(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の焜炉1はガス焜炉である。焜炉1は、焜炉本体2(
図2参照)、把手3(
図2参照)、天板40、複数の操作体41A,41B、及び複数の五徳42A,42Bを備えている。
【0014】
焜炉1は、例えば
図3に示すキッチンカウンター5に設けられる。キッチンカウンター5は例えばシステムキッチンであって、キャビネット53とカウンタートップ50を備えている。カウンタートップ50はキャビネット53上に設けられて、キッチンカウンター5の上面部を構成する。カウンタートップ50には、上下に貫通する開口部51が形成されている。
【0015】
焜炉本体2はキッチンカウンター5の開口部51に上方から落とし込んでキッチンカウンター5に設置される。すなわち、焜炉1はドロップイン式の焜炉である。
【0016】
以下では焜炉1の設置状態における方向を基準にして説明する。また、以下ではキッチンカウンター5に設置された焜炉1から見て利用者が立つ側を前側とし、また、前記利用者から焜炉1を見たときの左側を左側として説明する。
【0017】
図2に示すように、焜炉本体2は、筐体6、グリル7(
図5参照)、防熱板8、複数の取付金具9A,9B、複数の焜炉用バーナー20A,20B、複数のガス供給管21A,21B、及びガスバルブ22(
図5参照)を備えている。
【0018】
焜炉本体2の外殻となる筐体6は、上方に開口した左右に長い略矩形箱状に形成されている。
【0019】
図5に示すように、グリル7は、グリル庫70、グリル扉71(
図4参照)、及びグリル用バーナー72を備えている。グリル庫70は筐体6内に設けられている。グリル庫70は前方に開口した箱状に形成されている。グリル用バーナー72はグリル庫70内に設けられている。
【0020】
図5及び
図6に示すように、グリル庫70は、上面部700、左右の側面部701A,701B、底面部702、及び後面部703を備えている。グリル庫70の左右の側面部701A,701Bは、底面部702の両側端部から上方に向かって突出している。各側面部701A,701Bの上端部には、外側方に向かって突出した連結部704A,704Bが形成されている。
【0021】
グリル庫70の上面部700は、左右両側の端部705A,705Bの間の部分が上方に向かって突出するように屈曲している。上面部700の左右の端部705A,705Bは、対応する側面部701A,701Bの連結部704A,704Bに連結される部分となり、外側方に向かって突出している。上面部700の左右の端部705A,705Bは、対応する側面部701A,701Bの連結部704A,704B上に配置され、当該連結部704A,704Bにねじ止めされている。
【0022】
図4に示すように、筐体6の前面部60の左右方向の中央部には、前後方向に貫通する開口部61が形成されている。グリル庫70の前面には、グリル庫70の内部を開口部61を通して筐体6の前方に開放する前開口部が形成されている。また、グリル庫70には前記前開口部を閉塞する開閉可能なグリル扉71が設けられている。
【0023】
図5及び
図6に示すように、グリル庫70の上面部700上には、グリル庫70の熱が天板40(
図3参照)側に伝わることを抑制する防熱板8が設けられている。防熱板8は、前後方向と直交する断面の形状がハット状である。
【0024】
防熱板8は、天板部80、左右の側板部81A,81B、左右の被固定部82A,82Bを備えている。両側板部81A,81Bのうち左側に配置された一方の側板部81Aは、天板部80の左側端部から下方に向かって突出している。右側に配置された他方の側板部81Bは、天板部80の右側端部から下方に向かって突出している。両被固定部82A,82Bのうち左側に配置された一方の被固定部82Aは、側板部81Aの下端部から外側方(左方)に向かって突出し、右側に配置された他方の被固定部82Bは、側板部81Bの下端部から外側方(右方)に向かって突出している。
【0025】
図5に示すように左右の被固定部82A,82Bは、グリル庫70の上面部700の対応する端部705A,705B上に載置されている。各被固定部82A,82Bは上面部700の対応する端部705A,705B及び連結部704A,704Bにねじ止めされている。これにより、防熱板8はグリル庫70の上面部700に取り付けられている。
【0026】
筐体6の内側には、筐体6の上面に形成された上開口部62を介して上方に開口する凹所63が形成されている。凹所63の左右方向の中央の底部は、防熱板8の天板部80で構成されている。
【0027】
焜炉本体2の凹所63には、焜炉本体2を吊り下げ支持するための把手3が設けられている。把手3は、作業者が焜炉本体2をキッチンカウンター5の開口部51に上方から落とし込む際に用いられる。把手3はグリル庫70上に設けられた左右の把手連結部83A,83Bに架け渡されている。
【0028】
本実施形態の把手3は、棒材(詳しくは丸棒)の長さ方向の中間部を棒材の長さ方向と直交する方向に突出するように折り曲げて形成される。
【0029】
具体的に把手3は、把持部30、左右の被連結部31A,31B、及び左右の接続部32A,32B、及び左右の抜止部33A,33Bを備えている。
【0030】
以下、左右の被連結部31A,31Bのうち左側に位置する一方の被連結部31Aを第1被連結部31A、右側に位置する他方の被連結部31Bを第2被連結部31Bと記載する場合がある。また、左右の接続部32A,32Bのうち左側に位置する一方の接続部32Aを第1接続部32Aと記載し、右側に位置する他方の接続部32Bを第2接続部32Bと記載する場合がある。また、左右の抜止部33A,33Bのうち、左側に位置する一方の抜止部33Aを第1抜止部33Aと記載し、右側に位置する他方の抜止部33Bを第2抜止部33Bと記載する場合がある。
【0031】
把持部30は、作業者によって把持される部分であって、左右方向と平行な直線棒状である。各被連結部31A,31Bは左右方向と平行な直線棒状である。左右の被連結部31A,31Bは、直線棒状の把持部30と平行な同一軸線上に位置している。第1接続部32Aは把持部30の左側端部と第1被連結部31Aの右側端部とを繋ぎ、第2接続部32Bは把持部30の右側端部と第2被連結部31Bの左側端部とを繋いでいる。
【0032】
本実施形態の把手連結部83A,83Bは、防熱板8の天板部80の左右両側の端部に設けられている。具体的に、天板部80の左右両端部には、取付金具9A,9Bが取り付けられている。各取付金具9A,9Bは金属板を曲げて形成されている。各取付金具9A,9Bは天板部80上に載置されて天板部80に対してねじ止めされている。
【0033】
把手3の各被連結部31A,31Bは、天板部80と対応する取付金具9A,9Bとの間に左右軸回り方向に回動可能に挿入されて支持されている。これにより、把手3は防熱板8に対して前後に回動可能に取り付けられている。すなわち、本実施形態の把手連結部83A,83Bは、防熱板8の天板部80の左右方向の端部と取付金具9A,9Bとで構成されている。各把手連結部83A,83Bは、グリル庫70の上面部700の対応する側端部(端部705A,705B)に、防熱板8を介して接続されている。
【0034】
把手3の第1抜止部33Aは、第1被連結部31Aの左側端部から上方に向かって突出し、取付金具9Aの左側に配置されている。第2抜止部33Bは第2被連結部31Bの右側端部から上方に向かって突出し、取付金具9Bの右側に配置されている。両抜止部33A,33Bにより、両被連結部31A,31Bは対応する取付金具9A,9Bと天板部80の間から両取付金具9の内側に抜け出ることが防止されている。
【0035】
把手3の回動範囲は焜炉本体2に接触することによって所定の範囲に規制されている。把手3は、少なくとも、
図5に示すように起立姿勢となる使用位置と、使用位置より前方に回動して倒伏姿勢となる非使用位置との間で回動可能である。
【0036】
図5に示すように、把手3が使用位置に配置されたとき、左右の接続部32A,32Bは起立し、把持部30は両被連結部31A,31Bよりも上方に配置される。このとき、把持部30は筐体6の焜炉本体2の上端(後述するフランジ部64)より上方に配置される。また、図示は省略するが、把手3が非使用位置に配置されたとき、左右の接続部32A,32Bは防熱板8上に載置され、把持部30は両被連結部31A,31Bと同レベルに配置される。このとき、把持部30は、筐体6の上端よりも下方に配置され、筐体6内に収納される。つまり、使用位置に配置された把手3は、焜炉本体2の上端よりも上方に突出し、非使用位置に配置された把手3は、焜炉本体2の筐体6内に収納される。
【0037】
図2に示すように、筐体6の凹所63の後部には、筐体6の両側板部65A,65B間に架け渡されたバーナー受け棧23が設けられている。
【0038】
本実施形態の焜炉1は、左右一対の焜炉用バーナー20A,20Bを備えている。両焜炉用バーナー20A,20Bは、バーナー受け棧23上に設置されている。以下、一対の焜炉用バーナー20A,20Bのうち左側に配置される一方の焜炉用バーナー20Aを第1バーナー20Aと記載し、右側に配置される他方の焜炉用バーナー20Bを第2バーナー20Bと記載する場合がある。
【0039】
第1バーナー20Aは、凹所63の左寄りの位置に配置されている。第2バーナー20Bは、凹所63の右寄りの位置に配置されており、第1バーナー20Aと左右方向において離間している。両バーナー20A,20Bは前後方向において同じ位置に配置されている。両バーナー20A,20Bは、筐体6において後寄りの位置に配置されている。
【0040】
各バーナー20A,20Bは、バーナー本体24とバーナーキャップ25(
図4参照)を備えている。バーナー本体24は、本体部26と、本体部26から突出した混合管部27を備えている。
【0041】
図4に示すようにバーナーキャップ25は本体部26上に載置されている。本体部26の上面とバーナーキャップ25の下面の間には、外周側に開口した炎孔28が周方向に多数形成されている。これら炎孔28は本体部26の内部に形成された混合室(不図示)を介して混合管部27の内側に通じている。
図2に示すように両焜炉用バーナー20A,20Bの混合管部27は、前側の部分程左右方向において互いに近づくように、本体部26から斜め前方に向かって突出している。
【0042】
本実施形態の焜炉1は、第1バーナー20Aに燃料ガスを供給する第1ガス供給管21Aと、第2バーナー20Bに燃料ガスを供給する第2ガス供給管21Bを備えている。すなわち、本実施形態では、焜炉用バーナー20A,20B毎にガス供給管21A,21Bが設けられている。
【0043】
ガス供給管21A,21Bは筐体6内に設けられている。各ガス供給管21A,21Bの上流側は、筐体6内に設けられた
図5に示すガスバルブ22に接続されている。各ガス供給管21A,21Bには、ガス栓等から焜炉本体2に供給された燃料ガスがガスバルブ22を介して供給される。ガスバルブ22は、第1バーナー20A及び第2バーナー20Bの夫々に供給される燃料ガスの流量を調節する。ガスバルブ22は、例えばアルミニウム合金製の電磁弁で構成されている。
【0044】
ガスバルブ22は筐体6内において第2バーナー20Bの下方に配置されている。ガスバルブ22は、左右方向における筐体6の中心よりも右側に配置されている。ガスバルブ22は比較的重量がある。このため、焜炉本体2の重心は、左右方向において焜炉本体2の中心から右側に外れた位置(右寄りの位置)にある。
【0045】
図2に示すように各ガス供給管21A,21Bの下流側端部には、燃料ガスを噴出するノズル210A,210Bが設けられている。各ノズル210A,210Bの噴出口は、対応する焜炉用バーナー20A,20Bの混合管部27の上流側端部に臨んでいる。
【0046】
各ガス供給管21A,21Bに供給された燃料ガスは、ノズル210A,210Bから対応する焜炉用バーナー20A,20Bの混合管部27の上流側端部に噴出する。
【0047】
各ノズル210A,210Bから燃料ガスが噴出すると、この燃料ガスは当該燃料ガスの噴出に伴って周囲から吸引された一次空気と共に対応する焜炉用バーナー20A,20Bの混合管部27に入る。このように焜炉用バーナー20A,20Bに供給された燃料ガス及び一次空気は、混合管部27及び本体部26内の混合室において混合し、この混合気体が各炎孔28に送られる。また、各焜炉用バーナー20A,20Bには、焜炉用バーナー20A,20Bの炎孔28から吐出された混合気体を燃焼させる点火プラグ200A,200Bが設けられている。
【0048】
図2、
図4に示すように、筐体6の前端部において上端部よりも下方の部分(上端部を除く部分)は、筐体6の前端部の上端部よりも前方に突出した突出部66となっている。
図2に示すように、焜炉本体2の筐体6の上縁部には、外方に向かって突出したフランジ部64が形成されている。
【0049】
図4に示すように、筐体6の前端部において、筐体6の前側に形成されたフランジ部64とこの下方の突出部66の間には、前方に開口した凹溝部67が形成されている。凹溝部67は筐体6の左右方向の全長に亘っている。
【0050】
焜炉本体2をキッチンカウンター5に設置するには、例えば作業者は焜炉本体2を把手3の把持部30を把持して吊り支持しながら、キッチンカウンター5の開口部51に上方から落とし込み、これにより、
図3に示すように、焜炉本体2の凹溝部67にカウンタートップ50の開口部51の前縁部52を嵌め込むと共に、フランジ部64をカウンタートップ50の開口部51の周縁部上に載置する。このようにキッチンカウンター5に設置された焜炉本体2の突出部66の前面は、カウンタートップ50の前端部の下方において前方に露出する。
【0051】
図5に示すように、本実施形態の把手3の形状は左右非対称である。把手3の第1被連結部31Aは、第2被連結部31Bよりも左右方向の長さが長い。また、把手3の第2接続部32Bの長さ方向は、把持部30の長さ方向に対して略垂直であるのに対し、第1接続部32Aの長さ方向は、把持部30から離れた部分程第2接続部32Bから離れるように傾斜している。このため、把持部30は把手3において右側に偏った位置に配置されている。
【0052】
把持部30は、長さ方向の中間部が焜炉本体2の左右方向の中心よりも右側に位置し、左右方向において焜炉本体2の重心が位置する右寄りの位置に配置されている。これにより、把持部30は、左右方向において焜炉本体2の重心位置を含む所定の範囲内に配置されている。また、把持部30は、把手3が
図5に示すように使用位置に配置されたとき、前後方向において焜炉本体2の重心位置を含む所定の範囲内に位置するように設けられている。つまり、把手3は、把持部30が平面視で焜炉本体2の重心位置を含む所定の範囲内に位置するように構成されている。
【0053】
ここで、前記の「平面視で焜炉本体2の重心位置を含む所定の範囲」とは、平面視における焜炉本体2の重心及びこの近傍の領域であって、焜炉本体2をキッチンカウンター5に設置するにあたって、作業者が使用位置に配置された把手3の把持部30を掴んだ場合に、焜炉本体2を自重により前後及び左右に大きく傾かない状態で容易に支持できる範囲である。
【0054】
なお、使用位置に配置された把手3の把持部30は、焜炉本体2の重心近傍に位置するのであれば、前後方向において焜炉本体2の重心より後方又は前方のいずれに配置されてもよいが、本実施形態のように焜炉本体2が前方に開口した凹溝部67にカウンターの開口部51の前縁部を嵌め込むものである場合には、把持部30は焜炉本体2の重心よりも後方に配置されることが好ましい。この場合、把持部30を把持して焜炉本体2を吊り下げ支持したときには、焜炉本体2は自重により前側が後側より下に位置する前傾姿勢になりやすい。このため、焜炉本体2をキッチンカウンター5に設置するにあたって、焜炉本体2の前方に開口した凹溝部67にカウンターの開口部51の前縁部を嵌め込む作業が容易になる。
【0055】
把手3は、把手3の一部である把持部30が作業者によって把持される部分であることを示すための把持部表示手段を備えている。本実施形態の把手は、把持部表示手段として、以下の2つの要素を備えている。第1の要素は、把持部30と、左右の被連結部31A,31Bが、左右方向と直交する方向においてずれている。また、第2の要素は、防熱板8に設けられた左右の把手連結部83A,83B(左右の取付金具9A,9B)の左右方向の間隔が30cm程度であるのに対し、把持部30の左右方向の長さが握り拳の幅と略同じ10cm程度の寸法となっている。
【0056】
本実施形態の把手3の左右両側の端部は、左右対称的な形状であるため、製造工程において作業者が両把手連結部83A,83Bに連結する際に、誤って
図7に示すように把手3を左右逆に連結して取り付けてしまう可能性がある。このように把手3が左右逆に取り付けられると、使用位置に配置された把手3の把持部30は、焜炉本体2の重心から左側に大きく離れた位置に配置され、焜炉本体2を略水平にした状態で支持することが困難になる。
【0057】
この点を改善するため、本実施形態の焜炉1にあっては、焜炉本体2に、誤って左右逆に取り付けられた把手3の回動を規制する回動規制部が設けられている。本実施形態の回動規制部は、第1バーナー20Aに燃料ガスを供給するノズル210Aを保持するためのノズルホルダー29で構成されている。
【0058】
回動規制部を構成するノズルホルダー29は、防熱板8上に配置され、防熱板8にねじ止めされている。ノズルホルダー29は、左右逆に取り付けた把手3を使用位置と非使用位置の間で回動したときに、把手3の右側に配置された第1接続部32Aが通過する位置に配置されている。このため、作業者が左右逆にして取り付けた起立姿勢にある把手3を非使用位置となる倒伏姿勢まで回動しようとしたときには、第1接続部32Aがノズルホルダー29に後側から接触し、それ以上前側に回動できない。このため、作業者は把手3が左右逆に取り付けられたことを認識しやすい。
【0059】
また、前述のように左右逆に取り付けた把手3が、ノズルホルダー29に接触した状態では、
図7に示すように、起立姿勢にある把手3の把持部30が筐体6よりも上方に配置される。このため、作業者が焜炉本体2(筐体6)上に天板40を設置しようとしたときには、当該天板40が左右逆に取り付けられた起立姿勢にある把手3の把持部30に接触し、これにより天板40を焜炉本体2(筐体6)上の正しい設置位置に配置できないようになっている。従って、作業者は、製造工程において天板40を焜炉本体2上に設置する際にも、把手3が左右逆に取り付けられたことを認識しやすい。
【0060】
なお、把手3が両把手連結部83A,83Bに正しく取り付けられた場合には、
図5に示すように、把手3を使用位置と非使用位置との間で回動したときに把手3が通る領域には障害物が存在せず、両把手連結部83A,83Bに正しく取り付けられた把手3は、使用位置と非使用位置の間において支障なく回動可能である。
【0061】
焜炉本体2には、ノズルホルダー29に加えて、左右逆に取り付けられて使用位置に配置された把手3が後方に回動することを規制する他の回動規制部を設けてもよい。他の回動規制部は、使用位置から後方に回動しようとする把手3の後側に接触し、把持部30が焜炉本体2の上端よりも下方に位置しないようにする。このような他の回動規制部を設けることで、把手3が左右逆に取り付けられた状態で、作業者が焜炉本体2上に天板40を設置しようとしたときには、他の回動規制部により回動が規制された把手3の一部が天板40に接触して天板40を焜炉本体2上に設置できないようにすることができる。なお、他の回動規制部は省略可能である。
【0062】
図1に示す焜炉1の上面を構成する天板40は、焜炉本体2のフランジ部64上に設置され、筐体6の上開口部62(
図2参照)を閉塞する。これにより、筐体6内のグリル7、把手3、焜炉用バーナー20A,20Bの混合管部27、バーナー受け棧23、及びガス供給管21A,21B等は、天板40によって覆われる。
【0063】
天板40は前述のように焜炉本体2をカウンタートップ50の開口部51に落とし込んで設置した後に焜炉本体2上に設置される。
【0064】
ここで、
図5に示す把手3は、天板40を焜炉本体2上に設置する前において、作業者により前方に倒されて非使用位置に配置される。天板40を焜炉本体2上に設置するときに、把手3が使用位置に配置されて起立姿勢の状態にあると、筐体6より上方に突出した把手3の一部が天板40に接触して天板40を焜炉本体2上に設置できないためである。
【0065】
図1に示すように、天板40において各焜炉用バーナー20A,20Bの本体部26に対応する箇所には、上下方向に貫通する孔43A,43Bが形成されている。各焜炉用バーナー20A,20Bの本体部26は、対応する孔43A,43Bを通して上方に突出している。天板40上には各焜炉用バーナー20A,20Bによって加熱される被加熱物を載置するための五徳42A,42Bが設置されている。
【0066】
天板40の前部の上には、左右一対の操作体41A,41Bが設置されている。両操作体41A,41Bのうちの一方の操作体41A(左側の操作体41A)は、第1バーナー20Aの前方に配置され、他方の操作体41B(右側の操作体41B)は、第2バーナー20Bの前方に配置されている。
【0067】
操作体41A,41Bは、内部に永久磁石(不図示)を有し、天板40上に移動可能に載置されている。図示は省略するが、天板40の下面において各操作体41A,41Bに対応する箇所には、永久磁石と、検出部が設けられている。この永久磁石により対応する操作体41A,41Bの永久磁石が吸着されて保持される。また、検出部は、操作体41A,41Bを移動(回動、及び前後動)したときに、操作体41A,41B内の永久磁石により発生する磁束の変化を検出する。
【0068】
図示は省略するが、焜炉本体2の内部にはガスバルブ22に電気的に接続された制御部が設けられている。制御部は、前記各検出部で検出した信号に基づいてガスバルブ22や点火プラグ200A,200Bの動作を制御し、これにより対応する焜炉用バーナー20A,20Bの点消火や火力の調節を行う。なお、図示は省略するが、グリル用バーナー72を操作するための操作部は、筐体6の前面部に設けられている。
【0069】
以上説明した本実施形態の焜炉1は、以下の特徴を有する。焜炉1は、キッチンカウンター5の開口部51に落とし込んで設置される焜炉本体2と、焜炉本体2を吊り下げ支持するための把手3と、焜炉本体2上に設置される天板40とを備えたドロップイン式の焜炉1である。焜炉本体2の重心が左右方向において焜炉本体2の中心から外れた位置にある。焜炉本体2は、グリル庫70と、グリル庫70上の左右に設けられた把手連結部83A,83Bを備える。左右の把手連結部83A,83Bのうちの一方(把手連結部83A)がグリル庫70の上面部700の左側端部に接続され、他方(把手連結部83B)がグリル庫70の上面部700の右側端部に接続される。把手3が両把手連結部83A,83Bに連結されて両把手連結部83A,83B間に架け渡される。把手3はその一部(把持部30)が平面視で焜炉本体2の重心位置を含む所定の範囲内に位置するように構成される。把手3は前記一部(把持部30)が作業者によって把持される部分であることを示す把持部表示手段を備える。
【0070】
この特徴を有する焜炉1にあっては、作業者は把手3において把持部表示手段で示された部分を把持して、焜炉本体2を吊り下げ支持できる。特にこの場合、作業者は把持部表示手段で示された部分を把持するだけで、平面視において焜炉本体2の重心位置又はその近傍部分の位置を支持できる。このため、作業者は焜炉本体2を水平又は僅かに傾斜した傾斜姿勢で容易に吊り下げ支持することができる。従って、焜炉本体2をキッチンカウンター5の開口部51に落とし込んで設置する作業が容易になる。また、把手3が連結される把手連結部83A,83Bは、グリル庫70の上面部700の左右の側端部に夫々接続される。グリル庫70の上面部700の左右の側端部は、グリル庫70の側面部701A,701Bの近傍に位置するため、上面部700の左右方向中央部と比較して強度が高い。このため、把手3を用いて焜炉本体2を吊り下げ支持したときにグリル庫70の上面部700が変形等することを抑制できる。
【0071】
また、把手3は、本実施形態のように、起立姿勢となる使用位置と倒伏姿勢となる非使用位置との間で前後方向に回動可能であることが好ましい。この場合、作業者は、天板40を焜炉本体2上に設置する前において、把手3を倒伏姿勢となる非使用位置まで回動して、把手3を天板40と接触し難く作業の邪魔になり難い位置に配置できる。
【0072】
また、焜炉1は本実施形態のように以下の特徴を有することが好ましい。把手3の形状が左右非対称である。焜炉本体2は回動規制部(ノズルホルダー29)を備える。回動規制部は、左右の把手連結部83A,83Bに対して誤って左右逆に連結された把手3に接触することで、把手3の倒伏姿勢となる側への回動を規制する。天板40が回動規制部により回動が規制された把手3に接触することで焜炉本体2上に設置不能に構成される。
【0073】
この特徴を有する焜炉1にあっては、回動規制部により左右逆に取り付けられた把手3の回動が規制される。このため、作業者は把手3を誤って左右逆に取り付けたことを容易に認識できる。また、把手3が左右逆に取り付けられた状態で、作業者が天板40を焜炉本体2上に設置しようとしたとき、天板40が回動規制部により回動が規制された把手3に接触して焜炉本体2上に設置不能になる。このため、作業者は天板40を焜炉本体2上に設置する段階でも把手3が誤って左右逆に取り付けられたことを認識できる。
【0074】
なお、本実施形態の焜炉1は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更可能である。例えば、把持部表示手段は本実施形態のものに限られない。例えば把持部30の左右長さが握り拳の幅よりも長いものにおいて、把持部30の一部又は全部に着色する、あるいは把持部30の一部に刻印を施す等することで、把持部30が把持される部分であることを示してもよい。
【0075】
また、把手3は起立姿勢にしたときに把持部30が焜炉本体2の上端よりも下方に位置するものであってもよい。また、回動規制部は、焜炉本体2に設けられるノズルホルダー29以外の部品で構成してもよい。また、把手連結部83A,83Bは、グリル庫70の上面部に直接接続されてもよい。また、把手3は把手連結部83A,83Bに対して回動不能であってもよい。
【0076】
また、焜炉本体2には焜炉用バーナーが一個だけ設けられてもよいし、三個以上設けられてもよい。また、焜炉1はガスを燃料とするガス焜炉に限られず、石油焜炉、電気焜炉等であってもよい。