(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上カゴが前記ベース部に保持された状態では、前記係止片の先端部は、前記ベース部の側部よりも前方、且つ、前記引き手の先端部よりも後方に存在することを特徴とする請求項3記載のシステムキッチン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、食器の収納容量を維持しつつ、シンクへの係止片を効率的に収めることができる食器洗浄機を備えたシステムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、シンクを有するカウンタと、前記カウンタの下方に設けられた食器洗浄機と、を備え、前記食器洗浄機は、出し入れ口を有する洗浄槽と、前記洗浄槽の内部に水を噴射する回転式のノズルと、前記出し入れ口を通して前記洗浄槽に対して出し入れ可能とされ被洗浄物を収納するカゴと、前記出し入れ口の下端部を中心として開閉する扉と、前記洗浄槽の上部に設けられたスライドレールに取り付けられたベース部と、を有し、前記カゴは、下カゴと、前記洗浄槽の内部において前記下カゴよりも上方に配置される上カゴであって前記ベース部が有する保持部に保持される上カゴと、を有し、前記洗浄槽の内部の奥行き方向の寸法は、前記洗浄槽の内部の横方向の寸法よりも長く、前記上カゴは、
上方からみたときに長手方向に延びた形状を有し、前記スライドレールにより前記洗浄槽に収納された状態と前記洗浄槽から引き出された状態との間で移動可能であり、
前記長手方向が前記奥行き方向と平行する状態で前記ベース部に対して着脱可能に保持され、前記シンクの周縁に引っ掛け可能とされた係止片を
前記長手方向の端部に有し、
前記回転式のノズルは、上方からみたときに前記ノズルの外形部分の回転軌跡から外れた領域を、前記洗浄槽の内部の前端部及び後端部に設けるように配置され、前記上カゴが前記ベース部に保持され
且つ前記上カゴが前記スライドレールにより前記洗浄槽に収納された状態では、前記係止片は、前記保持部よりも外方へ延在し、上方からみたときに前記ノズルの外形部分の回転軌跡から外れた
前記領域に配置される部分を有することを特徴とするシステムキッチンである。
【0008】
このシステムキッチンによれば、上カゴは、食器洗浄機の洗浄槽と、シンクと、の間を移動可能である。そのため、使用者は、上カゴをシンクに設置し水切りカゴとして用いることができる。そのため、使用者は、汚れた食器(洗浄前の食器)をシンクで上カゴに収納し、汚れた食器が収納された上カゴをそのまま食器洗浄機に移動して洗浄することができる。これにより、例えば食器や調理器具などの被洗浄物を1つずつ食器洗浄機にセットする手間を削減することができ、食事の後片付けをより短時間で行うことができる。そのため、片付け作業の効率化および省力化を図ることができる。
【0009】
また、上カゴは、下カゴと一体ではなく、下カゴとは分離している。そのため、被洗浄物の重量は、上カゴと下カゴとに分散される。そのため、被洗浄物が収納された上カゴと、被洗浄物が収納された下カゴと、の重量を軽減することができる。そのため、食器洗浄機に対する上カゴの出し入れ作業や、上カゴのスライド作業が、比較的楽になる。
【0010】
また、上カゴは、食器洗浄機の洗浄槽の上部に設けられたスライドレールに対して着脱可能とされている。そのため、使用者は、腰を屈めなくともスライドレールに対して上カゴを着脱することができる。これにより、腰などの身体への負担を軽減することができる。このとき、使用者は、洗浄槽の内部に固定されたレール等に上カゴを載置するわけではなく、洗浄槽の外部に移動したスライドレールに対して上カゴの着脱作業を行う。そのため、使用者は、被洗浄物が収納された比較的重い上カゴを無理な姿勢で洗浄槽の内部に収める必要はない。これにより、食器洗いの作業性が良好となる。
【0011】
また、使用者は、上カゴをシンクから移動させベース部に載せることで、上カゴを食器洗浄機にセットすることができる。そのため、上カゴを食器洗浄機にセットする作業が比較的簡単になる。
【0012】
また、洗浄槽の内部の奥行き方向の寸法は、洗浄槽の内部の横方向の寸法よりも長い。そのため、洗浄槽を上方からみたときにノズルの外形部分の回転軌跡とは重ならない領域が、洗浄槽の内部の前端部および後端部において形成される。その領域では、ノズルの外形部分の回転軌跡の内側と比較して、ノズルから噴射された水が到達しにくい。そのため、その領域における洗浄能力は、ノズルの外形部分の回転軌跡の内側の洗浄能力よりも劣る。そのため、被洗浄物がその領域に配置されると、被洗浄物の洗い残りが生ずるおそれがある。
【0013】
これに対して、そのシステムキッチンによれば、その領域には、係止片が配置されている。これにより、上カゴの被洗浄物の収納容量を維持しつつ、係止片を洗浄槽に効率的に収めることができる。また、ノズルから噴射された水が到達しにくい回転軌跡の外側の領域に、係止片が配置されている。これにより、上カゴに収納された被洗浄物の洗い残しが生ずることを抑えることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記ベース部は、線材が格子状に組み込まれた構造を有する底部を有することを特徴とするシステムキッチンである。
【0015】
このシステムキッチンによれば、使用者は、ベース部の底部に上カゴを載せることで、上カゴを食器洗浄機にセットすることができる。そのため、上カゴを食器洗浄機にセットする作業が楽になる。底部は、線材が格子状に組み込まれた構造を有する。そのため、上カゴがベース部をすり抜けて落下することはない。これにより、上カゴの落下をより確実に防止することができる。
【0016】
第3の発明は、第1または2の発明において、前記上カゴは、把持可能とされた持ち手を有し、前記ベース部は、把持可能とされ前記持ち手とは異なる引き手を有することを特徴とするシステムキッチンである。
【0017】
このシステムキッチンによれば、使用者が上カゴを移動させる際に把持する持ち手とは別に、使用者が洗浄槽からベース部を引き出す際に把持する引き手がベース部に設けられている。これにより、使用者は、洗浄槽に対して上カゴを出し入れする動作をより安定的に行うことができる。
【0018】
第4の発明は、第3の発明において、前記上カゴが前記ベース部に保持された状態では、前記係止片の先端部は、前記ベース部の側部よりも前方、且つ、前記引き手の先端部よりも後方に存在することを特徴とするシステムキッチンである。
【0019】
このシステムキッチンによれば、ベース部が洗浄槽の内部に完全には入っていなくとも、扉は、閉じる際に引き手の先端部を押し込み、ベース部を洗浄槽の内部に収納する。この際、前係止片の先端部が引き手の先端部よりも後方に存在するため、前係止片の先端部は、扉とは接触しない。これにより、例えば上カゴが比較的高い清潔感を有するステンレスにより形成されていても、上カゴにより扉の表面に傷がつくことを抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の態様によれば、食器の収納容量を維持しつつ、シンクへの係止片を効率的に収めることができる食器洗浄機が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる食器洗浄機を備えたシステムキッチンを表す模式的斜視図である。
【0023】
図1に表したシステムキッチン100は、カウンタ200と、食器洗浄機300と、を備える。カウンタ200は、シンク210を有する。例えば、シンク210の後部には、水栓211が設けられている。
本願明細書においては、システムキッチン100の前においてシンク210と向き合う使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とし、上側を「上方」とし、下側を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0024】
食器洗浄機300は、カウンタ200の下方に設けられている。より具体的には、食器洗浄機300は、カウンタ200の下方に組み込まれている。食器洗浄機300は、洗浄槽301と、扉305と、カゴ310と、を有する。洗浄槽301は、出し入れ口303を有する。
図1に表した矢印A1のように、扉305は、洗浄槽301の出し入れ口303の下端部を略中心として開閉する。
図1は、扉305が開いた状態を表している。
【0025】
カゴ310は、例えば食器や調理器具などの被洗浄物601を収納し、出し入れ口303を通して洗浄槽301に対して出し入れ可能とされている。カゴ310は、下カゴ320と、上カゴ330と、を有する。下カゴ320は、洗浄槽301の内部において、上カゴ330よりも下方に配置される。上カゴ330は、洗浄槽301の内部において、下カゴ320よりも上方に配置される。
【0026】
図2は、本実施形態にかかるシステムキッチンを右斜め上方から眺めた模式的斜視図である。
図3は、本実施形態にかかるシステムキッチンを右側方から眺めた模式的平面図である。
図4は、本実施形態の食器洗浄機を表す模式図である。
図4(a)は、本実施形態の食器洗浄機を左斜め上方から眺めた模式的斜視図である。
図4(b)は、本実施形態の食器洗浄機を上方から眺めた模式的平面図である。
図4(c)は、本実施形態の食器洗浄機を前方から眺めた模式的平面図である。
【0027】
本実施形態の食器洗浄機300は、ベース部340を有する。ベース部340は、スライドレール350に取り付けられている。スライドレール350は、洗浄槽301の上部に設けられ、前後方向に移動する部分(内レール352:例えば
図9参照)を有する。
図3に表したように、システムキッチン100が設置された床面190と、前後方向に移動するスライドレール350の部分(内レール352)の上面と、の間の距離D4は、例えば約600ミリメートル以上800ミリメートル以下程度である。詳細については、後述する。
ベース部340は、スライドレール350により、洗浄槽301に収納された状態と、洗浄槽301から引き出された状態と、の間で移動可能である。ベース部340は、引き手345を有する。使用者は、引き手345を持ってベース部340を移動させることができる。
【0028】
図4(a)〜
図4(c)に表したように、ベース部340は、上カゴ330を保持することができる。言い換えれば、上カゴ330は、ベース部340に保持あるいは支持され、食器洗浄機300に設置される。上カゴ330は、ベース部340に保持された状態において、ベース部340とともに移動する。そのため、上カゴ330は、スライドレール350に取り付けられたベース部340を介して、洗浄槽301に収納された状態と、洗浄槽301から引き出された状態と、の間で移動可能である。
【0029】
図2に表したように、ベース部340は、底部(落下防止手段)341と、側部343と、を有する。底部341は、線材が格子状に組み込まれた構造を有し、上カゴ330を比較的広い範囲で受けることができる。あるいは、底部341は、線材が格子状に組み込まれた構造を有し、上カゴ330を全体として面で受けることができる。底部341は、上カゴ330の落下を防止する落下防止手段として機能する。
【0030】
図2に表した矢印A2のように、使用者は、スライドレール350に取り付けられたベース部340から上カゴ330を取り外し、シンク210に設置することができる。つまり、上カゴ330は、ベース部340に対して着脱可能とされている。上カゴ330は、ベース部340を介してスライドレール350に対して間接的に着脱可能とされている。
【0031】
図2および
図4(b)に表したように、上カゴ330は、長辺333と、短辺334と、を有する。長辺333の長さは、短辺334の長さよりも長い。つまり、ベース部340に保持された状態の上カゴ330あるいはシンク210に設置された状態の上カゴ330を上方からみたとき、上カゴ330は、略長方形を呈する。上カゴ330がシンク210に設置された状態では、長辺333は、前後方向に延在する。上カゴ330がシンク210に設置された状態では、短辺は、左右方向に延在する。
図2に表したように、上カゴ330は、係止片331を有する。係止片331は、上カゴ330の上方の端部に設けられている。係止片331は、前係止片331aと、後係止片331bと、を有する。前係止片331aは、一方の短辺334に設けられている。後係止片331bは、他方の短辺334に設けられている。係止片331は、上カゴ330がシンク210に配置されるときにシンク210の周縁に引っ掛かる。
【0032】
図4(a)および
図4(b)に表したように、上カゴ330がベース部340に保持された状態では、長辺333は、前後方向に延在する。上カゴ330がベース部340に保持された状態では、短辺334は、左右方向に延在する。つまり、上カゴ330がベース部340に保持された状態では、上カゴ330の長手方向は、前後方向と略平行している。
【0033】
図3に表したように、上カゴ330が洗浄槽301から引き出された状態では、カウンタ200の前縁201と、ベース部340に保持された上カゴ330の後端部331d(本実施形態では後係止片331bの先端部)と、の間において前後方向の隙間D1が存在する。言い換えれば、上カゴ330が洗浄槽301から引き出された状態では、ベース部340に保持された上カゴ330の後端部331dは、カウンタ200の前縁201よりも前方に存在する。
【0034】
また、
図3に表したように、上カゴ330がベース部340に保持された状態では、ベース部340の側部343と、上カゴ330の前端部331c(本実施形態では前係止片331aの先端部)と、の間において前後方向の間隔D2が存在し、且つ、ベース部340の前端部345a(本実施形態では引き手345の先端部)と、上カゴ330の前端部331cと、の間において前後方向の間隔D3が存在する。言い換えれば、上カゴ330がベース部340に保持された状態では、上カゴ330の前端部331cは、ベース部340の側部343よりも前方、且つ、ベース部340の前端部345aよりも後方に存在する。あるいは、上カゴ330がベース部340に保持された状態では、上カゴ330の前端部331cは、前後方向において、ベース部340の側部343とベース部340の前端部345aとの間に存在する。
【0035】
図5は、本実施形態の洗浄槽の内部を表す模式的斜視図である。
図6は、本実施形態のベース部が洗浄槽から引き出された状態を表す模式的斜視図である。
【0036】
図5に表したように、本実施形態の食器洗浄機300の洗浄槽301の内部には、ノズル360が設けられている。ノズル360は、洗浄槽301の内部に洗浄水を噴射する。本実施形態の食器洗浄機300は、2つのノズル360を有する。但し、ノズル360の設置数は、2つに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0037】
本実施形態では、一方のノズル360は、洗浄槽301の底面301aに設けられている。底面301aに設けられたノズル360は、洗浄水を噴射すると、
図5に表した矢印A3のように回転する。つまり、底面301aに設けられたノズル360は、回転式のノズルである。
他方のノズル360は、下カゴ320と上カゴ330との間において洗浄槽301の奥側の側壁301bに設けられている。側壁301bに設けられたノズル360は、洗浄水を噴射すると、
図5に表した矢印A4のように回転する。つまり、側壁301bに設けられたノズル360は、回転式のノズルである。
【0038】
洗浄槽301の内部の上部には、スライドレール350が設けられている。
図6に表したように、スライドレール350は、ベース部340の後部に取り付けられ、ベース部340が洗浄槽301に収納された状態と、ベース部340が洗浄槽301から引き出された状態と、を切り替える。本実施形態の食器洗浄機300は、2つのスライドレール350を有する。但し、スライドレール350の設置数は、2つに限定されるわけではない。
【0039】
本実施形態では、一方のスライドレール350は、洗浄槽301の右側の側壁301cに設けられている。他方のスライドレール350は、洗浄槽301の左側の側壁301dに設けられている。
【0040】
本実施形態によれば、上カゴ330は、食器洗浄機300の洗浄槽301と、シンク210と、の間を移動可能である。そのため、使用者は、上カゴ330をシンク210に設置し水切りカゴとして用いることができる。そのため、使用者は、汚れた食器(シンク210で予洗いされた食器)をシンク210で上カゴ330に収納し、汚れた食器が収納された上カゴ330をそのまま食器洗浄機300に移動して洗浄することができる。これにより、被洗浄物601の全てを1つずつ食器洗浄機300にセットする手間を削減することができ、食事の後片付けをより短時間で行うことができる。そのため、片付け作業の効率化および省力化を図ることができる。
【0041】
また、上カゴ330は、下カゴ320と一体ではなく、下カゴ320とは分離している。そのため、被洗浄物601の重量は、上カゴ330と下カゴ320とに分散される。そのため、被洗浄物601が収納された上カゴ330と、被洗浄物601が収納された下カゴ320と、の重量を軽減することができる。そのため、食器洗浄機300に対する上カゴ330の出し入れ作業や、上カゴ330のスライド作業が、比較的楽になる。
【0042】
また、上カゴ330は、食器洗浄機300の洗浄槽301の上部に設けられたスライドレール350から間接的に取り外し可能とされている。そのため、使用者は、腰を屈めなくともスライドレール350に対して上カゴ330を着脱することができる。これにより、腰などの身体への負担を軽減することができる。このとき、使用者は、洗浄槽301の内部に固定されたレール等に上カゴ330を載置するわけではなく、洗浄槽301の外部に移動したスライドレール350に対して上カゴ330の着脱作業を行う。そのため、使用者は、被洗浄物601が収納された比較的重い上カゴ330を無理な姿勢で洗浄槽301の内部に収める必要はない。これにより、食器洗いの作業性が良好となる。
【0043】
また、使用者は、上カゴ330をシンク210から移動させベース部340に載せることで、上カゴ330を食器洗浄機300にセットすることができる。そのため、上カゴ330を食器洗浄機300にセットする作業が比較的簡単になる。このとき、ベース部340が底部341を有するため、例えばベース部340の所定位置からずれた位置で使用者が上カゴ330から手を離しても、上カゴ330は、ベース部340の底部341に支持され落下しない。そのため、使用者は、被洗浄物601が上カゴ330に収納されていても、安心して上カゴ330から手を離すことができる。
【0044】
また、使用者は、ベース部340の底部341に上カゴ330を載せることで、上カゴ330を食器洗浄機300にセットすることができる。そのため、上カゴ330を食器洗浄機300にセットする作業が楽になる。底部341は、線材が格子状に組み込まれた構造を有する。そのため、上カゴ330がベース部340をすり抜けて落下することはない。これにより、上カゴ330の落下をより確実に防止することができる。
【0045】
また、上カゴ330が洗浄槽301から引き出された状態では、ベース部340に保持された上カゴ330の後端部331dは、カウンタ200の前縁201よりも前方に存在する。そのため、使用者が食器洗浄機300に対して上カゴ330を着脱する際に、上カゴ330の後端部331dがカウンタ200と衝突することを抑えることができる。これにより、上カゴ330が衝突の衝撃により落下することを抑えることができる。
【0046】
上カゴ330の後係止片331bは、使用者にとって比較的見にくい位置に設けられている。そのため、使用者が食器洗浄機300に対して上カゴ330を着脱する際に、後係止片331bがカウンタ200の前縁201と衝突するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、上カゴ330が洗浄槽301から引き出された状態では、ベース部340に保持された上カゴ330の後端部331dは、カウンタ200の前縁201よりも前方に存在する。そして、上カゴ330は、ベース部340に対して真上に持ち上げるにしてベース部340から取り外され、また、ベース部340に対して真上から降ろすようにしてベース部340に装着される。そのため、使用者が食器洗浄機300に対して上カゴ330を着脱する際に、後係止片331bがカウンタ200の前縁201と衝突することを抑えることができる。これにより、上カゴ330が衝突の衝撃により落下することを抑えることができる。
【0047】
図7は、本実施形態の食器洗浄機の洗浄槽の内部を上方から眺めた模式的平面図である。
図4(a)および
図4(b)に関して前述したように、上カゴ330がベース部340に保持された状態では、長辺333は、前後方向に延在する。上カゴ330がベース部340に保持された状態では、短辺334は、左右方向に延在する。そのため、
図7に表したように、洗浄槽301の内部の前後方向(奥行き方向)の寸法は、洗浄槽301の内部の左右方向(横方向)の寸法よりも長い。そのため、
図7に表した領域307a、307bのように、洗浄槽301を上方からみたときにノズル360の外形部分の回転軌跡360aとは重ならない領域が、洗浄槽301の内部の前端部および後端部において形成される。
【0048】
ベース部340は、保持部347を有する。保持部347は、引き手345を除く部分である。つまり、保持部347は、底部341および側部343を有し、上カゴ330を保持する部分である。
【0049】
図7に表したように、上方からみたとき、上カゴ330の前係止片331aは、ベース部340の保持部347よりも外方へ延在し、ノズル360の外形部分の回転軌跡360aから外れた領域に配置される部分を有する。上方からみたとき、上カゴ330の後係止片331bは、ベース部340の保持部347よりも外方へ延在し、ノズル360の外形部分の回転軌跡360aから外れた領域に配置される部分を有する。
【0050】
領域307aおよび領域307bでは、ノズル360の外形部分の回転軌跡360aの内側と比較して、ノズル360から噴射された水が到達しにくい。そのため、領域307aおよび領域307bにおける洗浄能力は、ノズル360の外形部分の回転軌跡360aの内側の洗浄能力よりも劣る。そのため、被洗浄物601が領域307aおよび領域307bの少なくともいずれかに配置されると、被洗浄物601の洗い残りが生ずるおそれがある。
【0051】
これに対して、本実施形態では、領域307aには、前係止片331aのうちの少なくとも一部が配置されている。領域307bには、後係止片331bのうちの少なくとも一部が配置されている。これにより、十分な洗浄能力を有するノズル360の外形部分の回転軌跡360aの内側の領域を被洗浄物601の収納領域として有効に活用して、上カゴ330の被洗浄物601の収納容量を維持しつつ、前係止片331aおよび後係止片331bを洗浄槽301に効率的に収めることができる。また、ノズル360から噴射された水が到達しにくい回転軌跡360aの外側の領域307aに、前係止片331aのうちの少なくとも一部が配置されている。ノズル360から噴射された水が到達しにくい回転軌跡360aの外側の領域307bに、後係止片331bのうちの少なくとも一部が配置されている。これにより、上カゴ330に収納された被洗浄物601の洗い残しが生ずることを抑えることができる。
【0052】
次に、片付け作業の一例について、図面を参照しつつ説明する。
図8〜
図15は、片付け作業の一例を例示する模式図である。
図8(a)〜
図11、
図13、および
図15は、模式的斜視図である。
図12は、シンク210を上方から眺めた模式的平面図である。
図14は、本実施形態にかかるシステムキッチン100を前方から眺めた模式的平面図である。
図11は、
図10に表した領域A11における模式的拡大図である。
【0053】
図8(a)および
図8(b)に表したように、ベース部340が洗浄槽301に収納された状態から、使用者は、ベース部340の引き手345を持ってベース部340を前方へ引き出す。ここで、スライドレール350は、外レール351と、内レール352と、を有する。外レール351は、洗浄槽301の側壁に固定されている(
図5参照)。内レール352は、外レール351と係合され、外レール351に対して前後方向へ移動することができる。
図8(b)および
図9に表したように、使用者がベース部340を前方へ引き出すと、内レール352がベース部340とともに外レール351に対して前方へ移動する。
【0054】
続いて、使用者は、ベース部340の引き手345を持ってベース部340を前方へさらに引き出す。ここで、
図10および
図11に表したように、内レール352の内部には、スライダ354が設けられている。スライダ354は、内レール352に対して前後方向へ移動することができる。スライダ354は、ベース部340の後部に固定されている。
【0055】
使用者がベース部340を前方へさらに引き出すと、内レール352は外レール351に対して停止する一方で、スライダ354は、ベース部340とともに内レール352に対して前方へ移動する。これにより、使用者は、ベース部340を前方へさらに引き出すことができる。
【0056】
なお、
図8(a)〜
図11に表した例では、上カゴ330は、ベース部340に載置されていない。但し、
図8(a)〜
図11に表した状態において、上カゴ330は、ベース部340に載置されていてもよい。
また、使用者がベース部340を洗浄槽301から引き出す際に、内レール352が外レール351に対して前方へ移動した後に、スライダ354が内レール352に対して前方へ移動する例を説明した。但し、内レール352の移動とスライダ354の移動との間のタイミングは、これだけには限定されない。例えば、スライダ354が内レール352に対して前方へ移動した後に、内レール352が外レール351に対して前方へ移動してもよい。
【0057】
図12に表したように、上カゴ330は、カウンタ200のシンク210に配置されている。このとき、前係止片331aおよび後係止片331bが、シンク210の周縁に引っ掛かっている。あるいは、上カゴ330がベース部340に載置されていた場合には、使用者は、上カゴ330をベース部340から取り外し、上カゴ330をカウンタ200のシンク210に配置する。
【0058】
使用者は、シンク210の任意の位置に上カゴ330を配置することができる。
図12に表したように、使用者は、水栓211からみて左側のシンク210に上カゴ330を配置することができる。あるいは、使用者は、水栓211からみて右側のシンク210に上カゴ330を配置することができる。このように、使用者は、前係止片331aおよび後係止片331bをシンク210の周縁に引っ掛けることで、好みに応じた位置に上カゴ330を配置することができる。なお、後係止片331bは、シンク210の周縁に代えて、シンク210に取り付けられた洗剤ラックに引っ掛けられてもよい。
【0059】
続いて、
図13および
図14に表したように、使用者は、被洗浄物601を上カゴ330に収納し、被洗浄物601が収納された上カゴ330をベース部340へ載置する。ここで、
図13に表したように、上カゴ330は、左右両側に持ち手336を有する。持ち手336は、例えば上カゴ330を形成する線材のうちで長辺333の最上部の線材部分である。なお、
図13では、説明の便宜上、上カゴ330に収納される被洗浄物601を省略している。使用者は、上カゴ330の持ち手336を持って被洗浄物601が収納された上カゴ330をベース部340へ移動させることができる。
【0060】
続いて、使用者は、食器洗浄機300の扉305を閉じる。ここで、
図3に関して前述したように、上カゴ330がベース部340に保持された状態では、上カゴ330の前端部331cは、ベース部340の側部343よりも前方、且つ、ベース部340の前端部345aよりも後方に存在する。
【0061】
これによれば、ベース部340が洗浄槽301の内部に完全には入っていなくとも、扉305は、閉じる際にベース部340の前端部345a(本実施形態では引き手345の先端部)を押し込み、ベース部340を洗浄槽301の内部に収納する。この際、上カゴ330の前端部331c(本実施形態では前係止片331aの先端部)がベース部340の前端部345aよりも後方に存在するため、上カゴ330の前端部331cは、扉305とは接触しない。これにより、例えば上カゴ330が比較的高い清潔感を有するステンレスにより形成されていても、上カゴ330により扉305の内面に傷がつくことを抑えることができる。
【0062】
本実施形態によれば、スライドレール350は、比較的高価な三段式のレールとは異なり、外レール351と、内レール352と、を有する。本実施形態のスライドレール350は、洗浄槽301の外側へベース部340を引き出し、カウンタ200の前縁201よも前方へベース部340をより確実に移動させることができる。
また、使用者が上カゴ330を移動させる際に把持する持ち手336とは別に、使用者が洗浄槽301からベース部340を引き出す際に把持する引き手345がベース部340に設けられている。これにより、使用者は、洗浄槽301に対して上カゴ330を出し入れする動作をより安定的に行うことができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、システムキッチン100および食器洗浄機300などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや上カゴ330およびベース部340の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。