【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明は本実施例によりなんら限定されない。
【0037】
(
比較触媒1の製造)
ブタノール250mlにヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物28.2g、塩化イリジウム6.3gを溶解させた塗布液を作製した。
金属基体として20×50mm、厚さ0.8mmのエキスパンドチタン基体(JIS 2種)の表面を粗面化したものを用いた。該エキスパンドチタン基体の表面粗さを表面粗さ計((株)ミツトヨ製、サーフテスト、SJ−410)を用いて測定し、Ra(算術平均粗さ)が5.0μmであることを確認した。この基体に該塗布液を刷毛にて塗布後、580℃に保持した電気炉内で10分焼成を行い、過酸化物分解用の触媒(
比較触媒1:白金と酸化イリジウム担持)を得た。
この触媒について、断面観察にて触媒層の厚さを調べたところ、0.342μmであった。
【0038】
(
比較触媒2の製造)
ブタノール250mlにヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物28.2g、塩化ルテニウム5.5gを溶解させた塗布液を作製した。
金属基体として20×50mm、厚さ0.8mmのエキスパンドチタン基体(JIS 2種)の表面を粗面化したものを用いた。該エキスパンドチタン基体の表面粗さを表面粗さ計((株)ミツトヨ製、サーフテスト、SJ−410)を用いて測定し、Ra(算術平均粗さ)が5.0μmであることを確認した。この基体に該塗布液を刷毛にて塗布後、580℃に保持した電気炉内で10分焼成を行い、過酸化物分解用の触媒(
比較触媒2:白金と酸化ルテニウム担持)を得た。
この触媒について、断面観察にて触媒層の厚さを調べたところ、0.337μmであった。
【0039】
(触媒
1の製造)
ブタノール250mlにヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物28.2g、塩化イリジウム2.6g、塩化ルテニウム2.5gを溶解させた塗布液を作製した。
金属基体として20×50mm、厚さ0.8mmのエキスパンドチタン基体(JIS 2種)の表面を粗面化したものを用いた。該エキスパンドチタン基体の表面粗さを表面粗さ計((株)ミツトヨ製、サーフテスト、SJ−410)を用いて測定し、Ra(算術平均粗さ)が4.9μmであることを確認した。この基体に該塗布液を刷毛にて塗布後、580℃に保持した電気炉内で10分焼成を行い、過酸化物分解用の触媒(触媒
1:白金と酸化イリジウムと酸化ルテニウム担持)を得た。
この触媒について、断面観察にて触媒層の厚さを調べたところ、0.337μmであった。
【0040】
(比較触媒
3の製造)
ブタノール250mlにヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物33.2gを溶解させた塗布液を作製した。
金属基体として20×50mm、厚さ0.8mmのエキスパンドチタン基体(JIS 2種)の表面を粗面化したものを用いた。該エキスパンドチタン基体の表面粗さを表面粗さ計((株)ミツトヨ製、サーフテスト、SJ−410)を用いて測定し、Ra(算術平均粗さ)が5.0μmであることを確認した。この基体に該塗布液を刷毛にて塗布後、580℃に保持した電気炉内で10分焼成を行い、過酸化物分解用の触媒(比較触媒
3:白金担持)を得た。
この触媒について、断面観察にて触媒層の厚さを調べたところ、0.333μmであった。
【0041】
(比較触媒
4の製造)
ブタノール250mlに塩化イリジウム36.5gを溶解させた塗布液を作製した。
金属基体として20×50mm、厚さ0.8mmのエキスパンドチタン基体(JIS 2種)の表面を粗面化したものを用いた。該エキスパンドチタン基体の表面粗さを表面粗さ計((株)ミツトヨ製、サーフテスト、SJ−410)を用いて測定し、Ra(算術平均粗さ)が5.1μmであることを確認した。この基体に該塗布液を刷毛にて塗布後、580℃に保持した電気炉内で10分焼成を行い、過酸化物分解用の触媒(比較触媒
4:酸化イリジウム担持)を得た。
この触媒について、断面観察にて触媒層の厚さを調べたところ、0.342μmであった。
【0042】
(実施例
1、比較例
1〜4)
触媒
1、比較触媒1
〜4をそれぞれ用い、下記過酸化物含有水溶液を用いて処理試験を行った。処理試験の方法は、上記で得られた触媒をそれぞれ下記過酸化物含有水溶液4000mLに浸漬し、撹拌しながら25℃の条件で、100時間処理した。該操作を繰り返し、過酢酸30ppm以下で、かつ、過酸化水素100ppm以下まで繰り返し処理できる回数を調べた。該操作を繰り返した回数が多いほど触媒の劣化が少なく、長期に渡り過酢酸や過酸化水素等の過酸化物を処理できると判断できる。該繰り返し操作の回数は10回以上が好ましく、50回以上であることが特に好ましく挙げられる。
[過酸化物含有水溶液の組成]
過酢酸 2000ppm
過酸化水素 10000ppm
酢酸 1.5%
初期のpH 2.9
【0043】
【表1】
【0044】
表1より、比較例
3は回数が7回であり、すぐに触媒が劣化してしまうため、長期に渡り処理できないことがわかる。比較例
4にいたっては、触媒の触媒性能が劣るため1回も処理できないことがわかる。
実施例
1では、比較例1、2と比較し、繰り返し処理することができ、特に実施例
1は触媒が劣化しにくいため、長期に渡り過酢酸及び過酸化水素を処理できることがわかる。
【0045】
以上より、本発明の過酸化物の処理方法を用いることで、長期間に渡り過酸化物を処理できることがわかる。