特許第6338435号(P6338435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338435
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/155 20060101AFI20180528BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 8/43 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20180528BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   A61K31/155
   A61K47/12
   A61K8/43
   A61K8/36
   A61P31/04
   A61P17/00 101
   A61Q19/00
   A61K8/73
   A61K47/36
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-91916(P2014-91916)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-209399(P2015-209399A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】中村 清美
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−025770(JP,A)
【文献】 特開2000−178189(JP,A)
【文献】 特開2007−284412(JP,A)
【文献】 特開平03−099010(JP,A)
【文献】 特表平11−512417(JP,A)
【文献】 特開昭61−130210(JP,A)
【文献】 特開2003−252738(JP,A)
【文献】 井上 朋法、他2名,塩酸クロルヘキシジンの溶解度及ぼす低分子および高分子量物質の添加の影響,日本薬学会年会要旨集,2006年,vol.126, No.2,P.20 No.P28[Q]pm-036
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/155
A61K 8/36
A61K 8/43
A61K 8/73
A61K 47/12
A61K 47/36
A61P 17/00
A61P 31/04
A61Q 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロルヘキシジン塩酸塩と、融点が72℃よりも高い高級脂肪酸Aと、融点が72℃以下の高級脂肪酸Bと、を含み、
前記高級脂肪酸Aは、ベヘン酸、アラキジン酸またはリグノセリン酸であり、
前記高級脂肪酸Bは、ステアリン酸、パルミチン酸またはミリスチン酸であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記高級脂肪酸Aの配合量をX[質量%]、前記高級脂肪酸Bの配合量をY[質量%]としたとき、0.1≦Y/X≦50の関係を満足する請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記クロルヘキシジン塩酸塩の配合量は、0.0001〜0.5質量%である請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記高級脂肪酸Aの配合量は、0.01〜10質量%である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記高級脂肪酸Bの配合量は、0.01〜20質量%である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
藻類由来の増粘多糖類を含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
前記増粘多糖類の配合量は、0.01〜10質量%である請求項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
前記増粘多糖類は、カラギーナンである請求項またはに記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抗菌剤として、クロルヘキシジン塩酸塩を配合した皮膚外用剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このクロルヘキシジン塩酸塩は、広範囲な抗菌スペクトルを有しており、抗菌力の持続性が高いことで知られている。しかしながら、クロルヘキシジン塩酸塩は、水に難溶でかつ安定性も悪いことから、グルコン酸塩が多く用いられ、塩酸塩はあまり用いられてこなかった。
このため、クロルヘキシジン塩酸塩の安定配合が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−284412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、クロルヘキシジン塩酸塩を安定配合することが可能な皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
(1) クロルヘキシジン塩酸塩と、融点が72℃よりも高い高級脂肪酸Aと、融点が72℃以下の高級脂肪酸Bと、を含み、
前記高級脂肪酸Aは、ベヘン酸、アラキジン酸またはリグノセリン酸であり、
前記高級脂肪酸Bは、ステアリン酸、パルミチン酸またはミリスチン酸であることを特徴とする皮膚外用剤。
【0007】
(2) 前記高級脂肪酸Aの配合量をX[質量%]、前記高級脂肪酸Bの配合量をY[質量%]としたとき、0.1≦Y/X≦50の関係を満足する上記(1)に記載の皮膚外用剤。
【0008】
(3) 前記クロルヘキシジン塩酸塩の配合量は、0.0001〜0.5質量%である上記(1)または(2)に記載の皮膚外用剤。
【0009】
(4) 前記高級脂肪酸Aの配合量は、0.01〜10質量%である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0010】
(5) 前記高級脂肪酸Bの配合量は、0.01〜20質量%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0013】
) 藻類由来の増粘多糖類を含む上記(1)ないし()のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0014】
) 前記増粘多糖類の配合量は、0.01〜10質量%である上記()に記載の皮膚外用剤。
【0015】
) 前記増粘多糖類は、カラギーナンである上記()または()に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、クロルヘキシジン塩酸塩を安定配合することが可能な皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の皮膚外用剤の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中における皮膚外用剤は、いかなる形態のものであってもよく、例えば、液状、ゲル(ジェル)状、乳液状、クリーム状等であってもよい。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、クロルヘキシジン塩酸塩と、融点が72℃よりも高い高級脂肪酸Aと、融点が72℃以下の高級脂肪酸Bと、を含んでいる。
【0019】
以下、各成分について詳細に説明する。
[クロルヘキシジン塩酸塩]
クロルヘキシジン塩酸塩は、抗菌性の高い成分である。
【0020】
ところで、クロルヘキシジン塩酸塩は、広範囲な抗菌スペクトルを有しており、抗菌力の持続性が高いことで知られているが、製剤中において安定性が低いといった問題があった。
【0021】
そこで本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の皮膚外用剤では、クロルヘキシジン塩酸塩の他に、融点が72℃よりも高い高級脂肪酸Aと、融点が72℃以下の高級脂肪酸Bとを配合することにより、クロルヘキシジン塩酸塩の安定性が向上することを見出し、本発明の完成に至った。
【0022】
クロルヘキシジン塩酸塩の配合量は、0.0001〜0.5質量%であるのが好ましく、0.001〜0.2質量%であるのがより好ましい。これにより、クロルヘキシジン塩酸塩の抗菌効果をより効果的に発揮させることができる。
【0023】
[高級脂肪酸A]
高級脂肪酸Aは、融点が72℃よりも高い高級脂肪酸である。
【0024】
高級脂肪酸Aは、後述する高級脂肪酸Bとともに配合することで、製剤中におけるクロルヘキシジン塩酸塩の安定性に寄与する成分である。
【0025】
高級脂肪酸Aとしては、例えば、ベヘン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。これらの中でも、高級脂肪酸Aとしては、ベヘン酸を用いるのが好ましい。これにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性をより高いものとすることができる。
【0026】
高級脂肪酸Aの配合量は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜3質量%であるのがより好ましい。これにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性をより効果的に向上させることができる。また、皮膚外用剤の使用感を良好なものとすることができる。
【0027】
[高級脂肪酸B]
高級脂肪酸Bは、融点が72℃以下の高級脂肪酸である。
【0028】
高級脂肪酸Bは、高級脂肪酸Aとともに配合することで、製剤中におけるクロルヘキシジン塩酸塩の安定性に寄与する成分である。
【0029】
高級脂肪酸Bとしては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。これらの中でも、高級脂肪酸Bとしては、ステアリン酸を用いるのが好ましい。これにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性をより高いものとすることができる。
【0030】
高級脂肪酸Bの配合量は、0.01〜20質量%であるのが好ましく、1〜10質量%であるのがより好ましい。これにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性をより効果的に向上させることができる。また、皮膚外用剤の使用感を良好なものとすることができる。
【0031】
高級脂肪酸Aの配合量をX[質量%]、高級脂肪酸Bの配合量をY[質量%]としたとき、0.1≦Y/X≦50の関係を満足するのが好ましく、0.5≦Y/X≦10の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性をさらに効果的に向上させることができる。また、皮膚外用剤の使用感をより良好なものとすることができる。
【0032】
[増粘多糖類]
本発明の皮膚外用剤は、上記成分の他、増粘多糖類を含んでいてもよい。
【0033】
増粘多糖類は、皮膚外用剤の使用感を向上させる成分である。また、増粘多糖類は、上述した高級脂肪酸Aおよび高級脂肪酸Bとともに配合することにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性をさらに向上させる成分である。
【0034】
増粘多糖類としては、例えば、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩およびその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、カチオン化グアガム、ゼラチン、寒天、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
これらの中でも、特に、ι−カラギーナンを用いるのが好ましい。これにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性をさらに向上させることができる。
【0036】
高級脂肪酸Aの配合量をX[質量%]、増粘多糖類の配合量をZ[質量%]としたとき、0.01≦X/Z≦300の関係を満足するのが好ましく、0.5≦X/Z≦50の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性が特に優れたものとなる。また、皮膚外用剤の使用感をさらに良好なものとすることができる。
【0037】
高級脂肪酸Bの配合量をY[質量%]、増粘多糖類の配合量をZ[質量%]としたとき、0.01≦Y/Z≦500の関係を満足するのが好ましく、0.1≦Y/Z≦100の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、クロルヘキシジン塩酸塩の配合安定性が特に優れたものとなる。また、皮膚外用剤の使用感をさらに良好なものとすることができる。
【0038】
[その他の成分]
また、本発明の皮膚外用剤には、上記成分の他、目的および剤形に応じて通常用いられる基剤成分並びに薬効成分を配合することができる。
【0039】
そのような基剤成分並びに薬効成分の例として、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、アミノ酸、鉱物・合成油、動植物油、アルコール、界面活性剤、湿潤剤、溶剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料などが挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。以下にそれらの具体例を挙げる。
【0040】
(アミノ酸)
アミノ酸としては、例えば、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−アスパラギン、L−システイン、L−セリン、L−チロシン、L−プロリン、ピロリドンカルボン酸塩、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、オルニチン、ヒスチジン、γ−アミノ酪酸、ε−アミノカプロン酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
(鉱物・合成油)
鉱物・合成油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロスタリンワックス、α−オレフィンオリゴマー、ポリエチレン、ポリブテン、合成スクワラン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
(動植物油)
動植物油としては、例えば、スクワラン、オリブ油、ツバキ油、コムギ胚芽油、ホホバ油、アボガド油、カロット油、シア脂、液状シア脂、パーム油、パーム核油、硬化油、馬油、ラノリン類、卵黄油、チョウジ油、ローズヒップ油、ラベンダー油、ハッカ油、スペアミント油、ローズマリー油、マカデミアナッツ油、杏仁油、サフラワー油、サフラワー油(2)、ヒマワリ油、ヒマワリ油(2)、メドゥホーム油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ油、カカオ脂、コメヌカ油、コメ胚芽油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、キューカンバー油、ククイナッツ油、大豆油、ティーツリー油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、アルガニアスピノサ核油、クランベアビシニカ種子油、アルモンド油、桃仁油、グレープシード油、エミュー油、ミンク油、アサ種子油、アマニ油、サザンカ油、モクロウ、ヤシ油、月見草油、ピスタシオ種子油、マンゴーバター等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
(アルコール)
アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、バチルアルコール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
(エステル油)
エステル油としては、例えば、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸エチレングリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ミリスチン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2−オクチルドデシル、リシノール酸2−オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ネオペンタン酸2−オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソペアルゴン酸エチルヘキシル、ネオデカン酸2−ヘキシルデシル、ネオデカン酸2−オクチルドデシル、イソパルミチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2−オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2−オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2−エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、炭酸ジアルキル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、ラウロイルサルコシン塩、アルキルメチル−β−アラニン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石けん、N−アシルグルタミン酸塩、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルメチルタウリン塩、アルキルアミノプロキオン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルグルコシド、ポリエーテル変性シリコーン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アミドアミン、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン(大豆リン脂質、卵黄レシチン)およびその誘導体(水素添加卵黄レシチン、水素添加大豆リン脂質、卵黄リゾホスファチジルコリン、大豆リゾリン脂質液、水素添加大豆リゾリン脂質、水酸化大豆リン脂質)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
これら界面活性剤は、乳化剤・可溶化剤としても用いられるが、保湿成分としても用いられることがある。保湿成分として用いる場合、植物油のEO付加物である非イオン界面活性剤が特に優れており、1種以上を用いることができる。非イオン界面活性剤の中では、例えばポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0047】
(湿潤剤)
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ソルビット液、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールの他、酸化エチレン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酸化プロピレン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
(溶剤)
溶剤としては、例えば、精製水、常水、イソプロパノール、ベンジルアルコール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
(消炎剤)
消炎剤としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、ε−アミノカプロン酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
(防腐剤)
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ウンデシレン酸、ピオニン、l−メントール、d−カンフル、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸およびアスコルビン酸誘導体、d−δ−トコフェロール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、L−アルギニン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、リン酸およびその塩等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上、本発明の皮膚外用剤について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0053】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
表1に示す成分および配合量を用いて、以下のようにして、クリーム状の皮膚外用剤を製造した。
成分1〜3および成分5〜12を80℃にて均一に加温混合し、混合物1を得た。
【0054】
次に、成分4、20を混合し、80℃まで加温し、これを混合物1に添加し、乳化した。
【0055】
次に、形成した乳化物を40℃まで冷却した後、成分13〜19を順次添加した。
その後、30℃まで冷却することにより、皮膚外用剤を得た。
【0056】
(実施例2〜11、比較例1〜4)
表1に示す成分および配合量を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてクリーム状の皮膚外用剤を製造した。
【0057】
(実施例12)
下記成分および配合量を用いて、常法によりゲル状の皮膚外用剤を製造した。
【0058】
クロルヘキシジン塩酸塩:0.1質量%
ステアリン酸:1.5質量%
ベヘン酸:0.5質量%
カラギーナン:0.5質量%
濃グリセリン:10.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:1.0質量%
パラオキシ安息香酸エステル:0.3質量%
フェノキシエタノール:0.3質量%
精製水:残量
【0059】
(実施例13)
下記成分および配合量を用いて、常法によりゲル状の皮膚外用剤を製造した。
クロルヘキシジン塩酸塩:0.1質量%
ステアリン酸:1.5質量%
ベヘン酸:0.5質量%
カラギーナン:0.2質量%
キサンタンガム:0.3質量%
濃グリセリン:15.0質量%
1,3−ブチレングリコール:5.0質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル:1.5質量%
パラオキシ安息香酸エステル:0.3質量%
フェノキシエタノール:0.3質量%
精製水:残量
【0060】
(実施例14)
下記成分および配合量を用いて、常法によりゲル状の皮膚外用剤を製造した。
クロルヘキシジン塩酸塩:0.1質量%
ステアリン酸:2.0質量%
ベヘン酸:0.4質量%
カラギーナン:0.3質量%
キサンタンガム:0.2質量%
濃グリセリン:15.0質量%
1,3−ブチレングリコール:5.0質量%
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:2.0質量%
パラオキシ安息香酸エステル:0.3質量%
フェノキシエタノール:0.3質量%
精製水:残量
【0061】
(実施例15)
下記成分および配合量を用いて、常法により軟膏状の皮膚外用剤を製造した。
クロルヘキシジン塩酸塩:0.2質量%
ステアリン酸:10.0質量%
ベヘン酸:2.0質量%
カラギーナン:0.3質量%
モノステアリン酸ソルビタン:5.0質量%
ミリスチン酸イソプロピル:35.0質量%
スクワラン:10.0質量%
パラフィン:10.0質量%
ワセリン:25.0質量%
精製水:残量
【0062】
(実施例16)
下記成分および配合量を用いて、常法により軟膏状の皮膚外用剤を製造した。
クロルヘキシジン塩酸塩:0.1質量%
ステアリン酸:8.0質量%
ベヘン酸:1.5質量%
カラギーナン:0.3質量%
モノイソステアリン酸ソルビタン:4.0質量%
ミリスチン酸イソプロピル:30.0質量%
スクワラン:15.0質量%
パラフィン:15.0質量%
ワセリン:20.0質量%
フェノキシエタノール:0.2質量%
グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル:0.05質量%
精製水:残量
【0063】
(実施例17)
下記成分および配合量を用いて、常法によりクリーム状の皮膚外用剤を製造した。
クロルヘキシジン塩酸塩:0.1質量%
ステアリン酸:5.0質量%
ベヘン酸:1.5質量%
カラギーナン:0.2質量%
セスキオレイン酸ソルビタン:0.8質量%
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:2.5質量%
グリセリン脂肪酸エステル:0.5質量%
流動パラフィン:10.0質量%
オリーブ油:2.0質量%
ホホバ油:0.5質量%
スクワラン:1.0質量%
ミリスチン酸ミリスチル1.0質量%
セタノール:2.0質量%
ベヘニルアルコール:0.3質量%
フェノキシエタノール:0.5質量%
グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル:0.2質量%
濃グリセリン:5.0質量%
1,3−ブチレングリコール:5.0質量%
精製水:残量
【0064】
(実施例18)
下記成分および配合量を用いて、常法によりクリーム状の皮膚外用剤を製造した。
クロルヘキシジン塩酸塩:0.2質量%
ステアリン酸:4.0質量%
ベヘン酸:1.0質量%
カラギーナン:0.3質量%
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル:2.5質量%
ペンタステアリン酸デカグリセリル:1.0質量%
グリセリン脂肪酸エステル:0.5質量%
水素添加大豆リン脂質:0.2質量%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル:5.0質量%
ホホバ油:0.5質量%
スクワラン:1.0質量%
イソノナン酸イソノニル:1.0質量%
ステアリルアルコール:1.0質量%
ベヘニルアルコール:0.5質量%
パラオキシ安息香酸エステル:0.5質量%
濃グリセリン:10.0質量%
1,3−ブチレングリコール:3.0質量%
L−アルギニン:0.2質量%
精製水:残量
【0065】
(実施例19)
下記成分および配合量を用いて、常法によりクリーム状の皮膚外用剤を製造した。
クロルヘキシジン塩酸塩:0.2質量%
ステアリン酸:2.0質量%
ベヘン酸:0.6質量%
カラギーナン:0.18質量%
モノイソステアリン酸ポリグリセリル:2.0質量%
ミリスチン酸デカグリセリル:2.0質量%
水素添加大豆リン脂質:0.4質量%
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル:7.0質量%
パルミチン酸2−エチルヘキシル:2.0質量%
スクワラン:2.0質量%
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール:1.0質量%
セトステアリルアルコール:3.0質量%
フェノキシエタノール:0.2質量%
パラオキシ安息香酸エステル:0.5質量%
濃グリセリン:6.0質量%
ジプロピレングリコール:5.0質量%
L−アルギニン:0.15質量%
精製水:残量
実施例1〜11および比較例1〜4の配合成分および配合量を表1に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
<評価>
[クロルヘキシジン塩酸塩の安定性の評価]
製造直後、40℃で6か月放置後の各実施例および各比較例の製剤について、高速液体クロマトグラフィーを用いて、クロルヘキシジンの含量を測定した。製造直後のクロルヘキシジンの含量を100%とし、40℃で6か月後のクロルヘキシジンの割合を求めた。
【0068】
<評価基準>
A :クロルヘキシジンの安定性が90%以上
B :クロルヘキシジンの安定性が80%以上90%未満
C :クロルヘキシジンの安定性が70%よりも大きく80%よりも小さい
D :クロルヘキシジンの安定性が70%以下
【0069】
[使用感の評価]
皮膚への塗布時における各実施例および各比較例の製剤の使用感を、女性6人で下記基準に従い評価し、評価者6人の平均値で示した。
【0070】
<評価基準>
A :良い
B :やや良い
C :やや悪い
D :悪い
【0071】
[製剤安定性の評価]
40℃で6か月保存した各実施例および各比較例の製剤について、製造直後の製剤に対する40℃で6か月保存後の製剤の外観変化(褐変、沈殿、二層分離)の有無を観察し、以下の基準に従って評価した。
【0072】
<評価基準>
A :褐変、沈殿、二層分離のすべてにおいて変化がほとんど認められなかった。
B :褐変、沈殿、二層分離の1項目において少しの変化が認められた。
C :褐変、沈殿、二層分離の2項目以上において少しの変化が認められた。
D :褐変、沈殿、二層分離の1項目以上において顕著な変化が認められた。
これらの結果を、表2に示した。
【0073】
【表2】
【0074】
表2から明らかなように、本発明の皮膚外用剤は、クロルヘキシジン塩酸塩の安定性に優れたものであった。また、使用感、製剤安定性にも優れていた。これに対して、比較例では、十分な結果が得られなかった。