(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一つ又は複数の生産拠点における生産工程を経て生産される製品に対する需要を示す製品単位の情報であって、その製品の種類や顧客の前記生産拠点に対する要求を含む需要情報を取得する需要情報取得部と、
前記需要情報を、前記生産工程ごとに、前記製品の種類や前記顧客の生産拠点に対する要求に応じたグループに分類する条件を示す生産グループ条件を取得する生産グループ条件取得部と、
前記需要情報を、前記生産工程ごとに、前記生産グループ条件に基づいて分類する工程グルーピング実施部と、
前記分類した需要情報について、当該需要情報に含まれる前記生産工程ごとの前記生産拠点に応じた生産ラインを割り当てて生産ルートを決定し、前記需要情報を当該生産ルートごとに集約する生産ルート集約部と、
前記集約した生産ルートごとに、当該生産ルートを構成する各生産ラインに前記需要情報に基づく生産量を割り当てる生産割当部と、
を備える設備計画支援システム。
前記生産割当部が割り当てた生産ラインごとの前記需要情報に基づく生産量について、当該生産量の生産に対して影響をおよぼす要因となる制約情報を提示し、その制約情報に対する前記生産量の変更を指示する生産計画調整情報を取得して、取得した生産計画調整情報によって前記生産割当部による割り当てを変更する生産計画調整部、
をさらに備える請求項1から請求項5の何れか1項に記載の設備計画支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第一実施形態>
以下、本発明の一実施形態による設備計画支援システムを
図1〜
図10を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における設備計画支援システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。本実施形態において、設備計画支援システムは、例えば、1台のPCやサーバ装置によって構成される。
図1の設備計画支援装置10は、設備計画支援システムの一例である。設備計画支援装置10は、さまざまな製品に対する世界中の顧客からの需要(注文)に対し、納期を守りながら製品を供給できるように、それぞれの製品を生産する拠点の設備計画を支援する情報を提供する。生産拠点は、世界の各所に存在し、ある製品の生産工程は、1つの生産拠点で行われるとは限らない。例えば、ある製品の生産についてある生産工程を日本で行い、それ以降の生産工程をアメリカで行うなど、地理的に離れた拠点間を跨いで生産が行われる場合がある。また、顧客からの注文内容を示す情報である需要情報は、膨大なデータ量であり、さらに次々と新たな需要情報が発生する。これらの需要情報に含まれる製品について、その生産工程ごとに生産拠点を割り当てて各生産拠点の設備の分析や計画を行うことは手動では困難である。なお、本明細書中、生産工程とは、ある製品を生産する一連の全工程を構成する、1つ1つの工程を示している。
【0022】
そこで本実施形態の設備計画支援装置10は、需要情報を入力データとし、各生産拠点の設備が十分かどうかなど設備計画に供する情報を出力する。
図1が示すように、設備計画支援装置10は、需要情報取得部11と、生産グループ条件取得部12と、工程グルーピング実施部13と、生産ルート集約部14と、生産割当部15と、設備能力比較部16と、記憶部17とを備えている。
【0023】
需要情報取得部11は、一つ又は複数の生産拠点における生産工程を経て生産される製品に対する需要を示す製品単位の情報であって、その製品の種類や顧客の生産拠点に対する要求を含む需要情報を取得する。
生産グループ条件取得部12は、需要情報を、生産工程ごとに、製品の種類や顧客の生産拠点に対する要求に応じたグループに分類する条件を示す生産グループ条件を取得する。
工程グルーピング実施部13は、需要情報を、生産工程ごとに生産グループ条件に基づいて分類する。
生産ルート集約部14は、生産グループ条件に基づいて分類した需要情報について、当該需要情報に含まれる生産工程ごとの生産拠点に応じた生産ラインを割り当てて生産ルートを決定し、さらに、需要情報を当該生産ルートごとに集約する。
生産割当部15は、集約した生産ルートごとに、その生産ルートを構成する各生産ラインに需要情報に基づく生産量を割り当てる。
設備能力比較部16は、生産割当部15が割り当てた生産ラインごとの生産量と予め定められた生産ラインごとの設備能力との比較を行う。
記憶部17は、需要情報取得部11が取得した需要情報など種々の情報を記憶する。
【0024】
図2は、本発明の第一実施形態における需要情報の一例である。
図示するように需要情報は、「需要No」、「顧客」、「小組立拠点」、「部品加工拠点」、「タイプ」、「燃料」の各項目を有している。この需要情報は、例えばターボチャージャに関する需要情報である。需要情報とは、実際に顧客から受けた注文や、量産品の場合には需要の予測に基づく注文の内容を示した情報である。「需要No」には、あるターボチャージャ製品に対する需要情報の識別子が格納されている。「顧客」には、当該需要情報に係る製品を購入する顧客を示す情報が格納されている。「小組立拠点」には、その需要情報に係る製品の小組立を行う生産拠点が格納されている。「部品加工拠点」には、その需要情報に係る製品の部品加工を行う生産拠点が格納されている。ここでは、生産工程の一例として需要情報に「小組立拠点」、「部品加工拠点」が含まれる場合を例に挙げたが、需要情報には、他の種類の生産工程における生産拠点を指定する項目が含まれていてもよい。「タイプ」には、ターボチャージャの種類を示す型番などが格納される。「燃料」には、ターボチャージャの動作に用いられる燃料の種類が格納される。これら「タイプ」、「燃料」は、生産するターボチャージャの種類を規定する情報である。また、需要情報には、この他にも、例えば製品の生産個数や納期、納品先の情報を格納する項目が含まれている。需要情報取得部11は、この需要情報を取得し、記憶部17へ記録する。
【0025】
図2のデータについて例を挙げて説明すると、1行目の需要No=1のデータは、タイプが「A」、燃料が「D」のターボチャージャに対する顧客「V社」による需要情報で、この需要情報に対するターボチャージャの部品加工および小組立の工程は、日本で行わなければならないことを示している。同様に、需要No=6のデータの場合、同じくタイプが「A」、燃料が「D」のターボチャージャに対する顧客「D社」による需要情報であるが、この需要情報に対する製品は、部品加工を日本で行い、小組立の工程はアメリカで行わなければならないことを示している。このように同じ種類の製品であっても例えば顧客の要望などによって、需要情報ごとに各生産工程の生産拠点が異なる場合がある。
【0026】
図3は、本発明の第一実施形態における生産グループ条件の一例である。
本実施形態において、製品の種類(仕様)によって生産できる生産ラインは決まる。また、顧客からの要望により生産ラインが決まることもある。この生産グループ条件は、需要情報を生産工程ごとに同じ生産ラインで生産することができるもの同士に分類するために用いる。図示するように生産グループ条件は、「工程」、「顧客」、「小組立拠点」、「部品加工拠点」、「タイプ」、「燃料」の各項目を有している。「工程」には、その生産グループ条件の対象となる生産工程が格納されている。「小組立拠点」には、小組立を行う拠点の条件が格納されている。「部品加工拠点」には、部品加工を行う拠点の条件が格納されている。「タイプ」および「燃料」には、ターボチャージャの種類の条件が、格納されている。この生産グループ条件は、予め記憶部17に記録された情報である。
【0027】
図3の生産グループ条件について例を挙げて説明すると、1行目の生産グループ条件は、「V社」が注文したタイプが「A」のターボチャージャ(燃料の種類は何れでもよい)の小組立工程を日本で行うことを指定した需要情報を、1つのグループにグルーピングするための条件である。また、4行目の生産グループ条件は、注文を行った顧客が誰であれ、タイプが「B」、燃料が「D」のターボチャージャの部品加工をインドで行うことを指定した需要情報を、1つのグループにグルーピングするための条件である。
次に、需要情報と生産グループ条件とを用いて、製品単位の需要情報を生産工程ごとに設備単位でグルーピングする処理について説明を行う。
【0028】
図4Aは、本発明の第一実施形態における工程グルーピング処理を説明する第一の図である。
図4Bは、本発明の第一実施形態における工程グルーピング処理を説明する第二の図である。
図4Cは、本発明の第一実施形態における工程グルーピング処理を説明する第三の図である。
図4A〜
図4Cは、工程グルーピング実施部13が、
図2に例示した需要情報の小組立工程について、工程グルーピング処理を実施した結果を示したものである。
図4Aは、工程グルーピング実施部13が、
図2の需要情報を
図3の1行目の生産グループ条件でグルーピングしたことによって生成されるグループである。工程グルーピング実施部13は、需要No=1の需要情報を記憶部17から読み出し、生産工程ごとに分割する。分割後のデータは、例えば、小組立工程のデータは、「需要No」、「顧客」、「小組立拠点」、「タイプ」、「燃料」の各項目を有する情報である。一方、部品加工工程のデータは、「需要No」、「顧客」、「部品加工拠点」、「タイプ」、「燃料」の各項目を有する情報である。これら、需要情報を生産工程ごとに分割した情報を分割需要情報と呼ぶ。
【0029】
図3の1行目の生産グループ条件は、小組立工程を対象とする条件なので、工程グルーピング実施部13は、小組立工程の分割需要情報についてグルーピングを行う。まず、工程グルーピング実施部13は、
図2で例示した需要情報の1行目のデータから、顧客(=V社)、小組立拠点(=日本)、タイプ(=A)、燃料(=D)の値を取得する。工程グルーピング実施部13は、
図3の生産グループ条件を参照し、需要情報から取得した各項目の条件に該当するデータを検索する。このとき、工程グルーピング実施部13は、
図3で例示した生産グループ条件の各データを上から順に検索し、条件を満たすデータが見つかった時点で検索を終了する。つまり、生産グループ条件のより上位に記載された条件が優先度の高い条件となる。具体的には、工程グルーピング実施部13は、まず、
図3の生産グループ条件の1行目の条件が、顧客=V社、小組立拠点=日本、タイプ=A、燃料=Dの条件を満たすかどうかを判定する。
図3の生産グループ条件の1行目の条件を見ると、顧客=V社、小組立拠点=日本、タイプ=A、燃料=*となっている。これは、先の条件を満たしている。工程グルーピング実施部13は、需要No=1の需要情報を、
図3の1行目の生産グループ条件で集約グルーピングする。ある生産グループ条件で集約グルーピングするとは、需要情報のうち同じ生産グループ条件を見たすデータを、同じグループにまとめることをいう。
図2で例示した需要情報には、需要No=1と同じ生産グループ条件を有する需要情報が他に含まれていないので、需要No=1が集約グルーピングされるグループには、需要No=1の需要情報だけが含まれることになる。このグループを「Gr No.1」とする。なお、
図4Aの「生産ライン」項目については後に述べる。
【0030】
同様に需要No=2〜7の需要情報についても、条件を満たすより上位に記載された生産グループ条件に基づいてグルーピングを行う。
図4Bは、
図2の需要情報に係る小組立工程の分割需要情報を
図3の2行目の生産グループ条件でグルーピングしたことによって生成されるグループである。このグループには、需要No=4、6の分割需要情報がグルーピングされる。需要No=4、6の分割需要情報が属するグループを「Gr No.2」とする。
【0031】
図4Cは、
図2の需要情報に係る小組立工程の分割需要情報を
図3の3行目の生産グループ条件でグルーピングしたことによって生成されるグループである。このグループには、需要No=2、3、5、7の分割需要情報がグルーピングされる。需要No=2、3、5、7の分割需要情報が属するグループを「Gr No.3」とする。なお、この3行目の生産グループ条件は、「顧客」、「小組立拠点」、「タイプ」、「燃料」の各値が*となっており、どの需要情報もこの条件も満たす。しかし、より上位に記載された生産グループ条件が優先されるため、需要No=1、4、6の需要情報はこのGr No.3にはグルーピングされない。
例えば顧客からの要望のような優先的な条件については、生産グループ条件のより上位に設定しておくことで、当該条件を満たす需要情報を、より確実に1つのグループに分類することができる。
【0032】
工程グルーピング実施部13がグルーピングを行うと、次に生産ルート集約部14が1つのグループに所属する分割需要情報に対してさらに拠点ごとに集約する。例えば
図4Bを見ると2つの分割需要情報がGr No.2にグルーピングされているが、生産ルート集約部14は、これをさらに生産拠点(小組立拠点)ごとに集約し、小組立拠点がインドである需要No=4の拠点集約グループと小組立拠点がアメリカである需要No=6の拠点集約グループの2つに分ける。同様に
図4Cでは、生産ルート集約部14は、小組立拠点が日本である需要No=2および需要No=3の拠点集約グループと、小組立拠点がアメリカである需要No=6および需要No=7の拠点集約グループとに分ける。
続いて、生産ルート集約部14は、拠点で集約した各拠点集約グループに対して、その工程を行う生産ラインを割り当てる。
図4A〜
図4Cの「生産ライン」項目は、生産ルート集約部14が割り当てた生産ラインが格納されている。この生産ラインの情報は、例えば、顧客と小組立拠点と製品の種類ごとに予め記憶部17に記録されており、生産ルート集約部14は、この情報を読み出して、各拠点集約グループに生産ラインを割り当てる。
【0033】
図5Aは、本発明の第一実施形態における工程グルーピング処理を説明する第四の図である。
図5Bは、本発明の第一実施形態における工程グルーピング処理を説明する第五の図である。
図5Cは、本発明の第一実施形態における工程グルーピング処理を説明する第六の図である。
図5A〜
図5Cは、工程グルーピング実施部13が、
図2に例示した需要情報に係る部品加工工程の分割需要情報について、グルーピング処理を実施した結果を示したものである。
工程グルーピング実施部13のグルーピング処理の方法は、小組立工程の場合と同様である。但し、部品加工工程の場合、工程グルーピング実施部13は、需要情報の「顧客」、「部品加工拠点」、「タイプ」、「燃料」の各値を条件に、生産グループ条件からそれらを満たす生産グループ条件を取得する。
図3の生産グループ条件のより上位に記載された条件をより優先的に取得することは小組立工程の場合と同じである。
【0034】
例えば、需要No=1の需要情報をグルーピングする場合、工程グルーピング実施部13は、顧客(=V社)、部品加工拠点(=日本)、タイプ(=A)、燃料(=D)の値で生産グループ条件を検索する。生産工程が、部品加工であるので、
図3の4〜6行目を対象に4行目のデータから順に条件に合致するかどうかを判定する。
図3の4、5行目のタイプは、何れもBなので需要No=1の需要情報と合致しない。6行目の生産グループ条件は、部品加工拠点、タイプ、燃料の各値が*となっておりどのような条件も満たす。従って、工程グルーピング実施部13は、需要No=1の部品加工工程の分割需要情報を、6行目の生産グループ条件に基づいてグルーピングする。このグループを「Gr No.6」とする。
同様にして、需要No=3、4、5、6、7の部品加工工程の分割需要情報がGr No.6にグルーピングされる。
【0035】
また、需要No=2の部品加工工程の分割需要情報(顧客=F社、部品加工拠点=日本、タイプ=B、燃料=E)は、
図3の5行目の生産グループ条件を満たすので、工程グルーピング実施部13は、この条件によって、需要No=2の部品加工工程の分割需要情報をグルーピングする。このグループを「Gr No.5」とする。
図5Aは、
図3の4行目の生産グループ条件を満たすグループである。このグループを「Gr No.4」とする。
図2の需要情報の中には、
図3の4行目の生産グループ条件を満たすデータが存在しない為、Gr No.4には、データが存在しない。
【0036】
工程グルーピング実施部13がグルーピングを行うと、生産ルート集約部14が1つのグループに所属する分割需要情報に対してさらに拠点ごとに集約し、拠点集約グループに分ける。また、生産ルート集約部14は、各拠点集約グループに対して、その部品加工工程を行う生産ラインを割り当てる。例えば、生産ルート集約部14は、「Gr No.6」のうち部品加工拠点を日本とする分割需要情報に生産ライン=L7を割り当て、部品加工拠点をインドまたは日本とする分割需要情報に生産ライン=L8を割り当てる。生産ラインの情報は、小組立工程と同様に、例えば、顧客と生産拠点と製品の種類ごとに予め記憶部17に記録されている。
【0037】
図6Aは、本発明の第一実施形態における生産ルートの集約処理を説明する第一の図である。
図6Bは、本発明の第一実施形態における生産ルートの集約処理を説明する第二の図である。
図6Cは、本発明の第一実施形態における生産ルートの集約処理を説明する第三の図である。
図6Dは、本発明の第一実施形態における生産ルートの集約処理を説明する第四の図である。
図6Eは、本発明の第一実施形態における生産ルートの集約処理を説明する第五の図である。
図6Fは、本発明の第一実施形態における生産ルートの集約処理を説明する第六の図である。
図6A〜
図6Fは、生産ルート集約部14が、生産ラインを割り当てた各生産工程の分割需要情報を足し合わせて分割前の需要情報に各生産工程の生産ラインが加わった情報を生成し、さらにそれらを生産ルートごとに集約した結果を示している。
図6A〜
図6Fは、
図4A〜
図4C、
図5A〜
図5Cで示した生産ラインの情報を付加した生産工程ごとの拠点集約グループを組み合わせ需要情報単位とし、生産ルートごとに集約したデータである。生産ルートとは、どの設備を使って加工や組み立てを行い、顧客に届けるかを示す情報である。これまでに説明したとおり、各需要情報に関する製品の生産は、小組立工程を
図4A〜
図4Cの説明で割り当てた生産ラインで行い、部品加工工程を
図5A〜
図5Cの説明で割り当てた生産ラインで行う。
図6A〜
図6Fの「生産ルート」に記載された生産ラインは、小組立工程と部品加工工程に割り当てられた生産ラインであって、これらの組み合わせが生産ルートとなることを示している。
図6Aは、需要No=1の製品について、部品加工を日本(生産ライン=L7)で行い、小組立工程を日本(生産ライン=L1)で行うことを示している。同様に、
図6Bは、需要No=4の製品について、部品加工工程をインドまたは日本(生産ライン=L8)で行い、小組立工程をインド(生産ライン=L2)で行うことを示している。
図6C〜
図6Eについても同様である。また、
図6Fは、需要No=5の製品と需要No=7の製品について、部品加工を日本(生産ライン=L7)で、小組立工程をアメリカ(生産ライン=L5)で行うことを示している。
このように、需要情報に対して、生産工程ごとに生産拠点と生産ラインを割当てることで各需要情報の生産ルートが決定し、さらにそれら生産ラインの情報が加えられた需要情報を生産ルートごとに集約することで、膨大な需要情報を生産ルート単位に集約することができる。需要情報を生産ルート単位に集約すると、ある一つの生産ルートについて、各生産工程間の輸送リードタイムを生産ルート単位で一律に設定できるようになる。また、生産ルート単位で需要情報を集約することで、需要情報の数が膨大になったとしても、輸送リードタイムを考慮するパターンの数は増加しない。次に、生産割当部15による生産ラインごとの生産割付処理について説明を行う。
【0038】
図7は、本発明の第一実施形態における生産割付処理を説明する第一の図である。
部品加工工程から小組立工程へ工程を進めるためには、部品加工を行う拠点の生産ラインから小組立を行う拠点の生産ラインへの輸送リードタイムが発生する。各生産ライン間のリードタイムは、予め定められており記憶部17に記録されている。生産割当部15は、各工程の生産ラインを有する拠点間の輸送リードタイムを記憶部17から読み出して、生産ライン間ごとに割り当てる。生産割当部15は、全生産ルートに対し、生産ルート単位でこの輸送リードタイムの割り当て処理を行う。
図7は、生産割当部15が各生産ルートについて、輸送リードタイムを割り当てた結果を示している。例えば、破線20で囲んだ範囲が示す生産ルートNo1の部品加工工程の生産ラインはL7で、小組立工程の生産ラインはL1である。生産割当部15は、生産ライン=L7〜L1の間の輸送リードタイムを記憶部17から読み出す。
図7の例では、生産ラインL7と生産ラインL1の間の輸送リードタイムは1週間である。また、生産割当部15は、小組立工程とその後の工程である総組み立て工程の間の輸送リードタイムについても同様にして輸送リードタイムを記憶部17から読み出す。
図7の例では、生産ラインL1から需要No=1の需要情報に対する最終組み立て工程を行う生産ラインを有する拠点までの輸送リードタイムは1週間である。なお、総組み立て工程を行う拠点は、納品場所の近くであって総組み立てが可能な生産ラインを有する拠点が選択される。また、総組み立て工程が完了すると製品が顧客が指定する場所へ納品される。
【0039】
図8は、本発明の第一実施形態における生産割付処理を説明する第二の図である。
生産割当部15は、輸送リードタイムの割り当てが終わると、需要情報単位で、納期や生産個数を考慮して、各生産工程を行うべき時期を求め、各生産ラインに需要情報に基づく生産量を割り当てる生産割付を行う。
図8は、需要No=1、3、5、6、7の需要情報について生産割付を行った場合の、部品加工工程と小組立工程における生産割付結果を示したものである。生産割当部15は、需要情報に含まれる製品の納期の情報から、総組み立て工程から納品までに掛かる輸送等の時間、総組み立て工程に掛かる時間、小組立工程を行う生産ラインを有する拠点から総組み立て工程を行う拠点への輸送リードタイム、小組立工程に掛かる時間などを加えた時間分を逆算して、小組立工程を行う時期を特定する。生産割当部15が特定した結果、
図8が示すように、需要No=1、3、5、6、7のいずれの場合も小組立工程を2月の第3週に行わなければならなくなったとする。次に、生産割当部15は、部品加工工程から小組立工程の輸送リードタイム、部品加工工程に掛かる時間などを加えた時間分を逆算して、部品加工工程を行う時期を特定する。ここで、部品加工工程に1週間かかるとすると、
図8の場合、生産割当部15は、小組立工程を日本で行う分(生産ライン=L1,L5)に関しては、輸送リードタイムの1週間、部品加工工程の1週間を考慮して、部品加工工程を2月の第1週に行うことを特定する。また、生産割当部15は、生産ラインL7で2月第1週に加工する部品の個数(例えば1000個)を算出する。また、生産割当部15は、小組立工程をアメリカで行う分(生産ライン=L3、L5)に関しては1月第3週に行うことを特定する。また、生産割当部15は、生産ラインL7で1月第3週に加工する部品の個数(例えば1300個)を算出する。なお、各生産工程に掛かる時間は予め記憶部17に記録されている。
【0040】
図9は、本発明の第一実施形態における生産量と設備能力の比較処理を説明する図である。
図9のグラフは、ある生産ラインにおける需要情報に基づく生産量と設備能力の時間的推移を示したものである。
図9の縦軸は生産量を、横軸は時期を示している。
図8で説明したように、生産割当部15は、生産割当処理を行って、生産ラインごとに生産量と生産を行う時期を求める。設備能力比較部16は、予め定められた各生産ラインの設備能力(例えば、部品加工であれば、所定期間に何個の部品を加工できるか)を記憶部17から読み出し、生産割当部15が求めた生産量の推移と比較する。
図9において、グラフ21は、予め定められた生産ラインの設備能力を示している。また、グラフ22A、22B、22C、22Dは、生産割当部15が算出した時期ごとの需要情報に基づく生産量を示している。
設備能力比較部16は、例えば
図9で例示した比較結果を、設備計画支援装置10に接続されたディスプレイ装置に出力する。また、設備能力比較部16は、グラフ22Cの生産量が、グラフ21が示す生産量を上回っていることを検出し、1月第3週の需要情報に基づく生産量が設備能力を超えることを出力してもよい。
ユーザは、この比較結果を見て、例えば、1月第3週の生産を比較的余裕のある1月第2週に前倒しすることを決定することができる。あるいは、ユーザは、他の拠点に生産量が分散するように
図2で例示した生産グループ条件を変更して、再度、設備計画支援装置10にこれまで説明した処理を行わせ、設備能力比較部16による比較結果を確認しながら生産量と設備能力の調整を行ってもよい。また、ユーザは、設備能力の増強(設備の増設、移設など)を検討してもよい。
【0041】
次に
図10を用いて、本実施形態の生産量と設備能力の比較処理の流れについて説明を行う。
図10は、本発明の第一実施形態における設備計画支援システムの処理フローである。
まず、ユーザが、設備計画支援装置10に需要情報の入力を行う。すると、需要情報取得部11が、需要情報を取得し(ステップS11)、記憶部17に記録する。次にユーザが、設備計画支援装置10に、需要情報に基づく生産量と設備能力の比較処理の実行を指示する。すると、生産グループ条件取得部12が、記憶部17から生産グループ条件を読み出して工程グルーピング実施部13へ出力する。次に、工程グルーピング実施部13が、記憶部17から需要情報を読み出して、需要情報を生産工程ごとに分割し、分割需要情報を生産グループ条件に基づいてグルーピングする(ステップS12)。グルーピング処理については
図4A〜
図4C、
図5A〜
図5Cで説明したとおりである。次に、生産ルート集約部14は、生産ルートの集約を行う(ステップS13)。具体的には、生産ルート集約部14は、工程グルーピング実施部13が分類したグループを更に生産拠点ごとに集約し、集約してできた拠点集約グループに生産ラインを割り当てる。次に、生産ルート集約部14は、生産ラインを割り当てた生産工程ごとの分割需要情報を、同じ需要Noを持つ情報同士を足し合わせて、需要情報ごとの生産ルートを決定する。生産ルートは、各生産工程の生産ラインを組み合わせた情報を含んでいる。また、生産ルート集約部14は、生産ルートを決定した全需要情報を、生産ルート単位に集約する。需要情報が同一の生産ルートのグループに属する場合、それらの需要情報に関する製品は、全工程について同じ生産ラインで生産することを意味する。生産ルート集約部14は、
図6で例示したような需要情報と生産ルートを対応付けた情報を記憶部17に記録する。
【0042】
次に、生産割当部15が、生産割当処理を行う(ステップS14)。具体的には、生産割当部15は、生産ルート集約部14が記録した生産ルートと需要情報とを対応付けた情報について、生産ルート単位に、その生産ルートを構成する各工程の生産ライン間の移動リードタイムを記憶部17から読み出す。また、生産割当部15は、各生産工程に掛かる時間についても記憶部17から読み出す。次に、生産割当部15は、需要情報単位で、その需要情報に含まれる納期から各工程に掛かる時間や工程間の移動リードタイムの分を逆算して、その需要情報に係る各生産工程の生産ラインの稼働時期を算出する。また、生産割当部15は、需要Noと算出した各稼働時期と需要情報に含まれる生産個数とを、対応付けて記憶部17に記録する。生産割当部15は、この生産割当処理を全ての需要情報について行う。これにより、
図9で例示した生産工程ごと、生産ラインごとのスケジュール表に需要情報に基づく生産量が積み上げられた情報が生成される。
【0043】
次に、設備能力比較部16は、需要情報に基づく生産量と設備能力とを比較する(ステップS15)。具体的には、設備能力比較部16は、生産割当部15が生産割当処理を行った結果生成された各生産ラインの生産量の合計値と、記憶部17に記録された対応する生産ラインの設備能力を示す生産可能な生産量とを比較する。設備能力比較部16は、比較の結果をディスプレイ装置などに出力する。
【0044】
本実施形態によれば、需要情報を生産工程ごとに適切な単位にグループ化し、さらにそれぞれのグループを拠点単位で集約し生産ラインに割り当てることで、生産ルートを自動的に特定することができる。また、各生産工程を行う拠点間の輸送リードタイムを考慮した精度の高い生産割当を行うことができるので、大量の需要情報に対しても各生産ラインの稼働状況を把握することができる。また、生産グループ条件を変更したり、入力する需要情報を変化させたり、予め定められた設備能力を変化させることで、需要変動や設備故障などのトラブルを踏まえたさまざまなケーススタディにおける検討を行うことができるので、設備計画の精度を向上させることができる。
【0045】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による設備計画支援システムを、
図11を参照して説明する。
第一実施形態では、生産割当を現状の設備能力に関係なく行った。第二実施形態では、生産割当に数理最適化手法を用いる。次に
図11を用いて、本実施形態の処理について説明を行う。
【0046】
図11は、本発明の第二実施形態における設備計画支援システムの処理フローである。
ステップS11〜S13までは第一実施形態と同様である。つまり、需要情報取得部11が、需要情報を取得し(ステップS11)、工程グルーピング実施部13が、需要情報を工程ごとに生産グループ条件に基づいてグルーピングする(ステップS12)。次に、生産ルート集約部14が、グルーピングされた各工程を拠点で集約して生産ラインと紐付け、生産ルートで集約を行う(ステップS13)。
次に、生産割当部15が、数理計画手法を用いて生産割当を行う(ステップS141)。例えば、生産割当部15は、以下の数理最適化問題を、例えば線形最適化問題などのモデルを用いて解く。生産割当部15は、求めた最適化変数を用いて生産割当を行う。
【0047】
[最適化変数]
各生産ラインの生産量
各生産ライン間の輸送量
各生産ラインの在庫量
[制約条件]
輸送リードタイムを考慮した物流
生産量が設備能力を超えない
[目的関数]
生産コスト、輸送コスト、在庫コストの合計を最小化する。
【0048】
次に、設備能力比較部16が、数理計画手法を用いて生産割当処理を行った結果から得た需要情報に基づく生産量と設備能力と比較し(ステップS15)、比較結果を出力する。
【0049】
本実施形態によれば、現実の制約条件を加えて生産割当を行うことで、より現実的な生産割当を行うことができ、現実的な生産割当状況に対する設備計画を立てることができる。また、生産グループ条件によってグルーピングされていなかったり生産ルートで集約されていない需要情報について、同様の数理最適化問題を解く場合に比べ、計算時間を短縮することができる。
【0050】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態による設備計画支援システムを、
図12を参照して説明する。
第三実施形態では、生産割当に加え、設備計画についても数理最適化手法を用いる。次に
図12を用いて、本実施形態の処理について説明を行う。
【0051】
図12は、本発明の第三実施形態における設備計画支援システムの処理フローである。
ステップS11〜S13までは第一実施形態、第二実施形態と同様であるため、説明を省略する。次に、生産割当部15が、数理計画手法を用いて生産割当および設備計画を行う(ステップS142)。本実施形態では、生産割当部15は、以下の数理最適化問題を、公知の手法を用いて解く。生産割当部15は、求めた最適化変数(各生産ラインの生産量、各生産ライン間の輸送量、各生産ラインの在庫量)を用いて生産割当処理を行う。
【0052】
[最適化変数]
各生産ラインの生産量
各生産ライン間の輸送量
各生産ラインの在庫量
各生産ラインの設備の増減数
[制約条件]
輸送リードタイムを考慮した物流
生産量が設備能力を超えない
[目的関数]
生産コスト、輸送コスト、在庫コスト、生産ラインの設備の増減コストの合計を最小化する。
【0053】
次に、設備能力比較部16が、数理計画手法を用いて生産割当を行った結果から得た需要情報に基づく生産量と数理計画手法による設備能力と比較し(ステップS151)、比較結果を出力する。例えば、記憶部17に予め生産ラインごとに設備の数と生産量とを対応付けたテーブル等が記録されており、設備能力比較部16は、上記の数理最適化問題を解くことによって得た各生産ラインの設備の増減数とこのテーブルとに基づいて数理計画手法によって求めた設備の増減に対応する設備能力を求める。
【0054】
本実施形態によれば、生産割当に加え、設備計画も同時に最適化する事で、設備能力を超過しない最適化結果が得られ、設定見直し等による繰り返し計算を抑制でき、より短期間での設備計画の検討が可能となる。
【0055】
<第四実施形態>
以下、本発明の第四実施形態による設備計画支援システムを
図13〜
図16を参照して説明する。
第一実施形態〜第三実施形態では、生産能力と設備能力の比較が行われるが、様々な状況の変化、制約等が加わると、生産割当部15による割り当てどおりに生産を行うことが難しい場合がある。この第四実施形態に係る設備計画支援装置10は、生産計画の調整を行う機能を有している。
【0056】
図13は、本発明の第四実施形態における設備計画支援システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
本発明の第四実施形態に係る構成のうち、本発明の第一実施形態に係る設備計画支援装置10と同様の機能部には同じ符号を付し説明を省略する。
第四実施形態に係る設備計画支援装置10は、第一実施形態の構成に加えて生産計画調整部18を備えている。
生産計画調整部18は、生産割当部15が割り当てた生産ラインごとの需要情報に基づく生産量について、当該生産量の生産に対して影響をおよぼす要因となる制約情報をディスプレイ装置などに出力して、ユーザに提示する。より具体的には、生産計画調整部18は、生産割当部15が生産ラインに割り当てた製品について、当該製品の生産量と生産する時期とを示した生産スケジュール情報を提示する。生産計画調整部18は、この生産スケジュール情報に加えて、当該製品への出荷情報、在庫情報を提示する。また、生産計画調整部18は、この生産スケジュール情報に加えて、当該生産ラインで計画されている例えば日ごと生産量に対する生産ラインの生産能力の上限を示す情報を提示する。また、生産計画調整部18は、この生産スケジュール情報に加えて、当該製品の生産に使用される使用部品の在庫情報の推移を提示する。これらの情報を提示することで、ユーザは、生産割当部15が計画した生産計画通りに生産が可能かどうかを、部品ごと、生産ラインごとに把握することができる。また、生産計画調整部18は、提示した制約情報に対してユーザが入力した生産量の変更を指示する生産計画調整情報を取得して、その生産計画調整情報によって、生産割当部15による割り当てを変更する。
また、記憶部17は、製品ごとの出荷情報、在庫情報、製品の生産に用いる使用部品の在庫情報を記憶している。出荷情報には、製品の出荷日、出荷数量などの情報が含まれる。
【0057】
図14は、本発明の第四実施形態における生産計画調整機能を説明する第一の図である。
図14は、生産計画調整部18が生成した生産計画調整画面100の画面イメージの一例である。生産計画調整画面100は、製品ごとの生産計画に関する情報を提示する領域101と、生産ラインごとの生産能力に関する情報を提示する領域102と、使用部品の在庫量推移の情報を提示する領域103と、を含む。
【0058】
領域101の表は、製品ごとの生産計画を表示する領域である。領域101の表は、製品、生産ライン、日付の各項目を有している。この表は、最小の場合、3行で1纏まりのデータとなっている。データ行の1行目〜3行目を例に説明する。「製品」項目には、生産対象の製品の識別情報(「製品α」)が表示されている。「生産ライン」項目の1行目には、生産対象の製品に対して割り当てられた生産ラインの識別情報(「L1」)が表示される。「生産ライン」項目の2行目には、製品αに対する出荷情報の識別情報(「001」)が表示される。「生産ライン」項目の3行目には、在庫が表示される。なお、製品αに複数の生産ラインが割り当てられている場合は、生産ラインの識別情報を含む行が複数設けられ、その次の行から出荷情報、在庫情報の行を表示してもよい。また、3列目以降の項目には日付が表示され、1行目には生産割当部15によってその日付に割り当てられた生産量が表示される。この情報を、生産スケジュール情報と呼ぶ。2行目には記憶部17が記憶する出荷情報に含まれるその日を出荷日とする出荷数量が表示される。3行目には在庫情報に含まれる日ごとの在庫数量が表示される。
【0059】
例えば、1行目の「2/28」列の欄には、「600」が表示されている。これは、生産割当部15が、製品αの生産について、生産ライン「L1」に対して、2月18日に「600」個を割り当てたことを意味する。また、「2/28」列の3行目に「600」が表示されている。これは、割り当てられた「600」個の生産を行うと在庫が「600」個となることを示している。
【0060】
また、例えば、領域101の4行目〜6行目には、製品βに関するデータが表示されている。製品βについて、例えば、「2/24」列の5行目に「335」個が表示されている。これは、出荷情報「002」によれば、2月24日に「335」個の出荷があることを示している。また、同じ「2/24」列の6行目には「65」が表示されている。これは、「335」個の出荷の後、在庫量が「65」個となることを示している。
【0061】
領域101の7行目〜9行目は、製品γに関するデータが表示されている。製品γについて、例えば、「3/2」列の8行目に「200」、9行目に「−125」が表示されている。これは、3月2日に製品γが「200」個出荷されることが予定されており、今の生産計画のままでは、欠品が生じる(在庫が「−125」個)ことを示している。このように、領域101によれば、生産割当部15による生産計画を示す生産スケジュール情報とともに、対象となる製品の出荷情報、在庫情報が提示されるので、ユーザは、生産割当部15による生産計画に基づいて当該製品の生産を行った場合の製品の過不足の発生を把握することができる。
【0062】
なお、領域101の割り当てられた生産量が表示された行(1行目、4行目、7行目)については、入力が可能な領域として設定される。
【0063】
領域102の表は、生産ラインごと、日ごとの生産計画と生産能力の関係を表示する領域である。領域102の表は、生産ライン、製品、日付の各項目を有している。「生産ライン」項目には、生産ラインの識別情報が表示される。「製品」項目には、当該生産ラインで生産が予定される全ての製品の識別情報が1行ずつ表示される。生産が予定される全ての製品のうち最後の製品の識別情報が表示された行の次の行には計画された製品の「合計数量」、その次の行には生産ラインの能力の上限である「能力(個数)」が表示される。さらに次の行以下には、生産工程ごとの生産時間が1行ずつ表示され、最後の行には生産ラインの能力の上限を時間で表した「能力(H)」が表示される。また、3列目以降の項目には日付が表示され、その日付ごとの割り当てられた生産量、生産ラインの生産能力などの情報が表示される。
【0064】
領域102の表は、領域101の表に表示された内容と連動している。例えば、
図14の領域101では、製品α、β、γが生産ラインL1で生産されることが表示されている。これに対して、領域102の表では、生産ラインL1で生産される製品α、β、γの生産量などが表示される。また、それに加え、領域102の表では、生産ラインL1の生産能力が表示される。
【0065】
なお、
図14の場合、領域101に表示された生産ラインがL1のみであるため、領域102にも生産ラインL1についての情報しか表示されないが、領域101に表示された製品が他の生産ラインで生産される場合、その生産ラインについての情報が表示されてもよい。また、生産工程ごとに要する時間について、
図14の例では、「組立時間(H)」、「段取時間(H)」が表示されているが、他の項目(例えば「加工時間(H)」など)が表示されてもよい。
【0066】
また、例えば、「2/23」列のデータを見ると、2月23日には、生産ラインL1において、製品αが「0」個、製品βが「400」個、製品γが「200」個、生産される計画であることが分かる。従って合計数量は「600」であるが、これは生産ラインの能力「650」を超えない。領域102の表示によれば、ユーザは、日々の生産計画に対して、その生産計画が、生産ラインの能力を超えないかどうかを把握することができる。なお、生産計画が、生産ラインの能力を超える例については後に例示する。また、領域102においても、製品ごとに割り当てられた生産ライン、日ごとの生産量が表示されているが、この情報が生産スケジュール情報である。
【0067】
領域103の表は、製品の使用部品の在庫推移を表示する領域である。使用部分とは、ある製品の生産に必要な部品のことである。
図14の領域103のグラフには、領域101で表示された生産スケジュール情報に含まれる日ごとの使用部品「α―001」の在庫推移が表示されている。使用部品「α―001」は、例えば、製品αの使用部品である。領域103には、領域101で表示された製品に関する全ての使用部品の在庫推移が表示されてもよい。あるいは、ユーザが表示する使用部品を指定してもよい。
【0068】
使用部品「α―001」が、製品α1個につき1個必要な部品であるとすると、
図14の場合、領域101、102に表示された製品αの生産量と比較して、使用部品「α―001」の在庫量は十分であることが分かる。例えば、他の使用部品についても十分な在庫がある場合、ユーザは、領域103の表示を参照して、使用部品の在庫量は十分なので、生産ラインの生産能力を超えないように生産計画を調整すべきであることを把握することができる。また、使用部品の在庫量が足りない場合、ユーザは、使用部品の生産や手配が必要なことを博することができる。
【0069】
なお、
図14を用いて説明した出荷情報、対象製品の在庫量、生産ラインの生産能力、使用部品の在庫量は、何れも生産計画調整部18が提示した制約情報である。
【0070】
生産計画調整部18は、記憶部17から生産割当部15が割り当てた生産量、在庫数量、出荷数量の各情報を読み出して、
図14の領域101で例示する画面イメージを生成する。
【0071】
また、生産計画調整部18は、記憶部17から生産ラインの能力を示す情報(個数および時間)、1個の製品を生産するのに要する生産工程ごとの生産時間などの情報を読み出す。また、生産計画調整部18は、
図14の領域101の画面イメージの生成に用いた日ごとの生産量を集計して合計数量を計算する。生産計画調整部18は、これらの情報から
図14の領域102で例示する画像を生成する。
【0072】
また、生産計画調整部18は、記憶部17から使用部品の在庫情報を読み出して、
図14の領域103で例示する画面イメージを生成する。生産計画調整部18は、生成した領域101〜103の各領域を含む生産計画調整画面100の画面イメージを生成し、ディスプレイ装置等に出力する。
【0073】
次に、
図15、
図16を用いて、生産計画調整部18が提示した生産スケジュール情報と制約情報に対して、ユーザが生産計画調整情報を入力し、生産計画を調整する例について説明する。
【0074】
図15は、本発明の第四実施形態における生産計画調整機能を説明する第二の図である。
図16は、本発明の第四実施形態における生産計画調整機能を説明する第三の図である。
図15は、
図14の製品γの在庫量が負の値になっていることに対し、ユーザが、生産計画の調整を行った例を示している。ユーザは、3月2日に予定されている出荷(「200」個)に対して、製品γの在庫量が「−125」となること見て、欠品が生じないように、例えば、3月1日に製品γを「300」個生産するよう計画したとする。ユーザは、生産計画調整画面100の領域101の「3/1」列の7行目に300を入力する。生産計画調整部18は、ユーザによって入力された値「300」と、対応する日付(「3/1」)、製品(「製品γ」)、生産ライン(「L1」)の情報を取得し、取得した情報を記憶部17に記録する。例えば、生産計画調整部18は、記憶部17が記憶する生産割当部15が記録した需要Noと稼働時期と生産個数を対応付けた情報(
図10のステップS14)を、取得した情報で更新する。また、生産計画調整部18は、ユーザが入力した値を反映した生産計画調整画面100を生成する。具体的には、生産計画調整部18は、ユーザが入力した値を取得し、「3/1」列の「合計数量」および「組立時間(H)」および「段取時間(H)」および「能力(H)」、3月1日より後の日付の製品γの在庫量を再計算する。
図15は、生産計画調整部18がこれらの計算を行った後に生成した生産計画調整画面100である。
【0075】
図15の生産計画調整画面100によると、製品γの在庫量が正の数となり、3月2日の出荷にも問題なく対応できることが分かる。しかし、領域102の「3/1」列を見ると、3月1日に生産ラインL1の生産能力を超えていることが分かる。具体的には、生産ラインL1の生産能力が「650」個であるところ、3月1日に生産が計画されている合計数量は「800」個である。この表示を見て、ユーザは、生産計画の合計数量が生産能力を超えないように生産計画を調整する。例えば、ユーザは、生産能力を超える日(「3/1」)に計画している生産のうち、製品βの生産を翌日に変更するよう計画したとする。ユーザは、生産計画調整画面100の領域101の「3/1」列の4行目の300を削除して、翌「3/2」列の4行目に500(300+200)を入力する(
図16)。生産計画調整部18は、ユーザによって入力された値(「0」および「500」)と、対応する日付(「3/1」および「3/2」)、製品(「製品γ」)、生産ライン(「L1」)の情報を取得し、取得した情報を記憶部17に記録する。また、生産計画調整部18は、ユーザが入力した値を反映した生産計画調整画面100を生成する。具体的には、生産計画調整部18は、「3/1」列および「3/2」列の「合計数量」および「組立時間(H)」および「段取時間(H)」および「能力(H)」、3月1日以降の製品βの在庫量を再計算する。
図16は、生産計画調整部18がこれらの計算を行った後に生成した生産計画調整画面100である。
図16に示す製品α、β、γの生産スケジュールは、欠品や生産ラインの能力オーバーを起こすことなく、生産が可能な計画であることが分かる。
【0076】
第一実施形態〜第三実施形態においては、需要情報に基づく生産量と設備能力の比較の結果からユーザが生産割当結果を修正することになるが、使用部品、製品単位の欠品、設備能力の限界を加味しつつ調整するのは難しい。本実施形態によれば、生産計画調整部18が生成する生産計画調整画面100を参照して、生産計画と、使用部品の欠品および製品単位の欠品および設備能力の限界とを比較しながら生産割当結果の調整を行うことができるので、調整が容易になり、調整作業を短時間で実施する事ができる。
【0077】
なお、
図14〜
図16で例示した生産計画調整画面100については、領域101のみを表示、領域102のみを表示、領域101および領域102のみを表示、領域101および領域103のみを表示、領域102および領域103のみを表示した画面であってもよい。また、上記では第一実施形態と組み合わせた場合を例に説明を行ったが、第二実施形態、第三実施形態と組み合わせてもよい。
【0078】
なお、上述した設備計画支援システムにおける各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムを設備計画支援システムのコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0079】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、設備計画支援システムは、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0080】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。