(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は眼鏡レンズ加工装置の概略構成図としての外観斜視図である。
【0011】
加工装置本体1は、ベース170と、加工装置本体1の筐体2の内部に配置されたレンズ加工機構部10(
図2参照)と、レンズ加工機構部10に対して眼鏡レンズを出し入れするために開閉可能な窓(扉)12であって、筐体2の表面の左右中央付近に配置された窓12と、窓12に対して筐体2の右側後方に配置された眼鏡枠形状測定ユニット30と、窓12の右側で眼鏡枠形状測定ユニット30より前側の筐体2の表面に配置されたディスプレイユニット40と、加工治具であるカップを眼鏡レンズの表面に取り付けるために、筐体2の右側前方でディスプレイユニット40より前側に配置されたブロッカーユニット(カップ取り付けユニット)500と、を備える。レンズ加工機構部10、眼鏡枠形状測定ユニット30、ディスプレイユニット40、ブロッカーユニット500は、ベース170に一体的に取り付けられている。
【0012】
ディスプレイユニット40は、窓12に対して筐体2の右側後方に配置されている。眼鏡枠形状測定ユニット30は、ディスプレイユニット40に対して筐体2の後方に配置されている。ブロッカーユニット500は、ディスプレイユニット40に対して筐体2の前側に配置されている。本実施例では、操作者から見て、ディスプレイユニット40は窓12の右横に配置され、眼鏡枠形状測定ユニット30は、右後方に配置され、ブロッカーユニット500は右前側に配置されている。ディスプレイユニット40、眼鏡枠形状測定ユニット30及びブロッカーユニット500は、窓12の左側に配置されていても良い。
【0013】
眼鏡枠形状測定ユニット30は、眼鏡フレームを保持するフレーム保持機構と、眼鏡フレ-ムのリムの溝に挿入される測定子の移動を検知することにより、リムの三次元形状を測定する測定機構と、を有する。この眼鏡枠形状測定ユニット30は周知の構成のもが使用できる。
【0014】
ディスプレイユニット40は、タッチパネル機能を持つディスプレイを備える。操作者がディスプレイユニット40の画面に表示されたスイッチをタッチすることにより、そのスイッチの表示に対応する信号が入力される。また、ディスプレイユニット40は、眼鏡枠形状測定ユニット30によるリムの形状の測定段階、ブロッカーユニット500によるカップの取り付け段階、レンズ加工機構部10にレンズLEを加工させる段階で共用される。
【0015】
図2は、筐体2の内部に配置されたレンズ加工機構部10の概略構成図である。加工装置本体1は、被加工レンズLEを保持するレンズチャック軸を有するレンズ保持部100と、レンズの周縁を加工するためのレンズ加工具168が取り付けられた加工具回転軸161aを回転する加工具回転ユニット160と、を備える。
【0016】
加工具回転ユニット160は、ベース170の前側に配置さている。レンズ加工具168は、粗砥石、ヤゲン加工用及び平加工用の仕上げ砥石、平鏡面仕上げ用砥石などから構成されている。加工具回転軸161aはモータ161によって回転される。
【0017】
レンズ保持部100は、一対のレンズチャック軸102L、102Rを回転させるレンズ回転ユニット100a、キャリッジ101に配置されたレンズチャック軸102L、102Rを軸方向(X方向)に移動させるX方向移動ユニット(チャック軸移動ユニット)100b、加工具回転軸161aに対してレンズチャック軸102L、102Rを接近又は離間させる方向(Y方向)に移動させるY方向移動ユニット(軸間距離変動ユニット)100cと、を備える。
【0018】
レンズ回転ユニット100aは、キャリッジ101に保持された一対のレンズチャック軸102L、102Rを回転するモータ120を有する。また、レンズチャック軸102L、102RによってレンズLEを挟持するために、レンズチャック軸102Rをレンズチャック軸102L側に移動するためのモータ110がキャリッジ101に配置されている。レンズLEの前面に取り付けられたカップCUの基部は、レンズチャック軸102Lに配置されたカップホルダ(図示を略す)に装着される。
【0019】
X方向移動ユニット100bは、モータ145を備える。キャリッジ101は、X方向に延びるシャフト103,104に沿って移動可能なX軸移動支基140に搭載されている。モータ145の回転により、支基140と共にキャリッジ101がX方向に直線移動される。
【0020】
Y方向移動ユニット100cは、支基140に取り付けられたモータ150を備える。モータ150の回転はY方向に延びるボールネジ155に伝達され、ボールネジ155の回転によりキャリッジ101はY方向に移動される。
【0021】
レンズチャック軸102L、102Rに保持されたレンズLEは、X方向移動ユニット100bによってX方向に移動され、レンズ加工具168に対するX方向の位置が変えられる。また、レンズLEは、Y方向移動ユニット100cによって加工具回転軸161aとの距離が変えられ、玉型に基づく周縁加工が行われる。
【0022】
また、キャリッジ101の後方には、レンズ形状測定ユニット200が配置されている。レンズ形状測定ユニット200は、レンズの前面及び後面に接触する測定子260を持ち、測定子260の移動位置を検知することにより、レンズの前面及び後面の形状を測定する。レンズ形状測定に際しては、レンズLEが回転されると共に玉型に基づいてY方向移動ユニット100cが駆動され、測定子260が接触するレンズ屈折面のX方向の位置が図示無きセンサによって検知される。
【0023】
図3Aはブロッカーユニット500の概略構成図である。
図3Bは、
図3Aにおけるカップ装着部560が下方向に向けられた状態の図である。
図3Cは、
図3Bのブロッカーユニット500を矢印A01方向から見た図である。
図4はブロッカーユニット500に配置される光学系図である。
【0024】
ブロッカーユニット500は、上下方向に延びる基準軸L01上にレンズLEを支持するために配置されたレンズ支持部(支持ピン505)と、カップCUの基部が装着される装着部(560)が取り付けられた支持アーム(562)と、支持アーム(562)を前記基準軸の直交方向(左右方向)に延びる軸X02を中心にして回転可能に保持する移動アーム(556)であって、基準軸L01の方向である上下方向に移動可能にされている移動アーム(556)と、を備える。移動アーム(556)は、装着部(560)が、下方向である第1方向と、ブロッカーユニット500に対して操作者が位置する前方向又は上方向である第2方向と、に向くように、軸X02を中心にして支持アーム(562)を回転可能に保持する。
【0025】
また、ブロッカーユニット500は、装着部(560)が第2方向から第1方向に向くように支持アーム(562)を回転させるために、操作者が操作するレバー(564)を備える。レバーは、支持アームに配置され、そして、装着部564が第1方向に向いた後に、操作者が移動アーム(556)と共に装着部(564)に装着されたカップCUを下降させるための操作部材として兼用されることが好ましい。
【0026】
また、ブロッカーユニットは、移動アーム(556)を上方向に付勢する第1付勢部材(バネ555)と、装着部が第1方向から第2方向に向くように、支持アームを回転させる付勢力を与える第2付勢部材(バネ559)と、装着部が第1方向を向くように支持アームが回転されたときに、装着部の中心が基準軸L01上に位置するように支持アームの回転を制限する制限部(570)と、を有することが好ましい。
【0027】
なお、第1付勢部材の付勢力は、第2付勢部材の付勢力より大きく設定されている。さらには、第1付勢部材の付勢力は、第2付勢部材の付勢力によって支持アームが回転されるときのレバーにおけるモーメント荷重よりも大きいことが好ましい。また、装着部が向く第2方向は、基準軸L01の下方向に対して操作者側に45度〜180度回転した方向の範囲に有ることが好ましい。
【0028】
ブロッカーユニット500のカップ取付け機構の具体例は、以下である。
図3A,
図3Bにおいて、台座502上に透明プレート503が配置されている。透明プレート503上には、カップ取り付けの基準軸L01を中心に3つの支持ピン(レンズ支持部)505が設けられている。レンズLEは支持ピン505上に載置される。台座502からは上方向に延びる2本の支柱552が取り付けられている。支柱552の上端は、ブロック566によって支えられている。移動アーム556が一体的に取り付けられた移動支基554は、上下方向に移動可能に支柱552に取り付けられている。移動支基554の内部には移動支基554を常時上方向に付勢する付勢部材としてのバネ555が配置されている。移動支基554からは2つのアーム556が前方に延びるように取り付けられている。アーム556の前部には、基準軸L01の直交方向(左右方向)に延びる軸X02と同軸のシャフト558が取り付けられている。
【0029】
カップ装着部560を支持する支持アーム562は、カップ装着部560が前側(操作者側)に向く方向と、カップ装着部560が下側に向く方向と、にシャフト558(軸X02)を中心にして回転可能にアーム556に保持されている。カップ装着部560が有する穴には、レンズLEのレンズチャック軸102L、102RにレンズLEを保持させるための治具であるカップCUの基部が装着される。また、支持アーム562には、操作者が支持アーム562を回転するためのレバー564が固定されている。レバー564は、プレート形状を有する。
【0030】
シャフト558には付勢部材としてのコイルバネ559が配置されている。操作者が、レバー564を操作していないときに、コイルバネ559は、装着部560が下方向から第2方向(前方向)を向くように、支持アーム562を回転させる付勢力を与える。なお、バネ555の付勢力は、コイルバネ559の付勢力より大きく設定されている。
【0031】
レバー564が操作者の指によって操作され、
図3B及び
図3Cのように、カップ装着部560の中心が基準軸L01上に位置するように支持アーム562が回転されたときに、支持アーム562の回転を制限するための制限部570が移動アーム556に設けられている。
図3Cにおいて、支持アーム562に形成された切り欠き部分563Aが制限部570に当接することにより、カップ装着部560が下方向に向く状態で、支持アーム562の回転が制限される。
【0032】
なお、切り欠き部分563Aとは別に、支持アーム562に切り欠き部分563Bが形成されている。カップ装着部560がコイルバネ559によって前方向を向くように回転されたときに、この切り欠き部分563Bが制限部570に当接することにより、支持アーム562の回転が制限される。制限部570は、カップ装着部560が第2方向を向くように、支持アーム562の回転を制限する制限部として兼用される。
【0033】
また、レバー564は、装着部560が前方向(第2方向)を向いているときは、
図3Aのように、略上方向の延びており、装着部560が下方向(第1方向)に向けられたときには、レバー564は、略水平方向(基準軸L01に直交する面に対して±30度の範囲)に延びるように配置されている。このため、操作者は、装着部560を前方向から下方向に向けるときのレバー564の操作と、装着部560を支持ピン505に置かれたレンズLE側に下降させるときのレバー564の操作と、を連続的に関連性を持って行える。
【0034】
なお、装着部560が向く第2方向は、
図3Aの例では、操作者のほぼ正面に向く方向ある。しかし、装着部560が向く第2方向は、基準軸L01の下方向に対して45度〜180度回転した方向の範囲であっても良い。この範囲であれば、操作者は、装着部560の穴を見ながら、カップCUの基部を装着部560に装着できる。
【0035】
以上のようなカップ取付け機構によるカップの取り付け動作を説明する。操作者がレバーを操作していないときには、
図3Aのように、コイルバネ559によって装着部560が前方向(第2方向)を向いた状態とされる。操作者は、この状態でカップCUの基部を装着部560に装着する。このとき、操作者は、装着部560の穴を確認できるので、装着部560へのカップCUの基部の装着を行いやすい。
【0036】
操作者は、レバー564を操作し、上方向に向いているレバー564を前方向に回転させる。このとき、操作者がレバー564を回転させる方向にはコイルバネ559によって付勢力が働いている。操作者は、この付勢力に逆らうようにレバー564を回転させると、制限部570によって支持アーム562(装着部560)の回転が制限される。このとき、装着部560が下方向を向く状態となると共に、レバー564はほぼ水平方向となり、操作者がレバー564を操作するための力も下方向となる。なお、支持アーム562が取り付けられた移動アーム556には、バネ555によって上方向への付勢力が働いている。しかし、バネ555の付勢力は、コイルバネ559の付勢力よりも大きく設定されているため、支持アーム562の回転が制限部570によって制限されるまで、移動アーム556は下降されない。支持アーム562の回転が制限部570によって制限された後、操作者がレバー564を押し続けると、その押し付け力は下方向に向けられるため、移動アーム556と共に装着部560及びカップCUが下降される。これによって、カップCUがレンズLEの前面に固定される。
【0037】
レンズLEへのカップCUの固定が完了した後、操作者は指を上方向に上げながらレバー564から指を離すと、バネ555によって移動アーム556と共に支持アーム562が上昇され、コイルバネ559によって支持アーム562の回転も元の状態に戻される。これによって、着部560の位置及び向きが初期状態に復帰される。
【0038】
特開2008−246634号の装置においては、操作者は、カップが挿入された装着部を有するアームを上下方向の軸を中心に水平方向に回転させる第1操作と、アームを下降させる第2操作と、を行う必要性がある。しかし、第1操作の方向と第2操作の方向は異なり、操作方向に関連性が無く、連続性が無い。これに対して、本件明細書に記載されたブロッカーユニット500では、操作者は上方向に向いているレバー564を下降させるように前側に倒す操作を行った後、そのままレバー564を下方に押し続ける操作を行うことによって、カップをレンズに固定できる。
【0039】
図4はブロッカーユニット500に配置される光学系図である。ブロッカーユニット500は、レンズLEを照明する照明光学系520と、レンズLEを撮影する撮像光学系530と、を備える。照明光学系520は白色光を発するLED等の光源521と、照明光の向きを変えるミラー523と、透明プレート503の下側に配置された再帰性反射部材527と、を備える。再帰性反射部材527は、入射される光を元の入射方向に反射させる特性を持つ部材である。再帰性反射部材527によって、支持ピン505に載置されたレンズLEは下方から照明される。
【0040】
撮像光学系530は、照明光学系520のミラー523が共用され、ミラー523と光源521との間にハーフミラー531が配置されている。ハーフミラー531の反射方向には、絞り532と、レンズ533と、撮像素子(カメラ)534とが配置されている。絞り532は、ハーフミラー531を介して、光源521と略共役な位置に配置されている。撮像光学系530(レンズ533)の光軸は、基準軸L01と一致するように配置されている。また、撮像光学系530の焦点位置は、支持ピン505に載置されたレンズLEのほぼ表面に合うように設定されている。この撮影光学系530の撮像素子534によってレンズLEの前面側の像が撮像される。撮像素子534に撮像されたレンズLEの像は、ディスプレイユニット40に表示される。
【0041】
図5は、眼鏡レンズ加工装置に係る制御ブロック図である。制御部50には、メモリ51、レンズ加工機構部10、眼鏡枠形状測定ユニット30、ディスプレイユニット40、ブロッカーユニット500が接続されている。制御部50はディスプレイ40が持つタッチパネル機能による入力信号を受け、画面上の図形及び情報の表示を制御する。
【0042】
なお、ディスプレイユニット40、眼鏡枠形状測定ユニット30によるリムの形状の測定段階、ブロッカーユニット500によるカップの取り付け段階、レンズ加工機構部10にレンズLEを加工させる段階で共用される。そして、このディスプレイユニット40を中心にして、前述したような、窓12、眼鏡枠形状測定ユニット30及びブロッカーユニット500の配置により、操作者はディスプレイユニット40を中心にして、作業者の目線の動き及び作業の動線の距離が短くされている。このため、操作者は各段階の作業を効率よく行える。
【0043】
次に、本装置の動作を説明する。
図6〜
図12はディスプレイユニット40に切換え表示される画面例である。各図において、スイッチ404aは、次の作業手順の画面に切換えるための信号を入力するスイッチである。制御部50は、スイッチ404aによる画面切換えの入力信号に基づき、リムの形状測定、カップの取り付け及びレンズ加工の各作業工程に沿った所定の画面を順に切換えてディスプレイユニット40に表示させる。
【0044】
初めの作業工程として、操作者は、初めに眼鏡枠形状測定ユニット30を使用して眼鏡枠のリムの形状測定を行う。ディスプレイユニット40に表示されたメニュー画面(図示を略す)からトレースモードを選択すると、ディスプレイユニット40に、
図6に示されるように、眼鏡枠形状測定ユニット30の測定を開始させるための画面410が表示される。画面410上には、眼鏡フレームの右リムの測定を開始させるためのスイッチ411a、左リムの測定を開始させるためのスイッチ411b、右リム及び左リムの測定を連続的に開始させるためのスイッチ411cが表示される。
【0045】
なお、
図6において、スイッチ404aは次の工程の画面に切換える信号を入力するスイッチである。スイッチ404bは一つ前の画面に戻るための信号を入力するスイッチである。また、スイッチ402aは、レンズ加工機構部10が持つ一対のレンズチャック軸102L、102RにレンズLEを挟持させる指令を送るスイッチである。スイッチ402dは、レンズ加工を途中で停止させるための信号を入力するスイッチである。スイッチ402a及び402dは、レンズLEの加工が行われていない段階では、画面に表示されないようにしても良い。
【0046】
図6のスイッチ411cが選択され、眼鏡枠形状測定ユニット30によって右リム及び左リムの測定が行われると、メモリ51に測定結果(玉型データ)が記憶(入力)される。リムの形状測定後、スイッチ404aが押されると、ディスプレイ40の画面は
図7に示す画面415に切換えられる。画面415には、左リムの玉型及び右リムの玉型を玉型図形TSが表示される。また、左右のリムの測定によって、左右のリムの中心間距離FPDを示す値が表示される。この画面415が表示されることにより、操作者は眼鏡枠形状測定ユニット30によって左右の玉型が得られたことを知ることをでき、また、玉型の形状を確認できる。
【0047】
次に、スイッチ404aが押されると、ディスプレイ40の画面は、
図8に示すように、レンズLEの加工条件を入力するための画面420に切換えられる。この画面420の表示により、操作者はこの段階で加工条件の入力が必要であることを認識できる。画面420上では、眼鏡フレームの材質を表示部422sのスイッチで選択でき、レンズLEの材質を表示部422nのスイッチで選択でき、レンズLEの種類(単焦点レンズ、二重焦点レンズ、累進レンズ、等)を表示部422cのスイッチで選択できる。また、表示部424のスイッチによって、加工モード(ヤゲン加工、平加工等)、面取り加工の有無を選択できる。また、表示部424には、レンズLEのカップの取り付け中心を、レンズの光学中心及び玉型の中心の何れにするかを選択するスイッチが配置されている。
【0048】
図8の画面420上のスイッチ404aが押されると、次のステップとして、
図9に示すように、ディスプレイユニット40の画面は、玉型に対するレンズの位置関係をレイアウトするためのータを入力する画面425に切換えられる。例えば、玉型の幾何中心FCに対するレンズLEの光学中心OCをレイアウトするための入力画面425に切換えられる。この画面425の表示により、操作者はこの段階でレイアウトデータの入力が必要であることを認識できる。画面425の数値の表示欄をタッチすることにより、装用者の瞳孔間距離PD、幾何中心FCに対する光学中心OCの高さ、等のレイアウトデータを入力できる。入力されたレイアウトデータはメモリ51に記憶される。なお、レイアウトするための入力画面425は、
図8の加工条件の入力画面420を兼ねる画面であっても良い。
【0049】
図9の画面425上のスイッチ404aが押されると、次のステップとして、ディスプレイ40の画面は、
図10に示すように、ブロッカーユニット500によるカップ取り付け工程に移行したことを示す画面430に切換えられる。これにより、操作者はカップの取り付け作業が必要であることを認識できる。なお、画面430は、右眼用のレンズLEがスイッチ402bによって選択されている場合の表示例である。
【0050】
ブロッカーユニット500を使用したカップ取り付けの動作を簡単に説明する。操作者は、ブロッカーユニット500の支持ピン505上に未加工のレンズLEを載置する。レンズLEは照明光学系520により照明され、レンズLEの像は撮像素子534によって撮像される。画面430の表示部432には、撮像素子534によって撮像されたレンズ像LEMが表示される。レンズ像LEMには、予め付された印点マークの像434bも含まれている。表示部432には、眼鏡枠形状測定ユニット30によって得られた右眼用の玉型図形TSがレンズ像LEMと合成して表示されている。表示部432上の玉型図形TSの表示位置は、レイアウトデータ及びカップ取り付け中心の位置選択に基づいて決定され、制御部50によって玉型図形TSの表示が制御される。また、表示部432には、印点マーク像434bを位置合わせするためのガイドマーク435がレンズ像LEMに合成して表示されている。操作者は、ガイドマーク435と印点マーク像434bとが所定に位置関係になるようにレンズLEを移動することにより、基準軸L01とレンズLEのカップ取り付け中心と位置合わせできる。また、レンズ像LEMの外径と玉型図形TSとの位置関係を観察することにより、玉型(周縁加工形状)に対するレンズ径の不足の有無を確認できる。なお、表示部431には、レイアウトデータ、加工条件の設定データが表示される(詳細な図示は略されている)。
【0051】
レンズLEの位置合わせが完了した後、前述したように、操作者は、レバー564を下方に回転させた後、さらにレバー564を下降させる。これにより、カップCUがレンズ表面に取り付けられる。左用用のレンズLEにも同様な手順でカップCUが取り付けられる。
【0052】
画面430上のスイッチ404aが押されると、
図11に示すように、レンズ加工機構部10によるレンズの加工を実行可能な段階に移行したことを示す画面435が表示される。例えば、画面435上には、レンズ加工機構部10にレンズLEの加工を開始させるための信号を入力するスイッチ402cが表示される。また、加工されるレンズLEの左右がいずれかを選択する信号を入力するスイッチ402bが表示される。これにより、操作者は、次の段階として、レンズLEの加工を実行する段階に進んだことを認識できる。なお、画面435の中央には、
図9と同じく、レイアウトデータを確認するための表示がなされている。
【0053】
操作者は、レンズ加工機構部10の上に配置された窓12を開き、レンズLEをレンズチャック軸102L、102Rに保持させる。スイッチ402aの信号が入力されると、制御部50の制御によってモータ110が駆動され、レンズチャック軸102Rが移動される。その後、スイッチ402cが押されると、制御部50は、レンズ形状測定ユニット200によるレンズ形状測定を実行する。
【0054】
レンズ形状測定が完了後、
図11の画面435のスイッチ404aが押されると、
図12の画面440に切換えられる。画面440は、ヤゲン加工時のシミュレーション画面の例である。画面440上には、玉型図形TSと、カーソル444によって指定されたコバ位置でのヤゲン断面の図形442が表示される。カーソル444の位置は、スイッチ445a及び445bによって変更できる。ヤゲン加工に際してのレンズコバにヤゲン位置は、表示欄446の条件データの値を変更することにより調整できる。このような画面440が表示されることにより、操作者はヤゲン加工の適否を確認し、ヤゲン加工の条件を変更できる。そして、再びスイッチ402cが押されると、X方向移動ユニット100b、Y方向移動ユニット100cの駆動が制御され、レンズ加工具168によってレンズLEの周縁加工が実行される。
【0055】
以上のように、画面切換えの入力信号に基づき、リムの形状測定、カップの取り付け及びレンズ加工の各作業工程に沿った所定の手順の画面が順に切り換わって表示されるため、加工に不慣れな操作者であっても、スムーズな作業を行うことができる。また、各画面の切換え表示に従うことにより、加工に必要なデータの入力を的確に行える。これにより、操作者は、リムの形状測定、カップ取り付け及びレンズ加工の一連の作業を効率よく行える。