(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する車両20に搭載された車載機2とを備えている。
【0037】
交通管制システム1は、交通管制室等に設けられた中央装置3と、道路Rの各所に多数設置された光ビーコン(光学式車両感知器)4とを備え、光ビーコン4は、近赤外線を通信媒体とした光通信によって車載機2との間で無線通信を行うことができる。
光ビーコン4は、ビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(
図1では4つ)のビーコンヘッド(投受光器ともいう。)8とを有している。
【0038】
ビーコン制御機7は、インフラ側の通信部6に接続されており、通信部6は電話回線等の通信回線5によって中央装置3と接続されている。
通信部6は、例えば、信号灯器の灯色を制御する交通信号制御機や、インフラ側における交通情報の中継処理を行う情報中継装置等よりなる。
【0039】
〔光ビーコンの構成〕
光ビーコン4のビーコンヘッド8は、電気光変換が可能な光送信部10と、光電気変換が可能な光受信部11とを筐体の内部に有している。
このうち、光送信部10は、近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)をダウンリンク領域DA(
図3参照)に送出する発光素子を有し、光受信部11は、アップリンク領域UA(
図3参照)にある車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
【0040】
光送信部10は、ビーコン制御機7から送出される下りフレーム(パラレルの電気信号)を所定の伝送速度のシリアルな送信信号に変換する送信回路と、出力された送信信号をダウンリンク方向の光信号に変換する、発光ダイオード等よりなる発光素子とから構成されている。
本実施形態の光ビーコン4では、光送信部10が送信する光信号の伝送速度は、従来の旧光ビーコンと同様に1024kbpsである。
【0041】
光受信部11は、フォトダイオード等よりなる受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅してデジタルの受信信号を生成する受信回路とを備えている。
本実施形態の光ビーコン4では、光受信部11は、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧光ビーコンと同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では1024kbpsであるとする。なお、光受信部11の受信回路の具体例(
図10及び
図11)については、後述する。
【0042】
図2は、本実施形態の光ビーコン4の設置部分を上から見た道路Rの平面図である。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、車線R1〜R4に対応して設けられた複数のビーコンヘッド8と、これらのビーコンヘッド8を一括制御する制御部である1台のビーコン制御機7とを備えている。
【0043】
ビーコン制御機7は、信号処理部、CPU及びメモリなどを有するコンピュータ装置よりなり、通信部6(
図1参照)を介した中央装置3との双方向通信と、車載機2との路車間通信を行う通信制御部としての機能を有する。
また、ビーコン制御機7は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
【0044】
ビーコン制御機7は、道路脇に立設した支柱13に設置されている。また、各ビーコンヘッド8は、支柱13から道路R側に水平に架設した架設バー14に取り付けられ、道路Rの各車線R1〜R4の直上に配置されている。
ビーコンヘッド8の発光素子は、車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ヘッド8の上流側に設定されている。
【0045】
〔光ビーコンの通信領域〕
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、ダウンリンク領域(
図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、アップリンク領域(
図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
【0046】
このうち、ダウンリンク領域DAは、ビーコンヘッド8が送出するダウンリンク方向の光信号を、車載機2の投受光器である車載ヘッド22にて受信できる領域であり、ビーコンヘッド8の投受光位置d、地上1m高さの位置a及びcを頂点とする△dacで示された範囲である。
また、アップリンク領域UAは、車載ヘッド22が送出するアップリンク方向の光信号を、ビーコンヘッド8にて受信できる領域であり、上記投受光位置dと、地上1m高さの位置b及びcを頂点とする△dbcで示された範囲である。
【0047】
従って、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端cは互いに一致し、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(
図3の右側部分)に重複している。また、ダウンリンク領域DAの車両進行方向長さは、通信領域A全体の同方向長さと一致している。
旧光ビーコン(光学式車両感知器)の場合、ダウンリンク領域DA及びアップリンク領域UAの正式な領域寸法が規約によって規定されている。
【0048】
例えば、一般道向けの旧光ビーコンの場合、ダウンリンク領域DAの下流端aが、ビーコンヘッド8の直下の1.0〜1.3m上流側に位置し、ダウンリンク領域DAの下流端aからアップリンク領域UAの下流端bまでの距離が2.1mと規定されている。
また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。従って、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。
【0049】
これに対して、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)では、ダウンリンク領域DAの下流端aを少なくともビーコン直下まで延ばすことにより、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の範囲を、高速アップリンク受信に非対応の旧光ビーコンの場合よりも広く設定している。
【0050】
具体的な数値で例示すると、ビーコンヘッド8の真下を0m(原点)として、そこから上流方向を正の方向とした場合、本実施形態のダウンリンク領域DAの範囲(
図3の位置aから位置cまでの範囲)は、0〜6.0mとなっている。
このようにダウンリンク領域DAを広めに設定すると、車載機2がダウンリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでダウンリンク方向の通信容量を拡大することができる。
【0051】
また、本実施形態のアップリンク領域UAの範囲(
図3の位置bから位置cまでの範囲)は、3.4〜6.0mとなっており、上流端cの位置が従来よりも1.0mだけ上流側に拡張されている。
このようにダウンリンク領域UAを広めに設定すると、光ビーコン4がアップリンク方向の光信号を受信する確実性が増とともに、通信時間が長くなるのでアップリンク方向の通信容量を拡大することができる。
【0052】
〔車載機の構成〕
図3に示すように、本実施形態の車載機2は、車載制御機21と車載ヘッド22とを備えており、車載ヘッド22の内部には、光送信部23と光受信部24が収容されている。
このうち、光送信部23は、近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を発光する発光素子を有し、光受信部24は、ダウンリンク領域DAに送出された近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
【0053】
光送信部23は、車載制御機21から出力される上りフレーム(パラレルの電気信号)を所定の伝送速度のシリアルな送信信号に変換する送信回路と、出力された送信信号をアップリンク方向の光信号に変換する、発光ダイオード等よりなる発光素子とから構成されている。
本実施形態の車載機2では、光送信部23は、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧車載機と同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では1024kbpsであるとする。
【0054】
光受信部24は、フォトダイオード等よりなる受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅してデジタルの受信信号を生成する受信回路とを備えている。
本実施形態の車載機2では、光受信部24が受信する光信号の伝送速度は、従来の旧車載機と同様に1024kbpsである。
【0055】
車載制御機21は、信号処理部、CPU及びメモリなどを有するコンピュータ装置よりなり、光ビーコン4との路車間通信を行う通信制御部としての機能を有する。
また、車載制御機21は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
【0056】
更に、車載制御機21は、アップリンクデータとして、自車両の走行データ(例えば、通過位置と通過時刻を時系列に並べた走行軌跡データであるプローブ情報など)を生成して、光送信部24にアップリンク送信させる機能も有する。
この場合、アップリンク速度を高速化することで、より多くのプローブ情報(走行軌跡を記録する道路区間を長くしたり、同一道路区間における通過位置と通過時刻の記録密度を高くしたりした情報)を送信することが可能になる。
【0057】
〔路車間通信の内容〕
図4は、通信領域Aで行われる路車間通信の手順とデータ内容を示す概念図である。なお、
図4に示す路車間通信の手順は、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)及び車載機2(新車載機)との間の通信にも踏襲される。
【0058】
まず、ビーコン制御機7は、車線R1〜R4ごとに設けられたビーコンヘッド8から、ダウンリンクの切り替え前の第1情報として、車線通知情報を含む第1のダウンリンク情報34を、各車線R1〜R4のダウンリンク領域DAに所定の送信周期で送信し続けている(
図4のF1)。この段階では、車線通知情報に車両IDが格納されていない。
車載機2を搭載した車両20がダウンリンク領域DAに入ると、車載機2の車載ヘッド22が車線通知情報(車両ID無し)を含む第1のダウンリンク情報34を受信する。
【0059】
これにより、車載制御機21は、車両20が光ビーコン4の通信領域Aの中に存在していることを認識する。
その後、車載制御機21は、アップリンク情報35の送信を開始し(
図4のF2)、このアップリンク情報35をビーコンヘッド8に対して所定の送信周期で送信する(
図4のF3)。
【0060】
本実施形態では、光ビーコン4と車載機2がアップリンク方向においてマルチレート対応となっているので、上記のアップリンク情報35を車載機2が高速の伝送速度(1024kbps)でアップリンク送信する場合には、例えばプローブデータなどの大容量のデータをアップリンク情報35に格納することにより、従来よりも大容量のデータを光ビーコン4にアップリンクすることができる。
【0061】
車載制御機21は、車両20に特定の車両IDをアップリンク情報35に格納して当該アップリンク情報35を送信し、ビーコン間の旅行時間情報を有している場合には、この情報もアップリンク情報35に含ませる。
また、車載制御機21は、光ビーコン4のビーコン制御機7がダウンリンクの切り替えを行ったことを検出するまで、当該アップリンク情報35を間欠的に送信し続ける。
【0062】
ビーコンヘッド8がアップリンク情報35受信すると(
図4のF4)、ビーコン制御機7は、遅くとも10m秒以内でダウンリンクの切り替えを行ったあと、第2情報として、車両ID情報を有する車線通知情報を含む、第2のダウンリンク情報36の送信を開始する(
図5のF5)。
この第2のダウンリンク情報36の送信は、所定時間内において可能な限り繰り返される(
図5のF6)。
【0063】
車線通知情報には、車線R1〜R4(
図2)ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与することができる。
このため、異なる車線R1〜R4を走行する車両20の車載制御機21は、その格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを読み取ることにより、自車両がどの車線R1〜R4を走行しているかを判定できる。
【0064】
第2のダウンリンク情報36には、車両IDを含む車線通知情報の他に、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの情報を含めることができる。
これらの情報は、高速アップリンク送信に非対応の旧車載機に対しても提供されるものであるが、本実施形態では、高速アップリンク送信に対応する本実施形態の車載機2(新車載機)に対しては、例えば、交差点における信号灯色の切り替えタイミングを含む信号情報や、車両20が電気自動車の場合に有用な情報である直近の充電ステーションまでの経路情報など、新車載機用として予め定めた専用情報を提供するものとする。
【0065】
なお、車載制御機21は、第2のダウンリンク情報36を受信した時点(
図5のF7)で光ビーコン4でのダウンリンク切り替えが行われたと判断し、この時点でアップリンク情報35の送信を停止する。
【0066】
〔ダウンリンク情報のフレーム構成〕
図4に示すように、ダウンリンク情報35,36は、複数の最小単位の下りフレーム37により構成されている。
旧光ビーコンの規約では、下りフレーム37は、先頭から順に、受信側と同期を取るための同期部38と、ヘッダ部39と、実データ部40と、CRC(Cyclic Redundancy Check )部41とを有する。
【0067】
同期部38には1バイトが割り当てられ、ヘッダ部39には5バイトが割り当てられ、実データ部40には123バイトが割り当てられ、CRC部41には2バイトが割り当てられている。本実施形態においても、この規約上のフレーム構成に従うものとする。ただし、
図4には図示していないが、実データ部40とCRC部41の間に1バイト分のアイドル部があり、CRC部41の後には更に同期部がある。
また、ダウンリンク切り替え後に光送信部10から送信されるダウンリンク情報36は1〜80個の下りフレーム37で構成され、この下りフレーム37を繰り返して送信できる送信可能時間は、250msに設定されている。
【0068】
もっとも、本実施形態のように、ダウンリンク領域DAをビーコンヘッド8の直下付近まで拡大すれば(
図3参照)、繰り返し送信する下りフレーム37の個数を最大200個程度まで増加させることができる。
【0069】
第2のダウンリンク情報36は、ダウンリンク送信すべきデータ量に応じた任意数の下りフレーム37で構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。また、下りフレーム37の送信周期は約1msである。
従って、例えば、3つの下りフレーム37で1つの有意なデータを構成する場合は、ダウンリンク情報36の送信周期は約3msになるので、当該ダウンリンク情報36は所定の送信可能時間(250ms)内に約80回繰り返して送信されることになる。
【0070】
〔混在状況における問題点〕
図5は、新旧の光ビーコン4A,4Bと車載機2A,2Bの混在状態を示す図である。
図5に示すように、新光ビーコン4Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば1024kbps)でのアップリンク受信に対応している。本実施形態の光ビーコン4は新光ビーコン4Aに該当する。
同様に、新車載機2Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば1024kbps)でのアップリンク送信に対応している。本実施形態の車載機2は新車載機2Aに該当する。
【0071】
これに対して、旧光ビーコン4Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク受信のみを行う光ビーコン、すなわち、高速の伝送速度(例えば1024kbps)でのアップリンク受信に非対応の光ビーコンである。
同様に、旧車載機2Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク送信のみを行う車載機、すなわち、高速の伝送速度(例えば1024kbps)でのアップリンク送信に非対応の車載機である。
【0072】
図5において、「DL1」は、ダウンリンク切り替え前に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレーム(
図4の第1のダウンリンク情報34)を示し、「UL1」は、下りフレームDL1の受信を契機として、新旧の車載機2A,2Bが送信する上りフレーム(
図4のアップリンク情報35)を示している。
また、「DL2」は、ダウンリンク切り替え後に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレーム(
図4の第2のダウンリンク情報36)を示している。
【0073】
ここで、アップリンク方向において高速伝送にも対応する新光ビーコン4Aと新車載機2Aが路車間通信する場合を想定する。そして、光ビーコンの新旧を判別不能な場合は、新車載機2Aは、上りフレームUL1を確実に受信して貰うために低速でアップリンク送信を行うとする。
この場合、ダウンリンク方向の伝送速度は、新旧いずれの場合も「1024kbps」であるから、新車載機2Aは、新光ビーコン4Aから下りフレームDL1を受信しただけでは、通信相手が新光ビーコン4Aであることを察知できない。
【0074】
このように、新車載機2Aが、新光ビーコン4Aのダウンリンク領域DAを通過する間に新光ビーコン4Aと通信していることを認識できなければ、高速のアップリンク送信が可能である筈の新車載機2Aが、新光ビーコン4Aに対しても低速でアップリンク送信を行ってしまい、アップリンク速度の高速化が実現できなくなる。
そこで、本実施形態の光ビーコン4では、ビーコン制御機7が、自機が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aである旨のビーコン識別情報を下りフレームDL1,DL2に含める。
【0075】
具体的には、光送信部10にダウンリンク送信させる下りフレームDL1,DL2のヘッダ部39に、光ビーコンの新旧タイプを示すフラグフィールドを予め定義しておく。
そして、ビーコン制御機7は、自機を新光ビーコン4Aとして動作させる場合には、すべての下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオンにし、自機を旧光ビーコン4Bとして動作させる場合には、すべての下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオフにする。
【0076】
このため、新車載機2Aは、受信した下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドがオンである場合には、通信相手が新光ビーコン4Aであると判定でき、オフの場合や当該フラグフィールドが検出できなかった場合には、通信相手が旧光ビーコン4Bであると判定できる。
以下、上記のビーコン識別情報を下りフレームDL1,DL2に含める規約に従うことを前提とした、新光ビーコン4Aと新車載機2Aが行う上位互換制御について説明する。
【0077】
〔新光ビーコンの上位互換制御〕
図6は、本実施形態の光ビーコン4である、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図6に示すように、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7は、フラグフィールドをオンに設定した下りフレームDL1を繰り返しダウンリンク送信することにより(
図6のステップST1)、自機が新光ビーコン4Aであることを外部に通知している。
【0078】
この状態で、ビーコン制御機7は、上りフレームUL1を受信したか否かを判定し(
図6のステップST2)、その受信を検出するまで、ステップST1のダウンリンク送信を継続する。
上りフレームUL1の受信を検出すると、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1の送信主体が、高速の伝送速度(本実施形態では、1024kbps)に対応する新車載機2Aであるか否かを判定する(
図6のステップST3)。
【0079】
このステップST3の判定は、例えば、光受信部11で受信された上りフレームUL1の伝送速度が、高速であったか低速であったかによって行うことができる。この場合、受信した上りフレームUL1が高速であれば、送信主体が新車載機2Aであると判定でき、低速であれば、送信主体が旧車載機2Bであると判定できる。
また、新車載機2Aの車載制御機21が、自機が高速アップリンク送信対応の新車載機2Aである旨の車載機識別情報を、上りフレームUL1に含める規約を採用してもよい。
【0080】
具体的には、光送信部23にアップリンク送信させる上りフレームULのヘッダ部(図示せず)に、車載機の新旧タイプを示すフラグフィールドを予め定義しておく。
そして、車載制御機21は、自機を新車載機2Aとして動作させる場合には、上りフレームUL1のフラグフィールドをオンにし、自機を旧車載機2Bとして動作させる場合には、すべての上りフレームUL1のフラグフィールドをオフにする。
【0081】
このため、かかる規約を採用すれば、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1のフラグフィールドがオンである場合には、その送信主体が新車載機2Aであると判定でき、オフの場合や当該フラグフィールドが検出できなかった場合には、その送信主体が旧車載機2Bであると判定できる。
【0082】
ステップST3の判定結果が肯定的である場合、すなわち、上りフレームUL1の送信主体が新車載機2Aの場合は、ビーコン制御機7は、ダウンリンク切り替え後に新車載機用のダウンリンク送信を行う(
図6のステップST4)。
ステップST3の判定結果が否定的である場合、すなわち、上りフレームUL1の送信主体が旧車載機2Bの場合は、ビーコン制御機7は、ダウンリンク切り替え後に旧車載機用のダウンリンク送信を行う(
図6のステップST5)。
【0083】
なお、前述の通り、上記ステップST4,ST5における下りフレームDL2のダウンリンク送信は、ダウンリンク切り替え時点から所定時間(例えば、250ms)が経過するまで行われる。
また、上記ステップST4,ST5における下りフレームDL2のダウンリンク送信の具体例については後述する。
【0084】
〔新車載機の上位互換制御〕
図7は、本実施形態の車載機2である、新車載機2Aの車載制御機21が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図7に示すように、新車載機2Aの車載制御機21は、下りフレームDL1を受信したか否かを常に判定しており(
図7のステップST11)、下りフレームDL1を受信した場合には、その下りフレームDL1のフラグフィールドがオンか否かを判定する(
図7のステップST12)。
【0085】
上記判定の結果、フラグフィールドがオンである場合には、上りフレームUL1を高速でアップリンク送信し(
図7のステップST13)、フラグフィールドがオフの場合やフィールド自体がない場合には、上りフレームUL1を低速でアップリンク送信する(
図7のステップST14)。
なお、前述の通り、上記ステップST13,ST14における上りフレームUL1のアップリンク送信は、車載制御機21が下りフレームDL2を検出するまで行われる。
【0086】
〔ダウンリンク送信の具体例〕
図8は、ビーコン制御機7が行う、ダウンリンク切り替え後のダウンリンク送信の具体例を示す図である。
ここで、
図8中の「Di」はダウンリンク情報の識別番号であり、識別番号D1〜D10が旧車載機2Bのためのダウンリンク情報として割り当てられ、識別子D11以上が新車載機2Aのためのダウンリンク情報として割り当てられているとする。
【0087】
旧車載機2Bのためのダウンリンク情報としては、例えば、前述の渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などがある。また、新車載機2Aのためのダウンリンク情報としては、例えば、前述の信号情報や充電ステーションまでの経路情報などがある。
従って、
図8における識別番号D11の下りフレームDL2は、高速アップリンク送信に対応する新車載機2Aのみに提供可能であり、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2は、高速アップリンク送信に非対応の旧車載機2Bに従来から提供されていた下りフレームであり、新車載機2Aにも提供可能である。
【0088】
なお、以下においては、旧車載機2Bに従来から提供されていた識別番号D1〜D3の下りフレームDL2(ただし、新車載機2Aにも提供可能)のみからなるフレーム群を、「第1フレーム群」といい、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2に加えて、新車載機2Aにだけ提供する識別番号D11の下りフレームDL2を含むフレーム群を、「第2フレーム群」という。
【0089】
ビーコン制御機7は、
図6のステップST4において、
図8(a)に示す「旧車載機用のダウンリンク送信」を実行する。
この旧車載機用のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2をその番号順で繰り返して送信する。
【0090】
一方、ビーコン制御機7は、
図6のステップST5において、
図8(b)に示す「新車載機用のダウンリンク送信」を実行する。
この新車載機用のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2の後に、識別番号D11の下りフレームDL2が出現する順序で、下りフレームDL2を繰り返して送信する。すなわち、D1→D2→D3→D11→D1……の順で、下りフレームDL2が送信される。
【0091】
なお、ビーコン制御機7は、
図6のステップST5において、
図8(c)に示す「新車載機用のダウンリンク送信」を実行することにしてもよい。
この新車載機用のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D11の下りフレームDL2が先頭となり、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2がその後に続く順序で、下りフレームDL2を繰り返して送信する。すなわち、D11→D1→D2→D3→D11→……の順で、下りフレームDL2が送信される。
【0092】
このように、識別番号D11の下りフレームDL2の送信順を早めると、新車載機2Aにとって有用である信号情報などの専用情報を、より確実に新車載機2Aに提供できるという利点がある。
もっとも、識別番号D11の下りフレームDL2の送信順、すなわち、第2フレーム群における識別番号D11の位置は、
図8(b)に示す最後の場合や
図8(c)に示す最初の場合に限らず、2番目や3番目などであってもよい。
【0093】
〔ダウンリンク送信の変形例〕
図9は、ビーコン制御機7が行う、ダウンリンク切り替え後のダウンリンク送信の変形例を示す図である。
ここでは、ビーコン制御機7が、上りフレームUL1を受信すると、その上りフレームUL1の送信主体の判定(
図6のステップST3)を行わずに、すなわち、送信主体が新車載機2Aか旧車載機2Bかに拘わらず、共通のダウンリンク送信を行うことを想定している。
【0094】
この場合、新しい識別番号D11の下りフレームDL2を最初にダウンリンク送信すると、その識別番号D11の存在を知らない旧車載機2Bが送信元の新光ビーコン4Aを異常と判定して、すべての下りフレームDL2の受信を行わなくなる可能性がある。
そこで、
図9(a)に示す共通のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2の後に、識別番号D11の下りフレームDL2が出現する順序で、下りフレームDL2を繰り返して送信する。すなわち、D1→D2→D3→D11→D1……の順で、下りフレームDL2が送信される。
【0095】
換言すると、
図9(a)の送信順序では、識別番号D11が最後に来る第2フレーム群が生成され、この第2フレーム群が繰り返される順序で、下りフレームDL2がダウンリンク送信される。
【0096】
このように、新しい識別番号D11の下りフレームDL2を、既設の識別番号D1〜D3の下りフレームDL2の後に送信すれば、旧車載機2Bが上記のような異常判定を行う可能性が低減し、旧車載機2Bが従来の下りフレームDL2をより確実に受信できるようになり、旧車載機2Bとの互換性を向上できるという利点がある。
【0097】
図9(b)に示す共通のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2のみからなる「第1フレーム群」と、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2に識別番号D11の下りフレームDL2を追加した「第2フレーム群」とに分けて、ダウンリンク送信を行う。
このため、旧車載機2Bのための第1フレーム群と、新車載機2Aのための第2フレーム群とを概ね平等にダウンリンク送信することができる。
【0098】
また、この変形例では、ビーコン制御機7は、「第1フレーム群」を最初に送信しかつ「第1フレーム群」と「第2フレーム群」が交互に繰り返される順序で、下りフレームDL2のダウンリンク送信を行うようになっている。
このように、第1フレーム群を第2フレーム群と区別して送信すれば、フレーム選択ロジックが旧車載機の機種によって異なっていても、旧車載機2Bがダウンリンク送信を正常に受信する可能性が増すと考えられる。
【0099】
また、
図9(b)の変形例では、第1フレーム群と第2フレーム群の送信順序を交互に設定しているので、旧車載機2Bのための第1フレーム群と新車載機2Aのための第2フレーム群を概ね平等にダウンリンク送信できる。
更に、
図9(b)の変形例では、第1フレーム群を最初にダウンリンク送信しているので、新旧の車載機2A,2Bが認識可能な識別番号D1〜D3の下りフレームDL2が新しい識別番号D11の下りフレームDL2よりも早くダウンリンク送信され、旧車載機2Bが従来通りの下りフレームDL2をより確実に受信できるようになる。
【0100】
〔光ビーコン及び車載機の効果〕
以上の通り、本実施形態の光ビーコン4によれば、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレートの光受信部11を備えているので、旧車載機2B及び新車載機2Aの双方からの光信号を受信することができる。
また、本実施形態の車載機2によれば、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレートの光送信部23を備えているので、旧光ビーコン4B及び新光ビーコン4Aの双方に対して光信号を送信することができる。
【0101】
その上で、本実施形態では、光ビーコン4のビーコン制御機7が、光送信部10にダウンリンク送信させる下りフレームDL1のフラグフィールドをオンにし、その下りフレームDL1を受信した新車載機2Aがフラグフィールドに従って高速のアップリンク送信を行うので、新車載機2Aが、新光ビーコン4Aに対して低速のアップリンク送信を行うことがない。
従って、アップリンク方向でマルチレート対応の新光ビーコン4Aと新車載機2Aとの間で行う路車間通信において、アップリンク速度の高速化を確実に実現できる。
【0102】
〔光受信部の内部構成〕
図10は、光ビーコン4の光受信部11の内部構成を示す回路構成図である。
図10に示すように、本実施形態の光受信部11は、受光したアップリンク方向の光信号を電気信号に変換するフォトダイオードよりなる受光素子50と、この受光素子50に接続された2系列の第1及び第2受信回路51,52とを有する。
【0103】
受信回路51,52が出力するデジタルの受信信号は、ビーコン制御機7に設けられた信号処理部53に入力される。
信号処理部53は、送受信データのデコーダ、エンコーダ、DPLL(Digital Phase Locked Loop)、DMAC(Direct Memory Access Controller)などを有するプロセッサよりなり、入力された受信信号から上りフレームUL1のデータを取り出して、メモリ54に記録する。また、CPU55は、メモリ54に記録されたデータを中央装置3等の外部装置に送信する中継処理を行ったり、前述の通信制御を行ったりする。
【0104】
第1受信回路51は、受光素子50側から順に、低速用増幅回路51A、低速用フィルタ51B及び低速用コンパレータ51Cを有する。
低速用増幅回路51Aは、受光素子50で変換された電気信号を低速帯域で動作して増幅し、その増幅後の電気信号を低速用フィルタ51Bに入力する。低速用フィルタ51Bは、増幅された電気信号の低速成分を抽出して、抽出した低速信号を低速用コンパレータ51Cに入力する。低速用コンパレータ51Cは、入力された低速信号を閾値と比較して得られたデジタルの受信信号を、後段の信号処理部53に出力する。
【0105】
第2受信回路52は、受光素子50側から順に、高速用増幅回路52A、高速用フィルタ52B及び高速用コンパレータ52Cを有する。
高速用増幅回路52Aは、受光素子50で変換された電気信号を高速帯域で動作して増幅し、その増幅後の電気信号を高速用フィルタ52Bに入力する。高速用フィルタ52Bは、増幅された電気信号の高速成分を抽出して、抽出した高速信号を高速用コンパレータ52Cに入力する。高速用コンパレータ52Cは、入力された高速信号を閾値と比較して得られたデジタルの受信信号を、後段の信号処理部53に出力する。
【0106】
信号処理部55は、上記第1及び第2受信回路51,52が出力するデジタルの受信信号に対して、それぞれ上述のデジタル信号処理を行う。
このように、本実施形態では、光受信部11が、受光した光信号を電気信号に変換する受光素子50と、2系統の第1及び第2受信回路51,52とを有し、信号処理部53が、双方の受信回路51,52が出力する受信信号にそれぞれデジタル信号処理を行う。
【0107】
このため、光受信部11がアップリンク受信した光信号の送信元が、旧車載機2B及び新車載機2Aのうちのいずれであっても、その受信信号を適切にデジタル信号処理することができる。
つまり、受信した上りフレームUL1が高速で送信されたとして行う処理と、低速で送信されたとして行う処理の双方を同時に行うことで、いずれの速度であったかに関わらず、いずれかのコンパレータ51C,52Cによって確実に処理することが可能となる。
【0108】
なお、コンパレータ51C,52Cは、CRC値を演算することによって、処理が正常か否かを判定することができる。
すなわち、高速で送信された上りフレームUL1であれば、高速用コンパレータ52Cで行われるCRC値は正常であり、低速用コンパレータ51Cで行われるCRC値は異常となる。このため、いずれのCRC値が正常かを判定することで、光ビーコン4は、上りフレームUL1が高速又は低速のいずれで行われたかを察知できる。
【0109】
この場合、受信した上りフレームUL1のデジタルデータを処理対象とするCPUに対しては、CRC値が正常であった方のコンパレータ51C,52Cが取り出したデジタルデータのみを引き渡せばよい。
このように、
図10に示す回路構成の光受信部11を採用すれば、高低2種類の伝送速度でアップリンク受信できる、アップリンク方向にマルチレート対応の光ビーコン4が得られる。
【0110】
〔光受信部の内部構成の変形例〕
図11は、光ビーコン4の光受信部11の内部構成の変形例を示す回路構成図である。
図11に示すように、この変形例に係る光受信部11は、受光したアップリンク方向の光信号を電気信号に変換するフォトダイオードよりなる受光素子50と、この受光素子50に接続された1系列の共用受信回路60とを有する。
【0111】
共用受信回路60が出力するデジタルの受信信号は、ビーコン制御機7に設けられた信号処理部53に入力される。
なお、信号処理部53が行う主なデジタル信号処理(送受信データのデコードやエンコードなど)や、CPU55が行う中継処理は、
図10の場合と同様である。
【0112】
共用受信回路60は、受光素子50側から順に、共用増幅回路60A、共用フィルタ60B及び共用コンパレータ60Cを有する。
このうち、共用増幅回路60Aは、高速帯域で動作する高速用増幅回路よりなり、共用フィルタ60Bは、少なくとも低速成分を抽出できるハイパスフィルタよりなる。共用フィルタ60Bは、低速成分から高速成分までをカバーするバンドパスフィルタでもよい。また、共用コンパレータ60Cは、高速信号と閾値との比較が可能な高速用コンパレータよりなる。
【0113】
共用増幅回路60Aは、受光素子50で変換された電気信号を高速帯域で動作して増幅し、その増幅後の電気信号を共用フィルタ60Bに入力する。共用フィルタ60Bは、増幅された電気信号から低速成分又は高速成分を抽出し、抽出した低速信号又は高速信号を共用コンパレータ60Cに入力する。共用コンパレータ60Cは、入力された低速信号又は高速信号を閾値と比較して得られたデジタルの受信信号を、後段の信号処理部53に出力する。
【0114】
信号処理部53は、共用受信回路60が出力する受信信号から当該受信信号の伝送速度を判定する処理を実行し、判定した伝送速度にて、入力された受信信号に上述のデジタル信号処理を行う。
具体的には、信号処理部53は、例えば、入力された受信信号に対して高速と低速の2種類でビット同期を行い、同期を確立できた方の伝送速度を、当該受信信号の伝送速度であると判定する。
【0115】
また、信号処理部53は、共用受信回路60が出力する受信信号に対して次の処理を行うことにより、伝送速度を判定することにしてもよい。
すなわち、信号処理部53は、まず、受信信号を高速とみなしてデジタルの受信信号を作成する。つまり、高速のサンプリングレートでサンプリングして受信信号を作成する。そして、CRCの演算処理を行って、CRC値が正常か否かを判定する。正常であれば、その受信信号をそのまま信号処理部53に出力する。
【0116】
一方、CRC値が異常であった場合には、受信信号が低速のものであった可能性が高いので、高速サンプリングされたデータを低速でサンプリングした場合の結果と同じになるようにリサンプリングした上で、当該リサンプリング後の受信信号についてCRCの演算処理を行う。もし、受信信号が低速であれば、CRC値は正常であるはずだから、リサンプリング後の受信信号を信号処理部53に出力する。
【0117】
なお、リサンプリング後にもCRCが正常でない場合には、ノイズデータと考えられるので、当該データは破棄される。
このように、この変形例では、光受信部11が、受光した光信号を電気信号に変換する受光素子50と、1系統の共用受信回路60とを有し、信号処理部53が、共用受信回路60が出力する受信信号から当該受信信号の伝送速度を判定し、判定した伝送速度にて受信信号にデジタル信号処理を行う。
【0118】
このため、光受信部11がアップリンク受信した光信号の送信元が、旧車載機2B及び新車載機2Aのうちのいずれであっても、その受信信号を適切にデジタル信号処理することができる。
このように、
図11に示す回路構成の光受信部11を採用すれば、高低2種類の伝送速度でアップリンク受信できる、アップリンク方向にマルチレート対応の光ビーコン4が得られる。
【0119】
〔その他の変形例〕
今回開示した実施形態(上述の各変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0120】
例えば、上述の実施形態では、ビーコン識別情報をすべての下りフレームDL1,DL2に含めることにしているが、ダウンリンク切り替え前にダウンリンク送信される車線通知情報を含む下りフレームDL1にのみ含めることにしてもよい。
また、例えば、送信順序が奇数又は偶数の下りフレームDL1,DL2にビーコン識別情報を含めてもよいし、次第に長周期となる変動周期で発生する下りフレームDL1,DL2にビーコン識別情報を含めてもよい。
【0121】
また、本発明の「車載機」とは、車両20に搭載されたあと常にその状態に固定されるものを含むことは勿論、ドライバが利用したい時だけ車両20に持ち込まれ、一時的に車両20に搭載されるものも含まれる。