(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338568
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】センサ信号のエネルギー効率的測定のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01D 3/032 20060101AFI20180528BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20180528BHJP
B60R 16/023 20060101ALN20180528BHJP
【FI】
G01D3/032
G06F3/041 522
!B60R16/023 Z
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-506243(P2015-506243)
(86)(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公表番号】特表2015-520841(P2015-520841A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】EP2013058128
(87)【国際公開番号】WO2013156579
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年4月12日
(31)【優先権主張番号】61/635,508
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/843,259
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511242328
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドルフナー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】カルトナー, クラウス
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−090519(JP,A)
【文献】
特開2005−308618(JP,A)
【文献】
特開2005−308617(JP,A)
【文献】
米国特許第06462560(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 3/00 − 036
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ信号を測定するための方法であって、前記方法は、
a)センサからサンプリングされた複数のセンサ信号を含む信号パケットを伝送することと、前記信号パケットを受信することと、
b)前記複数のセンサ信号から信号レベルを判定することと、
c)前記判定された信号レベルにおける変動を判定することと、
d)前記判定された変動と所定の雑音閾値とを比較し、前記変動が前記雑音閾値以下の場合には、前記信号レベルは、所定の閾値レベルと比較され、前記変動が前記雑音閾値を上回る場合には、前記信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、前記加算された信号レベルを平均化することと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップa)からc)の反復の間、ステップc)において、現在の信号パケットの変動が前記所定の雑音閾値を下回ると判定される場合には、前記加算された信号レベルを破棄し、前記現在の信号パケットの信号レベルが所定の閾値レベルと比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反復の数は、1〜256の所定の数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
後続の測定の間に遅延を挿入することによって、反復測定を遅延させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記遅延は、反復毎に変動される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記遅延は、反復毎に増加される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記遅延は、反復毎に減少される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記信号パケットの反復の間の全遅延の遅延合計は、2つの後続の信号パケットの間の時間に等しい、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)を行った後、ステップd)において前記変動が前記雑音閾値以下であると判定された場合には、検証測定値が0よりも大きいかどうかを判定することと、
前記検証測定値が0よりも大きいと判定された場合には、信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、加算された信号レベルを平均化することと、
前記検証測定値が0以下であると判定された場合には、前記検証測定値と所定の検証値とを比較することと、
前記検証測定値が前記所定の検証値を下回ると判定された場合には、前記検証測定値を1だけ増加させることと、
前記検証測定値が前記所定の検証値以上であると判定された場合には、前記検証測定値を0にリセットすることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)からc)の反復を遅延させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)からc)の後続の反復の間の遅延を変動させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記信号レベルは、センサの状態を判定するために、閾値レベルと比較される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
センサ状態が変化したかどうかの判定を検証することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
センサ状態変化の判定を検証することは、前記センサの現在の状態が、前記閾値レベルを下回る信号レベルである第1の状態である最小測定セット、または、前記センサの現在の状態が、前記閾値レベルを上回る信号レベルである第2の状態である最小測定セットのいずれかを必要とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
センサ信号を測定するための方法であって、前記方法は、
a)センサからサンプリングされた複数のセンサ信号を含む信号パケットを伝送することと、複数のセンサ信号を含む前記信号パケットを受信することと、
b)前記サンプリングされたセンサ信号から信号レベルを判定することと、
c)前記判定された信号レベルにおける変動を判定することと、
d)前記判定された変動と所定の雑音閾値とを比較し、前記変動が前記雑音閾値以下の場合には、前記信号レベルは、所定の閾値レベルと比較され、前記変動が前記雑音閾値を上回る場合には、前記信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、前記加算された信号レベルを平均化することであって、ステップa)からc)の反復の間、ステップc)において、現在の信号パケットの変動が前記所定の雑音閾値を下回ると判定される場合には、前記加算された信号レベルを破棄し、前記現在の信号パケットの信号レベルが所定の閾値レベルと比較される、ことと
を含む、方法。
【請求項16】
後続の測定の間に遅延を挿入することによって、反復測定を遅延させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップc)を行った後、ステップd)において前記変動が前記雑音閾値以下であると判定された場合には、検証測定値が0よりも大きいかどうかを判定することと、
前記検証測定値が0よりも大きいと判定された場合には、信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、加算された信号レベルを平均化することと、
前記検証測定値が0以下であると判定された場合には、前記検証測定値と所定の検証値とを比較することと、
前記検証測定値が前記所定の検証値を下回ると判定された場合には、前記検証測定値を1だけ増加させることと、
前記検証測定値が前記所定の検証値以上であると判定された場合には、前記検証測定値を0にリセットすることと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
センサ状態変化の判定を検証することは、前記センサの現在の状態が、前記閾値レベルを下回る信号レベルである第1の状態である最小測定セット、または、前記センサの現在の状態が、前記閾値レベルを上回る信号レベルである第2の状態である最小測定セットのいずれかを必要とする、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2012年4月19日に出願された米国仮出願第61/635,508号の利益を主張する。上記文献は、その全体として本明細書において援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、センサ信号、特に、雑音を受けるセンサ信号、特に、容量センサ信号のエネルギー効率的測定に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ヒューマンデバイスインターフェースは、容量タッチ感知および/または容量近接検出に基づく、タッチ感知およびジェスチャ検出システムを含む。多くのシステムでは、これらの容量センサおよび関連付けられた検出回路は、常時、給電される必要があり、個別の電力消費は、多くの場合、充電可能バッテリの通常の放電電流の範囲内において、最小限に保たれる。他のセンサ技術も、類似問題に直面する。
【0004】
任意のセンサベースの技術では、センサ信号は、多くの場合、環境影響を受け、特に、雑音信号は、センサ信号に不適切に重畳される。雑音源として、例えば、連続雑音源、パルス状雑音源、広帯域および狭帯域雑音源、周波数−、振幅−、および位相変調−雑音源、可変および/または固定周波数雑音源が挙げられる。例えば、フィルタリングを通した実際のセンサ信号の展開は、問題となり得る。これは、センサがモバイルデバイス内に実装される場合、さらに困難となる可能性があり、かつ付加的電力を要求する場合があり、電力消費を非効率的にし得る。故に、センサベースのシステム、特に、モバイルシステムにおいて、効率的データ取得の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
ある実施形態によると、センサ信号を測定するための方法は、a)複数のサンプリングされたセンサ信号を含む信号パケットを受信することと、b)該サンプリングされたセンサ信号から信号レベルを判定することと、c)パケット内の信号変動を判定することと、d)判定された信号変動を所定の雑音閾値と比較し、変動が雑音閾値を下回る場合、さらなる処理のために信号パケットを使用し、変動が雑音閾値を上回る場合、信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、および、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、加算された信号レベルを平均化することとを含んでもよい。
【0006】
さらなる実施形態によると、ステップa)からc)の反復の間、ステップc)において、
現在の信号パケットの信号変動が、所定の雑音閾値を下回ると判定される場合、加算された信号レベルを破棄し、
現在の信号パケットの信号レベルを使用する。さらなる実施形態によると、反復の数は、1〜256の所定の数であることができる。さらなる実施形態によると、信号パケットは、伝送された信号と同期する受信された信号のサンプリングを含んでもよい。さらなる実施形態によると、信号パケットは、搬送波の最大および最小ピーク値のサンプリング値を含んでもよい。さらなる実施形態によると、本方法はさらに、後続測定間に遅延を挿入することによって、反復測定を遅延させることを含んでもよい。さらなる実施形態によると、遅延は、反復毎に変動されることができる。さらなる実施形態によると、遅延は、反復毎に増加されることができる。さらなる実施形態によると、遅延は、反復毎に減少されることができる。さらなる実施形態によると、信号パケットの反復の間の全遅延の遅延合計は、2つの後続信号パケット間の時間に等しくあることができる。さらなる実施形態によると、本方法はさらに、測定を検証することを含んでもよい。さらなる実施形態によると、測定を検証することは、有効信号パケットの最小量の反復受信セットを要求してもよい。さらなる実施形態によると、既に平均化された信号パッケージの最小量のセットは、1〜256に設定されることができる。さらなる実施形態によると、信号レベルは、センサの状態を判定するために、閾値レベルと比較される。さらなる実施形態によると、本方法はさらに、センサ状態が変化したかどうかの判定を検証することを含んでもよい。さらなる実施形態によると、センサ状態変化の判定を検証することは、センサの
現在の状態が「オン」である間、閾値レベルを下回る処理された信号レベルを伴う最小測定セット、またはセンサの
現在の状態が「オフ」である間、閾値レベルを上回る処理された信号レベルを伴う最小測定セットのいずれかを要求してもよい。さらなる実施形態によると、本方法はさらに、検証測定の反復を遅延させることを含んでもよい。さらなる実施形態によると、本方法はさらに、後続検証測定間の遅延を変動させることを含んでもよい。さらなる実施形態によると、本方法はさらに、信号レベルがオーバーロードまたは歪曲されているかどうかを判定し、所定の回数まで、測定を繰り返し、非歪曲信号レベルを得て、電流消費を制限することを含んでもよい。
【0007】
別の実施形態によると、センサ信号を測定するための方法は、a)複数のサンプリングされたセンサ信号を含む信号パケットを受信することであって、信号パケットは、伝送された信号と同期する受信された信号のサンプリングを含む、ことと、b)該サンプリングされたセンサ信号から信号レベルを判定することと、c)パケット内の信号変動を判定することと、d)判定された信号変動を所定の雑音閾値と比較し、変動が雑音閾値を下回る場合、さらなる処理のために信号パケットを使用し、変動が雑音閾値を上回る場合、信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、加算された信号レベルを平均化することであって、ステップa)からc)の反復の間、ステップc)において、
現在の信号パケットの信号変動が、所定の雑音閾値を下回ると判定される場合、加算された信号レベルを破棄し、
現在の信号パケットの信号レベルを使用する、こととを含んでもよい。
【0008】
前述の方法のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、後続測定間に遅延を挿入することによって、反復測定を遅延させることを含んでもよい。前述の方法のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、測定を検証することを含んでもよく、測定を検証することは、最小量の受信有効信号パケットを要求する。さらなる実施形態によると、センサ状態変化の判定を検証することは、センサの
現在の状態が「オン」である間、閾値レベルを下回る処理された信号レベルを伴う最小測定セット、またはセンサの
現在の状態が「オフ」である間、閾値レベルを上回る処理された信号レベルを伴う最小測定セットのいずれかを要求してもよい。前述の方法のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、信号レベルがオーバーロードまたは歪曲されているかどうかを判定し、所定の回数まで、測定を繰り返し、非歪曲信号レベルを得ることを含んでもよい。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
センサ信号を測定するための方法であって、前記方法は、
a)複数のサンプリングされたセンサ信号を含む信号パケットを受信することと、
b)前記サンプリングされたセンサ信号から信号レベルを判定することと、
c)前記パケット内の信号変動を判定することと、
d)前記判定された信号変動を所定の雑音閾値と比較し、前記変動が前記雑音閾値を下回る場合、さらなる処理のために前記信号パケットを使用し、前記変動が前記雑音閾値を上回る場合、前記信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、および、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、前記加算された信号レベルを平均化することと
を含む、方法。
(項目2)
ステップa)からc)の前記反復の間、ステップc)において、現在の信号パケットの信号変動が、前記所定の雑音閾値を下回ると判定される場合、前記加算された信号レベルを破棄し、前記現在の信号パケットの信号レベルを使用する、項目1に記載の方法。
(項目3)
反復の数は、1〜256の所定の数である、項目1に記載の方法。
(項目4)
信号パケットは、伝送された信号と同期する受信された信号のサンプリングを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
信号パケットは、搬送波周波数の最大および最小領域内のサンプリング値を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
後続測定間に遅延を挿入することによって、反復測定を遅延させることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記遅延は、反復毎に変動される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記遅延は、反復毎に増加される、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記遅延は、反復毎に減少される、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記信号パケットの反復の間の全遅延の遅延合計は、2つの後続信号パケット間の時間に等しい、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記測定を検証することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
検証測定の反復を遅延させることをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
後続検証測定間の遅延を変動させることをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記測定を検証することは、有効信号パケットの最小量の反復受信セットを要求する、項目11に記載の方法。
(項目15)
既に平均化された信号パッケージの最小量のセットは、1〜256に設定されることができる、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記信号レベルは、センサの状態を判定するために、閾値レベルと比較される、項目11に記載の方法。
(項目17)
センサ状態が変化したかどうかの判定を検証することをさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記センサ状態変化の判定を検証することは、前記センサの現在の状態が第1の状態にある間、前記閾値レベルを下回る処理された信号レベルを伴う最小測定セット、または前記センサの現在の状態が第2の状態にある間、前記閾値レベルを上回る処理された信号レベルを伴う最小測定セットのいずれかを要求する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記信号レベルがオーバーロードまたは歪曲されているかどうかを判定し、所定の回数まで、前記測定を繰り返し、非歪曲信号レベルを得ることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
センサ信号を測定するための方法であって、前記方法は、
a)複数のサンプリングされたセンサ信号を含む信号パケットを受信することであって、前記信号パケットは、伝送された信号と同期する受信された信号のサンプリングを備える、ことと、
b)前記サンプリングされたセンサ信号から信号レベルを判定することと、
c)前記パケット内の信号変動を判定することと、
d)前記判定された信号変動を所定の雑音閾値と比較し、前記変動が前記雑音閾値を下回る場合、さらなる処理のために前記信号パケットを使用し、前記変動が前記雑音閾値を上回る場合、前記信号レベルを加算し、ステップa)からc)を繰り返し、および、所定の数の反復が達されたことを判定し、そうである場合、前記加算された信号レベルを平均化することであって、ステップa)からc)の前記反復の間、ステップc)において、現在の信号パケットの信号変動が、前記所定の雑音閾値を下回ると判定される場合、前記加算された信号レベルを破棄し、前記現在の信号パケットの信号レベルを使用する、ことと
を含む、方法。
(項目21)
後続測定間に遅延を挿入することによって、反復測定を遅延させることをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記測定を検証することをさらに含み、前記測定を検証することは、最小量の受信有効信号パケットを要求する、項目21に記載の方法。
(項目23)
センサ状態変化の判定を検証することは、前記センサの現在の状態が第1の状態にある間、前記閾値レベルを下回る処理された信号レベルを伴う最小測定セット、または前記センサの現在の状態が第2の状態にある間、前記閾値レベルを上回る処理された信号レベルを伴う最小測定セットのいずれかを要求する、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記信号レベルがオーバーロードまたは歪曲されているかどうかを判定し、所定の回数まで、前記測定を繰り返し、非歪曲信号レベルを得ることをさらに含む、項目23に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、非外乱信号および重畳された雑音を伴う信号の測定パケットのサンプル値を示す。
【
図2】
図2は、強干渉が存在するときのパケットの反復測定を示す。
【
図3】
図3は、従来のセンサ処理方法のための流れ図を示す。
【
図4】
図4は、ある実施形態による、改良方法の流れ図を示す。
【
図5】
図5は、周波数および時間ドメインにおける干渉周波数抑制のための原理を示す。
【
図6】
図6は、ある実施形態による、改良方法の別の流れ図を示す。
【
図7】
図7は、統合された検証測定を伴う、流れ図を示す。
【
図8】
図8は、オーバーロードに対処するための流れ図を示す。
【
図9】
図9は、3次元ジェスチャを検出するための例示的センサシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(詳細な説明)
種々の実施形態によると、特に、センサ信号を受信するシステムにおいて、同期サンプリングされた測定値のための平均形成プロセスが、適応的にされることができる。そのようなシステムは、例えば、タッチ感知システム、または特に、近接検出を使用し、必ずしも、物理的タッチを要求しない、ジェスチャ検出システムであることができる。例えば、低周波数電場が、低周波数信号、例えば、100kHzACまたは方形波信号がフィードされる、電極プレートを使用して発生されてもよい。さらに電極プレートは、電場に侵入する物体によって生じる外乱を検出するために使用されてもよい。受信された信号は、事前処理されることができ、かつ信号は、さらなる処理のために、パケット内でアセンブルされることができる。
【0011】
種々の実施形態によると、概して、望ましい信号周期数が少ないパケットは、測定および平均化され、望ましい信号周期毎に、好ましくは、最大値の正の半波および最小値の負の半波を取得するように送信機信号に同期して設定される、サンプリングインスタントが、測定される。種々の実施形態によると、干渉される測定パケットが多いほど、より多くのパケットが、測定および平均化される。さらに、パケットの干渉の評価は、それぞれ、正および負の半波のサンプル値の散乱の評価を通して行なわれることができる。個別のより大きな逸脱または相違または標準偏差が、評価において、雑音のインジケータを得るために使用され得る。
【0012】
パケット内のサンプル値が、歪曲またはオーバーロードされる場合、パケットは、破棄され、再び、測定されるであろう。複数のパケットが破棄される場合、これは、強雑音または干渉のインジケータとなり、測定パケットの数は、種々の実施形態に従って、電力消費を制限するために限定されるであろう。
【0013】
わずかな外乱が存在する、または雑音がほとんどない場合、有意義な測定結果のために、単一パケットで既に十分であって、電流消費は、最小限となるであろう。雑音/干渉の増加に伴って、電流消費は、増加し、複数のパケットが、測定および平均化されるために要求される。これは、種々の実施形態による、エネルギー効率的測定方法をもたらすであろう。
【0014】
さらなる利点は、持続的干渉源とパルス状干渉源とを区別する必要はないという事実にあり、これは、より単純なコードをもたらす。パルス状干渉源の場合、パケットが、干渉を伴わずに、時間周期内に測定される場合、結果として生じる測定は、さらなるパケットを測定および平均化する必要なく、すぐに使用されることができる。測定の反復は、干渉を伴う時間周期が、可能性として、測定に負の影響を及ぼし得るため、実際、有害となるであろう。
【0015】
図1は、上側に、非外乱信号の測定パケットのサンプル値を、下側に、重畳された雑音を伴う信号を示す。示される実施例では、4つの信号周期が、パケット内で測定される。
図1に示されるように、各サンプル点は、個別の最大または最小値において採取される。個別の4つの連続する極大値および極小値は、上側の曲線に示されるように、本実施例では、同じである。雑音が、下側の曲線に示されるように、追加されると、極大値および極小値サンプル点は、それぞれ、マークされた変動範囲内で変動する。
【0016】
図2は、強干渉が存在するときのパケットの反復測定を示す。上側曲線は、干渉または雑音を示す一方、
図2における下側曲線は、信号パケットを描写する。パケット測定の高速反復を通して、全くまたは殆ど干渉/雑音が存在しない、時間周期が、見出される。本実施例では、5つのパケットが、有効結果が得られるまで、測定されている。最初の4つのパケットは、強干渉信号を含むが、
図2に示されるように、第5の信号は、干渉がない。
【0017】
図3は、センサ処理のための流れ図を示し、測定信号は、閾値と比較され、従来の方法に従って、実際のセンサ状態を判定する。ステップ310は、同期サンプル点を含む、信号パケットが得られる、信号取得を表す。続くステップ320では、信号レベルが、処理される。ステップ330では、信号レベルが所定の閾値を超えるかどうかチェックされる。該当する場合、ステップ340では、センサの
現在の状態が、判定される。状態が「オフ」である場合、ルーチンが、ステップ360において、状態を「オン」に切り替え、それ以外、本ステップをスキップする。同様に、ステップ330が負である場合、
現在のセンサ状態が、ステップ350においてチェックされ、「オン」である場合、状態は、ステップ370において、「オフ」に変更され、それ以外、ステップ370は、スキップされる。ルーチンは、ステップ380に進み、スリープモードがアクティブ化される。スリープモードは、ステップ390において、非アクティブ化されてもよく、ルーチンは、ステップ310に戻り、次の信号パケットを受信する。
【0018】
図3によると、改良方法の目的は、高速応答時間を得て、わずかな電力のみを使用することである。改良方法はさらに、前述のような種々の異なる干渉源に対処可能であるべきである。概して、フィルタが、良好なフィルタ結果をもたらすために、長時定数を有するように設計され得る。しかしながら、長時定数は、反応時間を長くし、多くの電力を要求するであろう。故に、個別の状況において、個別の干渉源に適応し、電力要件を低減させる、種々の実施形態による、適応的解決策が、提案される。
【0019】
従来のシステムは、同期復調を使用し、受信された信号は、伝送された信号と同期してサンプリングされる。特に、前述かつ
図9に示されるように、電場を使用するセンサシステムでは、送信機電極Tx930が、使用され、そこには、例えば、100kHz搬送波信号が、信号発生器950によってフィードされる。信号発生器950は、例えば、方形波信号を発生させる、マイクロコントローラポートであることができる。また、信号発生器は、正弦波信号を発生させる、発振器であることができる。正弦波信号もまた、記載された方形波信号等の他の信号の個別のフィルタリングを通して得られることができる。したがって、評価デバイス960を通したサンプリングは、伝送された信号と同期され、例えば、個別の電場信号の極大値および極小値を測定することができる。この目的を達成するために、評価デバイス960はまた、信号発生器950から発生された伝送された信号を受信する。単なるデジタル回路では、同期は、ソフトウェアによって、または個別の制御レジスタを通して、行なわれることができる。複数の受信電極が、実装されてもよく、これらのセンサから受信された信号は、次いで、評価デバイス960によって、さらに評価される。例えば、
図9に示されるように、第1の受信電極Rx1900は、増幅器905と連結されるように提供されてもよい。全電極は、例えば、それぞれ、銅平面をエッチングすることによって、印刷回路基板上に形成される、単純電極プレートであることができる。さらなる電極Rx2およびRx3(910および920)ならびに関連付けられた増幅器915および925が、提供されてもよい。電極は、
図9に示されるように、具体的形状に制限されない。他の形状および数の電極も、個別のシステムに従って適用されてもよい。最後に、送信機電極930を囲繞する遮蔽電極940が、提供されることができ、これは、好ましくは、インバータ955を通して、反転された伝送された信号によってフィードされ得る。本願は、
図9に示されるシステムに限定されず、任意の他のセンサシステムとも併用され得る。
【0020】
記録される信号周期が多いほど、フィルタがより良好に影響する。そのような方法は、多くの周期の同期サンプリングを使用して、種々の干渉源と動作可能であるように、搬送波周波数に近似する周波数をフィルタ除去しなければならない。これは、例えば、100kHzの典型的搬送波周波数が使用される場合、例えば、ジェスチャ検出システムにおいて、近接検出を使用する、電場測定システムに一般的であるように、反応時間が、1秒を容易に超え得ることを意味する。しかしながら、これは、特に、オン/オフスイッチ等、基本動作要素が、そのようなセンサによって実装される場合、ユーザにとって容認不可能である。
【0021】
種々の実施形態によると、実際に存在する雑音/干渉のレベルが、判定され、平均形成のためのフィルタ長の適応が、干渉/雑音源の影響を最小限にするために行なわれる。この目的を達成するために、典型的には、いくつかの信号周期、例えば、2〜256周期を伴う、信号パケットが、平均化のために使用される。これらのパケットは、同期して復調される。いくつかの周期内のサンプリング値の変動が、所定の雑音源を上回らない場合、センサシステムが、雑音/干渉源の影響下になく、信号レベルが、
図1に示されるように、いくつかの信号周期の平均から形成されると仮定される。サンプリング値の変動が、システム雑音を上回る場合、システムは、雑音/干渉源の影響下にあって、N−1のさらなる信号パケットが、判定されると仮定される。
【0022】
図4は、種々の実施形態による、改良方法の関連付けられた流れ図を示す。ステップ400から445は、着信信号パケットの処理を示す。全信号レベルは、加算され(和)、N−1のさらなる信号パケットの取得後、和が、総信号パケットNの数によって除算される。典型的には、Nは、2〜256の反復範囲内にあることができる。これらの付加的方法ステップによって、フィルタ長は、拡大され、平均化された信号レベルの変動は、低減される。測定が、持続的干渉によって影響を受ける場合、合計Nの信号パケットが、受信されるであろう。ステップ420では、ステップ405−415を通して得られた計算された信号変動から、雑音源が存在するかどうかを判定される。雑音源が存在する場合、ルーチンは、ステップ425に分岐し、信号は、加算される。ステップ435では、反復の数がチェックされ、ステップ400において、インクリメントされる。十分な反復が行なわれている場合、ルーチンは、ステップ445に分岐し、信号レベルが、計算された和を反復の数によって除算することによって判定される。ルーチンは、次いで、ステップ430および440に進み、和および反復変数が、リセットされる。ステップ450では、計算された信号レベルが、チェックされる。続くステップ455−480は、
図3のステップ340−390に対応する。これらのステップ455−480はまた、同等判定ステップによって代用されることができる。これらのステップに示されるように、センサ状態の変更は、単に、可能性として考えられる実施形態のうちの1つである。評価される信号の機能を判定する、個別のフラグまたはレジスタ値を設定するための多くの同等ルーチンが存在する。
【0023】
パルス状干渉の場合、N信号パケットの極大値は、パルス状干渉が、全データ取得の間にアクティブである場合、受信され得る。雑音パルスがより短い場合、例えば、第5のパケットとともに
図2に示されるように、信号パケットに干渉影響がなくなるまで、n(n≦N)信号パケットが、受信される。以前に受信された信号レベルの総和は、破棄され、単一信号パケットのみ、さらなる閾値レベル比較のために使用されるであろう。解除条件を用いることによって、電流消費およびシステム反応時間が、低減され得る。
【0024】
さらに、干渉周波数のための干渉周波数抑制が、実装されることができ、搬送波周波数に対する周波数距離f
aは、
図5に示されるように、2つの信号パケットの取得の間の間隔周波数f
pと同一またはその倍数であることができる。
図5における上側グラフは、搬送波および2つの干渉源の周波数を示す。
図5の下側に示されるように、エンベロープ変調が、周波数f
a=|F
carrier−f
interferer|を伴うサンプリングされた総和信号F
carrierおよびf
interferer上に生成される。信号値は、取得後、処理される必要があるため、常時、反復毎に等しい長さの時間距離Tpが、発生する。T
pの典型的値は、100μs〜1msであって、これは、間隔周波数1kHz〜10kHzに対応する。f
aが周波数f
pまたはその倍数に近似するように、干渉信号が、望ましい周波数に対する周波数距離を有する場合、サンプリングが、常時、エンベロープの同一の位相位置で生じるため、複数の信号パケットの採取は、フィルタ効果につながらないであろう。しかしながら、2つの信号パケット間の時間が、変動される場合、信号取得時間の位相位置は、エンベロープの位相位置に対して変化するであろう。個別の流れ図が、
図6に示される。類似ステップは、同一の参照記号で指定される。典型的には、2つの信号パケット間の時間の変動は、ステップ610において、遅延T
vを挿入することによって実現されることができ、これは、反復毎に増加し、さらに、単一反復毎に、位相位置を変化させる。代替として、遅延は、ランダムに変動されることができる。好ましくは、N−1の信号パケットの反復の間の全遅延の遅延合計T
gは、信号パケットが、時間周期にわたって等しく分布されるよう遅延されるように、時間T
pに等しい。
【0025】
種々の実施形態による、さらなる特徴は、
図7の流れ図に示されるように、その周波数が搬送波周波数に近似する、干渉の抑制である。再び、同一の参照記号は、
図4および6の同一のステップを指す。干渉認識およびフィルタ延長のための前述の方法は、その周波数が搬送波周波数に近似する干渉には効果的ではないであろう。その理由は、そのような干渉が、信号パケットのいくつかの信号周期内の測定信号にわずかな変動しか発生させないためである。したがって、反復測定は、導入されず、干渉は、搬送波信号からフィルタリングされないであろう。本理由から、測定シーケンスは、予期されるセンサ状態変化毎に、m回繰り返され(検証測定)、また、位相位置変化のための可変遅延要素が、統合されるであろう。検証測定のための典型的値mは、1〜16である。検証測定のために、N−1反復の最大フィルタ長が、使用される。加えて、それが検証測定であるかどうかも判定されであろう。この目的を達成するために、
図7による流れ図は、ステップ420と430との間に挿入された付加的ステップ710を示す。本ステップ710では、検証が0を上回るかどうかがチェックされる。検証が要求されない場合、ルーチンは、ステップ430に進み、そうでなければ、ステップ425に分岐する。ステップ455と465ならびにステップ460と470との間には、同一のチェックが、検証変数に対して挿入される。検証変数が、所定の数のm検証より小さい場合、ルーチンは、両場合とも、ステップ750に分岐し、検証変数が、インクリメントされる。続くステップ760では、検証変数が、遅延変数に追加され、ルーチンは、ステップ405の開始に進む。最後に、ステップ480とステップ405との間では、検証変数は、ステップ740において、0にリセットされる。
【0026】
オーバーロードを伴う測定値を含む、信号パケットは、破棄され、
図8の流れ図に示されるように、最大数のKオーバーロード反復に達するまで、再び、測定されるであろう。信号取得およびレベル処理は、それぞれ、ステップ810および820において行なわれる。信号オーバーロードは、ステップ830において判定される。オーバーロードが生じない場合、ルーチンは、前述のように、ステップ420に進む。オーバーロードが生じている場合、ルーチンは、ステップ840に分岐する。K反復内において、ステップ840によって判定されるように、信号パケットが、取得されず、これは、オーバーロードされていない場合、さらなる信号パケットの取得は、終了され、個別の測定サイクルにおいて、さらなる評価は、行なわれず、ルーチンは、ステップ475に分岐する。そうでなければ、オーバーロード反復変数は、ステップ850においてインクリメントされ、ルーチンは、ステップ810において、その開始に戻る。
【0027】
オーバーロードされている信号パケットは、平均形成を不正確にし、誤った結果につながるであろう。オーバーロードの場合の反復は、著しく干渉されたモードにおける総電流消費を最小限にするために、Kの数(典型的には、1〜4)に制限される。
【0028】
さらに、電流消費は、最後のx測定において、干渉のため、結果が得ることができなかったかどうかを判定することによって、著しく干渉された環境に制限されることができる。これが該当する場合、冗漫な干渉が存在し得、反復測定の数N−1は、有効測定が利用可能になるまで、著しく低減されることができる。
【0029】
種々のさらなる実施形態によると、2つの信号パケット間の遅延Tvを持続的に増加させる代わりに、交互一定遅延が、使用されることができる、または遅延は、交互にオフにされ、2つの信号パケット間の望ましい信号の位相位置を反転させ得る。
【0030】
随意に、フィルタ長は、複数の信号パケットにわたって平均化する代わりに、平均化が、パケット内の複数の信号周期にわたって生じるように、増加され得る。選定されるフィルタ長は、信号変動に依存する。
【0031】
N−1信号パケットのさらなる取得のための固定数の使用の代わりに、関数(f(信号変動)が、使用され得、これは、N信号パケットの変数を可能にする。
【0032】
予期される状態変化に対する検証測定のために、成功検証のサブセットu(u<m)が、検証を有効として判断するために事前に決定されることができる。
【0033】
種々の実施形態による、センサシステムは、提案されるデジタル信号フィルタを用いて、個別の干渉環境に動的に適応し、最小フィルタ長、したがって、非外乱モードにおいて、小電流/電力消費を可能にする。外乱モードでも、システムは、前述のフィルタ設計を通して、多くの異なるタイプの干渉に対してロバストである。