(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
活性エステル化したデキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つの活性エステル化多糖を含む酸性水溶液とアルカリ性水溶液とを混合して、混合液を調製する第1工程、調製した混合液のゲル化が終了する前に、細胞を前記混合液と混合して、細胞混合液を調製する第2工程、ならびに前記細胞混合液のゲル化が終了する前に、さらに前記アルカリ性水溶液を前記細胞混合液と混合する第3工程を備える、細胞が分散したゲルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の製造方法は、活性エステル化したデキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つの活性エステル化多糖を含む酸性水溶液(「A液」という場合がある。)とアルカリ性水溶液(「B液」という場合がある。)とを混合して、混合液(「C液」という場合がある。)を調製する第1工程、ならびに調製した混合液(「C液」という場合がある。)のゲル化が終了する前に、細胞をその混合液と混合して、細胞混合液(「D液」という場合がある。)を調製する第2工程を備える、細胞が分散したゲルの製造方法である。
【0013】
まず、本発明の製造方法に用いる材料について説明する。
〔デキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つの活性エステル化多糖を含む酸性水溶液(A液)〕
本発明の製造方法に用いるデキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つの活性エステル化多糖を含む酸性水溶液(A液)は、デキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つの多糖にカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を導入して得られる酸基導入多糖を活性エステル化して得られる活性エステル化多糖を水に溶解し、所望によりpHを酸性に調節することにより、調製することができる。
【0014】
A液中の活性エステル化多糖の濃度は、特に限定されないが、317g/L〜362g/L(24.1wt%〜26.6wt%)が好ましい。A液中の活性エステル化多糖の濃度がこの範囲内であると、ゲル化時間およびゲル強度がより適切なゲルを得られるという効果があるからである。
【0015】
〈活性エステル化多糖〉
活性エステル化多糖は、デキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つの多糖(以下、単に「多糖」という場合がある。)の側鎖に導入された、活性水素含有基と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有する。この活性エステル基が導入される多糖はD−グルコースが結合した構造を有するため、活性水素含有基であるヒドロキシ基を自己保有する。すなわち、活性エステル化多糖は、1分子鎖内に、活性エステル基および活性水素含有基の両方を有し、反応条件下で自己架橋性を示す。この自己架橋性は、活性エステル基と活性水素含有基とが、活性エステル化多糖の1分子内で、または分子間で、反応して共有結合を形成することをいう。また生体組織表面の活性水素含有基を反応に利用した場合には、この活性エステル化多糖は、生体組織表面への接着性を示す。
なお、「1分子鎖」または「分子内」の分子とは、共有結合により連続した結合で繋がった範囲の1つの分子を意味する。
【0016】
多糖に導入される活性エステル基は、アルカリ条件下の水存在下で、活性水素含有基と反応して共有結合を形成できるものであればよい。本発明においては、このような活性エステル基は、多糖に導入したカルボキシ基またはカルボキシアルキル基のカルボニル炭素に、通常のエステルに比して強い求電子性基を結合させた基である。例えば、この活性エステル基を「−C(=O)−OX」で表したとき、アルコール部位「−OX」を形成する上記求電子性基は、N−ヒドロキシアミン系化合物から導入される基であることが好ましい。N−ヒドロキシアミン系化合物は、比較的安価な原料であるため、活性エステル基導入の工業的に実施が容易であるからである。
【0017】
上記「−OX」を形成するためのN−ヒドロキシアミン系化合物としては、例えば、代表的なものとして、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
【0018】
本発明において、活性エステル化多糖の活性エステル基は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
このような活性エステル基の中でも、スクシンイミドエステル基が好ましい。
【0019】
本発明で使用する活性エステル化多糖は、分子内に活性エステル基を少なくとも1つ有するが、架橋マトリックスを形成するためには、通常、1分子中に2つ以上有する。活性エステル基量は、乾燥重量1gあたりの活性エステル基量(モル)で表したとき、0.1〜2mmol/gであることが好ましい。
【0020】
本発明において、活性エステル基が導入され、活性エステル化多糖の主骨格を構成する多糖は、デキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つである。
【0021】
活性エステル化多糖の主骨格となる多糖の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、5,000〜2,500,000であるものが好ましく、10,000〜1,000,000であるのものがより好ましく、10,000〜200,000であるものがより好ましい。重量平均分子量(Mw)がこの範囲内であると、活性エステル化多糖が架橋した後のゲルの硬度を調整しやすく、活性エステル基および活性水素含有基を1分子鎖に複数導入しやすいからである。
【0022】
活性エステル化多糖の主骨格を形成する多糖は、活性エステル化前駆段階で、活性エステル基「−C(=O)−OX」を形成するためのカルボン酸基を有する多糖(本明細書において「酸基含有多糖」という場合がある。)が好ましい。本明細書において、カルボン酸基とは、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基をいい、カルボキシアルキル基とは、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基、カルボキシブチル基等に例示される、カルボキシ基がアルキル骨格に結合している官能基のことである。また、酸基含有多糖のカルボン酸基は、塩が配位していない「非塩型」であることが好ましく、最終的に得られる活性エステル化多糖は、塩形態ではないことが好ましい。
【0023】
ここで、塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの無機塩、テトラブチルアンモニウム(TBA)などの四級アミン、ヨウ化クロロメチルピリジリウムなどのハロゲン塩などを含む。「非塩型」とは、これらの塩が配位していないことであり、「塩形態ではない」とは、これらの塩を含まないことを意味する。また、「酸型」とは、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基のカウンターカチオン種がプロトンであることをいう。酸型のカルボキシ基を有する酸基含有多糖を酸型多糖という。例えば、酸型のカルボキシメチル基を有するカルボキシメチルデキストランを酸型カルボキシメチル(CM)デキストラン(酸型CMデキストラン)という。「酸型」は、カウンターカチオン種がプロトンであり、塩形態ではない点で上記「非塩型」と同義である。
【0024】
本発明において、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基が導入される多糖は、デキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つである。
【0025】
デキストランは、D−グルコースが主としてα−1,6結合により直鎖状に結合し、ところどころにα−1,4結合で分岐した構造を有する多糖である。分岐構造が少なく、水への溶解性が高い。デキストランの用途としては、大量出血時の血圧低下を防ぐための血漿増量剤(代用血漿剤)等がある。デキストランの製造方法は、特に限定されないが、例えば、乳酸菌ロイコノストク・メセンテロイデスを培養することにより製造することができる。市販のデキストランとしては、例えば、Dextran Fractions(Mw=約1,000〜約2,000,000; GEヘルスケアライフサイエンス社製)、デキストラン40(Mw=約40,000; 東京化成工業社製)、デキストラン70(Mw=約70,000; 東京化成工業社製)等を使用することができる。
【0026】
プルランは、D−グルコース3分子がα−1,4結合により結合したマルトトリオースがα−1,6結合により規則正しく結合した構造を有する多糖である。分岐構造がなく、水への溶解性が高い。プルランの用途としては、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性および変異原性の各試験において安全性が確認されており、皮膜性および造膜生に優れることから、ハードカプセルの剤皮等がある。プルランの製造方法は、特に限定されないが、例えば、黒色酵母アウレオバシジウム・プルランスを培養することにより製造することができる。市販のプルランとしては、例えば、プルランPI−10(Mn=約100,000; 林原社製)、プルランPI−20(Mn=約200,000; 林原社製)等を使用することができる。
【0027】
デキストリンは、D−グルコースが主としてα−1,4結合により直鎖状に結合し、ある程度のα−1,6を含む多糖である。分岐構造が少なく、水への溶解性が高い。デキストリンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、でんぷんまたはグリコーゲンを加水分解することにより製造することができる。市販のデキストリンとしては、例えば、パインデックス#1〜#100(Mw=約2,300〜約8,500; 松谷化学工業社製)、デキストリンNSD#300(Mw=約17,000; サンエイ糖化社製)、サンデックSD#70MD(Mw=約28,000; 三和澱粉工業社製)、サンデックSD#100(Mw=17,000; 三和澱粉工業社製)等を使用することができる。
【0028】
これらの中でも、デキストリンは、アナフィラキシーショックが報告されておらず、腹膜透析での使用実績もあり、生体適応における不具合が未だ報告されていない点で特に好ましい多糖である。
【0029】
多糖のカルボキシ化反応は、公知の酸化反応を利用して、特に制限なく行うことができる。カルボキシ化反応の種類は、特に限定されないが、例えば、四酸化二窒素酸化、発煙硫酸酸化、リン酸酸化、硝酸酸化、過酸化水素酸化が挙げられ、各々、試薬を用いて通常知られた反応を選択して酸化することができる。各反応条件はカルボキシ基の導入量により適宜設定することができる。例えば、原料となる多糖をクロロホルムあるいは四塩化炭素中に懸濁させ、四酸化二窒素を加えることにより、多糖の水酸基を酸化してカルボキシ化多糖(多糖のカルボキシ化体)を調製することができる。
【0030】
また、多糖のカルボキシアルキル化反応は、公知の多糖のカルボキシアルキル化反応を利用することができ、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチル化反応の場合には、多糖をアルカリ化した後に、モノクロル酢酸を使用した反応を選択することが可能である。その反応条件はカルボキシメチル基の導入量により適宜設定することができる。
【0031】
本発明では、多糖にカルボン酸基を導入する方法として、上記カルボキシ化またはカルボキシアルキル化のいずれの方法も利用でき、特に限定されないが、カルボキシ基導入反応による多糖の分子量の低下が小さく、カルボキシ基の導入量を比較的コントロールしやすい点で、カルボキシアルキル化、特にカルボキシメチル化が好ましい。
【0032】
酸基含有多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を活性エステル化するに際して、酸基含有多糖は、単独で使用しても良いし、2種以上のものを併用して使用しても良い。
【0033】
活性エステル化に使用される酸基含有多糖は、その乾燥重量1gあたりのカルボン酸基(該基を1分子とみなして)量が、通常、0.1〜5mmol/g、好ましくは0.4〜3mmol/g、より好ましくは0.6〜2mmol/gである。このカルボン酸基量の割合が、0.1mmol/gより少ないと、該基から誘導され架橋点となる活性エステル基数が不充分になる場合が多い。一方、カルボン酸基量の割合が、5mmol/gより多くなると、活性エステル化多糖(未架橋)が水を含む溶媒に溶解しにくくなる。
【0034】
酸基含有多糖の活性エステル化方法は、特に制限されず、例えば、酸基含有多糖を、脱水縮合剤との存在下で、求電子性基導入剤と反応させる方法、活性エステル基を有する化合物から活性エステル基を多糖に導入するエステル交換反応を用いる方法等が挙げられる。これらの中でも、前者の方法が好適であり、以下、主として、この方法について説明する。
【0035】
前者の方法を行うに際しては、通常、酸基含有多糖を、非プロトン性極性溶媒の溶液に調製して反応に供する。より具体的には、この方法は、酸基含有多糖を非プロトン性極性溶媒に溶解させる溶液調製工程と、その溶液に求電子性基導入剤および脱水縮合剤を添加して酸基含有多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を活性エステル化する反応工程とを含み、さらに、所望により、反応生成物の精製工程および乾燥工程を含んでもよい。
【0036】
溶液調製工程においては、酸基含有多糖を溶媒に加え、60℃〜120℃に加熱することによって、酸基含有多糖の非プロトン性極性溶媒への溶解が達成される。
したがって、この方法で活性エステル化される酸基含有多糖として、60℃〜120℃の間の温度で非プロトン性極性溶媒に溶解するものが好ましく使用される。具体的に、求電子性基導入のための反応に用いられる酸基含有多糖は、非プロトン性極性溶媒への溶解性の点から、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基が酸型であることが好ましい。
【0037】
「非プロトン性極性溶媒」とは、電気的に陽性な官能基を有する求核剤と水素結合を形成できるプロトンを持たない極性溶媒である。酸基含有多糖の活性エステル化の際に使用される非プロトン性極性溶媒は、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、酸基含有多糖の溶媒への溶解性が良好であることから、ジメチルスルホキシドが好ましい。
【0038】
反応工程においては、酸基含有多糖、好ましくは酸型多糖の溶液に、求電子性基導入剤および脱水縮合剤を添加して、酸基含有多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を活性エステル化させる。この際の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは20℃〜40℃である。また、反応時間は、反応温度により様々であるが、通常は1〜48時間、好ましくは12時間〜24時間である。
【0039】
「求電子性基導入剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に、求電子性基を導入し、それらを活性エステル基へ変化させる試薬をいう。求電子性基導入剤としては、特に限定されないが、ペプチド合成に汎用されている活性エステル誘導性化合物が利用でき、その一例として、N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物が挙げられる。N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。このなかでも、N−ヒドロキシスクシンイミドが、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことより好適である。
【0040】
「脱水縮合剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に、求電子性基導入剤を使用して活性エステル基とする際に、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基と、求電子性基導入剤との縮合で生成する水分子を1つ引き抜き、すなわち脱水して、両者をエステル結合させるものである。脱水縮合剤としては、特に限定されないが、例えば、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1−シクロヘキシル−(2−モルホニル−4−エチル)−カルボジイミド・メソp−トルエンスルホネート等が挙げられる。このなかでは、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)が、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことより好適である。
【0041】
精製工程においては、反応工程終了後、反応溶液より、通常の再沈、ろ過および/または洗浄等の手段により、未反応の求電子性基導入剤、脱水縮合剤、および反応副生成物を除去し、活性エステル化多糖を得ることができる。
【0042】
乾燥工程においては、上記精製工程で得られた活性エステル化多糖から洗浄溶媒を除去するため、通常使用される方法により乾燥させればよい。
【0043】
前述したように、最終的に活性エステル化多糖の活性エステル基量は、0.1〜2mmol/gであることが好ましく、上記においては、このような活性エステル化多糖が得られるように、活性エステル化多糖のカルボキシ基への活性エステル基導入量を制御することができる。
【0044】
活性エステル基の導入量を制御するためには、反応工程において、求電子性基導入剤と脱水縮合剤との混合量を調整することができる。具体的には、酸基含有多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する脱水縮合剤のモル数(Zmmol)の比(Z/X)が、前述の反応温度において、0.1<Z/X<50を満たす添加条件であることが好ましい。Z/Xが0.1より小さい場合、脱水縮合剤の添加量が少ないため反応効率が低く、所望の活性エステル基導入率を達成し難くなる。また、Z/Xが50より大きい場合、脱水縮合剤の添加量が多いため、活性エステル基の導入率は高くなるものの、得られた活性エステル化多糖が水に溶解しにくくなる。
【0045】
酸基含有多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する求電子性基導入剤のモル数(Ymmol)は、活性エステル基の導入率に応じた反応量以上を添加すれば良く、特に限定されないが、0.1<Y/X<100を満たす添加条件であることが好ましい。
【0046】
活性エステル化多糖は、活性エステル基および活性水素含有基に加え、本発明の特性を損なわない範囲であれば、公知の元素、原子団等の官能基を広く含むことができる。このような官能基として具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素;カルボキシ基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基等のカルボキシアルキル基;シリル基、アルキレンシリル基、アルコキシシリル基、リン酸基等が挙げられる。このような官能基は、1種であっても、2種以上であってもよい。
【0047】
活性エステル基の導入率(%)は、活性エステル化される酸基含有多糖のカルボキシ基含有モル量およびカルボキシアルキル基含有モル量の合計(以下「全カルボキシ基」と表記する。)に対して、得られた活性エステル化多糖の活性エステル基含有モル量(AE)の比(AE/TC)に100を乗ずることで表すことができる。活性エステル基導入率は、例えば、Biochemistry,第14巻,第7号,1975年,p.1535−1541に記載の方法により決定することができる。
【0048】
「架橋構造」とは、活性エステル化多糖の1分子鎖内および/または複数分子鎖間で共有結合を形成し、結果として活性エステル化多糖の分子鎖が網目状の三次元構造をとることを意味する。この架橋により、活性エステル基と活性水素含有基とは、1分子鎖内で結合することもできるが、複数分子間で共有結合して架橋されてもよい。架橋形成反応前は水溶性である本発明に係る活性エステル化多糖は、反応が進行するとともに架橋構造を形成し、流動性が低下して、水不溶性の塊状物(含水ゲル)となり、多糖架橋体を形成する。特に他の架橋剤を使用することなく、自らの分子鎖内、または分子鎖間で共有結合により架橋構造を形成することができる性質を「自己架橋性」と定義すると、本発明で用いる活性エステル化多糖は、自己架橋性多糖である。
【0049】
また、活性エステル化多糖は、分子内活性水素含有基の関与による自己架橋性であるだけでなく、その活性エステル化多糖を生体組織表面に適用すれば、生体表面の活性水素含有基と活性エステル基との反応により、生体組織表面への接着性を示すことができる。このため、本発明の製造方法により製造された細胞分散ゲルは、生体組織表面への良好な接着性を有する。
【0050】
〈水〉
活性エステル化多糖を溶解するための水は、滅菌され、かつ、エンドトキシンフリー(第十六改正日本薬局方エンドトキシン試験法による定量値が0.25EU/mL未満)である水が好ましく、例えば、日本薬局方「注射用水」、日本薬局方「注射用水(容器入り)」、またはこれらと同等以上に、滅菌され、かつ、エンドトキシンフリーである水を使用することができる。
【0051】
〈添加剤〉
また、酸性水溶液(A液)には、本発明の特性を損なわない範囲で、公知の添加剤をさらに含ませることができる。特に、生体に許容し得る添加剤を使用するのが好ましい。添加剤としては特に限定されないが、硬化触媒、充填剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、脱水剤、着色剤、タレ防止剤、増粘剤、物性調整剤、補強剤、揺変剤、劣化防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、溶剤、担体、賦形剤、防腐剤、結合剤、膨化剤、等張剤、溶解補助剤、保存剤、緩衝剤、希釈剤等が挙げられる。これらを1種または2種以上含むことができる。
【0052】
添加剤として具体的には、細胞増殖因子、水、生理食塩水、医薬的に許容される有機溶媒、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガント、カゼイン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、PBS、非イオン性界面活性剤、生体内分解性ポリマー、無血清培地、医薬添加物として許容される界面活性剤あるいは生体内で許容し得る生理的pHの緩衝液などが挙げられ、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができる。
【0053】
〔アルカリ性水溶液(B液)〕
本発明の製造方法に用いるアルカリ性水溶液(B液)は、アルカリを水に溶解したものである。
【0054】
B液中のアルカリの濃度は、特に限定されないが、76g/L〜115g/L(7.1wt%〜10.3wt%)が好ましい。B液中のアルカリの濃度がこの範囲内であると、より適切なゲル化ができ、ゲル分解もより起こりにくいという効果がある。
【0055】
〈アルカリ〉
B液に用いるアルカリは、水溶液がアルカリ性を示すものであって、医薬品添加物として許容されるものであれば特に限定されない。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。アルカリは1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、B液は、生理学的に許容しうる塩基性緩衝液であってもよく、例えば、炭酸−炭酸水素緩衝液(pH約9.2〜約10.6)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH約8.6〜約10.6)等が挙げられる。炭酸−炭酸水素緩衝液としては、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムをモル比で、炭酸ナトリウム:炭酸水素ナトリウム=69:31で混合したものが好ましい。
【0056】
〈水〉
アルカリを溶解するための水は、活性エステル化多糖を溶解するための水と同様である。
【0057】
〈添加剤〉
アルカリ性水溶液(B液)には、本発明の特性を損なわない範囲で、公知の添加剤をさらに含ませることができる。添加剤として具体的には、上記した酸性水溶液(A液)に含ませることができるとして記載したものが挙げられる。
【0058】
〔細胞〕
A液とB液とを混合して得られる混合液(C液)に混合する細胞は、特に限定されないが、好ましくは、骨格筋芽細胞、平滑筋芽細胞、軟骨芽細胞、繊維芽細胞、筋繊維芽細胞;軟骨細胞;繊維軟骨細胞;骨細胞;骨芽細胞;破骨細胞;滑膜細胞;骨髄細胞;間葉細胞;間質細胞;脂肪組織由来の前駆細胞;末梢血液前駆細胞;インシュリン産生細胞;B細胞あるいはハイブリドーマ等の抗体産生細胞;ホルモン産生細胞;肥満細胞;化学伝達物質産生細胞(免疫系細胞);遺伝子組み替え細胞;幹細胞(ES細胞、EG細胞、iPS細胞、および成体(組織)幹細胞など);肝、神経、甲状腺、胸腺、副腎髄質、副腎皮質、腎臓あるいは消化管の生理活性因子を産生する細胞;及びこれらの細胞と他の細胞の組み合わせである。細胞は、凝集形態や組織の一部であってもよい。細胞は、限定されないが、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、イヌ、ネコ等の愛玩動物;ヒト;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の家畜動物;サル、ウサギ、マウス、ラット等の実験動物、特に好ましくはヒトである。また、細胞は、免疫による拒絶を避けるために、移植対象由来であることが好ましい。
【0059】
〈添加剤〉
細胞は、本発明の特性を損なわない範囲で、公知の添加剤とともに、または懸濁液もしくは分散液中に公知の添加剤を含んで、混合液(C液)と混合してもよい。添加剤として具体的には、上記した酸性水溶液(A液)に含ませることができるとして記載したものが挙げられる。
【0060】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0061】
本発明の細胞が分散したゲルの製造方法は、活性エステル化したデキストラン、プルランおよびデキストリンからなる群から選択される少なくとも一つの活性エステル化多糖を含む酸性水溶液(A液)とアルカリ性水溶液(B液)とを混合して、混合液(C液)を調製する第1工程、ならびに調製した混合液(C液)のゲル化が終了する前に、細胞をその混合液(C液)と混合して、細胞混合液(D液)を調製する第2工程を備える。
【0062】
本発明の細胞が分散したゲルの製造方法は、さらに、第2工程において調製した細胞混合液(D液)のゲル化が終了する前に、さらにアルカリ性水溶液(B液)をその細胞混合液(D液)と混合する第3工程を備えてもよい。
【0063】
〔製造方法1〕
製造方法1のフローを
図1に示す。製造方法1は、A液とB液とを、好ましくは所定の体積比で、混合してC液を調製し、C液と細胞とを混合してD液を調製し、D液を細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)として用いる。D液は細胞移植部位に注入または塗布され、ゲル化して、細胞分散ゲルを形成する。
細胞移植部位に注入または塗布された細胞分散ゲル前駆体は、生体内の緩衝系の働きによってpHが体液等のpHに近づくと考えられ、活性エステル化多糖の架橋反応が促進されるため、ゾル状態からゲル状態に転移し、流動性がなくなるまでのゲル化時間が、in vitroでのゲル化時間よりも短くなる。
【0064】
〈第1工程〉
製造方法1の第1工程では、A液とB液とを混合して、C液を調製する。C液のpHは、特に限定されないが、5.8〜6.8が好ましく、6.0〜6.5がより好ましい。C液のpHがこの範囲内であると、C液のゲル化が終了するまでの時間が、次の第2工程を行うために好ましいものとなる。また、A液とB液とを混合する際のA液とB液の体積比は、特に限定されないが、C液のpHが5.8〜6.8の範囲内となる体積比が好ましく、6.0〜6.5の範囲内となる体積比がより好ましい。また、C液のpHは、ゲル化時間のみならず、第2工程で混合する細胞の生残率に影響するため、混合の際のA液とB液の体積比は、ゲル化時間と細胞の生残率を考慮して定めることが好ましい。
なお、C液のpHは、A液およびB液をそれぞれ水で2倍希釈して混合した場合のpHである。
【0065】
A液とB液とを混合する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、A液をバイアル瓶、コニカルチューブ等の容器に入れ、そこにB液を加えて、混合する方法が挙げられる。
なお、A液とB液とを混合する際の温度、気圧および雰囲気は、特に限定されないが、常温(20℃±15℃)、常圧(約1013hPa)および大気雰囲気が好ましい。
【0066】
〈第2工程〉
製造方法1の第2工程では、C液のゲル化が終了する前に、細胞をC液と混合して、D液を調製する。C液のゲル化の終了は、C液の流動性がなくなることによって検知することができる。D液のpHは、特に限定されないが、5.8〜6.8が好ましく、6.0〜6.5がより好ましい。D液のpHがこの範囲内であると、D液のゲル化が終了するまでの時間が、D液を細胞移植部位に注入または塗布するために好ましいものとなる。
なお、D液のpHは、C液を水で2倍希釈して細胞と混合した場合のpHである。
【0067】
C液と細胞とを混合する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、C液をバイアル瓶、コニカルチューブ等の容器に入れ、そこに、細胞を加えて、混合する方法が挙げられる。細胞は、エンドトキシンフリーの滅菌水、滅菌生理食塩水等の媒体に懸濁または分散して、懸濁液または分散液として、C液と混合してもよい。このとき、C液と懸濁液または分散液とは、所定の混合比で混合することが好ましい。
なお、C液と細胞とを混合する際の温度、気圧および雰囲気は、特に限定されないが、常温(20℃±15℃)、常圧(約1013hPa)および大気雰囲気が好ましい。
【0068】
D液中の細胞密度は、細胞の種類、移植部位等の条件によって、適宜設定することができる。
【0069】
製造方法1の第2工程で調製されたD液の使用方法としては、例えば、細胞移植部位である患部に、細胞が分散した溶液状態(ゾル状態)で投与して、投与部位でゲル化させ、細胞分散ゲルを形成させる方法が挙げられる。投与する方法としては、例えば、カテーテル、シリンジ(いずれも図示せず)等を用いてD液を患部に注入する方法や、塗布具(図示せず)等を用いてD液を患部に塗布する方法等が挙げられる。
【0070】
本発明の製造方法1により製造した細胞分散ゲルは、細胞生残率が高く、ゲル化24時間後に25%以上の細胞が生存している。
なお、細胞生残率は、二重染色により生細胞および死細胞を区別して染色し、生細胞数および死細胞数を計数して、下記式により算出した数値である。
{生細胞数/(生細胞数+死細胞数)}×100(%)
生細胞と死細胞を区別して染色する二重染色の方法としては、例えば、生細胞をカルセイン−AMで染色し、死細胞をPI(ヨウ化プロビジウム)で染色する方法が挙げられるが、これのみに限定はされない。
【0071】
D液がゲル化するまでの時間(ゲル化時間)は、A液、B液の混合比、各溶液濃度を変えることにより、調節することができる。そのため、D液のゲル化が終了する前までに細胞を混合することで、細胞が分散したゲルを短時間で調製することができる。混合以外の他の工程は不要であるため、調製に大掛かりな設備は不要である。また、B液の種類を変えることにより、ゲルの強度も変えることが可能である。
なお、ゲル化の終了は、ゾル状態の溶液の流動性がなくなった時である。
【0072】
〔製造方法2〕
製造方法2のフローを
図1に示す。製造方法2は、製造方法1と同様にしてD液を調製し、次いで、D液とB液とを、好ましくは所定の体積比で、バッチ方式により混合して、E液を調製し、E液を細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)として用いる。E液は細胞移植部位に注入または塗布され、ゲル化して、細胞分散ゲルを形成する。
細胞移植部位に注入または塗布された細胞分散ゲル前駆体は、生体内の緩衝系の働きによってpHが体液等のpHに近づくと考えられ、活性エステル化多糖の架橋反応が促進されるため、ゾル状態からゲル状態に転移し、流動性がなくなるまでのゲル化時間が、in vitroでのゲル化時間よりも短くなる。
製造方法2の利点の一つは、D液とB液の混合物である細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)の調製時期を、製造方法1に比べて、細胞移植時に近づけることができる点にある。
【0073】
〈第1工程および第2工程〉
第1工程および第2工程は製造方法1と同様である。
【0074】
〈第3工程〉
製造方法2の第3工程では、D液のゲル化が終了する前に、B液とD液とを混合して、E液を調製する。B液とD液との混合は、D液の全量にB液を1回添加してもよいし、D液の全量にB液を複数回添加してもよいし、D液を複数に分割して複数のD液のそれぞれにB液を1回または複数回添加してもよい。D液のゲル化の終了は、D液の流動性がなくなることによって検知することができる。E液のpHは、特に限定されないが、5.8〜6.8が好ましく、6.0〜6.5がより好ましい。E液のpHがこの範囲内であると、E液のゲル化が終了するまでの時間が、E液を細胞移植部位に注入または塗布するために好ましいものとなる。
なお、E液のpHは、B液およびE液をそれぞれ水で2倍希釈して混合した場合のpHである。
【0075】
製造方法2において、B液とD液とを混合する方法は、バッチ方式であれば特に限定されるものではないが、例えば、D液をバイアル瓶、コニカルチューブ等の容器に入れ、そこに、B液を加えて、混合する方法が挙げられる。B液とD液とを混合する回数は、1回に限定されず、2回以上行ってもよい。また、B液とD液とを混合する際には、B液とD液とを、所定の体積比で混合することが好ましい。
なお、B液とD液とを混合する際の温度、気圧および雰囲気は、特に限定されないが、常温(20℃±15℃)、常圧(約1013hPa)および大気雰囲気が好ましい。
【0076】
製造方法2の第3工程で調製されたE液の使用方法は、製造方法1の第2工程で調製されたD液の使用方法と同様であるが、E液のゲル化時間はD液のゲル化時間よりも短縮することができるため、細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)が患部に留まっているうちにゲル化させて、患部で細胞分散ゲルを形成させることができる。
【0077】
本発明の製造方法2により製造した細胞分散ゲルは、細胞生残率が高く、ゲル化24時間後に25%以上の細胞が生存している。細胞生残率の算出方法は製造方法1と同様である。
【0078】
〔製造方法3〕
製造方法3のフローを
図1に示す。製造方法3は、製造方法1と同様にしてD液を調製し、次いで、D液とB液とを、好ましくは所定の体積比で、連続方式により混合して、E’液を調製し、E’液を細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)として用いる。E’液は細胞移植部位に注入または塗布され、ゲル化して、細胞分散ゲルを形成する。
細胞移植部位に注入または塗布された細胞分散ゲル前駆体は、生体内の緩衝系の働きによってpHが体液等のpHに近づくと考えられ、活性エステル化多糖の架橋反応が促進されるため、ゾル状態からゲル状態に転移し、流動性がなくなるまでのゲル化時間が、in vitroでのゲル化時間よりも短くなる。
製造方法3の利点の一つは、D液とB液の混合物である細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)の調製時期を、細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)を移植部位に注入または塗布する直前に設定することができる点にある。
【0079】
〈第1工程および第2工程〉
第1工程および第2工程は製造方法1と同様である。
【0080】
製造方法3の第3工程では、D液のゲル化が終了する前に、B液をD液と混合して、E液を調製する。D液のゲル化の終了は、D液の流動性がなくなることによって検知することができる。E’液のpHは、特に限定されないが、5.8〜6.8が好ましく、6.0〜6.5がより好ましい。E’液のpHがこの範囲内であると、E’液のゲル化が終了するまでの時間が、E’液を細胞移植部位に注入または塗布するために好ましいものとなる。
【0081】
製造方法3において、B液とD液とを混合する方法は、連続方式であれば特に限定されるものではないが、例えば、
図2に示す塗布具(100)(特許第5222591号公報を参照)に、D液(L1)を充填した第1のシリンジ(2)とB液(L2)を充填した第2のシリンジ(3)とを、シリンジ結合治具(7)で結合した上で、嵌合部(711)に取り付け、フランジ(29)に矢印の向きの力を加え、ガスボンベ(300b)からチューブ(302b)を通じてガス(G)をノズルヘッド(42)へ送り、ノズルヘッド(42)内部で、D液(L1)、B液(L2)およびガス(G)を混合させるとともに、ノズルヘッド(42)からD液(L1)とB液(L2)の混合物(E’液)およびガス(G)を吐出させる方法や、
図3に示す塗布具(200)(特許第5400656号公報を参照)に、第1のシリンジ部(214a)にD液(L1)を充填し、第2のシリンジ部(214b)にB液(L2)を充填した2連シリンジ(214)を、流通口(218a、218b)を介してハウジング(260)に接続し、ガス供給手段(286)からチューブ(286a)を通じてガスをノズルヘッド(297)に送るとともに、操作部(224d)を押し込んで、D液(L1)およびB液(L2)をノズルヘッド(260)へ送り、そこで混合させるとともに、噴出口(204)からD液(L1)とB液(L2)の混合物(E’液)を吐出させる方法が挙げられる。また、B液とD液とを混合する際には、B液とD液とを、所定の体積比で混合することが好ましいが、上記塗布具(100、200)を用いる場合には、第1のシリンジ(2)と第2のシリンジ(3)、第1のシリンジ部(214a)と第2のシリンジ部(214b)が、それぞれ連動しているため、B液とD液とはシリンジの断面積比の比で混合される。
なお、B液とD液とを混合する際の温度、気圧および雰囲気は、特に限定されないが、常温(20℃±15℃)、常圧(約1013hPa)および大気雰囲気が好ましい。
【0082】
製造方法3の第3工程で調製されたE’液の使用方法としては、例えば、例えば、細胞移植部位である患部に、細胞が分散した溶液状態(ゾル状態)で投与して、投与部位でゲル化させ、細胞分散ゲルを形成させる方法が挙げられる。投与する方法としては、例えば、前述した特許第5222591号公報に記載の塗布具や、特許第5400656号公報に記載の塗布具を用いて、E’液の調製とともに、患部に注入・塗布する方法等が挙げられる。上述した塗布具を用いる場合、患部への注入・塗布の直前にE’液の調製をすることができるので、E’液のゲル化時間をD液のゲル化時間よりも短縮することができる。このため、細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)が患部に留まっているうちにゲル化させて、患部で細胞分散ゲルを形成させることができる。
【0083】
本発明の製造方法3により製造した細胞分散ゲルは、細胞生残率が高く、ゲル化24時間後に25%以上の細胞が生存している。細胞生残率の算出方法は製造方法1と同様である。
【0084】
本発明の細胞分散ゲルは、限定されないが、好ましくは医療用材料であり、より好ましくは、組織再生または移植支援材料、特に好ましくは細胞増殖用足場材料として使用できる。本発明のゲルを組織再生または移植支援材料として使用する場合、細胞分散ゲルを対象の移植場所に埋め込み、組織再生を誘導するために使用することができる。また、本発明のゲルを、生体外で、細胞増殖または組織形成のための足場として使用してもよい。この場合、増殖された細胞または形成された組織は、細胞分散ゲルと一緒にまたは分離して移植してもよい。
【実施例】
【0085】
以下に実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0086】
[活性エステル化多糖の製造]
(1)酸型カルボキシメチルデキストリンの製造
デキストリン(Mw=25,000;和光純薬工業社製) 10gを、純水 62.5gに溶解させた後、36%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム;和光純薬社製) 62.5gを添加し、25℃で90分間撹拌して、デキストリン水溶液を調製した。続いて、調製したデキストリン水溶液に、20%(w/v)モノクロル酢酸水溶液(モノクロル酢酸;和光純薬工業社製) 75gを添加し、60℃で6時間撹拌した。その後、20%塩酸を使用して反応溶液をpH1.0に調整し、25℃で2時間撹拌した。反応溶液を90体積%エタノール水溶液(100%エタノール;和光純薬工業社製) 5Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。90体積%エタノール水溶液3Lを用いて、得られた析出物を洗浄し、最後にエタノールで置換した後、減圧乾燥した。これにより、酸型カルボキシメチルデキストリンを製造した。
【0087】
(2)カルボン酸基の定量
上記(1)で得られた酸型カルボキシメチルデキストリン(酸型多糖)について、以下の方法によって、カルボン酸基の導入量の定量を行った。
酸型多糖 0.2g(A(g))を秤量し、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液 20mLと80体積%メタノール水溶液 10mLとの混合溶液に添加し、25℃で3時間撹拌した。得られた溶液に、指示薬として1.0%(w/v)フェノールフタレイン/90体積%エタノール水溶液(フェノールフタレイン;和光純薬工業社製)を3滴添加し、0.05mol/L硫酸を使用して酸塩基逆滴定を行い、0.05mol/L硫酸の使用量(V
1mL)を測定した。また、酸型多糖を添加しない以外は同様にして行ったブランクでの0.05mol/L硫酸の使用量(V
0mL)を測定した。下記式(1)に従い、酸型多糖(乾燥質量1gあたり)のカルボン酸基の導入量(B(mmol/g))を算出したところ、1.26mmol/gであった。
なお、使用した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.05mol/L硫酸の力価は、ともに1.00であった。
B=(V
0−V
1)×0.1/A ・・・・・・(1)
A:酸型多糖の質量(g)
B:カルボン酸基の導入量(mmol/g)
【0088】
(3)活性エステル化カルボキシメチルデキストリンの製造
上記(1)で得られた酸型カルボキシメチルデキストリン(カルボキシメチル基量1.26mmol/g) 3.0gを、ジメチルスルホキシド(反応溶媒) 90gに添加し、70℃で3時間攪拌して溶解した。その後、N−ヒドロキシスクシンイミド(求電子性基導入剤:和光純薬工業社製) 4.35g(37.8mmol)と1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(脱水縮合剤:和光純薬工業社製) 7.22g(37.8mmol)を添加して、25℃で24時間攪拌した。反応溶液を無水アセトン 2Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。無水アセトン 1Lを使用して得られた析出物を洗浄して、減圧乾燥した。これにより、活性エステル化カルボキシメチルデキストリンを調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。
Z/X=10、Y/X=10
【0089】
(4)活性エステル化多糖のNHS導入量の算出
(3)で得られた活性エステル化カルボキシメチルデキストリンのNHS導入量を以下の方法により算出したところ、0.80mmol/gであった。
NHS導入量は、活性エステル化多糖の単位重量あたりに存在するNHS含有量である。N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の検量線を作成するため、10mMのNHS標準水溶液を調製した。NHS標準水溶液 1mLに、2N水酸化ナトリウム水溶液 0.2mLを添加し、60℃で10分間加熱した。放冷後、0.85N塩酸 1.5mL、および0.5%FeCl
3/1N塩酸溶液 0.5mLを添加した。この溶液を10倍希釈し、分光光度計を用いて吸収波長 500nmの吸光度を測定した(FeCl
3、和光純薬工業社製)。NHS水溶液の濃度をX軸、吸光度をY軸としてプロットして原点と結び、下記のNHS濃度算出するための数式(2)を得た。
Y=αX・・・・・・(2)
ここで、X:NHS濃度(mM)
Y:波長500nmにおける吸光度
吸光度を元にNHS濃度、X(mM)が算出された。
【0090】
次に、(3)の活性エステル化多糖 0.1g(C(g))を秤取り、純水 添加して10mLとし溶解させた後、2N水酸化ナトリウム水溶液 0.2mLを添加して、60℃で10分間加熱した。放冷後、0.85N塩酸1.5 mLを添加した。放冷後、0.85N塩酸 1.5mL、および0.5%FeCl
3/1N塩酸溶液 0.5mLを添加した。この溶液を10倍希釈し、分光光度計を用いて吸収波長500nmにおける吸光度を測定した。 前記NHS濃度算出する数式(2)を利用して吸光度測定値より、活性エステル化多糖のNHS基含有量(Dmmol)を算出した。続いて、下記の数式(3)より、活性エステル化多糖のNHS導入量を求めた。
NHS導入量(mmol/g)=(D×H)×0.01/C・・・・(3)
【0091】
(5)活性エステル化活性エステル化多糖の自己架橋性
上記で得られた活性エステル化多糖が自己架橋性であることを、以下の試験により確認した。容量 10mLの清浄試験管(ラルボLT−15100,テルモ社製)に、活性エステル化多糖 0.2gを秤取り、純水1mLを添加して混合した。次に、pH調整剤として8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)(炭酸水素ナトリウム,和光純薬工業社製) 1mL(pH8.3)を添加し、試験管ミキサー(MT−31,ヤマト科学社製)を用いて約2,000rpmで約1分間混合した。その混合前後での試験管内容物の状態を目視にて確認した。これにより、活性エステル化カルボキシメチルデキストリンは、混合後の試験管内容物が塊状物(含水ゲル)になっており、「自己架橋性あり」と判定した。
【0092】
[ヒト骨格筋芽細胞の作製]
酵素処理を4回行い、1回目の酵素処理で得られた酵素処理液を廃棄し(第1工程)、2〜4回目の酵素処理で得られた酵素処理液に含まれる細胞を回収し(第2工程)、回収した細胞を培養して、得られる細胞の数と骨格筋芽細胞純度とを測定した。また、第1工程で廃棄した酵素処理液についても、含まれる細胞を回収して回収された細胞の培養を行い、得られる細胞の数と骨格筋芽細胞純度とを測定した。
【0093】
(a)細胞の分離
(a−1)組織の細断
麻酔下にヒトの内側広筋より骨格筋の筋腹約2gを採取し、洗浄液(Hanks’ Balanced Salt Solution,ライフテクノロジーズ社製;ゲンタマイシン 0.1mg/mL,富士製薬工業社製;フンギゾン 2.5μg/mL,ライフテクノロジーズ社製)に浸漬して、洗浄した。
次いで、洗浄した骨格筋を、室温で、20mLのコラゲナーゼ溶液(Tryp LE Select,インビトロジェン社製:コラゲナーゼA 0.5mg/mL,日本ロシュ社製)中で細断した。
【0094】
(a−2−1)第1工程
この骨格筋に、20mLのコラゲナーゼ溶液を加えて撹拌し、恒温槽にて37℃で30分酵素処理した(以下「1回目酵素処理」という場合がある。)。1回目酵素処理終了後、細胞が浮遊している酵素処理液を吸引して骨格筋を残し、吸引した酵素処理液を廃棄した。
【0095】
(a−2−2)第2工程
1回目酵素処理後の骨格筋にコラゲナーゼ溶液20mLを加えて撹拌し、恒温槽にて、37℃で30分酵素処理した(以下「2回目酵素処理」という場合がある。)。2回目酵素処理終了後、細胞が浮遊している酵素処理液を吸引し、得られた酵素処理液を遠心分離して細胞を沈殿させ、上清を捨てて細胞を回収した。
次いで、2回目酵素処理後の骨格筋にコラゲナーゼ溶液20mLを加えて撹拌し、恒温槽にて、37℃で40分酵素処理した(以下「3回目酵素処理」という場合がある。)。3回目酵素処理終了後、細胞が浮遊している酵素処理液を吸引し、得られた酵素処理液を遠心分離して細胞を沈殿させ、上清を捨てて細胞を回収した。
次いで、3回目酵素処理後の骨格筋にコラゲナーゼ溶液20mLを加えて撹拌し、恒温槽にて、37℃で40分酵素処理した(以下「4回目酵素処理」ともいう)。4回目酵素処理終了後、細胞が浮遊している酵素処理液を吸引し、得られた酵素処理液を遠心分離して細胞を沈殿させ、上清を捨てて細胞を回収した。
【0096】
(a−3)初代培養
次いで、2回目酵素処理で回収した細胞、3回目酵素処理で回収した細胞、4回目酵素処理で回収した細胞を培養フラスコ(底面積175cm
2)に移し、37℃、5%(V/V)CO
2条件下で培養した。
【0097】
(b)継代培養および細胞回収
初代培養により得られた細胞は、20%ウシ胎仔血清含有培地にて7日間継代培養を行った。
7日間の継代培養後、細胞をTryp LE Select(インビトロジェン社製)で処理し、フラスコから回収した。
培養細胞を、ヒトアルブミンを含む水溶液で洗浄後、使用するまで凍結保存した。
【0098】
[実施例1]
1.方法
(1)A液、B液および細胞懸濁液の調製
(1−1)A液の調製
製造したNHS化カルボキシメチルデキストリン 1.25gに、注射用水 3.6mLを加え、完全に溶解させ、A液とした(NHS化カルボキシメチルデキストリン濃度:約25.8質量%)。
(1−2)B液の調製
炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムをモル比69:31で混合した粉末 0.15gに、注射用水 1.55mLを加え、完全に溶解させ、B液とした。
(1−3)細胞懸濁液の調製
冷凍保存しておいた筋肉芽細胞を解凍し、ヒトアルブミンを含む水溶液で洗浄後、同水溶液に懸濁して細胞懸濁液(1.5×10
7細胞/mL)を調製した。
【0099】
(2)細胞分散ゲルの作製
A液 1000μLに、B液 220μLを加え(混合比
*=0.18)、約1秒間撹拌して混合液(C液)を調製し、次いで、C液に細胞懸濁液 100μLを加え、約1秒間撹拌して、細胞混合液(D液)を調製し、これをメンブレン上に移してゲル化させた。
ただし、混合比
*=B液の体積(μL)/(A液の体積(μL)+B液の体積(μL))である。
【0100】
(3)細胞生残率の評価
作製した細胞分散ゲルを20%ウシ胎仔血清含有培地中で、37℃で、24時間、静置してインキュベートした。インキュベートした後に、ゲルを薄くスライスして、セルステイン
(R)細胞二重染色キット(同人薬品)を用いて、生細胞をカルセイン−AMで、死細胞をPI(プロピジウムイオダイド)で、それぞれ染色したものを蛍光顕微鏡(励起波長490nm)で観察し、細胞生残率〔{生細胞数/(生細胞数+死細胞数)}×100(%)〕を算出した。
【0101】
2.結果
作製してから24時間後の細胞分散ゲル内には、約46%の細胞が生存していることが確認された。
よって、混合した細胞の約半数が、24時間生存できる細胞分散ゲルを調製することができた。
【0102】
[参考例1]
1.方法
(1)A液、B液の調製
実施例1と同様にして、A液およびB液を調製した。
(2)ゲル化時間の測定
410μLのA液に、表1に示すとおり、B液を添加し、撹拌して混合した。添加してから、完全にゲル化するまでの時間(秒)を測定した。
(3)pHの測定
A液およびB液をそれぞれ2倍希釈して、表1に示す通り混合し、混合液のpHを測定した。
2.結果
pHの測定結果、およびゲル化時間の測定結果を表1に示す。
10秒から180秒以上までのゲル化時間をもつ細胞分散ゲルを調製できることが確認された。
混合液のpHは5.9〜6.8であったことから、いずれの混合比においても、細胞の生存率に大きな影響を与えないものと推定される。
【0103】
【表1】
【0104】
[参考例2]
1.方法
(1)A液、B液の調製
実施例1と同様にして、A液およびB液を調製した。
(2)試料の調製
410μLのA液に、表2に示すとおり、20μL(5a、5b、5c)または15μL(6a、6b、6c)のB液を添加し、撹拌して、混合液(C液)を得た。また、A液およびB液をそれぞれ2倍希釈して、表2に示すとおり混合し、混合液のpHを測定した。
続いて、表2に示すとおり、A液にB液を添加し、混合した時から、5分後(5a、6a)、10分後(5b、6b)または30分後(5c、6c)に、上記C液に70μL(5a、5b、5c)または75μL(6a、6b、6c)のB液をさらに加え、撹拌して、混合液(C’液)を得た。得られた混合液(C’液)をメンブレン上に移して、37℃でインキュベートした。
(3)ゲル化時間の測定
A液にB液を添加し、混合した時から、5分後(5a、6a)、10分後(5b、6b)または30分後(5c、6c)に、さらにB液を添加し、混合してから、ゲル化が終了して流動性がなくなるまでの時間(秒)を測定した。
【0105】
2.結果
pHの測定結果、およびゲル化時間の測定結果を表2に示す。
いずれについても、2回目のB液添加後に速やかに完全にゲル化できることが確認された。B液の1回目添加時と2回目添加時の間隔が長くなるについて、ゲル化時間が短くなる傾向がみられるが、10分以内では安定していることが示唆された。
【0106】
【表2】
【0107】
[実施例2]
1.方法
(1)A液、B液および細胞懸濁液の調製
(1−1)A液の調製
製造したNHS化カルボキシメチルデキストリン 2.38gに、注射用水 7mLを加え、完全に溶解させ、A液とした(NHS化カルボキシメチルデキストリン濃度:25.4質量%)。
(1−2)B液の調製
炭酸水素ナトリウム 0.22gに、注射用水2.3mLを加え、完全に溶解させ、B液とした(溶質濃度:8.8質量%)。
(1−3)細胞懸濁液の調製
実施例1と同様にして、細胞懸濁液を調製した。
(2)試料の調製
A液 4.1mLに、B液 0.2mLを添加し、約1秒間、撹拌し、混合液(C液)を調製した。次いで、この混合液(C液)に、細胞懸濁液 0.4mLを添加し、約1秒間、撹拌して、細胞混合液(D液)を調製した。
(3)塗布具による細胞混合液(E’)の調製と細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)の塗布
図2に示す塗布具(100)の、第1のシリンジ(2)に細胞混合液(D液)を充填し、第2のシリンジ(3)にB液を充填した。第1のシリンジと第2のシリンジの断面積比は、第1のシリンジの断面積:第2のシリンジの断面積=6.5:1である(混合比=B液の体積/D液の体積=0.15)。
第1のシリンジ(2)および第2のシリンジ(3)にシリンジ結合治具(7)を装着して、第1のシリンジ(2)および第2のシリンジ(3)を連結し、連結した第1および第2のシリンジ(2,3)を嵌合部(711)に接続した。ガスボンベ(300b)からチューブ(302b)および接続部(715)を通じてノズルヘッド(42)にガスを送るとともに、フランジ(29)に矢印の向きの力を加えて第1および第2のシリンジ(2,3)から細胞混合液およびB液を送出し、ノズルヘッド(42)で細胞混合液とB液を混合し、細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)を調製し、ノズルヘッド(42)から吐出させ、メンブレン上に塗布した。
【0108】
[実施例3]
1.方法
(1)A液、B液および細胞懸濁液の調製
実施例
2と同様にして、A液、B液および細胞懸濁液を調製した。
(2)試料の調製
実施例
2と同様にして、細胞混合液(D液)を調製した。
図3に示す塗布具(200)の、第1のシリンジ部(214a)に細胞混合液(D液)を充填し、第2のシリンジ部(214b)にB液を充填した。第1のシリンジ部と第2のシリンジ部の断面積比は、第1のシリンジ部の断面積:第2のシリンジ部の断面積=6.5:1である(混合比=B液の体積/D液の体積=0.15)。
第1のシリンジ部(214a)および第2のシリンジ部(214b)を有する2連シリンジ(214)をハウジング(260)に連結した。ガスボンベ(286)からチューブ(286a)を通じてノズルヘッド(297)にガスを送るとともに、操作部(224d)を押し込んで、第1および第2のシリンジ部(214a,214b)から細胞混合液およびB液を送出し、ノズルヘッド(297)で細胞混合液とB液を混合し、細胞分散ゲル前駆体(ゾル状態)を調製し、ノズルヘッド(42)から吐出させ、メンブレン上に塗布した。