特許第6338002号(P6338002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6338002
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】配管の接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/18 20060101AFI20180528BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20180528BHJP
   B23K 1/14 20060101ALI20180528BHJP
   F16L 13/08 20060101ALI20180528BHJP
   F16L 13/007 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   B23K1/18 B
   B23K1/00 330G
   B23K1/14 A
   B23K1/14 B
   F16L13/08
   F16L13/007
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-180661(P2017-180661)
(22)【出願日】2017年9月20日
【審査請求日】2017年9月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180426
【弁理士】
【氏名又は名称】剱物 英貴
(72)【発明者】
【氏名】亀田 直人
(72)【発明者】
【氏名】高野 恭治
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕規
(72)【発明者】
【氏名】畑澤 健
(72)【発明者】
【氏名】宗形 修
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 加一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−107252(JP,A)
【文献】 特開平03−071973(JP,A)
【文献】 実開昭54−088028(JP,U)
【文献】 特開2005−052856(JP,A)
【文献】 特開2001−087853(JP,A)
【文献】 特開昭57−159261(JP,A)
【文献】 特開2017−080783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/18
B23K 1/00
B23K 1/14
F16L 13/08
F16L 13/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一配管と、前記第一配管の外径より大きい内径を有する拡管部を端部に備える第二配管と、を接合する配管の接合方法であって、
前記第一配管の端部にはんだ接合材を嵌合し、前記はんだ接合材を前記拡管部の端面に当接させた後、前記はんだ接合材を前記第一配管の外周面と摺動させながら、前記第一配管を前記第二配管の前記拡管部に嵌入、前記はんだ接合材を加熱することを特徴とする配管の接合方法。
【請求項2】
前記はんだ接合材が中空円筒形状である、請求項1に記載の配管の接合方法。
【請求項3】
前記はんだ接合材の断面が略矩形状である、請求項2に記載の配管の接合方法。
【請求項4】
前記はんだ接合材の外径が前記拡管部の外径と略同一である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【請求項5】
前記はんだ接合材がリング形状である、請求項1に記載の配管の接合方法。
【請求項6】
前記はんだ接合材は線はんだが3周以下の巻回数で巻回されてなる、請求項1に記載の配管の接合方法。
【請求項7】
前記はんだ接合材はやに入りはんだである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【請求項8】
前記拡管部の端部にはフレア加工部が設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【請求項9】
前記第一配管の端部の外周面、及び/又は前記第二配管の前記拡管部の内周面にフラックスが塗布されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【請求項10】
前記第一配管および前記第二配管が各々Cu管またはFe管である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【請求項11】
記拡管部は円筒状である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【請求項12】
前記はんだ接合材の内径は、前記第一配管の外形と略同一である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業性に優れ、接合コストを低減することができる配管の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンや冷蔵庫などの白物家電は冷却装置を備える。冷却装置は、主に、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器、および各装置に冷媒を供給する配管を備える。冷却装置による冷却サイクルとしては、まず、圧縮機で気体冷媒が圧縮され、圧縮後の高温高圧ガスが凝縮器を通過して液化する。液化した冷媒は、膨張弁を通過して圧力が急激に低下することによって沸点が下がる。その後、蒸発器で液化した冷媒は気化する。最後に、気化した冷媒は再度圧縮機で圧縮されて、上記サイクルが繰り返される。この蒸発器で液化した冷媒が気化する際の吸熱により、周囲が低温に導かれる。
【0003】
ところで、前述の冷却装置を構成する各機器は、配管が接続された後に白物家電内に配置される。配管の接続方法としては、例えば特許文献1に記載のように溶接により接続する方法や、特許文献2に記載のようにろう付けにより接続する方法が採用されている。
【0004】
特許文献1に記載の接合方法は、作業者の熟練度に工程品質が左右されず、円筒配管溶接部を安定して保持することができ、確実に溶接可能なように、円筒配管の端部が互いに面接触するフランジ部を設け、フランジ部を対向配置して溶接する方法である。
【0005】
特許文献2に記載の接合方法は、ステンレス管とCu管をろう付け接合する際、接合部における隙間腐食の発生を防止するとともに、ろう材のつき回りを安定化させて所定の接合強度を発現させるため、内側管となる管体の先端に予め縮径加工が施されている管を用いる方法である。内側管の先端に縮径加工が施されていることにより、内側管先端部と外側管内壁面とのクリアランスが隙間腐食を起こしやすいクリアランスよりも大きくなり、隙間腐食を抑制することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015―150590号公報
【特許文献2】特許第6075958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の発明は溶接により接合を行うため、Cu管とFe管を接合する場合、溶接部では互いに異なる金属が存在する。Fe管本体においても溶接時の熱履歴により組織や特性が母材と異なる溶接熱影響部(Heat Affected Zone:HAZ)が存在する。このため、溶接部の合金組成を考慮して各管が選定されなければならず、また、Fe管にはHAZを含めた溶接部特性を考慮した材質を用いるなどの種々の制約が発生してしまう。この結果、コストが上昇してしまう。また、冷却媒体を搬送するような細い配管を溶接する場合には、接触面積を増やすためにフランジ部を設けたとしても溶接時の熱により配管が変形する場合があり、接合不良が懸念される。
【0008】
特許文献2に記載の発明はろう付けにより接合を行うため、仮に配管に隙間腐食を防ぐことができるとしても、ろう付け作業者の熟練が必要になり、作業者の熟練度によって接合部の品質が左右してしまう。この熟練度の相違により、配管を加熱する際に配管温度が高すぎ配管が変形したり、ろう材内にボイドが発生して冷媒リーク不良が発生する場合がある。また、配管温度が低すぎるとろう材が配管の隙間全周へ浸透せずに冷媒リーク不良が発生する場合がある。
【0009】
さらに、両文献に記載の接合方法は、配管を1000℃以上の高温に加熱する必要があるため、熱エネルギーを費やしコストの上昇を招く。低温ろう材を用いてろう付けを行ったとしても、ろう材を溶融するために配管を500℃以上の高温に加熱する必要がある。このように、いずれの方法を用いたとしても、作業の熟練度や接合時のコスト上昇を招いてしまう。近年では、白物家電の省スペース化も要求されていることから配管径が小さくなり、前述の問題点が表面化している。
【0010】
本発明の課題は、作業工程を簡略化でき、配管の変形を防ぎ、コスト上昇を抑制することができる配管の接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、コスト低減の観点から、特殊な材質の配管を用いずに従来の配管を用いた接合方法を採用するため、ろう付けによる接合方法に基づいて検討を行った。ろう付け方法の場合、配管温度が熟練度により左右される因子として挙げられる。また、配管の変形は接続不良を抑制する観点からあってはならない。そこで、発明者らは、低温ろう材よりもさらに低温で金属を接合することができるはんだ付けにより配管を接合することに着目した。
【0012】
ここで、ろう付けの場合、前述のように熟練度により配管温度が左右されて接合不良が発生する懸念がある。ろう材の代わりにはんだを用いた場合、加熱温度が低温であるためにろう材と比較して相対的に配管温度のバラツキが低減されることから、熟練度の寄与度を抑えることができると考えられる。ただ、配管温度のバラツキが低下したとしても、供給するはんだ量が多すぎるとはんだが溢れる懸念があり、一方、はんだ量が少なすぎるとはんだが浸透せずに接合不良が発生する懸念がある。このため、単にはんだを用いたとしても、ろう付けにおける熟練度による品質バラツキを十分に抑制するには至らない。
【0013】
そこで、本発明者らは、所定形状のはんだを一方の配管に嵌合し、他方の配管に嵌入した後に加熱することによって、熟練度に左右されることなく作業工程を簡略化でき、低温接合により配管の変形を防ぐとともにコスト上昇を抑制する知見を得た。この際、はんだが被接合配管の端面から離れた状態で加熱すると接合不良になる場合がある知見も得られた。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、一方の配管に嵌合されたはんだが他方の配管と当接した状態で加熱することによって、ようやく完成した。
【0014】
これらの知見により完成された本発明は次の通りである。
(1)第一配管と、第一配管の外径より大きい内径を有する拡管部を端部に備える第二配管と、を接合する配管の接合方法であって、第一配管の端部にはんだ接合材を嵌合し、はんだ接合材を拡管部の端面に当接させた後、はんだ接合材を第一配管の外周面と摺動させながら、第一配管を第二配管の拡管部に嵌入、はんだ接合材を加熱することを特徴とする配管の接合方法。
【0015】
(2)はんだ接合材が中空円筒形状である、上記(1)に記載の配管の接合方法。
(3)はんだ接合材の断面が略矩形状である、上記(2)に記載の配管の接合方法。
(4)はんだ接合材の外径が拡管部の外径と略同一である、上記(1)〜上記(3)のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
(5)はんだ接合材がリング形状である、上記(1)に記載の配管の接合方法。
(6)はんだ接合材は線はんだが3周以下の巻回数で巻回されてなる、上記(1)に記載の配管の接合方法。
【0016】
(7)はんだ接合材はやに入りはんだである、上記(1)〜上記(6)のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【0017】
(8)拡管部の端部にはフレア加工部が設けられている、上記(1)〜上記(7)のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【0018】
(9)第一配管の端部の外周面、及び/又は第二配管の拡管部の内周面にフラックスが塗布されている、上記(1)〜上記(8)のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【0019】
(10)第一配管および第二配管が各々Cu管またはFe管である、上記(1)〜上記(9)のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【0020】
(11)管部は円筒状である、上記(1)〜上記(10)のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
(12)はんだ接合材の内径は、第一配管の外形と略同一である、上記(1)〜上記(11)のいずれか1項に記載の配管の接合方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明に係る配管の接合方法を示す図であり、図1(a)は第一配管の側面図であり、図1(b)は拡管部を備える第二配管の側面図であり、図1(c)は第一配管にはんだ接合材を嵌合する工程を示す図であり、図1(d)は第二配管に第一配管を嵌入するとともにはんだ接合材を拡管部の端面に当接させる工程を示す図であり、図1(e)ははんだ接合材を加熱する工程を示す図であり、図1(f)は、はんだ接合材を加熱して第一配管と第二配管の隙間にはんだが流れ込み両配管を接合して接合部を形成した状態を示す部分透視図である。
図2図2は端部にフレア加工部を有する第一配管を示す図であり、図2(a)は側面図であり、図2(b)は端部近傍の部分斜視図である。
図3図3ははんだ接合材の斜視図であり、図3(a)は中空円筒形状のはんだ接合材を示す図であり、図3(b)はリング形状のはんだ接合材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.はんだ接合方法の概要
本発明に係る配管の接合方法は、第一配管と、第一配管の外径より大きい内径を有する拡管部を端部に備える第二配管と、を接合する配管の接合方法である。工程としては、第一配管にはんだ接合材を嵌合する工程、はんだ接合材が嵌合された第一配管を第二配管の拡管部に嵌入するとともにはんだ接合材を拡管部の端面に当接させる工程、はんだ接合材を加熱する工程の3工程である。
【0023】
以下、図を用いて詳述する。
図1は本発明に係る配管の接合方法を示す図であり、図1(a)は第一配管1の側面図であり、図1(b)は拡管部2aを備える第二配管2の側面図であり、図1(c)は第一配管1にはんだ接合材3を嵌合する工程を示す図であり、図1(d)は第二配管2に第一配管1を嵌入するとともにはんだ接合材3を拡管部2aの端面2bに当接させる工程を示す図であり、図1(e)ははんだ接合材3を加熱する工程を示す図であり、図1(f)は、はんだ接合材3を加熱して第一配管1と第二配管2の隙間にはんだが流れ込み両配管を接合して接合部4を形成した状態を示す部分透視図である。
【0024】
2.配管
本発明で用いる配管は、図1(a)および図1(b)に示すように直線状のものを使用してもよく、所定の角度に曲がったものを使用してもよい。図1(a)に示す第一配管1は端部に特殊加工が施されていない通常の配管である。第二配管2は、図1(b)に示すように、端部の少なくとも一方に拡管部2aを備える。拡管部2aの内径は、第一配管1の端部を嵌入可能なように、第一配管1の外径より大きい。第一配管1の外径と拡管部2aの内径との差は、はんだが両者の隙間を充填可能な程度でよく、2mm程度でよい。
【0025】
第二配管2において、拡管部2a以外の部分の外径は、第一配管1の外径以下であることが望ましく、第一配管1の外径と同一であることがより望ましい。拡管部2a以外の部分の外径が第一配管1の外径以下であると、第一配管1を拡管部2aに嵌入した場合、拡管部2aの縮径部2cで第一配管1の端部が当接し、第一配管1の拡管部2aへの嵌入長さが一定になるために作業が容易になる。また、両者の材質は特に限定されることはなく、例えばCu管やFeを主成分とするFe管であればよい。これらの配管にははんだめっきが施されていてもよい。
【0026】
また、後述するリング形状のはんだ接合材3を用いる場合、はんだ量を稼ぐために太い線はんだを用いる必要があるが、これは溶融はんだの溢れの原因になる場合がある。また、リング形状のはんだ接合材3は線はんだを環状に形成するために断面が略円形状となり、拡管部2aの端面2bとの接触面積が小さい。このため、溶融はんだが拡管部2aと第一配管1との隙間に流れ難い場合がある。これらの観点から、略円形状である断面の直径が拡管部2aの片側厚さより大きい線はんだで形成されたリング形状のはんだ接合材3を用いる場合、拡管部2aの端部には、図2に示すように、フレア加工部2dを備えることが望ましい。フレア加工部2dを備えることによって、溶融はんだが拡管部2aの外周に溢れることを抑制するとともに拡管部2aと第一配管1との隙間に流れやすくなる。フレア加工部2dの片側幅は、溶融はんだが拡管部2aの外周に溢れないように、リング形状のはんだ接合材3の断面直径に応じて適宜調整すればよい。
【0027】
さらに、リング形状のはんだ接合材3を用いた場合に溶融はんだが溢れないようにするため、第二配管2の縦断面におけるフレア加工部2dの形状は漏斗形状であることが望ましい。これは、第二配管2の縦断面における拡管部2aの形状も同様である。
【0028】
はんだ接合材3がやに入りはんだではない場合には、第一配管1の端部の外周面、及び/又は第二配管2の拡管部2aの内周面にフラックスを塗布していてもよい。また、第一配管1を第二配管2に嵌入した後、はんだ接合材3にフラックスを滴下してもよい。
【0029】
これらの配管を用いた配管の接合方法を以下に詳述する。
3.第一配管にはんだ接合材を嵌合する工程
本発明に係る配管の接合方法では、まず、図1(c)に示すように、第一配管1の端部にはんだ接合材3を嵌合する。はんだ接合材3は一定の大きさおよび形状を有するため、ろう材のように熟練度を必要とせずに所定量のはんだを低温域で供給することができる。
【0030】
ろう材より低融点のはんだを接合体として用いる場合、温度のバラツキを低減することができる。ろう材の接合では、通常バーナーを用いて1000℃もの高温に加熱してろう材を溶融するため、熟練度によっては900〜1100℃程度のバラツキが発生し、接合部の品質に差が生じてしまう場合がある。一方、はんだは300〜450℃程度に加熱すればよく、熟練度が低い場合であってもろう材のように200℃もの温度誤差が生じることは考え難い。はんだ付け時にこのような温度誤差が生じると、そもそもはんだ付けを行うこと自体が困難である。
【0031】
温度計を用いて加熱温度を制御したとしても、ろう付けは通常バーナーを用いて加熱するために短時間での温度制御が困難である。高周波誘導加熱装置で加熱するとしても、1000℃もの高温に加熱するためには大きな電源装置とコイルを冷却するための大掛かりな冷却機構を備える必要があり、作業性が劣る。低温ろう材であっても500℃以上に加熱をしなければならず、上記の問題を解決するには至らない。さらには、ろう材を用いた接合は高温加熱を必須とするためにコスト上昇を招く。
【0032】
一方、本発明の接合方法では、融点が低く所定の大きさのはんだ接合材3を用いるため、はんだの供給量が一定であり、加熱温度のバラツキが少ない。このため、ろう付けのように熟練度を要しないために作業性が優れる。
【0033】
本発明で用いるはんだ接合材3の形状は、図3(a)に示すように中空円筒形状であることが望ましい。中空円筒形状であれば、はんだ量を増やしたい場合にはんだ接合材3を長くするだけでよい。また、中空円筒形状のはんだ接合材3は、線はんだを圧延して、所定の長さに切断後、環状に形成するだけで形成できるため、コスト低減に繋がる。
【0034】
図3(a)に示す中空円筒形状の場合、はんだ接合材3の縦断面は略矩形状であることが望ましい。この場合、拡管部2aの端面2bとはんだ接合材3の端面3aとが面で当接するために接触面積が大きく、溶融はんだが拡管部2aと第一配管1との隙間に流れ込みやすくなり、図1(f)に示す接合部4の品質が安定する。はんだ接合材3が図3(a)の形状の場合、はんだ接合材3の外径が拡管部2aの外径と略同一であることが望ましい。この場合、溶融はんだが拡管部2aの外周に溢れ出ることがない。
【0035】
また、はんだ接合材3は、図3(b)に示すようにリング形状であってもよい。線はんだを所定の長さに切断後、環状に形成するだけでよく、加工が容易でコストも低減することができる。リング形状の場合、はんだ量を稼ぐためには、内径を維持したまま外径を大きくしてもよい。もしくは線はんだを3周以下の巻回数で螺旋状に巻回したものを用いてもよい。線はんだを巻回する場合、第一配管1と第二配管2の接触面積に応じて、巻き数を2.5周や2周などに適宜調整する。
【0036】
リング形状のはんだ接合材3を用いる場合、はんだ接合材3の断面の直径に応じて図2に示すようにフレア加工部2dが施された第二配管2を用いることが望ましい。
【0037】
また、はんだ接合材3の内径は、第一配管1の外径と略同一であることが望ましい。本発明では、はんだ接合材3を加熱する際、はんだの自重を利用して、拡管部2aと第一配管1との隙間に溶融はんだを流し込むことが望ましい。このため、図1(d)〜図1(f)に示すように、配管の接合時には、第二配管2の上方から第一配管1を拡管部2aに嵌入することが望ましい。したがって、はんだ接合材3の内径が第一配管1の外径と略同一であると、はんだ接合材3を第一配管1に嵌合した際、はんだ接合材3と第一配管1との摩擦によりはんだ接合材3が第一配管1の所定の位置で固定される。この結果、第一配管1を第二配管2に嵌入する際にはんだ接合材3が滑り落ちることがなく、作業を容易にすることができる。
【0038】
はんだ接合材3はやに入りはんだであることが望ましい。やに入りはんだでなければ、第一配管1の端部にフラックスを塗布すればよい。また、はんだ接合材3だけでははんだ量が十分ではない場合には、第一配管1の端部に予備はんだを被覆しておいてもよい。
【0039】
4.はんだ接合材が嵌合された第一配管を第二配管の拡管部に嵌入するとともにはんだ接合材を拡管部の端面に当接させる工程
図1(d)に示すように、はんだ接合材3が端部に嵌合された第一配管1を拡管部2aに嵌入すると、まず、はんだ接合材3が拡管部2aの端面2bに当接する。さらに第一配管1を拡管部2aに嵌入すると、はんだ接合材3が拡管部2aと当接した状態で、第一配管1だけが拡管部2a内に嵌入される。この結果、図1(e)に示すように、第一配管1の端部は拡管部2aの縮径部2cと当接する。
【0040】
前述のようにはんだ接合材3の内径が第一配管1の外径と略同一である場合、図1(d)の状態において、はんだ接合材3がはんだ接合材3と第一配管1との摩擦で第一配管1から落下せずに固定されることになる。この場合、はんだ接合材3が拡管部2aの端面2bに当接した後、はんだ接合材3が第一配管1の外周面と摺動しながら第一配管1を拡管部2aに嵌入することになる。
【0041】
本発明に係る配管の接合方法では、図1(e)に示すように、第一配管1の嵌入完了時にはんだ接合材3が拡管部2aの端面2bと当接している必要がある。当接していない場合、溶融はんだが拡管部2aと第一配管1との隙間に流れ込まない場合があり、接合不良が発生する場合がある。本発明では、第一配管1に嵌合するはんだ接合材3の位置は、第一配管1の端部であってもよく、第一配管1が拡管部2aの縮径部2cと当接した場合にはんだ接合材3が拡管部2aの端面2bと当接するような位置であってもよい。
【0042】
5.はんだ接合材を加熱する。
はんだ接合材3を加熱すると、はんだが拡管部2aと第一配管1との隙間に流れ込み、第一配管1と第二配管2とが図1(f)に示すように接合し、接合部4を形成する。
【0043】
はんだ接合材3の加熱は、配管を加熱することによって行われる。配管の加熱は、近赤外線ランプ(NIR)による加熱や高周波誘導方式による加熱が挙げられ、高周波誘導方式による加熱が望ましい。
【0044】
高周波誘導加熱方式では、高周波誘導加熱装置のコイルに対応する部分を局所的に加熱することができるため、配管の接合には好適である。はんだの融点はせいぜい300〜450℃程度であるため、高周波誘導加熱装置の電源をコンパクトなサイズにすることができ、作業性が損なわれることがない。加熱温度は300〜450℃程度でよいので、高周波誘導加熱装置のコイルに大掛かりな冷却機構を設ける必要がない。
【0045】
加熱時間は特に制限されないが、はんだ接合材3が溶融すればよく、1〜10分程度でよい。これにより、短時間加熱によるコスト低減を実現することができる。加熱雰囲気は作業性の観点から大気中で行うことが望ましい。加熱温度は、はんだの組成に応じて適宜調整すればよく、250〜450℃程度でよい。加熱温度の制御は、例えば、赤外線温度計を用いて、近赤外線ランプや高周波誘導加熱装置の出力を調整しながら制御してもよい。
【実施例】
【0046】
本発明の効果を立証するため、下記により配管を接合した。
1.実施例1
まず、第一配管として、長さが100mm、外径が4.0mm、内径が3.0mmのFe管を準備し、第二配管として、長さが100mm、拡管部の長さが15mm、拡管部の外径が4.5mm、拡管部の内径が4.1mm(拡管部端面の片側厚さは0.2mm)、拡管部以外の管の外径が3.5mm、拡管部以外の管の内径が3.0mmのCu管を準備した。
【0047】
はんだ接合材は、Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金(融点:250〜300℃)のやに入り線はんだを圧延し、切断および環形成により、長さが2.0mm、内径が4.0mm、厚さが0.9mmの中空円筒形状とした。
【0048】
このはんだ接合材を第一配管の端部に嵌合し、はんだ接合材を拡管部の端面に当接させるとともに第一配管を拡管部に嵌入し、第一配管の端部を拡管部の縮径部に当接させた。その後、赤外線カメラによりはんだ接合材の温度を観察しながら、高周波加熱装置で加熱温度を300℃、加熱時間を8秒として配管を加熱した。
【0049】
接合した管の長手方向を軸として90°ずつ回転させて、第一配管が第二配管に嵌入している部分である接合部を、Dage社製(ナノフォーカスX線顕微鏡 型番:XD7600NT Diamond)を用い、X線透過観察を行った。透過観察した写真から得られるコントラストの差に基づいて充填率を測定した。第一配管の外周面と第二配管の拡管部の内周面が対向する部分の全面積の80%以上が充填されていれば合格とした。実施例1では、はんだ充填率は80%以上を示した。また、はんだによる配管内詰まりがなく、配管外溢れも見られなかった。
【0050】
2.実施例2
実施例1において、第一配管として用いたFe管の代わりに、長さが100mm、外径が4.0mm、内径が3.0mmのCu管を用い、第二配管として、長さが100mm、拡管部長さが15mm、拡管部の外径が4.5mm、拡管部の内径が4.1mm(拡管部端面の片側厚さは0.2mm)、拡管部以外の管の外径が3.5mm、拡管部以外の管の内径が2.9mmのCu管を用いた他は、実施例1と同様に配管を接合した。その結果、実施例1と同様に、はんだ充填率は80%以上を示した。また、はんだによる配管内詰まりがなく、配管外溢れも見られなかった。
【0051】
3.実施例3
実施例2において、はんだ接合材として、断面の直径が1.0mm、内径が4.0mmである2重巻(直径が1.0mmの線はんだを720°巻回したことを表す。)されたものを用いた他は、実施例1と同様に配管を接合した。その結果、実施例1と同様に、はんだ充填率は80%以上を示した。また、はんだによる配管内詰まりがなく、配管外溢れも見られなかった。
【0052】
4.実施例4
実施例2において、はんだ接合材として、断面の直径が2.2mm、内径が4.0mmのリング形状のものを用い、第二配管として、拡管部の端部に片側幅が1.0mmのフレア加工部(フレア加工部の外径:6.5mm、フレア高さ1.0mm)を設けたものを用いた他は、実施例1と同様に配管を接合した。その結果、実施例1と同様に、はんだ充填率は80%以上を示した。また、はんだによる配管内詰まりがなく、配管外溢れも見られなかった。
【0053】
5.実施例5
実施例2において、第一配管を第二配管に嵌入後、はんだ接合材と第一配管との間にフラックスを滴下した他は、実施例2と同様に配管を接合した。その結果、実施例2と同様に、はんだ充填率は80%以上を示した。また、はんだによる配管内詰まりがなく、配管外溢れも見られなかった。
【符号の説明】
【0054】
1 第一配管、2 第二配管、2a 拡管部、2b 拡管部の端面、2c 拡管部の縮径部、2d フレア加工部、3 はんだ接合材、3a はんだ接合材の端面、4 接合部
【要約】
【課題】作業工程を簡略化でき、配管の変形を防ぎ、接合時のコスト上昇を抑制することができる配管の接合方法を提供する。
【解決手段】本発明の配管の接合方法は、第一配管1と、第一配管1の外径より大きい内径を有する拡管部2aを端部に備える第二配管2と、を接合する配管の接合方法である。第一配管1にはんだ接合材3を嵌合し、はんだ接合材3が嵌合された第一配管1を第二配管2の拡管部2aに嵌入するとともにはんだ接合材3を拡管部2aの端面2bに当接させた後、はんだ接合材3を加熱する。
【選択図】図1
図1
図2
図3