(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1態様から前記第2態様への変化期間に対応する出力禁止期間、または、前記第2態様から前記第1態様への変化期間に対応する出力禁止期間は、前記遊技機を制御する制御手段から出力される信号に基づいて決定されることを特徴とする
請求項1に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態では、遊技機1の一例としてパチンコ遊技機を例にとって説明を行うが、本発明の対象となる遊技機1としては、このようなパチンコ遊技機以外に、スロット遊技機等、各種遊技機を採用することが可能である。まず、遊技機1の全体の構成について説明する。
図1は遊技機1を正面からみた正面図である。
図1の右下に、遊技機1に関する座標系を定義しておく。遊技機1を正面からみたとき、左方向をX軸正の方向、上方向をY軸正の方向、手前から奥に貫く方向をZ軸正の方向である。定義した座標系は、
図11〜
図13で説明する遊技機1の裏面構成で使用する座標系と同一である。
【0032】
遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
【0033】
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球を発射する打球操作ハンドル5(操作ノブ)が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の遊技用部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
【0034】
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された遊技用部品としての演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、特別図柄の可変表示に同期した飾り図柄の可変表示を行う飾り図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、飾り図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。飾り図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の識別情報を、例えば上から下に移動するように可変表示する。飾り図柄表示領域には「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L,9C,9R(図柄表示ライン)があるが、図柄表示エリア9L,9C,9Rの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリア9L,9C,9Rの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100によって制御される。演出制御用マイクロコンピュータ100が、特別図柄表示器8で特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
【0035】
遊技盤6における下部の左側には、識別情報としての特別図柄を可変表示する特別図柄表示器8が設けられている。この実施の形態では、特別図柄表示器8は、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、特別図柄表示器8は、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。小型の表示器は、例えば方形状に形成されている。また、この実施の形態では、特別図柄表示器8は、例えば、00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示する等、各種表示形態を採用することが可能である。
【0036】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13(第1始動口)を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。また、第1始動入賞口13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14(第2始動口)を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開放状態とされる。可変入賞球装置15が開いた状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。また、可変入賞球装置15が閉じた状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
【0037】
以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口14に極めて入賞しやすい。なお、この実施の形態では、
図1に示すように、第2始動入賞口14に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
【0038】
特別図柄表示器8の側方には、始動入賞口に入った有効入賞球数すなわち保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、保留記憶数が上限値に達していないことを条件として(有効始動入賞であることを条件として)、保留記憶数を1増やす。また、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1増やす。そして、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、開始条件が成立したこと)、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始される。すなわち、特別図柄の可変表示は、始動入賞口への入賞に対応する。なお、特別図柄表示器8での可変表示が開始される毎に、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1減らす。
【0039】
また、演出表示装置9の表示画面には、保留記憶数を表示する領域(以下、保留記憶表示部18cという。)が設けられている。
【0040】
特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、可変表示時間が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示(確定)させることである。
【0041】
特別図柄表示器8において、特別図柄の可変表示が開始された後、所定時間(変動時間)が経過すると、特別図柄の可変表示結果である停止図柄を停止表示(導出表示)する。大当りにすることに決定されている場合には、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示される。はずれにすることに決定されている場合には、大当り図柄以外の特別図柄が停止表示される。大当り図柄が導出表示された場合には、遊技状態が、特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。この実施の形態では、一例として、「3」、「7」を示す数字を大当り図柄とし、「−」を示す記号をはずれ図柄にする。
【0042】
特別図柄表示器8に大当り図柄が停止表示された場合には、特別可変入賞球装置20における開閉板が、所定期間(例えば、29秒間)または所定個(例えば、10個)の入賞球が発生するまでの期間、開放状態になって、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態に変化させるラウンドが開始される。ラウンドの回数は、例えば15である。
【0043】
また、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が時短状態に制御される。時短状態では、通常状態(確変状態や時短状態ではない状態)に比べて特別図柄の可変表示における特別図柄の変動時間が短縮される。時短状態は、例えば、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の可変表示が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了する。なお、大当り状態が終了した後に、時短状態にせずに通常状態になるようにしてもよい。
【0044】
遊技状態を確変状態に制御することに決定されている場合には、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が確変状態に制御される。確変状態は、例えば、次に可変表示結果として大当り図柄が導出表示されるまで継続する。遊技状態を大当り遊技状態に制御することに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、大当り図柄という。そして、遊技状態を大当り状態に制御しないことに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、はずれ図柄という。
【0045】
また、確変状態では、低確率状態(通常状態)に比べて、大当りに決定される確率が高くなっている。例えば、10倍になっている。具体的には、確変状態では、大当り判定用乱数の値と一致すると大当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて10倍になっている。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率が高められている。すなわち、第2始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなっている。具体的には、確変状態は、普通図柄当り判定用乱数の値と一致すると当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて多い。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めることに加えて、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。また、時短状態でも、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めたり、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。
【0046】
演出表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における飾り図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点が同じであって、可変表示の期間が同じであることをいう。特別図柄表示器8において大当り図柄が停止表示されるときと、演出表示装置9において大当りを想起させるような飾り図柄の組み合わせが停止表示される。
【0047】
演出表示装置9の表示領域では、開始条件が成立したことにもとづいて、「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動が開始され、例えば、「左」→「右」→「中」の順序で飾り図柄の停止図柄が停止表示(導出表示)される。
【0048】
飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて停止図柄が導出表示されるまでの期間(可変表示期間=変動時間)で、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された飾り図柄が大当り組み合わせの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の飾り図柄が大当り組み合わせの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。
【0049】
また、
図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、特別図柄表示器8に特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
【0050】
遊技領域7には、遊技球の入賞にもとづいてあらかじめ決められている所定数の景品遊技球の払出を行うための入賞口(普通入賞口)29、30、33、39も設けられている。入賞口29、30、33、39に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aで検出される。
【0051】
遊技盤6の右側方には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示する。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開放状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。
【0052】
普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。また、確変状態ではないが図柄の変動時間が短縮されている時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)でも、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
【0053】
遊技盤6の遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25(ランプでもよい。)が設けられ、下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED(ランプでもよい。)28が設けられている。
【0054】
遊技機1には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出された後、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始されるとともに、演出表示装置9において飾り図柄の可変表示が開始される。
【0055】
図2は、主基板31(遊技制御基板)における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、
図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等、主基板31の周囲構成も含めて示されている。主基板31には、プログラムに従って遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は1チップマイクロコンピュータとして構成されている。なお、1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
【0056】
RAM55は、その一部または全部が電源基板(図示せず)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータはRAM55に保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
【0057】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0058】
乱数回路503は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0059】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。
【0060】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を可変表示(変動表示)する特別図柄表示器8、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18および普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う。
【0061】
本実施形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する演出表示装置9の表示制御を行う。
【0062】
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、ランプドライバ基板35を介して、遊技盤に設けられている装飾LED25や枠側に設けられている枠LED28等の表示制御を行うとともに、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行う。
【0063】
また、主基板31には、ホール管理コンピュータと通信可能な通信部42が接続されている。通信部42は、ホール管理コンピュータと通信接続され、大当り遊技状態等、各種遊技状態を示す情報を通信部42を介してホール管理コンピュータに送信することが可能である。また、通信部42は、磁気検出器130により、磁石を使用した不正検出が判定された場合にも、不正を示す情報をホール管理コンピュータに送信する。
【0064】
また、主基板31には、設定基板60を介して磁気検出器130が接続されている。本実施形態の設定基板60は、破線で示すように、磁気検出器30と主基板31間の信号はスルー状態であり、設定基板60は、磁気検出器30と主基板31間の信号に対して関与しない。したがって、磁気検出器30と主基板31間は、設定基板60を介在させず、直接、接続することも可能である。磁気検出器130は、遊技機1の外部における磁石を用いた不正操作を検出するためのセンサであって、不正操作による外部磁界を検出した場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560にエラー信号を出力する。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、エラー信号を受信した場合、演出表示装置9、スピーカ27、通信部42を使用してホールスタッフ等の管理者に対し、遊技機1に異常があったことを報知する異常報知処理を実行する。
【0065】
本実施形態では、磁気検出器130には、磁気検出器130の有効検出方向と、磁気検出レンジ(磁気検出範囲)を設定するための設定基板60が接続されている。設定基板60は、遊技機1の電源から供給される電源電圧に基づいて磁気検出器130に対応する信号(選択信号Sa、レンジ設定信号Sb)を出力する。設定基板60は、電源電圧を磁気検出器130の設定に応じた信号に変換して出力する回路を有して構成されている。主基板31ではROM54やRAM55の容量に制限が設けられるため、主基板31が磁気検出器130の各種設定を実行することは困難な状況にある。本実施形態では、磁気検出器130の各種設定を設定基板60で行うことで、遊技制御用マイクロコンピュータ560における処理負担を削減することが可能となっている。
【0066】
本実施形態では、設定基板60の回路構成(ハード構成)によって磁気検出器130の設定を可能とするため、プログラムを記憶する等の構成(ソフト構成)を必要することなく、磁気検出器130をケーブルを介して設定基板60に接続するという簡単な構成で磁気検出器130に対する設定を実現している。なお、本実施形態では、1つの磁気検出器130を設けた構成となっているが、複数の磁気検出器130を使用する場合には、設定基板60から各磁気検出器130に応じた複数の設定信号を出力することで、各磁気検出器130の各種設定を実現することが可能である。
【0067】
図3は、中継基板77、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。なお、
図3に示す例では、ランプドライバ基板35および音声出力基板70には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板35および音声出力基板70を設けずに、演出制御に関して演出制御基板80のみを設けてもよい。演出制御基板80のみを設けた場合には、
図3に示すランプドライバ基板35および音声出力基板70に搭載されている回路等も、演出制御基板80に搭載される。
【0068】
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、および演出制御プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。本実施形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
【0069】
本実施形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行うVDP109が演出制御基板80に搭載されている。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP109は、VRAM内の画像データをフレームメモリを介して演出表示装置9に出力する。
【0070】
演出制御用CPU101は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP109に出力する。CGROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP109は、演出制御用CPU101の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP109は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
【0071】
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバ102に入力する。入力ドライバ102は、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。なお、
図3に示す出力ポート571は、
図2に示されたI/Oポート部57の一部である。
【0072】
さらに、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート104を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。
【0073】
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ351を介してLEDドライバ352に入力される。LEDドライバ352は、LEDを駆動する信号にもとづいて枠LED28などの枠側に設けられている発光体に電流を供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25に電流を供給する。
【0074】
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し、増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
【0075】
例えば、音番号データに応じた制御データとして、所定の期間内の効果音(音声および楽曲を含む。)のディジタルデータが音声データROM704に格納されている。ディジタルデータとして、例えばPCMデータが使用される。その場合には、1秒間の効果音が8ビット×8k(8000)=64kビットで表される。なお、ここでは、PCMデータを用いる場合を例にするが、ADPCMデータ等の他の形式のデジタル音声データを用いてもよい。
【0076】
次に、遊技機の動作について説明する。
図4は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機1に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
【0077】
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを第2モードに設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAM55をアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、第2モードとは、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
【0078】
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合(ステップS6:Y)には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10〜S13)。
【0079】
クリアスイッチがオンの状態でない場合(ステップS6:N)には、遊技機1への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら(ステップS7:N)、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
【0080】
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら(ステップS7:Y)、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合(ステップS8:N)には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0081】
チェック結果が正常(ステップS8:Y)であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを演出制御基板80に送信する(ステップS43)。そして、ステップS47に移行する。
【0082】
初期化処理(ステップS10〜S13)では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次RAM55における作業領域に設定する(ステップS12)。ステップS11およびステップS12の処理によって、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
【0083】
そして、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)を演出制御基板80に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。なお、初期化処理において、CPU56は、客待ちデモンストレーション指定(デモ指定)コマンドも送信する。
【0084】
そして、CPU56は、乱数回路503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS47)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路503にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
【0085】
そして、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう(ステップS48)。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
【0086】
CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS50)および初期値用乱数更新処理(ステップS51)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS49)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS52)。
【0087】
この実施の形態では、表示用乱数とは、変動パターン等を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施の形態では、初期値用乱数とは、普通図柄の当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ560が、遊技機1に設けられている可変表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、大当り判定用乱数発生カウンタ等のカウント値が1周(乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
【0088】
タイマ割込が発生すると、CPU56は、
図5に示すステップS20〜ステップS35のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
【0089】
次に、CPU56は、特別図柄表示器8、普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。特別図柄表示器8および普通図柄表示器10については、ステップS32、ステップS33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
【0090】
また、遊技制御に用いられる普通当り図柄決定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24、S25)。
【0091】
なお、この実施の形態では、大当り判定用乱数(ランダムR)は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されたハードウェアが生成する乱数であるが、大当り判定用乱数として、遊技制御用マイクロコンピュータ560によってプログラムに基づいて生成されるソフトウェア乱数を用いてもよい。
【0092】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、特別図柄表示器8および大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0093】
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0094】
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
【0095】
さらに、CPU56は、ホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
【0096】
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
【0097】
この実施形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
【0098】
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1加算する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示を実行する。
【0099】
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
【0100】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ステップS34の不正検出処理において、磁気検出器130からのエラー信号が異常状態(磁石を検出した状態)を示しているか否か確認し、エラー信号が異常状態を示していた場合、演出表示装置9、スピーカ27、通信部42等を使用して、ホールスタッフ等の管理者に対して異常を通知する異常報知処理を実行する。本実施形態では、この異常報知処理を遊技制御用マイクロコンピュータ560で実行することとしているが、異常報知処理は、演出制御用マイクロコンピュータ100等、遊技制御用マイクロコンピュータ560以外の構成を使用して実行することとしてもよい。一連の処理を実行した後、割込許可状態に設定し(ステップS35)、タイマ割込処理を終了する。
【0101】
この実施形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S34(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理を実行しているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0102】
次に、演出制御手段の動作を説明する。
図6は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、所定の乱数を生成するためのカウンタのカウンタ値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS702)。そして、タイマ割込フラグの監視(ステップS703)を行う。タイマ割込フラグがセットされていない場合(ステップS703:N)には、ステップS702に移行する。なお、タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。タイマ割込フラグがセットされていたら(ステップS703:Y)、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS704)、ステップS705〜S706の演出制御処理を実行する。
【0103】
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:ステップS705)。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS706)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置9の表示制御を実行する。
【0104】
図7は、
図6に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS706)を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理では、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S807のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
【0105】
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800):演出制御プロセスフラグの値が変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値である場合に実行される。変動パターンコマンド受信待ち処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターンコマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターンコマンドを受信している場合には、そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値に更新する。
【0106】
飾り図柄変動開始処理(ステップS801):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動開始処理では、飾り図柄および飾り図柄の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値に更新する。
【0107】
飾り図柄変動中処理(ステップS802):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動中処理では、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切り替えタイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値に更新する。
【0108】
飾り図柄変動停止処理(ステップS803):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動停止処理では、全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)を受信したことにもとづいて、飾り図柄(および飾り図柄)の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(ステップS804)または変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
【0109】
大当り表示処理(ステップS804):演出制御プロセスフラグの値が大当り表示処理(ステップS804)に対応した値である場合に実行される。大当り表示処理では、変動時間の終了後、演出表示装置9に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
【0110】
ラウンド中処理(ステップS805):演出制御プロセスフラグの値がラウンド中処理(ステップS805)に対応した値である場合に実行される。ラウンド中処理では、ラウンド中の表示制御を行う。そして、ラウンド終了条件が成立したら、最終ラウンドが終了していなければ、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(ステップS806)に対応した値に更新する。最終ラウンドが終了している場合には、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値に更新する。
【0111】
ラウンド後処理(ステップS806):演出制御プロセスフラグの値がラウンド後処理(ステップS806)に対応した値である場合に実行される。ラウンド後処理では、ラウンド間の表示制御を行う。そして、ラウンド開始条件が成立したら、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
【0112】
大当り終了演出処理(ステップS807):演出制御プロセスフラグの値が大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値である場合に実行される。大当り終了演出処理では、演出表示装置9において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
【0113】
図8は、主基板31にて実行する不正検出処理(
図5のステップS34)の詳細を示すフローチャートである。本実施形態の不正検出処理は、遊技制御用マイクロコンピュータ560にて実行する処理であり、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、異常報知処理(ステップS904〜S907)を実行中であるか否かを確認する(ステップS901)。この異常報知処理が実行中か否かの確認は、具体的には、異常報知中フラグがセットされているか否かに基づいて行われる。異常報知処理を既に検出中である場合(ステップS901:Y)には不正検出処理を抜ける。
【0114】
一方、異常報知処理を実行していない場合(ステップS901:N)には、ソレノイドが駆動開始されたか否かを確認する(ステップS902)。本実施形態の遊技機1には、2つのソレノイド16、21が搭載されているが、ステップS901、ステップS902で判定の対象となるソレノイドは、その駆動によって発生する磁気が、磁気検出器130に影響を及ぼすソレノイドである。ここでは1つのソレノイドが、磁気検出器130に影響を及ぼす場合を想定している。判定対象となるソレノイドが駆動開始された場合(S902:Y)には、磁気検出器130に対してソレノイド駆動信号Scを出力する(S909)。そして、判定対象となるソレノイドが駆動終了となった場合(S903:Y)には、出力中のソレノイド駆動信号Scを停止する(S910)。
【0115】
次に、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、磁気検出器130からのエラー信号が磁界検出(磁石検出)に対応する状態(例えば、ハイレベル)になっているか否かを確認する(ステップS904)。なお、以下、エラー信号が磁界検出(磁石検出)に対応する状態になっていることをエラー信号が出力されているといい、エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態(例えば、ローレベル)になっていることをエラー信号が出力されていないという。
【0116】
エラー信号が出力されている場合(ステップS904:Y)には、異常が検知されたことを報知するための異常報知処理(ステップS905〜S908)を実行する。本実施形態では、異常報知処理として、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に対し、例えば「磁石発見」を示す画像や異常検出の旨を示す画像を演出表示装置9に表示する制御を行う(ステップS905)。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に対し、異常報知音に対応する音番号データを音声出力基板70に出力させ、スピーカ27から異常報知音が出力させる(ステップS906)。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、異常が検知された遊技機1の識別情報等を含む情報を、通信部42を介してホール管理コンピュータに送信する(ステップS907)。そして、異常報知中フラグをセットする(ステップS908)。なお、セットされた異常報知中フラグは、ホールスタッフ等の管理者の操作等により解除されるまで、セットされた状態が維持される。
【0117】
以上のような異常報知処理によって、遊技球を入賞領域に不正に誘導するような不正行為に使用される可能性がある磁石、または不正行為に使用されている磁石が発見された場合には、遊技機1において、演出表示装置9において異常を示す状態が表示されるとともに、スピーカ27から異常報知音が出力される。そして、ホール管理コンピュータに対しても通報が行われる。
【0118】
なお、磁気検出器130からエラー信号が出力されたときに実行する異常報知処理としては、演出表示装置9のみを用いて異常報知を行うことや、スピーカ27のみを用いて異常報知を行う等、適宜形態を採用することが可能である。また、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)を用いて異常報知を行うことや、演出表示装置9やスピーカ27と、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)とを併用してもよい。
【0119】
また、この実施の形態では、磁気検出器130からエラー信号が出力されると、ホールスタッフ等の管理者の操作により異常報知中フラグが解除されるまで、異常報知処理は継続して実行される。異常報知処理は、この他、遊技機1に対する電力供給が停止されるまで継続して実行する、あるいは、磁気検出器130からのエラー信号の出力が無くなると(エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態になると)、異常報知を終了する等、各種継続の形態を採用することが可能である。
【0120】
図9、
図10は、本実施形態の磁気検出器130の外観を示した図であり、
図9は、磁気検出器130の斜視図を、
図10は磁気検出器130の三面図(上面図、側面図)を示している。本実施形態の磁気検出器130は、上蓋131aと下箱131bで構成される筐体131を有しており、この筐体131内部に磁気検出素子170や制御回路180等の各種部品が実装される。上蓋131aと下箱131bを組み合わせた際、ケーブル導出孔132が形成される。このケーブル導出孔132は、電源の供給や各種信号の入出力のためのケーブルを筐体131内部から外部に導出するための孔である。本実施形態では、上蓋131aに突起部131cが形成されており、ケーブル導出孔132の大きさの拡大が図られている。
【0121】
本実施形態の磁気検出器130は、直方体形状で形成される6面の内、3面(第1取付面S1、第2取付面S2、第3取付面S3)を遊技機1に対する取付面として使用可能としている。取付面の選定(取付態様の選定)は、遊技機1の機種毎に異なる遊技機1の背面の状況によって選定される。本実施形態では、3面の内の何れかの取付面を選定した際、遊技機1に対する取付面積(取付面の面積に相当)、遊技機1の背面における磁気検出器130の突出し量、磁気検出器130のケーブル導出孔132から導出されるケーブルの導出方向が異なるため、遊技機1の背面の状況に対応することが可能となる。ここで、磁気検出器130について座標系を定義しておく。第1取付面S1がxy平面と平行となるように、第2取付面S2がzx平面と平行となるように、そして、第3取付面がS3がyz平面と平行となるように、互いに直交するx軸、y軸、z軸を定義する。
【0122】
本実施形態の磁気検出器130は、互いに直交するx軸、y軸、z軸を磁気検出方向として検出することが可能である。具体的には、
図17に示す磁気検出器130の構成中、x軸センサ13xがx軸方向の磁気を検出し、y軸センサ13yがy軸方向の磁気を検出し、z軸センサ13zがz軸方向の磁気を検出する。本実施形態の磁気検出器130は、x軸、y軸、z軸中、2軸を有効検出方向として設定することが可能である。すなわち、xy平面、yz平面、zx平面の内、何れかの平面を磁気を検出する有効平面として設定することが可能である。本実施形態における有効平面の設定は、設定基板60の回路構成(ハード仕様)によって実現しているが、有効平面の設定は、この他、設定基板60あるいは磁気検出器130に設けた機械的スイッチを切り換えることで行う(ハード仕様)、あるいは、遊技制御用マイクロコンピュータ560、あるいは、演出制御用マイクロコンピュータ100等のプログラム処理で行う(ソフト仕様)等、各種形態を採用することが可能である。
【0123】
以上、本実施形態の磁気検出器130の筐体131、並びに、磁気検出方向について説明したが、磁気検出器130はこのような形態に限らず各種形態を採用することが可能である。例えば、筐体131の形状については、各面を長方形で構成した直方体に限らず、何れかの面を正方形にした形状、あるいは、全ての面を正方形にする形状(直方体)とすることとしてもよい。直方体の場合、何れの面を取付面に選定しても取付面の面積は同じであるが、選定する取付面によってケーブル導出孔132の向く方向が異なるため、取付面を選定することで、ケーブルの導出方向を変化させることが可能であり、遊技機1の機種によって異なる背面の状況に対応することが可能である。
【0124】
また、本実施形態の磁気検出器130は、筐体131上の3面を取付面(S1〜S3)として使用可能としているが、取付面は筐体131上の2面以上であればよく、磁気検出器130内の磁気センサの配置状態に応じて適宜に設定することが可能である。
【0125】
図11〜
図13は、磁気検出器130の取り付け態様(態様A〜態様C)を示す斜視図である。
図9、
図10で説明したように本実施形態の磁気検出器130は、3面の取付面(S1〜S3)を有して構成されている。したがって、各取付面を遊技機1の背面に対向させた3つの取り付け形態を選択することが可能である。
図11〜
図13は、遊技盤6の背面(遊技機1の背面)の様子を模式的に示した図であり、左下には
図1と同じ遊技機1の座標系が示されている。なお、
図11〜
図13に記載する遊技盤6の背面の様子は、平板として模式的に示しているが、実際には遊技機1の各種部品が配置されている。また、遊技盤6に対する磁気検出器130の縮尺についても模式的に示したものであり、実際のものとは異なる場合がある。
【0126】
図11は磁気検出器130の取り付け態様(態様A)を示した斜視図である。図中、磁気検出器130のケーブル導出孔132から導出されたケーブル136が示されている。ケーブル136は、外部の設定基板60に接続される。この態様Aでは、磁気検出器130の第1取付面S1を遊技盤6の背面に対向させて取り付けた態様となっている。なお、磁気検出器130の取り付けは、各種固定手段を使用して行われる。磁気検出器130は遊技盤6に取り付ける態様の他、遊技機1の遊技盤6以外に対して取り付けることとしてもよい。なお、磁気検出器130は、磁気を検出する特性上、金属以外の固定手段を使用することが好ましい。
【0127】
第1取付面S1は、最も広い面積を有する取付面であり、第1取付面S1が遊技盤6の背面に平行となるように取り付ける態様Aの場合、磁気検出器130を安定して固定することが可能である。また、態様Aでは、遊技機1の背面方向(Z軸正の方向)に対する突出量を最も抑えることが可能であり、他の部品との干渉を抑えることが可能である。また、態様Aでは、x軸とy軸を磁気検出器130の有効検出方向とし、また、z軸を無効検出方向としている。すなわち、遊技機1のXY平面と平行な磁気検出器130のxy平面を有効平面としている。このように遊技盤6と平行な面を有効平面として設定することで、遊技機1のガラス扉枠2に沿って使用される磁石の磁気を精度よく検出することが可能となる。また、遊技機1の背面方向(Z軸正の方向)の遊技機1の動作による磁気、あるいは、遊技機1の背後等によって発生する外部磁気等による誤検出の抑制を図ることが可能となっている。
【0128】
また、この態様Aでは、ケーブル導出孔132を有する面(zx面)が、遊技機1のXY平面と直交するため、遊技機1のXY平面と平行な方向にケーブル136を取り出すことが可能である。
【0129】
図12は磁気検出器130の取り付け態様(態様B)を示した斜視図である。この態様Bでは、磁気検出器130の第2取付面S2を遊技盤6の背面に対向させて取り付けた態様となっている。第2取付面S2は、最も狭い面積を有する取付面であり、第2取付面S2が遊技盤6の背面に平行となるように取り付ける態様Bの場合、遊技機1の背面方向(Z軸正の方向)に対する突出量は最大となるものの、最小限の取付面積で磁気検出器130を固定することが可能となる。
【0130】
また、態様Bにおいても態様Aの場合と同様、磁気検出器130の有効平面は、遊技機1のXY平面と平行な面(この場合zx平面)となっている。すなわち、磁気検出器130のx軸とz軸が有効検出方向であり、また、磁気検出器130のy軸が無効検出方向となっている。また、この態様Bでは、ケーブル導出孔132を有する面(zx面)が、遊技機1のXY平面と平行となるため、遊技機1のXY平面と垂直な方向にケーブル136を取り出すことが可能である。
【0131】
図13は磁気検出器130の取り付け態様(態様C)を示した斜視図である。この態様Cでは、磁気検出器130の第3取付面S3を遊技盤6の背面に対向させて取り付けた態様となっている。第3取付面S3は、第1取付面S1と第2取付面S2の中間の面積を有する取付面であり、第3取付面S3が遊技盤6の背面に平行となるように取り付ける態様Cの場合、態様Aと態様Cの間の取付面積、並びに、態様Aと態様Cの間の遊技機1の背面方向(Z軸正の方向)に対する突出量とすることが可能である。
【0132】
また、態様Cにおいても態様A、態様Bの場合と同様、磁気検出器130の有効平面は、遊技機1のXY平面と平行な面(この場合yz平面)となっている。すなわち、磁気検出器130のy軸とz軸が有効検出方向であり、また、磁気検出器130のx軸が無効検出方向となっている。また、この態様Cでは、態様Aの場合と同様、ケーブル導出孔132を有する面(zx面)が、遊技機1のXY平面と直交するため、遊技機1のXY平面と平行な方向にケーブル136を取り出すことが可能である。
【0133】
以上、
図11〜
図13について3つの取り付け態様(態様A〜C)を説明したが、本実施形態の磁気検出器130によれば、遊技機1の背面の状態(部品の配置状態等)に応じた取り付け態様を選定することが可能となる。本実施形態では、取付面(S1〜S3)の面積、並びに、ケーブル136の導出方向の違いを利用して、遊技機1の背面の状態に応じた取り付け態様を選定することが可能となっている。そして、選定した取り付け態様にしたがって、磁気検出器130の3軸の磁気検出方向の内、2軸を有効検出方向として設定することで、遊技機1のガラス扉枠2に沿って使用される磁石の磁気の検出精度の向上、並びに、遊技機1の背後等によって発生する外部磁気等による誤検出の抑制を図ることが可能となっている。
【0134】
また、本実施形態の磁気検出器130は、背面のレイアウトが異なることが考えられる複数の遊技機1の機種に使用することが可能である。したがって、磁気検出器130を遊技機1の機種に合わせて設計する必要が無く、複数の機種で兼用して使用することが可能である。また、遊技機1をリサイクルする際、取り外した磁気検出器130を他の機種に再利用することも可能である。このように本実施形態の磁気検出器130は、複数の機種間で使用することが可能であるため、磁気検出器130について、設計上、製造上、リサイクル上におけるコスト削減を図ることが可能である。
【0135】
なお、本実施形態では、3通りの取り付け態様(態様A〜態様C)について説明を行ったが、取り付け態様は2通り以上であればよい。例えば、取付面積の最も大きい
図11の態様A、取付面積の最も小さい
図12の態様Bに限定することが考えられる。この場合、磁気検出器130は、x軸とy軸を有効検出方向とする設定(態様Aの場合)、z軸とx軸を有効検出方向とする設定(態様Bの場合)の2通りに設定可能とするように設計される。
【0136】
図14は、磁気検出器130の構成例を、設定基板60とともに示すブロック図である。この実施形態では、磁気検出器130は、磁気検出素子170と制御回路180とを含んで構成されている。制御回路180は、AD変換器160と、制御部161を含んで構成されている。AD変換器160は、磁気検出素子170が出力するアナログ信号である検出電圧をデジタル信号に変換する。また、制御回路180は、平均処理、基準値補正処理、有効面設定処理、レンジ(感度)設定処理、比較処理、禁止処理を実行可能としている。なお、制御回路180には、プログラムに従って制御動作を行うマイクロコントローラ(例えば、テキサスインスツルメント社製MSP430F2002)を使用することができる。制御回路180としてマイクロコントローラを使用する場合には、上述する各処理はプログラムで実現される。
【0137】
磁気検出素子170は、互いに直交する3軸(x軸、y軸、z軸)に沿って配置されたアモルファスワイヤに外部から与えられた磁界によるインピーダンスの変化を検出して各々の変化量にもとづく検出電圧を出力する構成であり、制御回路180は、磁気検出素子170に対してチャネル信号を出力する機能を有する。チャネル信号は、x軸の検出素子(x軸センサ13x)、y軸の検出素子(y軸センサ13y)、z軸の検出素子(z軸センサ13z)のうちのどの検出素子からの検出電圧を出力させるのかを選択するための信号である。
【0138】
平均処理は、磁気検出器130が出力する検出電圧値を時間平均する処理である。基準値補正処理は、磁気検出器130が出力する検出電圧に基づいて、合成磁界変化量を検出するための基準値を補正する処理である。有効面設定処理は、磁気検出素子170が出力する3軸の磁気検出方向中、2軸を有効検出方向に有する有効平面を設定する処理である。本実施形態では、xy平面、yz平面、zx平面に平行な3面中の1面を、磁気検出器130の取り付け態様に応じて有効平面として設定している。レンジ(感度)設定処理は、磁石を使用した不正検出判定のための閾値を変更することで、磁気検出器130における磁気検出のレンジ(感度)を設定する処理である。比較処理は、有効平面上における合成磁界変化量が、レンジ設定処理で設定された閾値を超えた場合、エラー信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に対して出力する処理である。禁止処理は、遊技制御用マイクロコンピュータ560から出力されるソレノイド駆動信号Scに基づいて、磁気検出素子170に影響を及ぼす磁気の変化期間に対応して、当該変化期間において磁気検出器130からエラー信号が出力されることを禁止する。なお、禁止処理では、磁気変化期間の終了直後に、基準値補正処理を実行することで、磁気変化期間の後の磁気の状態に基準値補正することとしている。
【0139】
図15は、磁気検出器130の実現例の構成例を示すブロック図であり、
図16は、磁気検出器130の入出力部(入出力端子)端子の機能を説明する図である。本実施形態の磁気検出器130は、磁気検出素子170と制御回路180を含んで構成された装置である。
図15に示す例では、磁気検出器130は、磁気検出素子170と、制御回路180と、外部から入力される+12Vの電圧を安定化して磁気検出素子170と制御回路180に供給するレギュレータ183と、選択信号Sa(SELECT1から入力)、レンジ設定信号Sb(端子SELECT2から入力)、ソレノイド駆動信号Sc(端子SELECT3から入力)を入力して、制御回路180に出力するバッファ回路185、186、187と、エラー信号を出力する出力トランジスタ184とを含んで構成されている。
【0140】
図17は、磁気検出素子170の制御構成例を示すブロック図である。
図17に示す例では、磁気検出素子170は、x軸センサ13x、y軸センサ13yおよびz軸センサ13zに加えて、クロック信号を出力する発振器138と、発振器138からのクロック信号を、x軸センサ13x、y軸センサ13y、z軸センサ13zに対して出力するタイミング制御回路139と、x軸センサ13x、y軸センサ13yおよびz軸センサ13zの出力側に接続された基準電圧発生器133と、入力端子CH1〜CH3に入力されるチャネル信号に従って、タイミング制御回路139にクロック出力選択信号を出力するとともに、x軸センサ13x、y軸センサ13y、z軸センサ13zの検出電圧を入力するサンプルホールド回路(選択回路)134と、サンプルホールド回路134が入力した検出電圧を増幅して出力する差動増幅器135とを有する。
【0141】
x軸センサ13x、y軸センサ13y、z軸センサ13zは、軸方向が互いに直交するように配置されている。また、x軸センサ13x、y軸センサ13y及びz軸センサ13zの軸は、アモルファスワイヤで構成され、アモルファスワイヤに巻かれたコイルが、アモルファスワイヤに外部から与えられた磁界によるインピーダンスの変化を検出して、インピーダンスの変化に応じた電圧値の検出電圧を出力する。なお、インピーダンスの変化を検出する部材は、アモルファスワイヤに巻かれたコイルではなく、アモルファスワイヤの近傍に設置されたコイルでもよい。また、本実施形態の磁気検出器130に使用する磁気検出素子170は、アモルファスワイヤを使用する形態の他、ホール素子を用いた形態等、各種形態を採用することが可能である。
【0142】
本実施形態では、このx軸〜z軸の3軸中、2軸を磁気の有効検出方向に持つ有効平面に使用し、エラー信号の判定に使用している。有効平面は、磁気検出器130の取り付け態様に応じて設定される。本実施形態では、ガラス扉枠2の面と平行になるように有効平面を設定することとしている。すなわち、
図11〜
図13で説明したように、磁気検出器130の設置態様にしたがって、3軸中の2軸で構成される有効平面が設定される。言い換えると、3軸中の1軸(本実施形態ではガラス扉枠2に垂直な軸)は、無効軸(エラー信号の判定に使用しない軸)として設定されることになる。なお、本実施形態では、ガラス扉枠2の面と平行になるように有効平面を設定しているが、遊技機1と磁気検出器130の有効平面の配置関係は、遊技機1の機種の違いによる部品の配置等、各種条件によって適宜に決定することが可能である。
【0143】
本実施形態では、制御回路180を実現するマイクロコントローラのソフトウェアによって、センサの特性のばらつき等や地磁気の影響を排除する。具体的には、遊技機1に対する電力供給が開始されたとき等に磁気検出素子170から検出電圧を入力して、入力した検出電圧に基づいて基準値を設定する。そして、有効平面について磁気検出器130からの検出電圧の基準値からの変化量(合成磁界変化量)を算出し、変化量が閾値を越えた場合に、遊技機1の近傍に磁石が存在すると判定し、エラー信号を出力する。なお、本実施形態では、設定した基準値を適宜補正することで、電磁部品の着磁等による環境の変化にも対応可能としている。
【0144】
図18は、制御部161の制御構成例を示すブロック図である。本実施形態の制御回路180は、x軸、y軸、z軸に対応する磁界変化量算出部202x、202y、202zと、合成ベクトル算出部233、磁界検出部234を備えて構成されている。磁界変化算出部202x、202y、202zは、磁気検出素子170の出力に基づいて、各軸方向の磁界変化量(周囲磁場の変化)を監視する監視処理を実行する。合成ベクトル算出部233は、各軸方向の磁界変化量に基づいて、2軸で構成された平面内の合成磁界変化量を算出する。磁界検出部234は、ある平面(選択信号Saにて設定される平面)内における合成磁界変化量を閾値と比較し閾値を超えた場合、不正な磁場変化を示すエラー信号を出力する検出処理を実行する。そして、この磁界検出部234では、出力禁止信号Scaが示す出力禁止期間に基づいてエラー信号の出力を禁止する禁止処理を実行する。本実施形態では、このように監視処理、検出処理、禁止処理を磁気検出器130内の制御部161で実行することとしている。このような形態に代え、監視処理、検出処理、禁止処理の何れか1つの処理は、磁気検出器130以外で行うこととしてもよい。磁気検出器130以外で行う場合、遊技機1内の遊技制御用マイクロコンピュータ560や、演出制御用マイクロコンピュータ100等で実行することが考えられる。
【0145】
磁界変化量算出部202x、202y、202zは、それぞれ、x軸センサ13x、y軸センサ13y、z軸センサ13zの検出電圧値について基準値を算出し、現在の検出電圧値(平均化された検出電圧値)と基準値の差である磁界変化量を各軸について算出する。図には、x軸についての磁界変化量算出部202xの構成例が示されているが、y軸、z軸についての磁界変化量算出部202y、202zは、磁界変化量算出部202xの構成例と同様である。
【0146】
また、制御部161は、遊技機1に対する電力供給(磁気検出器130に対する電源供給でもある)が開始された起動時から所定期間(本実施形態では5秒)が経過するまでエラー信号の出力を禁止する起動時禁止処理を実行する。
図20には、磁気検出器130で実行する起動時禁止処理を示すフローチャートが示されている。遊技機1では、電源投入直後に、各種駆動機構の動作確認のため、駆動機構を一斉に駆動させる動作確認処理を実行することがある。このように駆動機構を一斉に動作させたる動作確認処理では、磁気検出器130は、誤検知してエラー信号を出力することが考えられる。そのため、本実施形態では、電源投入から所定期間(本実施形態では5秒間)の間、磁気検出器130からのエラー信号の出力を禁止することで、駆動機構の一斉動作等に基づく誤検知の抑制を図ることとしている。なお、異常報知禁止フラグの設定期間は、遊技機1の機種等に応じて適宜値を設定することが可能である。
【0147】
磁気検出器130に電源供給が開始された後、制御部161は、異常報知禁止フラグを設定する(ステップS61)。この異常報知禁止フラグが設定されている期間は、磁気検出器130はエラー信号を出力しない。次に、制御部161は、所定期間に対応する禁止期間値を禁止期間タイマにセットする(ステップS62)。禁止期間タイマは、ステップS61で設定した異常報知禁止フラグの設定状態を継続するタイマであり、本実施形態では禁止期間値として5秒が設定される。制御部161は、禁止期間タイマをカウントし、禁止期間値が経過したか否かを判定する(ステップS63)。禁止期間値が経過したことを判定した場合(ステップS63:Y)、異常報知禁止フラグを解除し、磁気検出器130からエラー信号を出力することを許可する。
【0148】
本実施形態では、磁気検出器130において起動時禁止処理を実行することとしているが、遊技機1の起動時における誤検知防止のための処理は、遊技制御用マイクロコンピュータ560で実行することとしてもよい。具体的には、遊技機1に電源が投入されてからの所定期間、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、磁気検出器130から出力されたエラー信号を無視することで、起動時における誤検知を防止することが可能である。しかしながら、この場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560において、所定期間をカウントする等の処理が発生することになる。遊技制御用マイクロコンピュータ560では、ROM54やRAM55の容量等、各種制限が設けられるため、遊技制御用マイクロコンピュータ560に対する負担削減のためには、本実施形態のように磁気検出器130において起動時禁止処理を実行することが好ましい。
【0149】
ところで、遊技機1の機種によっては、起動時駆動処理において不具合が発生した場合等、起動時から所定期間経過した後においても起動時駆動処理を延長して行うことがある。このような場合、磁気検出器130は、起動時駆動処理によるソレノイドの駆動で発生した磁気を外部の磁石による磁気と誤検出することが考えられる。したがって、起動時禁止処理では、所定期間経過後においても起動時駆動処理を延長した場合、起動時駆動処理の継続に対応させ、エラー信号の出力の禁止期間を延長することとしてもよい。
【0150】
電源供給開始から所定期間(本実施形態では5秒)経過した後、制御部161は、1分が経過する毎に、各軸について基準値を更新(補正)する。すなわち、定期的に基準値を更新する。基準値を更新する際に、磁気検出素子170の検出電圧値と、過去の磁気センサの検出電圧値とに基づいて、新たな基準値を決定する。定期的に基準値を更新する理由は、遊技機1の稼働が進むと遊技機1に設けられている電磁部品等が着磁する可能性も考えられ、着磁した場合には、遊技機1の近傍に磁石が存在しない場合であっても、磁気検出素子170が出力する検出電圧値の値が変わるからである。なお、この実施の形態では、1分毎に基準値を更新するが、1分の周期は一例であり、他の更新周期を用いてもよい。ただし、基準値を更新する周期が短すぎると、磁石を低速で動かして行う不正行為を検出できなくなるおそれがあるので、ある程度以上の長さの周期であることが好ましい。
【0151】
制御部161は、x軸センサ13x、y軸センサ13y、z軸センサ13zから出力され、AD変換器160でデジタル信号化されたデータを2msの周期で順に選択する。すなわち、2ms毎に、x軸、y軸、z軸のデータが制御部161に入力される。各軸のデータは、対応する磁界変化量算出部202x〜202zに入力され、各軸について磁界変化量が算出される。
【0152】
磁界変化量算出部202xに入力されたデータは、レジスタ251に記憶され、2ms経過する毎に、次段のレジスタ252〜258に順次シフト転送される。なお、最終段のレジスタ258に記憶したデータは、新しいデータがシフト転送される毎に破棄される。第1平均化部203は、レジスタ251〜258に記憶するデータを平均化することで、x軸センサ13xの出力するデータを時間平均する。本実施形態では、このようにデータを時間平均することで、瞬間的な磁界変化の検出を排除している。
【0153】
図19は、基準磁界補正部204の機能構成を示すブロック図である。基準磁界補正部204において、設定更新部271は、遊技機1の電源オンから5秒経過したときに、初回の基準値を算出する。初回時、レジスタ261〜268は空であるため、第1平均化部203が出力するデータを、レジスタ261〜268に順次シフト転送して格納する。第1平均化部203は2ms毎にデータを出力するため、14ms経過後に全てのレジスタ261〜268にデータが格納される。第2平均化部273は、レジスタ261〜268に格納したデータを平均化して初回の基準値として出力する。なお、この初回の基準値の算出は、電源オンから5秒経過したときだけでなく、制御部161が異常磁界の検出を停止したとき(エラー信号の出力状態から出力停止状態に変化したとき)、あるいは、再設定信号Scbを入力したときに、それまでに記憶していたレジスタ261〜268の内容を破棄して、新たに初回の基準値を再計算する。
【0154】
初回の基準値の算出後、設定更新部271は、各レジスタ26x(x:1〜8)の内容を1分ごとに更新(シフト転送)し、各レジスタ26x(x:1〜8)の内容を第2平均化部273に出力する。なお、最終段のレジスタ268内にあったデータは破棄される。第2平均化部273は、レジスタ261〜268に格納されたデータを加算し、加算値を、下位ビットの方向に3ビット分シフトする。すなわち、1/8する処理(平均化する処理)を実行する。そして、第2平均化部273は、平均化した値を基準値として、減算部205(
図18参照)及び設定更新部271に出力する。なお、設定更新部271は、第2平均化部273から出力された基準値と第1平均化部203から出力された現在値の差が所定値以上(例えば、7以上)である場合には、直前の基準値との差が7になるように第2平均化部273から出力された現在値を補正し、補正後の基準値をレジスタ261に格納する。なお、この補正は、磁気検出器130がエラー信号を出力しているとき、すなわち遊技機1の外部に不正な磁石の存在を検出している期間には行わない。
【0155】
以上のように、本実施形態では、レジスタ261〜268には、電力供給開始時(具体的には、電源オンから5秒経過時)に第1平均化部203が出力したデータを2ms毎に初期値として格納し、第2平均化部273で平均化した値を基準値として出力する。その後、1分経過する度に、第2平均化部273が出力したデータで基準値を更新(再計算)する。
【0156】
図18に示す減算部205は、第1平均化部203が出力する現在値から、基準磁界補正部204が出力する基準値を減算し、その絶対値をとった値を各軸に関する磁界変化量として算出する。算出された各軸に関する磁界変化量は合成ベクトル算出部233に出力される。したがって、合成ベクトル算出部233には、磁界変化量(基準値に対する磁界変化の絶対値)が入力されることになる。制御部161は、y軸センサ13y、z軸センサ13zの出力についても、x軸センサ13xの出力に対する処理と同様の処理を実行する。したがって、合成ベクトル算出部233には、3軸(x軸、y軸、z軸)に関する磁界変化量が入力される。
【0157】
合成ベクトル算出部233は、入力された3つの磁界変化量の値からx軸とy軸、y軸とz軸、z軸とx軸の組について合成磁界変化量を算出する。例えば、x軸とy軸の組の合成磁界変化量は、x軸の磁界変化量の2乗とy軸の磁界変化量の2乗の和の平方根として算出される。すなわち、xy平面における合成磁界変化量となる。他の2組(y軸とz軸、z軸とx軸)についても同様に演算が行われることで、それぞれ、yz平面、zx平面における合成磁界変化量が算出される。算出された各平面(xy平面、yz平面、zx平面)に関する合成磁界変化量は磁界検出部234に出力される。
【0158】
磁界検出部234は、遊技機1の外部(ガラス扉枠2の側)から磁石による不正操作によって発生する不正磁場の有無を検出する。不正磁場が検出された場合、磁界検出部234は、主基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ560にエラー信号を出力する。本実施形態では、この磁界検出部234にて、有効面設定機能とレンジ(感度)設定機能を実現している。有効面設定機能は、磁気検出素子170が出力する3軸の磁気検出方向中、2軸を有効検出方向に有する有効平面を設定する機能である。本実施形態では、xy平面、yz平面、zx平面中の3面中の1面を、磁気検出器130の取り付け態様に応じて有効平面として設定している。
図11〜
図13で説明したように、本実施形態の磁気検出器130は、3つの態様(態様A〜態様C)で、遊技機1に取り付けることが可能である。
【0159】
遊技機1への電源供給開始に伴い、設定基板60に電源電圧が印加開始されると、設定基板60は、電源電圧に基づいて発生させた所定の選択信号Saを、磁気検出器130の端子(SELECT1)に供給する。磁気検出器130の制御回路180は、この選択信号Saに基づいて2軸の有効検出方向を有する有効平面を設定する。磁界検出部234は、合成ベクトル算出部233から出力する3つの合成磁界変化量の内、有効平面に対応する1の合成磁界変化量を判定のために使用する。本実施形態の選択信号Saは、
図11〜
図13の態様A〜Cに対応した3つの状態を取り得ることとしているが、選択信号Saは、2つの状態(例えば、態様Aと態様B)に簡易化することとしてもよい。この場合、選択信号Saは、各態様に対応する、Hi(例えば、電源電圧)、Low(例えば、0[V]GND)の2つの状態とすることが可能となり、設定基板60の回路構成を簡単にすることが可能となる。
【0160】
図21(A)には、選択信号Saと磁気検出方向に基づく有効平面、無効軸との関係を示す選択テーブルが示されている。制御回路180は、この選択テーブルの関係にしたがって、入力された選択信号Saに応じて2軸の有効検出方向を有する有効平面を設定する。選択信号SaがV1a[V]を示す場合、磁気検出器130のx軸とy軸を有効検出方向(xy平面が有効平面)として設定し、z軸方向を無効軸として設定する(態様Aの場合)。選択信号SaがV1b[V]を示す場合、磁気検出器130のz軸とx軸を有効検出方向(zx平面が有効平面)として設定し、y軸方向を無効軸として設定する(態様Bの場合)。選択信号SaがV1c[V]の場合には、磁気検出器130のy軸とz軸を有効検出方向(yzが有効平面)として設定し、x軸方向を無効軸として設定する(態様Cの場合)。
【0161】
このように、本実施形態では、設定基板60に対する電源供給に基づいて発生する選択信号Saによって、2軸の有効検出方向を有する有効平面を設定している。有効平面の設定は、本実施形態のように設定基板60を使用した形態のみならず、磁気検出器130を主基板31あるいは演出制御基板80の制御によって行う形態としてもよい。しかしながら、本実施形態のように設定基板60で設定を行うことで、主基板31あるいは演出制御基板80に対する負荷を削減することが可能となっている。
【0162】
磁界検出部234は、選択信号Saに基づいて選択された有効平面に対応する合成磁界変化量を閾値と比較して、合成磁界変化量が閾値を超えた場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560に対してエラー信号を出力する比較機能を有している。本実施形態では、この比較機能に使用する閾値を設定可能なレンジ(感度)設定機能を有している。レンジ(感度)は、遊技機1の背面の部品設置状態、遊技機1に対する磁気検出器130の取り付け位置等、遊技機1の機種によって異なる条件、あるいは、遊技機1の磁気に関する外部環境によって設定することが可能である。
【0163】
遊技機1への電源供給開始に伴い、設定基板60に電源電圧が印加開始されると、設定基板60は、電源電圧に基づいて発生させた所定のレンジ設定信号Sbを、磁気検出器130の端子(SELECT2)に供給する。磁気検出器130の制御回路180は、このレンジ設定信号Sbに基づいて磁気検出器130の検出レンジを設定する。検出レンジの設定は閾値を変更することで行われる。
【0164】
図21(B)には、レンジ設定信号Sbと検出レンジ、設定される閾値の関係を示す検出レンジテーブルが示されている。制御回路180は、この検出レンジテーブルの関係にしたがって、入力されたレンジ設定信号Sbに応じた閾値を設定する。なお、検出レンジテーブル中の閾値において、A1<A2<A3<A4の関係を有している。レンジ設定信号SbがV2a[V]を示す場合、閾値は最小のA1に設定される。この場合、磁気検出器130の検出レンジは極大に設定される。レンジ設定信号SbがV2b[V]〜V2d[V]となるにしたがって、閾値は大きく設定され、磁気検出器130の検出レンジは小さくなっていく。
【0165】
このように、本実施形態では、レンジ設定信号Sbについても設定基板60で設定することで、主基板31あるいは演出制御基板80で設定することと比較して、主基板31あるいは演出制御基板80に対する負荷を削減することが可能となっている。なお、本実施形態では、1つの磁気検出器130を使用した遊技機1について説明したが、磁気検出器130を複数備えた遊技機1とすることも可能である。その場合、設定基板60は、各磁気検出器130に応じた選択信号Sa、レンジ設定信号Sbを出力することとなる。あるいは、磁気検出器130毎に設定基板60を用意することとしてもよい。
【0166】
さらに本実施形態では、制御部161は出力禁止期間判定部235を備える。出力禁止期間判定部235は、遊技制御用マイクロコンピュータ560から出力されるソレノイド駆動信号Scに基づいて、磁界検出部234に出力禁止信号Scaと、磁界変化量算出部202x、202y、202zに再設定信号Scbを出力する。出力禁止期間判定部235は、ソレノイド駆動信号Scに基づいて判定された、ソレノイドを駆動により外部磁気が変化する期間を出力禁止期間として判定し、この出力禁止期間に対応する出力禁止信号Scaを出力する。磁界検出部234は、出力禁止信号Scaが出力禁止期間を示す間、エラー信号の出力を停止する。
【0167】
図22には、磁気検出器による磁気変化の検出と各種信号の関係を示すタイムチャートが示されている。このタイムチャートには、磁気検出器130で検出するx軸磁気変化の様子が示されている。磁気検出器130で検出する磁気変化は、y軸、z軸についても変化するが、ここでの図示は省略する。ソレノイド駆動信号Scは、ソレノイドを通電していない状態がLow、ソレノイドを通電している状態がHighで示されている。ソレノイド駆動信号Scの制御対象となったソレノイドを有する駆動部は、Lowでは第1の態様(例えば閉状態)を取り、Highでは第2の態様(例えば開状態)を取ることになる。ソレノイド駆動信号ScがLowからHigh、もしくは、HighからLowに変化する際、磁気検出器130で検出するx軸磁気が大きく変化することが分かる。出力禁止期間判定部235は、ソレノイド駆動信号ScがHighからLowに変化した時点(t1)から所定期間(T1)の間、及び、ソレノイド駆動信号ScがLowからHighに変化した時点(t3)から所定期間(T2)の間を出力禁止期間(t1〜t2、t3〜t4)と判定し、出力禁止期間を示す出力禁止信号Scaを出力している。なお、出力禁止期間を判定するための所定期間(T1、T2)は、対象となるソレノイドの特性、あるいは、ソレノイドと磁気検出器130の配置関係に応じて設定可能とすることとしてもよい。
【0168】
磁界検出部234は、出力禁止信号Scaが出力禁止期間を示す間、エラー信号の出力を停止する。
図22のタイムチャートを見ると、出力禁止期間は、磁気検出器130で検出する磁気変化が大きく変化する期間に対応している。磁気変化期間を出力禁止期間とすることで、磁気検出器130における磁気変化期間での誤検出の抑制を図ることとしている。
【0169】
また、本実施形態では、外部の磁石等による不正磁場を判定するため、適宜タイミングで基準磁界補正部204において基準値を更新することは先に述べたとおりである。本実施形態の基準磁界補正部204は、磁気変化期間の終了直後に、基準磁界補正部204において基準値を再設定する再設定処理を実行する。
図22には、x軸磁気変化に対応して基準値Ex1、Ex2が示されている。磁界変化量の算出には、t1以前では基準値Ex1を、t2〜t3の期間は基準値Ex2を、そして、t4以降では基準値Ex1を使用する。なお、t1〜t2、t3〜t4は、出力禁止期間であるため、基準値は無関係となる。また、基準値Ex1、Ex2は、基準値を模式的に示したものである。
図19で説明したように、基準値は、過去の値を第2平均化部273で平均化して得られる値であって、外部の磁気環境によって変化する。したがって図に模式的に示しているように、基準値Ex1、Ex2は必ずしも一定とは限らない。
【0170】
出力禁止期間判定部235は、基準磁界補正部204において再設定処理を実行するため、出力禁止期間の直後、すなわち、出力禁止信号Scaが禁止から許可の状態に変化した際、再設定信号Scbを出力する。本実施形態の再設定信号は、LowとHighの2値を取り得る信号であって、出力禁止信号が禁止から許可の状態に変化した際、一定期間LowからHighに変化する。基準磁界補正部204は、再設定信号ScbがLowからHighに変化したことに基づき、基準値を再設定する再設定処理を開始する。基準磁界補正部204における基準値の再設定は、まず、レジスタ261〜268に記憶している内容を破棄する。そして、第1平均化部203から入力されるデータを2ms毎に順次、レジスタ261〜268にシフト転送し、全てのレジスタ261〜268にデータを格納する。その後、第2平均化部273でレジスタ261〜268の内容を平均化することで新たな基準値を算出し、再設定する。
【0171】
このように本実施形態では、出力禁止期間の直後に基準値を再設定することで、ソレノイドの通電中の期間(
図22のt2〜t3)であっても、外部の磁石などによる不正磁気を判定し、エラー信号を出力することが可能となる。また、出力禁止期間を磁気変化期間(t1〜t2、t3〜t4)とすることで、出力禁止期間の短縮を図り、不正磁気が検出不能となる期間の抑制を図ることが可能となっている。
【0172】
図22で説明する本実施形態では、ソレノイドの通電中をHigh、非通電中をLowとするソレノイド駆動信号Scを例にとって説明したが、ソレノイド駆動信号Scは各種形態を採用すること考えられる。
図23、
図24は、他の実施形態の、磁気検出器130による磁気変化の検出と各種信号の関係を示すタイムチャートである。
図23、
図24の場合、ソレノイド駆動信号Scは、パルス状のスイッチ信号であり、ソレノイドはスイッチ信号を受信する毎に通電状態と非通電状態を切り替える。
図23のようにソレノイド駆動信号ScのHigh期間が長い場合には、ソレノイド駆動信号Scを単純に反転させることで出力禁止信号Scaを形成してもよい。このような構成によれば、出力禁止期間判定部235の回路構成を簡単にすることが可能である。
【0173】
また、本実施形態においてソレノイド駆動信号Scは、遊技制御用マイクロコンピュータ560から出力することとしているが、ソレノイド16、21を駆動する出力回路59から取得することとしてもよい。このような形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560における処理負担を削減することが可能となる。
【0174】
図25、
図26には、他の実施形態に係る磁気検出器130の制御構成が示されている。
図25、
図26は共通の出力回路59の構成を有している。出力回路59は、入力信号を増幅する増幅器591、増幅器591の出力に接続された抵抗592、ソレノイド16の両端に接続され、入力信号の入力に基づいてソレノイド16に電源電圧VSSを印加するトランジスタ593、整流のためのダイオード594を有して構成されている。
図25の形態では、トランジスタ593の一端から取り出した信号をソレノイド駆動信号Scとして使用している。このような形態では、ソレノイド駆動信号Scは、ソレノイド16の磁気変化に対すし良好な追従性を実現することが可能である。また、
図26に示すように、ソレノイド駆動信号Scは、増幅器591の出力を使用する等、適宜形態を採用することが可能である。
【0175】
出力禁止期間を決定するための信号は、
図25、
図26に示すように、直接、ソレノイド16の駆動に関与するソレノイド駆動信号Scであってもよいが、ソレノイド16の動作(磁気発生状態)に間接的に関与する信号を使用する形態としてもよい。例えば、ソレノイド16は、駆動部としての可変入賞球装置15を動作(開状態もしくは閉状態)させるための手段である。したがって、ソレノイド16による磁気発生状態は、可変入賞装置15の動作を検出することによっても検出することが可能である。例えば、可変入賞装置15の開閉状態を機械的スイッチあるいは撮像手段等で検出することで、ソレノイド16の磁気発生状態を間接的に検出し、出力禁止期間を決定することも可能である。
【0176】
図27には、他の実施形態に係る磁気検出器130の制御構成が示されている。本実施形態では、磁気検出器130には、主基板31、あるいは、演出制御基板80等から、ソレノイド16の動作に基づいて形成された磁気検出器制御信号Sdが出力される。この磁気検出器制御信号Sdは、ソレノイド16を駆動に直接関与する形態、間接的に関与する形態、どちらであってもよい。磁気検出器制御信号Sdは、増幅器595を介して磁気検出器130に入力される。磁気検出器130は、入力される磁気検出器制御信号Sdに基づいて出力禁止期間を決定し、各種処理を実行する。
【0177】
また、磁気検出器130に対する制御は、出力禁止期間を決定するための信号(ソレノイド駆動信号Sc、磁気検出器制御信号Sd)を磁気検出器130に入力することに代え、磁気検出器130に対する電源供給をオフ状態とした後、オン状態とすることで再設定処理を行うこととしてもよい。磁気検出器130に対する電源供給は、主基板31、あるいは、演出制御基板80等によって実行される。したがって、磁気検出器130に対して電源供給を行う主基板31、あるいは、演出制御基板80は、例えば、遊技機1の電源(電源供給手段)から磁気検出器130に対する電源供給をオン状態、電源供給をオフ状態に切り換える電源制御手段として機能する。この場合、電源供給をオフ状態とする制御にかかる時間、並びに、電源供給がオン状態となり再設定処理に必要な時間は、ともに数十ms程度であるため、エラー信号を出力禁止すべき期間、並びに、エラー信号を出力可能とすべき期間に追従することが可能である。
【0178】
このような形態では、磁気検出器130は、電源供給が停止されたオフ状態では、検出処理の検出結果を出力する出力トランジスタ184がオフとなり、磁気検出器130からエラー信号は出力できない状態となる。また、磁気検出器130に電源供給の再開(電源供給をオン状態)によって出力トランジスタ184はオンとなる。そして、電源供給を再開したことを契機として、基準磁場を再設定する再設定処理を実行して基準値を再設定することで、不正磁場を検出可能な状態(エラー信号を出力可能な状態)に復帰する。なお、電源制御手段から磁気検出器130を引き抜き、磁気検出器130による不正磁場の検出を無効とする不正が行われることがある。このような不正行為を防ぐため、磁気検出器130の出力するエラー信号を受信する側(例えば、主基板31)では、磁気検出器130が引き抜かれた場合、エラー信号を出力している状態として判定する、すなわち、引き抜き時とエラー信号を出力時の論理を同じとする対策(引き抜き対策)を取ることが考えられる。磁気検出器130が引き抜かれると、エラー信号を出力している場合と同様に、異常報知処理が実行されることになる。この場合、磁気検出器130の電源供給をオフ状態とした場合、エラー信号を出力している状態として誤判定することが考えられる。したがって、引き抜き対策を行った場合、磁気検出器130の出力するエラー信号を受信する側では、磁気検出器130の電源供給をオフ状態とする期間中、エラー信号を出力している状態として判定しないように構成することが必要である。
【0179】
図22〜
図24のタイムチャートでは、1つソレノイドが、磁気検出器130に影響を及ぼす場合であるが、
図1に示すように遊技機1では、2つのソレノイド16、21を使用する等、複数のソレノイドが使用されることがある。このような場合、磁気検出器130が、複数のソレノイドで発生する磁気の影響を受けることが考えられる。複数のソレノイドは、その制御タイミングも異なることが考えられるため、それに応じた対応が必要となる。
【0180】
図28には、2つのソレノイド(第1ソレノイドと第2ソレノイド)を影響対象として考慮した場合のタイムチャートが示されている。第1ソレノイドと第2ソレノイドは、それぞれ、第1ソレノイド駆動信号Sc1と第2ソレノイド駆動信号Sc2によって、通電状態、非通電状態が制御される。この制御形態は
図22で説明したソレノイドの形態と同様である。出力禁止信号Scaは、第1ソレノイドSc1がLowからHigh、もしくは、HighからLowに変化した後から所定期間、出力禁止期間を示す状態に変化する。本実施形態では、第1ソレノイドと第2ソレノイドの特性の違いから出力禁止期間を判定するための所定期間の時間長を異ならせている(第1ソレノイドの所定期間>第2ソレノイドの所定期間)。このように複数のソレノイドを影響対象として考慮する場合においても、各ソレノイドのソレノイド駆動信号Sc1、Sc2に対応して出力禁止期間を設定することで、ソレノイドを有する各種駆動部の駆動時における誤検出の抑制が図られている。また、再設定信号Scbは、出力禁止信号Scaが禁止から許可の状態に変化した際、Highとなり、基準磁界補正部204に対して、基準値を再設定する再設定処理を開始させる。
【0181】
このように本実施形態では、ソレノイド駆動信号Scに基づいてエラー信号の出力を禁止する出力禁止期間を設定する(禁止処理)とともに、エラー信号の判定に使用する基準値を出力禁止期間の後に再設定する(再設定処理)とを実行することで、例えば、ソレノイドが通電中の期間であっても不正磁気を検出可能な期間を設けることが可能であり、不正磁気が検出不能となる期間が長期化することの抑制を図ることが可能となっている。
【0182】
以上、本実施形態の磁気検出器130は、有効平面、並びに、検出レンジ(感度)の設定を、設定基板60の回路構成(ハード仕様)によって実現しているが、磁気検出器130に関する各種設定は、この他、設定基板60あるいは磁気検出器130に設けた機械的スイッチを切り換えることで行う(ハード仕様)、あるいは、遊技制御用マイクロコンピュータ560、あるいは、演出制御用マイクロコンピュータ100等のプログラム処理で行う(ソフト仕様)等、各種形態を採用することが可能である。
【0183】
図29、
図30には、他の実施形態の磁気検出器130の外観を示す斜視図が示されている。
図29の磁気検出器130は、磁気検出器130の筐体131外部に設定用の機械的スイッチ(第1設定部133a、第2設定部133b)を切り替えることで、有効平面の設定、並びに、検出レンジ(感度)の設定を行うことが可能である。
図29に示す例の場合、第1設定部133aは、有効平面に関する3つの状態(A、B、C)に切り替えるための機械的スイッチであり、A、B、Cはそれぞれ、磁気検出器130の取り付け態様(態様A、態様B、態様C)に対応している。図の状態は態様Bに設定された状態である。また、第2設定部133bは、検出レンジ(感度)に関する4つの状態(1〜4)に切り替えるための機械的スイッチであり、1〜4はそれぞれ、磁気検出器130の検出レンジ(極大、大、中、小)に対応している。図の状態は検出レンジが小に設定された状態である。
【0184】
図29の実施形態のように機械的スイッチを筐体131の外部に設けた場合、この機械的スイッチが不用意に操作され、磁気検出器130が本来の機能を果たさないことが考えられる。したがって、このような機械的スイッチを筐体131の内部に格納する形態も考えられる。
図29には、このように機械的スイッチを筐体131の内部に格納した形態が示されている。この場合、
図29と同様の第1設定部133a、第2設定部133bが筐体131の内部に格納される。
【0185】
図29の磁気検出器130では、第1設定部133aの設定を目視することで、筐体131における有効平面を確認することが可能であったが、
図29のように第1設定部133aを筐体131の内部に格納した場合、上蓋131aを外して筐体131の内部の設定状況を確認する必要がある。そのため、本実施形態では、筐体131に有効平面を示す設置面マーカー137を目印として設けることとしている。この設置面マーカー137が示す面(有効平面)が遊技機1の背面を向くように、磁気検出器130を設置することで、磁気検出器130に設定された有効平面を機能させることが可能となる。
【0186】
本実施形態では、設置面マーカー137を上蓋131aと下箱131bに架け渡して貼付したシールとすることで、設置面マーカー137が封印機能を兼ね備えた構成となっている。設置面マーカー137は、貼付した後に剥がすと剥がしたことが分かるような形態にしておくことが好ましい。また、封印機能を確実なものとするため、設置面マーカー137が複数の面にわたって貼付するようにしてもよい。その場合、どの面が有効平面であるかを視認できるようにマーキングされる。このような形態によれば、不用意に磁気検出器130の設定が変更されることを防止するとともに、磁気検出器130を取り付ける際の態様も筐体131の外部から確認することが可能である。
【0187】
なお、以上で説明を行った実施形態では、始動入賞にもとづいて特別図柄表示器8に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると大当りになるタイプの遊技機1(第1種遊技機ということにする。)を例にしたが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域(特定領域:V入賞領域)への入賞があると大当りになるタイプの遊技機(第2種遊技機ということにする。)にも本発明を適用することができる。
【0188】
第2種遊技機では、電動役物の入口および特定領域が不正行為を受けやすいので、磁気検出器130は、電動役物の入口および特定領域に遊技球を不正に誘導する行為を発見できるように設けられていることが好ましい。第2種遊技機では、不正に遊技球を特定領域に入賞させることによって直接的に大当りを発生させることができ遊技店が被る損害が大きいので、磁気検出器130を設けることによる効果は大きい。しかし、この実施の形態で例示した第1種遊技機についても、始動入賞口に遊技球を不正に誘導したり、大入賞口に遊技球を不正に誘導したりする不正行為によって遊技店が損害を被るおそれがあるため、磁気検出器130を設けることが効果的である。また、本発明は、第1種遊技機、第2種遊技機のようなパチンコ遊技機のみならず、スロット遊技機遊技機等、各種遊技機に適用することも可能である。
【0189】
また、この実施形態では、磁気検出器130が出力するエラー信号は、遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力しているが、エラー信号は演出制御用マイクロコンピュータ100に入力させるように構成してもよい。そのように構成する場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100が、直接、不正行為に用いられる可能性がある磁石を発見したことを報知用の電気部品(演出装置等)を用いて報知する制御を行うこととなる。