特許第6338050号(P6338050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6338050排水操作装置、及び、この排水操作装置を備えたトイレ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338050
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】排水操作装置、及び、この排水操作装置を備えたトイレ装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20180528BHJP
   E03D 1/34 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   E03D5/10
   E03D1/34
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-56330(P2014-56330)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-178728(P2015-178728A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】篠原 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】谷本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】窪園 幸徳
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3040695(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0072369(US,A1)
【文献】 米国特許第05003643(US,A)
【文献】 米国特許第08201283(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00− 7/00
E03D 11/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水タンクから便器への洗浄水の排水を操作する排水操作装置であって、
便器を洗浄する洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口を開閉する排水弁と、
上記洗浄水タンクに設けられて上記排水弁の動作を手動により操作可能な手動操作ユニットと、
上記排水弁の動作を電動により操作可能な電動操作ユニットであって、外部からの電力により回転駆動する回転駆動軸を備えた電動駆動部と、この電動駆動部の回転駆動軸に連結されて上記電動駆動部の回転駆動力を伝達する電動駆動力伝達手段と、一端が上記電動駆動力伝達手段に連結されて他端が上記排水弁に連結される電動操作用連結部材と、を備えた上記電動操作ユニットと、
使用者が便器洗浄操作を指示する指示手段又は使用者を検知する人体検知手段から送信される便器洗浄開始信号を受信して上記電動駆動部を作動させる制御部と、を有し、
上記電動操作ユニットは、上記手動操作ユニットとは別体に設けられていると共に、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて洗浄水タンク又は便器に対して取り外し可能に設けられており、
上記手動操作ユニットは、手動用回転軸と、この手動用回転軸を手動により回転操作する手動用操作部と、この手動用回転軸の回転力を伝達する手動回転力伝達手段と、一端が上記手動回転力伝達手段に連結されて他端が上記排水弁に連結される手動操作用連結部材と、を備え、
上記排水弁は、上記電動操作用連結部材の他端が連結解除可能に連結される電動操作用連結部と、上記手動操作用連結部材の他端が連結解除可能に連結される手動操作用連結部と、を備え、上記電動操作ユニットを操作している場合には、上記電動操作用連結部材の他端と上記排水弁の電動操作用連結部とが連結すると共に、上記手動操作用連結部材の他端と上記排水弁の手動操作用連結部との連結が解除された状態となり、上記手動操作ユニットを操作している場合には、上記手動操作用連結部材の他端と上記排水弁の手動操作用連結部とが連結すると共に、上記電動操作用連結部材の他端と上記排水弁の電動操作用連結部との連結が解除された状態となるように構成されていることを特徴とする排水操作装置。
【請求項2】
上記排水弁の上記電動操作用連結部と上記手動操作用連結部との間には、上記電動操作用連結部材と上記手動操作用連結部材との干渉を防止する干渉防止手段が設けられている請求項記載の排水操作装置。
【請求項3】
上記排水弁は、上記洗浄水タンクの底部に形成された上記排水口を上下動することにより開閉する弁体部を備え、この弁体部から上方に延びた上端部には、上記電動操作用連結部及び上記手動操作用連結部のそれぞれが互いに並列に設けられ、上記干渉防止手段は、上記電動操作用連結部と上記手動操作用連結部とを仕切るように形成された仕切壁である請求項記載の排水操作装置。
【請求項4】
上記排水弁の電動操作用連結部には、上記電動操作用連結部材が取り外し可能に挿入されて取り付けられる第1の溝穴が上記干渉防止手段として形成され、上記排水弁の手動操作用連結部には、上記手動操作用連結部材が挿入可能に取り付けられる第2の溝穴が上記干渉防止手段として形成され、上記電動操作用連結部材の他端は、上記第1の溝穴の大きさよりも大きく形成されて上記電動操作ユニットを操作した場合に上記第1の溝穴で係止可能な第1の突起部を備え、上記手動操作用連結部材の他端は、上記第2の溝穴の大きさよりも大きく形成されて上記手動操作ユニットを操作した場合に上記第2の溝穴で係止可能な第2の突起部を備えている請求項記載の排水操作装置。
【請求項5】
上記電動操作ユニットの電動駆動力伝達手段は、上記電動駆動部の回転駆動軸に設けられた電動駆動歯車と、この電動駆動歯車に噛み合い係合する電動被動歯車と、を備え、上記電動駆動歯車及び上記電動被動歯車は、上記電動駆動部の回転駆動軸のトルクが上記手動回転軸のトルクよりも小さくなるように設計されている請求項乃至の何れか1項に記載の排水操作装置。
【請求項6】
上記電動操作ユニットの電動駆動力伝達手段は、更に、上記電動被動歯車が設けられた回転部材を備え、上記電動被動歯車は、上記電動駆動歯車よりもトルクが大きくなるように設計され、上記回転部材は、上記電動操作用連結部材の一端が連結され、上記電動被動歯車と共に回転することにより上記電動操作用連結部材を上記回転部材の回転方向に移動させるように構成されている請求項記載の排水操作装置。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか1項に記載の排水操作装置と、
ボウル部を備えた便器本体と、
この便器本体のボウル部を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクであって、その内部に上記排水操作装置の排水弁が設けられた上記洗浄水タンクと、
を有することを特徴とするトイレ装置。
【請求項8】
上記電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段は、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記便器本体に取り外し可能に取り付けられ、上記洗浄水タンクにおける洗浄水の止水水位よりも上方には、上記電動操作ユニットの電動操作用連結部材が上記洗浄水タンクの内部と外部との間で挿通可能な穴又は溝が形成されている請求項記載のトイレ装置。
【請求項9】
上記電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段は、上記便器本体の後方側外面に形成される収納部に取り付けられ、上記収納部には、上記電動駆動部及び上記電動駆動力伝達手段を外側から覆うようにカバー部材が取り付けられている請求項記載のトイレ装置。
【請求項10】
上記排水操作装置の電動操作ユニットは、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記洗浄水タンクに取り外し可能に取り付けられている請求項記載のトイレ装置。
【請求項11】
上記排水操作装置の電動操作ユニットは、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記洗浄水タンクの内部に取り外し可能に取り付けられている請求項10記載のトイレ装置。
【請求項12】
上記電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段は、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記洗浄水タンクの外側に取り外し可能に取り付けられ、上記洗浄水タンクにおける洗浄水の止水水位よりも上方には、上記電動操作ユニットの電動操作用連結部材が上記洗浄水タンクの内部と外部との間で挿通可能な穴又は溝が形成されている請求項10記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水操作装置、及び、この排水操作装置を備えたトイレ装置に係り、特に、洗浄水タンクから便器への洗浄水の排水を操作する排水操作装置、及び、この排水操作装置を備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器洗浄水が貯水されている洗浄水タンクから便器への洗浄水の排水を操作する排水操作装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、使用者が手動のみで回転操作する操作レバーと、この操作レバーに連結されて使用者が回転操作することに回転する駆動軸を備えた駆動装置と、洗浄水タンクの排水口を開閉する排水弁と駆動装置とを連結して駆動装置の駆動軸の回転により排水弁を引き上げるワイヤ部材とを備えているものが知られている。
このような特許文献1に記載されている従来の排水操作装置においては、使用者が洗浄水タンクから便器への洗浄水の排水操作を開始する際には、まず、使用者が操作レバーを掴んで回転操作し、駆動装置の駆動軸が操作レバーと共に回転して手動で駆動されると、ワイヤ部材が移動し、排水弁がワイヤ部材に引き上げられて、洗浄水タンクの排水口が開放されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国登録実用新案第2641156号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、排水操作装置の使い勝手の良さを追求するためには、使用者が直接的に手動で操作することだけにこだわらず、排水操作装置の操作自体を電動化する等、排水操作の自動化を実現し、いかに使い勝手を向上させるかが要請された課題となっている。
また、近年では、洗浄水タンクや便器の仕様の多様化に伴って、製造コストを抑制するために、洗浄水タンクや便器の構成部品のできるだけ共通化させることも行われているが、例えば、洗浄水タンクや便器の施工状況や使用状況等、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて、いかに簡易に洗浄水タンクや便器の仕様を変更できるように設計するかが要請された課題となっている。
さらに、近年では、洗浄水タンクや便器の仕様の多様化に伴って、既設の洗浄水タンクや便器に対して、使用者のニーズに応じていかに簡易な手段で仕様を変更し、排水操作装置の操作方式についても、手動操作と自動操作を適宜選択できるように使い勝手を向上させるかについても要請された課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術において要請されている課題を解決するためになされたものであり、洗浄水タンクから便器への洗浄水の排水を操作する排水操作方式について、洗浄水タンクや便器の使用状況に応じて手動又は電動の方式に適宜選択して容易に変更することができ、使い勝手を向上させることができる排水操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、洗浄水タンクから便器への洗浄水の排水を操作する排水操作装置であって、便器を洗浄する洗浄水を貯水する洗浄水タンクの排水口を開閉する排水弁と、上記洗浄水タンクに設けられて上記排水弁の動作を手動により操作可能な手動操作ユニットと、上記排水弁の動作を電動により操作可能な電動操作ユニットであって、外部からの電力により回転駆動する回転駆動軸を備えた電動駆動部と、この電動駆動部の回転駆動軸に連結されて上記電動駆動部の回転駆動力を伝達する電動駆動力伝達手段と、一端が上記電動駆動力伝達手段に連結されて他端が上記排水弁に連結される電動操作用連結部材と、を備えた上記電動操作ユニットと、使用者が便器洗浄操作を指示する指示手段又は使用者を検知する人体検知手段から送信される便器洗浄開始信号を受信して上記電動駆動部を作動させる制御部と、を有し、上記電動操作ユニットは、上記手動操作ユニットとは別体に設けられていると共に、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて洗浄水タンク又は便器に対して取り外し可能に設けられており、上記手動操作ユニットは、手動用回転軸と、この手動用回転軸を手動により回転操作する手動用操作部と、この手動用回転軸の回転力を伝達する手動回転力伝達手段と、一端が上記手動回転力伝達手段に連結されて他端が上記排水弁に連結される手動操作用連結部材と、を備え、
上記排水弁は、上記電動操作用連結部材の他端が連結解除可能に連結される電動操作用連結部と、上記手動操作用連結部材の他端が連結解除可能に連結される手動操作用連結部と、を備え、上記電動操作ユニットを操作している場合には、上記電動操作用連結部材の他端と上記排水弁の電動操作用連結部とが連結すると共に、上記手動操作用連結部材の他端と上記排水弁の手動操作用連結部との連結が解除された状態となり、上記手動操作ユニットを操作している場合には、上記手動操作用連結部材の他端と上記排水弁の手動操作用連結部とが連結すると共に、上記電動操作用連結部材の他端と上記排水弁の電動操作用連結部との連結が解除された状態となるように構成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、洗浄水タンクの排水口を開閉する排水弁の動作を電動により操作可能な電動操作ユニットが、手動操作ユニットとは別体に設けられていると共に、洗浄水タンク又は便器の使用状況(例えば、洗浄水タンクや便器の仕様或いは施工状況等)に応じて洗浄水タンク又は便器に対して取り外し可能に設けられているため、電動操作ユニットを取り付けた状態で便器洗浄操作を行う際には、使用者が手動操作ユニットの手動操作により排水弁の動作を操作することができることに加えて、電動操作ユニットの電動操作により排水弁の動作を操作することもでき、排水弁を操作する操作方式を必要に応じて適宜選択することができる。また、使用者が電動操作ユニットの電動操作により排水弁の動作を操作した場合には、使用者が便器洗浄操作を指示する指示手段又は使用者を検知する人体検知手段から送信される便器洗浄開始信号を制御部が受信し、電動操作ユニットの電動駆動部を自動的に作動させることができる。よって、電動駆動部の回転駆動力が電動駆動力伝達手段から電動操作用連結部材を経て排水弁に作動力として伝達され、排水弁の動作を自動化することができる。したがって、手動操作ユニットのみで便器洗浄操作を行う場合に比べて、排水弁を効率よく作動させることができ、使い勝手を向上させることができる。一方、電動操作ユニットが不要である場合には、電動操作ユニットのみを取り外すことにより、洗浄水タンク又は便器の構造を簡単にすることができると共に、手動操作ユニット単体で便器洗浄操作が可能な仕様に容易に変更することもできるため、使い勝手を向上させることができる。さらに、電動操作ユニットを備えておらず、手動操作ユニットのみを備えた既存の洗浄水タンクや便器に対しても、電動操作ユニットを後付けで容易に取り付けることにより、洗浄水タンクや便器の仕様と排水操作方式を容易に変更することがきるため、使い勝手を向上させることができる。
また、電動操作ユニットを操作している場合には、電動操作用連結部材の他端と排水弁の電動操作用連結部とが連結すると共に、手動操作用連結部材の他端と排水弁の手動操作用連結部との連結が解除された状態となり、手動操作ユニットを操作している場合には、手動操作用連結部材の他端と排水弁の手動操作用連結部とが連結すると共に、電動操作用連結部材の他端と排水弁の電動操作用連結部との連結が解除された状態となるため、電動操作ユニットによる電動操作時又は手動操作ユニットによる手動操作時に、電動操作用連結部材の他端及び手動操作用連結部材の他端のそれぞれが、排水弁の電動操作用連結部及び手動操作用連結部のそれぞれに同時に連結するような状態を防ぐことができる。
さらに、電動操作ユニット又は手動操作ユニットによって排水弁を電動又は手動で操作する際に、電動操作用連結部材と手動操作用連結部材同士が互いに干渉することも防ぐことができると共に、電動操作用連結部材及び手動操作用連結部材の双方から排水弁に対して同時に過大な操作力が伝達されることを防ぐこともできる。したがって、電動操作用連結部材又は手動操作用連結部材のいずれか一方によって単独で排水弁を操作することができため、使い勝手を向上させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記排水弁の上記電動操作用連結部と上記手動操作用連結部との間には、上記電動操作用連結部材と上記手動操作用連結部材との干渉を防止する干渉防止手段が設けられている。
このように構成された本発明においては、排水弁の電動操作用連結部と手動操作用連結部との間に、電動操作用連結部材と手動操作用連結部材との互いの干渉を防止する干渉防止手段が設けられているため、電動操作ユニットによる電動操作又は手動操作ユニットによる手動操作に関わらず、排水弁を操作する際に、電動操作用連結部材と手動操作用連結部材とが互いに干渉することを確実に防ぐことができ、排水弁の操作性を向上させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記排水弁は、上記洗浄水タンクの底部に形成された上記排水口を上下動することにより開閉する弁体部を備え、この弁体部から上方に延びた上端部には、上記電動操作用連結部及び上記手動操作用連結部のそれぞれが互いに並列に設けられ、上記干渉防止手段は、上記電動操作用連結部と上記手動操作用連結部とを仕切るように形成された仕切壁である。
このように構成された本発明においては、排水弁が、洗浄水タンクの底部に形成された排水口を上下動することにより開閉する弁体部を備え、この弁体部から上方に延びた上端部には、電動操作用連結部及び手動操作用連結部のそれぞれが互いに並列に設けられて、電動操作用連結部材と手動操作用連結部材との干渉を防止する干渉防止手段として、電動操作用連結部と手動操作用連結部とを仕切るように仕切壁が形成されているため、電動操作ユニット又は手動操作ユニットによって排水弁を電動又は手動で操作する際に、電動操作用連結部材と手動操作用連結部材について、互いに干渉することを簡易な構造でより効果的に防ぐことができると共に、排水弁の電動操作用連結部と手動操作用連結部のそれぞれに効率よく連結させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記排水弁の電動操作用連結部には、上記電動操作用連結部材が取り外し可能に挿入されて取り付けられる第1の溝穴が上記干渉防止手段として形成され、上記排水弁の手動操作用連結部には、上記手動操作用連結部材が挿入可能に取り付けられる第2の溝穴が上記干渉防止手段として形成され、上記電動操作用連結部材の他端は、上記第1の溝穴の大きさよりも大きく形成されて上記電動操作ユニットを操作した場合に上記第1の溝穴で係止可能な第1の突起部を備え、上記手動操作用連結部材の他端は、上記第2の溝穴の大きさよりも大きく形成されて上記手動操作ユニットを操作した場合に上記第2の溝穴で係止可能な第2の突起部を備えている。
このように構成された本発明においては、電動操作ユニットを操作した場合には、電動操作用連結部材の他端の第1の突起部と排水弁の電動操作用連結部の第1の溝穴とが係止して連結すると共に、手動操作用連結部材の他端の第2の突起部と排水弁の手動操作用連結部の第2の溝穴との連結が解除された状態となる。一方、手動操作ユニットを操作した場合には、手動操作用連結部材の他端の第2の突起部と排水弁の手動操作用連結部の第2の溝穴とが係止して連結すると共に、電動操作用連結部材の他端の第1の突起部と排水弁の電動操作用連結部の第1の溝穴との連結が解除された状態となる。したがって、電動操作ユニットによる電動操作時又は手動操作ユニットによる手動操作時に、電動操作用連結部材の他端の第1の突起部及び手動操作用連結部材の他端の第2の突起部のそれぞれが、排水弁の電動操作用連結部の第1の溝穴及び手動操作用連結部の第2の溝穴のそれぞれに同時に係止して連結するような状態を防ぐことができる。また、電動操作ユニット又は手動操作ユニットによって排水弁を電動又は手動で操作する際に、電動操作用連結部材と手動操作用連結部材のそれぞれが、干渉防止手段である排水弁の電動操作用連結部の第1の溝穴及び手動操作用連結部の第2の溝穴のそれぞれに独立に挿入されているため、電動操作用連結部材と手動操作用連結部材同士の互いの干渉を効果的に防ぐことができる。さらに、電動操作用連結部材の他端の第1の突起部及び手動操作用連結部材の他端の第2の突起部のそれぞれから排水弁に対して同時に過大な操作力が伝達されることを防ぐこともできる。よって、電動操作用連結部材又は手動操作用連結部材のいずれか一方によって単独で排水弁を操作することができるため、使い勝手を向上させることができる。また、電動操作ユニットが不要である場合において、電動操作ユニットのみを取り外す際に、電動操作用連結部材を排水弁の電動操作用連結部の第1の溝穴から容易に取り外すことができるため、手動操作ユニット単体で便器洗浄操作が可能な仕様に容易に変更することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記電動操作ユニットの電動駆動力伝達手段は、上記電動駆動部の回転駆動軸に設けられた電動駆動歯車と、この電動駆動歯車に噛み合い係合する電動被動歯車と、を備え、上記電動駆動歯車及び上記電動被動歯車は、上記電動駆動部の回転駆動軸のトルクが上記手動回転軸のトルクよりも小さくなるように設計されている。
このように構成された本発明においては、電動操作ユニットの電動駆動力伝達手段の電動駆動歯車及び電動被動歯車について、電動駆動部の回転駆動軸のトルクが手動操作ユニットの手動回転軸のトルクよりも小さくなるように設計されているため、電動駆動部の回転駆動軸の駆動力を小さく設定することができると共に、電動操作ユニット全体を小型化することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記電動操作ユニットの電動駆動力伝達手段は、更に、上記電動被動歯車が設けられた回転部材を備え、上記電動被動歯車は、上記電動駆動歯車よりもトルクが大きくなるように設計され、上記回転部材は、上記電動操作用連結部材の一端が連結され、上記電動被動歯車と共に回転することにより上記電動操作用連結部材を上記回転部材の回転方向に移動させるように構成されている。
このように構成された本発明においては、電動操作ユニットの電動駆動力伝達手段の回転部材に設けられた電動被動歯車が電動駆動歯車よりもトルクが大きくなるように設計され、この回転部材が電動被動歯車と共に回転することにより電動操作用連結部材を回転部材の回転方向に沿って移動させることができるため、電動駆動部の回転駆動軸の駆動力を小さく設定しても、電動被動歯車及び回転部材が電動駆動歯車よりも大きなトルクで回転することができる。したがって、回転部材の回転に伴って電動操作用連結部材を効率よく移動させることができると共に、電動操作ユニット全体を小型化することができる。
【0013】
つぎに、本発明は、上記排水操作装置と、ボウル部を備えた便器本体と、この便器本体のボウル部を洗浄するための洗浄水を貯水する洗浄水タンクであって、その内部に上記排水操作装置の排水弁が設けられた上記洗浄水タンクと、を有することを特徴とするトイレ装置である。
このように構成された本発明においては、排水操作装置の電動操作ユニットを取り付けた状態で便器洗浄操作を行う際には、使用者が手動操作ユニットで手動により排水弁の動作を操作することができることに加えて、電動操作ユニットで電動により排水弁の動作を操作することもでき、排水弁を操作する操作方式を必要に応じて適宜選択することができるトイレ装置を提供することができる。また、使用者が電動操作ユニットで電動により排水弁の動作を操作した場合には、手動操作ユニットのみで便器洗浄操作を行う場合に比べて、排水弁を効率よく作動させることができ、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。一方、洗浄水タンク又は便器の使用状況(例えば、洗浄水タンクや便器の仕様或いは施工状況等)に応じて、電動操作ユニットが不要である場合には、電動操作ユニットのみを取り外すことにより、洗浄水タンク又は便器本体の構造を簡単にすることができると共に、排水操作装置の手動操作ユニット単体で便器洗浄操作が可能な仕様に容易に変更することもできるため、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。さらに、電動操作ユニットを備えておらず、手動操作ユニットのみを備えた既存の洗浄水タンクに対しても、電動操作ユニットを後付けで容易に取り付けることにより、洗浄水タンクや便器の仕様と排水操作方式を容易に変更することがきるため、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段は、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記便器本体に取り外し可能に取り付けられ、上記洗浄水タンクにおける洗浄水の止水水位よりも上方には、上記電動操作ユニットの電動操作用連結部材が上記洗浄水タンクの内部と外部との間で挿通可能な穴又は溝が形成されている。
このように構成された本発明においては、排水操作装置の電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段が洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて便器本体に取り外し可能に取り付けられ、洗浄水タンクにおける洗浄水の止水水位よりも上方には、電動操作ユニットの電動操作用連結部材が洗浄水タンクの内部と外部との間で挿通可能な穴又は溝が形成されているため、排水操作装置の電動操作ユニットをトイレ装置に対して容易に着脱することができる。したがって、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて、洗浄水タンクや便器の仕様と排水操作方式を容易に変更することができ、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。また、排水操作装置の電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段を便器本体に取り付けた状態では、電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段が洗浄水タンクの外部に配置されることになるため、洗浄水タンク内の洗浄水がかかることがなく、故障を防止することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段は、上記便器本体の後方側外面に形成される収納部に取り付けられ、上記収納部には、上記電動駆動部及び上記電動駆動力伝達手段を外側から覆うようにカバー部材が取り付けられている。
このように構成された本発明においては、電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段を便器本体の後方側外面に形成される収納部に取り付け、これらの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段を外側から覆うようにカバー部材を取り付けることにより、排水操作装置の電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段に埃が付着することがなく、故障を防止することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、上記排水操作装置の電動操作ユニットは、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記洗浄水タンクに取り外し可能に取り付けられている。
このように構成された本発明においては、排水操作装置の電動操作ユニットが、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて洗浄水タンクに取り外し可能に取り付けられているため、洗浄水タンクや便器の仕様と排水操作方式を容易に変更することがき、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、上記排水操作装置の電動操作ユニットは、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記洗浄水タンクの内部に取り外し可能に取り付けられている。
このように構成された本発明においては、排水操作装置の電動操作ユニットが洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて洗浄水タンクの内部に取り外し可能に取り付けられているため、洗浄水タンク外側の周辺スペースを簡素化することができ、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、上記電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段は、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて上記洗浄水タンクの外側に取り外し可能に取り付けられ、上記洗浄水タンクにおける洗浄水の止水水位よりも上方には、上記電動操作ユニットの電動操作用連結部材が上記洗浄水タンクの内部と外部との間で挿通可能な穴又は溝が形成されている。
このように構成された本発明においては、排水操作装置の電動操作ユニットが、洗浄水タンク又は便器の使用状況に応じて洗浄水タンクの外側に取り外し可能に取り付けられているため、洗浄水タンクや便器の仕様と排水操作方式を容易に変更することがき、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。また、排水操作装置の電動操作ユニットの電動駆動部及び電動駆動力伝達手段を洗浄水タンクの外側に取り付けた状態では、電動駆動部及び電動駆動力伝達手段に洗浄水タンク内の洗浄水がかかることがなく、故障を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の排水操作装置によれば、洗浄水タンクから便器への洗浄水の排水を操作する排水操作方式について、洗浄水タンクや便器の使用状況に応じて手動又は電動の方式に適宜選択して容易に変更することができ、使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態による排水操作装置が適用されるトイレ装置を示す概略斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による排水操作装置が適用されるトイレ装置の洗浄水タンク装置において、蓋体を取り外した状態の内部構造について前方斜め上方から見た斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による排水操作装置の手動操作ユニットにおける図2のIII−III線に沿って見た概略断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による排水操作装置の電動操作ユニットにおける図2のIV−IV線に沿って見た概略断面図である。
図5図2に示されている排水装置の部分について、V−V線に沿って見た概略断面図であり、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁が閉弁した状態を示す。
図6】本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁、電動操作ユニットの電動操作用ワイヤ部材及び手動操作用ワイヤ部材の正面図であり、排水弁を電動操作ユニットによる電動操作で開弁させた状態を示す。
図7】本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁、電動操作ユニットの電動操作用ワイヤ部材及び手動操作用ワイヤ部材の背面図であり、排水弁を電動操作ユニットによる電動操作で開弁させた状態を示す。
図8】本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁、電動操作ユニットの電動操作用ワイヤ部材及び手動操作用ワイヤ部材の側面図(図6の右側側面図)であり、排水弁を電動操作ユニットによる電動操作で開弁させた状態を示す。
図9図8における電動操作用ワイヤ部材の端部及び手動操作用ワイヤ部材の端部のそれぞれが連結解除可能に連結されている排水弁の電動操作用連結部及び手動操作用連結部の部分を拡大した部分拡大図である。
図10図9のX−X線に沿って見た断面図である。
図11】本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁を手動操作ユニットによる手動操作で開弁させた状態における排水弁の電動操作用連結部の部分拡大図である。
図12】本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁を手動操作ユニットによる手動操作で開弁させた状態における排水弁の手動操作用連結部の部分拡大図である。
図13】本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁を手動操作ユニットによる手動操作で開弁させた状態における図9と同様な排水弁の電動操作用連結部及び手動操作用連結部の部分拡大図である。
図14図13のXIV−XIV線に沿って見た断面図である。
図15】本発明の第2実施形態による排水操作装置が適用される洗浄水タンク装置の内部構造を前方斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による排水操作装置について説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の第1実施形態による排水操作装置が適用されるトイレ装置の構造について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による排水操作装置が適用されるトイレ装置を示す概略斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による排水操作装置1が適用されるトイレ装置2は、陶器又は樹脂で形成された便器本体4を備え、この便器本体4の内部には、汚物を受けるボウル形状のボウル部6が形成されている。このボウル部6の底部には、排水トラップ管路(図示せず)が接続されている。この排水トラップ管路(図示せず)の下流側端部は、排水ソケット(図示せず)を介して便器本体4の下方の床下側の排出管(図示せず)又は便器本体4の後方の壁裏側の排出管(図示せず)に接続されており、便器本体4のボウル部6内で洗浄された汚物は、洗浄水と共に排水トラップ管路(図示せず)から排水ソケット(図示せず)を介して下流側の外部の排出管(図示せず)に排出されるようになっている。
【0023】
また、便器本体4の上面には、便座8が配置され、この便座8の後方には、用便後の使用者の局部を温水で洗浄する局部洗浄装置10や詳細は後述する電動操作ユニット等の関連電気機器の作動を制御する制御装置12が設けられている。この制御装置12は、トイレ装置2の周囲の外部電源に接続されている。
制御装置12の後方の便器本体4の上面には、便器本体4の洗浄を行う際に使用される洗浄水を貯水して便器本体4に供給する洗浄水タンク装置14が設けられている。この洗浄水タンク装置14は、洗浄水が貯水される貯水タンク16と、この貯水タンク16の上方を覆うように取り付けられた蓋体18とを備えている。
【0024】
なお、本実施形態の排水操作装置1が適用されるトイレ装置2の便器本体4については、洗浄水タンク装置14から便器本体4に供給された洗浄水が便器本体4のボウル部6の高さ方向の落差により汚物を排出する、いわゆる、洗い落とし式便器に適用してもよいし、サイホン作用を利用してボウル部6内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路(図示せず)から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式便器等、種々の形態の水洗大便器に適用可能である。
【0025】
つぎに、図2は、本発明の第1実施形態による排水操作装置が適用されるトイレ装置の洗浄水タンク装置において、蓋体を取り外した状態の内部構造について前方斜め上方から見た斜視図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の排水操作装置1は、洗浄水タンク装置14の貯水タンク16の底部16aを上下方向に貫く排水口20を上下動することにより開閉する排水弁22と、貯水タンク16の側部に設けられて排水弁22の上下動作を手動により操作可能な手動操作ユニット24と、排水弁22の上下動作を電動により操作可能な電動操作ユニット26とを備えている。この電動操作ユニット26は、手動操作ユニット24とは別体に設けられていると共に、洗浄水タンク装置14や便器本体4に関する洗浄方式等の仕様や、施工場所の給水圧等の設置環境や、トイレ装置2の設置スペース内のレイアウト等の設置環境を含む施工状況等、洗浄水タンク装置14や便器本体4の使用状況に応じて便器本体4に対して適宜着脱可能に設けられている。
【0026】
また、図1に示すように、トイレ装置2の便器本体4の側方の壁面には、使用者が便器本体4の洗浄操作を指示したり、局部洗浄装置10による局部洗浄操作を指示するための複数の操作ボタン28aを含む指示装置28が取り付けられている。
さらに、制御装置12には、便座8に座っている使用者の存在や便器本体4の前方に立っている使用者の存在を検知することができる人体検知手段である人感センサ30が設けられている。使用者が指示装置28の所定の操作ボタン28aを押すことにより便器洗浄操作を指示する信号が制御装置12に送信されるか、及び/又は、人感センサ30が使用者を検知した信号が制御装置12に送信されると、これらの信号を制御装置12が受信し、電動操作ユニット26を作動させるようになっている。
なお、本実施形態では、人感センサ30及び指示装置28の双方を備えた形態について説明するが、いずれか一方を省略して他方のみから送信される信号に基づいて制御装置12が電動操作ユニット26を作動させるようにしてもよい。
【0027】
つぎに、図2に示すように、洗浄水タンク装置14の貯水タンク16内には、この貯水タンク16内に洗浄水を供給する給水装置32と、貯水タンク16に貯えられた洗浄水について排水口20を開放して便器本体4の導水路(図示せず)に流出させる排水装置34が設けられている。また、排水装置34の外側を形成する筒状のケーシング36の内部には、上述した排水操作装置1の排水弁22が上下動可能に設けられている。
【0028】
給水装置32は、外部の給水源(図示せず)に接続されて貯水タンク16の底部から上方に延びる給水管38と、この給水管38の上端部に取り付けられ、給水管38から給水される洗浄水の貯水タンク16内への吐水と止水を切り替える給水バルブ(図示せず)と、貯水タンク16内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ(図示せず)による吐水と止水を切り替えるフロート40とを備えている。給水管38の外周側下端部には、吐水口(図示せず)が開口し、給水バルブ(図示せず)を通過した洗浄水は、吐水口(図示せず)から貯水タンク16内に吐水されるようになっている。
【0029】
給水装置32においては、排水装置34により、貯水タンク16内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下してフロート40が下降し、それにより給水バルブ(図示せず)が開弁し、吐水口(図示せず)からの吐水が開始し、洗浄水タンク装置14の外部の給水源(図示せず)から貯水タンク16内への吐水が開始されるようになっている。
さらに、吐水が継続されて貯水タンク16内の水位が上昇すると、フロート40が上昇し、それにより給水バルブ(図示せず)が閉弁し、吐水口(図示せず)からの吐水が止水されるようになっている。これにより、貯水タンク16内の洗浄水の水位が満水時の所定水位に維持されるようになっている。
【0030】
つぎに、図1図3を参照して、本発明の第1実施形態による排水操作装置1の手動操作ユニット24について具体的に説明する。
図3は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の手動操作ユニットにおける図2のIII−III線に沿って見た概略断面図である。
図1図3に示すように、排水操作装置1の手動操作ユニット24は、回転中心軸線C1を中心に回転可能な手動用回転軸42と、この手動用回転軸42に連結されて手動用回転軸42を手動により回転操作する際に使用者が把持する手動用操作レバー44とを備えている。
【0031】
また、手動操作ユニット24は、手動用回転軸42の回転力を伝達する手動回転力伝達手段として、手動用回転軸42に対して同一回転中心軸線C1上に固定して取り付けられた手動駆動歯車46と、この手動駆動歯車46に噛み合い係合して回転中心軸線C2を中心に回転可能な手動被動歯車48と、この手動被動歯車48に一体的に且つ平面視で概ね扇形形状に形成されて手動被動歯車48と共に回転中心軸線C2を中心に回転可能な回転部材であるプーリ50とを備えている。
【0032】
さらに、手動操作ユニット24は、手動操作用連結部材52を備えている。この手動操作用連結部材52の一端部52aは、プーリ50の外周の一部に設けられた連結部50aに固定して連結され、手動操作用連結部材52の他端部52bは、詳細は後述する排水弁22の上端部に設けられた手動操作用連結部54に連結解除可能に連結されている。
また、手動操作用連結部材52は、より具体的には、比較的弾性に富んだ可撓性を有する金属製の手動操作用ワイヤ部材52cと、この手動操作用ワイヤ部材52cの周囲を覆う可撓性及び耐久性を有する外側ホース部材52dとを備えている。
外側ホース部材52dの一端部は、手動駆動歯車46、手動被動歯車48及びプーリ50を内装するケーシング53の一部に固定して取り付けられ、外側ホース部材52dの他端部は、排水装置34のケーシング36の上端部36aに固定して取り付けられており、手動操作用ワイヤ部材52cの一端部52aを引き上げることにより、手動操作用ワイヤ部材52cが外側ホース部材52dに対して長手方向に摺動可能となっている。
なお、本実施形態では、排水弁22の手動操作用連結部54に連結する手動操作用連結部材52の例として、ワイヤ部材52cを用いた例について説明するが、ワイヤ部材の代わりに樹脂製又は金属製の玉鎖等の部材を適用してもよい。
【0033】
例えば、排水弁22が排水口20を閉止している状態(待機状態)から、排水操作装置1の手動操作ユニット24を用いた手動操作により排水弁22を開弁させる場合、図3に手動操作の方向を矢印Aで示すように、使用者が手動用操作レバー44を下方に引き下げるように回転中心軸線C1を中心に回転させることにより、手動回転軸42及び手動駆動歯車46が回転中心軸線C1を中心に回転し、手動被動歯車48及びプーリ50が回転中心軸線C2を中心に回転するようになっている。これにより、手動操作用連結部材52の手動操作用ワイヤ部材52cがプーリ50の回転に伴ってプーリ50の外周部50bに巻き付きながら移動し、所定長さ引き上げられ、排水弁22が開弁した状態になるようになっている。
【0034】
また、手動操作ユニット24の内部には、手動操作用連結部材52が引き上げられて排水弁22が開弁した状態で使用者が手動用操作レバー44から手を離すと、手動用操作レバー44を元の待機状態の位置まで戻るように回転させる戻りばね(図示せず)が設けられている。
【0035】
つぎに、図1図2及び図4を参照して、本発明の第1実施形態による排水操作装置1の電動操作ユニット26について具体的に説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の電動操作ユニットにおける図2のIV−IV線に沿って見た概略断面図である。
図1図2及び図4に示すように、電動操作ユニット26は、制御装置12から延びる電線56に接続されてトイレ装置2の周囲の外部電源から制御装置12に供給される電力が電線56を介して供給される電動駆動モータ58を備え、この電動駆動モータ58は、電力により回転駆動する電動回転駆動軸60を備えている。
【0036】
また、電動操作ユニット26は、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の回転駆動力を伝達する電動駆動力伝達手段として、電動回転駆動軸60に対して同一回転中心軸線C3上に固定して取り付けられた電動駆動歯車62と、この電動駆動歯車62に噛み合い係合して回転中心軸線C4を中心に回転可能な電動被動歯車64と、この電動被動歯車64に一体的に且つ平面視で概ね扇形形状に形成されて電動被動歯車64と共に回転中心軸線C4を中心に回転可能な回転部材であるプーリ66とを備えている。
【0037】
さらに、電動操作ユニット26は、電動操作用連結部材68を備えている。この電動操作用連結部材68の一端部68aは、プーリ66の外周の一部に設けられた連結部66aに固定して連結され、電動操作用連結部材68の他端部68bは、詳細は後述する排水弁22の上端部に設けられた電動操作用連結部70に連結解除可能に連結されている。
また、電動操作用連結部材68は、より具体的には、手動操作用連結部材52と同様に、比較的弾性に富んだ可撓性を有する金属製の電動操作用ワイヤ部材68cと、この電動操作用ワイヤ部材68cの周囲を覆う可撓性及び耐久性を有する外側ホース部材68dとを備えている。
外側ホース部材68dの一端部は、電動駆動歯車62、電動被動歯車64及びプーリ66を内装する箱型形状のケーシング72の一部に固定して取り付けられ、外側ホース部材68dの他端部は、排水装置34のケーシング36の上端部36aに固定して取り付けられており、電動操作用ワイヤ部材68cの一端部68aを引き上げることにより、電動操作用ワイヤ部材68cが外側ホース部材68dに対して長手方向に摺動可能となっている。
なお、本実施形態では、排水弁22の電動操作用連結部70に連結する電動操作用連結部材68の例として、ワイヤ部材68cを用いた例について説明するが、ワイヤ部材の代わりに樹脂製又は金属製の玉鎖等の部材を適用してもよい。
【0038】
さらに、電動駆動歯車62、電動被動歯車64、プーリ66、及び、電動操作用連結部材68の一端部68aを内装する電動操作ユニット26のケーシング72と電動駆動モータ58は、便器本体4の後方側側面に形成される収納部74(図1参照)に、洗浄水タンク装置14や便器本体4の使用状況に応じて適宜着脱可能に取り付けられている。また、収納部74には、ケーシング72と電動駆動モータ58を外側から覆うようにカバー部材76が取り付けられている。
これらにより、排水操作装置1の電動操作ユニット26の電動駆動モータ58、電動駆動歯車62、電動被動歯車64及びプーリ66が、洗浄水タンク装置14の貯水タンク16の外部に配置されることになるため、貯水タンク16内の洗浄水がかかることがなく、故障を防止することができるようになっている。また、カバー部材76により、電動駆動モータ58、電動駆動歯車62、電動被動歯車64及びプーリ66に埃が付着することがなく、故障を防止することができるようになっている。
【0039】
つぎに、図3及び図4に示すように、電動操作ユニット26の電動駆動歯車62及び電動被動歯車64は、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の最大トルクT1が手動操作ユニット24の手動用回転軸42の最大トルクT2よりも小さく設計できるように、電動駆動歯車62の基準円直径D1が、手動駆動歯車46の基準円直径D2よりも小さい寸法で設計されている(D1<D2)。これにより、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の駆動力(最大トルクT1)を小さく設定することができると共に、電動操作ユニット26のケーシング72全体を小型化することができるようになっている。
【0040】
また、電動被動歯車64の基準円直径D3は、電動駆動歯車62の基準円直径D1よりも大きい寸法で設計されており、電動被動歯車64の最大トルクT3が電動駆動歯車62よりも最大トルクT1が大きくなるように設計されている。これにより、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の最大トルクT1を小さく設計していても、電動被動歯車64及びプーリ66が電動回転駆動軸60及び電動駆動歯車62よりも大きなトルクで回転することができるため、電動操作用連結部材68をプーリ66の回転方向にプーリ66の外周部66bに沿って効率よく移動させることができると共に、電動操作ユニット26のケーシング72全体を小型化することができるようになっている。
【0041】
例えば、排水弁22が排水口20を閉止している状態(待機状態)から、排水操作装置1の電動操作ユニット26を用いた電動操作により排水弁22を開弁させる場合、使用者が指示装置28の所定の操作ボタン28aを押すことにより便器洗浄操作を指示するか、或いは、人感センサ30が使用者を検知すると、これらの信号が制御装置12に送信され、制御装置12からの指令により電動操作ユニット26の電動駆動モータ58が作動するようになっている。そして、電動回転駆動軸60が回転中心軸線C3を中心に図4に矢印Bで示す回転方向に所定の回転数又は所定の回転角度で回転し、電動被動歯車64及びプーリ66が回転中心軸線C4を中心に回転するようになっている。これにより、電動操作用連結部材68がプーリ60の回転に伴ってプーリ66の外周部66bに巻き付きながら移動し、所定長さ引き上げられ、排水弁22が開弁した状態になるようになっている。
【0042】
また、図2に示すように、洗浄水タンク装置14の貯水タンク16を形成する後壁部16bの上端部における左右方向のほぼ中央には、前後方向にほぼU字形状の断面で貫くように切欠き溝78が形成されている。この切欠き溝78は、貯水タンク16内の止水水位WL1よりも上方に位置し、電動操作ユニット26の電動操作用連結部材68が貯水タンク16の内部と外部との間で挿通可能となっている。
なお、本実施形態では、電動操作用連結部材68が挿通可能な切欠き溝78を貯水タンク16の後壁部16bの上端部に設けた形態について説明するが、このような形態に限定されず、切欠き溝78の位置が貯水タンク16内の止水水位WL1よりも上方の位置であれば、貯水タンク16の前壁部の上端部や側壁部の上端部に設けてもよい。また、貯水タンク16の側壁面における止水水位WL1よりも上方の位置に電動操作用連結部材68が挿通可能な挿通穴を設けてもよい。
【0043】
つぎに、図1図2及び図5図14を参照して、本発明の第1実施形態による排水操作装置1の排水弁22が組み込まれた排水装置34、本発明の第1実施形態による排水操作装置1の排水弁22、及び、この排水弁22の手動操作用連結部54及び電動操作用連結部70について具体的に説明する。
図5は、図2に示されている排水装置の部分について、V−V線に沿って見た概略断面図であり、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁が閉弁した状態を示す。
ここで、図5においては、排水装置34のケーシング36とその内部の排水弁22以外の構造や機構については簡略化して示している。また、図5では、排水操作装置の電動操作時に排水弁が最も上昇して開弁した状態の排水弁の位置を鎖線で示している。
【0044】
まず、図1図2及び図5に示すように、本実施形態の排水操作装置1の排水弁22が組み込まれている排水装置34は、貯水タンク16内の底部16aに取り付けられ且つ便器本体4の導水路(図示せず)に連通する排水口20を形成する排水口ユニット80と、この排水口ユニット80の上端に取り付けられて排水弁22を上下動可能に保持する排水弁保持部材82を備えている。
【0045】
排水装置34の排水口ユニット80は、貯水タンク16の底部16aの所定位置に取り付けられて排水口20を形成する排水口形成部材84を備えている。この排水口形成部材84の下端部は、貯水タンク16の底部16aを貫き、シール部材86を介して締結部材88によって締結され、排水口形成部材84が貯水タンク16の底部16aに固定されている。
【0046】
また、排水口形成部材84の外周の一部には、上下方向に延びるように形成されたオーバーフロー管90が設けられ、オーバーフロー管90の下方に位置する下流側端部は、排水口形成部材84の内部の排水口20と連通するようになっている。
【0047】
さらに、排水口形成部材84は、排水口20の上縁に沿って全周に亘って形成され且つ上方に突出する弁座92を備えており、この弁座92と排水弁22の弁体94が当接することにより、排水口20が閉鎖されるようになっている。
また、排水口形成部材84は、弁座92から外側に向かって所定間隔を置いた位置から上方に延びる複数の支柱部96を備え、これらの支柱部96は、周方向に沿って所定間隔を置いて配置されており、隣り合う支柱部96同士の間に排水装置34の外側の洗浄水を排水口20へ流入させるための複数の連通口98を形成している。
【0048】
つぎに、図6は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁、電動操作ユニットの電動操作用ワイヤ部材及び手動操作用ワイヤ部材の正面図であり、排水弁を電動操作ユニットによる電動操作で開弁させた状態を示す。また、図7は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁、電動操作ユニットの電動操作用ワイヤ部材及び手動操作用ワイヤ部材の背面図であり、排水弁を電動操作ユニットによる電動操作で開弁させた状態を示す。さらに、図8は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁、電動操作ユニットの電動操作用ワイヤ部材及び手動操作用ワイヤ部材の側面図(図6の右側側面図)であり、排水弁を電動操作ユニットによる電動操作で開弁させた状態を示す。
また、図9は、図8における電動操作用ワイヤ部材の端部及び手動操作用ワイヤ部材の端部のそれぞれが連結解除可能に連結されている排水弁の電動操作用連結部及び手動操作用連結部の部分を拡大した部分拡大図であり、図10は、図9のX−X線に沿って見た断面図である。
さらに、図11は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁を手動操作ユニットによる手動操作で開弁させた状態における排水弁の電動操作用連結部の部分拡大図である。また、図12は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁を手動操作ユニットによる手動操作で開弁させた状態における排水弁の手動操作用連結部の部分拡大図である。さらに、図13は、本発明の第1実施形態による排水操作装置の排水弁を手動操作ユニットによる手動操作で開弁させた状態における図9と同様な排水弁の電動操作用連結部及び手動操作用連結部の部分拡大図である。また、図14は、図13のXIV−XIV線に沿って見た断面図である。
【0049】
図2図5図8に示すように、本実施形態の排水操作装置1の排水弁22は、その下方に設けられた弁体94と、この弁体94を上下方向から挟持して保持する弁体保持部100と、この弁体保持部100が下端部に設けられて排水弁保持部材82のほぼ中心部を上下方向に貫くように延びる主軸部102と、この主軸部102の上端部から主軸部10の長手方向の中心軸線C5に対して斜め上方に突出するように形成された突出部104を備えている。
さらに、図6及び図8に示すように、突出部104の前面104aには、後方側に凹む前側凹部106が形成されている。これにより、前側凹部106の上側の突出部104は、上方に凸状の前側フック部108を形成している。そして、この前側フック部108の下側に形成される前側凹部106の上端部が、上述した手動操作用連結部54として機能するようになっている。
同様に、図7及び図8に示すように、突出部104の後面104bには、前方側に凹む後側凹部110が形成されている。これにより、後側凹部110の上側の突出部104は、上方に凸状の後側フック部112を形成している。そして、この後側フック部112の下側に形成される後側凹部110の上端部が、上述した電動操作用連結部70として機能するようになっている。
【0050】
つぎに、図6図10に示すように、排水弁22の手動操作用連結部54及び電動操作用連結部70は、排水弁22の突出部104に互いに前後方向に並列して設けられている。
また、排水弁22の手動操作用連結部54と電動操作用連結部70との間には、手動操作用ワイヤ部材52cと電動操作用ワイヤ部材68cを前後方向に仕切る仕切壁114が形成され、この仕切壁114は、手動操作用ワイヤ部材52c及びその他端部52bと電動操作用ワイヤ部材68c及びその他端部68bとが互いに接触して干渉することを防止する干渉防止手段として機能するようになっている。
【0051】
さらに、図9及び図10に示すように、排水弁22の手動操作用連結部54と電動操作用連結部70のそれぞれには、手動操作用ワイヤ部材52cと電動操作用ワイヤ部材68cのそれぞれが取り外し可能に挿入されて取り付けられる手動操作用ワイヤ部材取付用の溝穴116と電動操作用ワイヤ部材取付用の溝穴118がそれぞれ形成されている。各溝穴116,118は、仕切壁114によって互いに独立に仕切られており、前側凹部106及び後側凹部110のそれぞれと連通しており、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bと電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bとが互いに接触して干渉することを防止する干渉防止手段として機能するようになっている。
また、各溝穴116,118の溝幅は、手動操作用ワイヤ部材52cと電動操作用ワイヤ部材68cの直径よりも僅かに大きい寸法に形成されているが、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bと電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bの大きさよりも小さい寸法に形成されている。
【0052】
さらに、図5に示すように、排水弁22が排水口20を閉弁している状態では、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52b及び電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bのそれぞれが排水弁22の手動操作用連結部54(突出部104の前側凹部106の上端部)及び電動操作用連結部70(突出部104の後側凹部110の上端部)のそれぞれに当接している。
そして、図6図10に示すように、排水操作装置1の電動操作ユニット26による電動操作によって排水弁22が引き上げられて開弁している状態では、手動操作用ワイヤ部材52cは引き上げられず、電動操作用ワイヤ部材68cのみが引き上げられて、この電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bが突起部を形成し、排水弁22の電動操作用連結部70(突出部104の後側凹部110の上端部)に当接し、溝穴118に係止されるようになっている。
すなわち、排水操作装置1の電動操作ユニット26の電動操作によって排水弁22を開弁操作している場合には、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bと排水弁22の電動操作用連結部70とが連結すると共に、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bと排水弁22の手動操作用連結部54との連結が解除された状態となるようになっている。
【0053】
一方、図11図14に示すように、排水操作装置1の手動操作ユニット24による手動操作によって排水弁22が引き上げられて開弁している状態では、電動操作用ワイヤ部材68cは引き上げられず、手動操作用ワイヤ部材52cのみが引き上げられて、この手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bが突起部を形成し、排水弁22の手動操作用連結部54(突出部104の前側凹部106の上端部)に当接し、溝穴116に係止されるようになっている。
すなわち、排水操作装置1の手動操作ユニット24の手動操作によって排水弁22を開弁操作している場合には、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bと排水弁22の手動操作用連結部54とが連結すると共に、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bと排水弁22の電動操作用連結部70との連結が解除された状態となるようになっている。
【0054】
また、図9及び図13に示すように、手動操作用ワイヤ部材取付用の溝穴116と電動操作用ワイヤ部材取付用の溝穴118は、排水弁22を右側側方から見た側面視において概ね左右方向に対称に概ねL字形の鉤型形状に形成されている。
すなわち、図9図14に示すように、各溝穴116,118は、各上端から下方に延びるように形成された縦溝部116a,118a、及び、各縦溝部116a,118aの下端から、手動操作用ワイヤ部材取付用の溝穴116については水平方向前方に延びるように形成された横溝部116b、電動操作用ワイヤ部材取付用の溝穴118については水平方向後方に延びるように形成された横溝部118bを備えている。
【0055】
さらに、図10及び図14に示すように、各縦溝部116a,118aは、外側から各ワイヤ部材52c,68cが挿入及び取り外し可能に開放されており、図9図11図12及び図13に示すように、横溝部116bは、外側及び前側から手動用操作ワイヤ部材52cが挿入及び取り外し可能に外側及び前側が開放された溝となっている。また、横溝部118bは、外側及び後側から電動操作用ワイヤ部材68cが挿入及び取り外し可能に外側及び後側が開放された溝となっている。
これらの縦溝部116a,118aと横溝部116b,118bにより、例えば、洗浄水タンク装置14や便器本体4に関する洗浄方式等の仕様や、施工場所の給水圧等の設置環境や、トイレ装置2の設置スペース内のレイアウト等の設置環境を含む施工状況等、洗浄水タンク装置14や便器本体4の使用状況に応じて電動操作ユニット26を取り外して手動操作ユニット24のみを使用する場合には、電動操作用ワイヤ部材68cのみを溝穴118から取り外して、手動操作用ワイヤ部材52cのみを溝穴116に取り付けた状態に設定することができるようになっている。同様に、手動操作ユニット24を取り外して電動操作ユニット26のみを使用する場合には、手動操作用ワイヤ部材52cのみを溝穴116から取り外して、電動操作用ワイヤ部材68cのみを溝穴118に取り付けた状態に設定することができるようになっている。
【0056】
また、本実施形態では、排水操作装置1の手動操作ユニット24による手動操作及び電動操作ユニット26による電動操作のそれぞれの操作により、それぞれ独立に排水弁22を引き上げて開弁させることができるようになっているが、開弁時に排水弁22を引き上げる量を大きく設定し、弁座92に対する弁体94の上昇高さ(ストローク)を高く設定する程、或いは排水弁22が開弁している時間を長く設定する程、排水装置34によって洗浄水タンク装置14の貯水タンク16の排水口20から排水されて便器本体4の導水路(図示せず)に供給される洗浄水量が多くなり、大洗浄による便器洗浄が行われるようになっている。
【0057】
つぎに、図1図14を参照して、本発明の第1実施形態による排水操作装置の動作(作用)を説明する。
まず、排水弁22が排水口20を閉止している状態(待機状態)から、排水操作装置1の電動操作ユニット26を用いた電動操作により排水弁22を開弁させる場合、使用者が指示装置28の所定の操作ボタン28aを押すことにより便器洗浄操作を指示するか、或いは、人感センサ30が使用者を検知すると、これらの信号が制御装置12に送信され、制御装置12からの指令により電動操作ユニット26の電動駆動モータ58が作動する。そして、電動回転駆動軸60が回転中心軸線C3を中心に図4に矢印Bで示す回転方向に所定の回転数又は所定の回転角度で回転し、電動被動歯車64及びプーリ66が回転中心軸線C4を中心に回転する。これにより、電動操作用連結部材68がプーリ60の回転に伴ってプーリ66の外周部66bに巻き付きながら移動し、所定長さ引き上げられた後、電動駆動モータ58が所定時間停止し、排水弁22が所定高さまで上昇し、所定時間開弁した状態になる。これにより、貯水タンク16内の洗浄水が排水口20から便器本体4の導水路(図示せず)に向けて排水される。
【0058】
このとき、電動操作ユニット26の電動操作により排水弁22が閉弁状態から上昇して開弁するまでの状態では、図6図10に示すように、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bと排水弁22の電動操作用連結部70とが連結すると共に、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bと排水弁22の手動操作用連結部54との連結が解除された状態となる。
【0059】
そして、排水弁22が所定時間開弁した後、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60が回転中心軸線C3を中心に図4に矢印Bで示す回転方向と反対方向に所定の回転数又は所定の回転角度で回転した後、電動駆動モータ58が再び停止し、排水弁22が下降して排水口20を閉止し、元の待機状態となる。
【0060】
一方、排水弁22が排水口20を閉止している状態(待機状態)から、排水操作装置1の手動操作ユニット24を用いた手動操作により排水弁22を開弁させる場合、図3に手動操作の方向を矢印Aで示すように、使用者が手動用操作レバー44を下方に引き下げるように回転中心軸線C1を中心に回転させることにより、手動回転軸42及び手動駆動歯車46が回転中心軸線C1を中心に回転し、手動被動歯車48及びプーリ50が回転中心軸線C2を中心に回転する。これにより、手動操作用連結部材52の手動操作用ワイヤ部材52cがプーリ50の回転に伴ってプーリ50の外周部50bに巻き付きながら移動し、所定長さ引き上げられ、排水弁22が開弁した状態になる。
【0061】
このとき、排水操作装置1の手動操作ユニット24の手動操作によって排水弁22が閉弁状態から上昇して開弁するまでの状態では、図11図14に示すように、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bと排水弁22の手動操作用連結部54とが連結すると共に、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bと排水弁22の電動操作用連結部70との連結が解除された状態となる。
【0062】
そして、手動操作用連結部材52が引き上げられて排水弁22が開弁した状態で使用者が手動用操作レバー44から手を離すと、戻りばね(図示せず)により手動用操作レバー44を元の待機状態の位置まで戻るように回転し、排水弁22が下降して排水口20を閉止し、元の待機状態となる。
【0063】
上述した本発明の第1実施形態による排水操作装置1によれば、洗浄水タンク装置14の貯水タンク16の排水口20を開閉する排水弁22の動作を電動により操作可能な電動操作ユニット26が、手動操作ユニット24とは別体に設けられていると共に、洗浄水タンク装置14や便器本体4に関する洗浄方式等の仕様や、施工場所の給水圧等の設置環境や、トイレ装置2の設置スペース内のレイアウト等の設置環境を含む施工状況等、洗浄水タンク装置14や便器本体4の使用状況に応じて便器本体4に対して取り外し可能に設けられているため、電動操作ユニット26を取り付けた状態で便器洗浄操作を行う際には、使用者が手動操作ユニット24の手動操作により排水弁22の動作を操作することができることに加えて、電動操作ユニット26の電動操作により排水弁22の動作を操作することもでき、排水弁22を操作する操作方式を必要に応じて適宜選択することができる。
また、使用者が電動操作ユニット26で電動操作により排水弁22の動作を操作した場合には、使用者が便器洗浄操作を指示する指示装置28又は使用者を検知する人体センサ30から送信される便器洗浄開始信号を制御装置12が受信し、電動操作ユニット26の電動駆動モータ58を自動的に作動させることができる。よって、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の回転駆動力が電動駆動歯車62から電動被動歯車64、プーリ66及び電動操作用ワイヤ部材68cを経て排水弁22の電動操作用連結部70に作動力として伝達され、排水弁22の上下動の動作を自動化することができる。したがって、手動操作ユニット24のみで便器洗浄操作を行う場合に比べて、排水弁22を効率よく作動させることができ、使い勝手を向上させることができる。
一方、電動操作ユニット26が不要である場合には、電動操作ユニット26のみを取り外すことにより、洗浄水タンク装置14又は便器本体4の構造を簡単にすることができると共に、手動操作ユニット24単体で便器洗浄操作が可能な仕様に容易に変更することもできるため、使い勝手を向上させることができる。
さらに、電動操作ユニット26を備えておらず、手動操作ユニット24のみを備えた既存の洗浄水タンク装置や便器本体に対しても、電動操作ユニット26を後付けで容易に取り付けることにより、洗浄水タンク装置や便器本体の仕様と排水操作方式を容易に変更することがきるため、使い勝手を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態による排水操作装置1によれば、電動操作ユニット26を操作している場合には、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bと排水弁22の電動操作用連結部70とが連結すると共に、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bと排水弁22の手動操作用連結部54との連結が解除された状態となり、手動操作ユニット24を操作している場合には、手動操作用部材ワイヤ部材52cの他端部52bと排水弁22の手動操作用連結部54とが連結すると共に、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bと排水弁22の電動操作用連結部70との連結が解除された状態となるため、電動操作ユニット26による電動操作時又は手動操作ユニット24による手動操作時に、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68b及び手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bのそれぞれが、排水弁22の電動操作用連結部70及び手動操作用連結部54のそれぞれに同時に連結するような状態を防ぐことができる。また、電動操作ユニット26又は手動操作ユニット24によって排水弁22を電動又は手動で操作する際に、電動操作用ワイヤ部材68cと手動操作用ワイヤ部材52c同士が互いに干渉することも防ぐことができると共に、電動操作用ワイヤ部材68c及び手動操作用ワイヤ部材52cの双方から排水弁22に対して同時に過大な操作力が伝達されることを防ぐこともできる。したがって、電動操作用ワイヤ部材68c又は手動操作用ワイヤ部材52cのいずれか一方によって単独で排水弁22を操作することができため、使い勝手を向上させることができる。
【0065】
さらに、本実施形態による排水操作装置1によれば、排水弁22が、洗浄水タンク装置14の貯水タンク16の底部16aに形成された排水口20を上下動することにより開閉する弁体94と、この弁体94を上下方向から挟持して保持する弁体保持部100と、この弁体保持部100が下端部に設けられて排水弁保持部材82のほぼ中心部を上下方向に貫くように延びる主軸部102と、この主軸部102の上端部から主軸部10の長手方向の中心軸線C5に対して斜め上方に突出するように形成された突出部104を備え、この突出部104には、電動操作用連結部70及び手動操作用連結部54のそれぞれが互いに前後方向に並列に設けられている。そして、排水弁22の手動操作用連結部54と電動操作用連結部70との間には、手動操作用ワイヤ部材52cと電動操作用ワイヤ部材68cを前後方向に仕切る仕切壁114が形成され、この仕切壁114は、手動操作用ワイヤ部材52c及びその他端部52bと電動操作用ワイヤ部材68c及びその他端部68bとが互いに接触して干渉することを防止する干渉防止手段として機能するようになっているため、電動操作ユニット26又は手動操作ユニット24のいずれかを選択して排水弁22を電動又は手動で操作する際に、電動操作用ワイヤ部材68cと手動操作用ワイヤ部材52cについて、互いに干渉することを簡易な構造で効果的に防ぐことができると共に、排水弁22の電動操作用連結部70と手動操作用連結部54のそれぞれに効率よく連結させることができる。
【0066】
さらに、本実施形態による排水操作装置1によれば、電動操作ユニット26を操作した場合には、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bが排水弁22の電動操作用連結部70の溝穴118に係止して連結する突起部を形成しているため、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52cの他端部52bと排水弁22の手動操作用連結部54の溝穴116との連結が解除された状態となる。一方、手動操作ユニット24を操作した場合には、手動操作用ワイヤ部材52cの他端部62bが排水弁22の手動操作用連結部54の溝穴116係止して連結する突起部を形成しているため、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68bが排水弁22の電動操作用連結部70の溝穴118との連結が解除された状態となる。したがって、電動操作ユニット26による電動操作時又は手動操作ユニット24による手動操作時に、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68b及び手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bのそれぞれが、排水弁22の電動操作用連結部70の溝穴118及び手動操作用連結部54の溝穴116のそれぞれに同時に係止して連結するような状態を防ぐことができる。
また、電動操作ユニット26又は手動操作ユニット24によって排水弁22を電動又は手動で操作する際に、電動操作用ワイヤ部材68cと手動操作用ワイヤ部材52cのそれぞれが、干渉防止手段である排水弁22の電動操作用連結部70の溝穴118及び手動操作用連結部54の溝穴116のそれぞれに独立に挿入されているため、電動操作用ワイヤ部材68cと手動操作用ワイヤ部材52c同士の互いの干渉を効果的に防ぐことができる。
さらに、電動操作用ワイヤ部材68cの他端部68b及び手動操作用ワイヤ部材52cの他端部52bのそれぞれから排水弁22の電動操作用連結部70及び動操作用連結部54に対して同時に過大な操作力が伝達されることを防ぐこともできる。よって、電動操作用ワイヤ部材68c又は手動操作用ワイヤ部材52cのいずれか一方によって単独で排水弁22を操作することができるため、使い勝手を向上させることができる。また、電動操作ユニット26が不要である場合において、電動操作ユニット26のみを取り外す際に、電動操作用ワイヤ部材68cを排水弁22の電動操作用連結部70の溝穴118から容易に取り外すことができるため、手動操作ユニット24単体で便器洗浄操作が可能な仕様に容易に変更することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態による排水操作装置1によれば、電動操作ユニット26の電動駆動歯車62及び電動被動歯車64は、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の最大トルクT1が手動操作ユニット24の手動用回転軸42の最大トルクT2よりも小さく設計できるように、電動駆動歯車62の基準円直径D1が、手動駆動歯車46の基準円直径D2よりも小さい寸法で設計されているため(D1<D2)、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の駆動力(最大トルクT1)を小さく設定することができると共に、電動操作ユニット26のケーシング72全体を小型化することができる。
【0068】
さらに、本実施形態による排水操作装置1によれば、電動被動歯車64の基準円直径D3は、電動駆動歯車62の基準円直径D1よりも大きい寸法で設計されており、電動被動歯車64の最大トルクT3が電動駆動歯車62よりも最大トルクT1が大きくなるように設計されているため、電動駆動モータ58の電動回転駆動軸60の最大トルクT1を小さく設計していても、電動被動歯車64及びプーリ66が電動回転駆動軸60及び電動駆動歯車62よりも大きなトルクで回転することができる。したがって、電動操作用ワイヤ部材68cをプーリ66の回転方向にプーリ66の外周部66bに沿って効率よく移動させることができると共に、電動操作ユニット26のケーシング72全体を小型化することができる
【0069】
また、本実施形態による排水操作装置1によれば、電動操作ユニット26を取り付けた状態で便器洗浄操作を行う際には、使用者が手動操作ユニット24で手動により排水弁22の動作を操作することができることに加えて、電動操作ユニット26で電動により排水弁22の動作を操作することもでき、排水弁22を操作する操作方式を必要に応じて適宜選択することができるトイレ装置2を提供することができる。また、使用者が電動操作ユニット26で電動により排水弁22の動作を操作した場合には、手動操作ユニット24のみで便器洗浄操作を行う場合に比べて、排水弁22を効率よく作動させることができ、使い勝手を向上させるトイレ装置2を提供することができる。
一方、洗浄水タンク装置14や便器本体4に関する洗浄方式等の仕様や、施工場所の給水圧等の設置環境や、トイレ装置2の設置スペース内のレイアウト等の設置環境を含む施工状況等、洗浄水タンク装置14や便器本体4の使用状況に応じて、電動操作ユニット26が不要である場合には、電動操作ユニット26のみを取り外すことにより、洗浄水タンク装置14又は便器本体4の構造を簡単にすることができると共に、排水操作装置1の手動操作ユニット24単体で便器洗浄操作が可能な仕様に容易に変更することもできるため、使い勝手を向上させるトイレ装置2を提供することができる。
さらに、電動操作ユニット26を備えておらず、手動操作ユニット24のみを備えた既存の洗浄水タンク装置に対しても、電動操作ユニット26を後付けで容易に取り付けることにより、洗浄水タンク装置14や便器本体4の仕様と排水操作方式を容易に変更することがきるため、使い勝手を向上させるトイレ装置2を提供することができる。
【0070】
さらに、本実施形態による排水操作装置1によれば、電動操作ユニット26の電動駆動歯車62、電動被動歯車64、プーリ66、及び、電動操作用連結部材68の一端部68aを内装するケーシング72と電動駆動モータ58が便器本体4の後方側側面に形成される収納部74(図1参照)に、洗浄水タンク装置14や便器本体4の使用状況に応じて適宜着脱可能に取り付けられている。これに加えて、洗浄水タンク装置14の貯水タンク16を形成する後壁部16bの上端部における左右方向のほぼ中央には、前後方向にほぼU字形状の断面で貫くように切欠き溝78が形成され、この切欠き溝78が貯水タンク16内の止水水位WL1よりも上方に位置し、電動操作ユニット26の電動操作用連結部材68が貯水タンク16の内部と外部との間で挿通可能となっているため、排水操作装置1の電動操作ユニット26をトイレ装置2に対して容易に着脱することができる。
したがって、洗浄水タンク装置14又は便器本体4の使用状況に応じて、洗浄水タンク装置14や便器本体4の仕様と排水操作方式を容易に変更することができ、使い勝手を向上させるトイレ装置2を提供することができる。また、排水操作装置1の電動操作ユニット26の電動操作ユニット26のケーシング72と電動駆動モータ58を便器本体4の収納部74に取り付けた状態では、電動操作ユニット26の電動駆動歯車62、電動被動歯車64、プーリ66、及び、電動操作用連結部材68の一端部68aと電動駆動モータ58が洗浄水タンク装置14の貯水タンク16の外部に配置されることになるため、貯水タンク16内の洗浄水がかかることがなく、故障を防止することができる。
【0071】
また、本実施形態による排水操作装置1によれば、電動操作ユニット26の電動操作ユニット26の電動駆動歯車62、電動被動歯車64、プーリ66、及び、電動操作用連結部材68の一端部68aを内装するケーシング72と電動駆動モータ58を便器本体4の後方側外面に形成される収納部72に取り付け、これらを外側から覆うようにカバー部材76を取り付けることにより、排水操作装置1の電動操作ユニット26のケーシング72と電動駆動モータ58に埃が付着することがなく、故障を防止することができる。
【0072】
つぎに、図15を参照して、本発明の第2実施形態による排水操作装置について説明する。
図15は、本発明の第2実施形態による排水操作装置が適用される洗浄水タンク装置の内部構造を前方斜め上方から見た斜視図である。
なお、図15に示す本発明の第2実施形態による排水操作装置及びこの排水操作装置が適用されるトイレ装置の洗浄水タンク装置において、図2に示す本発明の第1実施形態による排水操作装置及びこの排水操作装置が適用されるトイレ装置の洗浄水タンク装置の部分と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明は省略する。
【0073】
図15に示すように、本発明の第2実施形態による排水操作装置200においては、電動操作ユニット26の電動駆動モータ58が洗浄水タンク装置214の貯水タンク216の後壁部216bに取り外し可能に設けられている。また、制御装置12と電動駆動モータ58とを接続する電線56が挿通可能な挿通穴278が、貯水タンク216の後壁部216bにおける貯水タンク216内の止水水位WL1よりも上方に位置し、貯水タンク216の後壁部216bに前後方向に貫くように形成されている。これらにより、本発明の第2実施形態による排水操作装置200は、電動操作ユニット26全体が洗浄水タンク装置214又は便器本体4の使用状況に応じて貯水タンク216の内部に取り外し可能に取り付けられている点で第1実施形態の排水操作装置1と異なっている。
【0074】
上述した本発明の第2実施形態による排水操作装置200によれば、電動操作ユニット26が洗浄水タンク装置214又は便器本体4の使用状況に応じて貯水タンク216の内部に取り外し可能に取り付けられているため、貯水タンク216の外側の周辺スペースを簡素化することができ、使い勝手を向上させるトイレ装置204を提供することができる。
【0075】
なお、上述した本発明の第1実施形態による排水操作装置1及び第2実施形態による排水操作装置200と異なる第3実施形態として、電動駆動歯車62、電動被動歯車64、プーリ66、及び、電動操作用連結部材68の一端部68aを内装する電動操作ユニット26のケーシング72と電動駆動モータ58について、洗浄水タンク装置の貯水タンクの外側表面一部に取り外し可能に取り付け、貯水タンクにおける洗浄水の止水水位WL1よりも上方には、電動操作ユニット26の電動操作用連結部材68が貯水タンクの内部と外部との間で挿通可能な穴又は溝を形成するようにしてもよい。
このような本発明の第3実施形態による排水操作装置によれば、洗浄水タンク装置や便器本体の仕様と排水操作方式を容易に変更することがき、使い勝手を向上させるトイレ装置を提供することができる。また、排水操作装置の電動操作ユニット26のケーシング72と電動駆動モータ58を貯水タンクの外側に取り付けた状態では、ケーシング72と電動駆動モータ58に貯水タンク内の洗浄水がかかることがなく、故障を防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 排水操作装置
2 トイレ装置
4 便器本体
6 ボウル部
8 便座
10 局部洗浄装置
12 制御装置(制御部)
14 洗浄水タンク装置
16 貯水タンク
16a 貯水タンクの底部
16b 貯水タンクの後壁部
18 蓋体
20 排水口
22 排水弁
24 手動操作ユニット
26 電動操作ユニット
28 指示装置(指示手段)
28a 操作ボタン
30 人感センサ(人体検知手段)
32 給水装置
34 排水装置
36 ケーシング
36a ケーシングの上端部
38 給水管
40 フロート
42 手動用回転軸
44 手動用操作レバー(手動用操作部)
46 手動駆動歯車(手動回転力伝達手段)
48 手動被動歯車(手動回転力伝達手段)
50 プーリ(手動操作ユニットの手動回転力伝達手段の回転部材)
50a 連結部
50a プーリの外周部
52 手動操作用連結部材(手動操作用連結部材)
52a 手動操作用連結部材の一端部(手動操作用連結部材の一端)
52b 手動操作用連結部材の他端部(手動操作用連結部材の他端、第2の突起部)
52c 手動操作用ワイヤ部材
52d 外側ホース部材
53 ケーシング
54 手動操作用連結部
56 電線
58 電動駆動モータ(電動駆動部)
60 電動回転駆動軸(回転駆動軸)
62 電動駆動歯車(電動駆動力伝達手段)
64 電動被動歯車(電動駆動力伝達手段)
66 プーリ(電動操作ユニットの電動駆動力伝達手段の回転部材)
66a 連結部
66b プーリの外周部
68 電動操作用連結部材
68a 電動操作用連結部材の一端部(電動操作用連結部材の一端)
68b 電動操作用連結部材の他端部(手動操作用連結部材の他端、第1の突起部)
68c 電動操作用ワイヤ部材
68d 外側ホース部材
70 電動操作用連結部
72 ケーシング
74 収納部
76 カバー部材
78 切欠き溝
80 排水口ユニット
82 排水弁保持部材
84 排水口形成部材
86 シール部材
88 締結部材
90 オーバーフロー管
92 弁座
94 弁体(弁体部)
96 支柱部
98 連通口
100 排水弁の弁体保持部
102 主軸部(弁体部)
104 突出部
104a 突出部の前面
104b 突出部の後面
106 前側凹部
108 前側フック部
110 後側凹部
112 後側フック部
114 仕切壁(干渉防止手段)
116 溝穴(干渉防止手段、第2の溝穴)
116a 縦溝部
116b 横溝部
118 溝穴(干渉防止手段、第1の溝穴)
118a 縦溝部
118b 横溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15