(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
背負いカバンの、使用者の背中側に位置する背面に取り付けられる生地と、前記生地から突出して使用者の背中に当接する当接突起と、前記当接突起の前記背負いカバン側に設けられ前記背負いカバン側に突出して前記当接突起を前記背負いカバンから離間させる調整突起が設けられ、
前記生地は、使用者側に位置する表生地と、背負いカバン側に位置する裏生地で設けられ、前記生地に、一対の側方縫い目で縫い合わされ、前記表生地の左右の側縁部に沿って別々に所定間隔を空けて一対の側方袋体が各々設けられ、前記側方袋体には背面弾性体が入れられて左右一対の前記当接突起が形成され、
前記背面弾性体は、上端部から下端部に近づくにつれて厚みが大きくなり、前記当接突起は、上端部から下端部に近づくにつれて厚みが大きくなり前記下端部が最も厚みが厚い形に形成され、
前記裏生地には、別の生地を取り付けて頂点調整用ポケットが設けられ、前記頂点調整用ポケットは、前記裏生地の下縁部に近い位置に複数形成され、使用状態での前記背負いカバンの上下方向に並んで設けられ、前記頂点調整用ポケットに補助弾性体が出し入れ可能に入れられて前記調整突起となり、前記補助弾性体は、任意の場所の頂点調整ポケットに任意の数を入れることで、前記調整突起の厚みと取り付け位置が変更可能に設けられていることを特徴とする背負いカバン用背面パッド。
【背景技術】
【0002】
従来、ランドセル等の背負いカバンには、荷物の荷重を背中に分散させ、楽な姿勢で運搬するように、背中に当たる背面に工夫されたものがある。例えば、特許文献1のランドセルは、扁平な芯材と、この芯材を、パッド材を介して被覆する表皮材とからなる背板部を有し、背板部の両端及び下部に亘って背面略U字状の膨出部が形成されている。これにより、ランドセルを背負うとき、膨出部が背中に当たり、荷物の荷重が背中に分散され、さらにランドセルの上部が肩から離れる方向に傾斜することを防ぎ、背負い易いものとなる。
【0003】
また、特許文献2の背負い鞄用パッドは、ランドセル本体に取り付けられて背当て面に対応する位置に収容部を有した通気性のある袋体と、この袋体の収容部に対して出し入れ自在な緩衝体が設けられている。袋体には、ランドセルの背当て面の上部周辺に対して縛り付けもしくは引っ掛け可能な上パッド取付部と、ランドセルの背当て部の下部周辺に対して縛り付けもしくは引っ掛け可能な下パッド取付部が設けられている。これにより、ランドセルを背負う時、緩衝体が腰に当接して肩にかかる荷重を腰部分にも分散させることができ肩の負担を軽減させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術の特許文献1の場合は、パッド材がランドセルに固定されているため、使用する子供の成長とともに背骨のカーブは、相対的にランドセルの下方に移っていくが、膨出部の位置や形状を成長に合わせて変更することができないものである。従って、特許文献1に開示されたランドセルの場合、子供の成長に伴い、体形に合わなくなり、背中に荷重を分散させる効果が少なくなるという問題がある。
【0006】
特許文献2の場合は、緩衝体と袋体が分離しているため、必要に応じて緩衝体の形状や厚みを変更することができるが、緩衝体の位置を変えることはできず、特許文献1と同様に子供の成長に合わせることができない。従って、子供の成長とともに背中に荷重を分散させる効果が少なくなるものである。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、背負いカバンの背中側に位置する背面に突起を形成し、使用者の体形に合わせて突起の形状と位置を調整することが可能な背負いカバン用背面パッドとそれを取り付けたランドセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、背負いカバンの、使用者の背中側に位置する背面に取り付けられる生地と、前記生地から突出して使用者の背中に当接する当接突起と、前記当接突起の前記背負いカバン側に設けられ前記背負いカバン側に突出して前記当接突起を前記背負いカバンから離間させる調整突起が設けられ、前記当接突起は上端部よりも下端部に近づくにつれて厚みが大きくなる形に設けられ、前記調整突起は厚みと取り付け位置が変更可能に設けられている背負いカバン用背面パッドである。
【0009】
前記生地は、使用者側に位置する表生地と、背負いカバン側に位置する裏生地で設けられ、前記表生地と前記裏生地は、左右に位置する一対の側方縫い目で互いに縫い合わされて、
前記表生地に左右一対の側方袋体が形成され、前記側方袋体には背面弾性体が入れられて左右一対の前記当接突起となるものである。前記背面弾性体は、上端部よりも下端部に近づくにつれて厚みが大きくなるものである。
【0010】
前記裏生地には、別の生地を取り付けて頂点調整用ポケットが設けられ、前記頂点調整用ポケットは前記裏生地の下縁部に近い位置に、複数個が上下に並んで設けられ、前記頂点調整用ポケットには補助弾性体が出し入れ可能に入れられて前記調整突起となるものである。前記補助弾性体は、任意の場所の頂点調整ポケットに任意の数を入れることで、前記調整突起の厚み及び取り付け位置を調整することができる。
【0011】
前記生地の端部には前記背負いカバンに取り付ける紐部材が設けられていると良い。また、前記生地の上縁部には、使用者の背中側に突出し一対の肩の中心付近に当接する上部突起が設けられていると良いものである。
【0012】
またこの発明は、収容部を有し背中に担いで使用する背負いカバンであるランドセルにおいて、前記収容部の背面に背負いカバン用背面パッドが設けられ、前記背負いカバン用背面パッドには、使用者の背中側に位置する前記収容部の背面に取り付けられる生地と、前記生地から突出して前記使用者の背中に当接する当接突起と、前記当接突起の前記収容部側に設けられ前記収容部側に突出して前記当接突起を前記収容部から離間させる調整突起が設けられ、前記当接突起は上端部よりも下端部に近づくにつれて厚みが大きくなる形に形成され、前記調整突起は厚み及び取り付け位置が変更可能に設けられているランドセルである。
さらに、前記背負いカバン用背面パッドには、前記表生地の、上縁部と側縁部の角部に、前記収容部を覆う蓋部材に取り付ける上紐部材が環状に取り付けられ、前記表生地の、下縁部と側縁部の角部にも、前記収容部の底面側に位置する突縁部に取り付ける下紐部材が環状に設けられ、前記上紐部材と前記下紐部材により前記背負いカバン用背面パッドが取り付けられたランドセルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の背負いカバン用背面パッドは、背負いカバンの背中側に位置する背面に突起を形成し、突起が使用者の仙骨付近に当接することにより、背負う荷物の上端を使用者の重心に近づけ、また肩にかかる荷物の荷重を背中や腰に分散させ、負担を少なくして背負い易くするものである。
特に、突起は、背負いカバン用背面パッドに固定されて使用者の背中に当接する一対の当接突起と、移動可能な調整突起が設けられ、使用者の体形に合うように、
補助弾性体の位置や数により調整突起を移動させて、形状と位置を調整することが可能であり、常に最適な状態で使用することができる。
【0014】
この発明の背負いカバン用背面パッドを取り付けたランドセルは、上記背負いカバン用背面パッドを取り付けた効果により、使用者の負担を軽減するとともに、使用者の成長に合わせて調整突起の位置を変えることができ、常に最適な使用状態を維持して、上記効果を発揮することができる。
さらに、ランドセルに対して上紐部材と下紐部材を係止するだけで背負いカバン用背面パッドを取り付け可能であり、簡単に着脱することができ、いろいろな種類のランドセルに取り付けることができ、不要な時は外すことができ、自由度が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の一実施形態の背負いカバン用背面パッドの使用状態を示す斜視図である。
【
図2】この実施形態の背負いカバン用背面パッドの正面図である。
【
図3】この実施形態の背負いカバン用背面パッドの背面図である。
【
図4】この実施形態の背負いカバン用背面パッドの背面弾性体の正面図(a)と右側面図(b)である。
【
図5】この実施形態の背負いカバン用背面パッドを取り付けたランドセルを背負って静荷重を負荷したときの圧力の背面圧分布を示す画像である。
【
図6】この実施形態の背負いカバン用背面パッドを取り付けたランドセルを背負って静荷重を負荷したときの最大圧力を示すグラフである。
【
図7】この実施形態の背負いカバン用背面パッドを取り付けたランドセルを背負って静荷重を負荷した状態を示す画像である。
【
図8】この実施形態の背負いカバン用背面パッドを取り付けたランドセルを背負って静荷重を負荷した使用者の感想を表に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜
図4はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の背負いカバン用背面パッド10は、背中に担いで使用する背負いカバンである後述するランドセル42等に取り付けられるものである。この背負いカバン用背面パッド10は、ランドセル42の、使用者の背中側に位置する背面44bに取り付けられ、背面44bとほぼ同じ大きさの矩形にカットされた矩形の表生地12と裏生地14が互いに縫い合わされて、部分的に袋体を形成して設けられている。
図2は、背負いカバン用背面パッド10を表生地12側から見た正面図であり、
図3は、裏生地14側から見た背面図である。
【0017】
背負いカバン用背面パッド10を、
図2に基づいて説明する。表生地12は、表生地12の上部12aに位置する上部縫い目16で、裏側に重ねられた裏生地14と互いに縫い合わされている。上部縫い目16の形状は、表生地12の上縁部12aに沿って表生地12を横断して、表生地12の上部12aに連続する一対の側縁部12bに達して設けられている。上縁部12aの中心付近に対向する部分が、下方に向かって膨出する円弧を描いて形成され、半円形状で両端部が広げられた形状になっている。
【0018】
表生地12の、左右に位置する一対の側方縫い目18でも、裏生地14と縫い合わされている。側方縫い目18の形状は、表生地12の下縁部12cの中心に近い位置と、側縁部12bの上部縫い目16の少し下の位置に達して設けられ、表生地12の中心に向かって膨出する円弧を描いて形成されている。表生地12の周縁部、つまり上縁部12a、一対の側縁部12b、下縁部12cは、裏生地14の周縁部と縫い合わされ、ほつれ止めと補強等のために、テープ部材20を二つ折りして、縫い代を包んでいる。
【0019】
表生地12と裏生地14の、上部縫い目16と、表生地12の上縁部12a、側縁部12bで囲まれた部分は上部袋体22となり、上部袋体22には上部弾性体24が入れられ、使用者の一対の肩の中心付近に当接する上部突起25が形成される。上部弾性体24は適度な弾性を有する合成樹脂材料で形成され、例えば発泡ウレタン等で作られている。上部弾性体24の形状は、一定の厚みを有する板体であり、周縁部は、上縁部12aに沿う直線と上部縫い目16に沿う曲線で形成されている。上部弾性体24の厚みは、身体の曲線に合うように変化していてもよい。
【0020】
表生地12と裏生地14の、側方縫い目18と、表生地12の側縁部12b、下縁部12cで囲まれた部分は側方袋体26となり、左右に一対が設けられ、側方袋体26には背面弾性体28が入れられ、使用者の背中に当接する当接突起29が形成される。背面弾性体28は上部弾性体24と同じ材料で作られ、背面弾性体28の形状は、
図4に示すように、正面視では略三角形に形成され、背負いカバン用背面パッド10に取り付けた状態で、厚みが上方に位置する上端部28aよりも下方に位置する下端部28bに近づくにつれて厚くなるくさび状に形成されている。略三角形状の背面弾性体28は、表生地12の側縁部12bと下縁部12cに沿う直線と、側方縫い目18に沿う曲線で形成され、略直角三角形状となり、その斜辺が円弧状に湾曲している。
【0021】
表生地12の、上縁部12aと側縁部12bの角部には、後述するランドセル42の蓋部材54に取り付ける上紐部材38が環状になって両端部が取り付けられている。下縁部12cと側縁部12bの角部にも、後述するランドセル42の底面44c側に位置する突縁部45に取り付ける下紐部材40が、環状になって両端部が取り付けられている。上紐部材38と下紐部材40は、伸縮性を有するものでもよい。
【0022】
次に、背負いカバン用背面パッド10を、
図3に基づいて説明する。裏生地14には、裏生地14の中心よりも下縁部14cに近い部分に、裏生地14とは別の3枚の生地を取り付けて頂点調整用ポケット30が設けられている。頂点調整用ポケット30は、上段ポケット30a、中段ポケット30b、下段ポケット30cが上下方向に並べられて設けられている。上段ポケット30aのポケット口31aは、裏生地14の下縁部14cに対して平行な直線で形成され、ポケット口31aの両端部は裏生地14の一対の側縁部14bに達し、テープ部材20に包まれて裏生地14に縫いつけられている。上段ポケット30aには図示しない底部が設けられ、底部はポケット口31aに平行な直線で設けられている。中段ポケット30bのポケット口31bと、下段ポケット30cのポケット口31cは、ポケット口30aと同じ形状であり、各ポケット口31a,31b,31cは互いに平行で、互に等間隔に設けられている。中段ポケット30bと下段ポケット30cにも図示しない底部が設けられ、各ポケット口31b,31cからの深さは、それぞれ上段ポケット30aのポケット口31aからの深さと同じ深さで設けられている。
【0023】
頂点調整用ポケット30の中には、補助弾性体36が出し入れ可能に入れられ、当接突起29の、後述するランドセル42側に設けられランドセル42側に突出し、当接突起29をランドセル42から離間させる調整突起37が形成される。補助弾性体36は、上部弾性体24、背面弾性体28よりもやや堅い発泡樹脂等の弾性材料で作られ、補助弾性体36の形状は、一定の厚みを有する板体であり、周縁部は、各頂点調整用ポケット30にわずかな隙間を有して収容される一方向に長い矩形に形成されている。
図3では、中段ポケット30bに補助弾性体36が入れられた状態を示す。補助弾性体36は複数枚用意され、使用者の体格や好みに合わせて、必要な個数を重ねて所望の厚みにして、必要な頂点調整用ポケット30に入れる。これにより、調整突起37は、背負いカバン用背面パッド10の裏生地14側の下縁部14c付近に、厚みと取り付け位置を調整して厚みを設けることができる。
【0024】
次に、背負いカバン用背面パッド10を取り付ける背負いカバンについて説明する。ここでは使用する背負いカバンはランドセル42であり、物品を収容する収容部44が設けられ、収容部44は、上方に開口部44aが設けられた箱形であり、収容部44の背面44bの上部には、一対の肩ベルト46が設けられている。背面44bには図示しないクッション材とクッション材を覆う表生地が取り付けられ、クッション材と表生地はテープ部材47に包まれて背面44bの周縁の突縁部45に縫いつけられている。肩ベルト46の先端側には、肩ベルト46を貫通するサイズ調整孔48が設けられている。収容部44の底面44cには、肩ベルト46に対向して、先端にバックル50を有する下部ベルト52が設けられ、下部ベルト52のバックル50に、肩ベルト46のサイズ調整孔48が係止されて環状に連結されている。収容部44には、開口部44aを覆う蓋部材54が設けられ、蓋部材54の先端には、収容部44の底面44cに着脱自在に係止する図示しない係止具が設けられている。
【0025】
次に、背負いカバン用背面パッド10の使用方法について説明する。背負いカバン用背面パッド10の頂点調整用ポケット30のうち上段ポケット30a、中段ポケット30b、下段ポケット30cのいずれかに補助弾性体36を予め入れる。これは、ランドセル42の使用者の腰のカーブを形成する仙骨に対向する位置に入れるものであり、例えばランドセル42の使用者の身長が100cmの場合は上段ポケット30a、110cmの場合は中段ポケット30b、120cmの場合は下段ポケット30cに入れる。これは使用者の体形や好みに合わせて適宜変更する。各頂点調整用ポケット30に入れる補助弾性体36の数も変更可能であり、必要な個数を重ねて所望の厚みにする。
【0026】
補助弾性体36を頂点調整用ポケット30に入れた背負いカバン用背面パッド10は、裏生地14が収容部44の背面44bに重なる向きにして上紐部材38に蓋部材54を通し、蓋部材54の基端部まで上紐部材38を移動させて、上縁部12aをランドセル42に係止する。そして、下紐部材40を収容部44の背面44bと底面44cの間に位置する突縁部45等に掛けて係止し、下縁部12cを係止し、
図1に示すように背負いカバン用背面パッド10のランドセル42への取り付けが完了する。これにより、背負いカバン用背面パッド10の裏生地14側の下縁部14c付近に、調整突起37が位置し、表生地12側の下縁部12c付近に当接突起29があるため、ランドセル42の収容部44の背面44bの底面44c側に厚みを与えることができる。
【0027】
背負いカバン用背面パッド10を取り付けた状態でランドセル42を背負うと、ランドセル42の上端が使用者に近づき、下端が使用者から離れるように傾斜する。また、背面弾性体28により底面44c側の厚みが大きいことから、使用者の背中と腰の間のくぼみに広い面積で当接突起29が当接する。当接突起29は調整突起37により、ランドセル42との間隔を調整することができ、ランドセル42を背負う角度を調整することができる。
【0028】
この実施形態の背負いカバン用背面パッド10によれば、ランドセル42の上端が使用者に近づき、下端が使用者から離れるように傾斜するため、ランドセル42の荷重が使用者の重心近くに作用し、負担が少なく、楽に背負うことができる。ランドセル42の荷重が使用者の重心に近くなることから、上体を屈曲する角度が小さくなり、背負う時の姿勢が良く、成長期における姿勢への影響を少なくすることができる。また、背負いカバン用背面パッド10の当接突起29が、底面44c側の厚みが大きく設定され、ランドセル42の荷重が使用者の背中にまんべんなく当接するため、圧力が低くなり、痛みの発生を防ぐことができる。さらに、背負いカバン用背面パッド10の裏生地14側の厚みの位置や大きさは、補助弾性体36を入れる頂点調整用ポケット30の位置や数を変更して簡単に調整することができる。使用者の成長によって腰の位置がランドセル42に対して相対的に下方に移行するが、中段ポケット30bや下段ポケット30cに補助弾性体36を移動させて対応することができ、小学校の6年間を通して適した状態を維持することができる。
【0029】
その他、この実施形態の背負いカバン用背面パッド10は、裏生地14側に頂点調整用ポケット30が設けられ、裏生地14側はランドセル42の背面44bに重ねられているため、ランドセル42を背負ったり降ろしたりする動作では頂点調整用ポケット30に接触することがなく、頂点調整用ポケット30が傷んだり、汚れたりすることがなく、補助弾性体36が不用意に外れたりすることもなく、使用しやすいものである。さらにこの背負いカバン用背面パッド10は、ランドセル42に対して上紐部材38と下紐部材40を係止するだけで取り付け可能であり、簡単に着脱することができ、いろいろな種類のランドセル42に取り付けることができ、不要な時は外すことができ、自由度が高いものである。表生地12を、メッシュ生地で作って通気性を持たせたり、ボア生地で作って保温性を持たせたり、種々の機能を付与することができ、季節に合わせて背負いカバン用背面パッド10を取り替えて快適に使用することもできる。
【0030】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各部材の形状や構造等は、適宜変更可能である。背面弾性体の形状は、上記実施形態のように一体成形で厚みを変化させたもの以外でも良く、一定厚みの板状体で大きさが異なるものを複数枚重ねて厚みを変化させたものでも良い。背負いカバンは、ランドセル以外でもよく、リュックサックや背負子等にも使用することができる。頂点調整用ポケットの数は3個に限定されず自由に変更可能であり、頂点調整用ポケットがないシンプルなものでもよい。上部弾性体や背面弾性体を交換できるように取り出し口を設けてもよい。背負いカバンに取り付ける手段は、紐部材以外でもよく、簡単な方法で着脱可能なものであればよい。背負いカバン用背面パッドは、ランドセルやその他の背負いカバンの背面に固定してもよく、この場合例えば両脇部分から補助弾性体を出し入れする構造としてもよい。また、背負いカバン用背面パッドの上縁部を背負いカバンに固定して、下縁部は着脱可能にして補助弾性体を出し入れする時だけ下縁部を外すものでも良い。
【実施例】
【0031】
次に、この発明の背負いカバン用背面パッドの一実施例について、静荷重を負荷したときの背面圧分布について測定した結果を以下に説明する。測定方法は、マネキンボディに上記実施形態の背負いカバン用背面パッド10を取り付けたランドセル42を背負わせて測定した。荷重は5.14kgであり、荷重の内訳はランドセルが1.14kgであり、2リットルの水入りペットボトル2kgを2本収容した。計測は、圧力分布測定装置FSAにより行った。マネキンは、3サイズのマネキンボディを使用し、100cmサイズ(SC812P−1N100)、110cmサイズ(SC812P−1N110)、120cmサイズ(SC812P−1N120)である。実験用にマネキンボディの首部を加工し、上肢は取り外した状態で、自作の固定台に取り付けた。
【0032】
背負いカバン用背面パッド10の測定は、3条件で行った。ランドセル42のみで背負いカバン用背面パッド10を付けないもの、ランドセル42に背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28(くさび形パッド)を付けて補助弾性体36は付けないもの、ランドセル42に背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36による頂点調節を行ったもの、の3条件とした。頂点調節は、ボディサイズが100cmのとき補助弾性体36を上段ポケット30aに3枚入れ、110cmのとき補助弾性体36を中段ポケット30bに3枚入れ、120cmのとき補助弾性体36を下段ポケット30cに3枚入れた。
【0033】
ランドセル42の肩ベルト46をボディサイズに合わせて調節し、ボディサイズが100cmのとき最もベルトが短くなるサイズ調整孔48を利用し、110cmのときそれより一つ長くなるサイズ調整孔48を利用し、120cmのときさらに一つ長くなるサイズ調整孔48を利用した。なお、背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36は付けないもの、背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36による頂点調節を行ったもの、の2条件では、それぞれのサイズ調整孔48より一つ長くなるサイズ調整孔48を利用した。
【0034】
測定した圧分布の様子を
図5に示す。これによれば、100cm、110cm、120cmの全てのボディサイズで、背負いカバン用背面パッド10無しの時には大きな圧力が腰部と肩ベルト46付け根に集中していることが分かった。しかし、背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36は付けないものでは、腰部の圧力は分散し、肩ベルト46付け根の圧力も肩ベルト46に移ることが分かった。背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36による頂点調節を行ったものは、さらに腰部の圧力は分散し、圧力は最小となり、肩部に集中する圧力も、最少となった。
【0035】
測定した圧分布について、各条件での最大圧力を
図6に示す。これによれば、100cm、110cm、120cmの全てのボディサイズで、背面圧力の最大値は、背負いカバン用背面パッド10無しの時に最大値を示し、背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36は付けないものではそれより低下し、背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36による頂点調節を行ったものでは最小値を示した。
【0036】
マネキンボディに、上記実施形態の背負いカバン用背面パッド10を取り付けたランドセル42を背負わせた画像を
図7に示す。100cm、110cm、120cmの全てのボディサイズで、各々上記の3条件でランドセル42を背負わせた。これによれば、背負いカバン用背面パッド10無しの時に、ランドセル42の背面44bが、100cmでほぼ垂直であるが、110cmで上部が肩から離れる方向にわずかに傾斜し、120cmではさらにその傾斜が大きくなり、ランドセル42の荷重が身体にかからなくなり背負いにくいものとなった。背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36は付けないものでは、100cmでは上部が肩に近づく方向にわずかに傾斜し背負い易くなる。しかし、110cmと120cmで腰の位置が下降するにつれて垂直に近くなっていた。背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36による頂点調節を行ったものでは、全てのボディサイズで上部が肩に近づく方向に傾斜し、ランドセル42の荷重が使用者の重心に近くなり、背負い易くなることがわかった。
【0037】
また、小学生15人に対して、背負いカバン用背面パッド10を取り付けたランドセル42を背負わせたときの感想を聞く官能試験を行った。ランドセル42は、ハシモトBaggage社製TBE−47を使用し、ランドセル42の中に4Kgの重りを入れた。測定条件は、aランドセル42のみで背負いカバン用背面パッド10無し、bランドセル42に背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36は付けないもの、cランドセル42に背負いカバン用背面パッド10(背面弾性体28)を付けて補助弾性体36による頂点調節を行ったもの、の3条件とした。肩ベルト46の調整は、コート等を着ていない状態で長さの調整を行い、ランドセル42の背中に手が一つ入る程度の調整とする。また、ランドセル42の上部が肩の上部と平行になるくらいを目安とする。この結果を
図8の表に示す。これによれば、aを担いだ後にbを担いでみて、aの方が良いと答えた人が3人なのに対し、bの方が良いと答えた人が12人であり、bの方が、評価が高いことが分かった。次に、bの後にcを担いでみて、bが良いが6人で、cが良いが7人であり、cの方が、わずかに評価が高いことが分かった。次にcの後にaを担いでみて、aが良いが3人であり、cが良いが12人であり、cの方が、評価が高いことが分かった。その他、bとcについて、軽く感じた、フィットした、楽に感じたという感想があり、良い評価であることが分かった。