直径は、0.22mm未満であることが好ましい。かかる短繊維の直径は、さらにコードの可撓性に寄与し、タイヤを折り畳むために必要な荷重を制限する。
本発明の一つの有利な実施形態によると、コードの引張弾性率は、150GPaより大きい。
【0024】
また、コードは、タイヤを使用不能にさせかねない任意の変形をせずに、2乃至5mmの曲率半径で湾曲させられることが有利である。コードは、タイヤを使用不能にさせかねない任意の変形をせずに、3mm未満の曲率半径で湾曲させられることが好ましい。
【0025】
本発明の実施形態の一つの代替形態によると、コードは、[L+M]または[L+M+N]構造の層化金属コードであり、Lが1乃至4の範囲である、直径d1のLスレッドの第1の層C1を備え、Mが3乃至12の範囲である、ピッチp2で螺旋に一緒に巻かれた直径d2のMスレッドの少なくとも1つの中間層C2により囲まれ、層C2は、Nが8乃至20の範囲である、ピッチp3で螺旋に一緒に巻かれた直径d3のNスレッドの外側層C3により囲むことができる。
Lが1と等しいと、第1の層は、直径d1の金属スレッドからなる中心コアを形成する。
実施形態の本代替形態によると、ピッチp2とピッチp3が同一であることが有利である。
【0026】
実施形態のこの代替的形態によると、コードは、式1.22+6.20+12.20の19.20非巻き付け金属コードであり、層は、同一回転方向及び同一ピッチで形成されることも有利である。かかるコードにより、1乃至4つのコードの最初の回転又は2乃至4回転を巻いて第1の層を形成し、以下同様にしてn個の層を形成して、ビードワイヤを形成することができる。層の数nは、1と4の間である。必要な回転/コード/層の数は、タイヤのサイズ及び使用方法による。
【0027】
第1の代替的形態によると、タイヤを折り畳んだ後、ビードワイヤの中央線は、より小さい半径Rc1及び曲率中心Cc1の凹部Pcを備える。ビードワイヤは、それぞれより小さい半径Rx1、Rx2及び曲率中心Cx1、Cx2の2つの凸部Px1、Px2も備える。凹部Pcの曲率中心Cc1と凸部Pxの曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、5°と40°の間の角度αを形成する。第1の代替的形態において折り畳まれたタイヤの幾何形状は、直線D1、D2が同じ長さか異なる長さかによって、U字型又はJ字型に非常に類似する。
【0028】
第2の代替的形態によると、タイヤを折り畳んだ後、ビードワイヤの中央線は、より小さい半径Rc1及び曲率中心Cc1の凹部Pcを備えることが好ましい。ビードワイヤは、それぞれより小さい半径Rx1、Rx2及び曲率中心Cx1、Cx2の2つの凸部Px1、Px2を備える。凹部Pcの曲率中心Cc1と凸部Pxの曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、50°と85°の間の角度αを形成し、異なる長さであることが好ましい。折り畳みの第2の代替的形態による折り畳まれたタイヤの幾何形状は、螺旋形状に非常に類似する。
【0029】
最後に、本発明の最後の代替的形態によると、タイヤを折り畳んだ後、ビードワイヤの中央線は、それぞれ、より小さい半径Rc1、Rc2及び曲率中心Cc1、Cc2の2つの凹部Pc1、Pc2を備えることができる。また、それぞれ、より小さい半径Rx1、Rx2及び曲率中心Cx1、Cx2の2つの凸部Px1、Px2を備えることもできる。凹部の曲率中心Cc1と凸部Px1、Px2の曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、95°と130°の間の角度αを形成し、同じ長さではないことが好ましい。折り畳みの最後の代替的形態による折り畳まれたタイヤの幾何形状は、S字形状に非常に類似する。
【0030】
代替的形態の各々に関して、角度αの値の範囲により、特定のサイズのタイヤについて、長期間折り畳まれたままにしておいても機能障害のリスクがなく、また圧縮の量を大幅に増やすことを保証することができる。
【0031】
概ねU字型又はJ字型に折り畳んだ場合、D1/D2の比は1に等しいとすることができる。
螺旋形状に折り畳んだ場合、D1/D2の比はゼロに向かう傾向がある。D1/D2の比は0.15乃至1であることが好ましい。
概ねS字形状に折り畳んだ場合、D1/D2の比は無限値に向かう傾向がある。D1/D2の比は1乃至12であることが好ましい。
【0032】
本発明によるタイヤは、折り畳んだ後、束ねる梱包方法と比較して、1立方メートルあたり65%未満の容積を占めることが好ましい。
【0033】
ここで、本発明を以下の、いかなる方法でも本発明の主題を限定しない、各種詳細な実施形態により説明する。
以下の各種測定値は、異なるサイズの、本発明により折り畳まれたタイヤで採取したものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】原動機付き二輪車用のタイヤの、折り畳まれていない状態の、半径方向平面の断面における概略図を示す。
図2】本発明の第1の実施形態による、折り畳まれたタイヤの外周平面の断面における概略図を示す。
図3】本発明の第2の実施形態による、折り畳まれたタイヤの外周平面の断面における概略図を示す。
図4】本発明の第3の実施形態による、折り畳まれたタイヤの外周平面の断面における概略図を示す。
図5A】本発明による、タイヤの折り畳み方法の各種ステップの概略図を示す。
図5B】本発明による、タイヤの折り畳み方法の各種ステップの概略図を示す。
図5C】本発明による、タイヤの折り畳み方法の各種ステップの概略図を示す。
図5D】本発明による、タイヤの折り畳み方法の各種ステップの概略図を示す。
図5E】本発明による、タイヤの折り畳み方法の各種ステップの概略図を示す。
図5F】本発明による、タイヤの折り畳み方法の各種ステップの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、折り畳まれていない状態の、ビードワイヤ(補強要素)を備える2つのビード4に接続された2つのサイドウォール3により半径方向内向きに延びるトレッド2を備える、軽量自動二輪車用タイヤを示す。
図1において、トレッド2の半径方向内側に、カーカスプライ6がある。拡張不能クラウンプライ(図示せず)は、常に存在しないが、カーカスプライ6の半径方向外側に配置される。
【0036】
クラウン及びカーカス補強材6は、それぞれ、少なくとも1層の補強要素(図示せず)で形成される。トレッド2は、2つのサイドウォール3によりビード4に接続される。各ビード4は、少なくとも1つのビードワイヤ5を有する。ビードワイヤ5は、外周平面において概ね円形の閉鎖曲線を形成する中央線を定め、拡張不能かつ可撓性である。
【0037】
ビードワイヤは、鋼製であり、0.20mmに等しい直径を有する単繊維で形成された非巻き付けコードの形態であることが好ましい。コードは、式1.22+6.20+12.20の19.20金属コードであり、層は、同一回転方向かつ10mmの同一ピッチで形成される。かかるコードにより、3乃至16回転巻くことにより、ビードワイヤを形成することができる。必要な回転数は、タイヤのサイズ及び使用方法による。
【0038】
本発明によるタイヤのサイドウォールの厚さ中央値EF(サイドウォールの厚さとカーカスプライの厚さの組み合わせ)は、赤道平面におけるビードワイヤの高い点及びタイヤの低い点の間で、半径方向における中間点で測定すると、2mmと7mmの間である。
クラウン補強材の厚さ中央値ES(随意的にクラウンプライを備える)は、赤道平面で測定すると、2mmと5mmの間である。
【0039】
図2において、業界基準150/70−14のタイヤのビードワイヤ5(点線で示す)の中央線は、折り畳みの第1の方法で概ねU字型に折り畳むと、45mmに等しいより小さい半径Rc1の凹部Pc1と曲率中心Cc1を有する。
【0040】
ビードワイヤ5の中央線は、一方で、凹部Pc1を境界付ける2つの屈曲点I1、I2を備え、他方では、20乃至30mmのより小さい半径Rx1と20乃至30mmのより小さい半径Rx2を有する2つの凸部Px1、Px2と、2つの曲率中心Cx1及びCx2とを備える。
【0041】
凹部Pc1の曲率中心Cc1と凸部Px1の曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する2つの直線D1、D2は、15°の角度αを形成する。この折り畳み方法において、直線D1、D2は、概ね同じ長さであり、240mmである。
折り畳みの第1の方法により折り畳まれると、タイヤは、互いに入れ子式にでき、束ねることさえできる。束ねることにより、タイヤを圧縮したまま保持できる。
【0042】
以下の表Iは、図2に示す折り畳みの形態(U字型)で採取した他の測定値をまとめて示す。
【表1】
表I
【0043】
図3に示すタイヤ1の折り畳みは、直線D1、D2が50°と85°の間の角度αを形成し、概ね同じ長さを有さない点で、図2の折り畳みとは異なる。図4に示す折り畳みは、螺旋の形状に非常に類似する。
タイヤが占める容積は、現在既知である梱包方法により折り畳まれたタイヤが占める容積の85%未満であり、75%未満であることが好ましい。
【0044】
以下の表IIは、図3に示す折り畳みの形態(螺旋型)による各種タイヤで採取した測定値をまとめて示す。
【表2】
表II
【0045】
図4に示すタイヤ1の第3の折り畳み方法は、ビードワイヤ3の中央線が、2つの凹部Pc1、Pc2を備える点で、図2の折り畳み方法と異なる。凹部Pc1及びPc2は、より小さい半径により特徴づけられる。
ビードワイヤ3の中央線は、20乃至30mmのより小さい半径Rx1と20乃至30mmのより小さい半径Rx2と、2つの曲率中心Cx1及びCx2とをそれぞれ有する2つの凸部Px1、Px2も備える。
【0046】
図4において、ビードワイヤ3の中央線は、凹部を凸部から境界付ける、又はその逆の、3つの屈曲点I1、I2及びI3を備える。
第3の折り畳み方法によると、凹部Pc1の曲率中心Cc1と凸部Px1及びPx2の曲率中心Cx1、Cx2をそれぞれ接続する直線D1、D2は、95°と130°の間の角度αを形成する。直線D1、D2は、同じ長さではない。
タイヤが占める容積は、現在既知である圧縮方法により折り畳まれたタイヤが占める容積と比較すると、80%未満であり、70%未満であることが好ましい。
【0047】
以下の表IIIは、図4に示す折り畳みの形態(S字型)による各種タイヤで採取した測定値をまとめて示す。
【表3】
表III
【0048】
図5A乃至図5Fを参照して以下に説明する折り畳みの方法は、本発明により折り畳まれたタイヤを得るために検討する。
最初に、半径方向平面において、タイヤの第1の半分M1のビードを、トレッドの中心に接線方向の軸に向けて軸方向に分割する。
【0049】
次に、折り畳み前のタイヤの、非常に様式化した側方図である図5Aに示すように、半径方向の力を、第1の半分M1のトレッド2の2つの離間した点6、7において、同じ強さで2つの平行な方向F1及びF2に印加する。2つの点は、およそ100mmの距離で離間される。
【0050】
図5Bに示すように、側面図において、タイヤ上の点6及び7への力の印加により、第1の半分M1をトレッド2の軸方向外側において、2つの点6及び7で、反対側の軸方向内側半分M2に近づけることができる。一緒に動かすことにより、第1のゾーン8、第2のゾーン9及びゾーン8とゾーン9との間に配置された突起10を同時に形成することができる。このように、折り畳みの前に準備されたタイヤは、中心部に突起を備える半円に概ね類似する。
【0051】
次に、予め折り畳まれたタイヤを、略円形平坦回転手段11上に配置する。図5Bは、予め折り畳まれたタイヤが配置された回転手段の上からの図を示す。回転手段11は、共に垂直で、直径上対向し、可動である、第1の軸12及び第2の軸13を備える。第3の垂直軸14は、固定され、回転手段11に最も近い距離d2に配置される。第1の軸12と第2の軸13との間の距離は、事前に折り畳まれたタイヤ上に定まる直線D2の長さと等しいことが好ましい。
回転手段11の回転方向Sは、図5B乃至図5Eに示すように、第2の垂直軸14に向けられる。
【0052】
次いで、突起10の内側部分10aは、自ら第1の垂直軸を「またぐ」。タイヤの相互近接ゾーン9の内側部分9aは、同時に垂直軸14に対して押し付けるようになる。タイヤの第2の半分M2は、折り畳みステップの間、回転手段により予め折り畳まれた位置に保持されることがより好ましい。
【0053】
上記の方法であらかじめ準備されたタイヤの折り畳み方法は、以下のとおりである。
タイヤが、予め折り畳まれ、回転手段11に配置されると、回転させられる。
図5Cは、図5Bに対して、四分の一回転だけ回転手段11が回転したところを示す。回転手段11は、垂直軸14に向けて向けられた方向Sに回転するよう設定されるので、タイヤの突起10は、第1の垂直軸12により回転駆動される。ゾーン9は、同時に、回転段階の間、垂直軸14に対して押し付けられたままである。
【0054】
図5Dは、図5Bに対して半回転だけ回転手段11が回転したところを示し、ゾーン9が垂直軸14に対して未だ押し付けられたままで、タイヤがどのように累進的に自らコイル状にされるかを示す。
【0055】
図5Eは、図5Bに対して四分の三回転だけ回転手段が回転したところを示し、累進的なタイヤのコイル化を示す。ゾーン9は、未だ垂直軸14に対して押し付けられたままである。突起10に囲まれた垂直軸12と異なり、第2の垂直軸13は、タイヤのコイル化の運動を開始させ維持させると同時に、トレッド2の半径方向外側に完全にとどまらせることができる。
【0056】
図5Fは、完全に折り畳まれた状態のタイヤを示す。折り畳むタイヤの型式によって、折り畳むためには回転手段11を少なくとも1回転以内の回転をさせることが必要である。図2の実施形態による折り畳みに対して1回転、図3の実施形態による折り畳みに対しては少なくとも1回転半させることが好ましい。
【0057】
例えば、商業基準2.75−17のタイヤに対しては、回転手段を1回転半させる必要がある。
【0058】
折り畳みの終わりに、自動及び/又は手動の任意の保持手段により折り畳んだ状態で保持することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 タイヤ
2 トレッド
3 サイドウォール
4 ビード
5 ビードワイヤ
6、7 点
8 第1の相互近接ゾーン
9 第2の相互近接ゾーン
10 突起
11 平坦手段、回転手段
12 第1の垂直軸
13 第2の垂直軸
14 第3の垂直軸
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F