【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
(1)本発明は、
監視の対象となる対象施設とは別の場所に設置され、火災発生時には前記対象施設に設置されている火災通報装置から電話回線を介して送られた通報信号を受信し、関係各所に火災通報電子メールを配信する配信装置であって、
前記対象施設を識別するためのデータと各対象施設ごとの電子メールの配信先のデータを記憶する記憶手段と、
前記対象施設に設置されている火災通報装置から送られた通報信号を受ける受信手段と、
前記火災通報装置は、手動火災通報装置及び自動火災通報装置を含み、
前記通報信号が、前記記憶手段で記憶されている前記対象施設のうちどの対象施設から送られた通報信号かを判別する通報元判別手段と、
前記受信手段で受信した通報信号が、前記対象施設に設置されている火災通報装置からの通報信号か否かを解析する通報信号解析手段と、
前記通報信号が、前記手動火災通報装置または自動火災通報装置の何れかから通報されたものであるかを判別する通報信号判別手段と、
前記通報元判別手段で特定された対象施設に対応する配信先に火災通報電子メールを配信する配信手段とを備える、火災通報電子メール配信装置である。
【0013】
(2)本発明は、
前記火災通報装置から送られた通報信号の音声情報に含まれる対象施設の名称、住所及び電話番号情報をテキストデータに変換し、該データを、前記記憶手段にあらかじめ記憶されている対象施設の名称、住所及び電話番号情報と照合する手段を有し、各情報が適合した場合に対象施設を特定する、前記(1)の火災通報電子メール配信装置である。
【0014】
(3)本発明は、
対象施設に設置されている火災通報装置と、
前記(1)または(2)記載の火災通報電子メールを配信する配信装置と、
携帯電話ネットワークと、
を備えており、
火災通報装置と火災通報電子メールを配信する配信装置は、電話回線を介し結ばれており、火災通報電子メールを配信する配信装置と携帯電話ネットワークは、インターネット網を介し結ばれている、火災報知システムである。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲にいう「火災通報装置」の用語は、消防法に規定されている各要件に適合した火災通報装置を含む意味で使用している。
【0016】
火災通報装置は、手動火災通報装置及び自動火災通報装置を含む。
火災通報電子メール配信装置は、対象施設に設置されている火災通報装置から送られた通報信号を受けると、どの対象施設から送られた通報信号かを判別し、加えて火災通報装置からの通報信号かどうかを判別する。対象施設の特定と火災通報装置からの通報信号であることの確認ができた場合に、特定された対象施設に対応する配信先に火災通報電子メールを配信する。
【0017】
火災通報装置から送られる通報信号は、消防法で規定されており、電話回線を利用して送られる下記の通報信号音と音声情報(蓄積音声情報)である。該音声情報は、火災である旨、対象施設の名称、住所(所在地)及び電話番号等の各情報を含む。
【0018】
手動火災通報装置の通報信号音は、概ね800ヘルツの単音を三音連続したものを二回反復した音情報であり、例えば「ピッ、ピッ、ピッ・ピッ、ピッ、ピッ」と表記される音である。
【0019】
自動火災通報装置の通報信号音は、下記に示すような周波数の異なる二つの周期的複合波をつなぎ合わせたものを二回反復した音情報であり、例えば「ピン、ポーン・ピン、ポーン」と表記される音である。
この場合における基本周波数は、概ね次のとおりである。
第1音 f1=1,056Hz
第2音 f2= 880Hz
ただし、f1とf2の音程の比(f1/f2)は、6/5とする。
【0020】
通報信号解析手段は、受信手段で受信した通報信号が、対象施設に設置されている火災通報装置から送られた通報信号か否かを解析する。
通報信号判別手段は、手動火災通報装置または自動火災通報装置の何れかから送られてきた通報信号音であるかどうかを判別する手動信号音判定部と自動信号音判定部とを含む。判別にあたっては、通報信号の解析と音声情報の解析を並行して処理してもよいし、通報信号の解析の後に音声情報の解析をしてもよい。また、音声情報の解析の後に通報信号の解析をしてもよい。
【0021】
前記通報信号音を受信時に解析することにより、火災状態を確認する。そして、火災通報装置による通報が、手動火災通報装置を手動起動したものによるのか、あるいは自動火災報知装置による自動起動によるものなのかを判定し、火災通報電子メールの内容を選択し配信する。
【0022】
火災通報電子メールの内容としては、例えば次のような文例が挙げられる。
(1)○○病院の自動火災報知設備が作動しました。
(2)○○病院の自動火災報知設備が作動した模様です。
(3)○○病院で火災が発生しました。
(4)○○病院で火災が発生した模様です。
前記(2)(4)は、対象施設の特定はできたが、通報信号であることの確認ができなかった場合に送る文例である。
【0023】
火災通報電子メール又は疑火災通報電子メールは、インターネットを利用する電子メールでもよいし、携帯電話(携帯端末)の通信回線を利用する電子メールでもよい。各電子メールは、前者の場合はパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)等で受信され(専用のサービスを利用すれば、携帯電話で受信することも可能)、後者の場合は携帯電話で受信される。
【0024】
本発明は、監視の対象となる対象施設が火災を起こした際に、火災通報電子メールを配信する配信装置が直接被害を受けることがないように、該対象施設とは離れた場所に設置されているので、火災の被害を受けることはなく、対象施設に設置されている火災通報装置から送られた通報信号を受けることにより、関係各所への火災報知電子メールの配信を行うことができる。