【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の熱量導出装置は、
予め発熱量が判明している組成の異なる複数
のサンプルガス夫々の音速と温度と圧力との関係指標としての音速−温度−圧力関係指標を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶される複数の前記音速−温度−圧力関係指標から、測定対象ガス通流部の測定対象ガスの温度及び圧力における、音速と発熱量との関係指標として求まる音速−発熱量関係指標を生成する指標生成手段と、
前記測定対象ガス通流部を通流する測定対象ガスの音速と、前記指標生成手段にて生成された前記音速−発熱量関係指標とに基づいて前記測定対象ガスの発熱量を求める発熱量導出手段とを備える発熱量導出装置であって、その特徴構成は、
前記記憶部は、前記音速−温度−圧力関係指標として、
C=(α
1・P
2+α
2・P+α
3)T
2+(α
4・P
2+α
5・P+α
6)T+
(α
7・P
2+α
8・P+α
9)・・・〔式1〕
なる回帰式を、従属変数Cを前記サンプルガス中の音速とし、独立変数Pを前記サンプ
ルガスの圧力とし、独立変数Tを前記サンプルガスの温度とし、α
1とα
2とα
3とα
4とα
5とα
6とα
7とα
8とα
9を係数として記憶すると共に、前記係数を前記サンプルガスの複数の異なる発熱量夫々につき記憶する点にある。
【0008】
即ち、発明者らは、熱量導出装置として、記憶部に記憶される音速−温度−圧力関係指標として、上述の〔式1〕に示ように、発熱量毎に、音速が温度の二次式と圧力の二次式とに相関を持つ関数で表されるものと仮定し、その係数α
1とα
2とα
3とα
4とα
5とα
6とα
7とα
8とα
9を、サンプルガスの複数の異なる発熱量夫々につき記憶するものを考案した。
これにより、記憶部には、複数の異なる発熱量毎に上記〔式1〕の係数を保持するため、測定対象ガスを測定する温度と圧力が判明した場合、指標生成手段は、複数の異なる発熱量毎に、上記〔式1〕に判明した温度と圧力を入力して音速を導出し、導出した音速と発熱量との関係を回帰分析することで、音速−発熱量関係指標を生成できる。そして、熱量導出装置は、測定対象ガス通流部を通流する測定対象ガスの音速と、指標生成手段が生成した音速−発熱量関係指標とに基づいて、測定対象ガスの発熱量を導出する。
当該熱量導出装置によれば、記憶部には、発熱量毎に、上記〔式1〕を記憶しておけば良いから、不要に多いデータを記憶部に記憶する必要がなくなる。更に、測定対象ガスを測定する温度と圧力がどのような値であっても、その値を〔式1〕に入力すれば、その温度及び圧力における音速と発熱量との関係が精度良く得られる。即ち、従来の特許文献1に開示の技術の如く、音速の導出工程において、線形補間をする必要がなくなるから、発熱量を導出する際の誤差を低減できる。
上記発明者らが考案した熱量導出装置に基づいて、測定対象ガス(発熱量:39.94MJ〜49.7MJまでの9種類のガス)の発熱量を導出した結果を
図2、3、4に示す。
図2、3は、圧力と温度を変動させた場合の発熱量の誤差を示すものであり、
図2は、複数の温度(
図2では、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃)において、横軸に圧力を縦軸に発熱量の誤差をとったグラフ図であり、
図3は、複数の圧力(
図3では、1MPa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa)において、横軸に温度を縦軸に発熱量の誤差をとったグラフ図である。また、
図4は、複数の温度及び圧力において導出した発熱量の誤差の分布を示すものである。各グラフにおいて、測定データ数は、540(9種類のガス×6温度×10圧力)である。
当該試験結果によれば、特に、
図4から、測定対象のガスの発熱量に対する演算により導かれる発熱量の誤差の分布が、誤差の許容範囲である『−0.2MJ≦誤差≦0.2MJ』の範囲内に、約90%収めることができていることがわかる。
以上から、本発明によれば、シンプルな装置構成を維持しながらも、精度良く発熱量を導出することが可能な熱量導出装置を実現できる。
【0009】
上記目的を達成するための本発明の熱量導出装置は、
予め発熱量が判明している組成の異なる複数
のサンプルガス夫々の音速と温度と圧力との関係指標としての音速−温度−圧力関係指標を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶される複数の前記音速−温度−圧力関係指標から、測定対象ガス通流部の測定対象ガスの温度及び圧力における、音速と発熱量との関係指標として求まる音速−発熱量関係指標を生成する指標生成手段と、
前記測定対象ガス通流部を通流する測定対象ガスの音速と、前記指標生成手段にて生成された前記音速−発熱量関係指標とに基づいて前記測定対象ガスの発熱量を求める発熱量導出手段とを備える発熱量導出装置であって、その特徴構成は、
前記記憶部は、前記音速−温度−圧力関係指標として、
C=(α
10・P
2+α
11・P+α
12)T
2+(α
13・P
2+α
14・P+α
15)T+
(α
16・P
2+α
17・P+α
18)+α
19・P
3・・・〔式2〕
なる回帰式を、従属変数Cを前記サンプルガス中の音速とし、独立変数Pを前記サンプルガスの圧力とし、独立変数Tを前記サンプルガスの温度とし、α
10とα
11とα
12とα
13とα
14とα
15とα
16とα
17とα
18とα
19を係数として記憶すると共に、前記係数を前記サンプルガスの複数の異なる発熱量夫々につき記憶する点にある。
【0010】
本願の発明者らは、音速−温度−圧力関係指標として、以下の〔式2〕に示すように、音速が温度の二次式と圧力の三次式とで表すことができることを新たに見出した。
特に、本願の発明者らは、上記〔式2〕において、圧力の三次項に関しては、温度とは独立した項とすること、即ち、圧力の三次項と温度の二次項との積(P
3・T
2の項)及び圧力の三次項と温度の一次項との積(P
3・Tの項)を含めないことにより、当該〔式2〕に基づいて導出される発熱量の誤差を低減できることを見出した。
本発明の熱量導出装置を用いて、測定対象ガス(発熱量:39.94MJ〜49.7MJまでの9種類のガス)の発熱量を導出した結果を
図5、6、7に示す。
図5、6は、圧力と温度を変動させた場合の発熱量の誤差を示すものであり、
図5は、複数の温度(
図5では、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃)において、横軸に圧力を縦軸に発熱量の誤差をとったグラフ図であり、
図6は、複数の圧力(
図6では、1MPa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa)において、横軸に温度を縦軸に発熱量の誤差をとったグラフ図である。また、
図7は、複数の温度及び圧力において導出した発熱量の誤差の分布を示すものである。各グラフにおいて、測定データ数は、540(9種類のガス×6温度×10圧力)である。
図5、6から、本発明の熱量導出装置によれば、比較的広範な圧力範囲(1MPa〜10MPa)、及び比較的広範な温度範囲(0℃〜50℃)において、導出する発熱量の誤差を比較的小さいものに抑えられていることがわかる。更に、
図7から、測定対象のガスの発熱量に対する演算により導かれる発熱量の誤差の分布を誤差の許容範囲である『−0.2MJ≦誤差≦0.2MJ』の範囲に、すべて収められており、
図4に示した2次式の場合に比べて、誤差を低減できていることがわかる。
以上から、本発明によれば、シンプルな装置構成を維持しながらも、精度良く発熱量を導出することが可能な熱量導出装置を実現できる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の熱量導出設備の特徴構成は、これまで説明した熱量導出装置を備え、
測定対象ガス通流部を通流する測定対象ガスの温度を測定する測定対象ガス温度測定手段と、前記測定対象ガス通流部を通流する前記測定対象ガスの圧力を測定する測定対象ガス圧力測定手段と、前記測定対象ガス通流部を通流する前記測定対象ガスの音速を測定する測定対象ガス音速測定手段とを備え、
前記指標生成手段が、前記記憶部に記憶される複数の前記音速−温度−圧力関係指標から、前記測定対象ガス温度測定手段にて測定される温度と前記測定対象ガス圧力測定手段にて測定される圧力における、音速と発熱量との関係指標として求まる音速−発熱量関係指標を生成する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、上述した熱量導出装置に加え、測定対象ガス通流部を通流する測定対象ガスの温度、圧力、音速の夫々を測定する手段を備えることで、例えば、都市ガス製造プラント等のガス製造設備に備えられる熱量導出設備を、シンプルな装置構成を維持しながらも、精度良く発熱量を導出することができるものとできる。