特許第6338093号(P6338093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338093
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】柱梁接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20180528BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   E04B1/58 508L
   E04B1/26 G
   E04B1/58 507L
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-101728(P2014-101728)
(22)【出願日】2014年5月15日
(65)【公開番号】特開2015-218464(P2015-218464A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】貞広 修
(72)【発明者】
【氏名】木村 誠
(72)【発明者】
【氏名】濱 智貴
(72)【発明者】
【氏名】河内 武
(72)【発明者】
【氏名】立石 寧俊
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−109150(JP,A)
【文献】 特開2001−107473(JP,A)
【文献】 特開2007−231644(JP,A)
【文献】 特開2005−098036(JP,A)
【文献】 特開2009−197416(JP,A)
【文献】 特開2012−177224(JP,A)
【文献】 特開2008−274573(JP,A)
【文献】 特開2006−052552(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0259563(US,A1)
【文献】 特開2006−063587(JP,A)
【文献】 特開平03−021738(JP,A)
【文献】 特開平06−173343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、
梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材を上下に貫通して上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材に挿入配置され、ここに付着固定される鋼棒またはボルトを用いて接合し、
梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面であって上下縁部に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けるとともに、仕口部材の支圧板に対向する側に反力伝達機構を設けたことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項2】
木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、
梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材の端面の中央部分に開けられた凹溝部に挿入配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、
梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面であって上下縁部に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けるとともに、仕口部材の支圧板に対向する側に反力伝達機構を設けたことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項3】
木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、
梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材の下端部の側面および下側柱部材の上端部の側面を完全に被覆して配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、
梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面であって上下縁部に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けるとともに、仕口部材の支圧板に対向する側に反力伝達機構を設けたことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項4】
支圧板を、コーチボルトで梁部材の端部の側面に取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の柱梁接合構造。
【請求項5】
仕口部材を、鉄骨または鉄筋コンクリートで構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の柱梁接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合した柱梁接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木質の柱部材と、鋼製または木製の梁部材とを接合した柱梁接合構造が知られている(例えば、特許文献1および2を参照)。図11は、従来の木質の柱部材と木質の梁部材とを接合した柱梁接合構造の分解斜視図の一例を示したものである。この図に示すように、従来の柱梁接合構造では、木質の柱部材1に水平に挿通配置した複数の通しボルト2(引きボルト)およびナット2aを介してT字状断面の梁部材接続用の金物3のベースプレート3aを柱1の側面の凹部1aに取り付ける一方、梁部材接続用の金物3のガセットプレート3bを木質の梁部材4の端面の凹溝部4aに挿入配置し、ガセットプレート3bと梁部材4とをドリフトピン5などの接合具にて接続するディテールが一般的であった。なお、図11の柱梁接合構造においては、梁部材4の上面にラグスクリューボルト6を介してスラブコンクリート7が設けられ、ドリフトピン5の端部側に木栓8が埋め込み配置され、柱部材1の側面の凹部1aの縁部にモルタルバーなどの断熱材9が配置された例を示している。
【0003】
このような接合形式の場合には、柱部材1に対して梁部材4が回転変形した際に、T字状断面の金物3のベースプレート3aが柱部材1にめり込むと同時に、通しボルト2の伸びにより接合部の剛性が低下し、この柱梁接合構造を備える建物全体の水平剛性に大きな影響を及ぼすことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−29092号公報
【特許文献2】特開2009−174271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合した柱梁接合構造において、接合部の剛性および耐力を向上することが望まれていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合した柱梁接合構造において、接合部の剛性および耐力を向上することができる柱梁接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る柱梁接合構造は、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材に挿入配置され、ここに付着固定される鋼棒またはボルトを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造は、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材に挿入配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造は、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材の側面を被覆するように配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造は、上述した発明において、支圧板を、木ねじまたはコーチボルトで梁部材の端部の側面に取り付けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造は、上述した発明において、仕口部材を、鉄骨または鉄筋コンクリートで構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る柱梁接合構造によれば、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材に挿入配置され、ここに付着固定される鋼棒またはボルトを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたので、木質の上側柱部材および下側柱部材は、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材を介して鋼棒またはボルトによって互いに剛接合される。また、従来の接合部では木質の梁部材に設置されるドリフトピンやボルトなどの接合具のみで負担していた入力荷重を、この接合具と梁部材の端部に設けた支圧板とで負担することで、接合具周辺での木質の梁部材の破壊のおそれを低減して接合部の靱性向上が図られる。したがって、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材に挿入配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたので、木質の上側柱部材および下側柱部材は、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材を介して挿入配置された鋼板により2面せん断型に剛接合される。また、従来の接合部では木質の梁部材に設置されるドリフトピンやボルトなどの接合具のみで負担していた入力荷重を、この接合具と梁部材の端部に設けた支圧板とで負担することで、接合具周辺での木質の梁部材の破壊のおそれを低減して接合部の靱性向上が図られる。したがって、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材の側面を被覆するように配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたので、木質の上側柱部材および下側柱部材は、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材を介して被覆するように配置された鋼板により2面せん断型に剛接合される。また、従来の接合部では木質の梁部材に設置されるドリフトピンやボルトなどの接合具のみで負担していた入力荷重を、この接合具と梁部材の端部に設けた支圧板とで負担することで、接合具周辺での木質の梁部材の破壊のおそれを低減して接合部の靱性向上が図られる。したがって、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、支圧板を、木ねじまたはコーチボルトで梁部材の端部の側面に取り付けたので、支圧板を設けた部分を補強し、支圧板による作用効果を増大することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、仕口部材を、鉄骨または鉄筋コンクリートで構成したので、柱梁接合構造を比較的安価に実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態1を示す図である。
図2図2は、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態2を示す図である。
図3図3は、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態3を示す図である。
図4図4は、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態4を示す図である。
図5図5は、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態5を示す図である。
図6図6は、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態6を示す図である。
図7図7は、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態7を示す図である。
図8図8は、本発明に係る柱梁接合構造の実施の形態を示す側面図である。
図9図9は、図8のA−A線に沿った図である。
図10図10は、正負交番変位制御型の繰返し載荷実験の実験結果を示す図である。
図11図11は、従来の柱梁接合構造の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る柱梁接合構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
[柱梁接合構造の基本構成]
まず、本発明に係る柱梁接合構造の基本構成の実施の形態について図1図7を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態1に係る柱梁接合構造100は、木質の角型断面の柱部材12と木質の角型断面の梁部材14とを接合してなる柱梁接合構造であって、梁部材14と接続するためのウェブ16A(突出金物)を側端面に有し、H型鋼(鉄骨)からなる仕口部材16と、仕口部材16の上端面に配置される上側柱部材12Aと、仕口部材16の下端面に配置される下側柱部材12Bとを備える。なお、仕口部材16において直交配置されるH型鋼どうしは溶接等によって接合される。
【0021】
上側柱部材12A、仕口部材16、下側柱部材12Bは、仕口部材16の上下端面のフランジ16Bを貫通して上下に突出し、上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの端面に開けられた図示しない挿入孔にねじ込まれるラグスクリューボルト18によって接合固定される。ラグスクリューボルト18は六角形状の頭部18aと、軸部18bとからなり、軸部18bの先端側にはねじ山が切られており、その先端は鋭く尖った形状をしている。頭部18aはフランジ16Bに当接し、軸部18bは上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの挿入孔に案内されてその内部にねじ込まれる。ラグスクリューボルト18は、平面視で前後左右の4箇所に配置される。
【0022】
本実施の形態1によれば、木質の上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bは、H型鋼の仕口部材16を介してラグスクリューボルト18によって互いに剛接合される。このため、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0023】
(実施の形態2)
図2に示すように、本実施の形態2に係る柱梁接合構造200は、木質の角型断面の柱部材12と木質の角型断面の梁部材14とを接合してなる柱梁接合構造であって、梁部材14と接続するためのH型鋼20A(突出金物)を側端面に有し、鉄筋コンクリートからなる仕口部材20と、仕口部材20の上端面に配置される上側柱部材12Aと、仕口部材20の下端面に配置される下側柱部材12Bとを備える。なお、仕口部材20において直交配置されるH型鋼どうしは鉄筋コンクリート内部において溶接等によって接合される。
【0024】
上側柱部材12A、仕口部材20、下側柱部材12Bは、仕口部材20を上下に貫通して上下に突出し、上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの端面に開けられた図示しない挿入孔に挿入配置される鋼棒22によって接合固定される。ここで、この挿入孔と鋼棒22との間の隙間には、硬化性グラウトや接着剤などが充填され、鋼棒22は上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bに付着固定される。鋼棒22は、平面視で前後左右の4箇所に配置される。
【0025】
本実施の形態2によれば、木質の上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bは、鉄筋コンクリートの仕口部材20を介して鋼棒22によって互いに剛接合される。このため、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0026】
(実施の形態3)
図3に示すように、本実施の形態3に係る柱梁接合構造300は、木質の角型断面の柱部材12と木質の角型断面の梁部材14とを接合してなる柱梁接合構造であって、梁部材14と接続するためのT型鋼24A(突出金物)を側端面に有し、鉄筋コンクリートからなる仕口部材24と、仕口部材24の上端面に配置される上側柱部材12Aと、仕口部材24の下端面に配置される下側柱部材12Bとを備える。ここで、仕口部材24を挟んで側端面に対向配置されるT型鋼24A(突出金物)は、仕口部材24に水平に挿通配置した上下の引きボルト26Aおよび引きボルト26Aの両端に螺合したナット26Bを介して締結される。
【0027】
上側柱部材12A、仕口部材24、下側柱部材12Bは、仕口部材24を上下に貫通して上下に突出し、上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの端面に開けられた図示しない挿入孔に挿入配置される鋼棒28によって接合固定される。ここで、この挿入孔と鋼棒28との間の隙間には、硬化性グラウトや接着剤などが充填され、鋼棒28は上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bに付着固定される。鋼棒28は、平面視で前後左右の4箇所に配置される。
【0028】
本実施の形態3によれば、木質の上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bは、鉄筋コンクリートの仕口部材24を介して鋼棒28によって互いに剛接合される。このため、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0029】
(実施の形態4)
図4に示すように、本実施の形態4に係る柱梁接合構造400は、木質の角型断面の柱部材12と木質の角型断面の梁部材14とを接合してなる柱梁接合構造であって、梁部材14と接続するためのウェブ30A(突出金物)を側端面に有し、H型鋼(鉄骨)からなる仕口部材30と、仕口部材30の上端面に配置される上側柱部材12Aと、仕口部材30の下端面に配置される下側柱部材12Bとを備える。なお、仕口部材30において直交配置されるH型鋼どうしは溶接等によって接合される。
【0030】
上側柱部材12A、仕口部材30、下側柱部材12Bは、仕口部材30の上下端面の中央部分から上下に突出し、上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの端面の中央部分に開けられた図示しない凹溝部に挿入配置される矩形の鋼板32と、この鋼板32に設けた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されるドリフトピン34(接合具)とによって接合固定される。なお、仕口部材30と鋼板32とは、溶接やボルト接合によって接合される。
【0031】
本実施の形態4によれば、木質の上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bは、H型鋼の仕口部材30を介して挿入配置された鋼板32により2面せん断型に剛接合される。このため、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0032】
(実施の形態5)
図5に示すように、本実施の形態5に係る柱梁接合構造500は、木質の角型断面の柱部材12と木質の角型断面の梁部材14とを接合してなる柱梁接合構造であって、梁部材14と接続するためのH型鋼36A(突出金物)を側端面に有し、鉄筋コンクリートからなる仕口部材36と、仕口部材36の上端面に配置される上側柱部材12Aと、仕口部材36の下端面に配置される下側柱部材12Bとを備える。なお、仕口部材36において直交配置されるH型鋼どうしは鉄筋コンクリート内部において溶接等によって接合される。
【0033】
上側柱部材12A、仕口部材36、下側柱部材12Bは、仕口部材36の上下端面の中央部分から上下に突出し、上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの端面の中央部分に開けられた図示しない凹溝部に挿入配置される矩形の鋼板38と、この鋼板38に設けた貫通孔と上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの側面に設けた挿通孔に通されるドリフトピン40(接合具)とによって接合固定される。なお、仕口部材36の内部のH型鋼と鋼板38とは、溶接やボルト接合によって接合される。
【0034】
本実施の形態5によれば、木質の上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bは、鉄筋コンクリートの仕口部材36を介して挿入配置された鋼板38により2面せん断型に剛接合される。このため、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0035】
(実施の形態6)
図6に示すように、本実施の形態6に係る柱梁接合構造600は、木質の角型断面の柱部材12と木質の角型断面の梁部材14とを接合してなる柱梁接合構造であって、梁部材14と接続するためのT型鋼42A(突出金物)を側端面に有し、鉄筋コンクリートからなる仕口部材42と、仕口部材42の上端面に配置される上側柱部材12Aと、仕口部材42の下端面に配置される下側柱部材12Bとを備える。ここで、仕口部材42を挟んで側端面に対向配置されるT型鋼42A(突出金物)は、仕口部材42に水平に挿通配置した上下の引きボルト44Aおよび引きボルト44Aの両端に螺合したナット44Bを介して締結される。
【0036】
上側柱部材12A、仕口部材42、下側柱部材12Bは、仕口部材42の上下端面の中央部分から上下に突出し、上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの端面の中央部分に開けられた図示しない凹溝部に挿入配置される矩形の鋼板46と、この鋼板46に設けた貫通孔と上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの側面に設けた挿通孔に通されるドリフトピン48(接合具)とによって接合固定される。ここで、鋼板46は、仕口部材42の上下端面に当接するベースプレート50とこれに垂直なガセットプレートとからなるT型鋼のガセットプレートにより構成することができる。この場合、仕口部材42を挟んで上下端面に対向配置されるT型鋼のベースプレート50は、仕口部材42に鉛直に挿通配置した前後左右の引きボルト52Aおよび引きボルト52Aの両端に螺合したナット52Bを介して締結される。
【0037】
本実施の形態6によれば、木質の上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bは、鉄筋コンクリートの仕口部材42を介して挿入配置された鋼板46により2面せん断型に剛接合される。このため、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0038】
(実施の形態7)
図7に示すように、本実施の形態7に係る柱梁接合構造700は、木質の角型断面の柱部材12と木質の角型断面の梁部材14とを接合してなる柱梁接合構造であって、梁部材14と接続するためのウェブ54A(突出金物)を側端面に有し、H型鋼(鉄骨)からなる仕口部材54と、仕口部材54の上端面に配置される上側柱部材12Aと、仕口部材54の下端面に配置される下側柱部材12Bとを備える。なお、仕口部材54において直交配置されるH型鋼どうしは溶接等によって接合される。
【0039】
上側柱部材12A、仕口部材54、下側柱部材12Bは、仕口部材54の上下端面から上下に突出し、上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの側面を被覆するように配置される矩形の鋼板56と、この鋼板56に設けた貫通孔と上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bの側面に設けた挿通孔に通されるドリフトピン58(接合具)とによって接合固定される。なお、仕口部材54と鋼板56とは、溶接やボルト接合によって接合される。
【0040】
本実施の形態7によれば、木質の上側柱部材12Aおよび下側柱部材12Bは、H型鋼の仕口部材54を介して被覆するように配置された鋼板56により2面せん断型に剛接合される。このため、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0041】
なお、上記の実施の形態1〜7において、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材を、鉄骨または鉄筋コンクリートで構成することで、柱梁接合構造を比較的安価に実現することが可能である。
【0042】
[柱梁接合構造]
次に、本発明に係る柱梁接合構造の実施の形態について図8および図9を参照しながら説明する。
【0043】
本実施の形態に係る柱梁接合構造は、上記の実施の形態1〜7において、梁部材の端面に支圧板を設け、この支圧板を介して仕口部材と取り合うディテールを併用したものである。このようにすることで、接合部の剛性および耐力をより一層向上することが可能となる。以下に、具体的な実施例を説明する。
【0044】
図8および図9に示すように、本実施の形態の柱梁接合構造10は、上記の実施の形態1の柱梁接合構造100の一部を変形したものであり、H型鋼からなる仕口部材60と、仕口部材60に取り付けられたガセットプレート62とを備える。
【0045】
仕口部材60のフランジ60A内面には、ウェブ60Bから水平方向に延びるリブプレート64が突設してあり、このリブプレート64の外面には梁部材側に開口する袋ナット66が溶接してある。袋ナット66にはボルト68が螺合し、その頭部68aは梁部材側に位置している。
【0046】
一方、梁部材14の仕口部材60に対向する側の端部の側面14aの上下縁部には、この端部で負担する反力を仕口部材60に伝達するための鋼製(金属製)の支圧板70が設けてある。支圧板70は、ボルト68の頭部68aに当接している。
【0047】
この構成によれば、梁端部の反力は、支圧板70、ボルト68、袋ナット66、リブプレート64を介して仕口部材60のH型鋼に伝達される。したがって、梁端部においては、この反力の分だけ、ドリフトピンやボルトなどの接合具72部分の荷重負担が低減することになる。
【0048】
このように、本実施の形態の柱梁接合構造10によれば、従来の接合部では木質の梁部材14に設置されるドリフトピンやボルトなどの接合具72のみで負担していた入力荷重を、この接合具72と梁部材の端部に設けた支圧板70とで負担することができ、接合具72周辺での木質の梁部材14の破壊のおそれを低減して接合部の靱性向上が図られる。したがって、本実施の形態によれば、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0049】
ここで、支圧板70を、木ねじまたはコーチボルト74で梁部材14の端部の側面14aに取り付けてもよい。こうすることで、支圧板70を設けた部分を補強し、支圧板70による作用効果をより増大することができる。
【0050】
なお、上記の柱梁接合構造10の実施の形態においては、上記の実施の形態1の柱梁接合構造100の一部を変形したものに適用した場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではなく、上記の実施の形態2〜7において説明した柱梁接合構造200〜700に適用してもよい。この場合、梁部材14の端部の側面14aの上下縁部に上記の支圧板70を取り付ける一方、これに対向する仕口部材側に上記の袋ナット66、ボルト68、リブプレート64等の反力伝達機構を設けることで、梁部材14の端部で負担する反力を各仕口部材に伝達するようにしてもよい。
【0051】
この場合にも、支圧板70を、木ねじまたはコーチボルト74で梁部材14の端部の側面14aに取り付けることで、支圧板70を設けた部分を補強し、支圧板70による作用効果をより増大するようにしてもよい。
【0052】
(柱梁接合構造10の効果の検証実験)
次に、図8および図9の柱梁接合構造10の効果を検証するために行った実験結果について説明する。本実験では、上記の柱梁接合構造10の接合部を模擬した実大試験体による正負交番載荷実験により、支持板と補強用のコーチボルトの効果を確認した。表1に、本実験に用いた試験体N、A、Bにおける支圧板の有無、コーチボルト補強の有無、使用材料等について示す。
【0053】
【表1】
【0054】
図10に、本実験によって得られた水平方向載荷荷重と載荷位置水平変位の関係を示す。なお、本実験では試験体Nについては1体分、試験体A、Bについては各2体分(図10においては試験体A−1、A−2、B−1、B−2と表記している)の実験を行っている。この図に示すように、支圧板を備える試験体A−1、A−2、B−1、B−2は、支圧板を備えない従来の接合形式(試験体N)に比べて剛性、耐力が向上することがわかる。また、コーチボルト補強を行わない試験体A−1、A−2よりも、コーチボルト補強を行った試験体B−1、B−2の方がより剛性、耐力が向上することがわかる。
【0055】
以上説明したように、本発明に係る柱梁接合構造によれば、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材に挿入配置され、ここに付着固定される鋼棒またはボルトを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたので、木質の上側柱部材および下側柱部材は、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材を介して鋼棒またはボルトによって互いに剛接合される。また、従来の接合部では木質の梁部材に設置されるドリフトピンやボルトなどの接合具のみで負担していた入力荷重を、この接合具と梁部材の端部に設けた支圧板とで負担することで、接合具周辺での木質の梁部材の破壊のおそれを低減して接合部の靱性向上が図られる。したがって、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0056】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材に挿入配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたので、木質の上側柱部材および下側柱部材は、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材を介して挿入配置された鋼板により2面せん断型に剛接合される。また、従来の接合部では木質の梁部材に設置されるドリフトピンやボルトなどの接合具のみで負担していた入力荷重を、この接合具と梁部材の端部に設けた支圧板とで負担することで、接合具周辺での木質の梁部材の破壊のおそれを低減して接合部の靱性向上が図られる。したがって、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0057】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合してなる柱梁接合構造において、梁部材と接続するための突出金物を側端面に有し、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材と、仕口部材の上端面に配置される上側柱部材と、仕口部材の下端面に配置される下側柱部材とを、仕口部材の上下端面から上下に突出し、上側柱部材および下側柱部材の側面を被覆するように配置される鋼板と、この鋼板に設けられた貫通孔と上側柱部材および下側柱部材の側面に設けた挿通孔に通されて鋼板と上側柱部材および下側柱部材とを連結する接合具とを用いて接合し、梁部材の仕口部材に対向する側の端部の側面に、この端部で負担する反力を仕口部材に伝達するための金属製の支圧板を設けたので、木質の上側柱部材および下側柱部材は、木材よりも硬質の材料からなる仕口部材を介して被覆するように配置された鋼板により2面せん断型に剛接合される。また、従来の接合部では木質の梁部材に設置されるドリフトピンやボルトなどの接合具のみで負担していた入力荷重を、この接合具と梁部材の端部に設けた支圧板とで負担することで、接合具周辺での木質の梁部材の破壊のおそれを低減して接合部の靱性向上が図られる。したがって、従来の接合形式に比べて、接合部の剛性および耐力を向上することができる。
【0058】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、支圧板を、木ねじまたはコーチボルトで梁部材の端部の側面に取り付けたので、支圧板を設けた部分を補強し、支圧板による作用効果を増大することができる。
【0059】
また、本発明に係る他の柱梁接合構造によれば、仕口部材を、鉄骨または鉄筋コンクリートで構成したので、柱梁接合構造を比較的安価に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る柱梁接合構造は、木質の柱部材と木質の梁部材とを接合した柱梁接合構造に有用であり、特に、接合部の剛性および耐力を向上するのに適している。
【符号の説明】
【0061】
10,100,200,300,400,500,600,700 柱梁接合構造
12 柱部材
12A 上側柱部材
12B 下側柱部材
14 梁部材
14a 側面
16,20,24,30,36,42,54,60 仕口部材
16A,30A,54A ウェブ(突出金物)
16B フランジ
18 ラグスクリューボルト(ボルト)
18a 頭部
18b 軸部
20A,36A H型鋼(突出金物)
22,28 鋼棒
24A,42A T型鋼(突出金物)
26A,44A,52A 引きボルト
26B,44B,52B ナット
32,38,46,56 鋼板
34,40,48,58 ドリフトピン(接合具)
50 ベースプレート
60A フランジ
60B ウェブ
62 ガセットプレート
64 リブプレート
66 袋ナット
68 ボルト
68a 頭部
70 支圧板
72 接合具
74 木ねじまたはコーチボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11