特許第6338072号(P6338072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6338072制御された単一電子移動リビングラジカル重合のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338072
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】制御された単一電子移動リビングラジカル重合のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/01 20060101AFI20180528BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20180528BHJP
   C08F 4/40 20060101ALI20180528BHJP
   C08F 2/04 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C08F2/01
   C08F20/00
   C08F4/40
   C08F2/04
【請求項の数】31
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-504293(P2016-504293)
(86)(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公表番号】特表2016-516854(P2016-516854A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】US2014018187
(87)【国際公開番号】WO2014149411
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年2月24日
(31)【優先権主張番号】13/846,088
(32)【優先日】2013年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ジャコビン、 アンソニー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ、 ジョン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】セヌタ、 スコット
(72)【発明者】
【氏名】ドボラク、 デイビッド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ダッチ、 デボラ イー.
(72)【発明者】
【氏名】マズーロ、 ジョン
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/030261(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/020545(WO,A1)
【文献】 特開2009−030127(JP,A)
【文献】 特表2011−524942(JP,A)
【文献】 特表2004−528396(JP,A)
【文献】 特開2004−269917(JP,A)
【文献】 特開平03−110889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
4/00−4/82
20/00−20/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的SET−LRP法を実施する方法であって、
(i)反応器システムに、少なくとも1種の重合性(メタ)アクリレートモノマー、前記モノマー用の少なくとも1種の溶媒、金属塩、少なくとも1種の配位子、および少なくとも1種の開始剤を含む重合性反応流体を充填するステップであって、前記反応器システムは、連続的ポリマー製造用に構成された反応容器を含み、前記反応容器は、銅製または銅表面を有する管形反応器またはパイプであり、銅は、還元剤で前処理され、前記重合性反応流体を1.4以下の多分散性を有するラジカルリビングポリマーへと転化するために十分な触媒が存在するステップ、
(ii)連続的SET−LRP反応を前記反応容器中で、前記多分散性を有するポリマーの所望のレベルの転化率を生ずるのに十分な時間にわたり、かつそれに十分な温度で実施するステップ、および
(iii)前記ポリマーを単離するステップ、
を含む、方法。
【請求項2】
前記反応容器が、コイルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記還元剤が、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応容器が、銅製である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反応容器が、銅表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレートモノマーが、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記(メタ)アクリレートモノマーが、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒が、双極性、プロトン性または非プロトン性の溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が、水、アルコール、天然もしくは合成の高分子アルコール、双極性の非プロトン性溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イオン液体、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、およびtert−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、テトラエチレングリコール、グリセリン、HEMA、フェノール、DMSO、DMF、DMAc、NMP、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネート、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属塩が、遷移金属の塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記金属が、Cu、Mn、Ni、Pt、Fe、Ru、V、Au、Ag、Hg、Rh、Co、Ir、Os、Re、Mn、Cr、Mo、W、Nb、Ta、およびZnからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属塩が、ハロゲン化物、酢酸塩、酸化物、または硫化物である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記金属が、銅である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記金属塩が、臭化銅(II)である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記配位子が、金属触媒が配位子によって可溶化され得るほどまで金属(または金属塩)触媒の抽出を助け、より高い酸化状態で得られるのに適した含窒素配位子である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記配位子が、遷移金属に対してσ結合を通じて配位しうる1つ以上の窒素、酸素、リン、および/または硫黄原子を有する、または遷移金属に対してπ結合を通じて配位しうる2つ以上の炭素原子を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記配位子が、トリス(2−ジメチルアミノエチル)アミン(Me6−TREN)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、2,2−ビピリジン(bpy)、およびN,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記開始剤が、式R−XまたはR’C(=O)OR’’[式中、Xはハロゲンであり、RはC〜Cアルキルであり、R’は、カルボニル基に隣接した炭素原子に結合された少なくとも1つのハロゲン原子を含むC〜Cアルキルであり、R’’はC〜Cアルキルである]の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記開始剤が、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート、エチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート)、エチレングリコールモノ−2−ブロモプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(2−ブロモプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2−ブロモプロピオネート)、2,2−ジクロロアセトフェノン、メチル2−ブロモプロピオネート、メチル2−クロロプロピオネート、N−クロロ−2−ピロリジノン、N−ブロモスクシンイミド、ポリエチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート)、ポリエチレングリコールモノ(2−ブロモプロピオネート)、2−ブロモプロピオニトリル、ジブロモクロロメタン、2,2−ジブロモ−2−シアノアセトアミド、α,α’−ジブロモ−オルト−キシレン、α,α’−ジブロモ−メタ−キシレン、α,α’−ジブロモ−パラ−キシレン、α,α’−ジクロロ−パラ−キシレン、2−ブロモプロピオン酸、メチルトリクロロアセテート、パラ−トルエンスルホニルクロリド、ビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド、ジフェニルエーテル−4,4’−ジスルホニルクロリド、ブロモホルム、ヨードホルム、四塩化炭素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
所望の転化率レベルに達するまで反応ステップを繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
反応混合物の転化率レベルを分析機器で測定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
更に、転化率レベルが、分光分析により測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
更に、実質上酸素非存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
反応容器を非反応性ガスで連続的にパージすることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記非反応性ガスが、窒素またはアルゴンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ポリマーが、1.035〜1.4の範囲の多分散性指数を有する、請求項に記載の方法。
【請求項28】
ポリマーが、1.1〜1.4の範囲の多分散性指数を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ポリマーが、500〜500,000g/モルの範囲の数平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
ポリマーが、25,000〜100,000g/モルの範囲の数平均分子量を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ポリマーが、25,000〜55,000g/モルの範囲の数平均分子量を有する、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマーの制御ラジカル重合のための方法に関する。より具体的には、本発明は、とりわけ転化率が高められ、かつ多分散性の低い、モノマーの制御された単一電子移動リビングラジカル重合(SET−LRP)のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単一電子移動リビングラジカル重合(以下、SET−LRP)および原子移動リビング重合(以下、ATRP)を含む、制御ラジカル重合(以下、CRP)は、非停止型の官能性末端を有し、高い分子量を有し、かつ低い多分散性指数を有する様々なポリマー生成物を高収率で製造する方法である。CRPにおいては、ポリマー成長反応に対して、連鎖移動反応と停止反応は本質的に存在しない。これらの開発は、正確で定量的な官能価を示すポリマーの製造につながり、特定の化学反応性を持った官能性ポリマーの開発につながった。このように、CRPは様々なポリマー生成物の設計に使用されている。しかしながら、一般的にCRPによって製造されたこれらのポリマー生成物は、末端に官能基を有する硬化性の生成物になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
制御ラジカル重合を、できる限り環境に優しく、かつ、できる限り低コストの機能性材料の調製方法にする努力が絶えずなされている。ポリマーの分子量、分子量分布、組成、構造および官能価を制御することなどのファクターは、そのような方法の設計および実施において重要な考慮すべき事項である。
【0004】
当該技術分野においては、効率的であり、効果的であり、かつ所望の特性、特質および特徴を有する制御されたポリマー生成物を確実に、大規模に製造できるラジカル重合の方法へのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様において、本発明は、とりわけ転化率が高められ、多分散性が低い、高転化率でのモノマーのSET−LRPのための方法を提供する。
【0006】
別の態様において、本発明は、連続反応器における(メタ)アクリレートポリマーのSET−LRPのための方法を提供する。連続流反応器の使用は、銅製の管形反応器か、または管の内部に銅を含有する管形反応器のいずれかにおけるSET−LRPによる多くの(メタ)アクリレートポリマーの合成を可能にする。
【0007】
別の態様において、本発明は、遷移金属製の管形反応器か、または管の内部に遷移金属を含有する管形反応器のいずれかにおける(メタ)アクリレートポリマーのSET−LRPのための方法を提供する。連続流反応器の使用は、SET−LRPによる多くの(メタ)アクリレートポリマーの合成を可能にする。
【0008】
別の態様において、本発明は、銅製の管形反応器か、または管の内部に銅を含有する管形反応器のいずれかにおける(メタ)アクリレートポリマーのSET−LRPのための方法を提供する。連続流反応器の使用は、SET−LRPによる多くの(メタ)アクリレートポリマーの合成を可能にする。
【0009】
更に別の態様において、本発明は、連続管形反応器における(メタ)アクリレートポリマーのSET−LRPのための方法を提供する。連続反応器の使用は、反応容器中で調製されるのに対して相対的に短い時間での(メタ)アクリレートポリマーの製造を可能にする。反応温度(5〜70℃、時により約22℃)は、また、バッチ式処理温度(通常は少なくとも40℃以上)を十分に下回り、より低い発熱量を可能にする。
【0010】
別の態様において、本発明は、銅製の連続管形反応器か、または管の内部に銅を含有する連続管形反応器のいずれかにおける(メタ)アクリレートポリマーのSET−LRPのための方法を提供する。この反応器は、また、銅管の大きい表面積のため、より小さい製造設置面積を可能にし、より効率的な熱伝導を可能にする。
【0011】
更に別の態様において、本発明は、連続反応器中で、種々の組成の(メタ)アクリレートポリマー(ホモポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマーなど)を種々の分子量で、1.4未満の低い多分散性指数(「PDI」)で製造する利点を提供する。連続反応器中でのSET−LRPは、メタ(アクリレート)ポリマーの製造のためには広くは使用されていない。N.Chan et al.,Macromolecular Rapid Communications,Vol.32(2011),p.604〜609には、バッチサイズ32mLで、分子量6600および多分散性指数1.44までのみの、銅管でのメチルアクリレートポリマーを作製する方法が記載されている。他の興味深い刊行物には、N.Chan et al.,Polym.Chem.,Vol.3(2012),p.1322〜1333、およびN.Chan et al.,Polym.Chem.,Vol.3(2012),p.486〜4971333がある。
【0012】
更に別の態様において、本発明は、銅製の管形反応器か、または銅金属を含有する管形反応器のいずれかによる、低温での、例えば5〜70℃でのリビングポリマーの製造を可能にする。好ましくは、その反応温度は、20〜40℃の範囲であり、より好ましくは室温または室温近くの温度、例えば20〜30℃である。
【0013】
反応混合物を管形反応器に通過させると、高転化率および1.4未満の低いPDIでSET−LRPによってポリマーが生成される。
【発明の効果】
【0014】
限定されない、本方法の利点には、急速な重合、狭いPDI、広範囲の高品質のポリマーの調整可能な製造方法、溶媒、モノマー、温度などの迅速なスクリーニングが含まれる。
【0015】
さらに、本発明のポリマーは、例えば自動車、エレクトロニクス、注封材料、ガスケット材料などの様々な分野において、優れた用途を有する。
【0016】
本発明のこれらの態様と他の態様は、以下の詳細な説明と実施例の検討を通じてより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に従ってSET−LRPを実施するのに適した反応器容器の例の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、当該技術分野における、効率的であり、効果的であり、かつ所望の特性、特質および特徴を有する制御されたポリマー生成物を確実に製造できるSET−LRPの方法へのニーズを満たしている。更に、本発明の方法は、小規模で、大規模で、または商業的規模で、同じ程度の実用性と結果の予測可能性で実施することができる。
【0019】
一つの態様において、本発明は、
(i)反応器システムに、少なくとも1種の重合性(メタ)アクリレートモノマー、前記モノマー用の少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の金属もしくは金属塩、少なくとも1種の配位子、および少なくとも1種の開始剤を含む重合性反応流体を充填するステップであって、前記反応器システムは、連続的ポリマー製造用に構成された反応容器を含み、前記反応容器は触媒表面を含み、前記触媒表面が還元剤で前処理された銅を含み、かつ前記重合性反応流体を1.9以下の多分散性を有するラジカルリビングポリマー(RLP)へと転化するために十分な触媒が存在するステップ、
(ii)連続的SET−LRP反応を前記反応容器中で、前記多分散性を有するポリマーの所望のレベルの転化率を生ずるのに十分な時間にわたり、かつそれに十分な温度で実施するステップ、および
(iii)前記ポリマーを単離するステップ、
を含む、連続的SET−LRP法を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、
(i)反応器システムに、少なくとも1種の重合性(メタ)アクリレートモノマー、前記モノマー用の少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の金属もしくは金属塩、少なくとも1種の配位子、および少なくとも1種の開始剤を含む重合性反応流体を充填するステップであって、前記反応器システムは、連続的ポリマー製造用に構成された反応容器を含み、前記反応容器は、触媒表面を含む管形反応容器であり、前記触媒表面が還元剤で前処理された銅を含み、かつ前記重合性反応流体を1.9以下の多分散性を有するラジカルリビングポリマー(RLP)へと転化するために十分な触媒が存在するステップ、
(ii)連続的SET−LRP反応を前記反応容器中で、前記多分散性を有するポリマーの所望のレベルの転化率を生ずるのに十分な時間にわたり、かつそれに十分な温度で実施するステップ、および
(iii)前記ポリマーを単離するステップ、
を含む、連続的SET−LRP法を提供する。
【0021】
別の態様において、本発明は、
(i)反応器システムに、少なくとも1種の重合性(メタ)アクリレートモノマー、前記モノマー用の少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の金属もしくは金属塩、少なくとも1種の配位子、および少なくとも1種の開始剤を含む重合性反応流体を充填するステップであって、前記反応器システムは、連続的ポリマー製造用に構成された反応容器を含み、前記反応容器は触媒表面を含み、前記触媒表面がヒドラジン水和物で前処理された銅を含み、かつ前記重合性反応流体を1.9以下の多分散性を有するラジカルリビングポリマー(RLP)へと転化するために十分な触媒が存在するステップ、
(ii)連続的SET−LRP反応を前記反応容器中で、前記多分散性を有するポリマーの所望のレベルの転化率を生ずるのに十分な時間にわたり、かつそれに十分な温度で実施するステップ、および
(iii)前記ポリマーを単離するステップ、
を含む、連続的SET−LRP法を提供する。
【0022】
別の態様において、本発明は、
(i)反応器システムに、少なくとも1種の重合性(メタ)アクリレートモノマー、前記モノマー用の少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の金属もしくは金属塩、少なくとも1種の配位子、および少なくとも1種の開始剤を含む重合性反応流体を充填するステップであって、前記反応器システムは、連続的ポリマー製造用に構成された反応容器を含み、前記反応容器は、触媒表面を含む管形反応容器であり、前記触媒表面がヒドラジン水和物で前処理された銅を含み、かつ前記重合性反応流体を1.9以下の多分散性を有するラジカルリビングポリマー(RLP)へと転化するために十分な触媒が存在するステップ、
(ii)連続的SET−LRP反応を前記反応容器中で、前記多分散性を有するポリマーの所望のレベルの転化率を生ずるのに十分な時間にわたり、かつそれに十分な温度で実施するステップ、および
(iii)前記ポリマーを単離するステップ、
を含む、連続的SET−LRP法を提供する。
【0023】
前記反応容器は、典型的には、適当な遷移金属製の管またはコイルである。特に適した管またはコイルは、銅の、または銅製の、または銅を含むものである。
【0024】
好ましい一実施形態において、前記反応容器の銅は、重合媒体と接触させる前に、適当な還元剤で前処理される。この前処理は、一般的に、反応器の銅(または遷移金属)を、適当な有機溶媒中の還元剤の溶液で処理する(例えば、すすぐ)ことによって行うことができる。特に適した還元剤は、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物である。アセトン、アルコール、エステルなどの溶媒は、還元剤(例えばヒドラジンまたはヒドラジン水和物)を溶解するために使用することができる。還元剤による処理(例えば、すすぎ)は、一般的に約5〜60分間、好ましくは10〜40分間、典型的には約10〜20分間、行うことができる。溶液は、還元剤を、一般的に約500〜5000ppmの量で、好ましくは1000〜2000ppmの量で含有することができる。
【0025】
適当な重合性モノマーは、式CH=C(R)(CO)[式中、RはHまたはCHであり、RはC1〜20アルキル、C6〜20アリールまたはC7〜20アラルキルである]の(メタ)アクリレートである。具体的には、前記モノマーは、例えばアルキル(メタ)アクリレート類、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸類、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上であることができる。より具体的には、本発明の実施形態でポリマーを製造するために使用されるモノマーは、任意の特定の種類に制限されるものではなく、様々なモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、および2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸モノマーを含む。
【0026】
溶媒は、本発明では、例えば反応混合物の粘度を低下させるために、配位子の転化率を増加させるために、および、超高速の重合を容易にするために迅速な触媒の不均化を促進するために導入することができる。更に、溶媒は、連鎖移動、副反応、または触媒の被毒を防ぐために非反応性であるべきである。本方法の好ましい溶媒は、双極性、プロトン性または非プロトン性の溶媒を含む。幾つかの好ましい溶媒は、水、アルコール、天然もしくは合成の高分子アルコール、双極性の非プロトン性溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イオン液体、またはそれらの混合物を含む。例えば、そのような溶媒は、HO、MeOH、EtOH、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、テトラエチレングリコール、グリセリン、HEMA、フェノール類、DMSO、DMF、DMAc、NMPなど、イオン液体、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートを含むことができる。適当なアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、およびtert−ブタノール、グリセリン、ならびに他の天然および合成の複数のOH基を含むポリマーを含む。望ましくは、選択される溶媒または溶媒混合物は、反応の間、ポリマー生成物の沈殿を引き起こさない。
【0027】
反応重合媒体中の溶媒の量は、重合媒体の全重量に対して、5〜75重量%の範囲、好ましくは5〜30重量%の範囲にある。
【0028】
重合用の触媒は、一般的に、金属または金属塩と配位子との錯体である。適当な金属は、反応容器の表面の一部である遷移金属であり、または反応容器が、そのような金属製、または金属塩製である。適当な金属は、例えば、Cu、Mn、Ni、Pt、Fe、Ru、V、Au、Ag、Hg、Rh、Co、Ir、Os、Re、Mn、Cr、Mo、W、Nb、Ta、Znなどの遷移金属である。上記の金属の適当な塩は、例えばハロゲン化物、酢酸塩、酸化物、硫化物などである。好ましい金属は銅であり、好ましい塩は臭化銅(II)である。
【0029】
本発明において適当な配位子は、例えば、金属触媒が配位子によって可溶化され得るほどまで金属(または金属塩)触媒の抽出を助けることができ、より高い酸化状態で得られる含窒素配位子を含む。このように、この配位子が、それが分子レベルで反応混合物の様々な成分の混合を促進することを助けうるということで、重合反応を推進するために望ましいことがある。広範な様々な含窒素配位子が、本発明で使用するのに適している。これらの化合物は、一級、二級、および三級のアルキルアミンまたは芳香族アミン、ならびに直鎖、分岐状、または樹枝状のポリアミンであってよいポリアミン、およびポリアミドを含む。本発明で使用するのに適した配位子は、遷移金属に対してσ結合を通じて配位しうる1つ以上の窒素、酸素、リンおよび/または硫黄原子を有する配位子、ならびに、遷移金属に対してπ結合を通じて配位しうる2つ以上の炭素原子を含む配位子を含む。例えば、適当な配位子は、トリス(2−ジメチルアミノエチル)アミン(Me6−TREN)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、2,2−ビピリジン(bpy)、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)および多くの他のN−配位子を含むことができる。
【0030】
前記配位子は、優先的に、可溶性の酸化還元共役の錯体を遷移金属、すなわちより高い酸化状態の遷移金属と形成でき、成長するラジカル鎖の不活性化に活性な錯体が形成され、それはポリマー生成物の狭い分子量分布に寄与することがある。
【0031】
本方法に適した開始剤は、フリーラジカル反応を開始でき、従って反応容器中の成長しているポリマー鎖の数の一因と考えることができる。適当な開始剤は、例えばハロゲン含有化合物を含む。開始剤の例は、クロロホルム、ブロモホルム、ヨードホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、ヘキサハロゲン化エタン、モノ、ジおよびトリハロアセテート、アセトフェノン、ハロゲン化アミド、およびナイロンなどのポリアミド、それらのブロックコポリマーを含むハロゲン化ウレタンおよびポリウレタン、ハロゲン化イミド、アセトンならびにSET−LRPを含む従来の金属触媒によるリビングラジカル重合で働くことが示されている任意の他の開始剤を含む。
【0032】
広範な様々な開始剤が、本発明で使用するのに適している。ハロゲン化化合物は、本発明で使用するのに特に適している。これらの開始剤は、式R−XまたはR’C(=O)OR’’[式中、Xはハロゲンであり、RはC〜Cアルキルであり、R’は、カルボニル基に隣接した炭素原子に結合された少なくとも1つのハロゲン原子(例えば1、2または3個)を含むC〜Cアルキルであり、R’’はC〜Cアルキルである]の化合物を含む。例えば、前記開始剤は、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート、エチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート)、エチレングリコールモノ−2−ブロモプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(2−ブロモプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2−ブロモプロピオネート)、2,2−ジクロロアセトフェノン、メチル2−ブロモプロピオネート、メチル2−クロロプロピオネート、N−クロロ−2−ピロリジノン、N−ブロモスクシンイミド、ポリエチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート)、ポリエチレングリコールモノ(2−ブロモプロピオネート)、2−ブロモプロピオニトリル、ジブロモクロロメタン、2,2−ジブロモ−2−シアノアセトアミド、α,α’−ジブロモ−オルト−キシレン、α,α’−ジブロモ−メタ−キシレン、α,α’−ジブロモ−パラ−キシレン、α,α’−ジクロロ−パラ−キシレン、2−ブロモプロピオン酸、メチルトリクロロアセテート、パラ−トルエンスルホニルクロリド、ビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド、ジフェニルエーテル−4,4’−ジスルホニルクロリド、ブロモホルム、ヨードホルム、四塩化炭素、ならびにそれらの組み合わせを含むことができる。ある実施形態においては、開始剤は、アルキル、スルホニルまたは窒素のハロゲン化物であることができる。窒素ハロゲン化物は、また、ハロゲン化ナイロン、ペプチドまたはタンパク質であることができる。あるいは、活性ハロゲン化基を含むポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリマーおよびコポリマーのクロロメチル基またはポリクロロメチルスチレンも開始剤として使用することができる。
【0033】
前記重合反応は、好適には、上記の温度、または室温近くの温度、例えば約20〜30℃で行われる。
【0034】
適当な連続反応容器は、重合プロセスの間の成分の効率的な相互作用のために大きな表面積を与える連続反応器である。適当な反応器は、先に記載したものなどの管形反応器である。特に好ましい管形反応器は、大きな表面積を与えるコイル型管形反応器である。
【0035】
したがって、本発明の一つの態様においては、反応器一式が準備される。制限されるものではないが、適当な反応器の一例を図1に示す。
【0036】
本発明の方法は、所望の鎖長、多分散性、分子量、および官能価が最終生成物に容易に組み込まれるように、最終ポリマー生成物の高い制御を可能にする。このように、本発明は、以前の方法の分子量分布の不十分な制御、低い官能価、ポリマーレオロジーの不十分な制御、および望ましくない多分散性を克服する。また、この方法はこのように予測可能であるので、高い予測可能性をもって容易に大規模に実施でき、および/または、最終ポリマー生成物の特性を新たな度合いに適合させるために使用でき、生成物はそれらの特性に基づいて設計することができる。ポリマーの構造および組成はより正確であり、かつ最終生成物は、より良好な生成物を促進する、より望ましい特性および特質を有する。更に、前記システムの構成要素は、モノマーの(共)重合の更により正確な制御をもたらすように最適化することができる。
【0037】
本発明の生成物は、プラスチック、エラストマー、接着剤、乳化剤、熱可塑性エラストマー等として使用することができる。
【0038】
本方法からの所望のポリマーは、ある一定の特性および特質を有する。最終ポリマー生成物は、予測されるように、低い多分散性、および理論分子量に近い分子量を有するように製造できることが望ましい。これらの特徴の値および測定は本明細書中の実施例の欄で記載するが、それぞれの特性の簡単な考察を以下に続ける。
【0039】
重合度は、数平均分子量を供給物中の全てのモノマーの加重平均分子量で割ったものであり、それは、制御された重合においてはモノマー転化率の一次関数である。SET−LRPは、以下の2つの条件:
開始は、ほぼ全ての鎖が同時に成長し始めるように、十分に速くあるべきこと、
ほとんど、または全く連鎖移動が起こらず、鎖の総数が増えないこと、を必要とする。ポリマーの分野の当業者には、ポリマーの多分散性指数が広い場合、該ポリマーは、そのポリマーの数平均分子量よりもかなり小さい分子量のセグメントと、かなり大きい分子量のセグメントとを有するポリマーのセグメントを含むことはよく知られている。一方で、低分子量のセグメントは、引張強さ、伸び、および曲げ弾性率などのポリマーの物理的性質に悪影響を及ぼすことがあり、他方で、非常に大きな分子量のセグメントは、ポリマーの加工性に制限を生ずることがあるポリマーの高い溶融粘度をもたらすことがある。したがって、最終のポリマーがよく規定され、かつ狭い多分散性指数を有する場合には明らかな利点が存在する。このことは、特性の点からより予測可能なポリマー生成物を可能にし、前記不利益を最小限にする。
【0040】
最終ポリマー生成物において、狭い分子量分布、すなわち多分散性指数を有することが望ましい。狭い分子量分布は、ポリマーの鎖長、末端基官能価、および均一性(consistency)が実質的に一定であるので、本発明の重合から達成することができる。狭い分子量分布を達成するにあたり、幾つかのファクターを促進することができる。狭い分子量分布に寄与する幾つかのファクターは、(1)成長速度と競争的である開始速度(全てのポリマー鎖の同時の成長を可能にする);(2)成長よりも速い、異なる反応性の化学種の間の交換(均一な成長のために、全ての活性な鎖末端がモノマーとの反応を等しく受けることを保証する);(3)少ない〜起こらない連鎖移動または停止;(4)不活性化に対する活性化の速度;および(5)混合が十分に速い均一系(全ての活性中心は重合の開始時に導入される)を含む。これらのファクターを満たす重合は、ポアソン分布の理論値1+1/DPに近い多分散性を有することができる。例えば、本方法のポリマー生成物のPD(多分散性)は、1.9未満、例えば1.1〜1.9、より具体的には1.4未満、例えば1.1〜1.4、ある場合には1.1未満、例えば1.035であることができる。
【0041】
最終生成物の別の特質は、長寿命のポリマー鎖である。これは、全ての鎖が、モノマーの完全な消費後に、その活性中心を保持することを指す。したがって、追加のモノマーを導入すると、成長が再び始まる。このファクターは、連続的なモノマーの添加によるブロックコポリマーの調製を可能にする。
【0042】
本重合は、組成、官能価および分子レベルでのトポロジーの多くの変化の様々な態様の選択および制御によってバルク特性を制御する最良の機会を提供する。本発明の方法で、確実に多分散性、分子量、官能価、および長寿命の鎖長が最終ポリマー生成物において促進されるために、先に述べた多くの特質およびファクターを制御することができる。例えば、多分散性は、本発明においては、不活性化の速度が初期成長(活性化)の速度と同じか、それより大きいことを保証することによって制御することができる。
【0043】
本発明のある実施形態は、ポリマーおよびコポリマーの微細構造の制御のための重合方法に関する。本発明のある実施形態は、有機ハロゲン化物開始剤を用いたハロゲン含有アクリル系モノマーのリビングラジカル重合、およびそれからのポリマーの生成に関する。様々な実施形態の方法は、高く、効率的な転化と高速または超高速の重合反応によって得られる、狭い分子量分布を有する最終ポリマー生成物を提供する。このように、本方法により得られた最終ポリマー生成物は、予測可能な分子量、低い多分散性指数、および高い官能価を有する。
【0044】
図1は、本発明の装置(10)の一実施形態を規定する。SET−LRPのための装置(10)は、外径(OD)0.25インチの銅製コイルである反応容器(20)と、供給タンク(30)と、注入および重合反応の間の不活性雰囲気の維持(および空気および/または酸素の遮断)のための窒素(またはアルゴン)の導管(40)と、前記銅製コイル中への重合媒体の流入を制御するためのバルブ(50)と、流れを制御するためのニードルバルブ(60)と、前記コイルの温度を測定するための熱電対(70)と、レシービングタンク(80)と、を含む。反応容器(20)は、好ましくは、重合媒体が銅表面と接触する相当な表面積を与える、図示されるコイルの形態、または任意の他の適当な形態で構成することができる。反応容器(20)および反応装置(10)は、望まれる通りに、様々な機能および用途のための複数の入口および出口を含むように構成されていてよいことが理解されるべきである。また、様々な構成要素を互いに連結するために、様々な配管、導管、ポンプなどを使用することができる。更に、反応装置(10)は、例えば反応速度、転化のレベル、相対収率、副反応の存在、不純物、中間体の特質、分子量、多分散性指数などの様々な特性を測定するのに必要とされる1または複数の分析機器を含むことができる。これらの1または複数の機器は、反応装置(10)から分離していてもよい。
【0045】
制限されるものではないが、有用な分析機器および分析法の例は、分光分析機器、クロマトグラフィー機器、核磁気共鳴機器、質量分光分析機器、ゲル浸透クロマトグラフィー技術、およびこれらの機器または技術の組み合わせから選択できる。分析機器は、インラインであっても、または前記装置から分離していて、反応容器から抜き出された試料を用いるものであってもよい。
【0046】
転化のレベルは、分光分析によって測定することができる。例えば、最終生成物の分析およびキャラクタリゼーションは、赤外線分光分析によって完了できる。これは、UV−VIS IR、分光測光法、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、FTIR分析、ならびに他の分光技術を含むことができる。例えば、一つの有用な分析機器(70)は、反応が進行するにつれての反応混合物の転化のレベルの定期的な測定を行うために、反応容器中のプローブと一緒に構成されたフーリエ変換赤外分光光度計であることができる。
【0047】
あるいは、反応混合物の相対的な粘度の増加は、トルク分析器を備えた撹拌機を用いて測定され、独立した較正を通じてモノマー転化率と相関させることができる。また、試料を反応器から定期的に抜き出すことができ、かつNMR、GPC、屈折率、吸光度、比色分析などの技術によって外部で分析できることは注目すべきである。
【0048】
更に、転化の程度は分析的に測定できるが、理論的に測定することもできる。
【0049】
本発明の方法は、図1の例示的な装置において、または当該技術分野で公知である同等の物において実施することができる。
【0050】
いかなる理論にも拘束されるものではないが、SET−LRP反応は、Cu(0)化学種とハロゲン含有基質(開始剤またはハロゲン停止ポリマー鎖末端)との間のSET反応から始まると考えられる。任意の極性溶媒は、ラジカル−アニオン対からのアニオン(X−)と求電子ラジカル(R¥)との相互作用の低下を促進する。ラジカル−アニオンクラスターおよびCu/L+の対カチオンは、いわゆるケージ型イオン対で密接していなければならず、したがって、更に該ラジカル−アニオンの、求電子ラジカルとアニオン(X−)への分解が促進される。極性媒体中でのラジカルと不活性化剤CuX/配位子との間の反応は、より複雑なプロセスである。考えられるメカニズムの一つは、ラジカル−アニオン[R−−−X]¥とCuX/L+対カチオンより成る類似のイオンケージとなる、不活性化剤からのハロゲン化物アニオンXの、成長しているマクロラジカルR¥への移動を含むことがある。SET−LRPでは、アルキルハロゲン化物、スルホニルハロゲン化物、およびN−ハロゲン化物で開始される「Cu(I)X」触媒のLRPの促進が、例えばポリメタクリレートのような高分子量物質を含む、HO、アルコール、エチレングリコール、DMSO、DMF、およびイオン液体中で観察される。
【0051】
この重合は、Cu(0)化学種が電子供与体として作用し、活動停止状態の開始剤および成長しているR−X化学種が電子受容体として作用する外圏型SETメカニズムによって進行する。過剰のCu(II)X化学種が望ましくないラジカル二量化によって生成される、ATRPを含む他の金属触媒LRPとは対照的に、ここでは、ラジカルの可逆的不活性化を担うCu(II)X化学種が、Cu(I)Xの不均化によって生成される。この新しい重合に関与する外圏型SETプロセスは、非常に低い活性化エネルギーを有する。従って、SET−LRPは、非常に速い活性化および不活性化ステップを含み、室温では二分子停止は無視できる。
【0052】
前記配位子は、優先的に、可溶性の酸化還元共役の錯体を遷移金属、すなわちより高い酸化状態の遷移金属と形成でき、成長するラジカル鎖の不活性化に活性な錯体が形成され、それはポリマー生成物の狭い分子量分布に寄与することがある。
【0053】
キャッピング剤は、鎖の安定性および完全性を維持しつつ、所望の官能性末端基で最終生成物の末端基をキャップすることが望まれることができる1種の化合物または化合物の組み合わせを含むことができる。例えば、キャッピング剤は、2−アリルアルキルエタノール、アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、1,6−ヘプタジエン、シクロオクチルジエン、ノルボルナジエン、およびSET−LRP条件下でホモポリマーを形成しない傾向が知られる他のオレフィンを含むことができる。
【0054】
得られたキャップされたポリマー生成物の精製ステップは、最終ポリマー生成物から触媒を除去することを含むことができる。精製は、最終生成物を含む反応混合物をアルミナカラム、シリカカラム、活性炭、銅捕捉基を有する架橋ポリマーに通すことによって、または、銅キレート基を有する物質で反応混合物を処理することによって行うことができる。
【0055】
置換反応による最終生成物の官能化が望まれる場合には、更なるステップは、最終ポリマー生成物を準備すること、反応をクエンチすること、反応混合物を精製すること、ポリマー中間体を求核試薬で置換すること、および、置換されたポリマー生成物を精製することを含むことができる。
【0056】
クエンチステップは、例えば反応を酸素で、または停止剤でクエンチすることを含むことができる。
【0057】
反応混合物の精製ステップは、最終ポリマー生成物から触媒を除去することを含むことができる。精製は、最終生成物を含む反応混合物をアルミナカラム、シリカカラム、活性炭、銅捕捉基を有する架橋ポリマーに通すことによって、または、銅キレート基を有する物質で反応混合物を処理することによって行うことができる。
【0058】
ハロゲン原子の置換のための求核剤は、例えばホスフィン、チオレート、アミン、アジド、カルボキシレート、アルコキシド、およびナトリウムカルボキシレートを含むことができる。
【0059】
最終精製ステップは、最終生成物を含む反応混合物をアルミナカラムに通すことを含むことができる。本方法はまた、コポリマーおよび/またはブロックコポリマーの生成を含む。したがって、本方法は、容器に最初に充填されたモノマーとは異なる、続いてのモノマーを添加するステップと、所望の転化率レベルに達するまで幾つかの先のステップを繰り返すことを含む。反応容器中で、最初の反応が所望の転化率レベルにまで進行した後に、その反応容器中に異なるモノマーを添加することができる。反応は、異なるモノマーがブロックを作りながら進行する。一つの代替案として、反応が所望の転化率レベルにまで進行した後に、その反応を停止させ、精製することができる。その後、新たな配位子と触媒を備えた装置に、ポリマー生成物を第二のモノマーとともに使用でき、このポリマー生成物は逐次重合のためのマクロ開始剤として作用することができる。得られるポリマーは、1つ以上の様々な形を取るブロックコポリマーであることができる。これらの形態は、例えばテレケリックポリマー(官能化された末端基を有するポリマー)および/またはブロックコポリマーを含むことができる。
【0060】
本発明の方法の最終生成物は、例えば、ブロックポリマー、ランダムポリマー、周期的ランダムポリマー、グラジエントポリマー、星形ポリマー、グラフトポリマー、櫛形ポリマー、(ハイパー)ブランチ型ポリマー、または樹枝状ポリマーであってよい、ホモポリマーおよび/または(コ)ポリマーを含むことができる。慣用用語の中の挿入句的な接頭語「(コ)」は一つの選択肢であり、すなわち、「(コ)ポリマー」は、コポリマー、またはホモポリマーを含むポリマーを意味する。同様に、本明細書で用いられる「(ハイパー)」は、低い分岐度と比べて、比較的高い、コポリマー骨格に沿った樹枝状の分岐度を指す。
【0061】
本発明は、周期的または交互コポリマーを調製するために使用することができる。本発明の方法は、モノマーのうちの1つが1つ、または2つの嵩高い置換基を有し、立体的な問題のために、それからホモポリマーを調製することが困難であることがある場合に、交互コポリマーを製造するのに特に有用であることがある。供与体の特性と受容体の特性を有するモノマーの共重合は、主に交互モノマー構造を有する生成物の生成をもたらす。
【0062】
「交互」コポリマーは、電子供与体特性を有する1つ以上のモノマーと、電子受容体型特性を有する1つ以上のモノマー(アクリレート、メタクリレート、不飽和ニトリル、不飽和ケトンなど)との共重合によって調製される。ランダムまたは交互コポリマーは、ブロックコポリマー、星形コポリマー、グラフトコポリマー、櫛形コポリマー、またはハイパーブランチ型コポリマーのいずれかにおけるブロックとなることもできる。
【0063】
最終生成物は、分子量、多分散性、分子量の単峰性分布などを含む、1つ以上の特徴によって特徴付けることができる。
【0064】
本発明の方法の1つ以上は、2,000〜20,000,000g/モルの分子量を有するポリマー生成物を生成することができる。更に、ポリマー生成物は、約1.9以下、ある場合は1.035〜1.4、ある場合は1.1〜1.2の多分散性も有することができる。ある実施形態においては、本明細書に記載される方法によって製造されるポリマーは、少なくとも約500〜500,000g/モルの数平均分子量を有する。他の実施形態においては、ポリマーは、5,000〜100,000g/モルの数平均分子量を有する。更に他の実施形態においては、ポリマーは、25,000〜55,000g/モルの数平均分子量を有する。
【0065】
本発明を好ましい実施形態と関連させて説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される発明の基本的な性質および範囲から逸脱することなく様々な変更ができることは当業者によって理解されるであろう。本明細書に開示される実施形態のいずれも、他の特徴と組み合わせて使用することができる。
【実施例】
【0066】
実施例1:メタノール中での、30Kのジブロモ末端ポリブチルアクリレートの合成
反応を開始する前に、銅製コイルを、1000〜2000ppmのヒドラジン水和物を含むアセトンで少なくとも15分間すすいだ。
【0067】
供給タンクに、n−ブチルアクリレート(185.85g、1.45モル)、メタノール(189g)、トリス(2−メチルアミノエチル)アミン(0.231g、0.0010モル)、臭化銅(II)(0.01g、0.00005モル)、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート(1.80g、0.005モル)を添加した。供給タンク中の材料は、30分間の窒素の液面下への注入で脱気した。供給タンクの底部のバルブを開き、この溶液で銅製コイルを満たした。この材料は発熱が示されるまでその管形反応器中に5分未満放置して、次いで、管形反応器の底にあるバルブを僅かに開き、その材料を銅製コイル中を通過させた。約2時間後に、全ての溶液は銅製コイルからレシービングフラスコ中へと流れた。重合は、ブチルホモポリマー溶液を空気でパージすることによって終了させた。
【0068】
このポリマーの転化率と構造を、クロマトグラフィー分析および分光分析によって確認した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:THF;1mL/分;RI検出器;PMMA較正)は、21267の数平均分子量(Mn)(60%転化率)および1.12の多分散性指数を示した。
【0069】
実施例2:30Kのジブロモ末端ターポリマーの合成
反応を開始する前に、銅製コイルを、1000〜2000ppmのヒドラジン水和物を含むアセトンで少なくとも15分間すすいだ。
【0070】
供給タンクに、エチルアクリレート(42.47g、0.4242モル)、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート(13.80g、0.1061モル)、n−ブチルアクリレート(203.89g、1.59モル)、DMSO(78.13g)、アセトン(48.8g)、トリス(2−メチルアミノエチル)アミン(0.323g、0.0014モル)、臭化銅(II)(0.02g、0.0001モル)、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート(2.52g、0.007モル)を添加した。供給タンク中の材料は、30分間の窒素の液面下への注入で脱気した。供給タンクの底部のバルブを開き、この溶液で銅製コイルを満たした。この材料は発熱が示されるまでコイル中に5分未満放置して、次いで、銅製コイルの底にあるバルブを僅かに開き、その材料を銅製コイル中を通過させた。2時間後に、全ての溶液は銅製コイルからレシービングフラスコ中へと流れた。重合は、ターポリマー溶液を空気でパージすることによって終了させた。
【0071】
このポリマーの転化率と構造を、クロマトグラフィー分析および分光分析によって確認した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:THF;1mL/分;RI検出器;PMMA較正)は、31917の数平均分子量(Mn)(85%転化率)および1.17の多分散性指数を示した。
【0072】
実施例3:22Kのポリブチルの鎖延長による、メタノール中での、100Kのジブロモ末端ポリブチルアクリレートの合成
反応を開始する前に、銅製コイルを、1000〜2000ppmのヒドラジン水和物を含むアセトンで少なくとも15分間すすぐ。
【0073】
供給タンクに、n−ブチルアクリレート(153.8g、1.2モル)、メタノール(150g)、トリス(2−メチルアミノエチル)アミン(0.046g、0.00020モル)、臭化銅(II)(0.01g、0.00005モル)、および連続反応器によって製造されたポリブチルアクリレート(Mn22000)(21.60g、0.001モル)を添加した。供給タンク中の材料は、30分間の窒素の液面下への注入で脱気した。供給タンクの底部のバルブを開き、この溶液で銅製コイルを満たした。この材料は発熱が示されるまでコイル中に5分未満放置して、次いで、銅製コイルの底にあるバルブを僅かに開き、その材料を銅製コイル中を通過させた。4時間後に、この溶液は銅製コイルからレシービングフラスコ中へと流れた。重合は、ブチルホモポリマー溶液を空気でパージすることによって終了させた。
【0074】
このポリマーの転化率と構造を、クロマトグラフィー分析および分光分析によって確認した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:THF;1mL/分;RI検出器;PMMA較正)は、52785の数平均分子量(Mn)(32%転化率)および1.12の多分散性指数を示した。
【0075】
その次の鎖延長反応:
2回目の管形反応器の通過:レシービングフラスコからのポリブチルアクリレート溶液を、次いで、供給タンクに添加し、溶液にトリス(2−メチルアミノエチル)アミン(0.023g、0.00010モル)を添加した。その溶液は、30分間の窒素の液面下への注入で脱気した。供給タンクの底部のバルブを開き、この溶液で銅製コイルを満たした。この材料は発熱が示されるまでコイル中に5分未満放置して、次いで、銅製コイルの底にあるバルブを僅かに開き、その材料を銅製コイル中を通過させた。4時間後に、全ての溶液は銅製コイルからレシービングフラスコ中へと流れた。重合は、ブチルホモポリマー溶液を空気でパージすることによって終了させた。
【0076】
このポリマーの転化率と構造を、クロマトグラフィー分析および分光分析によって確認した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:THF;1mL/分;RI検出器;PMMA較正)は、75908の数平均分子量(Mn)(44%転化率)および1.19の多分散性指数を示した。
【0077】
3回目の管形反応器の通過:レシービングフラスコからのポリブチルアクリレート溶液を、次いで、供給タンクに添加し、溶液にトリス(2−メチルアミノエチル)アミン(0.023g、0.00010モル)を添加した。その溶液は、30分間の窒素の液面下への注入で脱気した。供給タンクの底部のバルブを開き、この溶液で銅製コイルを満たした。この材料は発熱が示されるまでコイル中に5分未満放置して、次いで、銅製コイルの底にあるバルブを僅かに開き、その材料を銅製コイル中を通過させた。4時間後に、全ての溶液は銅製コイルからレシービングフラスコ中へと流れた。重合は、ブチルホモポリマー溶液を空気でパージすることによって終了させた。
【0078】
このポリマーの転化率と構造を、クロマトグラフィー分析および分光分析によって確認した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:THF;1mL/分;RI検出器;PMMA較正)は、92670の数平均分子量(Mn)(53%転化率)および1.23の多分散性指数を示した。
【0079】
実施例4:30Kのジブロモ末端ターポリマーの合成
反応を開始する前に、銅製コイルを、1000〜2000ppmのヒドラジン水和物を含むアセトンで少なくとも15分間すすぐ。
【0080】
供給タンクに、エチルアクリレート(42.47g、0.4242モル)、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート(13.80g、0.1061モル)、n−ブチルアクリレート(203.89g、1.59モル)、DMSO(78.13g)、アセトン(48.8g)、トリス(2−メチルアミノエチル)アミン(0.323g、0.0014モル)、臭化銅(II)(0.02g、0.0001モル)、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート(2.52g、0.007モル)を添加した。供給タンク中の材料は、30分間の窒素の液面下への注入で脱気した。供給タンクの底部のバルブを開き、この溶液で銅製コイルを満たした。この材料は発熱が示されるまでコイル中に5分未満放置して、次いで、銅製コイルの底にあるバルブを僅かに開き、その材料を銅製コイル中を通過させた。2時間後に、全ての溶液は銅製コイルからキャッチフラスコ中へと流れた。重合は、ターポリマー溶液を空気でパージすることによって終了させた。
【0081】
このポリマーの転化率と構造を、クロマトグラフィー分析および分光分析によって確認した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:THF;1mL/分;RI検出器;PMMA較正)は、31917の数平均分子量(Mn)(85%転化率)および1.17の多分散性指数を示した。
図1