特許第6338508号(P6338508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6338508タイヤ空気圧モニター装置、タイヤ空気圧モニター装置を備える車両、タイヤ空気圧モニター方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338508
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧モニター装置、タイヤ空気圧モニター装置を備える車両、タイヤ空気圧モニター方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   B60C23/04 N
【請求項の数】8
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-217489(P2014-217489)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-83998(P2016-83998A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504334865
【氏名又は名称】日産ライトトラック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】寺田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 正人
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−504986(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動方式に前輪及び後輪を駆動輪とする四輪駆動方式を含む車両が備え、複数の車輪にそれぞれ装着した複数のタイヤの空気圧を、車体における各車輪の取り付け位置と対応させて監視するタイヤ空気圧モニター装置であって、
各タイヤにそれぞれ装着し、装着したタイヤの空気圧を検出するタイヤ空気圧検出部と、
各車輪にそれぞれ装着し、前記検出した空気圧を、前記タイヤを装着した車輪の回転位置が予め設定した回転位置となると前記装着した車輪に固有の識別情報と共に送信するデータ送信部と、
前記車体側に配置し、且つ前記検出した空気圧及び前記識別情報を受信するデータ受信部と、
前記各車輪の回転位置を検出する回転位置検出部と、
前記データ送信部が送信した前記空気圧及び前記識別情報のうち少なくとも識別情報を前記データ受信部が受信する毎に前記回転位置検出部が検出した車輪の回転位置を取得して各車輪の回転位置データとして蓄積する処理を識別情報毎に行い、さらに、前記蓄積した回転位置データのばらつきに基づいて前記各車輪の取り付け位置を判定する車輪位置判定部と、を備え、
前記車輪位置判定部は、全ての前記識別情報に対し、前記蓄積した回転位置データのうち最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した回転位置検出部が対応する車輪の取り付け位置である第一仮取り付け位置と、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した回転位置検出部が対応する車輪の取り付け位置である第二仮取り付け位置とが、車幅方向で同じ位置にあるとともに車両前後方向で異なる位置であり、且つ、前記識別情報毎に前記第一仮取り付け位置に重複が無いと判定すると、各前記第一仮取り付け位置を各前記識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定することを特徴とするタイヤ空気圧モニター装置。
【請求項2】
前記各車輪の回転位置を、二次元平面上で原点を始点、単位円の円周上の点を終点とするベクトルに変換し、各回転位置データのベクトルの平均ベクトルのスカラー量を分散特性値として演算する分散特性値演算部を備え、
前記車輪位置判定部は、各分散特性値の最高値を、前記最もばらつき度合いが小さい回転位置データと判定することを特徴とする請求項1に記載したタイヤ空気圧モニター装置。
【請求項3】
前記車輪位置判定部は、前記蓄積した回転位置データのうち、予め設定した上位側分散特性閾値を超えた二つの回転位置データを、前記最もばらつき度合いが小さい回転位置データ及び前記二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載したタイヤ空気圧モニター装置。
【請求項4】
前記車輪位置判定部は、前記各識別情報のうち少なくとも一つで、前記最もばらつき度合いが小さい回転位置データと前記二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データとの差が、予め設定した差分判定用分散特性閾値未満であるときには、各前記第一仮取り付け位置を各前記識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わないことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載したタイヤ空気圧モニター装置。
【請求項5】
前記車輪位置判定部は、前記各識別情報のうち少なくとも一つで、前記蓄積した回転位置データのうち、前記二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データよりもばらつき度合いが大きい回転位置データが予め設定した下位側分散特性閾値以上であるときには、各前記第一仮取り付け位置を各前記識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わないことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載したタイヤ空気圧モニター装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載したタイヤ空気圧モニター装置を備える車両であって、
前記四輪駆動方式に、前記前輪の回転速度と前記後輪の回転速度とが常時等速の直結四輪駆動方式を含むことを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載したタイヤ空気圧モニター装置を備える車両であって、
前記四輪駆動方式に、前記前輪の回転速度と前記後輪の回転速度との速度差を吸収する差動四輪駆動方式を含むことを特徴とする車両。
【請求項8】
駆動方式に前輪及び後輪を駆動輪とする四輪駆動方式を含む車両に適用し、複数の車輪にそれぞれ装着した複数のタイヤの空気圧を、車体における各車輪の取り付け位置と対応させて監視するタイヤ空気圧モニター方法であって、
各タイヤの空気圧を検出し、
前記タイヤを装着した車輪の回転位置が予め設定した回転位置となると前記検出した空気圧を前記装着した車輪に固有の識別情報と共に送信し、
前記車体側で、前記検出した空気圧及び前記識別情報を受信し、
前記各車輪の回転位置を検出し、
前記送信した前記空気圧及び前記識別情報のうち少なくとも識別情報を受信する毎に前記検出した車輪の回転位置を取得して各車輪の回転位置データとして蓄積する処理を識別情報毎に行い、
全ての前記識別情報に対し、前記蓄積した回転位置データのうち最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪の取り付け位置である第一仮取り付け位置と、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪の取り付け位置である第二仮取り付け位置とが、車幅方向で同じ位置にあるとともに車両前後方向で異なる位置であり、且つ、前記識別情報毎に前記第一仮取り付け位置に重複が無いと判定すると、各前記第一仮取り付け位置を各前記識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定することを特徴とするタイヤ空気圧モニター方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各タイヤの空気圧を監視するためのタイヤ空気圧モニター装置、タイヤ空気圧モニター装置を備える車両、タイヤ空気圧モニター方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの空気圧と車輪の位置とを関連付けて監視する技術として、例えば、特許文献1に記載されているように、各車輪の回転数差を用いて特定した車輪の位置を、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサを設けた車輪の位置に関連付ける技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6435020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、車両が四輪駆動方式で走行している場合等には、前輪と後輪の回転数差が少なくなるため、前輪と後輪の位置を特定することが困難であるという問題点があった。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、前輪と後輪の回転数差が少ない場合であっても、各車輪の位置を特定する精度を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、四輪駆動走行が可能な車両に対し、車輪の回転位置が予め設定した回転位置となると、タイヤの空気圧を車輪に固有の識別情報と共に送信し、車体側で、検出した空気圧及び識別情報を受信する。さらに、送信した空気圧及び識別情報のうち少なくとも識別情報を受信する毎に、検出した車輪の回転位置を取得して各車輪の回転位置データとして蓄積する処理を識別情報毎に行う。そして、蓄積した回転位置データのうち最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪の取り付け位置である第一仮取り付け位置を、各識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する。
【0006】
車輪の取り付け位置の判定は、全ての識別情報に対し、第一仮取り付け位置と第二仮取り付け位置とが、車幅方向で同じ位置にあるとともに車両前後方向で異なる位置であり、且つ、識別情報毎に第一仮取り付け位置に重複が無いと判定すると行う。ここで、第二仮取り付け位置は、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪の取り付け位置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、最もばらつき度合いが小さい回転位置データと、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データとの関係が有する規則性を用いて、最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪の取り付け位置を判定することが可能となる。
これにより、車両が四輪駆動方式で走行している場合等、前輪と後輪の回転数差が少ない場合であっても、車両が備える各車輪の位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態のタイヤ空気圧モニター装置と、タイヤ空気圧モニター装置を備える車両の構成を示すブロック図である。
図2】TPMSセンサの構成を示すブロック図である。
図3】第一車輪位置判定処理部の構成を示すブロック図である。
図4】車輪の回転位置を算出する方法を示す図である。
図5】分散特性値を算出する方法を示す図である。
図6】左前輪に取り付けたTPMSセンサの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、各車輪の回転位置とTPMSデータの受信回数との関係を示す図である。
図7】TPMSデータの受信回数に応じた分散特性値の変化を示す図である。
図8】第二車輪位置判定処理部の構成を示すブロック図である。
図9】第三車輪位置判定処理部の構成を示すブロック図である。
図10】第四車輪位置判定処理部の構成を示すブロック図である。
図11】センサID毎に検出した四つの分散特性値を示す図である。
図12】センサID毎に検出した四つの分散特性値と、車輪の推定位置との関係を示す図である。
図13】タイヤ空気圧モニター装置を用いて行なう動作を示すフローチャートである。
図14】第一車輪位置判定処理を示すフローチャートである。
図15】第二車輪位置判定処理を示すフローチャートである。
図16】第三車輪位置判定処理を示すフローチャートである。
図17】第四車輪位置判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(車両の構成)
図1を参照して、タイヤ空気圧モニター装置1を備える車両Cの構成について説明する。
図1中に示すように、車両Cは、四つの車輪Wを備える。
四つの車輪Wは、車幅方向及び車両前後方向に配置する。なお、図中及び以降の説明では、四つの車輪Wを、左前輪WFL,右前輪WFR,左後輪WRL,右後輪WRRと記載する場合がある。
左前輪WFL及び右前輪WFRは、運転者(図示せず)の操舵操作により操舵角が変化する操舵輪を形成している。
左後輪WRL及び右後輪WRRは、左前輪WFL及び右前輪WFRよりも車両前後方向後方に配置する。
【0010】
(タイヤ空気圧モニター装置1の概略構成)
図1を参照しつつ、図2を用いて、タイヤ空気圧モニター装置1の概略構成について説明する。
タイヤ空気圧モニター装置1は、複数の車輪Wにそれぞれ装着した複数のタイヤの空気圧を、車体における各車輪Wの取り付け位置と対応させて監視する装置である。
また、図1中に示すように、タイヤ空気圧モニター装置1は、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)センサ2と、情報受信部4と、車輪速検出部6と、駆動方式検出部8と、走行レンジ検出部10を備える。これに加え、タイヤ空気圧モニター装置1は、シフトポジションセンサ12と、演算処理部14と、情報表示部16を備える。
【0011】
TPMSセンサ2は、四つの車輪Wに取り付ける。なお、図中及び以降の説明では、左前輪WFLに取り付けるTPMSセンサ2を、TPMSセンサ2FLと記載し、右前輪WFRに取り付けるTPMSセンサ2を、TPMSセンサ2FRと記載する場合がある。同様に、左後輪WRLに取り付けるTPMSセンサ2を、TPMSセンサ2RLと記載し、右後輪WRRに取り付けるTPMSセンサ2を、TPMSセンサ2RRと記載する場合がある。
TPMSセンサ2の各車輪Wへの取り付け位置は、タイヤの空気バルブ(図示せず)である。
また、TPMSセンサ2は、図2中に示すように、空気圧センサ18と、加速度センサ20と、センサコントロールユニット(センサCU)22と、送信機24と、バッテリ26を備える。
【0012】
空気圧センサ18は、タイヤの空気圧[Kpa]を検出する。さらに、空気圧センサ18は、検出した空気圧データを、センサCU22に出力する。すなわち、空気圧センサ18は、各タイヤにそれぞれ装着し、装着したタイヤの空気圧を検出する。
加速度センサ20は、タイヤに作用する遠心方向の加速度(遠心方向加速度)[G]を検出する。さらに、加速度センサ20は、検出した遠心方向加速度データを、センサCU22に出力する。また、加速度センサ20は、遠心方向加速度に応じて、データ送信のトリガ信号を、センサCU22に出力する。
センサCU22は、加速度センサ20が出力するトリガ信号に基づき、空気圧センサ18から入力を受けた空気圧データと、TPMSセンサ2の固有ID(以下、「センサID」と記載する場合がある)を含むTPMSデータを、送信機24に出力する。
【0013】
第一実施形態では、一例として、加速度センサ20がトリガ信号を出力するタイミングを、TPMSセンサ2が予め設定した回転位置(以降の説明では、「演算用回転位置」と記載する場合がある)にあるタイミングとした場合を説明する。また、第一実施形態では、一例として、TPMSセンサ2FLのセンサIDを、「ID:A」とし、TPMSセンサ2FRのセンサIDを、「ID:B」とした場合を説明する。同様に、第一実施形態では、一例として、TPMSセンサ2RLのセンサIDを、「ID:C」とし、TPMSセンサ2RRのセンサIDを、「ID:D」とした場合を説明する。
なお、第一実施形態では、一例として、演算用回転位置を、最上方(最上点)とした場合について説明する。
【0014】
送信機24は、コイルアンテナ等を備え、センサCU22から入力を受けたTPMSデータを含む無線信号を出力する。すなわち、送信機24は、各車輪Wにそれぞれ装着し、タイヤを装着した車輪Wの回転位置が予め設定した演算用回転位置となると、空気圧センサ18が検出した空気圧を、タイヤを装着した車輪Wに固有の識別情報と共に送信する。
バッテリ26は、TPMSセンサ2の電源を形成し、センサCU22等に電力を供給する。
【0015】
情報受信部4は、TPMSセンサ2FL、TPMSセンサ2FR、TPMSセンサ2RL及びTPMSセンサ2RRから、TPMSデータを含む無線信号を受信する。そして、情報受信部4は、受信した各TPMSデータをデコードした情報信号(以降の説明では、「TPMSデコード信号」と記載する場合がある)を、演算処理部14へ出力する。すなわち、情報受信部4は、車体側に配置し、空気圧センサ18が検出した検出した空気圧と、車輪Wに固有の識別情報を受信する。
すなわち、第一実施形態のタイヤ空気圧モニター装置1は、四つのTPMSセンサ2が送信したTPMSデータを、一つの情報受信部4で受信する。
【0016】
車輪速検出部6は、車輪Wの回転速度を検出し、検出した回転速度を含む情報信号(以降の説明では、「車輪速信号」と記載する場合がある)を、演算処理部14へ出力する。
なお、図1中では、左前輪WFLの回転速度を検出する車輪速検出部6を、車輪速検出部6FLと示し、右前輪WFRの回転速度を検出する車輪速検出部6を、車輪速検出部6FRと示す。同様に、図1中では、左後輪WRLの回転速度を検出する車輪速検出部6を、車輪速検出部6RLと示し、右後輪WRRの回転速度を検出する車輪速検出部6を、車輪速検出部6RRと示す。すなわち、各車輪速検出部6は、各車輪Wの取り付け位置のそれぞれと対応させて車体側に配置し、各取り付け位置にある車輪Wの回転位置を検出する。
【0017】
また、各車輪速検出部6は、パルス発生器で形成する。
パルス発生器は、ロータ(図示せず)と、永久磁石(図示せず)と、コイル(図示せず)を備え、車輪Wの一回転について、所定数Z(例えば、Z=48)の車輪速パルスを発生する。
ロータは、複数の歯を有する歯車状に形成し、車輪Wと同期して回転する。
永久磁石は、車体側で、ロータの外周に対向配置する。
コイルは、永久磁石と同様、車体側で、ロータの外周に対向配置する。
【0018】
ここで、車輪速検出部6が車輪Wの回転速度を検出し、車輪速信号を演算処理部14へ出力する処理について説明する。
ロータが回転すると、ロータの凹凸面が車輪速検出部6の周りに形成された磁界を横切る。このため、磁界の磁束密度が変化して、コイルに起電力が発生する。そして、車輪速検出部6は、起電力の発生による電圧の変化を、車輪速信号として演算処理部14へ出力する。したがって、各車輪速検出部6は、各車輪Wの回転位置を検出する。
駆動方式検出部8は、車両Cの駆動方式を検出する。そして、駆動方式検出部8は、検出した駆動方式を含む情報信号(以降の説明では、「駆動方式信号」と記載する場合がある)を、演算処理部14へ出力する。
【0019】
第一実施形態では、一例として、駆動方式検出部8が、運転者がレバーやボタン等を操作して選択した駆動方式を検出する場合について説明する。また、第一実施形態では、一例として、車両Cの選択可能な駆動方式を、二輪駆動(2WD)モードと、四輪駆動(4WD)モードに設定した場合について説明する。
2WDモードでは、左前輪WFL及び右前輪WFRが、エンジンやモータ等の駆動源(図示せず)が発生する駆動力により回転して、車両Cを走行させる駆動輪を形成する。
4WDモードでは、全ての車輪W(左前輪WFL、右前輪WFR、左後輪WRL、右後輪WRR)が、駆動輪を形成する。
【0020】
また、第一実施形態では、一例として、4WDモードを、前輪(左前輪WFL、右前輪WFR)の回転速度と後輪(左後輪WRL、右後輪WRR)の回転速度が常時等速の駆動方式(直結四輪駆動方式)とした場合について説明する。
走行レンジ検出部10は、運転者がレバーやボタン等を操作して選択した走行レンジを検出する。そして、走行レンジ検出部10は、検出した走行レンジを含む情報信号(以降の説明では、「走行レンジ信号」と記載する場合がある)を、演算処理部14へ出力する。
【0021】
第一実施形態では、一例として、車両Cの選択可能な走行レンジを、高いトルクで走行するレンジであるロー(L)レンジと、Lレンジよりも低いトルクで走行するレンジであるハイ(H)レンジに設定した場合について説明する。
シフトポジションセンサ12は、シフトノブやシフトレバー等、車両Cのシフト位置(例えば、「P」、「D」、「R」等)を変更する部材の現在位置を検出する。そして、検出した現在位置を含む情報信号(以降の説明では、「シフト位置信号」と記載する場合がある)を、演算処理部14へ出力する。
演算処理部14は、例えば、車両に既存のECU(Engine Control Unit)により形成する。
【0022】
また、演算処理部14は、情報受信部4から、TPMSデコード信号の入力を受ける。これに加え、演算処理部14は、各車輪速検出部6から、車輪速信号の入力を受ける。
なお、車輪速信号の入力は、例えば、CAN(Controller Area Network)バス等の、図示しない車内LAN(Local Area Network)等を介して受ける。
また、演算処理部14は、第一車輪位置判定処理部30と、第二車輪位置判定処理部40と、第三車輪位置判定処理部50と、第四車輪位置判定処理部60と、判定結果検出部70と、判定位置登録部80と、表示情報生成部90を備える。
【0023】
第一車輪位置判定処理部30は、図3中に示すように、第一回転位置演算部30aと、第一分散特性値演算部30bと、第一車輪位置判定部30cを備える。
第一回転位置演算部30aは、TPMSデコード信号が含む各TPMSデータと、各車輪速信号が含む各車輪Wの回転速度を用いて、各TPMSセンサ2の回転位置が最上方(最上点)にあるタイミングの、各車輪Wの回転位置(ロータの歯数)を演算する。さらに、第一回転位置演算部30aは、演算した各車輪Wの回転位置を含む情報信号(以降の説明では、「第一車輪回転位置信号」と記載する場合がある)を、第一分散特性値演算部30bへ出力する。
【0024】
ここで、「ロータの歯数」とは、車輪速検出部6が、ロータが有する複数の歯のうち、どの歯をカウントしているかを示す。また、「ロータの歯数」は、車輪速パルスのカウント値を、車輪Wの一回転分のカウント値(第一実施形態では、車輪W一回転分の、ロータが有する歯の数Z=48)で除算して求める。
具体的には、図4中に示すように、車輪速パルスのカウント値を入力した時刻を「t1」とし、TPMSセンサ2の回転位置が最上点となった時刻を「t2」とする。これに加え、TPMSセンサ2が実際にTPMSデータの送信を開始した時刻を「t3」とし、第一回転位置演算部30aがTPMSデータの受信を完了した時刻を「t4」とし、車輪速パルスのカウント値を入力した時刻を「t5」とする。
【0025】
時刻t1、t4、t5は、実際に測定する。
時刻t3は、時刻t4からTPMSデータのデータ長を減算して算出する。なお、TPMSデータのデータ長は、規定値であり、例えば、約10[msec]に設定する。
時刻t2は、時刻t3から送信時のタイムラグを減算して算出する。なお、送信時のタイムラグは、予め、実験等により算出可能である。
【0026】
以上により、時刻t1におけるロータの歯数をzt1とし、時刻t2におけるロータの歯数をzt2とし、時刻t5におけるロータの歯数をzt5とすると、以下の式(1)が成立する。
(t2−t1)/(t5−t1)=(zt2−zt1)/(zt5−zt1) … (1)
そして、時刻t2におけるロータの歯数zt2は、式(1)を以下の式(2)に変換し、さらに、以下の式(3)から算出する。
t2−zt1=(zt5−zt1)×{(t2−t1)/(t5−t1)} … (2)
t2=zt1+(zt5−zt1)×{(t2−t1)/(t5−t1)} … (3)
【0027】
第一分散特性値演算部30bは、第一回転位置演算部30aから入力を受けた第一車輪回転位置信号が含む各車輪Wの回転位置を、四つのセンサID毎に蓄積した回転位置データを生成する。さらに、第一分散特性値演算部30bは、センサID毎に蓄積した回転位置データのばらつき度合いを用いて、センサID毎に分散特性値を演算する。そして、第一分散特性値演算部30bは、センサID毎に演算した分散特性値を含む情報信号(以降の説明では、「第一分散特性値信号」と記載する場合がある)を、第一車輪位置判定部30cへ出力する。
【0028】
具体的には、図5中に示すように、各車輪Wの回転位置θ[deg](=360×ロータの歯数/48)を、単位円の円周上の座標(cosθ,sinθ)に変化する。なお、単位円は、二次元平面上において、原点(0,0)を中心とした半径が「1」の円である。
すなわち、各車輪Wの回転位置を、原点(0,0)を始点とし、座標(cosθ,sinθ)を終点とする長さが「1」のベクトルと設定し、同じ回転位置データの各ベクトルの平均ベクトル(ave_cosθ,ave_sinθ)を求める。そして、平均ベクトルのスカラー量を、回転位置データの分散特性値X1として算出する。
【0029】
ここで、単位円の円周上の座標(cosθ,sinθ)は、以下の式(4)から算出する。
(cosθ,sinθ)=
(cos((zt2+1)×2π/48),sin((zt2+1)×2π/48))
… (4)
したがって、同一のセンサIDを含むTPMSデータの受信回数をn(nは正の整数)とすると、平均ベクトル(ave_cosθ,ave_sinθ)は、以下の式(5)が成立する。
(ave_cosθ,ave_sinθ)=
((Σ(cosθ))/n,(Σ(sinθ))/n) … (5)
以上により、分散特性値Xは、以下の式(6)から算出する。
X=ave_cosθ+ave_sinθ … (6)
【0030】
また、センサID毎に分散特性値Xを演算する際には、例えば、図6中に示すように、各車輪Wの回転位置(ロータの歯数)とTPMSデータの受信回数との関係を検出する。そして、この検出した関係を用いて、センサID毎に分散特性値Xを演算する。
ここで、各車輪Wの回転位置とTPMSデータの受信回数との関係は、一つの車輪Wに取り付けたTPMSセンサ2の回転位置が、演算用回転位置となった状態における関係とする。
なお、図6中には、一例として、左前輪WFLに取り付けたTPMSセンサ2FLの回転位置が最上点(演算用回転位置)にあるタイミングにおける、各車輪Wの回転位置とTPMSデータの受信回数との関係を示す。
【0031】
図6(a)中には、左前輪WFLの回転位置とTPMSセンサ2FLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を示す。図6(b)中には、右前輪WFRの回転位置とTPMSセンサ2FRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を示す。図6(c)中には、左後輪WRLの回転位置とTPMSセンサ2RLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を示す。図6(d)中には、右後輪WRRの回転位置とTPMSセンサ2RRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を示す。
【0032】
図6(a)〜(d)中に示すように、車輪速検出部6FL以外の車輪速検出部6を用いて検出したロータの歯数は、車輪速検出部6FLを用いて検出したロータの歯数と比較して、ばらつき度合いが大きい。すなわち、車輪速検出部6FLを用いて検出したロータの歯数は、ばらつき度合いが最小であり、TPMSセンサ2FLのデータ出力周期と車輪速検出部6FLのデータ出力周期が近似する。これは、以下に記載する理由による。
【0033】
車両Cの走行時において、旋回時の内外輪差、車輪Wのロック、車輪Wのスリップ、タイヤの空気圧差等の要因により、各車輪Wの回転数には差が発生する。なお、直進走行時であっても、運転者による微小な操舵操作や左右輪が通過する路面状態の違い等により、前輪と後輪との間や、左側輪と右側輪との間に回転数差が発生する。一方、同じ車輪Wを対象とするTPMSセンサ2と車輪速検出部6が備えるロータの歯(例えば、TPMSセンサ2FLと車輪速検出部6FLが備えるロータの歯)は、一体に回転する。
すなわち、各車輪Wの回転数は、走行に応じて差が発生するが、TPMSセンサ2と車輪速検出部6が備えるロータの歯は、一体に回転する。このため、同じ車輪Wを対象とする、TPMSセンサ2FLのデータ出力周期に対し、車輪速検出部6FLのデータ出力周期は、車両Cの走行距離や走行状態に因らず、常に同期(一致)する。
【0034】
また、図7中に示すように、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの回転位置データから演算した分散特性値Xaは、同一のセンサIDを含むTPMSデータの受信回数が増加するにつれて、「1.0」に近づく。一方、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪W以外の回転位置データから演算した分散特性値Xbは、同一のセンサIDを含むTPMSデータの受信回数が増加するにつれて、「0」に近づく。さらに、同一のセンサIDを含むTPMSデータの受信回数が増加するほど、分散特性値Xaと分散特性値Xbとの差は大きくなる。
【0035】
なお、第一分散特性値演算部30bが行う分散特性値の演算は、第一回転位置演算部30aが、同一のセンサIDに対する車輪Wの回転位置を演算したタイミングで行う。
第一車輪位置判定部30cは、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置(車幅方向及び車両前後方向の位置)を、センサID毎に判定する処理を行う。そして、第一車輪位置判定部30cは、センサID毎に判定した車輪Wの位置を含む情報信号(以降の説明では、「第一車輪位置信号」と記載する場合がある)を、表示情報生成部90へ出力する。
【0036】
具体的には、第一分散特性値演算部30bが同一のセンサIDに対して演算した、四つの分散特性値を比較する。そして、最大値の分散特性値(最大分散特性値)が、予め設定した第一分散特性閾値を超えており、さらに、最大値以外の分散特性値が、予め設定した第二分散特性閾値未満であると、最大分散特性値と対応する回転位置データの車輪位置を検出する。
次に、検出した車輪位置を、最大分散特性値の演算に用いた回転位置データが含むセンサIDと対応するTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定する。また、最大分散特性値の演算に用いた回転位置データが含むセンサIDと対応するTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定する処理は、全てのセンサIDに対して行う。
【0037】
なお、第一実施形態では、一例として、第一分散特性閾値を「0.57」に設定した場合について説明する。同様に、第一実施形態では、一例として、第二分散特性閾値を「0.37」に設定した場合について説明する。
以上により、第一車輪位置判定処理部30は、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサID毎に判定する処理として、第一車輪位置判定処理を行う。
【0038】
第二車輪位置判定処理部40は、図8中に示すように、第二回転位置演算部40aと、第二分散特性値演算部40bと、第二車輪位置判定部40cを備える。なお、以降の説明では、第二回転位置演算部40aの構成のうち、上述した第一回転位置演算部30aと異なる部分を説明する。これは、第二分散特性値演算部40b及び第二車輪位置判定部40cに関しても同様である。
また、第二車輪位置判定処理部40は、判定結果検出部70から、後述する第二車輪位置判定処理を開始する指令信号の入力を受けると、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサID毎に判定する処理を開始する。
【0039】
第二回転位置演算部40aは、「1トリップ」の開始から終了までの期間に、情報受信部4から入力を受けたTPMSデコード信号が含むTPMSデータと、車輪速パルスのカウント値の入力を受ける。そして、入力を受けたTPMSデータとカウント値を用いて、各TPMSセンサ2の回転位置が最上方(最上点)にあるタイミングの、各車輪Wの回転位置(ロータの歯数)を演算する。
【0040】
次に、第二回転位置演算部40aは、「1トリップ」を開始してから1回目に各車輪速パルスのカウント値の入力を受けた時点で、カウント値を1回転分の歯数で除算した余りに「1」を加算して、基準歯数を演算する。これに加え、「1トリップ」を開始してから2回目以降は、基準歯数を用いて演算した車輪速パルスのカウント数(現在のカウント値−1回目のカウント値)に基づいて、ロータの歯数を決定する。したがって、基準歯数は、「1トリップ」を開始すると、その都度、更新される。
【0041】
さらに、第二回転位置演算部40aは、演算した各車輪Wの回転位置を含む情報信号(以降の説明では、「第二車輪回転位置信号」と記載する場合がある)を、第二分散特性値演算部40bへ出力する。
なお、「1トリップ」は、モーションフラグのON信号を受信してから、モーションフラグのOFF信号を受信するまでに経過した期間として定義する。さらに、「モーションフラグのON信号」は、送信機24からの無線信号の出力開始を、演算処理部14に知らせる情報信号である。また、「モーションフラグのOFF信号」は、送信機24からの無線信号の出力終了を、演算処理部14に知らせる情報信号である。
【0042】
第二分散特性値演算部40bは、第二回転位置演算部40aから入力を受けた第二車輪回転位置信号が含む各車輪Wの回転位置を、四つのセンサID毎に蓄積した回転位置データを生成する。さらに、第二分散特性値演算部40bは、センサID毎に蓄積した回転位置データのばらつき度合いを用いて、センサID毎に分散特性値を演算する。そして、第二分散特性値演算部40bは、センサID毎に演算した分散特性値を含む情報信号(以降の説明では、「第二分散特性値信号」と記載する場合がある)を、第二車輪位置判定部40cへ出力する。
【0043】
ここで、第二分散特性値演算部40bが行う分散特性値の演算は、「1トリップ」毎に行う。さらに、「1トリップ」の途中で、予め設定した累積走行時間が経過した場合には、累積走行時間が経過した時点を「1トリップ」の終了時点とする。なお、「1トリップ」内でTPMSデータの受信回数が所定の回数(例えば、3回)未満である場合には、第二分散特性値演算部40bによる分散特性値の演算を行わない。
【0044】
また、第二分散特性値演算部40bは、累積走行時間が経過した場合、「1トリップ」毎に算出した分散特性値Xtrp1,Xtrp2,…,Xtrpmに基づいて、最終的な分散特性値Xendを演算する。最終的な分散特性値Xendは、各分散特性値Xtrp1,Xtrp2,…,Xtrpmに、重み付け係数K1,K2,…,Km(K1+K2+,…,+Km=1)を乗算した値を加算して求める。すなわち、分散特性値Xendは、以下の式(7)から算出する。
Xend=K1×Xtrp1+K2×Xtrp2+,…,+Km×Xtrpm
… (7)
【0045】
また、各重み付け係数K1,K2,…,Kmは、「1トリップ」内におけるTPMSデータの受信回数N1,N2,…,Nmを、累積走行時間内におけるTPMSデータの受信回数Nで除算した値(Nm/N)とする。すなわち、重み付け係数Kmは、総受信回数Nに対する受信回数Nmの割合であり、受信回数Nmが大きいほど、大きな値となる。なお、TPMSデータの受信回数が3回未満であり、分散特性値Xtrpmを演算しなかったトリップ中のTPMSデータは、総受信回数Nから除外(減算)する。
【0046】
第二車輪位置判定部40cは、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置(車幅方向及び車両前後方向の位置)を、センサID毎に判定する処理を行う。そして、第二車輪位置判定部40cは、センサID毎に判定した車輪Wの位置を含む情報信号(以降の説明では、「第二車輪位置信号」と記載する場合がある)を、表示情報生成部90へ出力する。
具体的には、第二分散特性値演算部40bが同一のセンサIDに対して演算した、四つの分散特性値を比較する。そして、最大分散特性値が一つのみである場合、最大分散特性値Xtrpmと対応する回転位置データの車輪位置を検出する。
【0047】
次に、検出した車輪位置を、最大分散特性値Xtrpmの演算に用いた回転位置データが含むセンサIDと対応するTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定する。また、最大分散特性値Xtrpmの演算に用いた回転位置データが含むセンサIDと対応するTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定する処理は、全てのセンサIDに対して行う。
以上により、第二車輪位置判定処理部40は、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサID毎に判定する処理として、第二車輪位置判定処理を行う。
【0048】
第三車輪位置判定処理部50は、図9中に示すように、停止・後退判定部50aと、カウント値補正部50bと、第三回転位置演算部50cと、第三分散特性値演算部50dと、第三車輪位置判定部50eを備える。なお、以降の説明では、第三回転位置演算部50cの構成のうち、上述した第一回転位置演算部30aと異なる部分を説明する。これは、第三分散特性値演算部50d及び第三車輪位置判定部50eに関しても同様である。
【0049】
また、第三車輪位置判定処理部50は、判定結果検出部70から、後述する第三車輪位置判定処理を開始する指令信号の入力を受けると、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサID毎に判定する処理を開始する。
停止・後退判定部50aは、シフト位置信号が含むシフト位置が「P」(駐車)である場合、または、全ての車輪速パルスのカウント値が、予め設定した判定時間以上カウントされない(増加しない)場合、車両Cが停止していると判定する。そして、車両Cが停止しているとの判定結果を含む情報信号(以降の説明では、「停止判定信号」と記載する場合がある)を、カウント値補正部50bへ出力する。
【0050】
なお、第一実施形態では、一例として、判定時間を400[msec]と設定した場合について説明する。
また、停止・後退判定部50aは、シフト位置信号が含むシフト位置が「R」(後退)である場合、車両Cが後退していると判定する。そして、車両Cが後退しているとの判定結果を含む情報信号(以降の説明では、「後退判定信号」と記載する場合がある)を、カウント値補正部50bへ出力する。
【0051】
カウント値補正部50bは、停止・後退判定部50aから停止判定信号の入力を受けると、各車輪速パルスのカウント値から、車両Cが停止している期間のカウント数を減算した停止時補正後カウント値を演算する。そして、停止時補正後カウント値を含む情報信号(以降の説明では、「停止時補正後カウント値信号」と記載する場合がある)を、第三回転位置演算部50cへ出力する。
【0052】
また、カウント値補正部50bは、停止・後退判定部50aから後退判定信号の入力を受けると、各車輪速パルスのカウント値から、車両Cが後退している期間のカウント数を二倍に乗算する。さらに、乗算した数を車両Cが後退している期間のカウント数から減算した後退時補正後カウント値を演算する。そして、後退時補正後カウント値を含む情報信号(以降の説明では、「後退時補正後カウント値信号」と記載する場合がある)を、第三回転位置演算部50cへ出力する。
なお、カウント値補正部50bは、停止・後退判定部50aから停止判定信号及び後退判定信号のどちらの入力も受けていない場合は、車輪速パルスのカウント値を補正せずに、そのまま、第三回転位置演算部50cへ出力する。
【0053】
第三回転位置演算部50cは、カウント値補正部50bから入力を受けたカウント値を用いて、第一回転位置演算部30aと同様の処理を行う。そして、演算した各車輪Wの回転位置を含む情報信号(以降の説明では、「第三車輪回転位置信号」と記載する場合がある)を、第三分散特性値演算部50dへ出力する。
第三分散特性値演算部50dは、第一分散特性値演算部30bと同様の処理を行い、センサID毎に演算した分散特性値を含む情報信号(以降の説明では、「第三分散特性値信号」と記載する場合がある)を、第三車輪位置判定部50eへ出力する。
【0054】
第三車輪位置判定部50eは、第一車輪位置判定部30cと同様の処理を行い、センサID毎に判定した車輪Wの位置を含む情報信号(以降の説明では、「第三車輪位置信号」と記載する場合がある)を、表示情報生成部90へ出力する。
以上により、第三車輪位置判定処理部50は、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサID毎に判定する処理として、第三車輪位置判定処理を行う。
【0055】
第四車輪位置判定処理部60は、図10中に示すように、第四回転位置演算部60aと、第四分散特性値演算部60bと、第四車輪位置判定部60cを備える。なお、以降の説明では、第四回転位置演算部60aの構成のうち、上述した第一回転位置演算部30aと異なる部分を説明する。これは、第四分散特性値演算部60b及び第四車輪位置判定部60cに関しても同様である。
【0056】
また、第四車輪位置判定処理部60は、判定結果検出部70から、後述する第四車輪位置判定処理を開始する指令信号の入力を受けると、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサID毎に判定する処理を開始する。
第四回転位置演算部60aは、第一回転位置演算部30aと同様の処理を行い、演算した各車輪Wの回転位置を含む情報信号(以降の説明では、「第四車輪回転位置信号」と記載する場合がある)を、第四分散特性値演算部60bへ出力する。
【0057】
第四分散特性値演算部60bは、第一分散特性値演算部30bと同様の処理を行い、センサID毎に演算した分散特性値を含む情報信号(以降の説明では、「第四分散特性値信号」と記載する場合がある)を、第四車輪位置判定部60cへ出力する。
第四車輪位置判定部60cは、まず、センサID毎に、四つの分散特性値を検出する。
ここで、センサID毎の四つの分散特性値とは、各TPMSセンサ2の回転位置と、各TPMSセンサ2が送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて、個別に演算した値である。
【0058】
(TPMSセンサ2FLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値)
TPMSセンサ2FLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値Xは、以下に示す四つの分散特性値XA(分散特性値XA‐FL,分散特性値XA‐FR,分散特性値XA‐RL,分散特性値XA‐RR)である。
【0059】
・分散特性値XA‐FL
TPMSセンサ2FLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左前輪WFLの回転位置とTPMSセンサ2FLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XA‐FR
TPMSセンサ2FRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左前輪WFLの回転位置とTPMSセンサ2FLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
【0060】
・分散特性値XA‐RL
TPMSセンサ2RLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左前輪WFLの回転位置とTPMSセンサ2FLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XA‐RR
TPMSセンサ2RRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左前輪WFLの回転位置とTPMSセンサ2FLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
【0061】
(TPMSセンサ2FRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値)
TPMSセンサ2FRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値Xは、以下に示す四つの分散特性値XB(分散特性値XB‐FL,分散特性値XB‐FR,分散特性値XB‐RL,分散特性値XB‐RR)である。
【0062】
・分散特性値XB‐FL
TPMSセンサ2FLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右前輪WFRの回転位置とTPMSセンサ2FRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XB‐FR
TPMSセンサ2FRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右前輪WFRの回転位置とTPMSセンサ2FRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
【0063】
・分散特性値XB‐RL
TPMSセンサ2RLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右前輪WFRの回転位置とTPMSセンサ2FRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XB‐RR
TPMSセンサ2RRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右前輪WFRの回転位置とTPMSセンサ2FRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
【0064】
(TPMSセンサ2RLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値)
TPMSセンサ2RLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値Xは、以下に示す四つの分散特性値XC(分散特性値XC‐FL,分散特性値XC‐FR,分散特性値XC‐RL,分散特性値XC‐RR)である。
【0065】
・分散特性値XC‐FL
TPMSセンサ2FLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左後輪WRLの回転位置とTPMSセンサ2RLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XC‐FR
TPMSセンサ2FRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左後輪WRLの回転位置とTPMSセンサ2RLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
【0066】
・分散特性値XC‐RL
TPMSセンサ2RLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左後輪WRLの回転位置とTPMSセンサ2RLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XC‐RR
TPMSセンサ2RRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、左後輪WRLの回転位置とTPMSセンサ2RLが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
【0067】
(TPMSセンサ2RRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値)
TPMSセンサ2RRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値Xは、以下に示す四つの分散特性値XD(分散特性値XD‐FL,分散特性値XD‐FR,分散特性値XD‐RL,分散特性値XD‐RR)である。
【0068】
・分散特性値XD‐FL
TPMSセンサ2FLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右後輪WRRの回転位置とTPMSセンサ2RRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XD‐FR
TPMSセンサ2FRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右後輪WRRの回転位置とTPMSセンサ2RRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
【0069】
・分散特性値XD‐RL
TPMSセンサ2RLの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右後輪WRRの回転位置とTPMSセンサ2RRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
・分散特性値XD‐RR
TPMSセンサ2RRの回転位置が最上点にあるタイミングにおける、右後輪WRRの回転位置とTPMSセンサ2RRが送信したTPMSデータの受信回数との関係を用いて演算した分散特性値X。
センサID毎に検出した、四つの分散特性値X(XA,XB,XC,XD)は、例えば、図11中に示すものとなる。
【0070】
次に、四つの分散特性値Xを、センサID毎に、大きい値から順に並べ(ソート)、ソートした分散特性値Xの大きさを用いて、センサID毎に、最大の分散特性値X(最大分散特性値)を判定する。そして、最大分散特性値が示す、回転位置が最上点にあるタイミングにあるTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、最大分散特性値IDを含む車輪Wの位置として判定する。
【0071】
以下、具体例として、TPMSセンサ2FLを取り付けた車輪Wの位置を判定する処理について説明する。
TPMSセンサ2FLを取り付けた車輪Wの位置を判定する処理は、第一対象輪推定ステップと、第二対象輪推定ステップと、第三対象輪推定ステップと、第四対象輪推定ステップと、車輪位置確定ステップを有する。
・第一対象輪推定ステップ
TPMSセンサ2FLは、「ID:A」のセンサIDを含むTPMSデータを出力するため、第一対象輪推定ステップでは、まず、図12中に示すように、四つの分散特性値XAを、大きい値から順にソートする。さらに、最大分散特性値(図12中では、「分散特性値1」と示す)が、四つの分散特性値XAのうち、どの値に該当するかを検出する。
【0072】
そして、図12中に示すように、分散特性値1が分散特性値XA−FLであると、分散特性値1の演算に用いたTPMSデータが送信されたタイミングを、TPMSセンサ2FLの回転位置が最上点にあるタイミングと推定する。これにより、分散特性値1の演算に用いたTPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wを、左前輪WFL(図12中では、「対象輪1」と示す)と推定する。
【0073】
第一実施形態では、第一対象輪推定ステップで行う処理の一例として、四つの分散特性値XAのうち、予め設定した上位側分散特性閾値を超えた二つの回転位置データを検出する。これに加え、上位側分散特性閾値を超えた二つの回転位置データのうち大きいデータを、最もばらつき度合いが小さい回転位置データである最大分散特性値とする場合について説明する。
【0074】
また、第一実施形態では、一例として、上位側分散特性閾値を、「0.57」に設定した場合について説明する。
・第二対象輪推定ステップ
第二対象輪推定ステップは、第一対象輪推定ステップの次に行う処理である。
第二対象輪推定ステップでは、まず、四つの分散特性値XAのうち、分散特性値1の次に大きい値(図12中では、「分散特性値2」と示す)が、四つの分散特性値XAのうち、どの値に該当するかを検出する。
【0075】
次に、分散特性値2が、分散特性値1と車幅方向で同じ側であり、且つ車両前後方向前方で異なる側であるか否かを判定する。すなわち、分散特性値2が、分散特性値XA−FLと車幅方向で同じ側であり、且つ車両前後方向前方で異なる側の分散特性値XA−RLであるか否かを判定する。
そして、図12中に示すように、分散特性値2が分散特性値XA−RLであると、分散特性値2の演算に用いたTPMSデータが送信されたタイミングを、TPMSセンサ2RLの回転位置が最上点にあるタイミングと推定する。これにより、分散特性値2の演算に用いたTPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wを、左後輪WRL(図12中では、「対象輪2」と示す)と推定する。
【0076】
なお、第二対象輪推定ステップで行う処理の一例として、四つの分散特性値XAのうち、予め設定した上位側分散特性閾値を超えた二つの回転位置データを検出する。これに加え、上位側分散特性閾値を超えた二つの回転位置データのうち小さいデータを、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データである分散特性値2とする処理を行ってもよい。
・第三対象輪推定ステップ
第三対象輪推定ステップは、第二対象輪推定ステップの次に行う処理である。
第三対象輪推定ステップでは、まず、四つの分散特性値XAのうち、分散特性値2の次に大きい値(図12中では、「分散特性値3」と示す)が、四つの分散特性値XAのうち、どの値に該当するかを検出する。
【0077】
次に、分散特性値3が、分散特性値1及び分散特性値2と車幅方向で異なる側であるか否かを判定する。
そして、図12中に示すように、分散特性値3が分散特性値XA−RRであると、分散特性値3の演算に用いたTPMSデータが送信されたタイミングを、TPMSセンサ2RRの回転位置が最上点にあるタイミングと推定する。これにより、分散特性値3の演算に用いたTPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wを、右後輪WRR(図12中では、「対象輪3」と示す)と推定する。
【0078】
・第四対象輪推定ステップ
第四対象輪推定ステップは、第三対象輪推定ステップの次に行う処理である。
第四対象輪推定ステップでは、まず、四つの分散特性値XAのうち、最小の値(図12中では、「分散特性値4」と示す)が、分散特性値3と車幅方向で同じ側であり、且つ車両前後方向前方で異なる側であるか否かを判定する。すなわち、分散特性値4が、分散特性値XA−RRと車幅方向で同じ側であり、且つ車両前後方向前方で異なる側の分散特性値XA−FRであるか否かを判定する。
【0079】
そして、図12中に示すように、分散特性値4が分散特性値XA−FRであると、分散特性値4の演算に用いたTPMSデータが送信されたタイミングを、TPMSセンサ2FRの回転位置が最上点にあるタイミングと推定する。これにより、分散特性値4の演算に用いたTPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wを、右前輪WFR(図12中では、「対象輪4」と示す)と推定する。
【0080】
・車輪位置確定ステップ
車輪位置確定ステップは、第四対象輪推定ステップの次に行う処理である。
車輪位置確定ステップでは、まず、対象輪1の位置と対象輪2の位置が、車幅方向で同じ且つ車両前後方向で異なる位置関係であるか否かを判定する。次に、対象輪1の位置と対象輪2の位置が、車幅方向で同じ且つ車両前後方向で異なる位置関係であれば、第一〜第四対象輪推定ステップで推定した対象輪1〜4の位置が、全て、車幅方向及び車両前後方向で重複せずに異なる位置となっているか否かを判定する。
【0081】
そして、対象輪1〜4の位置が、全て、車幅方向及び車両前後方向で重複せずに異なる位置となっていると判定すると、対象輪1として推定した各車輪Wの位置を確定させる。これにより、TPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置をセンサID毎に判定し、センサID毎に判定した車輪Wの位置を含む情報信号(以降の説明では、「第四車輪位置信号」と記載する場合がある)を、表示情報生成部90へ出力する。
【0082】
なお、図12中に示す例では、TPMSセンサ2FLを取り付けた車輪Wを、左前輪WFLと確定させる。これにより、TPMSセンサ2FLを取り付けた車輪Wの位置を、車幅方向左側及び車両前後方向前方と確定させる。同様に、TPMSセンサ2FRを取り付けた車輪Wの位置を、車幅方向右側及び車両前後方向前方と確定させる。さらに、TPMSセンサ2RLを取り付けた車輪Wの位置を、車幅方向左側及び車両前後方向後方と確定させ、TPMSセンサ2RRを取り付けた車輪Wの位置を、車幅方向右側及び車両前後方向後方と確定させる。
【0083】
ここで、車輪位置確定ステップで行う処理の根拠を説明する。
本願発明の発明者等は、各分散特性値と車輪Wの位置との関係性に関する評価試験を行い、正常な処理が実施されると、対象輪1と対象輪2との位置関係が、車幅方向で同じ且つ車両前後方向で異なる位置関係となる結果を得た。これに加え、正常な処理が実施されると、対象輪1〜4の位置が、全て、車幅方向及び車両前後方向で重複せずに異なる位置となる結果を得た。
すなわち、対象輪1と対象輪2との位置関係には、車幅方向で同じ且つ車両前後方向で異なる位置関係となる規則性が存在する検証結果を得た。これに加え、対象輪1〜4の位置が、全て、車幅方向及び車両前後方向で重複せずに異なる位置となる規則性が存在する検証結果を得た。
【0084】
したがって、第一実施形態では、車輪位置確定ステップにおいて、以下の条件(A)及び(B)が成立すると、対象輪1として推定した各車輪Wの位置を確定させる。
条件(A).対象輪1の位置と対象輪2の位置が、車幅方向で同じ且つ車両前後方向で異なる位置関係である。
条件(B).対象輪1〜4の位置が、全て、車幅方向及び車両前後方向で重複せずに異なる位置となる。
【0085】
また、第一実施形態では、一例として、分散特性値1と分散特性値2との差が、予め設定した差分判定用分散特性閾値未満であるときには、対象輪1の仮取付け位置を識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わない場合について説明する。また、各識別情報のうち少なくとも一つで、分散特性値1と分散特性値2との差が差分判定用分散特性閾値未満であると、全ての識別情報に対し、対象輪1の仮取付け位置を識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わない。
すなわち、第一実施形態では、最もばらつき度合いが小さい回転位置データと二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データとの差が、差分判定用分散特性閾値未満であるときには、対象輪1の位置を判定しない。
【0086】
また、第一実施形態では、一例として、差分判定用分散特性閾値を、「0.2」に設定した場合について説明する。なお、差分判定用分散特性閾値は、「0.2」に限定するものではない。
さらに、第一実施形態では、一例として、分散特性値3及び分散特性値4が、予め設定した下位側分散特性閾値以上であるときには、対象輪1の仮取付け位置を識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わない場合について説明する。また、各識別情報のうち少なくとも一つで、分散特性値3及び分散特性値4が下位側分散特性閾値以上であると、全ての識別情報に対し、対象輪1の仮取付け位置を識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わない。
【0087】
すなわち、第一実施形態では、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データよりもばらつき度合いが大きい回転位置データが、下位側分散特性閾値以上であるときには、対象輪1の位置を判定しない。
また、第一実施形態では、一例として、下位側分散特性閾値を、「0.37」に設定した場合について説明する。
【0088】
以上により、第四車輪位置判定処理部60は、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサID毎に判定する処理として、第四車輪位置判定処理を行う。
したがって、第四車輪位置判定部60cは、TPMSセンサ2から送信された空気圧及び識別情報のうち少なくとも識別情報を情報受信部4が受信する毎に、車輪速検出部6が検出した車輪Wの回転位置を取得する。そして、各車輪Wの回転位置データとして蓄積する処理を識別情報毎に行う。さらに、蓄積した回転位置データのばらつきに基づいて、各車輪Wの取り付け位置を判定する。
【0089】
具体的には、全ての識別情報に対し、以下の条件(I)及び(II)を満足すると、最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪速検出部6が対応する車輪Wの取り付け位置を、識別情報が対応する車輪Wの取り付け位置として判定する。
条件(I).第一仮取り付け位置と第二仮取り付け位置が、車幅方向で同じ位置にあるとともに車両前後方向で異なる位置である。なお、第一仮取り付け位置は、蓄積した回転位置データのうち最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した回転位置検出部が対応する車輪の取り付け位置である。また、第二仮取り付け位置は、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した回転位置検出部が対応する車輪の取り付け位置である第二仮取り付け位置である。
条件(II).識別情報毎に第一仮取り付け位置に重複が無いと判定する。
【0090】
なお、第一実施形態では、一例として、第四車輪位置判定処理部60を、車輪Wの位置と関連付けて判定位置登録部80に登録されているセンサIDを含むTPMSデータを、10回(10Block)以上受信している状態で行う場合を説明する。すなわち、第一実施形態では、一例として、第四車輪位置判定処理部60を、前回行った第一〜第四車輪位置判定処理のうちいずれかで用いたセンサIDを含むTPMSデータを、10回(10Block)以上受信している状態で行う場合を説明する。
【0091】
判定結果検出部70は、第一車輪位置判定処理部30に対し、第一車輪位置判定処理の結果を検出する処理を行う。そして、検出した第一車輪位置判定処理の結果が「失敗」であった場合、第二車輪位置判定処理部40へ、第二車輪位置判定処理を開始する指令信号を出力する。
また、判定結果検出部70は、第二車輪位置判定処理部40に対し、第二車輪位置判定処理の結果を検出する処理を行う。そして、検出した第二車輪位置判定処理の結果が「失敗」であった場合、第三車輪位置判定処理部50へ、第三車輪位置判定処理を開始する指令信号を出力する。
さらに、判定結果検出部70は、第三車輪位置判定処理部50に対し、第三車輪位置判定処理の結果を検出する処理を行う。そして、検出した第三車輪位置判定処理の結果が「失敗」であった場合、第四車輪位置判定処理部60へ、第四車輪位置判定処理を開始する指令信号を出力する。
【0092】
判定位置登録部80は、第一〜第四車輪位置判定処理のうちいずれかの処理でセンサID毎に判定した、TPMSデータを送信したTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置を、センサIDと関連付けて登録する。
表示情報生成部90は、第一〜第四車輪位置信号のうちいずれかの信号と、TPMSデータとを受信する。
また、表示情報生成部90は、受信した各信号に基づいて、各車輪Wの空気圧を情報表示部16へ表示するための情報信号(表示信号)を生成する。そして、この生成した情報信号を、情報表示部16へ出力する。ここで、上記の表示信号とは、各車輪Wの空気圧を、上述した処理で判定した四つの車輪Wの車幅方向及び車両前後方向の位置に対応付けて表示する信号である。
【0093】
また、表示情報生成部90は、予め設定したプラカード圧より低い空気圧の車輪Wがある場合、情報表示部16が警報を表示するように、表示信号を生成する。なお、情報表示部16への表示に加え、例えば、ナビゲーションシステムのスピーカーから、音声ガイダンス等により警報を出力するように、表示信号を生成してもよい。ここで、「予め設定したプラカード圧より低い空気圧」は、一例として、プラカード圧から25%以下の空気圧とする。
【0094】
情報表示部16は、例えば、インストルメントパネルに配置したディスプレイ(インフォメーションディスプレイ)や、カーナビゲーションシステムのディスプレイを用い、演算処理部14に接続する。
また、情報表示部16は、車幅方向及び車両前後方向の位置を特定した四つの車輪Wに対し、それぞれの空気圧を、上述した処理で判定した各車輪Wの位置に対応付けて表示する。
【0095】
(動作)
次に、図1から図12を参照しつつ、図13から図17を用いて、第一実施形態のタイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作を説明する。
図13中に示すように、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作を開始(START)すると、まず、ステップS10の処理を行う。
【0096】
ステップS10では、第一車輪位置判定処理部30により、第一車輪位置判定処理(図中に示す「第一車輪位置判定実施」)を行う。ステップS10において、第一車輪位置判定処理を行うと、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS12へ移行する。なお、ステップS10の具体的な動作は、後述する。
【0097】
ステップS12では、判定結果検出部70により、ステップS10で行った第一車輪位置判定処理の結果が「失敗」であるか否かを判定する処理(図中に示す「第一車輪位置判定失敗」)を行う。
ステップS12において、第一車輪位置判定処理の結果が「失敗」である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS20へ移行する。
一方、ステップS12において、第一車輪位置判定処理の結果が「成功」である(図中に示す「No」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS60へ移行する。
【0098】
ステップS20では、第二車輪位置判定処理部40により、第二車輪位置判定処理(図中に示す「第二車輪位置判定実施」)を行う。ステップS20において、第二車輪位置判定処理を行うと、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS22へ移行する。なお、ステップS20の具体的な動作は、後述する。
ステップS22では、判定結果検出部70により、ステップS20で行った第二車輪位置判定処理の結果が「失敗」であるか否かを判定する処理(図中に示す「第二車輪位置判定失敗」)を行う。
【0099】
ステップS22において、第二車輪位置判定処理の結果が「失敗」である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS30へ移行する。
一方、ステップS22において、第二車輪位置判定処理の結果が「成功」である(図中に示す「No」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS60へ移行する。
【0100】
ステップS30では、第三車輪位置判定処理部50により、第三車輪位置判定処理(図中に示す「第三車輪位置判定実施」)を行う。ステップS30において、第三車輪位置判定処理を行うと、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS32へ移行する。なお、ステップS30の具体的な動作は、後述する。
ステップS32では、判定結果検出部70により、ステップS30で行った第三車輪位置判定処理の結果が「失敗」であるか否かを判定する処理(図中に示す「第三車輪位置判定失敗」)を行う。
【0101】
ステップS32において、第三車輪位置判定処理の結果が「失敗」である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS40へ移行する。
一方、ステップS32において、第三車輪位置判定処理の結果が「成功」である(図中に示す「No」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS60へ移行する。
【0102】
ステップS40では、第四車輪位置判定処理部60により、第四車輪位置判定処理(図中に示す「第四車輪位置判定実施」)を行う。ステップS40において、第四車輪位置判定処理を行うと、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS42へ移行する。なお、ステップS40の具体的な動作は、後述する。
ステップS42では、判定結果検出部70により、ステップS40で行った第四車輪位置判定処理の結果が「失敗」であるか否かを判定する処理(図中に示す「第四車輪位置判定失敗」)を行う。
【0103】
ステップS42において、第四車輪位置判定処理の結果が「失敗」である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS50へ移行する。
一方、ステップS42において、第四車輪位置判定処理の結果が「成功」である(図中に示す「No」)と判定した場合、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作は、ステップS60へ移行する。
【0104】
ステップS50では、判定位置登録部80に登録済みの、センサIDと関連付けて登録されているTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置データを更新せずに維持する処理(図中に示す「登録データ維持」)を行う。ステップS50において、判定位置登録部80に登録済みのデータを更新せずに維持する処理を行うと、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作を終了(END)する。
【0105】
ステップS60では、判定位置登録部80に登録済みのデータを、第一〜第四車輪位置判定処理のうちいずれかで判定したデータに更新する処理(図中に示す「登録データ更新」)を行う。ステップS60において、判定位置登録部80に登録済みのデータを更新する処理を行うと、タイヤ空気圧モニター装置1を用いて行なう動作を終了(END)する。
【0106】
(ステップS10の具体的な動作)
図14中に示すように、ステップS10の処理、すなわち、第一車輪位置判定処理を開始(START)すると、まず、ステップS100の処理を行う。
ステップS100では、第一回転位置演算部30aにより、各センサIDを含むTPMSデータを受信(図中に示す「TPMSデータ受信」)する。ステップS100において、各センサIDを含むTPMSデータを受信すると、第一車輪位置判定処理は、ステップS102へ移行する。
ステップS102では、第一回転位置演算部30aにより、各車輪Wの回転位置を演算(図中に示す「回転位置演算」)する。ステップS102において、各車輪Wの回転位置を演算すると、第一車輪位置判定処理は、ステップS104へ移行する。
【0107】
ステップS104では、第一分散特性値演算部30bにより、センサID毎に分散特性値Xを演算(図中に示す「分散特性値演算」)する。ステップS104において、センサID毎に分散特性値Xを演算すると、第一車輪位置判定処理は、ステップS106へ移行する。
ステップS106では、第一車輪位置判定部30cにより、各センサIDを含むTPMSデータを、それぞれ、予め設定したデータ受信回数閾値以上の回数で受信しているか否かを判定する処理を行う。なお、第一実施形態では、一例として、データ受信回数閾値を、「10回」に設定(図中に示す「TPMSデータを10回以上受信」)した場合について説明する。
【0108】
ステップS106において、各センサIDを含むTPMSデータを10回以上受信している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第一車輪位置判定処理は、ステップS108へ移行する。
一方、ステップS106において、各センサIDを含むTPMSデータを10回以上受信していない(図中に示す「No」)と判定した場合、第一車輪位置判定処理は、ステップS100へ移行する。
【0109】
ステップS108では、第一車輪位置判定部30cにより、最大分散特性値Xが「0.57」(第一分散特性閾値)を超えており、且つ、最大値以外の分散特性値Xが「0.37」(第二分散特性閾値)未満であるか否かを判定する処理を行う。すなわち、ステップS108では、最大分散特性値Xが「0.57」超えており、且つ、最大値以外の他の分散特性値Xが「0.37」未満であるか否かを判定(図中に示す「最大値>0.57且つ他の値<0.37」)する。
【0110】
ステップS108において、各分散特性値Xが上記の範囲内である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第一車輪位置判定処理は、ステップS110へ移行する。
一方、ステップS108において、各分散特性値Xのうち少なくとも一つが上記の範囲内から逸脱している(図中に示す「No」)と判定した場合、第一車輪位置判定処理は、ステップS112へ移行する。
【0111】
ステップS112では、第一車輪位置判定部30cにより、検出した車輪位置を、最大分散特性値Xの演算に用いた回転位置データが含むセンサIDと対応するTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定(図中に示す「車輪位置判定」)する。ステップS112において、検出した車輪位置をTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定すると、第一車輪位置判定処理を終了(END)する。
【0112】
ステップS114では、第一車輪位置判定部30cにより、第一車輪位置判定処理を開始してから、予め設定した累積走行時間が経過したか否かを判定する処理を行う。なお、第一実施形態では、一例として、累積走行時間を、「8分」に設定(図中に示す「累積走行時間8分経過」)した場合について説明する。
ステップS114において、第一車輪位置判定処理を開始してから8分が経過した(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第一車輪位置判定処理を終了(END)する。
一方、ステップS114において、第一車輪位置判定処理を開始してから8分が経過していない(図中に示す「No」)と判定した場合、第一車輪位置判定処理は、ステップS100へ移行する。
【0113】
(ステップS20の具体的な動作)
図15中に示すように、ステップS20の処理、すなわち、第二車輪位置判定処理を開始(START)すると、まず、ステップS200の処理を行う。
ステップS200では、第二回転位置演算部40aにより、各センサIDを含むTPMSデータを受信(図中に示す「TPMSデータ受信」)する。ステップS200において、各センサIDを含むTPMSデータを受信すると、第二車輪位置判定処理は、ステップS202へ移行する。
【0114】
ステップS202では、第二回転位置演算部40aにより、各車輪Wの回転位置を演算(図中に示す「回転位置演算」)する。ステップS202において、各車輪Wの回転位置を演算すると、第二車輪位置判定処理は、ステップS204へ移行する。
ステップS204では、第二回転位置演算部40aにより、センサID毎に、「1トリップ」の分散特性値Xtrpmを演算(図中に示す「1トリップの分散特性値を演算」)する。ステップS204において、センサID毎に、「1トリップ」の分散特性値Xtrpmを演算すると、第二車輪位置判定処理は、ステップS206へ移行する。
【0115】
ステップS206では、第二車輪位置判定部40cにより、第二車輪位置判定処理を開始してから、予め設定した累積走行時間が経過したか否かを判定する処理を行う。なお、第二実施形態では、一例として、累積走行時間を、「8分」に設定(図中に示す「累積走行時間8分経過」)した場合について説明する。
ステップS206において、第二車輪位置判定処理を開始してから8分が経過した(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第二車輪位置判定処理は、ステップS208へ移行する。
一方、ステップS206において、第二車輪位置判定処理を開始してから8分が経過していない(図中に示す「No」)と判定した場合、第二車輪位置判定処理は、ステップS200へ移行する。
【0116】
ステップS208では、第二回転位置演算部40aにより、センサID毎に、最終的な分散特性値Xを演算(図中に示す「分散特性値演算」)する。ステップS208において、センサID毎に、最終的な分散特性値Xを演算すると、第二車輪位置判定処理は、ステップS210へ移行する。
ステップS210では、第二車輪位置判定部40cにより、演算した分散特性値Xの最高値が一つのみであるか否かを判定(図中に示す「最高値が一つのみ」)する。
【0117】
ステップS210において、演算した分散特性値Xの最高値が一つのみである(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第二車輪位置判定処理は、ステップS212へ移行する。
一方、ステップS210において、演算した分散特性値Xの最高値が二つ以上である(図中に示す「No」)と判定した場合、第二車輪位置判定処理を終了(END)する。
【0118】
ステップS212では、第二車輪位置判定部40cにより、検出した車輪位置を、最大分散特性値Xtrpmの演算に用いた回転位置データが含むセンサIDと対応するTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定(図中に示す「車輪位置判定」)する。ステップS212において、検出した車輪位置をTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定すると、第二車輪位置判定処理は、ステップS214へ移行する。
【0119】
ステップS214では、全てのセンサIDに対し、第二車輪位置判定処理を実施したか否かを判定する(図中に示す「全センサIDに処理を実施」)する。
ステップS214において、全てのセンサIDに対し、第二車輪位置判定処理を実施した(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第二車輪位置判定処理を終了(END)する。
一方、ステップS214において、少なくとも一つのセンサIDに対し、第二車輪位置判定処理を実施していない(図中に示す「No」)と判定した場合、第二車輪位置判定処理は、ステップS200へ移行する。
【0120】
(ステップS30の具体的な動作)
図16中に示すように、ステップS30の処理、すなわち、第三車輪位置判定処理を開始(START)すると、まず、ステップS300の処理を行う。
ステップS300では、第三回転位置演算部50cにより、各センサIDを含むTPMSデータを受信する。これに加え、ステップS300では、停止・後退判定部50aにより、全ての車輪速パルスのカウント値を受信(図中に示す「TPMSデータとカウント値を受信」)する。ステップS300において、各センサIDを含むTPMSデータと、全ての車輪速パルスのカウント値を受信すると、第三車輪位置判定処理は、ステップS302へ移行する。
【0121】
ステップS302では、停止・後退判定部50aにより、車両Cが停止及び後退のうちいずれかの状態であるか否かを判定(図中に示す「停止または後退を判定」)する処理を行う。
ステップS302において、車両Cが停止及び後退のうちいずれかの状態である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理は、ステップS304へ移行する。
一方、ステップS302において、車両Cが停止及び後退のうちいずれかの状態でもない(図中に示す「No」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理は、ステップS306へ移行する。
【0122】
ステップS304では、カウント値補正部50bにより、停止時補正後カウント値または後退時補正後カウント値を演算(図中に示す「カウント値演算」)する。ステップS304において、停止時補正後カウント値または後退時補正後カウント値を演算すると、第三車輪位置判定処理は、ステップS306へ移行する。
ステップS306では、第三回転位置演算部50cにより、ステップS304で演算した補正後カウント値を用いて、各車輪Wの回転位置を演算(図中に示す「回転位置演算」)する。ステップS306において、各車輪Wの回転位置を演算すると、第三車輪位置判定処理は、ステップS308へ移行する。
【0123】
ステップS308では、第三分散特性値演算部50dにより、センサID毎に分散特性値Xを演算(図中に示す「分散特性値演算」)する。ステップS308において、センサID毎に分散特性値Xを演算すると、第三車輪位置判定処理は、ステップS310へ移行する。
ステップS310では、第三車輪位置判定部50eにより、各センサIDを含むTPMSデータを、それぞれ、データ受信回数閾値(「10回」)以上の回数で受信しているか否かを判定(図中に示す「TPMSデータを10回以上受信」)する処理を行う。
【0124】
ステップS310において、各センサIDを含むTPMSデータを10回以上受信している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理は、ステップS312へ移行する。
一方、ステップS310において、各センサIDを含むTPMSデータを10回以上受信していない(図中に示す「No」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理は、ステップS300へ移行する。
【0125】
ステップS312では、第三車輪位置判定部50eにより、最大分散特性値Xが「0.57」(第三分散特性閾値)を超えており、且つ、最大値以外の分散特性値Xが「0.37」(第二分散特性閾値)未満であるか否かを判定する処理を行う。すなわち、ステップS308では、最大分散特性値Xが「0.57」超えており、且つ、最大値以外の他の分散特性値Xが「0.37」未満であるか否かを判定(図中に示す「最大値>0.57且つ他の値<0.37」)する。
【0126】
ステップS312において、各分散特性値Xが上記の範囲内である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理は、ステップS314へ移行する。
一方、ステップS312において、各分散特性値Xのうち少なくとも一つが上記の範囲内から逸脱している(図中に示す「No」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理は、ステップS316へ移行する。
【0127】
ステップS314では、第三車輪位置判定部50eにより、検出した車輪位置を、最大分散特性値Xの演算に用いた回転位置データが含むセンサIDと対応するTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定(図中に示す「車輪位置判定」)する。ステップS314において、検出した車輪位置をTPMSセンサ2を取り付けた車輪Wの位置として判定すると、第三車輪位置判定処理を終了(END)する。
【0128】
ステップS316では、第三車輪位置判定部50eにより、第三車輪位置判定処理を開始してから、予め設定した累積走行時間(「8分」)が経過したか否かを判定(図中に示す「累積走行時間8分経過」)する処理を行う。
ステップS316において、第三車輪位置判定処理を開始してから8分が経過した(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理を終了(END)する。
一方、ステップS316において、第三車輪位置判定処理を開始してから8分が経過していない(図中に示す「No」)と判定した場合、第三車輪位置判定処理は、ステップS300へ移行する。
【0129】
(ステップS40の具体的な動作)
図17中に示すように、ステップS40の処理、すなわち、第四車輪位置判定処理を開始(START)すると、まず、ステップS400の処理を行う。
ステップS400では、前回行った車輪位置判定処理で用いたセンサIDを含むTPMSデータを、10Block以上受信しているか否かを判定(図中に示す「前回IDを10Block以上受信」)する処理を行う。
【0130】
ステップS400において、前回行った車輪位置判定処理で用いたセンサIDを含むTPMSデータを、10Block以上受信している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS402へ移行する。
一方、ステップS400において、前回行った車輪位置判定処理で用いたセンサIDを含むTPMSデータを、10Block以上受信していない(図中に示す「No」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS400へ移行する。
【0131】
ステップS402では、第四分散特性値演算部60bにより、センサID毎に分散特性値Xを演算(図中に示す「分散特性値演算」)する。ステップS402において、センサID毎に分散特性値Xを演算すると、第四車輪位置判定処理は、ステップS404へ移行する。
ステップS404では、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの最大分散特性値が0.57(上位側分散特性閾値)を超えているとともに、1.0未満であるか否かを判定(図中に示す「0.57<分散特性値1<1.0」)する処理を行う。
【0132】
ステップS404において、各センサIDの最大分散特性値が0.57を超えているとともに、1.0未満である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS406へ移行する。
一方、ステップS404において、各センサIDの最大分散特性値が0.57以下である条件、または、1.0以下である条件が成立している(図中に示す「No」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS400へ移行する。
【0133】
ステップS406では、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの最大分散特性値に、同一の車輪Wを対象とした値が存在しないか否かを判定(図中に示す「分散特性値1に同一輪が存在しない」)する。
ステップS406において、各センサIDの最大分散特性値に、同一の車輪Wを対象とした値が存在しない(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS408へ移行する。
一方、ステップS406において、各センサIDの最大分散特性値に、同一の車輪Wを対象とした値が存在する(図中に示す「No」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS400へ移行する。
【0134】
ステップS408では、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの最大分散特性値の次に大きい値に、同一の車輪Wを対象とした値が存在しないか否かを判定(図中に示す「分散特性値2に同一輪が存在しない」)する。
ステップS408において、各センサIDの最大分散特性値の次に大きい値に、同一の車輪Wを対象とした値が存在しない(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS410へ移行する。
一方、ステップS408において、各センサIDの最大分散特性値の次に大きい値に、同一の車輪Wを対象とした値が存在する(図中に示す「No」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS400へ移行する。
【0135】
ステップS410では、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの最大分散特性値から、各センサIDの最大分散特性値の次に大きい値を減算した値が、0.2以上であるか否かを判定(図中に示す「分散特性値1−分散特性値2≧0.2」)する。すなわち、ステップS410では、各センサIDの最大分散特性値から、各センサIDの最大分散特性値の次に大きい値を減算した値が、差分判定用分散特性閾値以上であるか否かを判定する。
【0136】
ステップS410において、各センサIDの最大分散特性値から、各センサIDの最大分散特性値の次に大きい値を減算した値が、0.2以上である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS412へ移行する。
一方、ステップS410において、各センサIDの最大分散特性値から、各センサIDの最大分散特性値の次に大きい値を減算した値が、0.2未満である(図中に示す「No」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS400へ移行する。
【0137】
ステップS412では、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの分散特性値1と分散特性値2が、車幅方向で同じ側であり、且つ車両前後方向で異なる位置であるか否かを判定(図中に示す「分散特性値1と2が前後」)する。
ステップS412において、各センサIDの分散特性値1と分散特性値2が、車幅方向で同じ側であり、且つ車両前後方向で異なる位置である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS414へ移行する。
一方、ステップS412において、各センサIDの分散特性値1と分散特性値2が、車幅方向で同じ側であり、且つ車両前後方向で同じ位置である(図中に示す「No」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS400へ移行する。
【0138】
ステップS414では、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの分散特性値3と分散特性値4が、0.37(下位側分散特性閾値)未満であるか否かを判定(図中に示す「分散特性値3,4<0.37」)する。
ステップS414において、各センサIDの分散特性値3と分散特性値4が、0.37未満である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS416へ移行する。
一方、ステップS414において、各センサIDの分散特性値3と分散特性値4が、0.37以上である(図中に示す「No」)と判定した場合、第四車輪位置判定処理は、ステップS400へ移行する。
【0139】
ステップS416では、第四車輪位置判定部60cにより、センサID毎に、対象輪1として推定した各車輪Wの位置を確定(図中に示す「車輪位置確定」)させる。ステップS416において、センサID毎に、対象輪1として推定した各車輪Wの位置を確定させると、第四車輪位置判定処理を終了(END)する。
なお、上述した空気圧センサ18は、タイヤ空気圧検出部に対応する。
【0140】
また、上述した送信機24は、データ送信部に対応する。
また、上述した情報受信部4は、データ受信部に対応する。
また、上述した車輪速検出部6は、回転位置検出部に対応する。
また、上述したように、第一実施形態のタイヤ空気圧モニター装置1の動作で実施するタイヤ空気圧モニター方法では、車輪Wの回転位置が演算用回転位置となると、タイヤの空気圧を識別情報と共に送信し、車体側で、検出した空気圧及び識別情報を受信する。さらに、送信した空気圧及び識別情報のうち少なくとも識別情報を受信する毎に、検出した車輪Wの回転位置を取得して各車輪Wの回転位置データとして蓄積する処理を、識別情報毎に行う。そして、第一仮取り付け位置を、各識別情報が対応する車輪Wの取り付け位置と判定する。
【0141】
この判定は、全ての識別情報に対し、第一仮取り付け位置と第二仮取り付け位置とが、車幅方向で同じ位置にあるとともに車両前後方向で異なる位置であり、且つ、識別情報毎に第一仮取り付け位置に重複が無いと判定すると行う。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0142】
(第一実施形態の効果)
第一実施形態のタイヤ空気圧モニター装置1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)第四車輪位置判定部60cが、全ての識別情報に対し、上述した条件(I)及び(II)を満足すると、第一仮取り付け位置を、識別情報が対応する車輪Wの取り付け位置として判定する。
このため、最もばらつき度合いが小さい回転位置データと、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データとの関係が有する規則性を用いて、最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪Wの取り付け位置を判定することが可能となる。
その結果、車両Cが直結四輪駆動方式で走行している場合等、前輪WFと後輪WRの回転数差が少ない場合であっても、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【0143】
また、タイヤローテーションを行った場合等、判定位置登録部80に登録されている、センサIDと車輪Wの位置との関連付けが変化した場合であっても、人力による処理を必要とせずに、判定位置登録部80に登録するデータを更新することが可能となる。
ここで、「タイヤローテーション」とは、タイヤのトレッド摩耗を均一にし、寿命(トレッドライフ)を延ばすため、タイヤの装着位置を入れ替える作業である。例えば、乗用車では、一般的に、左右のタイヤ位置をクロスして前輪と後輪を入れ替える。
また、タイヤローテーションを行った場合等、判定位置登録部80に登録されている、センサIDと車輪Wの位置との関連付けが変化した場合であっても、検出したタイヤの空気圧と、車輪Wの位置との対応を変化後の状態で表示することが可能となる。
【0144】
(2)第四分散特性値演算部60bが、各車輪Wの回転位置を、二次元平面上で原点を始点、単位円の円周上の点を終点とするベクトルに変換し、各回転位置データのベクトルの平均ベクトルのスカラー量を分散特性値として演算する。これに加え、第四車輪位置判定部60cが、各分散特性値の最高値を、最もばらつき度合いが小さい回転位置データと判定する。
その結果、回転位置データの周期性を回避して、回転位置のばらつき度合いを演算することが可能となる。
【0145】
(3)第四車輪位置判定部60cが、分散特性値1と分散特性値2との差が、差分判定用分散特性閾値未満であると、全ての識別情報に対し、対象輪1の仮取付け位置を識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わない。
このため、分散特性値1の大きさと分散特性値2の大きさとの差が明確な状態で、第一仮取り付け位置と第二仮取り付け位置とが、車幅方向で同じ位置にあるとともに車両前後方向で異なる位置であるか否かを判定することが可能となる。
その結果、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【0146】
(4)第四車輪位置判定部60cが、分散特性値3及び分散特性値4が下位側分散特性閾値以上であると、全ての識別情報に対し、対象輪1の仮取付け位置を識別情報が対応する車輪の取り付け位置と判定する処理を行わない。
このため、分散特性値1及び分散特性値2の大きさと、分散特性値3及び分散特性値4の大きさとの差が明確な状態で、第一仮取り付け位置と第二仮取り付け位置とが、車幅方向で同じ位置にあるか否かを判定することが可能となる。これに加え、分散特性値1及び分散特性値2の大きさと、分散特性値3及び分散特性値4の大きさとの差が明確な状態で、第一仮取り付け位置と第二仮取り付け位置とが、車両前後方向で異なる位置であるか否かを判定することが可能となる。
その結果、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【0147】
(5)車両Cの構成を、駆動方式に、前輪WF及び後輪WRを駆動輪とし、且つ前輪WFの回転速度と後輪WRの回転速度とが常時等速の直結四輪駆動方式を含む構成とする。
その結果、車両Cが直結四輪駆動方式で走行する状況が多い冬季や、寒冷地等において、特に、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。さらに、直結四輪駆動方式で走行する状況が多い車種であるトラック(貨物運搬車両)等に適用することにより、特に、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【0148】
(6)第一実施形態のタイヤ空気圧モニター装置1の動作で実施するタイヤ空気圧モニター方法では、車輪Wの回転位置が演算用回転位置となると、タイヤの空気圧を識別情報と共に送信し、車体側で、検出した空気圧及び識別情報を受信する。そして、上述した条件(I)及び(II)が成立すると、第一仮取り付け位置を、各識別情報が対応する車輪Wの取り付け位置と判定する。
【0149】
このため、最もばらつき度合いが小さい回転位置データと、二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データとの関係が有する規則性を用いて、最もばらつき度合いが小さい回転位置データを検出した車輪Wの取り付け位置を判定することが可能となる。
その結果、車両Cが直結四輪駆動方式で走行している場合等、前輪WFと後輪WRの回転数差が少ない場合であっても、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【0150】
また、タイヤローテーションを行った場合等、判定位置登録部80に登録されている、センサIDと車輪Wの位置との関連付けが変化した場合であっても、人力による処理を必要とせずに、判定位置登録部80に登録するデータを更新することが可能となる。これに加え、検出したタイヤの空気圧と、車輪Wの位置との対応を変化後の状態で表示することが可能となる。
【0151】
(変形例)
(1)第一実施形態では、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの最大分散特性値のみが上位側分散特性閾値を超えているか否かを判定したが、これに限定するものではない。
すなわち、第四車輪位置判定部60cにより、各センサIDの最大分散特性値及び最大分散特性値の次に大きい分散特性値が上位側分散特性閾値を超えているか否かを判定してもよい。これに加え、上位側分散特性閾値を超えた二つの回転位置データを、最もばらつき度合いが小さい回転位置データ(分散特性値1)及び前記二番目にばらつき度合いが小さい回転位置データ(分散特性値2)としてもよい。
この場合、車幅方向で同じ且つ車両前後方向で異なる位置関係であるか否かの判定対象とする対象輪1及び対象輪2に対応する二つの分散特性値を、他の分散特性値と明確に区分することが可能となる。このため、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【0152】
(2)第一実施形態では、車両Cの構成を、駆動方式に直結四輪駆動方式を含む構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、車両Cの構成を、駆動方式に、前輪WF及び後輪WRを駆動輪とし、且つ前輪WFの回転速度と後輪WRの回転速度との速度差を吸収する差動四輪駆動方式を含む構成としてもよい。
この場合、車両Cの直進時等、前輪WFの回転速度と後輪WRの回転速度とが等速となる状況において、特に、車両Cが備える各車輪Wの位置を特定する精度を向上させることが可能となる。
【0153】
(3)第一実施形態では、判定結果検出部70が、第一〜第三車輪位置判定処理の結果が「失敗」であった場合に、第四車輪位置判定処理部60へ、第四車輪位置判定処理を開始する指令信号を出力する構成としたが、これに限定するものではない。
すなわち、判定結果検出部70が入力を受けた駆動方式信号が含む駆動方式が4WDモードである場合は、第一〜第三車輪位置判定処理を行わずに、第四車輪位置判定処理を開始してもよい。
【符号の説明】
【0154】
1…タイヤ空気圧モニター装置、2…TPMSセンサ(TPMSセンサ2FL,TPMSセンサ2FR,TPMSセンサ2RL,TPMSセンサ2RR)、4…情報受信部、6…車輪速検出部(車輪速検出部6FL,車輪速検出部6FR,車輪速検出部6RL,車輪速検出部6RR)、8…駆動方式検出部、10…走行レンジ検出部、12…シフトポジションセンサ、14…演算処理部、16…情報表示部、18…空気圧センサ、20…加速度センサ、22…センサCU、24…送信機、26…バッテリ、30…第一車輪位置判定処理部、30a…第一回転位置演算部、30b…第一分散特性値演算部、30c…第一車輪位置判定部、40…第二車輪位置判定処理部、40a…第二回転位置演算部、40b…第二分散特性値演算部、40c…第二車輪位置判定部、50…第三車輪位置判定処理部、50a…停止・後退判定部、50b…カウント値補正部、50c…第三回転位置演算部、50d…第三分散特性値演算部、50e…第三車輪位置判定部、60…第四車輪位置判定処理部、60a…第四回転位置演算部、60b…第四分散特性値演算部、60c…第四車輪位置判定部、70…判定結果検出部、80…判定位置登録部、90…表示情報生成部、C…車両、W…車輪(左前輪WFL,右前輪WFR,左後輪WRL,右後輪WRR)
図1
図2
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