【実施例】
【0028】
(実施例1〜歯根異所性移植モデルにおけるブタCD31-SP細胞移植による歯周組織再生)
(1−1.CD31-SP細胞分取、評価)
ブタの下顎より、歯髄細胞を酵素消化法により分離し、さらにCD31-SP細胞をフローサイトメトリーにより分取した。歯髄細胞中の歯髄CD31- SP細胞の含有率は0.8%であり、同一個体由来の骨髄および脂肪細胞中のCD31-SP細胞の含有率に比べ高かった(骨髄 0.3%, 脂肪 0.1%)。
【0029】
ブタ歯髄、骨髄および脂肪CD31- SP細胞の幹細胞マーカー発現率を継代3代目においてフローサイトメトリーにて分析した。表1に示すように、CD29, CD44, CD73, CD90, CD105, CXCR4, GCSF-Rの発現は陽性で、CD14, CD31, CD133の発現が0.2%以下で陰性であった。CD146, CD150, CD271はそれぞれ0.5%, 2.8%および1.4%で低い発現率を示した。
【0030】
【表1】
【0031】
mRNA発現を比較すると、表2に示すように、幹細胞マーカーであるSox2、Tert、Bmi1、CXCR4、Stat3、Nanog、Oct4 mRNAは、歯髄CD31- SP細胞において、骨髄および脂肪CD31- SP細胞とほぼ同程度に発現していた。この結果により、これら3種の細胞集団が、同程度に幹細胞としての性質を有していることが示唆された。血管新生因子・神経栄養因子である、GM-CSF、MMP-3、VEGF、BDNF、GDNF、NGF、neuropeptide Yなどは、3種の細胞集団でいずれも発現していたが、歯髄において最も発現が高かった。
【0032】
【表2】
【0033】
in vitroにおいて、
図1に示すように、歯髄CD31- SP細胞は、骨髄および脂肪CD31- SP細胞に比べ血管誘導能、神経誘導能および増殖能に差は見られなかったが、脂肪CD31- SP細胞に比べて高い遊走能を有していた。
【0034】
(1−2.各種幹細胞培養上清濃縮とその特徴化)
10%FBS含有DMEM下で、10cmディッシュに60〜70%にまで歯髄幹細胞を培養した。その後無血清培地に交換し、さらに24時間培養を行った。上清を回収し、3,000Kのフィルター(Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Unit with an Ultracel-3 membrane (Millipore, Billerica, MA))にて遠心濃縮を行った。濃縮した培養上清をBradfordUltraTM(expedeon, Cambridge, UK)を用いて蛋白質濃度を測定し、5μg/mlの濃度に調整した。
【0035】
歯髄、骨髄、脂肪CD31- SP細胞の無血清状態での培養上清10mlを、CENTRIFUGAL filter unit (3,000 cut, Millipore)にて約100倍に濃縮した。タンパク量を最終濃度100ng/mlになるようにして、NIH3T3に対する増殖、遊走、抗アポトーシス効果を検討した。その結果、3種の細胞群の上清の増殖促進効果は有意差がみられなかったが、遊走および抗アポトーシスは、歯髄CD31- SP細胞は骨髄、脂肪に比べて、有意に促進効果がみられた。
【0036】
(1−3.歯根移植片作製と幹細胞あるいは幹細胞上清の移植)
ブタ前歯(下顎2番)を抜歯し、周囲に残存している歯根膜を手用器具にて除去した。歯根を幅6mmにカットして、それぞれの歯根内部から歯髄を抜き、根管の幅が2mmとなるまで拡大した。5%次亜塩素酸ナトリウムおよび3%過酸化水素水で交互洗浄後、生理食塩水にて洗浄し、3%EDTA水溶液に2分間浸漬し、化学的清掃を行った。また、この歯根移植片を湿潤下でオートクレーブ処理したものも作製した。この筒状の移植片の一端をリン酸亜鉛セメントで封鎖した。
【0037】
ブタ歯髄、骨髄、脂肪CD31- SP幹細胞を遠沈し、コラーゲンTE(新田ゼラチン)と混合して2×10
5cells/100μlとなるよう調整した。ピペットマンを用いて、各種幹細胞または幹細胞培養上清含有コラーゲン30〜40μlを内部に気泡が発生しないように注意しながらコラーゲンにて緊密に充填されるように移植片に注入した。その後、37℃保温器で15分間温めコラーゲンを硬化させた。その後、5週令のSCIDマウスをソムノペンチルにて麻酔し、腹部を切開、腹膜と剥離後、腹膜上に上記移植片を皮下に挿入し、セメント封鎖していない開放側が腹膜と接するように静置した。その後切開部を縫合し、28日後、移植片と周辺組織の評価を行った。
【0038】
異なるブタ4個体由来の歯髄、骨髄及び脂肪CD31-SP細胞を、各4本ずつの歯根に移植した。28日後、組織学的解析のために、計24本の歯根を採取した。5μmの厚さのパラフィン切片を作製し、HE染色後、形態学的観察を行った。150μmごとに計4枚の切片を撮影し、実体顕微鏡 (M205 FA, Leica)で画像を取り込み、根管内面積に対する再生組織の面積比を測定し、再生量の統計学的解析を行った。
【0039】
図4a〜cのように、根管内部に再生された組織を観察すると、いずれの細胞を移植した場合でも、28日後には、十分に組織化された血管系を有する歯髄様組織が再生されていた。しかしながら、
図5a〜cのように、幹細胞上清のみでは歯髄再生量は有意に低く、
図2のオートクレーブ後の歯根、
図3のコラーゲン基質のみではほとんど歯髄は再生されなかった。
【0040】
図8a〜cのように、根管外部、歯根周囲に再生された組織を観察すると、いずれの細胞を移植した場合でも、28日後には、セメント質壁にはセメント芽細胞が付着し、歯根膜様の線維性組織および新生骨が観察された。28日における歯根膜再生量および骨再生量は歯髄CD31- SP細胞が最も高く、ついで脂肪、骨髄の順に有意差がみられた。しかしながら、
図9a〜cのように、幹細胞上清のみでは歯根膜および骨再生量は有意に低く、
図6のオートクレーブ後の歯根、
図7の基質のみではほとんど再生されなかった。
【0041】
(実施例2〜歯根異所性移植モデルにおけるブタ膜分取幹細胞移植による歯周組織再生)
膜遊走分取法によりブタ歯髄、骨髄、脂肪から幹細胞を分取できるかを検討した。まず、1.5×10
4cells/100 μlのコロニー形成した歯髄幹細胞、骨髄幹細胞、脂肪幹細胞を膜上部のセルカルチャー・インサート(Polycarbonate Membrane)(Costar Transwell(登録商標) Inserts、2×10
5ポア/cm
2、ポアサイズ8 μm、Corning)に播種し、膜下部24 well plateに10%FBSを含むDMEM中にG-CSFを100ng/ml入れ、48時間後に培地交換してG-CSFを取り除いてさらに10%FBSを含むDMEM中で培養した。歯髄、骨髄、脂肪とも、星状で突起を有する細胞が付着し、分取効率はそれぞれ、17.5%、8.4%、22.5%であった。フローサイトメトリーでCD31- SP細胞を分取した場合と同様に、コロニーを形成し(コロニー形成率約80%)、増殖することが明らかとなった。膜分取幹細胞は未分取コロニー形成幹細胞に比べてコロニー形成率が高かった。
【0042】
ブタ歯髄、骨髄、脂肪膜分取細胞を5代継代後、フローサイトメトリーを用いて、幹細胞表面抗原マーカー陽性率を測定した。CD29、CD44、CD73、CD90は、ほぼ陽性で膜分取細胞と未分取細胞の間で差は認められなかった。表3で示すように、CD105、CXCR-4およびG-CSFRは未分取細胞と比較していずれの膜分取細胞も陽性率が高かった。よって、膜遊走分取法によって、骨髄、脂肪細胞から歯髄細胞と同様に幹細胞を分取できることが明らかとなった。
【0043】
【表3】
【0044】
ついで、Real time RT-PCRにて、5代継代した歯髄、骨髄、脂肪膜分取細胞とそれぞれの未分取細胞の幹細胞マーカーおよび血管新生・神経栄養因子のmRNA発現の解析を行った。膜分取細胞は、未分取細胞と比較して、Sox2及びCXCR4は未分取細胞に比べてそれぞれ、約2〜2.5倍、約3〜4倍高い発現がみられた。BDNFは約2.5〜6倍発現量が高く、VEGFは2〜2.5倍の発現を示した。血管誘導能及び神経誘導能とも、膜分取幹細胞でのみ検出された。
【0045】
ブタCD31-SP細胞の場合と同様に濃縮した培養上清を用いて、trophic効果を検討したところ、歯髄、骨髄、脂肪幹細胞とも未分取幹細胞に比べて増殖促進作用、遊走促進作用、血管内皮細胞分化促進作用、神経突起伸長促進作用及びアポトーシス抑制作用がみられた。
【0046】
ブタCD31-SP細胞の場合と同様にSCIDマウス皮下に異所性歯根移植を行ったところ、
図10a、
図11a、
図12aのように、根管内部に再生された組織を観察すると、膜分取細胞を移植した場合でも、21日後には、
図10b、
図11b、
図12bのように、未分取細胞に比べて歯髄が有意に再生されていた。
図13a、
図14a、
図15aのように、根管外部、歯根周囲に再生された組織を観察すると、いずれの膜分取細胞を移植した場合でも、21日後には、歯根膜および骨の再生が観察された。歯髄膜分取細胞が最も高く、ついで脂肪、骨髄の順であった。しかしながら、
図13b、
図14b、
図15bのように、未分取幹細胞では歯根膜および骨再生量は低かった。
【0047】
(実施例3〜歯根異所性移植モデルにおけるヒト歯髄膜分取幹細胞移植による歯周組織再生)
ヒト歯髄から膜遊走分取法により幹細胞を分取した。まず、2.0×10
4cells/100 μlの未分取コロニー形成歯髄幹細胞をブタの場合と同様に膜上部のセルカルチャー・インサート(Polycarbonate Membrane)(Costar Transwell(登録商標) Inserts、2×10
5ポア/cm
2、ポアサイズ8 μm、Corning)に播種し、膜下部24 well plateに10%FBSを含むDMEM中にG-CSFを100ng/ml入れた。48時間後に培地交換してG-CSFを取り除いてさらに10%FBSを含むDMEM中で培養した。ヒト歯髄膜分取細胞を6代継代後、フローサイトメトリーを用いて、幹細胞表面抗原マーカー陽性率を測定した。CD29、CD44、CD73、CD90、CD105は、ほぼ陽性で、CXCR-4およびG-CSFRは18%、59%であり、未分取歯髄幹細胞より有意に高かった。また、ヒト歯髄膜分取細胞は未分取と比べ、幹細胞マーカーおよび血管新生・神経栄養因子の発現が高く、血管誘導能、神経誘導能が高く、遊走、増殖、抗アポトーシス能が有意に高かった。さらに、歯髄膜分取細胞の培養上清のtrophic効果として、遊走促進作用、アポトーシス抑制作用が有意に高かった。
【0048】
ブタ膜分取細胞と同様に、SCIDマウス皮下に歯髄膜分取細胞を用いて異所性歯根移植を行ったところ、
図16a及び
図16cのようなiPS細胞や未分取歯髄細胞を移植した場合に比べて、
図16bのように、歯髄が有意に再生され、また、
図17bのように、歯根膜および骨の再生が
図17a及び
図17cに比べて有意にみられた。
【0049】
(実施例4〜歯根膜剥離、歯髄幹細胞根管内移植したイヌ再植歯モデルにおける歯周組織の再生)
イヌの抜去歯より上記のブタおよびヒトでの方法と同様に、膜遊走分離法にて歯髄幹細胞を分取し、DMEM中で培養した。
【0050】
イヌ前歯(上顎3番、下顎2番)を抜歯し、周囲に残存している歯根膜を手用器具にて除去した。それぞれの歯根内部より歯髄を抜き、ファイルにて#60まで拡大した。クロロホルム:メタノールを1:1で混和した混合液に抜去歯を6時間、室温で浸漬させ、70%エタノールに24時間浸漬し、生理食塩水にて4℃で保管した。上記処理歯を再植処置直前にスメアクリーンにて4分浸漬させた。
【0051】
イヌ被検体にソムノペンチル2.5mlにて静脈内注射後、処置部位に対してNo.15のメス刃で歯肉頂の1〜2mm外側より歯槽骨頂に向けて内斜切開を行った。処置部位を抜歯後、抜歯窩内を♯10ラウンドバーにて全周掻爬し歯根膜を除去した。移植歯を抜歯窩に戻せることを確認し、対側の歯と咬まないように歯冠部をタービンにて切削した。移植細胞2×10
5をコラーゲン(アテロコラーゲンインプラント、高研)40μlに溶かし、3μlのG-CSF(ノイトロジン)を混ぜ、生体外で、気泡が入らないように注意しながら、移植する歯の根管内にピペットにて注入した。歯冠部にスポンゼルを挿入し、グラスアイオノマーセメントおよびレジンで二重に封鎖した後、その移植する歯を37℃で20分温めて、コラーゲンを硬化させた。ついで、抜歯窩内を十分止血し、20μlのコラーゲンと1.5μlの G-CSFで満たした後、歯を抜歯窩に再植し、その再植歯と隣在歯をレジンにて固定した。移植1ヵ月後に、再植歯を周囲顎骨ごと摘出した。摘出試料をパラフィン切片にして薄切、HE染色した。
【0052】
図18cのように、歯根膜を剥離された歯根は、根管内に歯髄膜分取細胞を移植すると、1ヶ月後には根管内に歯髄再生がみられ、
図19cのように歯根表面に歯根膜組織の再生がみられた。
図19aのように、根管内にコラーゲンのみを移植しても、歯根表面に歯根膜再生はみられなかった。
【0053】
(実施例5〜表面蛋白質を抽出し、内部に歯髄膜分取幹細胞を移植した歯根の異所性移植モデルにおける歯周組織再生)
(5−1.移植歯根の作製)
ブタ抜去歯の歯冠部をタービンで落として歯根のみにし、歯根膜、歯髄を除去して、直径2mmまで拡大し、長さ6mmに分断した(処理歯根)。
【0054】
(5−2.歯根からの抽出蛋白質の作製)
処理歯根の歯根表面に付着している歯根膜を完全除去した。クロロホルム:メタノールを1:1で混和した液に抜去歯を6時間、室温で浸漬させた。処理歯を0.6N HClに4℃で一週間浸漬させた(処理歯根A)。処理歯根を4.0M グアニジン塩酸に4℃で一週間浸漬させた(処理歯根B)。その後、0.5M EDTAに4℃で一週間浸漬させ(処理歯根C)、セメント質から蛋白質を抽出した。
【0055】
(5−3.膜分取歯髄幹細胞の各処理歯根内部への注入)
ブタ歯髄幹細胞の遠沈後にコラーゲンを混ぜて2×10
5cells/100μlとなるように調整した後、30〜40μlをピペットマンにて、内部に気泡が発生しないように注意しながら、上記処理歯根に注入した。37℃保温器で15分間温めコラーゲンを硬化させた。コントロールとして、コラーゲンのみを注入した処理歯根を用いた。
【0056】
(5−4.SCIDマウス皮下への歯根異所性移植)
ソムノペンチルにて深麻酔下のSCIDマウス腹部を切開、腹膜と剥離し、腹膜上に3で作成した移植歯根を皮下に入れ、セメントで封鎖していない方が腹膜と接するように静置し、切開部を縫合した。28日後組織の評価を行った。
【0057】
移植28日後、
図20a、bでは未処理の歯根を移植したものと再生した組織は変わらなかった。
図20cのEDTA抽出後の歯根ではほとんど組織の再生が見られず、再生しても形態的に歯周組織とは言えなかった。
【0058】
(実施例6〜表面にEDTA抽出画分を付着させ、内部に歯髄膜分取幹細胞を注入した不活性化歯根移植による歯周組織再生)
(6−1.移植歯根の作製)
ブタ抜去歯の歯冠部をタービンで落として歯根のみにし、歯根膜、歯髄を除去して、直径2mmまで拡大し、長さ6mmに分断した(処理歯根)。オートクレーブにて湿潤下にて1時間処理して蛋白質を変性、不活性化させた。その後、クリーンベンチ内にて2mlコラーゲンに5分浸漬させ、処理歯根を取り出し1時間放置し乾燥させ、歯根表面にコラーゲンをコーティングさせた(移植歯根)。
【0059】
(6−2.歯根からの抽出蛋白質の作製)
処理歯根を粉砕し、0.6N HClに4℃で48時間浸漬させた。さらに4.0M グアニジン塩酸にて4℃で48時間浸漬させた。その後、0.5M EDTAにて4℃で48時間浸漬させ、そのEDTA抽出液を濃縮した(EDTA処理液)。
【0060】
(6−3.歯髄幹細胞上清ならびに歯根膜幹細胞上清の抽出)
ブタの歯よりの歯髄幹細胞、歯根膜幹細胞を、10%FBS含有DMEM下で、10cmディッシュに60〜70%にまで歯髄幹細胞を培養した。その後無血清培地に交換し、さらに24時間培養を行った。上清を回収し、3,000Kのフィルター(Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Unit with an Ultracel-3 membrane (Millipore, Billerica, MA))にて遠心濃縮を行った。
【0061】
(6−4.移植歯根へのEDTA抽出蛋白質、歯髄幹細胞上清、歯根膜幹細胞上清付着)
移植歯根を1ml EDTA処理液に浸漬させ、凍結乾燥させた(
図21B)。その後、根管をストッピングとレジンにて封鎖し、歯髄幹細胞上清に浸漬させ凍結乾燥したものを作製した(
図21D)。また、歯根膜上清のみで凍結乾燥したものも作製した(
図21C)。ネガティブコントロールとして、この移植歯根にPBSのみで凍結乾燥を行ったものも作製した(
図21A)。ポジティブコントロールとして、不活性化していない正常歯根を用いた(
図6参照)。
【0062】
(6−5.膜分取歯髄幹細胞の各移植歯根内部への注入)
歯髄幹細胞の遠沈後にコラーゲンを混ぜて2×10
5cells/100μlとなるように調整した後、30〜40μlをピペットマンにて、内部に気泡が発生しないように注意しながら、上記歯根に注入した。37℃保温器で15分間温めコラーゲンを硬化させた。コントロールとして、培養上清含有コラーゲンあるいはコラーゲンのみを注入した移植歯根を用いた。
【0063】
(6−6.SCIDマウス皮下への歯根異所性移植)
ソムノペンチルにて深麻酔下のSCIDマウス腹部を切開、腹膜と剥離し、腹膜上に4.で作成した移植歯根を皮下に入れ、セメントで封鎖していない方が腹膜と接するように静置し、切開部を縫合した。14、28日後組織の評価を行った。
【0064】
歯根を不活性化後PBSのみを吸着させて移植したものは、移植28日後には、
図22aに示すように歯髄は再生せず、
図22b, cに示すように歯根表面(C)に歯根膜(PDL)は再生しなかった。
図23のEDTA抽出蛋白質のみ吸着させた不活性化歯根表面には、ほとんど組織の再生が見られず、再生しても形態的に歯髄あるいは歯周組織とは言えなかった(変更の可能性あり)。
図24の歯髄幹細胞上清蛋白質のみを吸着させた不活性化歯根では、
図22に比べ、
図24aに示すように歯根内部の歯髄再生および
図24b, cに示すように歯根表面の歯根膜再生に有意な増加が見られたが、歯根膜組織は疎であった。
図25の不活性化した歯根にEDTA抽出蛋白質と歯髄幹細胞上清を吸着させたものでは、
図24と比べ
図25aに示すように歯髄再生量の増加と、
図25bに示すように密な歯根膜、歯周組織の再生がみられた。