(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撥水剤を含有するポリエチレン樹脂組成物から形成され、一方の表面に高さが70μm〜200μmの凹凸形状を有する凹凸形状層を含んでなり、前記凹凸形状の少なくとも表面が、延伸倍率0.05〜2.5倍の加熱延伸成形後も撥水性を維持するように加速電圧110〜250kV、線量150〜300kGyでの電子線照射により架橋処理されている、撥水性を備えた樹脂シート。
前記凹凸形状層の他方の表面に、酸素バリア性樹脂層がその一方の面を該凹凸形状層側にしかつ凹凸形状層側から順にシーラント樹脂層と変性オレフィン系重合体樹脂層を介して積層され、該酸素バリア性樹脂層の他方の面には、スチレン系樹脂層が変性オレフィン系重合体樹脂層を介して積層されてなる、請求項1に記載の樹脂シート。
前記スチレン系樹脂層が、樹脂成分としてポリスチレン樹脂10〜50質量%と耐衝撃性ポリスチレン樹脂90〜50質量%を含有してなり、更にゴム成分を樹脂成分100質量部に対して4.5〜8.1質量部含有する組成物から形成されてなる請求項2から6の何れか一項に記載の樹脂シート。
前記シーラント樹脂層が、90〜95質量%のスチレン系樹脂と5〜10質量%の水添スチレン系熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物、又は100質量%の水添スチレン系熱可塑性エラストマー、又は100質量%の変性オレフィン系重合体樹脂から形成されてなる、請求項3、5から7の何れか一項に記載の樹脂シート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る熱可塑性樹脂シートは、撥水剤を含有するポリエチレン樹脂組成物から形成され、一方の表面側に微細な凹凸形状を有する凹凸形状層を含んでなり、前記凹凸形状の少なくとも表面部が、加熱延伸後も微細な凹凸形状を維持する架橋体であることを必須とするが、別の層を備えた積層構造を採るか否か、別の層を備える場合には如何なる層を備えるかによって、様々な実施形態を採る。以下、熱可塑性樹脂シートの種々の実施形態を説明し、ついで熱可塑性樹脂シートの製造及び成形容器について説明するが、一実施形態について記載した特定の説明が他の実施形態についても当てはまる場合には、他の実施形態においてはその説明を省略している。
【0017】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係る熱可塑性樹脂シートは、
図1に示すように、撥水剤を含有するポリエチレン樹脂組成物から形成され、一方の表面側に微細な凹凸形状を形成し、前記凹凸形状の少なくとも表面部が、加熱延伸後も微細な凹凸形状を維持する架橋体である、撥水性を備えたシートである。本実施形態に係る熱可塑性樹脂シートは凹凸形状を形成した単層シートであり、層厚は凹凸形状を含め、後述するシート厚に等しい。
【0018】
ここで、本発明に係る熱可塑性樹脂シートでは、凹凸形状層が「加熱延伸後も微細な凹凸形状を維持する」が、これは本発明に係る熱可塑性樹脂シートが、加熱延伸されても微細な凹凸形状を維持できるというシートの性質を規定しているのであって、加熱延伸されるシートでなければならないことを意味するものではない。よって、本発明に係る熱可塑性樹脂シートには、延伸シートと共に、非延伸シートも包含されるが、好ましくは延伸シートである。
またここで言う「延伸」とは、シートを延伸処理して幅広のシートを形成する場合の他、シートを成形して容器を形成する際に特に容器の隅部の成形に際してシートが延伸される場合も含む。
更に、本発明において、撥水性を有する樹脂シートの「撥水性」とは、樹脂シートへの食品の付着を防止するのに十分な程度の撥水性を意味し、具体的には、樹脂シートに対する液体の接触角が100°以上であることを意味するものとする。
【0019】
<凹凸形状層(1)>
凹凸形状層は、微細な表面の凹凸形状により撥水性を発現させるために設けられるもので、撥水剤を含有するポリエチレン樹脂組成物から形成され、シート表面となる面に微細な凹凸形状を有する樹脂シートである。
【0020】
ここで、「ポリエチレン樹脂組成物」とは、ポリエチレン樹脂を主成分とする組成物を意味し、例えば、組成物の全質量に対してポリエチレン樹脂が50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは100質量%(すなわち全量)含まれる。ポリエチレン樹脂組成物に含まれるポリエチレン樹脂以外の樹脂成分は、食品用包装材に使用でき、かつシート表面への凹凸形状付与のための熱転写方法等における転写性(凹凸形状の賦形性)や後述する電子線等による架橋性に支障を来さない限り、如何なる熱可塑性樹脂でもよいが、好ましくはオレフィン樹脂である。
【0021】
また、「ポリエチレン樹脂」とは、そのモノマーの主成分がエチレンであるポリマーを意味し、ここで、「主成分」とはモノマー全量の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上を意味し、全量がエチレンであっても勿論よい。よって、ポリエチレン樹脂を例示すると、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレン等が挙げられ、また、それらの構造を有する共重合物やグラフト物やブレンド物が含まれる。後者の樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体や更に酸無水物との3元共重合体等とブレンドしたもののようにポリエチレン鎖に極性基を有する樹脂を共重合及びブレンドしたものが挙げられる。
【0022】
好ましいポリエチレン樹脂組成物は、前述のシート表面への凹凸形状の賦形性及び電子線による架橋性の観点から、直鎖状低密度ポリエチレンや直鎖状中密度ポリエチレンを含有し、より好ましくは、これらからなる。
【0023】
直鎖状低密度ポリエチレン及び直鎖状中密度ポリエチレンには、チグラー型触媒で重合されたもの(t−LLDPE)、及びメタロセン系触媒で重合されたもの(m−LLDPE)があるが、m−LLDPEは、コモノマーとして炭素数3以上のオレフィン、好ましくは炭素数3〜18の直鎖状、分岐状、芳香核で置換されたα−オレフィンとエチレンとの共重合樹脂である。直鎖状のモノオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。また、分岐状モノオレフィンとしては、例えば、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。また、芳香核で置換されたモノオレフィンとしては、スチレン等が挙げられる。これらのコモノマーは、単独または2種以上を組み合わせて、エチレンと共重合することができる。この共重合では、ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等のポリエン類を共重合させてもよい。この共重合樹脂中におけるα−オレフィン含有量は、1〜20モル%であることが一般的である。
【0024】
撥水剤は、一実施形態では、シリコーン系撥水剤であり、好ましくは、ベースとなる樹脂中にシリコーン樹脂と高級脂肪酸アミドを含有する組成物からなり、シリコーン樹脂は、特に分子量1000〜5万の低分子量シリコーン樹脂と分子量20万〜100万の高分子量シリコーン樹脂を含む。ベースとなる樹脂としては、従来から樹脂成形品の成形材料として用いられているものであれば如何なるものでもよく、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等、各種のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。また、シリコーン樹脂としては、オルガノポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、なかでも、ジメチルポリシロキサンが好適に用いられる。また、高級脂肪酸アミドは、シリコーン樹脂と相俟って、優れた防汚性を発現させる機能を果たすもので、飽和脂肪酸アミド(ステアリン酸アミドやベヘニン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等)、飽和脂肪酸ビスアミド(エチレンビスステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸ビスアミド(エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド等)等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、不飽和脂肪酸アミドであるオレイン酸アミドが好適である。
【0025】
前記シリコーン系撥水剤において、シリコーン樹脂の含有量(高分子量シリコーン樹脂と低分子量シリコーン樹脂の合計量)は、凹凸形状層を構成する樹脂の総質量に対して、つまりポリエチレン樹脂組成物及びシリコーン系撥水剤の全質量に対して、2〜10質量%である。この範囲の組成にすることによって、シート表面への凹凸形状付与のための熱転写方法等における凹凸形状の賦形性(転写性)、架橋性、撥水性を何れも満足できる凹凸形状層が得られるが、2質量%未満では十分な撥水性が得られない場合があり、10質量%を超えるとシート製造時に外観不良などが発生する場合がある。
【0026】
他の実施形態では、撥水剤はカルナバワックスであり、その含有量は、凹凸形状層を構成する樹脂の総質量に対して、3〜10質量%である。この範囲の組成にすることによって、シート表面への凹凸形状付与のための熱転写方法等における凹凸形状の賦形性(転写性)、架橋性、撥水性を何れも満足できる凹凸形状層が得られるが、3%未満では十分な撥水性が得られない場合があり、10%を超えるとシート製造時に外観不良などが発生する場合がある。
【0027】
凹凸形状は、シートに撥水性を付与するために設けられるものであり、シートに撥水性を付与することができる起伏の微細な凹凸形状を意味するが、その形状は任意である。例えば凹凸部の凸形状は、三角錐、四角錐、六角錐、八角錐、円錐などの錐形状、角錐台形状、円錐台形状でもよいが、本発明者がこれらについて種々検討した結果、釣鐘型の凸形状が好ましいことが分かった。また、凹凸形状の凸形状は、その高さhが70μm〜200μm、その径dが80μm〜500μm、その間隔tが15μm〜70μmであるものがより好ましいことが分かった。この範囲を外れた場合でも、凹凸形状としない場合に比べると優れた撥水性が得られるが、この範囲の凹凸形状にすることによって、加熱成形後でも凹凸形状を十分に維持し、撥水性を高く維持することができる。これに対して、凸形状高さが70μm未満では、加熱成形後には撥水性を十分には確保できない場合があり、凸形状高さが200μmを超えると凹凸形状を付与するための金型での凹凸形状寸法が不安定になる場合がある。凸形状径が80μm未満では凹凸形状を付与するための金型での凹凸形状寸法が不安定になる場合があり、凸形状径が500μmを超えると加熱成形後の凹凸形状面の見た目が悪くなる場合がある。また凸形状間隔が15μm未満では凹凸形状を付与するための金型での凹凸形状寸法が不安定になる場合があり、凸頂点間隔が70μmを超える場合は加熱成形後の撥水性を十分には維持できなくなる場合がある。
【0028】
凸形状の配置は特に限定はされず、
図2に示されるような千鳥配置や
図3に示されるような縦横に配置した碁盤目配置がある。加熱成形後、より撥水性を維持したければ、千鳥配置が好ましい。
【0029】
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態に係る熱可塑性樹脂シートは、
図4に示すように、撥水剤を含有するポリエチレン樹脂組成物から形成され、一方の表面側に微細な凹凸形状を有する凹凸形状層(1)と、前記凹凸形状層(1)の他方の表面側に直接積層されたスチレン系樹脂層(2a)(基材層)とを備え、凹凸形状層(1)の前記一方の表面側の少なくとも表面部が、加熱延伸後も微細な凹凸形状を維持する架橋体である、撥水性を備えたシートである。すなわち、第二実施形態に係る熱可塑性樹脂シートの層構成は、凹凸形状層(1)/スチレン系樹脂層(2a)の2層構成であり、第一実施形態に係る熱可塑性樹脂シートにスチレン系樹脂層を加えた層構成を有している。ここで、凹凸形状層は、第一実施形態における層と同じであるので、説明を省略する。但し、凹凸形状層の厚みは、好ましくは80〜250μmである。80μm未満であると、熱成形を経て引き伸ばされる際に凹凸形状層が破断し、スチレン系樹脂層が剥き出しになる場合がある。また、250μmを超えると、容器の製造コストが高くなる可能性がある。一方、本実施形態におけるスチレン系樹脂層は、凹凸形状層と十分な接着性を備えたものとするのが好ましく、このために、水添スチレン系熱可塑性エラストマーを添加した樹脂組成物を用いて形成するのが好ましい。
【0030】
<スチレン系樹脂層(2a):基材層>
基材層となるスチレン系樹脂層を構成するスチレン系樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーの単独又は共重合体、それらスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体、例えばスチレン−アクリルニトリル共重合体(AS樹脂)、又は、前記スチレン系モノマーとさらに他のポリマー、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴム質重合体の存在下にグラフト重合したグラフト重合体、例えば耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、スチレンーアクリルニトリルグラフト重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
【0031】
なかでもポリスチレン(GPPS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)が成形容器の剛性、成形性の観点から好ましい。
【0032】
スチレン系樹脂は、ブタジエンゴム成分を4.5〜8.1質量%含有することが好ましい。ブタジエンゴム成分含有量は、GPPSとHIPSのブレンドにより調整するのが簡便な方法であるが、HIPSの製造段階で調整しても構わない。4.5質量%未満であると実用上十分な容器強度が得られなくなる可能性があり、8.1質量%を超えると、熱成形時に熱盤付着等の不具合を引き起こす可能性がある。
【0033】
ここでのスチレン系樹脂には、前述のように、水添スチレン系熱可塑性エラストマーが添加される。「水添スチレン系熱可塑性エラストマー」とは、スチレン系モノマーとブタジエンやイソプレンの共重合体の水素添加物であり、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体)などが挙げられ、特にスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。具体的にはJSR社製ダイナロン8601Pや旭化成社製タフテックP2000、H1041などが好適に使用でき、スチレンとエチレン・ブチレンの組成比が12/88〜67/33の範囲のものが好ましい。
【0034】
更に、スチレン系樹脂層には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、顔料、染料などの着色剤、シリコンオイルやアルキルエステル系等の離型剤、ガラス繊維等の繊維状強化剤、タルク、クレイ、シリカなどの粒状滑剤、スルホン酸とアルカリ金属などとの塩化合物やポリアルキレングリコール等の帯電防止剤及び紫外線吸収剤、抗菌剤のような添加剤を添加することができる。また、本発明の多層樹脂シートや成形容器の製造工程で発生したスクラップ樹脂を混合して用いることもできる。
【0035】
よって、第二実施形態に係る熱可塑性樹脂シートにおいて、基材層として利用されるスチレン系樹脂層は、好ましくは、50〜10質量%(より好ましくは55〜15質量%)のポリスチレン樹脂と50〜90質量%(より好ましくは45〜85質量%)の耐衝撃性ポリスチレン樹脂とを含んでなるスチレン系樹脂層100質量部に対して5〜10質量部の水添スチレン系熱可塑性エラストマーを更に含有してなるエラストマー含有スチレン系樹脂組成物である。水添スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量が5質量部未満では層間接着性が不十分になり、層間剥離が発生する場合があり、10質量部を超えると加熱成形容器の打ち抜き時に樹脂ヒゲが発生する場合がある。
尚、水添スチレン系熱可塑性エラストマーの代わりに、他の樹脂、例えば変性オレフィン系重合体樹脂を加えることもできる。
【0036】
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態に係る熱可塑性樹脂シートは、
図5に示すように、撥水剤を含有するポリエチレン樹脂組成物から形成され、一方の表面側に微細な凹凸形状を有する凹凸形状層(1)と、前記凹凸形状層(1)の他方の表面側にシーラント樹脂層(3)を介して積層されたスチレン系樹脂層(2b)(基材層)とを備え、凹凸形状層(1)の前記一方の表面側の少なくとも表面部が、加熱延伸後も微細な凹凸形状を維持する架橋体である、撥水性を備えたシートである。すなわち、第三実施形態に係る熱可塑性多層樹脂シートの層構成は、上から下に向かって、凹凸形状層(1)/シーラント樹脂層(3)/スチレン系樹脂層(2b)である。ここで、凹凸形状層は、第一実施形態において説明したものと同じであるので、説明を省略する。但し、凹凸形状層の厚みは、好ましくは80〜250μmである。80μm未満であると、熱成形を経て引き伸ばされる際に凹凸形状層が破断し、シーラント樹脂層(3)が剥き出しになる場合がある。また、250μmを超えると、容器の製造コストが高くなる可能性がある。
【0037】
<シーラント樹脂層(3)>
シーラント樹脂層は、凹凸形状層とスチレン系樹脂層(基材層)の接着性を発現させるものである。樹脂成分としては、90〜95質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂と、5〜10質量%の水添スチレン系熱可塑性エラストマーを含有してなる樹脂、あるいは100質量%の水添スチレン系熱可塑性エラストマー、又は100質量%の変性オレフィン系重合体樹脂がある。
【0038】
「スチレン系樹脂」とは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーの単独または共重合体、それらスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体、例えばスチレン−アクリルニトリル共重合体(AS樹脂)、または、前記スチレン系モノマーとさらに他のポリマー、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴム質重合体の存在下にグラフト重合したグラフト重合体、例えば耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、スチレンーアクリルニトリルグラフト重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
【0039】
なかでも耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)が成形容器の剛性、成形性の観点から好ましい。
【0040】
「水添スチレン系熱可塑性エラストマー」とは、スチレン系モノマーとブタジエンやイソプレンの共重合体の水素添加物であり、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体)などが挙げられ、特にスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。具体的にはJSR社製ダイナロン8601Pや旭化成社製タフテックP2000、H1041などが好適に使用でき、スチレンとエチレン・ブチレンの組成比が12/88〜67/33の範囲のものが好ましい。
【0041】
「変性オレフィン系重合体樹脂」とは、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のオレフィンの単独重合体、それらのオレフィンとエチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のオレフィンや酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等のオレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のオレフィン系ゴムを、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、または、その酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸グリシジル等でグラフト反応条件下に変性したものが代表的なものとして挙げられる。
【0042】
なかでも、不飽和ジカルボン酸またはその無水物、特にマレイン酸またはその無水物で変性したエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、又はエチレン−プロピレン又はブテン−1共重合体ゴムが好適である。
【0043】
シーラント樹脂層の厚みは、好ましくは20〜90μm、より好ましくは30〜70μmである。20μm未満であると、容器成形時に凹凸形状層と基材層間で層間剥離が発生する場合があり、また、90μmを超えると、加熱成形容器の打ち抜き時に樹脂ヒゲが発生する場合がある。
【0044】
<スチレン系樹脂層(2b):基材層>
基材層となるスチレン系樹脂層を構成するスチレン系樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーの単独又は共重合体、それらスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体、例えばスチレン−アクリルニトリル共重合体(AS樹脂)、又は、前記スチレン系モノマーとさらに他のポリマー、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴム質重合体の存在下にグラフト重合したグラフト重合体、例えば耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、スチレンーアクリルニトリルグラフト重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
【0045】
なかでもポリスチレン(GPPS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)が成形容器の剛性、成形性の観点から好ましい。
【0046】
スチレン系樹脂は、ブタジエンゴム成分を4.5〜8.1質量%含有することが好ましい。ブタジエンゴム成分含有量は、GPPSとHIPSのブレンドにより調整するのが簡便な方法であるが、HIPSの製造段階で調整しても構わない。4.5質量%未満であると実用上十分な容器強度が得られなくなる可能性があり、8.1質量%を超えると、熱成形時に熱盤付着等の不具合を引き起こす可能性がある。
【0047】
スチレン系樹脂層には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、顔料、染料などの着色剤、シリコンオイルやアルキルエステル系等の離型剤、ガラス繊維等の繊維状強化剤、タルク、クレイ、シリカなどの粒状滑剤、スルホン酸とアルカリ金属などとの塩化合物やポリアルキレングリコール等の帯電防止剤及び紫外線吸収剤、抗菌剤のような添加剤を添加することができる。また、本発明の多層樹脂シートや成形容器の製造工程で発生したスクラップ樹脂を混合して用いることもできる。
【0048】
[第四実施形態]
本発明の第四実施形態に係る熱可塑性多層樹脂シートは、
図6に示すように、撥水剤を含有するポリエチレン樹脂組成物から形成され、一方の表面側に微細な凹凸形状を有する凹凸形状層(1)の他方の表面側に、酸素バリア性樹脂層(4)がその一方の面を該凹凸形状層側にしかつ凹凸形状層側から順にシーラント樹脂層(5)と変性オレフィン系重合体樹脂層(6a)を介して積層され、該酸素バリア性樹脂層の他方の面には、スチレン系樹脂層(2b)が変性オレフィン系重合体樹脂層(6b)を介して積層されてなる、撥水性を備えたシートである。すなわち、第四実施形態に係る熱可塑性樹脂シートの層構成は、上から下に向かって、凹凸形状層(1)/シーラント樹脂層(5)/変性オレフィン系重合体樹脂層(6a)/酸素バリア性樹脂層(4)/変性オレフィン系重合体樹脂層(6b)/スチレン系樹脂層(2b)である。
ここで、凹凸形状層は第一実施形態において説明したものと同じであり、スチレン系樹脂層(基材層)(2b)は第三実施形態において説明したものと同じであるので、説明を省略する。但し、凹凸形状層の厚みは、好ましくは80〜250μmである。80μm未満であると、熱成形を経て引き伸ばされる際に凹凸形状層が破断し、シーラント樹脂層(5)が剥き出しになる場合がある。また、250μmを超えると、容器の製造コストが高くなる可能性がある。
【0049】
<シーラント樹脂層(5)>
シーラント樹脂としては、スチレン−ブタジエンブロック(SBS)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体に水素添加したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)やスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)等の一種以上を含有する樹脂組成物であり、中でもスチレン−ブタジエン共重合体に水素添加したSEBSが好ましい。シーラント樹脂層の厚みとしては、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜40μmである。10μm未満であると、十分な層間接着強度が得られなくなる場合があり、また、50μmを超えると、熱成形容器の打ち抜き時に樹脂ヒゲが発生する場合がある。
【0050】
<酸素バリア性樹脂層(4)>
酸素バリア性樹脂層を構成する酸素バリア性樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂等が代表的なものとして挙げられる。そのなかでも、加工性、成形性の面でエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂が好ましい。
【0051】
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものであり、酸素バリア性、加工性、成形性を具備する為に、エチレン含有量が10〜65モル%、好ましくは20〜50モル%で、鹸化度が90%以上、好ましくは95%以上のものが好ましい。
【0052】
また、ポリアミド樹脂としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
【0053】
ポリアミド樹脂として、具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等があり、なかでもナイロン6、ナイロンMXD6が好適である。
【0054】
酸素バリア性樹脂層の厚みは、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜40μmである。10μm未満であると、成形容器の内容物の酸化による品質低下を抑える程度の酸素バリア性能が得られない場合があり、また、50μmを超えると、加熱成形容器の打ち抜き時に樹脂ヒゲが発生する場合がある。
【0055】
<変性オレフィン系重合体樹脂層(6a,6b)>
各変性オレフィン系重合体樹脂層を構成する変性オレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のオレフィンの単独重合体、それらのオレフィンとエチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のオレフィンや酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等のオレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のオレフィン系ゴムを、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、又は、その酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸グリシジル等でグラフト反応条件下に変性したものが代表的なものとして挙げられる。
【0056】
なかでも、不飽和ジカルボン酸またはその無水物、特にマレイン酸またはその無水物で変性したエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、又はエチレン−プロピレン又はブテン−1共重合体ゴムが好適である。
【0057】
変性オレフィン系重合体樹脂層の厚みとしては、何れの側も、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜40μmである。10μm未満であると、十分な層間接着強度が得られなくなる場合があり、また、50μmを超えると、加熱成形容器の打ち抜き時に樹脂ヒゲが発生する場合がある。
【0058】
<熱可塑性樹脂シートの製造>
本発明に係る熱可塑性樹脂シートの製造方法は、限定されず、如何なる方法によってもよいが、典型的には、一方の表面側に凹凸形状を有する凹凸形状層からなる単層シート又は該凹凸形状層を含む多層の積層樹脂シートを作製し、ついで、凹凸形状層の凹凸形状の表面に電子線照射により架橋処理を施す工程を含んでなる。
【0059】
先ず、一方の表面側に凹凸形状を有する凹凸形状層からなる単層シート又は該凹凸形状層を含む多層の積層樹脂シートの作製に際しては、任意の樹脂シート形成方法を使用できる。例えば、単層の場合は1台の単軸押出機を、複層の場合は複数台の単軸押出機を用いて、各々の原料樹脂を溶融押出し、Tダイによって樹脂シートを得る方法が挙げられる。多層の場合は、マルチマニホールドダイを使用してもよい。尚、本発明の熱可塑性樹脂シートの各実施形態の層構成は、基本的に前述した通りであるが、他に、例えば、本発明の樹脂シートや成形容器の製造工程で発生したスクラップ原料を、物性等の劣化が見られない限り、スチレン系樹脂層等へ添加してもよいし、更なる層として積層してもよい。
【0060】
次に、単層又は積層された多層樹脂シートに凹凸形状を形成するが、この方法も特に制限はなく、当業者に知られている任意の方法を使用することができる。例えば、押出成形方式を用いて製造する方法、フォトリソグラフィー方式を用いて製造する方法、熱プレス方式を用いて製造する方法、パターンロールとUV硬化樹脂とを用いて製造する方法等である。
【0061】
次に、凹凸形状層の凹凸形状を、加熱成形後においても保持し、所望の撥水性を維持するために、凹凸形状層の少なくとも表面部を架橋体とする。ここで、「凹凸形状層の少なくとも表面部」とは、シート表面となる凹凸形状層の表面部であって、凹凸形状部のほぼ全体を含む部位を意味する。この架橋処理は、樹脂シートの凹凸形状層が存在しているシート表面に対して電子線を照射することにより、行うことができる。すなわち、前述のように、凹凸形状層は、ポリエチレン樹脂を含有する組成物を用いて形成されている。ポリエチレンは、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ビニルアルコール、ポリアミドなどと同様に、電子線照射により分子鎖架橋が優先的に進行する架橋型高分子であり、なかでも直鎖状低密度ポリエチレンや直鎖状中密度ポリエチレンが架橋しやすく、特に直鎖状低密度ポリエチレンが最も架橋しやすい。よって、凹凸形状層が存在しているシート表面に対して電子線を照射すると、凹凸形状層の少なくとも表面部を架橋体とすることができる。
【0062】
ポリエチレン樹脂に対する電子線照射の条件は、加速電圧が110〜250kV、線量が150〜300kGyである。この条件範囲で電子線を凹凸形状シートの表面に照射することで、少なくとも表面部を、加熱成形後でも凹凸形状を維持する架橋体とすることが可能となる。また、単層の場合に凹凸形状シート全体へ照射しても、凹凸形状が形成されている反対面への電子線照射量は少量になるため、物性等に影響する虞はなく、また複層の場合に凹凸形状層を越えて照射しても、シーラント樹脂層等への電子線照射量は少量になるため、層間接着性等に影響する虞はない。これに対して、この条件よりも弱い照射条件では、凹凸形状層の凹凸形状部分を、その形状が加熱延伸後もほぼ維持される程度まで架橋させることができない一方、この条件よりも強い照射条件では、包装用の蓋材とのシール性不良(十分な剥離強度が発生しない)の虞がある。ここで、凹凸形状層の形成される架橋体の架橋度合いは、特に限定されるものではないが、熱可塑性多層樹脂シートを0.05〜2.5倍の延伸倍率で加熱延伸した場合に延伸前後の凸形状の高さが十分に維持され、好ましくは高さの低下率が30%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下となる程度に架橋させる。上記延伸倍率は、食品用容器の成形において、容器の縁部部分の延伸倍率の一例であるが、他の用途の成形容器等においても、同一の条件下で加熱延伸した場合の凸形状高さの低下率を指標として架橋度合いを定めることができ、この条件を満たすシートによって成形した容器では、前述の撥水剤による撥水性との併用で、所望の撥水性が得られる。
【0063】
<熱可塑性多層樹脂シート>
本発明の熱可塑性多層樹脂シートの厚みは、好ましくは500〜1200μm、より好ましくは700〜1000μmである。500μm未満では、熱成形して得られる容器の強度が不十分となる可能性があり、1200μmを超えると、容器の製造コストが高くなる場合がある。
【0064】
本発明の熱可塑性多層樹脂シートは、シートの一方の面に、撥水剤を含有し、加熱延伸後も微細な凹凸形状を維持する凹凸形状層を設けているので、微細な凹凸形状と撥水剤による撥水性が相俟って優れた撥水性を示す。すなわち、本発明の熱可塑性多層樹脂シートでは、前述のように、液体の接触角が100°以上であり、十分な撥水性を有しており、接触角が100°未満ではシート上で十分な撥水性が得られない場合があり、撥水性を具備しているとは言えない。
【0065】
<成形容器>
本発明の成形容器は、本発明の熱可塑性樹脂シートを熱成形してなるもので、好ましくは、食品用容器、例えばヨーグルト容器である。熱成形方法としては、一般的な真空成形、圧空成形やこれらの応用として、シートの片面にプラグを接触させて成形を行うプラグアシスト法、シートの両面に一対をなす雄雌型を接触させて成形を行う、いわゆるマッチモールド成形と称される方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、成形前にシートを加熱軟化させる方法として非接触加熱である赤外線ヒーター等による輻射加熱等、公知のシート加熱方法を適応することができる。
本発明の成形容器は撥水性を有する。すなわち、成形容器の上縁部において、前述のように、液体の接触角が100°以上であり、接触角が100°未満では成形容器の上縁部で十分な撥水性が得られない場合があり、撥水性を具備しているとは言えない。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
【0067】
実施例等で用いた各種原料は以下の通りである。
(1)凹凸形状層
・(A)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂:「UF240」(日本ポリエチレン社製)
・(B)シリコーン系撥水剤(シリコーン樹脂/オレフィン系樹脂からなる樹脂組成物):「クリンベル 30PE」(富士ケミカル社製;シリコーン樹脂含有量30質量%)
・(C)カルナバワックス(日興リカ社製)
(2)シーラント樹脂層及び変性オレフィン系重合体樹脂層
・(D)耐衝撃性ポリスチレン樹脂「トーヨースチロールH850N」
(東洋スチレン社製、ブタジエン含量9.0質量%)
・(E)水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテックP2000」(旭化成社製)
・(F)変性オレフィン系重合体樹脂「モディックF502」(三菱化学社製)
・(G)水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテックH1041」(旭化成社製)
(3)スチレン系樹脂層
・(D)耐衝撃性ポリスチレン樹脂:「トーヨースチロールH850」(東洋スチレン社製、ブタジエン含量9.0質量%)
・(E)水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテックP2000」(旭化成社製)
・(H)ポリスチレン樹脂:「HRM23」(東洋スチレン社製)
(4)酸素バリア性樹脂層
・(I)エチレン−ビニルアルコール共重合体:「エバールJ−102B」(クラレ(株)製、エチレン含量32mol%、鹸化度99%以上)
【0068】
実施例等で作製した熱可塑性樹脂シートとその熱可塑性樹脂シートを使用して成形した容器についての各種特性の評価方法は以下の通りである。
(1)成形性
次の基準でヨーグルト容器の成形性を評価した。
良好:成形性良好
不良:加熱時、成形時に穴あき等が発生し、成形不良発生
(2)凹凸形状観察
シートの表面部の凹凸形状と、成形したヨーグルト容器の上縁部(
図7参照)における凹凸形状を、レーザー顕微鏡VK−X100(キーエンス社製)を用いて観察し、シートについては凸形状高さ、凸形状径、凸形状間隔を測定し、ヨーグルト容器については凸形状高さのみを記録した。また、凹凸形状断面観察用サンプルはミクロトームを用いて作製した。
(3)延伸倍率
延伸倍率は、成形したヨーグルト容器において、容器の上縁部(
図7参照)の厚みを測定し、下記の式で算出した。
延伸倍率=シート厚み/成形品縁部の厚み
(4)凸形状高さの低下率
凸形状高さの低下率は、成形したヨーグルト容器において、容器の上縁部(
図7参照)の凸形状高さを測定し、下記の式で算出した。
【数1】
凸形状高さの低下率が30%以下であると、成形前後で微細な凹凸形状が維持されていると判定できる。
(5)接触角
接触角は、シートと成形したヨーグルト容器について、自動接触角計DM−501(協和界面科学社製)を用いて測定した。ヨーグルト容器においては、容器の上縁部(
図7参照)を測定した。また、試験液はヨーグルト(森永乳業社製「ビヒダスプレーン」)を用い、滴下量は2μLとした。
接触角が100°以上であると撥水性が高く、ヨーグルトの付着を防止できると判定できる。
(6)打ち抜き性
成形したヨーグルト容器の打ち抜き(
図8参照)後、容器の切断面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
良好:切断面に樹脂ヒゲが見られない。
不良:切断面に樹脂ヒゲ、バリが見られる。
(7)容器強度
成形したヨーグルト容器の強度を、ストログラフVE1D(東洋精機社製)を用い、JIS K7181に準拠し、試験速度50mm/minの条件下で測定し、圧縮強度が25N以上であるものを良好と判定した。
(8)酸素透過率
シートの酸素透過率は、OX−TRAN酸素透過率測定装置(Mocon社製)を用いて、JIS K7126−B法に準拠し、温度25℃、相対湿度65%の測定条件下で測定した。酸素透過率が3.0ml/m
2・day・atm未満であると酸素バリア性が良好であると判定できる。
【0069】
<実施例1(
図1の層構成)>
40mm単軸押出機を使用し、Tダイ法により、厚み900μmの樹脂シート得た。樹脂シートは、ポリエチレン樹脂90質量%とシリコーン系撥水剤10質量%を混合したポリエチレン樹脂組成物(シリコーン樹脂含有量は凹凸形状層の総質量の3質量%)によって形成した。
【0070】
上記で得た樹脂シートを、下記条件で、エッチング法により作製した260mm角の板状の金型を用いて熱プレス成形し、樹脂シートの凹凸形状層に微細な凹凸形状を付与した。
使用機器:熱プレス機 MP−WNL(東洋精機社製)
上熱盤温度:135℃
下熱盤温度:135℃
プレス圧力:16MPa
【0071】
上記で得た凹凸形状を付与した熱可塑性樹脂シートを、電子線照射装置(アイ・エレクトロンビーム社製)を用いて、加速電圧:200kV、線量:250kGyの照射条件で電子線照射し、凹凸形状の架橋処理を実施した。このようにして形成された熱可塑性樹脂シートの組成、厚み、電子線照射条件を表1に示す。
【0072】
また上記のようにして作製した樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。また、得られた樹脂シートについて、ヨーグルト容器の金型を用い、真空/圧空成形機(浅野研究所社製)でヨーグルト容器の成形品(
図7参照)を作製し、その容器についての各種特性も前述の方法によって評価した。結果を表2に示す。
【0073】
【表1】
【表2】
【0074】
<実施例2〜10、比較例1〜5>
凹凸形状シートの組成、厚み、電子線照射条件を、表1に示すように設定した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜10及び比較例1〜5に係る樹脂シートを作製し、ヨーグルト容器へ成形した。
尚、比較例1では撥水材を添加せず、ヨーグルト容器縁部が延伸倍率4倍になるように加熱成形し、比較例2では凹凸加工を実施せず、比較例3では電子線照射による架橋処理を実施せず、比較例4ではスチレン系樹脂組成のみの単層シートとし、比較例5では電子線照射の線量を325kGyとした。
【0075】
表2に示した結果から以下のことが明らかになった。
実施例1〜10の全てにおいて、シートでの撥水性、及び成形品での凸形状高さ低下率、撥水性、成形性の基準を全て満足する結果が得られた。これに対して、比較例1ではヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、比較例2ではシート、ヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、比較例3では電子線架橋を実施せず、ヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、撥水性が得られず、比較例4ではスチレン系樹脂組成のみであり、ヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、撥水性が得られず、比較例5では、ヨーグルト容器成形時にシートが延伸により破断した。
【0076】
<実施例11(
図4の層構成)>
2台の40mm単軸押出機を使用し、フィードブロック法により、凹凸形状層100μm/スチレン系樹脂層800μmという層構成を有する厚み900μmの多層樹脂シート得た。凹凸形状層は、ポリエチレン樹脂90質量%とシリコーン系撥水剤10質量%を混合したポリエチレン樹脂組成物(シリコーン樹脂含有量は凹凸形状層の総質量の3質量%)によって形成し、またスチレン系樹脂としては、HIPS樹脂とGPPS樹脂、水添スチレン系熱可塑性エラストマーを質量比80/20/5(HIPS/GPPS/SBBS)で混合したものを用いた(基材層中のHIPS樹脂のブタジエンゴム成分含有量:7.2質量%)。
【0077】
上記で得た多層樹脂シートを、下記条件で、エッチング法により作製した260mm角の板状の金型を用いて熱プレス成形し、多層樹脂シートの凹凸形状層に微細な凹凸形状を付与した。
使用機器:熱プレス機 MP−WNL(東洋精機社製)
上熱盤温度:135℃
下熱盤温度:135℃
プレス圧力:16MPa
【0078】
上記で得た凹凸形状を付与した熱可塑性多層樹脂シートを、電子線照射装置(アイ・エレクトロンビーム社製)を用いて、加速電圧:200kV、線量:250kGyの照射条件で電子線照射し、凹凸形状層の架橋処理を実施した。このようにして形成された熱可塑性多層樹脂シートの各層の組成、層構成、厚み、電子線照射条件を表3に示す。
【0079】
また上記のようにして作製した多層樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。また、得られた多層樹脂シートについて、ヨーグルト容器の金型を用い、真空/圧空成形機(浅野研究所社製)でヨーグルト容器の成形品(
図7参照)を作製し、その容器についての各種特性も前述の方法によって評価した。結果を表4に示す。
【0080】
【表3】
【表4】
【0081】
<実施例12〜20、比較例6〜11>
凹凸形状層、その他の多層樹脂シート各層の組成、厚み、電子線照射条件を、表3に示すように設定した以外は実施例11と同様にして、実施例12〜20及び比較例6〜11に係る多層樹脂シートを作製し、ヨーグルト容器へ成形した。
尚、比較例6では撥水材を添加せず、ヨーグルト容器縁部が延伸倍率4倍になるように加熱成形し、比較例7では撥水剤を添加せず、基材層のポリスチレン樹脂が70質量%であり、比較例8では凹凸加工を実施せず、基材層のポリスチレン樹脂が70質量%であり、比較例9では電子線照射による架橋処理を実施せず、基材層の水添スチレン系熱可塑性エラストマーが25質量%であり、比較例10では基材層の水添スチレン系熱可塑性エラストマーを添加せず、比較例11ではスチレン系樹脂組成のみの単層シートとした。
【0082】
表4に示した結果から以下のことが明らかになった。
実施例11〜20の全てにおいて、シートでの撥水性、及び成形品での凸形状高さ低下率、撥水性、打ち抜き性、容器強度基準を全て満足する結果が得られた。これに対して、比較例6ではヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、比較例7ではヨーグルト容器縁部である程度の撥水性が得られているが、容器強度が不十分であり、比較例8では、シート、ヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、容器強度も不十分であった。比較例9では電子線架橋を実施せず、ヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、撥水性が得られず、容器打ち抜き時の樹脂バリも発生した。比較例10では、基材層の水添スチレン系熱可塑性エラストマーを添加していないため、凹凸形状層と基材層で層間剥離が発生した。比較例11ではヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、ヨーグルト容器縁部で撥水性が得られなかった。
【0083】
<実施例21(
図5の層構成)>
3台の40mm単軸押出機を使用し、フィードブロック法により、凹凸形状層100μm/シーラント樹脂層20μm/スチレン系樹脂層780μmという層構成を有する厚み900μmの多層樹脂シート得た。凹凸形状層は、ポリエチレン樹脂90質量%とシリコーン系撥水剤10質量%を混合したポリエチレン樹脂組成物(シリコーン樹脂含有量は凹凸形状層の総質量の3質量%)によって形成し、またスチレン系樹脂としては、HIPS樹脂とGPPS樹脂を質量比80/20(HIPS/GPPS)で混合したものを用いた(基材層中のHIPS樹脂のブタジエンゴム成分含有量:7.2質量%)。
【0084】
上記で得た多層樹脂シートを、下記条件で、エッチング法により作製した260mm角の板状の金型を用いて熱プレス成形し、多層樹脂シートの凹凸形状層に微細な凹凸形状を付与した。
使用機器:熱プレス機 MP−WNL(東洋精機社製)
上熱盤温度:135℃
下熱盤温度:135℃
プレス圧力:16MPa
【0085】
上記で得た凹凸形状を付与した熱可塑性多層樹脂シートを、電子線照射装置(アイ・エレクトロンビーム社製)を用いて、加速電圧:200kV、線量:250kGyの照射条件で電子線照射し、凹凸形状層の架橋処理を実施した。このようにして形成された熱可塑性多層樹脂シートの各層の組成、層構成、厚み、電子線照射条件を表5に示す。
【0086】
また上記のようにして作製した多層樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。また、得られた多層樹脂シートについて、ヨーグルト容器の金型を用い、真空/圧空成形機(浅野研究所社製)でヨーグルト容器の成形品(
図7参照)を作製し、その容器についての各種特性も前述の方法によって評価した。結果を表6に示す。
【0087】
【表5】
【表6】
【0088】
<実施例22〜30、比較例12〜17>
凹凸形状層、その他の多層樹脂シート各層の組成、厚み、電子線照射条件を、表5に示すように設定した以外は実施例21と同様にして、実施例22〜30及び比較例12〜17に係る多層樹脂シートを作製し、ヨーグルト容器へ成形した。
尚、比較例12では撥水材を添加せず、ヨーグルト容器縁部が延伸倍率4倍になるように加熱成形し、比較例13では撥水剤を添加せず、基材層のポリスチレン樹脂が70質量%であり、比較例14では凹凸加工を実施せず、基材層のポリスチレン樹脂が70質量%であり、比較例15では電子線照射による架橋処理を実施せず、比較例16ではシーラント樹脂層を積層しない多層樹脂シートとした。比較例17ではスチレン系樹脂組成のみの単層シートとした。
【0089】
表5に示した結果から以下のことが明らかになった。
実施例21〜30の全てにおいて、シートでの撥水性、及び成形品での凸形状高さ低下率、撥水性、打ち抜き性、容器強度基準を全て満足する結果が得られた。これに対して、比較例12ではヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、比較例13ではヨーグルト容器縁部である程度の撥水性が得られているが、容器強度は不十分であった。比較例14では、シート、ヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、容器強度も不十分であった。比較例15では電子線架橋を実施せず、ヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、撥水性が得られず、容器打ち抜き時の樹脂バリも発生した。比較例16では、シーラント樹脂層を積層していないため、凹凸形状層と基材層で層間剥離が発生した。比較例17では、ヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、ヨーグルト容器縁部で撥水性が得られなかった。
【0090】
<実施例31>
5台の40mm単軸押出機を使用し、フィードブロック法により、凹凸形状層100μm/シーラント樹脂層20μm/変性オレフィン系重合体樹脂層A20μm/酸素バリア性樹脂層30μm/変性オレフィン系重合体樹脂層B20μm/スチレン系樹脂層710μmという層構成を有する厚み900μmの多層樹脂シート得た。凹凸形状層は、ポリエチレン樹脂90質量%とシリコーン系撥水剤10質量%を混合したポリエチレン樹脂組成物(シリコーン樹脂含有量は凹凸形状層の総質量の3質量%)によって形成し、またスチレン系樹脂層としては、HIPS樹脂とGPPS樹脂を質量比80/20(HIPS/GPPS)で混合したものを用いた(基材層中のHIPS樹脂のブタジエンゴム成分含有量:7.2質量%)。
【0091】
上記で得た多層樹脂シートを、下記条件で、エッチング法により作製した260mm角の板状の金型を用いて熱プレス成形し、多層樹脂シートの凹凸形状層に微細な凹凸形状を付与した。
使用機器:熱プレス機 MP−WNL(東洋精機社製)
上熱盤温度:135℃
下熱盤温度:135℃
プレス圧力:16MPa
【0092】
上記で得た凹凸形状を付与した熱可塑性多層樹脂シートを、電子線照射装置(アイ・エレクトロンビーム社製)を用いて、加速電圧:200kV、線量:250kGyの照射条件で電子線照射し、凹凸形状層の架橋処理を実施した。このようにして形成された熱可塑性多層樹脂シートの各層の組成、層構成、厚み、電子線照射条件を表7に示す。
【0093】
また上記のようにして作製した多層樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。また、得られた多層樹脂シートについて、ヨーグルト容器の金型を用い、真空/圧空成形機(浅野研究所社製)でヨーグルト容器の成形品(
図7参照)を作製し、その容器についての各種特性も前述の方法によって評価した。結果を表8に示す。
【表7】
【表8】
【0094】
<実施例32〜40、比較例18〜23>
凹凸形状層、その他の多層樹脂シート各層の組成、厚み、電子線照射条件を、表7に示すように設定した以外は実施例31と同様にして、実施例32〜40及び比較例18〜23に係る多層樹脂シートを作製し、ヨーグルト容器へ成形した。
尚、比較例18では撥水材を添加せず、ヨーグルト容器縁部が延伸倍率4倍になるように加熱成形し、比較例19では凹凸形状を付与せず、比較例20では電子線照射による架橋処理を実施せず、比較例21ではシーラント樹脂層を積層しない多層樹脂シートとした。比較例22では酸素バリア樹脂層を積層せず、凸形状高さを低いものとし、比較例23ではスチレン系樹脂組成のみの単層シートとした。
【0095】
表8に示した結果から以下のことが明らかになった。
実施例31〜40の全てにおいて、シートでの撥水性、酸素バリア性、及び成形品での凸形状高さ低下率、撥水性、打ち抜き性、容器強度基準を全て満足する結果が得られた。これに対して、比較例18ではヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、比較例19ではシート、ヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、容器の強度も不十分であった。比較例20では、ヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、撥水性が得られず、容器打ち抜き時の樹脂バリも発生した。比較例21では、シーラント樹脂層を積層していないため、凹凸形状層と変性オレフィン系重合体樹脂層で層間剥離が発生した。比較例22では、酸素透過率が著しく高く、ヨーグルト容器縁部での撥水性が得られなかった。比較例23では、ヨーグルト容器縁部の凸形状の高さが維持されないため、ヨーグルト容器縁部で撥水性が得られず、酸素透過率が著しく高い結果となった。
【0096】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。